P「スタンフォード監獄実験?」(716)
社長「まあちょっとした企画なんだがね! はっはっは!」
P「……社長、実験の内容とか結果わかって言ってます?」
社長「あぁ、もちろんだとも! しかしあそこまで粘るつもりはないよキミぃ!」
P(絶対この人面白がってるし……大丈夫か……?)
P「……アイドル達に聞いてみてからでいいですよね?」
社長「その必要はないぞ! お互いに警察ごっこをやると言ったら喜んで承諾してくれた!」
社長「それにしっかり親御さんの許可も取ってある。もちろん映像化する予定だ!」
P「はぁ……」
社長「君にはとりあえず、始めるまでの配役決め、それと総司令官。いざという時の判断を任せようと思う」
P「いいんですか?」
社長「あぁ、でも序盤は私の意見を取り入れてもらうかもしれんがね! はっはっは!」
P(結局やりたい放題か……)
小鳥「説明しましょう! スタンフォード監獄実験とは! 年齢や性別、職業等を無差別に選んだ”普通の”人たちを集め2つに分類」
小鳥「片方を囚人、片方を看守として生活させ、その様子を見るというもの! でも今からやる実験においてはそれぞれ面識もある」
小鳥「つまり今回の場合ではお互いに役になりきったとき、どこまで役に入り込むのか! そこが見どころですねっ!」
――
P「断りきれずにとりあえず引き受けたものの……」
P「あの実験ってあれだよな……本当に囚人のかっこうをさせたり……」
P「い、いや! あれは見知らぬ相手だって言うのもあった!」
P「今回は面識もあるし、役になりきるって言ったって限界はある……はずだ」
P「でもまあ、やるからにはある程度本気でやってもらわないとなぁ」
P「……流石にアブなくなったら止めればいいし。よし」
P「というわけでお前達はいいんだな?」
春香「当たり前ですよ! 面白そうですし!」
伊織「まあ私はどう考えても看守だろうけど」
やよい「警察さんごっこですもんね、面白そうです!」
真「僕も看守かな~でも囚人をやる人に悪い気が……」
千早「私はそういうの興味あるわ。どうせなら囚人でも」
美希「ミキも大変なのやだから、シュージンでいいの」
P「今からそれを決める、完全なクジだ」
小鳥「って私たちも参加するんですか!?」
律子「まったくもう、どうして私まで……」
P「いや、保護者みたいなポジションでお願いしますよ」
あずさ「でもやっぱり囚人とかって怖いわよねぇ……」
貴音「なんとも……面妖な企画ですね」
響「自分は結構楽しみだぞー!」
亜美「亜美も! ふっふっふ、シュージンのみんなの何やらせちゃおうかなー!」
真美「真美はシュウジンで必死に抵抗する役とかやりたい!」
P「よし、それじゃクジを引いてもらうぞ」
>>9-15のキャラが看守
残りは囚人 被ったらその数だけ下
kskst
P「よし、全員の役が決まったぞ」
P「看守役はやよい、春香、響、律子、雪歩、伊織、真の7人」
P「囚人役は亜美、真美、千早、美希、あずささん、貴音、音無さんの7人で」
春香「看守か~」
伊織「ま、当然よね」
小鳥「囚人……」
やよい「警察役の方ですか? 頑張ります!」
律子「なんていうか、ある程度偏ったわね」
亜美「亜美と真美が一緒の囚人って、双子で何かしちゃったみたいな!」
真美「あーそんな感じ!? ずっと端っこでブツブツつぶやいてよーよ!」
P「……各自盛り上がってるところ悪いが、説明するぞ」
P「とりあえず最長で2週間だ。それまではある程度様子を見ながら期間を決める」
P「囚人と看守はお互いになりきるんだ。別に罪を犯したことを嘆かなくともいいし、看守に抵抗してもいいが」
P「セットはしっかり用意してある。そこで最低でもそうだな……3日は暮らしてもらうことになると思う」
P「万が一何かあったら、俺も監視しているから安心しろ。それまではお互いに自分が看守と囚人であることを忘れるな」
亜美「でもさ、それってちょっとずるくない?」
P「え?」
真美「兄ちゃんもこれ、混ざっちゃえば?」
春香「あ、それいいかも! プロデューサーさんもぜひ!」
P「い、いや……でも俺監視役だし……」
社長「はっはっは、構わないよ!」
P「社長……」
社長「ただ、囚人の方は生活範囲が限られている。だから君は看守になるといい。そうすれば監視もできないこともないだろう」
P「ですが……」
美希「いいんじゃない? ミキもハニーがいてくれた方が面白いって思うな!」
小鳥「プ、プロデューサーさんから……お叱りを受ける……ふふっ」
P「……もうどうなっても知りませんよ」
社長「私が総指揮をとろう! それでは君たち、頑張ってくれたまえ!」
――
―
看守・控室
春香「でも、看守って何をすればいいんだろう?」
伊織「映画とかを思い出すと、暴れる囚人を抑え込んだり、ひどければ罰を与えたり、というカンジかしら」
雪歩「ば、罰って叩いたりするのかな……」
真「いや例えばの話だよきっと。でも、あっちがやる気なかったら結構普通に生活できちゃうんじゃない?」
響「っていうことは、少し演技しなきゃダメってことか?」
律子「もちろん演技よ演技。でも、そう考えると面白そうね」
伊織「何よ、律子も乗り気なんじゃない」
律子「だ、だってどうせやるならちゃんとやりたいじゃない!」
やよい「えへへ、どんな感じなんだろう? し、しずかにしなさーい! みたいな感じでしょうか?」
春香「しろ! って感じでいいと思うよ? でも本当楽しそう!」
雪歩「私はみんなに任せるよ……」
真「大丈夫だって雪歩! 心配しなくても、みんな知ってる人なんだし!」
P(……俺は心配しすぎなんだろうか)
囚人・控室
亜美「うわー! めっちゃリアル!」
真美「ここで生活するんだ。意外とやばいかも」
千早「……というか、結構細部まで作られていて、私たち本当に囚人のような生活になるのね」
美希「美希は眠れればなんでもいいよ? でも、寒いのは嫌かな」
あずさ「大丈夫かしら……」
貴音「あまり心配しない方がよいでしょう。これから起こることは……きっと想像以上です」
小鳥「私も看守がよかったなぁ……」
亜美「ピヨちゃんびびってるの=?」
小鳥「え? び、ビビってないわよ!」
真美「千早お姉ちゃん、大丈夫?」
千早「え? だ、大丈夫よ」
美希「着替えたら寝ていいのかな?」
貴音「この後一旦集合することになっていますよ」
社長「さて着替えてもらったところで君たちには刑務所に入ってもらう」
社長「そして看守役の8人は囚人を監視することだ」
社長「スケジュール等はそうだね、看守に伝えるとしよう。検討を祈るよ!」
――
伊織「それで、最初はどうするの?」
P「別に全員行かなくてもいい。そうだな3人監獄に行って見回りをしてくれ」
春香「あ、それじゃ私行きますね! 囚人さんが悪いことしてないかですよね!」
真「そ、それじゃ僕も!」
響「そしたら自分も行くぞ!」
P「よし、それじゃ頼んだぞ。あぁ、一応俺たち対等だからな、敬語はなしでもいい」
春香「いやいや、無理ですって!」
律子「まあ、もう定着しちゃってますもんね……」
真「よーし、頑張るぞー!」
―1日目 15:30―
春香「うわぁ……結構すごい、リアルだね」
真「空気がヒンヤリしてる……僕たちのこの服、結構あったかいからいいけどね」
響「あ、あそこか?」
亜美「出せー! こっから出せー!」ガンガン
真美「あ、おい看守! どうせうまいもの食ってんだろ! 早く出せや!」
美希「んぅ……うるさいの……」
春香「あはは、亜美ったら……こ、コホン。 うるさいですよ囚人! 少しおとなしくしなさい!」
真「そ、そうだ! あんまりうるさいと刑務所に……ってち、違うなぁ」
亜美「もー! せっかくやってるんだからもっとまじめにやってよー!」
春香「ご、ごめんごめん。千早ちゃん、どうしたの?」
千早「なんでもないのよ、ただこの服を着たらなんていうか、何もしたくなくなって」
響「うーん、イマイチ雰囲気がわかんないなー」
真「でも、これくらいじゃない? っていうか牢屋の中ほとんど何もないんだね」
亜美「こんな汚い服どっから持ってきたんだろねー」
真美「流石にバッチィよね」
貴音「余り雑談していては意味がありませんよ亜美、真美」
亜美「あっ、そうだった! ……でも、ずっと牢屋をたたいててもさー」
春香「あはは、そうだよねー。特に何もないし、これ一旦戻って交代しよっか?」
響「うん、そうするさー」
真「それじゃ、また来ますねあずささん」
あずさ「あ、えぇ、そっちの皆も気を付けてね~」
小鳥「看守の真ちゃんかっこいいなぁ……」
亜美「……んーこないね。でも来ても何もすることないし?」
真美「はるるんたちがいないともっと暇じゃーん」
千早「おなかすいたわよね。今何時なのかしら」
貴音「時計もないというのはなかなか辛いものですね」
小鳥「次春香ちゃんたちが来たら頼むしかないわ!」
17:30―
伊織「どう、そっちは?」
亜美「ぜーんぜん。暇だしおなかすいたしー」
千早「そうそう水瀬さん。私たちの夕食はどうなっているか聞いてないかしら」
伊織「特に聞いてないけど、時間はまだ6時前よ?」
真美「意外と速いね。何もしないのにお腹が空くって変なのー」
あずさ「でも、ずっとこんなところにいたら食べても太っちゃうわねえ」
美希「それは嫌なの!」
亜美「わっ! ミキミキ起きた!」
美希「ミキもおなかすいた。おにぎりが食べたいってハニーに伝えて欲しいの!」
やよい「わかりました!」
律子「でも、囚人さんには好きなものを選ぶケンリなんてないかもね」
真美「むむむ……鬼軍曹の次は鬼看守と来ましたか……」
亜美「でも似合ってるよりっちゃん!」
律子「どういう意味よっ!」
18:30―
P「夕飯だ」
亜美「わーい! ……って何これ」
真美「お粥……?」
P「……囚人の飯だ、これくらいが妥当だろう」
千早「いや、これはいくらなんでも……」
美希「ちょっとハニー! 流石にイタズラが過ぎるって思うな!」
P「……俺たちのところにも、材料がこれしか届かないんだ。でも、量はあるから心配しないでくれ」
あずさ「お粥なんていつ以来かしら……」
貴音「……味がありませんが、少々冷えた体にはありがたいですね」
亜美「でもまずいよー! ホットケーキが食べたいよー!」
真美「グラタンにハンバーグ、オムライスが食べたいよー!!」
貴音「亜美、真美?」
亜美「お、お姫ちん……そ、そんな顔でみないで? 亜美たちが悪かったってば……」
小鳥「なんていうか、結構ガチなのね……」
P「後で食器を下げに来ます」
20:00―
亜美「……暇すぎー」
千早「普通の刑務所だと、運動する時間やあとは働かされたりするわ」
真美「それもメンドイけど、何もしないよりはマシっしょー……」
貴音「……やはり少々物足りない」
美希「もー、貴音言わないで欲しいの!」
貴音「あぁ、面目ありません美希」
美希「むー……こんなのいつまで続くの! ミキもう嫌だよ!」
小鳥「さ、流石に早すぎるわよ美希ちゃん……」
亜美「それじゃ、ピヨちゃん何かやってー」
小鳥「そ、そんな無茶な!」
真美「はい、3,2,1どうぞ!」
小鳥「い、いや……えっと、ぴ、ぴよー!!」
亜美「……うん、ごめんね」
小鳥「なんなのよこれー!!」
真美「……」
亜美「どしたの、真美?」
真美「……トイレ行きたいんだけどさ」
千早「それがあったわね……うっかりしてたわ」
あずさ「でも、看守役の誰かが来てくれないと……」
真美「うぅ……」
伊織「あら? どうかしたの?」
亜美「流石いおりんナイスタイミング! あのね、トイレに行きたいんだって」
伊織「あ、そういう事ね。でも、どこにあるのかしら……ちょっと聞いてくるわね」
あずさ「なるべく早く、お願いね」
伊織「……その、牢獄の中のトイレを使えって」
亜美「え? ……も、もしかしてこれ?」
真美「う、嘘……だってこれ、穴が開いてるだけじゃん……」
伊織「私もプロデューサーに文句を言ったわ。でも、囚人だからって……流石にやりすぎなんじゃないの」
千早「ちょっとプロデューサーを呼んでください。こればっかりは私、譲れません」
伊織「ダメ、私も相当言ったの。どっちにしても、外にある囚人用のトイレは似たようなものよ……」
亜美「真美……」
真美「……みんなごめんね? でも、もう我慢できそうにない……」
あずさ「いいのよ、きっと明日になったらプロデューサーさんもわかってくれると思うわ」
小鳥「まさかと思ったけど、ここまで徹底してるなんて……」
伊織「私だってそっちだったらと思うとゾッとする……い、いえなんでもないわ」
貴音「伊織、あまりそのようなことを口にしては」
伊織「わかってるわよ! ……頑張りなさいよね」
真美「……」
亜美「大丈夫、亜美達だってトイレには行きたくなるし……」
千早「そこに粗雑に置かれた紙もチラシ並の質……ゴミ袋だって一つしかない……こんな、いくら実験だからって」
亜美「亜美達が、ちょっと調子に乗りすぎたのかも。リアルリアル~ってふざけてたから」
貴音「最初から考えるべきでした。そして、この様子だと……しばらく湯にも疲れない、いえ。浴びるのも……」
あずさ「……プロデューサーさん」
亜美「ミキミキも寝ちゃった……どうなっちゃうんだろ、本当」
真美「まだ、一日目だし……頑張らなきゃいけないんだろうけど……結構つらいよね」
貴音「だからこそ、皆で頑張るのです」
伊織「アンタ、それ本気なの?」
P「そうじゃなきゃこの実験の意味がないんだ」
伊織「もういい、だったら私は降りるわよ」
P「この企画には莫大な資金と時間がかかってる。お前ひとりにそれを押し付けるわけにはいかないんだ」
伊織「何よ……じゃあどうすれば」
春香「い、伊織とりあえず落ち着いて……」
P「……社長もここまで凝ってくるとはな」
高木「やぁ君たち。楽しんでいるかな?」
P「……社長、そこまで悪役に徹したいんですか?」
高木「いやいや、私はそんなつもりじゃないんだがね。見ていて結構問題があるようじゃないか、だからいくつか条件を与えよう」
伊織「……何よ」
高木「トイレについてだが、君たちが浸かっている普通の水洗。これを囚人が使う条件は、トイレ掃除だ」
雪歩「トイレ掃除……」
高木「牢屋の中のトイレも、ある程度汚れるだろう? それを綺麗にしたら一日水洗を使う権利を」
律子「そんなことをしたら、囚人内でパニックが起こります」
伊織「そ、そうよ! アンタはただ私たちを争わせたいだけなの!?」
高木「ふむ……じゃあ、この話はなかったことにしよう」
伊織「ちょっと待ちなさいよ! まだいくつか問題は……」
高木「まだ1日目が終わったばかりだ。様子を見て、それに従うかは君たち看守にかかっているからね」
春香「……社長、暴走してますよね」
真「大丈夫なのかな……美希たち」
雪歩「心配です……」
P「……一同心配している中、次の指令だが」
――
2日目 4:00――
ガンガンガンガン!!!
やよい「お、起きてください!!!」
亜美「う、うーん……」
真美「眠いよ……何……」
千早「み、耳が……」
美希「うるさいの!! まだ、まだ暗いのになんなの!!」
あずさ「ん……あ、あれ? やよいちゃん?」
やよい「うー……ごめんなさい。これもお仕事なんです。さぁさぁ、みなさん外に出ましょう」
亜美「えっ!? 外に出られるの!?」
小鳥「で、でも寒い……これ、どうにかならないのかしら……」
やよい「えっと……この時間は水を好きな風に使っていい時間です」
貴音「……やよい、今なんと」
やよい「うぅ……こ、この水で身体や服を洗っていい……って」
亜美「な、何いってるのやよいっち……」
真美「だって……わっ! つ、冷たい……これ、水だよ?」
やよい「目も覚めて、いっせきにちょう……ってプロデューサーが……すみません」
小鳥「やよいちゃんはただやらされてるだけだもの、責められないけれど」
千早「こんなの……風邪を引きますよ」
美希「……ミキ、もう耐えられないの!!」
亜美「あっ、ミキミキ!!」
千早「それは逃げたくもなるけど……」
貴音「逃げれば、また罰が課せられそうですね……」
やよい「えっと、一応時間が決まってるので……」
亜美「……亜美はいいや。まだ、なんとかなると思うし」
真美「……真美も」
小鳥「とりあえずいいわよね、もう」
やよい「えっと、それじゃ戻って朝ごはんです」
やよい「こ、これいいんですか?」
P「あぁ。社長からの報酬だ」
やよい「で、でも……」
P「真と響はこれからの仕事で食べられるが……伊織」
伊織「いるわけないでしょ……バカじゃないの。そんなご飯ね、家に帰ればいくらでも食べられるの」
律子「私も、こんなこと……プロデューサーだって変だと思わないんですか?」
P「あまり声を荒げない方がいい……この企画、普通じゃないのはもうわかりきってることなんだ」
伊織「だからってこんなの……」
真「ごめんねミキ……」
美希「やだよ……もう、普通の生活をしたい……」
響「……プロデューサー、美希を連れてきたぞ」
P「……美希」
美希「はにぃ……もう、もうミキ無理だよ……」
P「……独房に案内する」
春香「朝ごはんです」
亜美「……食パン2枚」
真美「ちょ、ちょっとはるるん、真美のは?」
春香「……皆で2枚」
千早「ちょっと春香ふざけないで。いくら、いくらプロデューサーの話だからってこんなの……ひどいと思わない?」
春香「……時間は決められてるので、早く」
貴音「春香……?」
あずさ「ど、どうしちゃったの春香ちゃん?」
千早「春香! ねぇ春香!!」
春香「うるさいっ!!」
千早「っ!!」
春香「……あなたたちは、囚人だということ、再認識してください。いう事を聞かなければ、美希のようになりますよ」
小鳥「み、美希ちゃん……? う、嘘!?」
亜美「ちょ、ちょっと冗談だよねはるるん!」
春香「……」
春香「美希は今、一人独房に居ます」
真美「どく、ぼう……?」
貴音「一人用の監獄でしょう」
あずさ「そんな……」
春香「これから囚人の皆さんには、お仕事をしてもらいます。頑張った人には、お昼が少し増えるかもしれません」
亜美「……悔しいけど、頑張るしかないじゃん」
真美「そだね……」
千早「……春香」
春香「……また来るね、千早ちゃん」
千早「春香!!」
千早「……」
小鳥「ち、千早ちゃん……これも、演技よきっと……ね?」
千早「……私たちは、囚人の格好をしていないとダメなんですか」
貴音「春香のあの表情から鑑みるに、ある程度役になりきればそれなりの報酬が得られる……ということ」
春香「……これでいいんですか」
P「そうだな」
春香「……辛いですね、これ」
P「まだお前は看守になりきれてないだけだ」
春香「……」
P「千早を怒鳴った声、聞こえたぞ。あれが本来あるべき姿なんだ」
春香「……私は」
P「とりあえず、朝食を食べろ。それからだ。他の看守メンバーもそれぞれ動いてる」
春香「……」
雪歩「お、お仕事ですけど……洗濯をしてもらいます」
小鳥「水回り……」
雪歩「それと、食器とかも洗ってもらいます……」
千早「……」
雪歩「時間内に終わっていれば、お昼はもう少し豪華になる……そうです……すみません」
亜美「ゆきぴょん……」
2日目 12:00―
あずさ「手がすっかり冷え切っちゃったわね……」
亜美「でも、結構頑張ったよね亜美たち」
千早「えぇ、全然体を動かしてなかったから、ちょうどよかったわ」
ガチャッ
美希「た、ただいまなの」
真美「ミキミキ! 大丈夫だった?」
美希「う、うん」
亜美「ミキミキ?」
律子「お昼よ」
貴音「お待ちしておりました……なんでしょう、これは」
律子「一人一杯、うどんよ」
亜美「こ、これだけ?」
律子「……文句があるわけ?」
真美「だって真美達頑張ったのに!! どうして!」
律子「……嫌なら、下げるわよ」
千早「律子……」
律子「後で食器を取りにくるわ。それじゃあ」
亜美「……温かくておいしい。けどさ」
真美「……こんなの……あれ? な、何か臭いしない?」
貴音「これは……らぁめん」
千早「……看守が食べているってことかしら」
あずさ「あら、美希ちゃん食べないの?」
美希「う、うん……食べたくないの……」
亜美「……なんで? おいしいよ?」
美希「おいしくても、ミキはいいの」
真美「……ミキミキ、もしかしてさ。さっき一人だったとき、何か食べたの?」
美希「え?」
亜美「そっか、だからお腹空いてないんだ……もしかして、ラーメン食べたの?」
美希「ち、違うの! ミキは何も食べてないの!!」
小鳥「美希ちゃん……」
真美「じゃあどうしてさ……真美たちは頑張って働いたのに、どうしてミキミキの分もうどんがあるの?」
美希「ミ、ミキは知らない……」
亜美「……ミキミキ」
美希「あ、亜美も真美もどうしたの? 美希は1人でただ監視されてただけなの! 信じて!」
あずさ「美希ちゃん……」
貴音「……不毛な争いはやめましょう。今は少しでも腹を満たすことが先決です」
真美「……はぁ」
亜美「ミキミキのこと……信じらんないよ……」
美希「……」
律子「……」
P「看守も囚人もある程度役がついてきたな」
春香「プロデューサーさん……あの」
P「……明日がとりあえず3日目だ」
春香「……はい」
亜美「……明日も朝早いのかな」
千早「……どうかしら」
亜美「明日も普通のご飯が食べられないのかな」
小鳥「……」
亜美「でも、明日で3日目だよね? もう、大丈夫だよね?」
あずさ「えぇ、きっと大丈夫よ」
真美「身体ベタベタするよ……」
美希「水は嫌なの……」
亜美「……」
――
P「……社長」
高木「なんだね?」
P「……それはいくらなんでも」
高木「いいのだよ、過去の実験にとらわれていては」
P「しかし、本当に……実験のようにけが人や……いえ、それは流石にないと思いますけど」
3日目 4:00―
P「さぁ起きろ」
亜美「ん……」
美希「なの……」
P「いい加減汚くなってきたな。いいのか、体あらわなくて」
亜美「……」
真美「……」
美希「……ミキ、洗う」
P「そうか。じゃ俺はあっちに行ってるとしよう」
亜美「み、ミキミキ……本気?」
美希「いやなの……でも、もう汚いのも嫌なの……」バッ
パチャッ
美希「うぁ……さ、寒い……」
真美「無理だよこんなの……だってタオルも石鹸もない……風邪引いちゃうよミキミキ」
あずさ「み、美希ちゃん、やっぱりやめておいた方が……」
春香「美希」
美希「は、春香……?」
春香「これ、ハンカチだけど無いよりはいいと思う」
亜美「は、はるるん……亜美にもそれ……」
春香「ごめんね亜美、これプロデューサーさんから」
真美「ど、どうして……やっぱりミキミキ」
美希「え? み、ミキ知らないの……」
亜美「ミキミキ……このぉ!!」
バシャッ
美希「ひゃああ! あっ、うぁ……あぁ……」
小鳥「あ、亜美ちゃん!?」
千早「ちょ、ちょっと亜美!」
亜美「はぁはぁ……なんで、なんでミキミキばっかり!!」ダッ
美希「あっ……う、さ、寒い……の」
あずさ「美希ちゃんほら、早くそれで水滴を拭いて……大丈夫、亜美ちゃんだってギリギリなのよ……」
千早「……春香、どうしてこんな……こうなること、予想できたじゃない」
P「……囚人が囚人らしくなるには、自分の立場を理解する必要がある」
あずさ「ぷ、プロデューサーさん……ま、まだ美希ちゃんの着替えが!」
P「あずささん……いえ、あずさ。アンタたちはそんな権利今更ない」
貴音「プロデューサー……」
春香「……時間が押してますから、早く着替えて戻ってください。朝食がなくなりますよ」
美希「うっ、ぐすっ……うぅ……」
あずさ「大丈夫、大丈夫だから……」スッ
貴音「……そんな状態では、あずさまで濡れてしまうのでは」
あずさ「仕方ないでしょう? このままじゃ、美希ちゃんが風邪を引いちゃうもの」
真美「朝ごはんも……結局前と同じ」
千早「……」
小鳥「千早ちゃん、大丈夫?」
千早「……もう、私たちは囚人なのね」
真「ごめんね、亜美」
亜美「ま、まこちん……ひびきんまで。何する気?」
響「……また、あれ始めるんだよね」
亜美「な、何?」
亜美「あっ……りっちゃんと、ゆきぴょん……」
真「僕たちはね。仕事をすると報酬がもらえるんだ」
亜美「え?」
真「ほら、あの二人が食べてるだろう?」
亜美「……」ゴクッ
響「悔しいけど、本当においしいんだ」
亜美「……ねぇ、あれどうやったら食べられるの?」
真「それは……」
亜美「もう亜美無理だもん! あれ食べられないなら、もうやめる! 絶対逃げてやるもん!」
P「それはまた、随分だな亜美」
亜美「に、兄ちゃん……」
P「美希には言ってあるが、ある条件で看守と囚人を一人交換する予定だ」
亜美「えっ!?」
P「それは、できるだけ囚人を囚人らしくさせることだ」
亜美「……どういうこと」
P「もともとこの実験はさ、見知らぬ人たちでやるものだったんだ。それでも最初は和気藹々としてた」
P「でも、徐々にお互い他人のことなんて関係なくなって……そんなの本当はダメなんだけどさ」
P「きっと社長はそれを望んでいる。俺たちがやめる最善がそれだ」
亜美「……でも、それならどうすればいいのさ」
P「美希の行動でわかっただろう? 美希みたいにすればいいんだ」
亜美「……ひいきされてるんじゃなかったんだ」
P「美希も必死なんだろうな」
亜美「兄ちゃん……最低」
P「俺だって社長に言われてるんだ。でも、今は恨まれてしかるべき看守だ」
亜美「……でも、このまま逃げるって言ったらどうするの」
P「ずっとここで一人あの生活を送ってもらってもいいんだ。実験的には問題ない」
亜美「……頑張ればいいんだね」
P「そうだな」
真「……」
亜美「……でも3日でやめるんじゃ」
P「社長の許可がこのまま降りるとは思えん……」
亜美「……」
真「……プロデューサー」
P「なんだ」
真「その……一人交換するって」
P「あぁ、この前は美希にしか言ってなかったか。社長の提案だ」
響「こっちからは誰になるの……?」
P「一番看守らしくない人。少なくとも、お前たち二人ではない……命令に従わないのが一人いるだろう」
真「……伊織」
P「まだわからないし、油断はするな。俺たちは看守なんだ、いいか?」
3日目 12:00
亜美「……ただいま」
真美「おかえり……大丈夫だった?」
亜美「ま、まあなんとか……ね」
小鳥「美希ちゃんとあずささん、寝ちゃったわね……」
貴音「風邪を引かなければよいのですが……」
亜美「……」
伊織「……お昼よ」
真美「……またこんな、もうやだ」
貴音「しかし、食べなければ……」
小鳥「何がそこまで社長を動かすのかしら……」
亜美「亜美はいらないよ」
真美「え?」
亜美「亜美、さっき食べて来ちゃった。おいしいの」
美希「……」
真美「あ、亜美……?」
亜美「一人になった瞬間、すごく優しくしてもらってさ。ハンバーグ、おいしかった……ってこれしゃべっちゃダメだった?」
貴音「……」
小鳥「亜美ちゃん……?」
真美「それ、本当なの亜美」
亜美「うん、本当」
パシッ
亜美「痛っ!」
真美「何それ! ミキミキにあんなことしといて、ひどすぎるじゃん!!」
亜美「なんで亜美が叩かれなきゃいけないのさ……」
真美「亜美が水をかけるから、風邪引いちゃったかもしれないんだよ? あずさお姉ちゃんだって……」
亜美「そんなの知らないよ……」
貴音「……亜美、それは本気なのですか」
亜美「……亜美寝るね。お腹いっぱいになっちゃったからさ」
真美「ぐすっ……ひどいよ亜美のバカ……」
3日目 15:00
春香「運動の時間ですよ」
真美「……おなか減ってあんまり動きたくないんだけど」
貴音「しかし、動かなければ体は弱ってしまいます」
千早「……行きましょう、真美」
あずさ「本当に体がおかしくなっちゃうわね……」
小鳥「亜美ちゃん、美希ちゃん?」
亜美「……・」
美希「……」
春香「二人は寝てるんですか?」
真美「……いいよ、いこ」
亜美「……ねぇミキミキ」
美希「……どうしたの亜美」
亜美「ミキミキも、狙ってるんでしょ。看守との交換」
美希「……うん、ミキはプロデューサーと話をして、これをやめさせたいの」
亜美「……でも亜美たちってひどいことしちゃったよね」
美希「うん……」
亜美「どうにかして、止められないかなぁ」
美希「きっと無理なの……プロデューサーは社長がお金をかけてる、って言ってたし」
亜美「……もうやだよこんなの」
美希「だからミキは他のみんなに今だけ怒られてもいいから、看守になるの」
亜美「……でも、それは亜美も負けないよ」
美希「……それじゃ運動しに行く?」
亜美「そだね……」
春香「運動時間は終わりです」
亜美「え……」
貴音「亜美たち、起きたのですね」
真美「……」
美希「あ、明日まで体を動かせないの……?」
春香「そうだね。時間で決まってるから」
3日目 18:00
真「夕飯だよ」
亜美「待ってました!」
真美「……」
亜美「あれ? どしたの真美……」
バシャッ
亜美「あっ……な、何するんだよ!!」
真美「亜美とミキミキはおいしいもの食べたんでしょ……」
亜美「だからって、わざわざこぼすことないでしょ! 代わりに真美のもらうから!」
真美「あげるわけないじゃん!」
亜美「こんのぉ!!」
美希「あ、亜美……真美……」
貴音「やめなさい亜美、真美」
真「あまり暴れるようなら別室へ移動してもらうよ?」
真美「別室……うんわかった。それじゃ真美は別室に行くよ」
亜美「……真美」
真美「えっと、それでまこちん。何か食べさせてくれるんでしょ?」
P「……囚人はうまくやってるみたいだな」
真美「に、兄ちゃん?」
P「残念だが、食べるものはない」
真美「ど、どうして!? 亜美とミキミキは食べてたんじゃ……」
P「そういう風に言えばお前たちが他人を信じなくなると思っただけだ」
真美「……何それ。兄ちゃんは、おかしいと思わないの?」
P「何度も聞かれているな、その質問。おかしいと思うさ。でもな、これは俺の意思じゃ変えられないんだよ」
P「囚人はできるだけ囚人の、看守は看守らしいことをして初めて社長の満足が得られるんだ」
真美「……だからってこんなの」
P「今日はここで一人で寝てもいいぞ。帰ったら袋叩きにある可能性もあるだろう」
真美「あ……」
P「……それじゃあな」
P(……極限状態においつめられると仲間でさえ裏切り、自らの安全を確保しようとする)
P(カウンセリング等が必要になってからアイドルなんて、無理ですよ社長 )
P「さて3日目も終わる。だがやはり要請は来ていない」
春香「でも、私たちは看守のままでいいんですもんね」
P「ただ、ここで一つ発表がある。もう知っている人もいるかもしれないが」
P「一人ずつ看守と囚人を交換する」
伊織「なっ!?」
律子「……それも指示ですか」
P「そうだ。あくまでも実験のリアリティを追求するために”他人”らしい状況を演出したいそうだ」
やよい「それで、誰になるんですか?」
P「それもすでに決定済みだ。亜美と伊織が交代になる」
伊織「ちょ、ちょっと待ってよ……どうして私なのよ!!」
P「最も看守らしからぬ行動を取っていた人物だ。逆にあちらは囚人らしい行動を取っていた」
伊織「だ、だからって……」
雪歩「……」
真「でも、それってやっぱり看守に居た方が楽だった、って意味でしょ?」
伊織「当たり前じゃない! あんな、あんな汚いところにいくくらいなら……」
響「でも、このままじゃいつまでたっても変わらないんでしょ?」
伊織「そ、それはそうだけど……」
春香「看守は看守らしくしなきゃ、この実験は終わらない。なら、ちょうどいいよね」
律子「春香……」
春香「どうせやるなら役になりきって、って最初に言われたことじゃないですか」
春香「確かに囚人よりは楽だけどやっぱり胸は痛むし……それでもできない人は仕方ないと思う」
伊織「……」
P「まあそういうことだ。明日の朝に交代してもらう」
やよい「伊織ちゃん……」
伊織「いいのよ……どうせ、こんな企画すぐつぶれるんだから」
雪歩「……うぅ」
真「……雪歩も気を付けて」
雪歩「えっ!?」
真「……」
雪歩「ま、真ちゃん……わ、私……」
4日目 4:00
貴音「……何人かおりませんね」
千早「亜美と真美……どうしたのかしら」
小鳥「確かにあの二人には過酷すぎたのかも……」
あずさ「あら? 真美ちゃんじゃない?」
真美「……」
美希「真美……」
真美「その……ごめんなさい」
千早「……まだなんとかなるわ。頑張りましょう」
真美「千早お姉ちゃん……」
小鳥「でも亜美ちゃんは?」
真美「え? 亜美いないの?」
貴音「……あれは」
伊織「……」
真美「い、いおりん!?」
伊織「……よろしくね」
4日目 6:00
真美「嘘……それじゃ亜美は」
千早「看守としてくるってことね……」
春香「はーい、朝ごはんですよー」
小鳥「……亜美ちゃん」
亜美「……」
真美「亜美……どうして」
亜美「早く食べないと、冷めちゃうよ?」
千早「亜美……でも、指示なんでしょう?」
亜美「……亜美は看守になりたいからいろいろしたんだ」
貴音「なんと……」
美希「……」
真美「また、また真美たちのこと……」
春香「いつまでしゃべってるのかな。食べないなら下げちゃうけど」
伊織「……春香も変わったわね」
春香「違うよ、これが看守としてあるべき姿でしょ? 伊織だって知ってるでしょ?」
亜美「いおりんだっておいしいもの食べてたんだもんね」
伊織「それは……」
千早「……美希と水瀬さん二人は普通の食事をしたことがある」
小鳥「お、落ち着いて千早ちゃん! この生活になれてるからそういう風に思うだけで……」
真美「でも、真美達より贅沢してたんだもんね……」
美希「……」
貴音「……まずは朝食をいただきましょう」
真美「亜美のバカ……」
亜美「……」
P「看守にはむかっちゃダメじゃないか真美」
真美「に、兄ちゃん?」
P「もう下げていいぞ春香。囚人に自由はないんだ」
春香「……そうですね」
真美「え、う、嘘だよね兄ちゃん……」
真美「う、う、うわああああん!! も、もうこんなのやだよおお!!」
あずさ「真美ちゃん……私も、私も辛いもの……」
貴音「……皆限界が来ていますね」
千早「当たり前じゃない……4日間まともな食事はとれず過酷な労働、体は洗えず……」
伊織「……」
千早「……その点、看守は贅沢三昧でしょう?」
伊織「な、なんで私を見るのよ」
千早「だって、水瀬さんは贅沢をしてきたのよね? 違う?」
伊織「で、でも私は看守に見合わないからこっちに送られてきたの。だから春香たちほど食べたりしてない……」
真美「でも、食べてるんだよね。いおりんはお粥とかパンとかだけで生活してなかったでしょ?」
千早「トイレは水洗なんでしょう?」
美希「……まだ服も綺麗」
伊織「な、なんなのよ……なんなのよあんたたち!!」
真美「そうやって内心真美たちのこと馬鹿にして……」
千早「囚人なんかになりたくなかったでしょう? それはそうよ、私たちだってこんな生活今すぐやめたいもの」
真美「……じゃさ、トイレ掃除はいおりんがやってね」
伊織「トイレって……嘘、これのこと……?」
千早「そうよ。朝の時間に使える共同トイレ以外はこれ」
伊織「……」
真美「臭いもすごくて、でももう慣れちゃった。だからいおりんこれ、慣れるためにさ」
伊織「い、いや……無理よ、やっぱり無理よこんなの!」
千早「無理って何? 私たちはこうやって来たの。あなたはもっともっと楽な生活をしてきたんじゃない!」
美希「……」
伊織「ちょっとプロデューサー! 出して! お願い、ここから出してよ!!」
真美「ずるいよいおりん! だったら真美だって! ねぇ兄ちゃん!」
小鳥「みんな……皆もうやめて……」
真「静かに」
真美「……」
真「あんまりうるさいと、今度はもっと辛い部屋に連れていくことになるよ?」
響「でも、本当に囚人っぽくなったんだな」
千早「貴方たちはそうやって……来なさい」
響「えっ? ち、千早……い、痛い! か、髪引っ張らないで!!」
千早「貴方たちもこっちにくればわかるの……さぁ、さぁ」
響「痛い! 痛い痛い痛い!!」
千早「そんなもんじゃないわ、私たちの痛みは……ねぇ、そうでしょ?」
あずさ「ち、千早ちゃんやめて……」
真「……!!」
ドンッ
千早「きゃっ!! い、痛っ……」
真「……囚人が看守に手をだしていいと思ってるの?」
千早「ま、真……」
真「このことはプロデューサーにも報告しておくから。いこ、響」
響「う、うぅ……あ、うん」
真美「千早お姉ちゃん……」
伊織「……」
やよい「えっと、これお昼ご飯です……」
小鳥「さっき食べられなかったからもうおなかが空いちゃって……」
真美「ピヨちゃん……真美のせいだって言うの?」
小鳥「え? ち、違うの! そういうことじゃないわ!」
真美「……」
貴音「……相当気が立っているようです、刺激なさらぬよう」
小鳥「え、えぇ……気を付けるけど……」
千早「……私の分は」
やよい「千早さんの分はない、って言ってました」
千早「……」
伊織「……千早」
千早「貴方の分でいいわ、貸しなさい」
伊織「ちょ、ちょっとこれは私の!」
千早「今まで食べてきたんだからいいでしょう!」
伊織「っ! い、いい加減にしなさいよっ!!」
千早「あっ……」
伊織「はぁ、はぁ……私だってね! 今はもうそんな贅沢もできないのよ!」
あずさ「伊織ちゃん……」
伊織「自分のこと棚に上げて! 自分だけ得しようなんて思わないことね!」
真美「……自分は苦労したことないからそういうことが言えるんだ」
伊織「なんですって……もう一遍言ってみなさいよ!」
真美「いおりんにはわかんないんだ! どうせお金持ちだから!」
伊織「この……」
貴音「いい加減にしてください」
真美「……」
貴音「気分が悪くなります、これ以上騒ぐようなら看守に引き渡しますよ」
伊織「た、貴音……」
貴音「伊織、気持ちはわかりますが立場をわきまえてください。それくらいわかるでしょう?」
伊織「……悪かったわよ」
美希「いやなの……もう、こんな……」
春香「……どう、真」
真「何が?」
春香「看守」
真「……でも囚人よりはいいかなって。それに」
春香「それに?」
真「なんていうか、囚人をビシッ!とおさめたとき、少しなんていうか……楽しいんだよね」
春香「……真も、だったんだ」
真「えっ? 春香も?」
春香「うん、でも私たち間違ってないんだよね? そうした方がこの実験は早く終わるんだし」
真「うん、そうだよ。でも、誰か一人でも従わないと、ダメだから」
春香「……看守で言ったら、律子さんとやよい、雪歩あたり?」
真「後の二人はいいんだよ、問題は律子じゃないかな」
P「何だ、会議か?」
真「あ、プロデューサー。看守らしくない人を看守にするには、どうすればいいですかね?」
P「そうだな、単に看守の仕事を強制すればいいんじゃないか?」
律子「え? 私?」
P「亜美と春香と一緒に囚人を見張るんだ」
律子「……」
P「気が進まないのか」
律子「……あの子たち、結構衰弱してますよ。本当に大丈夫なんですか?」
P「まあ確かに怪しくなってきたし、ビタミン剤の配布を行う予定だ」
律子「……やっぱり狂ってますよ」
P「うん、それを牢屋の前で話していればいいんじゃないか?」
律子「……」
真美「……りっちゃん」
律子「……」
春香「見回りですから、気にしないでくださいね」
千早「……亜美」
亜美「……」
真美「……どう? そっちは楽でしょ、亜美」
亜美「……まあね」
美希「亜美……」
亜美「ごめんね、ミキミキ」
美希「謝るくらいなら……交代してほしいの」
亜美「そんなこと言われたって……」
美希「ミキなら変えられたの! プロデューサーのこと説得できたの!!」
亜美「わかんないじゃんそんなの……」
美希「亜美はもうそっちで安心できるからそういうことが言えるの……こっちのみんなのこと、何も思ってない」
伊織「……亜美」
亜美「いおりんがそっちにいったんだっけ。どう?」
伊織「……最悪よ」
亜美「そんなこと言ったら、怒られちゃうでしょ」
伊織「……」
亜美「……やっぱりそっちよりはいいよ、こっち」
ガシャッ
千早「ふざけないでよ……」
亜美「千早お姉ちゃん……」
千早「私たちが何をしたっていうの……どうしてあんなひどいことをした亜美が!!」
亜美「知らないよそんなの……」
千早「許さない……私は許さないわ」
亜美「……ねぇねぇはるるん、こういうのって罰とか与えられるんだよね」
あずさ「亜美ちゃん……」
美希「いい加減にするの亜美……」
亜美「もう何を言ったって亜美の勝手でしょ! いくら言われたってこのままなんだもん!」
真美「亜美ぃ!!!!」
千早「来なさい……亜美、こっちに来なさいよ……」
律子「あ、亜美も煽るのを辞めなさい! ほら、千早も落ち着いて……」
千早「同情するくらいなら、助けてよ律子」
律子「あ……」
千早「ほら、こっちに来なさいよ!!」
律子「い、痛いやめて千早……」
千早「私たちにはもう選ぶ権利はないの……ないの? ねぇ、ねぇ律子!」
律子「……やめなさいよ」
千早「……」
律子「……」
千早「……ほら、結局看守として自分のこと守るのよね」
律子「違う……私は」
真美「違うなら、助けてよりっちゃん」
律子「……」
美希「律子、さん……」
律子「私は……」
春香「はいはい、静かにしてくださいね。今からご飯ですから」
真美「え? さっきお昼は食べて……何あれ」
春香「おやつのピザ、差し入れだって!」
貴音「……ここまでとは、どこまで卑劣な」
亜美「食べて、いいの?」
春香「いいんじゃない?」
律子「……」
千早「……」
真美「あ、あぁ……」
美希「……もう無理、寝るの」
貴音「……こちらに渡せとはいいませんが、いささかイタズラがすぎませんか?」
春香「え? だってあまりものだからと思ってプロデューサーさんが」
貴音「……このような」
春香「でも、一人一つ食べても一つ余るから……誰か食べる?」
美希「はい!!」
真美「み、ミキミキ寝てたでしょ! 真美、真美が食べる!!」
あずさ「わ、私も……」
千早「……」
春香「でも、囚人さんに上げるのはダメっぽいかな……律子さん、どうします?」
律子「……」
千早「私に渡して……」
真美「真美が……真美が食べる……」
律子「……私がいただくわ」
真美「……だめ! それは真美! 真美が食べる!!」
千早「律子! 渡しなさい!!」
美希「……」
「「「~~~~!!!!」」」
律子「……」
亜美「あんなところに入ってたんだね……亜美」
真「お疲れ様」
春香「律子さん、わかります? この実験中、囚人との間に関係は組めないんです。看守は看守らしくいかないと、こっちが危ない」
律子「……そうね」
真「それじゃ次は……」
P(囚人の半分は錯乱状態。基本低年齢層がそうだ)
P(心身ともに疲労困憊。ストレスも相当だろう、果たして1週間持つかどうかだ)
P(囚人に今後危惧されるのは内部での争い、脱走、最悪の場合……自殺)
P(となればあまり強い抑圧は厳禁だ。ある程度ここで……そうだな、2つに分けよう)
P(対して看守。これも大まかに二つに割れた)
P(看守に対しても厳しい環境をつくらねばムラが生まれる)
P(となればこちらも二分が適当か)
P(……気が付けば俺まで看守としての自我が強くなっている)
P(多感なあいつらに、こんな実験元から無理だったんだ。今からカウンセリングでなんとかなるか?)
P(下手すると社長は……いや、まさかそこまで残酷な人ではあるまい)
P(俺ができることは、ギリギリのラインで社長の求めている最高の状況を作りだしてこの実験をやめさせること)
P(……一人も死人が出る前に)
社長「……ん? なんだキミか。あの件かね? あぁ、予想以上にうまく行っているよ」
社長「なぁに心配することはない……その後なんて考えてないさ。はっはっは!!」
P「監房を新たに二つ用意した」
P「片方には良い囚人。もう片方には悪い囚人を入れる」
P「どう悪いかは各自の判断に任せるが、これは囚人の状態をできるだけ同じようにするためだ」
P「現在危ない状況の3人には、少し優しく接してやること」
春香「分かりました!」
P「それと看守も分ける。やよい、雪歩、亜美、律子の4人、残り3人と一応俺が入る」
雪歩「わ、私たちだけで大丈夫でしょうか……」
P「やよいと雪歩は特にそうだ。最悪の場合も考えて、しっかり看守をするように」
やよい「最悪の場合……っていうのは」
亜美「……亜美みたいになるってこと」
雪歩「そ、そんなの……」
P「各自看守として、尚囚人の安全には注意して行動するように」
――
ちょっと離れる
>>213
これの意味がわからん
保守あり
>>229
看守三人がピザを食べているのを監房の中から必死に手を伸ばしてるイメージ
5日目 6:00
真美「……どこに連れていかれるの?」
やよい「ごめんね、目隠ししなきゃいけなくて」
千早「嫌……これ以上はやめて……」
雪歩「部屋を帰るだけなのでもう少しです……」
美希「……」
亜美「……」
律子「ここね……」
真美「眩しっ……あ、あれ?」
千早「……前より少しよくなった?」
美希「椅子と……トイレもあるの」
雪歩「えっと、これからは二つに分かれて生活してもらうんだけど……」
亜美「態度によって入れ替えるかもだから」
真美「……これくらいじゃ別に」
千早「良くも悪くもってところだもの……」
貴音「……手錠ですか」
あずさ「もう、やめましょうよこんな……」
小鳥「……」
伊織「……」
春香「移動はスムーズに行いましょう!」
真「さぁさぁ」
小鳥「お、押さないで……バランスがとれな……」
響「今から4人は新しい部屋に行くんだ」
春香「さあ着きましたよ~」
貴音「……ここに4人、ですか」
あずさ「……そんな」
真「この後のスケジュールについてはまた後で報告しにきますから」
伊織「……あいつらはもう、看守になりきってるわ」
小鳥「……春香ちゃん」
囚人Aグループ 監房 10:00
千早「……食事の質もほんの少し上がったわね」
真美「こんなので……真美たちのご機嫌とろうとしてるんだ……」
美希「それか、また嫌がらせなの……」
やよい「えっと、何か不便とかないですか……?」
千早「……高槻さん」
真美「……やよいっち」
やよい「みなさん、やっぱり大変そうで……わ、私にできることがあれば!」
美希「……だったらここから出してほしいの」
やよい「え?」
美希「やっぱりおかしいよ……こんなの。ミキ外にでて本物の警察に言って社長さんを逮捕してもらう」
やよい「で、でも……」
千早「そうよ高槻さん……今他の人いないんでしょう?」
真美「そ、そうだよやよいっち! 真美達のこと想うんだったら、ね?」
やよい「あ、う……そ、それじゃ」
P「ダメだぞやよい」
やよい「プ、プロデューサー……」
P「やよいもここに入りたいか? 嫌だろう?」
やよい「あ、えっと……」
真美「兄ちゃん……」
千早「どこまで……そこまでして私たちを陥れたいんですか……」
P「最初この話を持ちかけたのは誰だ?」
真美「えっ? ……み、ミキミキ?」
美希「み、ミキ……だけど二人も賛成してたの!」
P「……よし、後で迎えにくる。やよい」
やよい「は、はい」
P「どうせ社長に監視されていて脱出は不可能だ。お前がそういうことをしても状況は悪くなるだけだいいな?」
やよい「あ、う……」
P「美希にはそれなりな処遇をする」
美希「ま、待って! 美希は悪くないの! プロデューサー!!」
P「少しでも良い対応が欲しければせっかくの新しい監房なんだ。おとなしくくつろいでろ」
千早「……」
やよい「……し、失礼します」
美希「そんなの……ないの……」
真美「……」
やよい「し、失礼します……美希さん」
美希「……」
やよい「て、手錠をかけさせてもらいますね……」
パシッ
やよい「あっ……」
美希「やめて……ミキは悪くない……」
やよい「で、でも……」
美希「やよいだっておかしいと思わない? こんなの……」
やよい「あ、あの……」
千早「……美希、高槻さんは悪くないわ」
真美「そ、そうだよ、やよいっちが困ってる……」
美希「じゃあ真美達が行ってよ!! 千早さんだって賛成したのに、どうして美希だけなの……」
やよい「み、美希さん……」
美希「そうやって他人事だから皆そうやって……もうミキダメ……こんなの」
やよい「い、いかないと怒られちゃいます……」
美希「やよいもそうやって……」
やよい「……」
美希「自分が怒られたくないからって裏切るの?」
やよい「も、もうやめて……」
美希「ねぇやよい!」
やよい「やめてください!!」
美希「やっ……」
真美「や、やよいっち……」
やよい「私だって……こんな……こんなこと」
美希「だったら……」
やよい「でも今はこうするしかないの、美希さんだってわかってるはずです!!」
美希「……」
やよい「……手錠をかけます。ついてきてください」
千早「……高槻さんまで泣かせるなんて」
真美「いつまで続くんだろうね……」
春香「……さて、4人にはこれからお仕事してもらいますね」
小鳥「春香ちゃん……」
伊織「何をさせる気……」
春香「残酷だけど、これも囚人が囚人らしくなってもらうためには仕方ないんです」
あずさ「み、美希ちゃん……?」
春香「こちらの声だけあちらに聞こえます。4人にはただ美希を非難してもらえればいいんです」
貴音「……なんという」
伊織「それで……?」
春香「美希が悪いって言うだけですよ。美希はしゃべったのに合わせて」
あずさ「美希ちゃんの声はこっちに聞こえてないのに……? そんなのひどすぎる……」
春香「美希は脱走を計画したんです。しかるべき処罰ですよ?」
小鳥「こんなの……おかしい……」
春香「えっと、行動が私たちの思ってることと違った場合はその人も、いいですね?」
貴音「春香……」
春香「貴音さん、どうかしました?」
貴音「……いえ」
春香「それじゃ、マイクをオンにしますね?」
美希「……ここは? あっ! 貴音に小鳥……デコちゃんと、あずさ」
美希「あんな小さい部屋に……やっぱりミキたちの部屋、少しいいところだったんだ……」
P「美希。俺たちが決めるのも酷だと思ってな。どうすべきかあの4人に決めてもらうことにした」
美希「え?」
P「マイクだけは通ってるから、さっきの話をしてみるといい……あっちも準備ができたみたいだな」
美希「え、えっと……ミキはやよいのこと脅して、逃げるように言ったの」
伊織「それは美希が悪いわね」
美希「ま、待って! でも、真美と千早さんも賛成してくれて……」
あずさ「それは美希ちゃんが……悪いわ」
美希「あ、あずさまで……違うの……だってこんなのおかしいの!」
小鳥「……でも、美希ちゃんが悪いと思う」
美希「小鳥……た、貴音は!?」
貴音「……」
美希「た、貴音!!」
伊織「美希が悪い」
美希「デコちゃんは黙っててほしいの!!」
あずさ「……美希ちゃんが悪い」
美希「やめて! うるさいの! 貴音に聞いてるの!!」
貴音「……美希」
美希「な、何!?」
貴音「……美希が、悪いかと」
美希「たか、ね……」
「美希が悪い」
「美希が悪いわ」
「美希ちゃんが悪い」
「美希……」
美希「い、や、いや、いやいやいやっ!! ミキはミキは悪く……ない……のに」
P「美希」
美希「いやああ!!」
P「……この辺にしておこうか。どうだ?」
美希「ミキは……ミキは……」
P「……やよい、連れて行ってやれ。動かなければ真あたりに手伝ってもらうんだ」
やよい「美希さん……」
真美「ミキミキ……?」
千早「だ、大丈夫? 何やらすごく……」
パシッ
美希「触らないで……」
真美「み、ミキミキ……」
美希「……」
千早「……美希に何をしたの」
やよい「……お二人のせいでもあると思います」
真美「や、やよいっち……」
やよい「もう、私は……あんな誘いに乗りませんからっ」
千早「……」
真美「ミキミキ……」
美希「……」
千早「……何をされたっていうのよ、おかしい……こんなの絶対間違ってる」
あずさ「……」
伊織「……貴音に言われた後、美希の顔」
貴音「やめてください、伊織」
小鳥「ひどい……こんなのって……」
響「明らかに一人、非協力的だった、ってことで呼ばれてるぞ」
貴音「響……あなたは、貴方はあれを見ても何も思わないのですか!」
響「なんていうか、かわいそうだとも思うけど、悪いことしたなら当たり前だろう?」
貴音「響……人は、人はここまで変わってしまうのでしょうか……」
P「そんな貴音も果たして変わってないと言えるのか」
貴音「……プロデューサー」
P「響、貴音にアイマスクと手錠。独房にご案内だ」
響「わかったぞプロデューサー」
あずさ「もうやめて! プロデューサーさん!」
小鳥「響ちゃんまでそんな、洗脳まがいのことをして……」
P「そう思い込んでるのは囚人だけですよ」
雪歩「えっと、ご飯だそうです……」
千早「……」
真美「……おなかすいたけど、なんか」
雪歩「あ、あの……」
美希「……」
雪歩「も、もうこんな……」
真美「……またそれ」
千早「いい加減聞き飽きたわ……」
雪歩「だ、だって……」
千早「看守はいいわね。嘆いてても楽なんだもの」
真美「真美はもう、そんな元気もないよ……」
雪歩「う、うぅ……」
真美「それで、ゆきぴょんは何しろって言われてるのさ」
雪歩「……ご、ご飯を持っていくだけで」
千早「……そう」
バチャッ
雪歩「きゃっ! あ、熱っ!」
真美「……真美たちのこと、想うならほら、食べなよお粥」
千早「そうよ、ほら、ほら」
雪歩「い、いや……いやぁ!!」
ガシッ
真美「逃がさない……」
千早「美希だってこんな風になってしまった、貴方たち看守のせいで…・・・」
雪歩「た、たすけ……ぷろでゅーさー……」
真「何してるのさ」
真美「……まこちんもだ」
千早「ほら、こっちに来なさい……」
ゲシッ
千早「がっ!」
真「……離れなよ、囚人」
真美「ぼ、暴力まで振るうの……」
真「どっちが先に手をだしたんだよ」
雪歩「ま、まことちゃ……」
真「雪歩も雪歩だ。囚人に好き勝手させるようなのは看守じゃない」
雪歩「う、あ……」
千早「まこ……と……」
真「ちょうどいいから、そこに転がってる囚人、蹴っ飛ばしてみなよ」
雪歩「えっ……」
千早「はぎわら……さ……」
雪歩「……」
真「できないならいいよ、プロデューサーに報告するだけだし」
雪歩「や、やだ……やだっ!」
千早「やめ、て……」
雪歩「やだっ、やだやだやだっ!!」
千早「や……」
真美「やめて! 千早お姉ちゃんが死んじゃう!!」
真「雪歩、もういいよ」
雪歩「はぁはぁ……えっ……わ、私……いやっ!!」
真「いいんだよ雪歩、これで」
千早「……」
真美「千早お姉ちゃん!!」
雪歩「ま、真美ちゃん……」
真美「ゆ、ゆきぴょん……な、何?」
雪歩「私……」
真美「やだ……こ、こないでよ!!」
雪歩「わたしぃ!!」
真「ダメだよ雪歩、本当に死んじゃうから」
雪歩「……」
真美「はぁはぁ……やだよぉ……もう、こんなの……」
真「……様子を見に来たけど、これならもう大丈夫そうだね」
律子「……」
貴音「……ここはどこなのですか」
律子「……貴音」
貴音「誰が……一体誰……」
律子「貴音!」
貴音「……何も、何も聞こえない、このようなことをして……何になるというのです」
律子「貴音!!」
貴音「なっ!! やめなさい!! やめるのです!!」
P「律子、目も耳もふさがれてるやつに、いきなり触ってやるなんてかわいそうだろう」
律子「……私にどうしろと」
P「いや、そのまま続けてくれてもいいぞ?」
律子「……」
P「看守らしくな。別に目隠しや耳当てを外してもいい。一応手錠はそのままな」
律子「……」
貴音「私は屈しません……必ず……必ず貴方たちを……」
亜美「……りっちゃん、何もしないの?」
律子「……」
亜美「じゃ、亜美がお手本見せてあげるよ」
律子「亜美……」
亜美「ん……貴音」
貴音「そ、その声は律子嬢……わたくしをどうするつもりですか……」
律子「なっ!?」
亜美「さぁ、どうしてほしい? 貴方がここに連れてこられた理由、わかっているんでしょう?」
貴音「……私にはあれが限界です」
亜美「看守に従えないなら、仕方ないわ」
パシッ
貴音「っ……暴力に訴えるのですか……」
律子「……やめて」
亜美「おとなしくなるまでの辛抱よ」
律子「やめて亜美!!」
亜美「……どうして亜美のせいにするの、りっちゃん」
律子「亜美、貴方……」
亜美「……看守らしくしないと、亜美達が囚人に逆戻りなんだよ?」
律子「……だからってこんな」
貴音「律子嬢……どうして、どうしてこのような……」
亜美「……聞き分けのない子にはおしおき、でしょう?」
貴音「くっ……人の心まで失ってしまったのですか……」
律子「やめて……私じゃない……」
亜美「貴方が悪いの! 囚人は囚人らしくしてなさい!」
貴音「やめ……やめましょう……こんなことは……」
律子「……」
律子(亜美は平手打ちをしているだけ……でも、目がふさがれている貴音には……相当な苦痛)
律子「……私がやればいいの、亜美?」
亜美「……まだそんな口を聞くの!!」
貴音「ぐっ……」
亜美「……りっちゃん、もうやめてあげてよ……お姫ちんがかわいそう」
貴音「はぁ、はぁ……」
律子「どこまで……」
亜美「……仕方ないんだよ」
律子「……貴音」
貴音「律子……私は許しません……」
律子「ぐっ……」
貴音「あなた方のしたことは、いつか……」
律子「……」
律子「まだ懲りてないようね……!!」
貴音「やめ……なさい……」
律子「このっ! このっ!」
貴音「ぐっ……あっ……」
亜美「……ははっ、あはは!!」
バイトで日付変わるまでいなくなる
落ちてたらそのうち続き書くけどよかったら保守ヨロ
あと30分くらいで再開する
何度も保守すまんね
P(春香、看守の中心、すでに統括することを当たり前と考えている)
P(真、従わせることへの快感が人一倍強く、暴力を与えることに躊躇がないレベルまできている)
P(響、周りの空気に自然に溶け込み違和感なく看守をこなす、ある意味一番危険だ)
P(やよい、自責の念、自己防衛による無意識の行動、すでに精神は病んでいるか)
P(雪歩、度重なる重い現実への強い嫌悪感が爆発、スイッチが入ってしまうと手がつけられないか)
P(律子、倫理感に自我が押しつぶされ反動で感情が攻撃的になり、八つ当たりに近い状態)
P(亜美、一度は味わったことへの報復と言わんばかりにより攻撃的、冷酷な態度)
P(千早、現実逃避、必死に抵抗するも暴力を受け戦意喪失)
P(伊織、元看守である背徳感による不安、しかしその分余力はあるが精神は限界寸前か)
P(真美、仲間への暴力を垣間見て改めて感じる不安と恐怖、絶望)
P(貴音、拷問により心神ともに強いダメージを負ったがその覚悟は測りしれない故侮れない、今後どう影響するか)
P(あずさ、精神はほぼ壊滅的、これ以上病むとどうなるかは未知数)
P(美希、処罰により人間不信に、寝て食べて会話もせずまた眠る、改善は不可能か)
P(小鳥、現実をうまくシャットアウトしているが、自分に降りかかったときどう対処できるかが見ものか)
P(全員の様子を見るとこんなものだ。明日で6日目だが果たして……ん? 電話か)
社長「やぁやぁ!」
P「……相変わらずお元気そうで」
社長「いやいや、しばらく目を離しているうちに相当進んでいるようで驚いたよ!」
P「……楽しそうですね」
社長「おや? 君は楽しくないのかね?」
P「……」
P(そうなんだ、楽しくないかと言われると即答できない。こんなバカげたこと、すぐにやめてやりたい)
P(この鬼畜な上司に、気が狂ってると即答したい。しかし、不思議とすんでのところで飲み込んでしまう)
P「……まあ別にどっちでもないですね」
社長「ほう、意外だね。むしろボロクソ言われることを覚悟していたのだが」
P「いいから用件を言ってください」
社長「おぉ、そうだったね。もうじき1週間がたつと思うが」
P「そうですね、明日で6日です」
社長「とりあえず今の様子を見る限りだと1週間が目安だと思っている。7日になったら看守役に伝えてくれ」
P「……それはもし今日危ないと判断しても、中止するなということで?」
社長「あ、いやいやそんなことはない。死亡者がでるのは非常にまずい、臨機応変に頼むよ」
P「わかりました」
社長「あぁそれとだね、囚人側は結構危険な状態だ、条件を付けて要求を一つ飲んであげるといい」
P「……なるほど」
社長「まあまあその他は君に任せるとしよう、ではくれぐれも頑張りたまえ!」
P「はい」
P「……最初の時よりテンションが高くないか社長」
P「って俺も人のことを言えないのか」
P「まあ、そろそろやめどきかとも思うんだが」
P「……あの囚人たちを見ると、そのままにしておけないというか」
P「社長も、なんだかんだ言って1週間分の映像が欲しいんだろうし」
P「……なら仕方ないよな」
P「……面白い」
6日目 4:00
春香「プロデューサーさん、ちょっといいですか?」
P「ん? どうした春香」
春香「一日昨日観察してたんですけど、皆結構参ってるみたいで。でもある程度ばらけたとは思うんですね」
P「ふむふむ」
春香「なのでここで一旦元に戻す、っていうのはどうかなと」
P「いいんじゃないか、春香の好きにやってくれ」
春香「はい!!」
真「というわけで監房を一つに戻しますね」
伊織「……千早、それに美希……こんな」
あずさ「嫌……どうして……」
千早「……」
真美「……お姫ちんは?」
貴音「ここにいますよ」
小鳥「貴音ちゃん……よかった、無事だったのね……」
貴音「……小鳥嬢、ですか」
小鳥「そうよ……よかった、あの時ひどいことをされたんじゃないかって……」スッ
貴音「っ!」ビクッ
サッ
小鳥「貴音ちゃん?」
貴音「……いえ、すみません」
真美「ミキミキ……」
美希「……」
響「プロデューサーからの伝言があるぞ。なんでもいいから一つだけ要求を受け入れる、ってさ」
伊織「……今度は何をたくらんでいるの」
P「まあ労働の報酬、ってところだ。滅多にないチャンス、大事に使うんだな12時の昼の後に聞くから存分に話あってくれ」
小鳥「……」
P「別に嫌ならいい、食べたいものは調達できれば持ってくるがこれっきりだということを忘れるなよ」
千早「う……」
あずさ「千早ちゃん……気が付いたのね……」
真「朝食、さっさと食べてくださいね」
貴音「……」
真美「……お姫ちん食べないの? 別にとったりしないけどさ」
貴音「あ、いえ……」
あずさ「貴音ちゃん?」
伊織「はい、貴音の分よ」
貴音「ありがとうございます、いただきましょう……あっ」
カラン
真美「……お姫ちん、まさか」
伊織「……目が見えないの?」
貴音「……」
あずさ「嘘……どうして……」
小鳥「あの時ね……貴音ちゃん……」
貴音「触らないでくださいっ!!」
小鳥「っ!」
6日目 10:00
伊織「……要求をどうするか」
真美「おいしいものなんて、今更いらないよ……家に帰りたい……」
伊織「でもきっとそんな要求は無理ね……」
真美「……電話をさせてくれ、とか。無理だよね……」
伊織「……医者だって必要よ、この状況」
小鳥「貴音ちゃん……うぅ……」
貴音「やめて……やめてくださいまし……」
あずさ「……触れるとフラッシュバックするみたい……どんな拷問を受けたのかしら」
伊織「……ならこんなのはどうかしら」
真美「何?」
伊織「一人看守と交代するって持ちかけるの。それは内部の多数決で決めるって」
真美「でも……」
伊織「もちろんあらかじめ仕組むのよ。その後その一人が看守になったとき、隙を見て警察に連絡するの」
真美「あっ、なるほど……でもばれちゃったら」
伊織「……かけるしかないわ。それも勘付かれないようにできるだけリアルに」
真美「……そうだね、皆もそれでいいの?」
あずさ「それしか、無いわ……美希ちゃんも、千早ちゃんも、それに貴音ちゃんも……こんなの見てられないもの……」
小鳥「……やりましょう」
伊織「……それじゃ作戦会議ね」
春香「あっちはどんな要求をしてくるんだろうね」
真「なんでもいいんじゃない? 無理そうなら却下していいってプロデューサーも言ってたし」
響「自分たちは気を付ければいいんだもんな」
春香「そうそう、絶対に怪しいこと考えてるし。あーあ、この防犯カメラ音声も聞き取れればいいのに」
真「いや、あれ作戦会議してるし。こっそり聞きにいけばいいんじゃ」
春香「えへへ、せめてもの慈悲だよ。まあ、行ったら行ったで気が付かれそうだし?」
真「なるほどね、って春香もやることがエグイなぁ」
春香「真に言われたくないよ! 千早ちゃん、かわいそうだったなー」
真「……そろそろ時間かな?」
6日目 12:00
律子「……要求を聞きましょうか」
伊織「……私たちの中から一人を看守に選出する。だからそっちも一人を囚人に回して」
律子「春香、どうするの?」
春香「……わかった、それじゃ一人考えてくるね」
伊織「いえ、今すぐ決められるわ。多数決よ、一人一票でね」
春香「なるほど……それじゃ、呼んでくるね?」
伊織「……それじゃ行くわよ」
真美「せーのっ……えっ?」
春香「……そっちは真美かぁ」
真美「ちょ、ちょっと待ってよ! 話が違うよ!」
小鳥「……真美ちゃん」
真美「だって言ってたじゃん、お姫ちんの状態が悪いから看守にして病院に連れて言ってもらおうって……」
伊織「……アンタのそういうところが邪魔なのよ」
真美「い、いおりん……?」
伊織「貴音は看守に行っても危害を加える必要がないから、そんなことを考えてるんでしょう?」
真美「ち、違うって! だっていおりんも賛成してくれたじゃん!」
あずさ「……ごめんなさいね、さっき伊織ちゃんに言われて私も気が付いて」
小鳥「……内心は喜んでるでしょ?」
真美「ピ、ピヨちゃんまで……」
伊織「とにかく、アンタがいると空気が乱れるの。私たちなら耐えられる」
あずさ「……美希ちゃんや貴音ちゃんは私たちが守るわ」
千早「……私も」
真美「ち、千早お姉ちゃん!?」
千早「……真美にはいて欲しくない」
真美「……そっか。わかったよ」
伊織「……看守になって私たちに復讐したいなら、すればいいわ」
真美「……」
春香「なんだか思ったように行かなかったみたいだけど、それじゃ私たちの番かな?」
真「それじゃ……せーのっ」
律子「……私?」
春香「あらら、ごめんね律子さん」
真「やよいとどっちもどっちだったけど仕方ないね」
律子「……」
春香「あんまり実感ないのかな、でもこれで決まったね。それじゃ、真美」
真美「……はるるん」ボソッ
春香「どうしたの?」
真美「……看守になったら好きにしていいんだよね」
春香「ふふっ……もちろん」
真美「……ありがと」
真美(……待っててねいおりん、千早お姉ちゃんたち)
春香「それじゃ、解散で」
伊織「……真美」
あずさ「……お願い真美ちゃん」
6日目 15:00
真美「……誰もいない?」
真美「……」
真美(これで電話を掛けちゃえば、終わるんだよね……)
真美(だめだよ、まだ泣いちゃ……よし)
真「いい加減にしろ!!」
真美「っ!!」ビクッ
真美「……な、何?」
小鳥「も、もう……許して……」
真「皆やってるんですよ、小鳥さん」
小鳥「だって……こんな重いもの……運べない……」
真「だから皆はやってるって言ってるんですよ」
小鳥「や、やめて……わ、わかった……運ぶ、運ぶから……あっ!!」
真「……」
真美「ま、まこちん?」
最初の伊織達の揉めたシーンがフェイクで、真美看守行きはプラン通りか
真「あぁちょうどよかった真美。そこの人、ちゃんと仕事ができないみたいだから罰与えていいよ」
小鳥「……真美ちゃん」
真「まさか元仲間とか言わないよね?」
真美「……このっ!」
小鳥「がっ……ま、まみちゃ……」
真美(ごめんピヨちゃん……)
真美「ふふっ、真美を裏切るからこういうことになるんだ!」
真「いいね、真美。囚人にはこうしてわからせないとダメなんだよ、みんな甘くてさ」
真美「う、うん。真美もそう思うよ」
真美(……でもあんな重いの、真美に持てたかな……)
真美(……バレたら)
真「また落としましたね?」
小鳥「や、やめて……本当に……」
真「やめてやめてって……何度目なんですか!」
小鳥「痛っ……う、うぅ……」
まこちんはドS俺様系アイドル路線だな
真美(ただでさえ、ほとんど何も食べてないのに……)
小鳥「う、ぐぅ……」
真「早く起きてくださいよ」
真美(……死んじゃうよ)
真美「ねえまこちん、流石にこれ以上やったらヤバイんじゃない?」
真「え、そうかな? ま、真美のいう事もわからなくないし、免じて許してあげますよ。だから早く立ってください」
真美「……」
真美(今頃になって、震えが止まらないよ……)
真美(真美はあんなところに居たんだね……)
真美「……早く連絡を」
春香「あ、真美! ちょうどよかった」
真美「は、はるるん」
春香「こっちこっち」
律子「……貴音」
貴音「いや、許して……許して……」
あずさ「もうやめて……律子さん……」
律子「私が何をしたって言うの……」
貴音「いや……わたくしは……」
真美「……」
春香「そういえば律子さんの拷問で貴音さん、目が見えなくなったんだよね。一緒の部屋に入れるなんて残酷だよね」
真美「な、なんでここに連れてきたの?」
春香「うん? もう少しでわかると思うよ?」
雪歩「……四条さん、ご飯ですよ」
貴音「いや……やめてください……」
雪歩「……食べないとしんじゃいますよ?」
貴音「わたくしは……」
雪歩「……食べて」
貴音「やめて……わたくし……」
雪歩「ほら、食べて食べて」
貴音「やめっ……ぐっ……いやぁ……」
雪歩「食べて食べて」
貴音「がっ、げほっ!! ご、ごほっ……もう、やめてください……」
雪歩「……いつもはたくさん食べるのに、残しちゃダメですよ」
貴音「やめ……」
真美「……」
春香「どう?」
真美「え? う、うんいいんじゃないかな?」
春香「本当?」
真美「え、あ……」
真美(こ、これってもしかして試されてるの……?)
真美(……あんなの見たら、今すぐ泣きたいよ……でも)
真美「もっとガンガン押し込んじゃっていいんじゃないの? せっかくの食べ物もったいないじゃん」
春香「……確かに。でも雪歩はやめてって言うまで続けちゃうし」
最悪失敗したと考えて、一番年下を解放出来たと思えば
伊織は看守分があるし
真美「でも、囚人にはちょうどいいよ」
春香「真美もそう思う?」
真美「うん、だって真美あの人たちに裏切られたし。これくらいがちょうどいいよ。いおりんとかにもなにかしよ?」
春香「そだね、あとで考えておく」
真美(……何もしてないのに)
真美(本当に何か悪いことをしたって、こんなふうにはされないよきっと……)
真美(……でも、ここってすごいよ)
真美(こんな近いところにあの地獄か、それを見て笑えるか、分かれてるんだよ)
真美(……怖いな)
真美(もう少し、信用されてからの方がいいのかな)
春香「それじゃ、伊織のとこ行こうか?」
真美「えっ?」
春香「行くでしょ?」
真美「う、うん……」
春香「……ふふっ」
伊織「……真美」
真美「いおりん……」
伊織「復讐しにきたの?」
真美「……」
春香「どうしよっか。伊織は別に悪いことしてないけど、看守を裏切ったってことで罰を与えちゃう?」
真美「……」
春香「真美?」
真美(……どうしよう。何もしなかったら、はるるんに……でも)
真美「復讐、するよ」
伊織「真美……アンタ」
春香「それじゃ、どうする? 私が決めていいの?」
真美「うん、はるるんに任せる」
春香「じゃ……伊織にはトイレ掃除してもらおうかな。その着てる服で」
伊織「なっ……」
春香「それでね、嫌な顔をするごとに真美が伊織の頭、踏むってことでどう?」
真美(そんなの……できるわけ……)
真美「う、うん! 最高じゃん!」
伊織「……やればいいんでしょ」
真美「……」
真美(真美の判断でいいんだよね……いおりん……)
伊織「うっ……」
春香「真美?」
真美「あ、え、っと……」
真美(い、今踏んづけたら……トイレの中に頭……)
真美「ご、ごめんちゃんと見てなかった!」
春香「……そっか」
伊織「……」
真美「……」ドキドキ
春香「ねぇ、真美?」
今の弱体化真美じゃとてもじゃないが黒香と黒りんには勝てない…
真美「え!?」
春香「え、じゃなくてさ」
伊織「……」
真美「う、うん!」
ドクンドクン
真美(いおりん……頭踏んでも許してくれる?)
真美「……よっ」
伊織「きゃっ!!」
春香「あっはっは! ちょっと真美! 狙い過ぎ! トイレの中に顔突っ込むほど踏まなくてもいいのに!」
伊織「……」
真美「あ、あはは……どうせやるなら、さ」
伊織「……アンタ」
真美「あ、えっと……」
春香「ちょっと伊織、続き続き。今ので余計に汚れちゃって」
伊織「……この」
真美(なんでさ……なんでそんなに睨むのさいおりん)
春香「真美、そこ!」
真美「……このっ」
伊織「きゃあ!!」
春香「もー、嫌な顔しちゃダメだってばーいつまでも綺麗にならないよ?」
伊織「う、あぁ……」
真美(真美、頑張ってるじゃん……)
真美「……このぉ!」
伊織「もう、やめ……」
春香「まだだよ、綺麗になってないもん」
真美(……こんなに辛い思いしてさ、こんなに怖い思いしてさ)
真美(結局恨まれるなら……)
真美(……なら、こっちの方が楽なんじゃない?)
真美「……このおおお!!!」
春香「……やりすぎ真美」
真美「ご、ごめん……」
春香「ふふっ、でもスカっとしたでしょ?」
真美「う、うん!」
春香「これで、私たちの仲間入りだね!」
真美「そ、そだね……」
真美(やっぱりはるるん気が付いてた……)
真美(でも、いいんだよ。こっちの方が楽だもん)
真美(わざわざ、あんなところに戻る必要なんて……)
真美(……バイバイ、いおりん)
伊織「……ま、み」
あずさ「……何、これ」
春香「あれ? あずささんいたの?」
あずさ「まみ、ちゃん……うそでしょ……うらぎったの……?」
真美「あずさお姉ちゃん……」
あずさ「いおり、ちゃん……こんな、びしょびしょに汚れて……おかしい、おかしいわ……」
真美「……ごめんねあずさお姉ちゃん。真美、やっぱりこっちの方がいい」
あずさ「あ……あぁ……」
春香「そういうことなんで、それじゃ」
あずさ「……どうして」
あずさ「……おかしい」
あずさ「これ……何……枝……?」
ガシッ
あずさ「い、いやあああああああああ!!!」
春香「え? ま、真美危ない!!」
真美「えっ?」
バキッ
真美「……ぁ」
バタン
一人死んだら一気に狂っちゃうね、ちかたないね
春香「……真美!!」
亜美「どうしたの……真美!?」
あずさ「あ、あはは……ははっ……」
春香「……亜美、誰か呼んできて。コイツ、拘束して」
亜美「う、うん……」
P「……真美の容態は」
真「多分脳震盪です。血は枝が刺さって出たものだと思いますけど、意識はまだ戻ってないし、僕お医者さんじゃないんで」
P「そうだな、しかし医者は……呼べるのか?」
P「……なんてタイミングのいい電話ですか」
P「はい」
社長「見ていたよ、一部始終ね。真美君の容態は?」
P「死んではいないそうですが、可能性はゼロではないかと」
社長「だが医者を呼ぶわけにはいかないんだ。直にこの企画も終わるだろうしな」
P「むしろ今終わらせるべきでは?」
真美は死体でも合法だから大丈夫だろ
社長「おいおい、ビビったのか?」
P「むしろ死人を出すなと行ったのは社長ですが」
社長「まだ死人は出ていない……とはいえけが人も多数。今は混乱を収める方が先決だろう」
P「……それはそうですね」
社長「ちょうど明日で1週間、終了宣告をしてくれたまえ」
P「わかりました、では」
P「春香は?」
真「僕でもドン引きするような感じです。カメラみてもらえばわかるかと」
P「……あれ、あずささん死なないか?」
真「さぁ」
P「……流石に辞めさせてくれ。これ以上死人は出せない」
真「わかりました」
P「はぁ……」
P(どうして溜息をつく。この事態が面倒だからか? いや……惜しいのか)
P(しかし、明日で終わりならば、それもよし。明日が勝負だ)
7日目 6:00
P「春香」
春香「はい」
P「昨日は随分とご苦労だったな」
春香「いえ、なかなか仕事のし甲斐がありますよ、最近」
P「それでまあ、取り仕切ってるお前に伝えようと思うんだが」
春香「なんですか?」
P「今日で実験は終了だ」
春香「……はぁ」
P「まだ囚人には伝えなくてもいいが、とりあえずその方向で……」
春香「誰が言ったんですか?」
P「え? いや、社長が」
春香「いえいえ、違います。誰が言ったんですか?」
P「あ、いやだからさ」
春香「あー、匿名ですか。なら大丈夫です、一人ずつ吐かせます」
P「……春香?」
春香はもう真人間に戻れなそうダナー
>>602
なんだかんだで雪歩を気にしてるまこりんと、千早スルーな春香の暗黒度の差は大きいね
P(試しに真や響にも言ってみたがほぼ似たような回答)
P(春香に限っては、多分俺は目を合わせられなかった。それほど恐ろしい表情をしていた)
P(やよいや雪歩はもう、操り人形同然だし)
P(囚人側は……屍同然)
P(終了して、どうするんだろうと思いつつも、このままでどうするとも思うんだが)
P(……不覚にも春香が去り際に言ったセリフ)
春香「それじゃ、今日も頑張りましょう!」
P(……ニヤケが止まらん。どうしてだ? やっぱり俺は、今日の続行を望んでいたと)
P「そして……朝からご苦労さま。いつ寝てるんだあの人」
P「はい」
社長「やぁやぁ」
P「どうぞご用件を」
社長「天海君はなんだって?」
P「まるで耳を貸してくれません」
社長「ふふ……はっはっは……あっはっはっは!!!!」
P「……ついに狂い、いや元からですか」
社長「ふふっ、これが笑わずにいられるかね君」
P「なんなんですかもう」
社長「先に結論を言っておこう、1週間、これはタイムリミットだった」
P「……はぁ」
社長「つまり、私はこれから警察に行くことになる」
P「……はい?」
社長「今も公衆電話から掛けてるんだがね、うん」
P「説明を」
社長「あぁ、もちろんするつもりだよ。ただ少し長くなるけれど」
P「もうこの際なんでもいいです」
社長「そうだね。保護者から連絡が多数あったんだ。まあもちろん映像を見せるわけにもいかず適当にあしらっていたが」
社長「1週間音沙汰ない、これは問題だと警察に届けを出される。いや、これは実は予想通りなんだ」
P「……」
社長「3日と最初に決めたのは怪しまれない最低のライン。しかし、君は見事に私の想像通り、いや以上のものを作り上げてくれた!」
社長「スタンフォード監獄実験。世間でも話題になったね。しかし映画にされてもみな一つのファンタジーとしか受け取っていなかった」
社長「だけれど、実はこの実験を知り、同じことをする輩が現れたんだ」
社長「しかしことごとく失敗に終わる。途中で抜け出され通報されるもの、リアリティに欠け和気藹々としてしまうもの」
社長「私が生前の話だ。しかし、私が大学を卒業して間もない頃、一人の男に声をかけられた」
社長「プロデューサーをやってみないか、とね」
P「……」
社長「内心訳がわからずも、その会社に入り、そこそこの売り上げ、知名度を誇った」
社長「しかしある日、その社長はとんでもないことを言い出した。わかるかね?」
P「まさか、この実験を……」
社長「そうだ。私は初めて耳にするその実験内容を聞いただけでも肝を冷やした」
社長「だが、その社長は淡々と進めていく。調べていくうちにこれほどまでに成功した例は最初の実験以来ないだろう」
社長「……やがて私もその実験の虜になっていた。それは社長と過ごしていたからか、元からの才かは不明だが」
P「元からですよきっと」
社長「はは、そう思うかね。しかし、当然アイドルの親からはすぐに批判、見つかってしまい社長は捕まった」
社長「しかし私はすんでのところで逃がしてもらえたのだ」
とりあえず活動出来そうなのは春香、真、響、真美(死体)ぐらいか
他は精神的にダメそう
P「よくもまあ……」
社長「そう思うかね? だがあの社長は私だけでなく彼自信も手を染めてしまった。故に映像化はできぬまま」
社長「今回に比べてクオリティは劣るが、アイドルの混沌とした生活がすぐ目の前にあったのだ」
P「アイドルはどうなったんですか」
社長「カウンセリングの末、全員復帰したと聞く。だがそれではダメだと彼も言っていた」
P「……なんでそんなことを」
社長「そう、そこなんだよ。君、もしこの映像が流れたらどうなると思う?」
P「……世界中大混乱でしょうね」
社長「あぁその通りだ。特に日本なんかは平和ボケしてしまっている。この映像は全世界を震撼させる」
P「……」
社長「アイドルという市民の象徴とも言うべき存在がこのように蹂躙され、誰がというわけでもなく人が人でなくなる瞬間だ」
社長「映像を見て命を絶つもの、暴動を起こすものさまざまなことが起こるだろう、だが社長はそれを望んでいたんだ」
P「……」
社長「サイコパスとして批判されたが、彼は諦めきれなかった夢を私に託した。数十年経って君を見つけた」
社長「……私はもう、その時点からこの計画を企てていたのだよ」
社長「どんな人間がこの計画にふさわしいか」
社長「……より信頼できて、真面目で、人当たりがいい……普通な人間だ」
P「……それが俺ですか。というか、自分のこと真面目とか言いますか」
社長「あぁ、いやこれは私の持論だよ。……だが見事完成した」
P「……」
社長「これほどまでに知名度を上げたアイドルが、このようなことになっている。今世界中のだれも知りえない」
社長「私はどうあがいても死は免れないだろうがね」
P「そこまでしたかったんですか」
社長「どうだろうね、君もわかるだろう? この実験には理性は関係ないんだ」
P「……」
社長「さて、今後の話だ。君は選択をする」
社長「その場から今すぐ逃げるか、アイドルとともに精神病院へ行くかだ」
P「……逃げるなんてことができるんですか」
社長「君との通信手段はすでに隠滅済みだ。それにそこは厄介な場所になっている」
社長「だが、もう1週間もすれば……もっと早いか。今の警察は優秀と聞く」
P「俺が逃げたとして、アイドルは」
社長「直に警察が来て、保護者が来る。そのあとはわからない」
社長「何しろ、私も初めてみる。カウンセリングをして、全員復帰するか、全員復帰不可能かなんて知りえない」
社長「つまり君が残るというのなら、私は何もいわないよ。つかまってしまえば私と同じ道を歩むことは確かだろうけれど」
社長「今の錯乱状態のアイドルを人体売買するも、そのまま見捨てるも」
社長「どっちにせよ、君はもう表の世界では生きていけない。ははっ、恨むなら恨んでくれたまえ」
P「……なるほど」
社長「私が言うべきことは、それくらいだろうか。後はその映像を世界中に流し、警察に行くだけだ」
P「……ありがとうと言うべきですか」
社長「いいたいなら、もらっておくがね。私は感謝に値する人間かね?」
P「さぁ、でも狂ってますよね」
社長「ははっ、そうだな。しかし……私は途中で君が断念するとも考えた。いくらでも止めるタイミングはあったであろう」
P「……そうですね」
社長「……君も、虜になったのではないか?」
P「……どうでしょう」
人身売買…
さ、参考までに、ち、ちひゃーはおいくらまんえんですか?(ゴクリ
社長「……そうだな、欲を言うのであればまだ先が見たいとは思うがね」
P「……」
社長「そのためにはより強固な絆、信頼関係が必要だ。わかるかね?」
P「……わかりたくないですね」
社長「なにしろこんな映像を流したところですぐに法律が変わる国でもあるまい。君が牢屋に入る頃に、私は首を吊るだろうさ」
P「俺もつかまる前提なんですか」
社長「なんとなくさ……それに先ほどテレビで死刑囚の死刑執行が行われた、と聞いた気もするのだよ」
P「……」
社長「それでは、また会おう。アイドルたちには……よろしくとは言えんがな」
P「ぜひくたばってください」
社長「はっは、ありがとう。最高の言葉だよ」
社長「……それではな、765プロ、プロデューサー」
P「……」
ツーツーツー……
P「……さて」
>>647
ちひゃーは面子の中ではわりかし安そう
雪歩はおじ様方にたっぷりねっとり愛されそう
千早をリアルまな板として調理に使うマニアとかいそう
P「俺が何を言ったところで変わる現状でもあるまい」
P「……逃げおおせるか、試してやろうじゃないか」
P「それじゃ、生きてたらまた会おう。我がアイドル達」
――
自然と悔いもさみしさも感じなかった
あの社長の言葉一つ一つが忌々しかったのに
今ではあの人の言葉を胸に歩いているわけだが
確かにアイドル達は最も綺麗で汚れた物語を演じてくれた
今の今まで世間にもてはやされていたもの、一転、一人の男に人生をひっくりかえされるんだからな
今、何をしてるんだろうか
俺なんていなくても機能する一つの国家のように
今よりもっと非人道的なことをされているかもしれない
既に死人がでて囚人がいなくなっているかもしれない
でもそうしたらきっと、あいつらは看守の中から罪人を選び同じことを繰り返す
もう、そうすることでしか生きられなくなったやつらだ
あの人のいう”社長”もろくな男ではなかったんだろう
などとあの人も逃亡中ぼやいていたのかと思うと虫唾が走るが
今はただ生きていたい
あいつらのことを考えながら生き延びてやろうと
世間ではもうきっと、あいつらの話題でひっきりなしだろうに
もしあいつらが俺のことを言おうとも、そんなことかき消されるくらいに
表のサイコパスは社長、俺も……裏ではそんなふうに言われてるのかもしれん
実際狂ってると言えば、そうなのかもな
……だめだ、やっぱり思っちまう
もう一つ先の、あれが見たい
……となれば答えは一つしかないんだろうな
――
―
「はぁ……また落ちたよ。これで何件目」
「数年前のあの事件のせいだ……あいつらのせいでこの不景気が俺を!!」
??「ちょっとちょっと、そこのキミ」
「え? お、俺ですか?」
??「あぁ、そこに君だ。うん、いいねキミ……ティンと来た、って言うのかな」
「え? えっと……どこかでお会いしましたか……?」
P「君、プロデューサーをやってみないか?」
完
真美「あれ?どっきり大成功のプラカードまで用意ちたのに死んでる…」
ここから先は妄想でもいいと思うんだけどな
即興故オチはバイト中に考えてたからアフターとか考えてない
ともあれとりあえず完結できてよかった保守支援本当に感謝だ
乙
胸糞悪くなるが同時に最後まで読ませる内容だった
真美の死体ぺろぺろ
>>684
亜美「リアル幽体離脱~」
真美(死体)「…」
真「ははは!」
春香「センスあるね亜美」
残されたアイドルの結末は妄想が捗るな
どう好意的に妄想しても破滅しか見えないが
>>690
ジャンプ的に考えたら視覚を失ったお姫ちんが覚醒してパワーアップしてなんとかしてくれるはず
こんなの読んだから一人で寝るの怖くなっちゃったよぉ・・・
>>693
隣に真美(死体)がいると思えば怖くないよ!
一気読みした
乙
もっと胸糞悪くてもいい
>>701
これ以上悪くするとスレの雰囲気も悪くなりそう
ギリギリのバランスだったと思うんだ
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