男「与えられた能力で殺し合えだと?」(421)

ここは平々凡々な日本のどこかにある高等学校

休み時間に化粧をかかさない女子に、教室でトランプでギャンブルをする男子
ゲームを持ち込み隅っこでかたまりになってプレイしているオタク達…
そんなどこにでもある学校、だった

しかしある日異変はいきなり起きた
まだ休み時間なのに、教室のドアを勢いよく開け担任の先生が入ってきて

先生「おらクズ共!殺し合いが始まるぞ!」

そう叫んだ

ざわざわっ

先生のいきなりの暴言と『殺し合い』などという物騒な言葉に教室はざわつく


「どういうこと…?」 「殺し合いってなんだよ」「バトロワの見すぎだろ先公ww」


男「なんなんだいったい…」

先生「理解の足りねーお前らに俺が完結に説明してやる」



先生「お前らはゴミだ
今この学校は俺の『能力』によって完全包囲されている
こっから出る方法はない」

男「…?」

DQN1「はっ なにが能力だふざけやがって」

DQN1「じゃあこの5階の窓からも飛び降りることができないってか?」

そう言うとDQN1は窓に近づきガラスを開けようとした

先生「やめとけ」

DQN1「あん?」

ビリ…ビリリリリリリリ!!

DQN1「あがぁあがぁ!!?」ビクン

DQN1の手がガラスに触れた瞬間彼の体は黒焦げになった


「な、なんだぁ!?」「キャー!」

先生「だから言ったのに…」

男「感電したのか!?」

友「感電なんてレベルじゃねぇ…
雷に打たれたようなもんじゃねぇかこれ!」

ざわざわ ざわざわっ


先生「こいつが体を張って教えてくれたんだ
お前ら間違っても外に逃げようだなんて真似するなよな」


DQN2「あ…あ……」

DQN3「DQN1ぃ!!」

先生「一応、選ばせてやろう」

先生「死ぬか殺し合うかどっちがいい?」



先ほどまでのざわつきはなくなり、教室にピーンと空気が張り詰める

先生「よし、答えなかったってことは死にてー奴はいねーみたいだな
さあいよいよこれからが本番だ」

男「本番…?」


先生「お前らはただ殺し合うんじゃねぇ
ここに41本の注射器に入ってるクスリがある」

先生「こいつで人間を“越えろ”!」

先生は注射器を一本つかみ天井に向けた

友「人間を…超える…?」

男E「は、話についていけねぇよ…」

男B「く、クスリをうてってか?」

先生「くくく、その通りだ」

先生「こいつはオツムの足りねぇお前らにはちと難しいかもしれねぇが…
人間を根本から変える、そういう代物だ
こいつがあれば車より早く走れる奴やコンクリートの壁をぶち壊せる怪物に慣れる可能性もある」

男「ゴクリ…」

先生「そしてすでに俺は注射済みだ」


ざわざわっ!

「注射済み…」「じゃあやっぱりさっきの電気は先生が!?」「やだよぉ…怪物になんてなりたくない…」

DQN2「……」フルフル

友「?」

DQN2「この電気野郎!よくもDQN1を!!」ダダッ

友「あっ、おい!」

DQN3「くっ!俺も!こいつは許せねぇ!!」

男B「馬鹿野郎!!あんな電気起こせる奴に敵うわけねーだろ!」

先生「あ?なんだ威勢がよくて嬉しいぜ」

DQN2、3「うおおおおおおお!!」

先生「だがそれはうってからにすれば良かったなぁ…」ズズズ…

男「な、なんだ!?」

先生の体はねずみ色になりそのまま床に溶けた


先生「バカが…」

先生「俺は…セメント人間なんだぜ!!」

DQN2「!?」

溶けた先生はそのままDQN2の股下を潜り抜けDQN2の後ろで再び人間の形に戻り立った

DQN2「な、なんだこいつ…!?」

先生「死ね、」ズズズ

先生の左腕が巨大な針のように変わってゆく

DQN2「え?」 ズブッ

DQN2「があっ……ガハッ」ドサッ

先生「どうだ、これでもまだやるか?DQN3」

DQN3「あ…ああ…そんな…」


男「なんだよ今の…」

友「セメント…人間…」

先生「まあそう怯えるな
俺はあくまで監督役なんだ お前らを殺す為にいるんじゃねぇ
お前らにちゃんと殺し合いをさせることが俺の仕事だ
意味はわかるな?」

男「……………」

友「……………」

クラス全員が黙り下を向いた
少しでも気に触れることをしたら殺される
その不安が全員の頭に浮かぶ

先生「わかったみたいだな
なら俺のいうことを聞いていい子にするんだぞ
いいな?」

先生「まずは―」ガチャ

先生は教卓にアタッシュケースを置いた

先生「20分時間をくれてやる」

先生「注射をうってから効果が出るまでの時間はまちまちだ
だがたいていは10分で出る
つまりうってからしばらくはここで待機
それ以降は退出して学校内のどこにいても構わん
殺し合うならな
慣れ親しんだ校舎ならやりやすいだろうしな」

先生「さぁ注射器を持ってけ
一人一本だぞ、欲張るなよー」
ガチャガチャ

皆、黙々とアタッシュケースに手を伸ばす
中には注射器の中の液体を撹拌するものもいた


先生「おら、全部中身は一緒だっつってんだろ
お前らの体内で突然変異を起こすんだ
中身は一緒だが遺伝子レベルで同じ人間がいない限り能力はかぶらねーから安心しろー」


先生「よぉーし、全員持ってったな
じゃあ、挿せ」

男(いったいなにが起こるんだろうか…
これを打って本当に平気なのか?
不安だらけだ…)

男「もういっそ…」ボソ

友「…?」

男「いっそ死にたい…!」ボソ

友「…………」

ガシッ

男「友…!」

友「大丈夫だ、殺し合いだかなんだかしらねーけど…
一緒に助かろうぜ」

男「…………ああ!ありがとう」


先生「全員注射したか~?」


男「ゴクリ…」

ブスッ

男「うっ…!」

能力 無限油脂放出


男「はっ!」

友「よう、目が覚めたみたいだな」

男「無限…油脂…?」

友「ぶっ!ww」

男「おいなに笑ってんだよ!」

友「頭の中に突然書き込まれたような感じだよな」

男「ああ…
て、じゃあお前も無限…」

友「違う違う、俺はそんなんじゃない」

男「そんなんだと!?」

友「しーっ」

男「え?」

友「ここであんまり喋らないほうが良さそうだぜ…」ヒソヒソ

男「な、なんで…」

友「バカ!今から俺たちは殺し合いをするんだぞ
一人一人能力が違うのに能力がバレるなんてハンデもいいとこじゃねーか!」ヒソヒソ

男「た、たしかに」ヒソヒソ



先生「ふん 20分がたったみてーだな
じゃあこれより殺し合いを開始するぜ」


ドクン…!

殺し合い…昨日まで机を並べ黒板を写し共に学び、共に笑い合っていた仲間達
そんな仲間達による悲しく残酷な現実が今始まろうとしていた

教室が空になるのはすぐだった

それは当然といえば当然なのかもしれない
なぜならセメント人間が教卓に胡座をかいて座っているからである


男「はぁ…はぁ……」

友「ふぅ」

男「はぁ…はぁ…」

友「はは、相変わらず体力ねぇな」

男「仕方ないだろ…帰宅部なんだから」

男「まあだがこれでみんなからは離れられただろ…」

友「まあな…けどまさかさぁ…屋上に来るとは思わなかったぜ」

男「走ってたらいつの間にかな…
まあここなら背後を取られることもないしな」

友「……………」

男「どうした?」

友「いや…どうするよ、これから
もし本当に校舎全体に超高圧電気の網が張られてるなら俺たちは絶対出ることができないんだぞ」

男「……………」

男「それについてなんだけどさ」

友「ん?」

男「俺不思議に思ったんだけど先生は最初あの電気を自分の能力みたいに言ってたよな
でもあいつの能力はセメントじゃん?
能力を二つ持ってるってことか?」

友「たしかに…!それはどういうことなんだ…」

男「まあ今はそれよりお前の能力教えてくれよ」

友「いや、お前の無限油脂?ってのはなんなんだ?」

男「ああ、たいしたことないどころかひでーよこれ
見てくれ」ジワーッ

友「手から…汗?」

男「俺は身体中の汗腺から油を無限に出せるらしいんだ」

友「ぶほっww」

男「わ、笑うなよ!こっちは困ってんだよ!」

友「いやいや…まあどのくらいの量まで出せんだ?」

男「15秒でコップ一杯」

友「ぶほほっww」

友「心なしかなんかいつもより汗かいてね?ww」

男「や、やめろって!バカにしすぎだよ!」

友「わりぃわりぃw」

男「で、お前のは?」

友「俺のはな…」


ズズズ…ドゴォン!!

男「!?」

友「セメント……まさか!?」


先生「おらなにサボってんだお前ら」

男「くっ!なにしに来やがった!」

先生「あん?」ズズズ…

友「まずい!男!」


先生は溶けるとあっと言うに男の背後を取り体を元に戻した

男「え?」

先生「お前ら…約束、破りやがったなぁ」

友「男ー!!」

先生「死刑だぁ!!」ズズズ

先生の右腕がハンマーの形に変わっていき、その腕は男目掛けて振ってくる!

男「や、やば……」


ガキィン!!

先生「ほぅ…」

友「ぐっ…」

ギギギギギ


男「友…な、なんだそれ」

友は剣のようなものを握っていた

友「光の…剣だ」ぐぐぐ…

先生「なかなか…マブい能力じゃねぇかぁ!!」ぐぐぐぐ

友「男…俺の能力は光を物体として取り扱うことができるんだ
光を握って細長く丸めればこんな剣を作ることもできる…」

男「か、かっけぇ…」

友「わかったらさっさと助けてくれよ!男ぉぉ!」ぐぐ…

友は先生のハンマーを受け今にも潰されそうであった

男「くそっ、どうしたら…!」

男「くそ…なにも思い浮かばねぇ!
けど友を助けなきゃ!
ちくしょー!!」ダッ

先生「あ?」

友「ば、ばか!考えなしに突っ込むな!」

先生「ちっ」ズズズ

友「男!」

男「!」

先生は男めがけて裏拳を飛ばす

男「やばい!あんなのもらったら…!
でもかわせない!」

男「うわああああああああ!!」ブワァァ

先生「!?なんだこの油の量は!?」

男の顔面はもはや下の顔が見えないほど、油に覆われていた!

先生「くっ!止められねぇ!」

ベチャッ!

男「ぐぅっ!」 どさっ

友「男!大丈夫か!」

男「た、助かった…?はぁはぁ」

先生「ぐあああああああ!!油!?油がかかって…!」

先生の体には男の顔面を殴った際に弾けとんだ油が多量に付着していた

男「な、なんだ?あいつはなにに苦しんで…?」

友「先生をよく見てみろ…」

男「体が溶けたり固まったりしてる…」

男「そうか…!
奴は体の形を崩して移動や武器を作るが、多量の油というセメントとは混じり得ないものが入ったことで体をうまく固められないんだ!」

友「おそらくな
なら…今がチャンスなんじゃねーか?」スーッ

男「光が…目に見えるほどに友の手の中に…!」

友「ふっ!」シャキン!

友はそれを素早く混ぜ引き伸ばした
それが光の剣になった
そしてそれはさっきよりも長く、そして大きかった

友「さっきは緊急だったからな」

男「すげぇ…」

男は目の前の神々しく輝く剣に見とれていた

先生「ぐおおおおおおおおお!!!」ドロドロォ

友「行くぜ!」ダッ

先生「ん?な、なに…まて…!」

ドスッ!

先生「カハッ…!?」

友「よし、」

男「お、おおおお!!」


先生「ぐっ…」 どさっ

タッタッタッタッタッ

男「やった!やったんだ!」

友「ああ!先生を倒すなんて方法があったとはな!」

男「はぁはぁ、これで、みんなにこれ言えば、はぁはぁ」

友「わかったわかった
よし疲れた 少しここで休もうぜ」


男「はぁ…はぁ…良かった、本当に良かった…」

友「はは、お前と一緒にいてよかったよ男」

男「はぁはぁ…へへ」

「おい!」


友「!」

男「なんだ、誰だ?」

男B「俺だよ」

男「おお!Bじゃねぇか!」

友「無事だったか」

男B「ああ、ところで本当なのか?
先生を倒したっての」

男「ああ!俺たちで倒したんだ!」

男B「ほ、本当か!?やった!やったぁ!」ダダッ

男「おいどこに…」

友「ん?あいつ外に出ようとしてんじゃねーか?」

男「!?
まてB!まだそこは確認してな

バチチチィ!!

男、友「!?」

男「B…」

友「くっ…やっぱりな」

男「グルがいるってことか?」
友「ああ、どうやらそんなみたいだ…
たぶん電気はそのグルの能力だろうな…
かなり厄介だぞ」

男「くそっ!せっかく先生を倒したと思ったのに!」


友「…?」

友「おい男」

男「ん?」

友「あっちのほうから声がしないか?
誰かいるのかも…話し方が穏やかだからたぶん戦ってるわけじゃなさそうだ」

――10分前


男A「はぁ…」トボトボ

男A「俺ブサイクだし毛むくじゃらだしモテないしこの先まともに生きても意味ないよなぁ…」

男A「おまけにこういう状況になると、いつも一緒にいた奴らも俺おいてさっさと行っちゃうし」

男A「もういっそこの能力で世界征服でもしようかしら」トボトボ


「世界征服?」

男A「ん?」

男D「聞き捨てならねーなゴリラ」

男E「どんだけ能力が強かったのか知らねーがなかなか調子ノってんじゃねーか」

男A「ん?キミタチは女子にモテモテのリア充君たちではないですか」

男A「ああ、ムカつくなぁリア充」

男E「あ?殺すぞてめえ」

男D「つか殺すけどな!」ダダッ

男A「ん?D…手が巨大ナイフ、E不明と」

男D「なにぶちぶち言ってんだおらぁ!」ヒュンッ

男Dは右腕が変化した巨大なナイフを振るい男Aめがけて突進してきた

男A「おおっ、遅い遅い」ヒュッ

男Aは一瞬で男Dの頭の上に乗った

男D「なにっ!?」

男A「このまま乗ってたら首折れるよ…!?」ヒュッ

男Dの上に乗った男Aめがけて突進した男がいた

男Eだ


男E「ふぅー」

男A「速いな、E」

男D「あぶねぇ…死ぬとこだった」

男E「気を付けろ
あいつ俺並みにはえぇぞ」

男A「俺並み?」ピクッ

男A「言っとくが俺のほうが100倍速いぞ」ヒュッ

男D「うお!?はえぇ」

男E「おもしれぇ」ヒュッ

男D「早く捕まえろ!俺がそいつを串刺しにしてやる!」

パンパンパンパパン

男Aと男Eの激しい打ち合いが始まった

男E「くっ…!」

男A「よえぇな」ヒュン

ドゴッ

男E「ごはっ!!」

男Aの蹴りは男Eを向かいの壁まで吹き飛ばした

男D「―――な!?
男Eがスピード負けするなんて!」

男D「え?」

男A「どうだ?世界征服できそうだろ?」

男D「な、なんだ…その身体中のトゲはああぁ!!!」

ザシュ!

能力 針男

全身の体毛が針のように鋭く伸ばすことができる
針の体毛で空気摩擦をコントロールし瞬間最高速度130kmを誇る
また筋力も著しく向上している




男A「やっべ、もうクラスメート5人も殺しちゃった
まあ全部向こうから出ししかたないしかたない
俺は嫌われものなんだな~」トボトボ

男A「ん?うわっ女子だ…やだやだ
しかも3人もいるよ、なんで女子はあんなに固まりたくなるのかねぇ~」

男A「回り道しよ うっかり見つかったらゴリラゴリラ言われるもんな」



「キャー!」

男A「ん?悲鳴…さっきの子達か…?」

男A(女子から嫌われもの→能力強い→助けてあげる→キャーかっこいい)

男A「んんwwま、まあ悪くないか」

女J「来ないでぇ!」

女G「いやぁ!!」

キモオタA「ぐへへぇ、まさしくこの能力は天からの恵み…」

女C「こ、この!私の能力知ってるの!?」

キモオタA「お前みたいな茶髪ビッチには興味ないや」

女C「は、はぁ!?これ地毛なの!」

キモオタA「さて、G美たんJ子たんかわいがってあげるからねぇ…ぐへへへぇ」

女C「こんの~!私の能力は発火なんだから!こんなキモオタ…ん?影…」

バッ

男A「キモオタA、むりやりはよくないぜ」

キモオタA「な、なにぃ!?上から降ってきた!?」

女G「げっ、ゴリラ!」

女J「うわぁゴリラがカッコつけてる…」

男A「うん…そんな反応だと思ったよ」

キモオタA「あれ?泣いてね?ww泣いてねお前ww」

女C「ゴリラ…なにしに来たの?」

男A「まあ…一応、助けに…」

女C「いらないっつの!こんな奴私が…」

男A「あぶねぇから下がってろよ」

女C「…えっ?」

キモオタA「ほほぅ、かっこいいね~
だが君も結局僕と同類なんだよ!」



どさっ

キモオタA「」

男A「ふぅ」

女C「…すごい……」

女G「ゴリラ!見直した!ありがとう!」

女J「ねぇ私たちのガードマンしてよ!」

男A「え!?あ、ああ…うん」

女C「……………」

女G「やったぁ!ありがとう!」

男A「あは、あはは」でれでれ


女G「ちょっとトイレ~」

女J「私も~」

女C「あ、じゃあ私も…」

男A「はいよ~」

女C「ふぅ…」ジャー

ガチャ

女G「まさかゴリラがあんな強いなんてねー」

女J「ちょうどいいガードマン見つかったね~
本当良かったぁ」

女G「でもあんなでれでれしちゃってさぁ
キモくなーい?」

女J「きもいきもい~
なんか俺がこいつらを守った!みたいに思ってそう」

女G「ね~
ゴリラのくせに勘違いすんなって感じだよね~」

女C「………………」

女G「あ、C子出たー」

女C「ん、行こっか」


男A「おう、遅いじゃねぇか」

男「ん、おいやっぱり…」

友「ああ、Aだったな
と、女子3人か」


男「よぉ」

女G「あー!男ー!生きてたんだぁ!一番最初に死ぬかと思ってたのに」

友「失礼すぎんだろw」

女J「友くんのことだから能力すごい強そう~」

友「ん?俺の能力はね~」




男A「………………」

女C「ププッ…」

男A「おいなに笑ってんだよ」

女C「あんた、自分が助けたあの子達が自分に惚れたとか思ってたでしょ」

男A「なっ!?ななな!!」

女C「大丈夫、みんな気づいてるから」

男A「あ…え!?ああ……そうだよなぁ
俺なんて嫌われものだもんな
ただの毛だるまゴリラだもんな」

女C「………………」

男A「はぁ…」

女C「わ、私は…毛深いの男らしくて、あの…良いと…思うけどなっ!」

男A「男って意外とモテるのかな…はぁ
あいつは同類のオーラだったのになぁ…」

女C「~~っ!
バカゴリラ!」

男A「え!?な、なんだ…」

男「て、ことで先生は倒したんだ」

女J「え、すごぉい」

友「まあかなりやばいとこもあったけどな」

女G「てか男の能力きたなーいww」

男「う、うるせー!」

友「でももしかしたら最強かもな!」

はははははははは


男A「………………」

女C「………………」

男A「なんで殴ったの」

女C「ふん!」

「男ってニキビ絶えなさそうだよねぇ」「い、1個もないわ!」「ははははは」


カツーン カツーン カツーン

男A、友「!」

男「ん?」

友「…この音は…?」

女G「ご、ゴリラ!」

男A「…おう」



男H「あらら、そんなにかたまっちゃって…」

女M「バカ丸出しね」

男「なんだ…お前らか
喜べ先生は倒した」

友「もう殺し合うことない…て言いたいがまだ一つ問題があるんだよ」

男H「なんだよ、問題って?」ニヤニヤ

女M「気になるな~」ニヤニヤ

女M「問題ってもしかしてこれのこと?」パリッ

バチバチィ!


男、友「!?」

男A「あれは…教室で見た…」

女C「先生の能力の電気の壁があるって言ってた奴のこと…?」

女M「たぶん先生と直接戦った男や友君ならもうわかってると思うけど…」

バチバチ!バチバチィ!

女M「この能力って先生のじゃないんだよねぇ」

男、友「やっぱりな…」

男A「ん…?」

女C「どういうこと?」

男「先生以外に敵が…というか先生にも仲間がいたってことだ」

女C「!?」

女M「そういうこと」バチバチ

男H「てことはつまり?」

男「お前も先生の味方ってことかH」

男H「そゆこと~」カツン


女M「で?あなたたちはどうしたいんだっけ?」バチチチ

女M「出たいのよねぇ?こ・こ・か・ら」バチバチバチ

男H「倒してごらん?俺たちをさ、先生のときみたいに…ね?」

男「くっ…」

友(電気か…あの壁と同じ威力が出せるとしたらまず勝ち目はない…)

男A(2人とも能力のプロってとこか?
2分だな)

―別棟


ズズズ…ズズズ… ズズズズズズ…

男Y「ぁが…」

男Z「うぅ……」

女U「あぁ…っ…」

DQN3「ち…ぉ……」

キモオタC「ぐぁっ…つ…」

女P「走れ!!走れよ!」

女O「はぁ…はぁ…もぉ無理だよぉ…!」

女P「殺されてもいいのか!?」

ヒュッ ガシッ

女子よりか細い腕が女Pの首を掴んだ

女P「あっ!」

キモオタB「いいねぇ…その顔
そそるよホントに
いやマジでさ、僕気の強い女を昔っから犯したかったんだよね」

女P「くっ…この…!」

ドスッ

キモオタB「ゴメンね、痛くないや
でも君にはいっぱい痛い思いしてもらうよ ウフッ」

女P「いやっ…いやぁぁぁぁぁぁ!!!」

友「男!!」

バチバチィ!

男「ガハッ…」 どさっ

女G「キャー!!」女J「キャー!!」

女C「ちょっと静かにしててよ!」


男A「ふむふむ 男、お前の犠牲は無駄にしない」

男H「ゴリラぁ、なかなかの自信の乗った面構えじゃないか?」

男A「スパイのお前に俺をゴリラだなんて呼ぶ権利はねーよ」

男H「まあそうかもなぁ」カツン

男A「お前の能力はなんだ?」

男H「そう簡単に教えると思ったか?
骨、さ」

男A「骨?」

男H「こういうこと!」ズババババッ

男A「これ…は!」

男Hの服がボコボコと盛り上がってかと思うと、その下から白く丸い物体が男Aめがけて勢いよく飛んできた

男A「これが…骨…!」ヒュン!

男H「速いな…」

男H「なら次は20発だ!」ズババババッ
ビュンビュンビュンピユンビュン

男A「威力はありそうだ
でも…遅い…!」ヒュン

男Aは骨弾丸の飛んでくる中、男Hに向かって突進した

男H「なにっ!?弾丸を避けて向かって…」

バコッ!

男Aの拳が男Hの顔面に突き刺さる!

男H「ぐあぁっ!!」

男A「勝負ありだな」

男H「ふっ…甘いな」ズババババッ

男A「それはもう効かないって…!?」

男Hの骨弾丸は男Aだけではなく、全方向に打ち出された
それが意味することは…

男A(あんな弾丸が当たれば命も危うい!)

男A「くそっ!間に合えぇ!!」

男H「無駄だ…お前がいかに早くても…」

友「なんだ!?」

女J「え?」

女G「なんか飛んで……」

女C「え…?」

ビュンビュンビュンビュン!!


男H「無理だ」

男A「間に…合わせる!!」

男Aの体は長い針のような体毛で覆われた

ババババババババ!

男H「バカな!弾丸を空中でとるなど!?」

男A「あと一つ…!」ズキン

女C「だめ!避けられない!」

男A「くっ…間に合わ…ない!」

女C「いやぁぁぁぁ!!」

ぬちょん

女C「え…?」

ぬる…ぬる……

男「……………」

男H「な、なんだあれは!?
バカな!真正面からでは威力が高い為当たった瞬間手でいなしたというのか!?」

男A「やるじゃねぇか…」スタッ

男「体が勝手に…」

友「すげーな今の!」

男(これならどんな攻撃でもいなせるんじゃ!)

女M「チッ なにやってるのよ!」バチバチ!

女Mは手を振るとブーメランのような形になった電気の塊が飛んできた

友「男!また電気だ!」

男「うわっ、やべぇ!」

バリバリバリィ!

男「ぎゃん!」

友「男!!」

男「」どさっ

女M「ふん」

女C「でも、おかしくない?
あんな触れただけで、黒焦げになるほどの高電圧をかけられるのに、男はさっきも電気をあびてた…」

友「たしかに…」

男A「つまり手加減してるってことか?」

友「いや、今奴らにそんな余裕はないはずだ…」

友「A、お前のスピードを目の当たりにして奴らは驚いてる
本気でかかってきてるはず」

男A「ならなんで男を黒焦げにしない?」

友「あいつ一人で校舎全体を常に電気の壁で包囲してるとしたら?」

友「能力のキャパシティオーバーだ」

男A「なるほどね」

男「つ、つまり」むくっ


女M「なっ!?」

男「Mちゃんは全力を出せないってことか、いてて」

友「男!」

女M「そんな!いくらなんでもあそこまで効かないわけが―」

男「油って…電気を通しにくいらしいぜ」

女M「まさか…絶縁油を…?
だとしたら私は…」

男H「取り乱すなM!」

男H「とりあえずこいつら全員を消すことだけ考えろ!」ズババババッ

友「また骨か!」

男「友!なんとかしろ!」

友「任せろ!」ピュンピュン

女G「わぁ…光が友君の手の中で…」

女J「きれい…」

男A「へー
な、なかなかかっこいいじゃねぇか」

友「光の、壁!」

友の手の中で混ぜた光をめいっぱいに広げると、それは全員を巨大な壁になった

友「みんなここに隠れろ!」

男H「なにっ!?なんだあの壁は!?」

ドガガガガガガガ!

骨弾丸は壁に当たったがその場に落ちていった

友「よし!」

女G「すごいすごい!」

男「さすがだな」

男A「よし、じゃあまずはHから潰してくるか」

女M「くっ…このぉぉぉぉ!」

バシャーーーーー!!!

男「な、なんだ?」

友「水?」

男「あれは…!?」

女Mの横には水道管らしきものがあり、それは亀裂が入っていた

バシャーーーーー!!

男「あいついったいなにを…?」

友「水で目眩まし?いや…」

男A「水…電気…感電だ!」

女G「え?」

男「やばい!この量の水は…」


女M「全員死ねぇえええええ!!!」バチバチバチィ!!

友「くそ、これじゃあ…避けようがない!」

男「俺だけ助かるってのか、なんとかみんなを…」

男A「動くな!」

男H「!」

男A「男以外は俺が離れたところに持ってく!」

男Aは再び針男になり、目にも止まらね猛スピードで走り抜けた

男H「逃がすかぁ!」ズババババッ

男Hは骨の弾丸を縦横無尽に放つ

男A「くっ…!」


バチバチバチバチバチィ! ドドドドドドドン!






男「う…」

男A「よぉ、ここまで来れば大丈夫だろ…」

友「お、おいA!お前左の肩…!」

女G「ひぃっ!肩に穴が…!」

男A「気にすんなって…たいしたことはない」

女C「や、やばいってそれ!」

男A「だからたいしたことないって…」

女C「私たちを守る為にあの中を潜り抜けて来たの!?
骨と電気の中を!?5人も担いで!?なんでそこまで…
見捨ててればあんたならもっと簡単に逃げられたのに!」

男「そ、そうだ!俺まで拾って…」

男A「骨が…危ないからな」

女G「ゴリラ…」

男A「お前らを、見殺しなんて俺にはできないよ」

男A「まあ…みんな助かってよかったよ」

バチバチバチ!

男A「!?」

男「あっ」

突如、男Aと男の間を電気の槍がすり抜けた
そしてそれは女Jの胸を貫いた


女J「ガッ…!!」ビクンビクン

ドサッ

男A「あ…ああ…」

男「おい!しっかりしろ!Jちゃん!おい!」

友「おいお前ら!また…来たぞ…」


女M「逃げちゃだめって言ったのにねー」

男H「今度こそ全員殺してやる」

男A「あ…あ……」ドクン…!

男「A…?」

男A「うおぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

彼は一般男子より容姿がやや悪く
一般男子より体毛がかなり濃かった

その外見から『ゴリラ』と呼ばれ男子には笑い者にされ女子には影で蔑まれてきた

此度の殺し合いでは、学校で一緒にいた友達に最初に命を狙われた
理由は『いなくてもいい』から

彼は『いてもいなくても変わらない』
影が薄いのではなく、その場にいないと影響力がなかったのだ


そんな彼が居場所を見つけた気がした
相変わらず蔑まれてはいても、『自分が命を救った』
それは一度は世界征服などと、ダークサイドに堕ちかけた彼を光の道へ救済した

彼の能力は針男

男A「殺す…!!」シャキンシャキンシャキン

男H「身体中から鋭い針が…」

男Aの体はまさに針ねずみのように針に包まれた
しかし関節部は健在であり、その速度はもはや人間の目で追えるものではなかった


男H「は、速い…さっきよりも遥かに…!!」

男H「くそ!こんなことが…あり得ない!」

男H「ありえな ブチッ

ドサッ

男「く、首を…もぎとった…」

女M「!」

女M「くっ!今度はこっち!?
だったら…」バチバチバチバチバチィ!

女Mは体の周りに電気をまとった!

男A「あ゙ああああああ!!」

女M「ま、まさか…」

男「お、おい…あいつあのまま突っ込む気か!?」

女C「だめぇ!」

友「ふっ!!」ピュン!

女M「ひ、光の矢!?」

友は光の弓を持っていた
女Mの方には光の矢が飛んでいった

友「はじめからこうしていればよかったぜ
思い付きが悪くてすまん…」


ドスッ

女M「ぐあっ!」

女M「ああ…まだ死ねない…まだ…」

ドサッ



男A「ふー… ふー…」

男「A…落ち着いたか?」

男A「あ、ああ…」

男A「でもJさんが…」

友「お前のせいじゃない…」

女C「そ、そうだよ!
あんたは精一杯守ってくれた!」

男「A…ありがとな
お前がいなければみんな死んでた」

友「ありがとう」

女C「ありがとう」

女G「あ…ありがとう…」

キモオタB「なんだなんだ
2対1じゃないと勝てないのか?」

女V「そりゃあんたみたいな不気味な奴一人で相手したくないわ」

女Q「てかなんかズボンもっこりしてない?」

キモオタB「くく…これはなぁ」

女V「?」

キモオタB「こういうことさ!!」ジャラララ

女Q「釘…?」

女V「いったいなにを…え…?」

キモオタB「うふっ 死ね」


女Q、V「きゃ、きゃあああああああああ!!」

ザクザクザクザクザクザク

男「だけどこれで電気の奴は倒せた…」

友「そうだ!これで今度こそ外に出られる!」

男A「なら、出てみるか…?」

男「!」

男「たしかに試しに出てみよう、でまだ電気があって死んじまったんじゃシャレにもならない…」

友「ようは物体が窓やら扉やらに触れればいいんだろ?」

男「そうか、お前なら…」

友「俺が光で人形のものでも作って壁に当てる
それで確かめられるな」

男A「ああ、たしかにな」

友「よし、」ヒュン ヒュン

男A「……………」

男「………………」

女C「……………」

女G「……………」

ゴクッ…

5人に緊張が走る
早く校外に出たい、その気持ちがさらに緊張を駆り立てる
しかし、


友「うっ!」チカッ

男「どうした?」

友「いや…すまんもう一回…」

友「ふっ」ヒュン ヒュン

友「よし、できた」

友「いけっ」

バチバチバチ バチバチィ!

男A「!?」

男「やっぱりか…」

友「え?」

男「殺さないと、ダメなんだ」

友「!」


女M「うぅ……」

男「あいつを殺さない限りここからは出られない」

女C「殺…す…」

男A「俺がやるよ」

女C「!?」

友「いや、俺がやる
もともとこいつを倒したのは俺だ
止めを刺さなかった俺が悪い」

男A「俺はHを殺してるんだ
友、お前まで手を汚すことはないよ」

友「ゴリラ…」

男A「俺がやる」

友「…わかったよ、頼んだぞ」

男「A…悪いな、お前にばっかり損な役回りさせてよ」

男A「気にすんなって
こういうのが向いてるんだ俺は」

ズズズ…

男A「よし、さあ覚悟しろよMさんよ」

女M「うぅ…」

ズズズ…


友「なんだ…?この音は…?」

ズズズ…

男「砂の流れる音?いや…もっと重い…」

女G「な、なに…?」

ズズズ…

男「まさか…セメント!?」

友「そんなバカな!?」

女C「え!?先生は倒したんじゃ…」


ズズズ…ザザァ!!

先生「馬鹿野郎どもがぁ!!
この俺がそんな簡単にくたばるわけねーだろうが!!」

ザザァ…ザァァァァァ!!


たちまちセメントは天井いっぱいの波になった
そしてそれは廊下の幅いっぱいになりそのまま男たちの方へと向かってきた…!

なるでセメントの津波である


男「う、うわああああああ!!」

友「くそ…壁を…」ヒュン

男A「そんなんじゃ間に合わねぇ!!」

男「な、なんで…っ!」

友「そうだ!奴は男の油と混合して体のコントロールができなくなったはずなのに!」

先生「能力の進化さ!
お前らゴミどもにはわからんだろうが、俺の能力は常に進化している!
俺は油を取り込むことで更に潤滑な動きができるようになった!」

ザァァァァァ!!

友「なにぃ!?」

先生「さらにはコンクリをぶち壊せ粉々にすることで、俺の体と同化もできるようになったぁ!
この津波はその恩恵を受けたからだぜ!」

ザザァァァァァ!! ザァァァァァ!!

男「そ、それじゃあ…」

友「今の奴は無限の質量を持っているってことか!?」

男A「コンクリートを分解して同化しちまうだなんて…」

女G「か、勝ち目がない!」

先生「おらおらぁ!鬼ごっこは楽しいかぁ!?」

男「ゼェ…ハァ…ゼェ…ハァ…」

友「ダメだ!これ以上は男が走れない!」

男A「くっそ!」

女C「一つ…思い浮かぶ策があるんだけど!」

友「なんだ?」

女C「私の能力で先生を燃やし尽くす!」

友「燃やすだと…?」

男A「お前の能力はそんなに広範囲に届くのか?」

女C「う、うーん…」

男「いや、任せろ」

友「男?」

男「俺とCちゃんで奴を焼き尽くして見せる!」

友「おお!」

女C「え?あ…うん」

男A「大丈夫か?お前らで…」

男「とりあえず奴を人間の形に戻さなきゃかなり厳しい」

女G「どうするの?」

友「じっくり考えてる暇はないぞ!」

ザァァァァァ!!

先生「おらおらぁ!」

男A「二手に分かれよう」

友「なに?」

男A「賭けになるが人数の多い方に来ると踏んで男、Cさんと俺らで分かれる」

男「それでこっちに来たら…」

男A「そんときはそれまでだどの道このままじゃみんな死ぬんだ」

男「で、そのあとはどうする」

男A「そのあとはお前らに任せる」

男「んな無茶な!」

友「おいそうこうしてるうちにここで分かれなきゃもうあとは一本道だぞ」

男A「じゃあな男 あとは任すぜ」

男「え?ちょっとまっ…」

ダダダッ

男たちは二手に分かれた

先生「んん?なんだ?こざかしいな
ふん…なら、まずは俺を油まみれにした男!お前からだ!」

ザァァァァァ!!

男「えええええええなんでだぁ!」

女C「いやぁあ!!」

男A「おい糞先公!!」

先生「あん?」

男A「俺が怖いからって弱いものいじめか?あ?」

先生「なにぃ~?」

男A「セメント人間も腰抜けなもんだなぁ!」

先生「貴様ぁぁぁ!!!」

ザァァァァァ!!

先生は男たちの方へと向かっていたが、進路を変えると男Aへ猛スピードで向かってきた


男「A…!」


男A「おらぁ!俺が相手だ!」

友「二手に分かれたのはいいがこっからどうするんだ?」

男A「こうするんだよ」シャキンシャキンシャキン

友「なっ!?まさかあの津波に真っ向から行こうってのか!?」

男A「男とCさんは足手まといだから分かれさせた
Gさんを頼むぜ、友」

友「お、お前…」

男A「こいつは俺が殺す…!」

先生「なるほどなぁ…俺と一対一をしたいとは…」

先生「面白いなお前!
俺もちょうどそろそろ手応えのあるやつと闘いたかったんだ!ははははははは!」

女G「ねぇ、友君…」

友「ん?」

女G「ゴリラって、意外と頼もしいんだね…」

友「………ああ!あいつは良い奴だ」



先生「さぁ来てみろ Aよ
この俺相手にどう闘う?」

男A「ふっ!」ヒュッ

先生「速い!」

男Aは津波の先生に一瞬で近づき蹴りをかました

パァン!

男A「…どうだ!」

先生「ふっ、残念だったなぁ…」

男A「なにっ…!?」

男Aの足からは血が出ていた

男A「取り込んだコンクリートを表面に…」

先生「そうだ 粉々にしたコンクリートは俺の体表面に散りばめた
こうすることで物理攻撃をほぼ遮断できる」

男A「くっ…!」


友「ゴリラ!加勢するぞ!」

男A「来るなぁ!」

先生「ふっ」ニヤ

ズズズ…ザァァァァァ!

先生は男Aのピンチに駆けつけた友がいなくなったことで、がら空きになった女Gの方に攻撃をしかけた

女G「え?」

友「しまった!」

男A「くそ!」シュッ

ズドォン!!

鈍い音が響いた
男Aが壁にめり込んでいた

男A「が…ぁ…」


先生「ふん 弱者を守ろうとするなんぞ弱者がすることだぜ」

友「てめぇ!!」

先生「ん?」

友「うおおおおお!!」ギリギリギリ

友は光の弓を作り出し、それを構え先生に標準を合わせた

先生「無駄だ!そんなもんでコンクリを貫けるわけねーだろ!」

友「うあああああ!!」ピュン!

光の矢は先生めがけて飛んだ

ガキィン!

先生「効かねぇな」

友「くそぉぉぉぉぉ!!」ピュンピュンピュンピュン!!

先生「球数を増やしてきたか…
だが効かねぇ」

ガキィン!ガキィン!ガキィン!ガキィン!


友「はぁ…はぁ…」

友「うぉぉぉぉぉぉ!!」ヒュンヒュン

先生「あん?」

先生「なにぃ?!こいつ…超巨大な弓矢を作ろうと……!」

友「うっ!」チカッ

友「うおぁぁぁぁぁぁぁ!」ギリギリギリ

友の作り出した光の弓矢は全長2m、矢先は直径20cmを超える巨大サイズだった

友「はぁ…はぁ…」チカチカチカ

先生「馬鹿野郎…そんなもん打ち込まれたらコンクリも貫かれんじゃねーかぁ!!」

ズォォォォォォ!!

先生は波から拳を作り出し友の方へ伸ばした


友「はぁ…はぁ…」チカチカチカ

友「うっ…!?」ギリギリギリ

友「な、なんだ?」カラン カラン

先生「あ?」

友「なにも…なにもなくなった…」

先生「なに言ってやがる?」

友「どこだ!おいどこだ!?セメント人間!」

先生「真ん前にいるじゃねぇか」

友「!?」

友「おい!なにをした!ちくしょー!何も見えねー!」

女G「と、友君!?」

友「G!?どこだ!?G!」


先生「どうやらこりゃあ…能力の乱用による副作用か?
まあそりゃそうだろうな!あんな目の前で光を集めに集めてればな!
そりゃあ網膜でも焼かれちまったんじゃねぇか!?ははははははは!!」


女G「友君!?大丈夫!?」

友「なにも…見えてないのか…?
視力がなくなったのか?俺…」

女G「友君しっかりして!友君!」

女G「友くん!友くん!」

友「ああ…終わった…」


先生「ふん やっぱり他愛もねぇな」

男A「おい」

先生「あ?」

壁にもたれ倒れたまま男Aが先生に話しかけた


男A「まだ終わってねぇぞ」

先生「………………」

先生「ほほぅ…その状態でよくそんな口が聞けたな」

男A「ちょっと…休んでただけだ…」

先生「ふ、ふははははははははは!!」

男A「もっかい遊ぼうぜ」

「無茶するなよ、男A」

その声は先生の後ろから聞こえた


男A「!」

先生「その声は…」


男「待たせたな」

女C「ご、ゴリラぼろぼろじゃん!」

男A「お前ら!」

男「A、よくやってくれた」

男A「ったく…おせぇよ」


先生「ほう、再び俺の前に出てくるとはな…
いい度胸だ!なにをしてきたか知らんがお前みてーなベトベトは、死ね!」

男「なにを、ってこれさ」

男は瓶を取り出した それにはいっぱいに油が入っていた

どれくらいの時間をかけたんだか

先生「また油で俺の体を狂わせようってかぁ!?
もうその手は効かないと言ったはずだ!」

男「そうかよ!」ブンッ パリーン

ぬちゃあ

先生「無駄だと言ったろうが!
こんなものすぐに取り込んでやる!」

割れた瓶の中には一本の糸が入っていた
そして男はその糸を引っ張り

男「今だ!いけ!」

女C「オッケー!」

シュボッ

女C「私の能力は発火だよ!先生!」

女Cが男の渡した糸に火をつけた

先生「な、なんだ?」

ボォーーーーー!

その糸の先につけられた火は糸を伝ってどんどん燃えて行く

男「その行き先は…」

先生「まさか…!!」

男「あんたの取り込んだ体の中だ!」

ボォーーーーー!

先生「くっ!もう炎が…!ぐああぁぁぁぁぁ!!」パチパチィ
ゴォウ!!

先生「うわあああああああ!!!」

男「先生よぉ、あんたがコンクリでも油でもなんでも取り込む、なんて自慢気に言ってくれたから思いついたんだぜ」

女C「成功!」

先生「バカな!?こんな…」

ボォーーーーー!!ゴゥ!!

男「ほらよ!もう2発くれてやるっ!」

ブンッ パリーン パリーン

先生「ぐあぁぁぁぁ!!やめろぉ!」

先生「ぐぉぉぉぉぉぉ!!」

男A「おい!こっちに来るぞ!」

男「抜かりない」 ピッ

ゴウンゴウン…ゴウンゴウン…

男A「防火シャッター!」


先生「貴様らぁぁぁ!!」ボォーーーーー!

先生「許さん…許さん…!」ボォーーーーー!


ガシャーーーーーーーン

男「今度こそ…やったぞ!」

男A「はは、お前には謝らないとな」

男「え?」

男A「俺は先生を一人で倒す気でいたんだ
お前らを足手まといだと判断して、二手に分かれようだなんて言ったのもそれが理由だった」

男「ん?ああ…まあたしかにその場にいても足手まといなのは事実だけどな」

男A「いや、今回は男が倒したんだ
ありがとうな」

男「何度も助けてもらったしお互い様だ」

男「それより…友はどうしたんだ?
ひどく落ち着きがないが」

男A「………………」

女C「…?」

男「そうか…」

男A「すまん…俺の意識が飛んでる間に…気づいたら」

女C「友君…」



友「なあどうなったんだ?
先生の声はしなくなったし、やけに静かになったけど」

女G「男が…倒したんだよ、先生を」

友「本当か!?良かった…男!いるんだろ返事をしてくれ!」

男「ここにいるよ」

友「!」

友「そうか…すぐ近くにいたのか
見えないから気づかなかったよ…」

男「友…みんなを守ってくれてありがとう!」

友「男……お前…」

友「ああ、任せろ…!何度でも守ってやる!」

キモオタB「面白いことを聞かせてもらった…」

女A「ぁが…痛い…痛いぃ……」

キモオタB「つまりうちのクラスには先生の仲間、いわゆるスパイが数人紛れこんでたってわかぁー
まったく気づかなかったよ」ぐぐぐ…

女A「あ゙あー!!!」

キモオタB「しかも校舎全体の電気の壁は先生ではなくスパイの能力かぁ…」

キモオタB「不思議だなぁ その『世界の意思』って奴らはなぜ君らスパイと僕たちを戦わせようとしたんだろうね?」ぐぐ…

女A「わわ゙わがらない!痛い!痛い!」

キモオタB「ふぅーむ…」

キモオタB「わからないわけないよね?」ぐぐ… ずちずちっ!

女A「あ゙あ゙あ゙あああ!!!」

キモオタB「きっとキミタチスパイはいわゆる噛ませ犬だよね
ほどほどに強い能力なんだろうけどさ、
世界の意思のやつらはキミタチを倒せるようなスーパー能力者が欲しいんだろうね
何人かいれば世界征服もできるような…ね」ぐぐ…ぐちゃ!

女A「ギャア!」 どさっ

キモオタB「うふっ」

友「男…このあとどうするよ?」

男「ああ…先生が現れたせいであの電気女が消えちまった」

男A「まだ動ける元気があったってことか…」

男「探し出すしかないってことか…」

男「けどこっちの今の状態は…」

男(友は失明、男Aは左肩の穴は出血は止まったがいかんせん傷が大きし、体の他の部分もボロボロ…
まともに戦えるこの二人がこれじゃあ…)

男「今歩き回るのは危険だな」

女C「ま、待って…これ…血?」

先頭にいる女Cの足元に、血液らしきものが何滴かたれていた

男「!」

女G「わっ!本当だ!」

友「血か…近くで殺し合いがあったってことか?」

男A「しっ…なんか聞こえるぞ」

グルルル…

友「獣の…声?」

グルルル… グルルル… グルルル…

女C「回りから聞こえる…!」

男「な、なんだ」


ガアッ! バァン!

すぐ近くの教室からオオカミ、のような動きをしたかつてのクラスメート達が出てきた

男「なっ!?」

男A「4…匹?人…?」

女D「グルルル…」

女C「Dちゃん…!?」

女D「ふふふ…不思議そうな顔」スッ

オオカミのようなポーズをしているうちの一人が立ち上がった


男「な、なにやってんだよお前ら~」

男「オオカミごっこなんて幼稚園…

バッ!

一匹のオオカミが男の首元に飛びかかでてきた!

男A「男!」

男「うわぁっ!」サッ

男「あ、あぶねぇ…なにすんだよ男L!」

男L「グルルル…」

男「…!?」

女D「この子達…うちのペットちゃん」

グルルル… グルルル… グルルル…

3匹のオオカミ人間は女Dの足下に寄る

男「ペットって…まさか能力!?」

女D「そう うちがオオカミになって殺した人間はみんなこうなるの
しかもうちがリーダーだから言うことをなんでも聞くしねぇ」

男L「グルルル…」 男R「グルルル…」 女I「グルルル…」


女G「L君にR君にIまで…!!」

女D「ふふ、群れは強いよぉ?」

女D「いけっ!食い殺せ!」

男「くそっ!」

男(やばい!まともに動けるのは俺と女子2人!
どうする!)

男「油まきっ!」

ぬちょ

男L「キャウン!」ツルッ

女I「キャウン!」ツルッ

男R「キャウン!」ツルッ


男「よっしゃ!」ぬりぬりぬりぬり


女C「なんて恥ずかしすぎる闘い方…」


「キャウン!」「キャウン!」「キャウン!」

女D「………………」イライラ

男L「キャウン!」ツルッ
女I「キャウン!」ツルッ
男R「キャウン!」ツルッ



今日一番ワロタwwwwwwwwwwwww

女D「ふざけるのも大概にしろぉ!!」タタタッ

男「!」

女D「グルルル…ガァッ!!」

女C「ばか!」

女C(間に合わない…!)


女Dは一気に距離を詰め、そのまま男の首元に飛びかかった!

女D「ガァッ!!」

パシッ

女D「!?」

男A「危なっかしいな、男」

男「A…!わりぃ」

女D「グルルル…」 シュタ

女D「速いな…」

女D「でも…後ろから3匹が来てるのには気づかなかったみたいね」

男「!!」

男Aの両足、左腕には3匹がしっかり噛みついていた

男「A!」

男A「はぁ…はぁ…くそ…
噛み癖の悪い奴らだな…」

男A「ふーっ…」シャキンシャキンシャキン

女D「!」

「「「ガウゥ!」」」シュタ

男Aはオオカミをはらうように針を出すとため息をついた

男A「お前ら…一瞬で片付けるぜ…」

女D「面白い…!」


一瞬だった

飛び出した男Aはまず、女Dの左側のオオカミの頭を押さえ床に叩きつけた
頭が弾け、脳みそが吹き飛び、人間としての顔の原型はなくなった
続いて女Dの正面に立つオオカミの顔を蹴り飛ばし20m先の壁まで吹き飛ばした
壁に当たりオオカミの、いや彼女の頭は血まみれ、首はガクンと折れた
そして女Dの右側のオオカミは手刀で首を切り落とした


ザン!

男A「ふーっ…」


この間わずか4秒

女D「あ……あ……」

女D「ば、バカな…」パクパク

ドスッ

唖然として口をパクパクする女Dを横目に、彼女の心臓を針で刺した


男A「…はぁ…はぁ…」

男「す…」

女G「すごい…」

女C「…………」ドキン


友「なんだ!?なにが起きた?オオカミはどうしたんだ?」

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