雪ノ下「比企谷コーポレーション…?」 (415)
~ 卒業式 ~
八幡(さて、行くか…)
ガラッ
八幡「よう」
雪ノ下「あら、卒業式だというのにあなたには予定がないのかしら」
八幡「分かってて言ってんだろ、お前こそどうなんだよ」
雪ノ下「…誘いはあったのだけれどね」
八幡(あったのかよ、泣いていい?)
雪ノ下「やっぱり私はここが一番落ち着くのよ」
八幡「…そうだな」
雪ノ下「あら、珍しく素直ね、槍でも降るのではないのかしら」
八幡「こんなことで槍が降ったら今頃世紀末だろ、モヒカンのお兄さんがそこら辺にいる世界になっとるわ」
雪ノ下「…何が言いたいのかさっぱり分からないのだけれど」
八幡(誰か平塚先生呼んできて!)
雪ノ下「はぁ…本当に最後まで変わらないのね、あなたは」
八幡「俺は自分が大好きだからな、変わらないんじゃなくて変わる必要がねーんだよ」
雪ノ下「卒業だって言うのに…」
雪ノ下「…」
八幡「…いきなり黙るなよ」
雪ノ下「…卒業、ね」
八幡「そうだな」
雪ノ下「…」
八幡「…」
八幡「雪ノ下」
雪ノ下「何かしら、私は今一人にしてほしい気分なのだけれど」
八幡「すぐ終わる」
雪ノ下「…」
八幡「俺は、お前が言うように自己犠牲でしか問題を解決できないような男だ」
八幡「捻くれていて、人間不信で、シスコンで、目が腐っているような男だ」
八幡「…けど、もし俺が…将来自分を犠牲にしなくても問題を解決できるような男になれたら」
八幡「そのときは俺と―――――」
バンッ!
\ やっはろー!! /
~ 数年後 ~
店員「シャッセー」
店員「弁当あたたえやすかー?」
雪ノ下「いえ、そのままで…」
店員「あざっしたー」
ウィーン
雪ノ下(今日もコンビニ弁当…)
雪ノ下(どうしてこうなってしまったのかしら…)
【 雪ノ下宅 】
雪ノ下(千葉大学を主席で卒業、就職した先も大手会社)
雪ノ下(もう未来は明るいものだと思っていたのに…)
雪ノ下(待ち受けていたのは上司からセクハラを受ける毎日…)
雪ノ下(転職に転職を重ねた結果…)
雪ノ下「あ…お箸が入ってない…」
雪ノ下「割り箸どこかにあったかしら…」
ガサガサ
雪ノ下「…昨日使った奴だけれどまだ使えるわね」
雪ノ下「からあげ弁当おいしい」モシャモシャ
雪ノ下(そして今日も…バイト先の先輩からセクハラを受けたことに腹を立てて辞めてしまった…)
~ 翌日 ~
ウィーン
雪ノ下「…」ツカツカツカ
ざわ…ざわ…
モブA「お、おい…ありゃ…」
モブB「あぁ…間違いねえ…」
\ ハ◯ーワークの女王だ!! /
モブC「お、俺生で初めて見たぜ!!」
事務員「こんにちは雪ノ下さん」
雪ノ下「こんにちは、今日もよろしくお願いします」
事務員「また男性からセクシャルハラスメントを…?」
雪ノ下「ええ、紹介していただいているのに何度もすみません」
事務員「いえいえ、雪ノ下さんは悪くないですよ」
雪ノ下「それでその…なにか良い働き口はあるでしょうか?」
事務員「大変申し上げにくいのですが、現在ご紹介できる一番良いところでワ◯ミのクルーとなっておりまして」
雪ノ下「ワタ◯ですか…」
prrrrrrr
雪ノ下「どうぞ」
事務員「申し訳ありません」
ガチャ
事務員「お電話ありがとうございます、こちらハ◯ーワーク受付の事務員と申します」
事務員「はい…はい…本当ですか!?」チラッ
雪ノ下「…?」
事務員「かしこまりました、すぐに適切な方にご紹介させていただきます」
事務員「はい…はい…それでは失礼します」
ガチャ
事務員「雪ノ下さん!たった今良いところ見つかりましたよ!」
雪ノ下「どういうところでしょうか?」
事務員「比企谷コーポレーションですよ比企谷コーポレーション!あの超大手企業が一人だけ人員が欲しいとのことらしいです!」
雪ノ下「!?」
雪ノ下「すみません、たぶん聞き間違えてしまったのでもう一度会社名をお願い出来ますか?」
事務員「ですから比企谷コーポレーションですよ!…もしかして雪ノ下さん知らないんですか?」
雪ノ下「ひきがや…いえ、知らないですね…説明していただいてもよろしいでしょうか?」
雪ノ下(まさかそんなことは…いえ、比企谷の名を持つのは何も彼だけではないのだし…)
事務員「比企谷コーポレーションといえば食品、家電、家具など色々と手がけてはいますが、やはり有名なのはホビー類でしょうね」
雪ノ下「ホビー…玩具が有名なのでしょうか?」
事務員「はい!それはもう有名ですよー、代表的なのは『一人で出来るオセロ』や、『寝た振りしながら周りを見れる鏡』とかですねー」
雪ノ下「ワ◯ミでお願いします」
事務員「えぇ!?雪ノ下さん!こんなチャンス滅多にないですよ!?」
雪ノ下「そこはダメなんです」
事務員「そ、そうなんですか?時給3000円とのことでしたが…」
雪ノ下「!?」
雪ノ下「ゴホン、やはり条件だけでも…」
雪ノ下(まだ彼だと決まった訳ではないのだし…)
事務員「そうですよね!ええっと会社側からの条件としては週4日出勤で一日8時間、休憩2時間の朝8時からだそうです」
雪ノ下「全然問題ありませんね」
事務員「その他の条件は全て雪ノ下さんは満たしてますね、ご契約なさいますか?」
雪ノ下「…」
雪ノ下(もし彼だとしたら、これ以上ない生き恥を晒してしまうことになるわ…)
雪ノ下(いえ、彼なはずがない)
雪ノ下(ちょうど今入った働き口が偶然私のところにきて、なおかつその会社が知人のだなんて…)
雪ノ下(そんなこと現実にあるわけがないわね)
雪ノ下(そう、考えすぎよ)
雪ノ下「お願いします」
~ 数日後 ~
雪ノ下「今日は初出勤の日ね、もうセクハラはないと良いのだけれど」
雪ノ下「比企谷コーポレーション…」
雪ノ下(比企谷くん…比企谷くんはあの時、私になんて言おうとしたのかしら…)
雪ノ下(もし…あの時、由比ケ浜さんが部室にくるのがもうちょっと遅かったら…)
雪ノ下(最近はそんなことばかり考えてしまう…)
雪ノ下「いえ、今は彼は関係ない…関係ないはずよ」
雪ノ下「いってきます」
ガチャ
【 比企谷コーポレーション正門 】
雪ノ下「ここが…比企谷コーポレーション…」
雪ノ下(とても立派なビルだわ)
ウィーン
雪ノ下(中も綺麗で立派ね、到底あの男では作れなさそうな美しさだわ)
雪ノ下「すみません、私雪ノ下雪乃というものですが」
受付嬢「はい、どうなされました?」
雪ノ下「本日からここでお世話になるのですがどちらに向かえばよろしいでしょうか?」
受付嬢「少々お待ちください」カタカタ
??「あれ、雪ノ下さん?」
雪ノ下「!?」
??「あれ?人違いかな…あのー…」トントン
雪ノ下「ど、どちら様でしょうか」
??「わ!やっぱり雪ノ下さんだ!僕のこと覚えてないかな…?」
雪ノ下「…もしかして戸塚さんかしら」
戸塚「そうだよ!なんだかすごく久しぶりだね!でも、どうしてここに?」
雪ノ下「それは…」
戸塚「わかった!みんなに会いにきてくれたんだ?きっと八―――」
雪ノ下「っ」ドキッ
受付嬢「雪ノ下様、お待たせいたしました」
戸塚「ん?どうしたの?」
受付嬢「戸塚様!お話中のところ大変失礼いたしました」
戸塚「いいよいいよー、もしかして雪ノ下さん…今日くる新人さんって…」
雪ノ下「ええ、今日からお世話になるわ」ペコッ
戸塚「そうなんだ、僕もここの社員さんだからこれからはよろしくね!」
戸塚「それじゃ一緒に行こ?」ニコッ
雪ノ下「そ、そうね」
雪ノ下(戸塚さん…ここの社員ということはやはり…いえ、まだ決まったわけでは…)
戸塚「このエレベーターで10階まで行くから覚えておいてね?」
雪ノ下「ええ、ありがとう」
戸塚「僕らがこれから一緒に働くのはホビー課ってところなんだけど雪ノ下さんが知ってる人いっぱいいるよ!」
雪ノ下「えっ」
戸塚「というかホビー課はみんな総武高出身だね!みんな喜ぶんじゃないかなー」
雪ノ下「」
戸塚「どうしたの?」
雪ノ下「い、いえ、なんでもないわ」ガタガタガタ
チーン
戸塚「あ、着いたよ!こっちこっち!」
【 ホビー課 】
戸塚「みんな、おはよー!」
\ おはよー /
??「ぬぬ…インスピレーション湧いてキター!!!」
??「どれどれ、はぁ?魔剣ザイモクザー?却下」
??「戸塚さん、やっはろー!」
戸塚「新人さん連れてきたよ!みんなびっくりするんじゃないかなー」
??「新人?あーしこれ以上ここに人いらないと思うんだけど」
??「男子なら良いな、ぐ腐腐腐腐腐腐腐腐」
??「つーかここは美人っしょー!」
戸塚「ささ、雪ノ下さん入って入って!」
雪ノ下「」ガタガタガタガタ
戸塚「?」
戸塚「えいっ」グイッ
雪ノ下「っ!」
三浦「げっ」
材木座「な、なんと!!」
小町「雪乃さん!?」
雪ノ下「や…」
海老名「や?」
雪ノ下「やっはろー…」
\ ・・・ /
雪ノ下「…///」
トントン
雪ノ下「…?」
戸塚「やっはろー!」ニコッ
小町「雪乃さん、やっはろー!」
海老名「えっと、やっはろー」
戸部「つーかマジやっはろーじゃね?」
材木座「ぬぬぬ、やっはろーでござるな!!」
三浦「…」
戸部は8巻で割と好きになった
雪ノ下「これからお世話になります」ペコッ
戸塚「うん!よろしくね!」
三浦「あーし、こいつがくるなんて聞いてないんだけど」
雪ノ下「…三浦さん」
戸塚「えっと…とりあえず一応紹介しておくね!」
戸塚「僕がホビー課の課長で、海老名さんが書記で、小町ちゃんが雑務係、他は普通の課員だね」
戸部「まぁぶっちゃけ役職とか関係ないっつーか?基本的に自由っつーか?」
雪ノ下「…会計がいないようだけれど」
戸塚「今までは僕がやってたんだけどちょっと管理が甘くて…それで今回数字に強い人を募集したんだ!」
雪ノ下「なるほど、わかったわ」
戸塚「席はここだから!」
雪ノ下「…」
三浦「…なんであーしの隣だし」
戸塚「えへへ、僕も雪ノ下さんがくるとは聞いてなかったから…」
戸塚「仲良くやらなきゃおこっちゃうよ!」
三浦「へいへい」
雪ノ下「大丈夫よ、争いは同じレベルじゃないと起こらないのだから」
三浦「あ?」
雪ノ下「ふっ…なんでもないわ」
戸塚(席変えた方がいいかなー…)
三浦「なんかちょーし乗ってるけどさ、あーしのが上の立場なんだけど?」
雪ノ下「あら、これは失礼したわね三浦先輩」
三浦「マジむかつくんだけど…つーかさぁ、今頃になって就職とかこの数年間なにしてたわけ?」
雪ノ下「ぐっ」グサッ
三浦「しかもバイトとかそれフリーターじゃん?」
雪ノ下「ぐふっ」グササッ
戸塚「い、今はそうだけどちゃんと認められればすぐ社員になれるから!」
三浦「あーし今の話してるんだけど?」
雪ノ下「ええ、そうよ…私はフリーターよ…」
戸塚「雪ノ下さん…いったいなにがあったの?」
雪ノ下「…実は」
カクカクシカジカ
材木座「ぬぬぬぬ!それは酷いでござるな!!」ガバッ
雪ノ下「」ジッ
材木座「アヒィ!我をそんなに見つめないで!!」
戸塚「そんなことが…」
海老名「世の中腐ってるね」
小町「雪乃さんかわいそう…」
戸部(っべー…マジっべーわ…今の聞いてなかったら間違いなくセクハラしてたわー…)
三浦「つーかお前ら仕事しろし」
戸塚「じゃあ雪ノ下さん、わからないことがあったら聞いてね!」
三浦「…」
雪ノ下「…」
三浦「…まぁこれからっしょ」
雪ノ下「ふっ」
三浦「鼻で笑うなし」
雪ノ下「これからよろしくね、三浦さん」
三浦「…よろしく」
雪ノ下「…」カタカタカタカタカタカタ
小町「ゆ・き・のさーん!」
雪ノ下「…」カタカタカタカタカタカタ
小町「うわー、すっごい集中力…」
雪ノ下「…あら、どうしたのかしら小町さん」
小町「あ、お茶を淹れてきました!」コトッ
雪ノ下「ありがとう」ズッ
小町「ところでお兄ちゃんには会わないんですかー?」
雪ノ下「…やはりここは比企谷くんの会社なのかしら」
小町「えっ、知らなかったんですか!?」
雪ノ下「ええ…薄々気づいてはいたのだけれど…」
小町(お兄ちゃんかわいそー…)
小町「お兄ちゃんも雪乃さんに会いたがってますよきっと!」
雪ノ下「っ…」ドキッ
雪ノ下「そ、そうかしら…私は彼のことなんてどうでもいいのだけれど」カタカタ
小町「本当ですかー?」ニヤニヤ
雪ノ下「ええ、私は嘘はつかないわ」
小町「…まぁ一度だけでも会ってあげてください!それでは~」
雪ノ下「考えておくわ」
雪ノ下「お茶、ありがとう」
小町「はーい」
雪ノ下(本当に腹が立つわ、あの日から成長していない…嘘つきな自分に…)ズッ
戸部「マジ疲れたわー、つかもう時間じゃねー?」
戸塚「本当だ、そうだね」
戸塚「みんなお疲れさま!今日はこの辺にしよっか」
戸部「っしゃー!帰ろ帰ろ、つか誰か飯食ってかね?」
雪ノ下(誰も残る気配がない…この会社大丈夫なのかしら)
戸塚「みんなで雪ノ下さんの歓迎会しようよ!」
小町「いいですねー、賛成です!」
三浦「はぁ?あーしはパス」
材木座「わ、我もそのような会には出席出来ないでござ…」
海老名「えー?材木座くん行こうよ、男が二人いないと色々捗らないじゃない」ギュッ
材木座「フォカヌボォ!い、行きますからその手を離してえええええ!!」
戸塚「三浦さん以外はみんな行くんだよね?じゃあちょっとお店に電話してくるー」
三浦「ちょ、ちょっと待てし」
雪ノ下「いいのよ三浦さん、無理に来なくても」
三浦「やっぱあーしも――」
雪ノ下「本当に残念だけれど仕方ないわ、ではまた明日」
三浦「あ、あーしも行くって言ってんの!!」
戸塚「全員参加だね」ニコッ
小町「お兄ちゃんも呼びましょうよ!」
雪ノ下「」ビクッ
戸塚「そうだね、八幡に電話してみてくれる?小町ちゃん」
小町「了解ですー」ピッ
雪ノ下「待つのよ小町さん、あの男が来ても良いことがないわ」ガシッ
prrrrrrrrr
小町「ちょ、もうかけちゃいましたよ!」
雪ノ下「今すぐその携帯を――」
小町「あ、もしもしお兄ちゃーん?最愛の妹小町ちゃんだよー」
雪ノ下「」
小町「うわー…すっごい適当だなー…」
小町「何の用だって?えっとね、今からみんなでご飯に――」
小町「え?今すっごい忙しい?今日は帰れそうにない??」
小町「そうなんだ…え、もう切る?ちょ、ちょっとだけ待っ―――」ピッ
小町「みたいですねー、てへへ」
雪ノ下「残念ね」グッ
小町(すごい嬉しそう!?もしかしてお兄ちゃん本当に嫌われてる!?)
【 雪ノ下宅 】
ガチャ
雪ノ下「疲れたわ…」
雪ノ下「比企谷コーポレーション…やはり彼の会社だったのね…」
雪ノ下(彼はこんなに頑張っていたというのに私は…)
雪ノ下(比企谷くん…)
prrrrrrrrrrr
雪ノ下「」ビクッ
雪ノ下(私の携帯が鳴った…?)
雪ノ下「いったい誰かしら」ピッ
雪ノ下「もしもし、雪ノ下ですが」
??『…』
雪ノ下「…?」
??『…』
雪ノ下「あの、どちら様でしょうか」
雪ノ下(こんな時間にいたずら電話かしら…)
\ おにいちゃーん?お風呂ー…って誰かに電話してるのー? /
??『…っ!』ピッ
雪ノ下「ちょ…切れたわ」
雪ノ下「ただのいたずら電話ね、こんな時間によっぽど暇なのかしら」
雪ノ下「着信拒否しておきましょう」
雪ノ下(…それにしても今の女性の声はどこかで聞いたような気がするのだけれど)
~ 数日後 ~
雪ノ下「海老名さん、ここのデータが少し間違っているのだけれど」
海老名「あちゃー、ごめんね!すぐ直すから」
雪ノ下「お願いします、それと戸部くん、この出費は何かしら」
戸部「え?えーっと…それはマジアレっしょ、必要経費っしょ」
雪ノ下「無駄よ、カットしてちょうだい」
戸部「ひゃ、ひゃい」
雪ノ下「ざい…えっと…そこのあなた、ただの企画書作りになぜこんなにお金がかかっているのかしら」
材木座「ぬぬぬ!?我のことでござるか!?」
材木座「わわわわ我は一流の作家故に使用する道具も一流でなくては――――」
雪ノ下「今度からは100均で買ってきてちょうだい」ニコッ
材木座「ふぬぼぉ!わ、わかったでござる…」
材木座「ところで雪ノ下殿、我の名前覚えてますよね…?」
雪ノ下「…」
材木座「…」
雪ノ下「ふぅ…」
戸塚「お疲れ雪ノ下さん!」
雪ノ下「戸塚さん、どうしたのかしら?」
戸塚「んーん、頑張ってるから声かけちゃった」
雪ノ下「いえ、私は特に何も…」
戸塚「そんなことないよ、雪ノ下さんが来てからここも随分変わったもん」
戸塚「実はね…ホビー課は最近かなり不調なんだ」
雪ノ下「…?」
戸塚「この会社はおもちゃが有名なのは知ってる?」
雪ノ下「ええ、そう聞いていたのだけれど」
戸塚「最初はね、八幡と一緒だったんだ」
戸塚「…けど、八幡が事業を拡大するにつれてだんだんこことは疎遠になっちゃって」
戸塚「今まで八幡が出してきた奇抜な発想が僕たちには出来なくってここ数年ヒット商品を出してないんだ…」
雪ノ下「そう…」
戸塚「八幡がまた少しだけでも力を貸してくれたら…」
雪ノ下「…」
戸塚「ご、ごめんね!雪ノ下さんに愚痴っても仕方ないよね」
雪ノ下「いえ、それはいいのだけれど」
戸塚「よし、僕も頑張らなくっちゃ!頑張ってね、雪ノ下さん」
雪ノ下(奇抜な発想…ね…)
雪ノ下(おそらく彼はただ需要を理解しているだけ、ぼっちの立場に正確に立てているだけ…)
雪ノ下(そしてそれは私にもきっと出来る)
雪ノ下(奉仕部の活動で抱いてきた比企谷くんへの親近感)
雪ノ下(…私と彼はどこか似ている)
雪ノ下「っ」
雪ノ下(私はただの会計、そこまで口を出す資格はないわ)
雪ノ下(今はただ与えられた仕事に集中しましょう)
~ 昼休み ~
雪ノ下「Bセットを一つお願いします」
おばちゃん「あいよー」
小町「席ご一緒してもいいですかー?」
雪ノ下「小町さん…ええ、どうぞ」
小町「お兄ちゃんに一回でも会いました?」
雪ノ下「ぶっ!!ゴホッ!ゴホッ!」
小町「雪乃さん!?」
雪ノ下「だ、大丈夫…いえ、一度も会っていないのだけれど」
小町「お兄ちゃんもちょーっとくらい顔出しにきてくれてもいいんですけどねー」
雪ノ下「そうかしら、いてもいなくても問題ないと思うのだけれど」
小町「えへへ、小町は嬉しいですけどね」
雪ノ下「…」
社員A「キャー!キャー!」
雪ノ下「?」
ゆきのんマジエリート(事務職)バイトリーダー
社員B「かっこいいー!」
社員C「わ、私初めてみたかも!」
雪ノ下「みんなして窓の外を見ていったいどうしたのかしら」
小町「あー、きっとあれですねー」
小町「たぶんこっちの窓から見れますよ!」
雪ノ下「…?」ヒョイ
雪ノ下「!!」
雪ノ下「あ、あれは…葉山くんかしら」
小町「そうですよ!あの葉山財閥の葉山隼人ですね」
小町「一世代で財閥を築きあげたとかなんとか…うーん、よくわかんないです」
雪ノ下「どうしてここの中庭に?」
小町「葉山財閥はここの大手取引先の一つらしいです、中庭にいるのはお兄ちゃんが『葉山に客室は勿体ない』とかいう意地悪らしいですね」
雪ノ下「…相変わらず捻くれているのね」
葉山は取捨選択のセンスに難があるから経営より営業広報向きだわな
小町「せっかくだし挨拶に行きましょうよ!」グイッ
雪ノ下「ちょ…小町さん!」
【 中庭 】
葉山「…」
社員たち「「「「キャー!キャー!」」」」
小町「うへー、すっごい人気ですね」
雪ノ下「はぁ…はぁ…急に走らないでちょうだい…」
小町「うーん、これじゃあ挨拶にいけないですねー」
雪ノ下「はぁ…問題ないわ、葉山くんは私のことを覚えてもいないでしょうし」
小町「え、そうなんですか?」
雪ノ下「ええ、特に関わりもなかったわ」
葉山「…!」チラッ
小町「こっちに歩いてきてますけど」
>>250
葉山「サウジアラビアにあることわざにはこんなのがあります」
リーガルハイやってた時に、ゆとり王子を見ると葉山を連想して仕方がなかったわ
八幡「だって、絆があるからァ!!」
葉山「ごめんね、ちょっと通してもらえるかな」ニコッ
社員たち「「「キャー!」」」
葉山「もしかして、雪ノ下さん?」
雪ノ下「…久しぶりね、葉山くん」
葉山「驚いたよ、君がここにいたなんて知らなかったな」
雪ノ下「私も葉山くんがこんなに立派になっていたなんて知らなかったわ」
葉山「はは、こうなれたのは僕の力というわけでもないんだけどね」
雪ノ下「…?」
葉山「小町さんもこんにちは」
小町「どもどもー、いつも兄がお世話になっております~」
葉山「…お世話になっているのはどちらなんだろうな」ボソッ
社員D「あれ、あっちから誰か来た」
社員E「えー?誰あれー?」
葉山「おっと、どうやら来たみたいだね、雪ノ下さん、また今度ゆっくりお茶でも」ニコッ
雪ノ下「ええ、楽しみにしておくわ」
「よう、待たせて悪かったな」
雪ノ下「っ!!」ビクッ
小町「あ、お兄ちゃん」
葉山「やあ、ヒキタニくん」
葉山「相変わらず中には入れてくれないんだね」
八幡「あぁ、そっちのほうが社員が喜ぶんでな、パンダになってみるのも悪くないだろ?高校のときみたいに」
葉山「はは、褒め言葉と受け取っておくよ」
八幡「…お前とこんな風に肩を並べる日が来るとはな」
葉山「想像もできなかったというのかい?僕はいつかこうなると思っていたよ、あの夏休みのキャンプからね」
小町「キャンプってあのときかなー?って雪乃さん!?なんで隠れてるんですか!?」
雪ノ下「い、いえ…少しお腹が痛くなってしまって…」コソコソ
小町「大丈夫ですか?」
雪ノ下「ええ、少しお手洗いに…」
??「ふーん、また逃げるんだ」
雪ノ下「…姉さん」ギリッ
陽乃「久しぶりね、雪乃ちゃん、てっきりもうどこかで野垂れ死んでしまってると思っちゃった♪」
雪ノ下「なぜ、姉さんがここに?」
陽乃「やーん、雪乃ちゃんこわーい!せっかくの再開だっていうのにお姉ちゃん困っちゃーう」
雪ノ下「いいから答えて!」
陽乃「はぁ…どうして私がここにいるかって?そんなことも分からないほど落ちぶれてしまったのね」
陽乃「ま、無理もないかー、雪乃ちゃんは散々逃げてきたもんね!私たちから」
雪ノ下「…っ」
陽乃「特別に答え合わせしてあげる、こういうことよ」
陽乃「隼人くーん!」
八幡「げっ…」
葉山「陽乃さん、車で待っていてと言ったのに…」
陽乃「えー、私も比企谷くんに会いたかったんだもーん」
陽乃「比企谷くんやっはろー!」
八幡「相変わらずそのバカっぽい挨拶使ってるんすね」
陽乃「あら?比企谷くんの会社でも流行ってるって聞いたけど?」
八幡「おのれ由比ケ浜…っ!」
葉山「そういえば結衣はどこにいるんだ?」
八幡「あぁ、たぶんそろそろ―――」
由比ケ浜「ヒッキー、もうすぐ時間だよー!」
八幡「契約はさっき話した通りでいいだろ、すまんがもう行くな」
葉山「わかった、また来期にくるよ」
由比ケ浜「ごめんね隼人くん、ほら、ヒッキー急いで!」
八幡「はいはい」
陽乃「バイバイ、比企谷くーん」
葉山「じゃあ僕たちも帰ろうか」
陽乃「私ちょっと用事あるから先に戻ってて」
葉山「?」
陽乃「さてと、雪乃ちゃん?ちょっとは理解できた?」
雪乃「…いったい何が言いたいのかしら」
陽乃「あら、何も知らない雪乃ちゃんに現状をちょっとでも見せてあげたかったんだけど失敗だったかな?」
陽乃「私は今、葉山陽乃って名前なの」
雪乃「っ!」
陽乃「こんなことも知らないものね、何も知らない雪乃ちゃんは」
陽乃「それでガハマちゃんは今、比企谷くんの美人秘書」
陽乃「これも知らなかった?何も知らない雪乃ちゃん?」
雪乃「…」
陽乃「ふふ、雪乃ちゃんはガハマちゃんからも、比企谷くんからも逃げてきたものね」クスクス
小町「雪乃さん…」
陽乃「今どんな気持ちなのかしら雪乃ちゃん?自分だけは過去に置き去りにされてみんなは前に進んでいる」
陽乃「ふふふ、もし雪乃ちゃんが比企谷くんから逃げなければ」
雪乃「やめて…」
陽乃「今頃比企谷くんの隣にいたのはガハマちゃんじゃなくて雪乃ちゃんだったかもしれないのにね」クスクス
雪乃「っ!!」ダッ
陽乃「…あーあ、また逃げちゃった」
小町「…どうしてこんな酷いことするんですか?」ギロッ
陽乃「酷いこと?ふふ、小町ちゃんもまだ若くて幼いのね」
小町「?」
陽乃「小町ちゃんも後数年経てば分かるかもねー♪」
陽乃「まったねー♪」
陽乃『比企谷くんの隣にいたのは雪乃ちゃんだったかもしれないのにね』クスクス
雪乃「っ」ガタッ
雪乃「はぁ…はぁ…」
戸塚「ど、どうしたの雪ノ下さん」
雪乃「…いえ、なんでもないわ」
三浦「…具合悪いなら迷惑だから帰れし」
雪乃「大丈夫よ、問題ないわ」
戸部「でもマジ顔色悪くねー?つーか帰った方がいいっしょー?」
雪乃「問題ないと言っているでしょう!」
\ ・・・ /
雪乃「…ごめんなさい、少し熱くなってしまったわ」
小町「雪乃さん…」
【 雪ノ下宅 】
ガチャ
雪ノ下「…」
陽乃『何も知らない雪乃ちゃん』クスクス
雪ノ下「何も知らない…」
雪ノ下「そうね、姉さんの言う通りだわ…」
雪ノ下「疲れた…もう寝ようかしら…」ボスッ
prrrrrrrrrrrrr
雪ノ下(着信…)
雪ノ下(またあの番号からだわ…)
雪ノ下(着信拒否にし忘れてたのかしら、もう一度だけ…)
雪ノ下「もしもし、どちら様でしょうか」ピッ
??『…』
雪ノ下「いたずら電話でしたら迷惑なのでやめてください」
??『…』
雪ノ下「はぁ…」
??『…来週の金曜、待ってる』ピッ
雪ノ下「っ!?」
雪ノ下(今の声…忘れもしない…)
雪ノ下「比企谷…くん…」
~ 翌日 ~
雪ノ下「おはようございます」
戸塚「あ、おはよう雪ノ下さん」
雪ノ下「あの、戸塚さん」
戸塚「ん?どうしたの?」
雪ノ下「これを…」スッ
戸塚「なになにー?えっと…玩具の企画書?」
雪ノ下「ええ、ここまでするべきかどうか迷ったのだけれど…」
三浦「ふーん、あーしにも見せてよ」
海老名「これ雪ノ下さん一人で作ったの?すごい!」
材木座「ふむぅ…こ、これは…!!」
戸部「つーかこれマジアレじゃねー?」
小町「なんだかお兄ちゃんみたいな企画書ですねー」
雪ノ下「や、やっぱりここまでするべきではなかったわ、返してちょうだい」
戸塚「はちまん…」
雪ノ下「戸塚さん?」
戸塚「…うん、これすっごく良いよ!みんなで少し手直ししたらすぐ開発部に送ろう!」
雪ノ下「そ、そうかしら」
小町「でも雪乃さん、よくこんなお兄ちゃんみたいなアイデア出ましたねー!」
雪ノ下「…私と彼は似ているから」ボソッ
小町「案外お兄ちゃんと雪乃さんお似合いなんじゃないですか?」ニヤニヤ
雪ノ下「冗談でもやめてちょうだい、反吐が出るわ」
三浦「すぐちょーしに乗んのやめろし」
雪ノ下「あら?どこかで犬が吠えているようね」
三浦「あ?」
雪ノ下「ふっ」
三浦「…まぁそのほうがあんたらしーわ」
戸塚「やっとこれから忙しくなりそうだね、みんな気合い入れよー!」
材木座「ぬぬ、ここはこうしたほうがよいのでは?」
戸部「それいいじゃーん、材木座くんマジ天才じゃねー?」
海老名「ぐ腐腐腐腐腐、ざいとべ?とべざい?どっちも美味しそう」ジュルル
三浦「お前も仕事しろし」スパーン
戸塚「雪ノ下さん、ありがとう」
雪ノ下「いえ、私は…」
戸塚「ううん、こんな風に活発になってるの八幡がいたとき以来だよ」
戸塚「雪ノ下さんのおかげだね!」
雪ノ下「そう、お役に立ててよかったわ」
雪ノ下「その…来週の金曜日なんだけれど」
戸塚「うん?」
雪ノ下「お休みをいただけないかしら」
戸塚「来週の金曜日?どうしたの?」
雪ノ下「約束があって…」
雪ノ下(約束…なのかしら…場所も時間も聞かされていないのだけれど…)
戸塚「うん、全然大丈夫だよ!そういえば来週の金曜日って…」
戸塚「確か総武高校の卒業式だよね!」
雪ノ下「っ!」
戸塚「懐かしいなー、僕八幡に抱きついたところ写真とられちゃって―――」
雪ノ下(総武高校の卒業式…)
雪ノ下(彼はあのときのことを覚えて…)
雪ノ下(もし、そうだとしたら私は…)
戸塚「雪ノ下さん?」
雪ノ下「ご、ごめんなさい、考え事をしてたわ」
戸塚「いいよ!とにかく来週の金曜日は大丈夫!」
雪ノ下「ありがとう、戸塚さん」
【 雪ノ下宅 】
ガチャ
雪ノ下「ただいま」
雪ノ下「…シャワーを浴びてもう寝ましょう」
雪ノ下(今日は…電話はこないわね…)
雪ノ下(来週の金曜日…総武高校の卒業式…)
雪ノ下(比企谷コーポレーション…)
雪ノ下(もう、逃げない…)
雪ノ下(私の答えは…)
~ 金曜日 ~
【 総武高校 】
雪ノ下「…」
??「雪ノ下、こっちだ」コソコソ
雪ノ下「平塚先生…」
平塚「元気にしていたか?雪ノ下」
雪ノ下「ええ、平塚先生もお変わりないようで」
平塚「まったく…お前もあいつも、本来なら部外者を卒業式に入れるわけにはいかないんだがな」
雪ノ下(やっぱり彼も来ているのね…)
平塚「ま、あそこなら問題ないだろう」
平塚「…残念だが今はもう誰も使っていないからな」
雪ノ下「やはり奉仕部は…」
平塚「あぁ、比企谷小町の代で最後だ」
雪ノ下「そうですか…」
平塚「そう病むな、私がいる限り奉仕部の歴史は失われたりはせんさ」
雪ノ下「平塚先生、本当にありがとうございました」
平塚「…もう行ってやれ、あいつも待ちくたびれていることだろう」
雪ノ下「失礼します」
平塚「それにしてもあいつがなぁ…」
平塚「奉仕部に連れて行ったときはどうなるかとヒヤヒヤしたもんだが…」
平塚「ふふ、どうだ?私の目に狂いはなかっただろう?なぁ陽乃」
陽乃「気づいちゃってました?」コソコソ
平塚「私を見くびるなよ、お前が大好きな妹のために駆けつけないわけがないだろう」
陽乃「静ちゃんには敵わないなー、結婚は私が先でしたけど♪」
平塚「ぐっ…貴様ぁ…!」
陽乃「ふふふ、雪乃ちゃん逃げなかったね、えらいえらい」
平塚「ふん、このシスコンめ」
【 奉仕部 】
雪ノ下「…」
ガラッ
雪ノ下「こんにちは」
八幡「…よう」
雪ノ下「あら、誰かと思えばヒキガエルくんかしら」
八幡「おい、社内ですれ違い様にそう呟かれたトラウマが蘇っちゃうだろうが」
雪ノ下「…どれだけ人望のない社長なのかしら」
八幡「むしろ社員にあだ名で呼ばれるとか人望がありすぎる証拠だな」
雪ノ下「はぁ…再開だというのに…」
八幡「そうだな」
雪ノ下「…」
八幡「…いきなり黙るなよ」
八幡「雪ノ下…」
雪ノ下「なにかしら、私は今、この場所を懐かしみたいのだけれど」
八幡「すぐ終わる…いや…」
八幡「終わらそう」
雪ノ下「…」
八幡「俺は、お前が言うように自己犠牲でしか問題を解決できないような男だった」
八幡「でも…今は違う…」
八幡「今はもう自分というカードを切らなきゃ問題を解決できないほど非力だった人間じゃない自覚はある」
八幡「けど、今でもまだ捻くれていて、人間不信で、シスコンで、目が腐っているような男だ」
八幡「そんな俺とでもよければ…」
「俺と付き合ってください」
八幡「…」
雪ノ下「はぁ…」
「ごめんなさい、それは無理」
八幡「っ」
八幡「…そうか」
雪ノ下「ええ」
雪ノ下「比企谷くん…」
八幡「なんだよ、俺は今一人で消滅したい気分なんだが」
雪ノ下「すぐ終わるわ」
雪ノ下「私は、姉さんが言うように雪ノ下家から逃げて、由比ケ浜さんから逃げて」
雪ノ下「あなたからも逃げ回っていたような女よ」
雪ノ下「臆病で、ワガママで、自分の価値観を押し付けるような女よ」
雪ノ下「けれど、もし私が…あなたに追いつくことができたなら…」
雪ノ下「そのときは私と――――」
バンッ
\ やっはろー! /
由比ケ浜「えへへ、来ちゃった!」
雪ノ下「由比ケ浜…さん…」
八幡「はぁ…お前はなんつー格好してんだ」
由比ケ浜「え?というかなんでヒッキーとゆきのんは制服きてこなかったの!?」
八幡「普通着てこねえだろ…」
雪ノ下「…」
由比ケ浜「ゆきのん…邪魔しちゃってごめんね」
由比ケ浜「私たちの卒業式の日、私ね、本当はヒッキーの告白をドアの前で聞いてたんだ」
由比ケ浜「だからいても立ってもいられなくなってこんなふうに邪魔…しちゃったんだ…」
八幡「由比ケ浜…」
由比ケ浜「本当にごめんなさい」
雪ノ下「頭を上げてちょうだい、由比ケ浜さん」
由比ケ浜「ゆきのん…」
雪ノ下「私たちがすれ違ってしまったのはあなたのせいではないわ」
雪ノ下「最初から間違っていたのよ…私たちは」
由比ケ浜「ゆきのん、私はもう邪魔しないよ」
由比ケ浜「だからもう二人がすれ違うのは見たくないな」
雪ノ下「…昔の私は昔の比企谷くんが好きだった」
八幡「変わる必要がなかったのに無駄に頑張っちまったんだな俺は」
雪ノ下「無駄なんかじゃないわ、今の私は今のあなたが好き」
雪ノ下「私のためにこんなに頑張ってくれたあなたが大好きよ」
雪ノ下「私と付き合ってください」
八幡「雪ノ下、よ、よよよよろしくおねぎゃいしまひゅ」
由比ケ浜「うわ、そこで噛むとかヒッキーきも…」
雪ノ下「…やっぱりやめておこうかしら」
八幡「俺だって緊張してんだよ…」
由比ケ浜「ふふ、私はもう帰るね!」
由比ケ浜「ゆきのんもヒッキーもおめでとう、また今度一緒に遊ぼうね!」
由比ケ浜「ま、またね!」グスッ
ガラッ
八幡「まぁその…どんなになっても俺の好きな雪ノ下雪乃は雪ノ下雪乃だから」
八幡「お前も変わらなくていいんだよ」
雪ノ下「そうかしら…」
八幡「あぁ、俺に追いつく必要なんかねーよ」
雪ノ下「そう…」
八幡(これ、良い雰囲気だよね?ここアレする流れだよね?)
八幡「」ンー
雪ノ下「…何故目を瞑って近づいてくるのかしら、気持ち悪いからやめてほしいのだけれど」
八幡「」
雪ノ下「ところで比企谷くん」
八幡「ひゃ、ひゃい」
雪ノ下「あなたの会社について色々調べたのだけれどまず人事部をもっとしっかりさせたほうが良いと思うのだけれど」
雪ノ下「私が言うのも変だけれどハ◯ーワークで募集した人を面接もなしに雇用して会計を任せるなんてあり得ないわ」
八幡「えっと、雪ノ下…?」
雪ノ下「それにお金の管理も甘すぎるわね、無駄な経費が全体の5%はあるわ」
雪ノ下「どうしてこれであれだけ大きな会社に成長したのか不思議で仕方ないのだけれど」
雪ノ下「とりあえずこれだけは言えるわね」
雪ノ下「やはりあなたの会社経営はまちがっている。」
~ おわり ~
途中でマジで札幌になりそうだった
本当はいろはすとか出したかったけど眠気が限界
他のSSは大志「小町さんを僕にください!」八幡「面接を始める」しか書いたことない
乙
俺ガイルSS界の沖縄とも言うべき作品だった
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