ミサト「あそこさえ潰せば時間は稼げる。いい? シンジ君?」
ミサト「これは日本の命運が懸かった作戦なの。失敗は許されないわ」
シンジ「……はい」
ミサト「アスカも、レイも。いいわね?」
アスカ「そんなの分かってるわよ」
レイ「……」
ミサト「では、本作戦でエヴァが随伴する部隊を紹介するわ」
シンジ「ず、随伴!?」
アスカ「ちょっとどういう事よミサト! 私達じゃ役不足だって言うの!?」
ミサト「私は貴方たちを信じているわ」
ミサト「でもそれとこれとは話が別よ」
アスカ「どういう事よ?」
ミサト「これはBETAの地球侵攻が始まって以来……明星作戦に次ぐ規模の大反攻作戦よ」
ミサト「従ってこの作戦は帝国、NERV、そして国連の共同作戦になっているの」
シンジ「帝国はまだしも……国連ですか?」
ミサト「この作戦を考えたのも、国連の人間よ」
アスカ「ふん、大したことないわねそいつ。ただの軍隊なんて今更役に立つ訳ないじゃない」
シンジ「誰なんですか? その国連の人間って」
ミサト「……国連太平洋方面第11軍 横浜基地副司令――」
リツコ「香月夕呼博士よ」
ミサト「!? リツコ? 会議はもういいの?」
リツコ「えぇ。さっき終わったわ」
シンジ「有名な人なんですか? その香月博士って」
リツコ「……そうね、これから有名になるでしょうね」
シンジ「?」
リツコ「ミサト、技術責任者会議の件と合わせて、話しておきたい事があるわ」
・・・・・・
・・・・
・・
冬月「凄乃皇……そして00ユニット」
冬月「よもや完成する事になるとはな」
ゲンドウ「……」
冬月「いいのか碇」
ゲンドウ「……あれは計画の妨げにはなりませんよ」
冬月「しかし――」
加持「副司令の仰る通りです」
冬月「っ!?」
加持「司令。こちらを」
ゲンドウ「……」
冬月「因果律量子論による……多元宇宙考察……」
加持「国連の香月博士の研究のようです」
加持「……そしてその研究に、00ユニットが深く関っている」
冬月「まさか、オルタネイティヴ計画そのものが……」
加持「副次的な産物である可能性があります」
冬月「真の狙いは世界間移動か……?」
加持「さぁどうでしょう。しかし、ゼーレが黙っているとは思えません」
ゲンドウ「……」
冬月「厄介だな……今やオルタネイティヴ計画は帝国及び国連の庇護下にある」
冬月「先の12・5事件で殿下も国連、とくに横浜基地には全幅の信頼を寄せているそうじゃないか」
ゲンドウ「……言ったはずです、冬月先生。我々の計画に支障はないと」
冬月「……問題は、委員会の連中か」
・・・・・・
・・・・
・・
伊隅「どうした白銀。緊張で眠れないのか?」
武「伊隅大尉! いえ、そういう訳じゃないんですけど……」
伊隅「……後催眠処置もやったんだ。貴様は戦える。自信を持て白銀」
武「大尉……」
伊隅「甲板は冷える。程々にしておくんだぞ」
武「ところで大尉、その、NERVってどういう組織なんですか?」
伊隅「なんだ貴様……本当に日本人か?」
武「す、すみません……副司令の話は聞いたんですけど、いまいちピンとこなくて」
伊隅「ふ、まぁいい。あれは、そうだな……」
伊隅「対使徒専門の掃除屋、とでも言っておこうか」
武「対、使徒……」
伊隅「おい、まさかそれも知らないとは言わせないぞ?」
武「い、いえ大丈夫です!」
武(共同作戦の話を聞いて調べたけど……この世界にはBETAだけじゃなく)
武(使徒なんてバケモノもいやがるのか……)
伊隅「我々は対BETAの軍隊、あっちは対使徒の軍隊と考えればいいだろう」
武「なるほど、今までは使徒専門にやってたけど」
武「今回はBETA戦にも出張ってきたって事ですか」
伊隅「佐渡島ハイヴの消滅は、日本の宿願だからな」
伊隅「部隊を余らせておく状況じゃないのは分かるだろう?」
武「確かに、そうですね」
伊隅「もしかすると、今後も共同作戦を展開する事もあるかもしれない」
伊隅「いい予行訓練にもなるだろう」
武「訓練、ですか」
伊隅「副司令からの話にもあった通り」
伊隅「我々は今回、帝国の敷いた赤絨毯の上を行儀よく歩いていくようなものだ」
武「本当の目的は、新兵器のテスト、ですもんね」
伊隅「そういう事だ」
武「……」
伊隅「貴様にとってはこれが初めての実戦だ。気を抜くなよ」
武「了解!」
伊隅「よし、私は戻る。貴様も程々にな」
武(帝国、国連、NERV……そして純夏)
武(先生、大丈夫なんですよね……?)
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――
夕呼「三軍技術責任者会議、いってきたんだけど」
武「はい」
夕呼「話にならないわね。あれ」
武「……はい?」
夕呼「NERVのエヴァとかいう機体よ」
武「え!? でも先生、さっきのブリーフィングでは」
武「現存する二足歩行機のなかでは最強の機体だって――」
夕呼「スペックの上ではね。まぁ搭載装備は並だけど」
夕呼「ATフィールドなんて代物、どうやって作ったんだか」
武「夕呼先生でも分からないんですか……?」
夕呼「分からないわ。あれを作った奴はおそらく天才ね」
武「防御兵器、なんですよね?」
夕呼「ん……まぁ、そうね」
武「先生?」
夕呼「……」
武「その、凄乃皇のラザフォードフィールドよりも凄いん、ですか?」
夕呼「防御力としては似たようなものよ」
武「そ、そうですか!」
夕呼「でも耐久性と燃費が段違いね」
武「耐久性……?」
夕呼「ムアコック・レヒテ機関によって形成されるラザフォードフィールドはね」
夕呼「物理的干渉が発生すれば、主機にはキッチリ負荷がかかるのよ」
武「負荷……」
夕呼「そして主機が消費するのはBETA由来の貴重な物質、グレイ・イレブン」
夕呼「くわえて、多重干渉を処理する鑑への負担も大きいわね」
需要なさすぎワロタ
武「そうですよね……」
夕呼「一方、ATフィールドの方は何度干渉されようが何の問題もないらしいわ」
武「どういう事ですか!?」
夕呼「さぁ? どんな構造なのか知らないけど、とんでもない技術力って事だけは確かよ」
武「まさかそれもBETA由来の……?」
夕呼「それは無いわね。人類が手にする事が出来たハイヴは2つだけ」
夕呼「それをアメリカと私達で分け合ってるんだもの」
武「という事は……」
夕呼「あなたの脳みそで考えても意味ないわ」
武「せ、先生!」
夕呼「あたしに理解できない事が、白銀に理解出来るとでも思ってるの?」
武「た、たしかにそうですけど……」
夕呼「それに、作戦前のこのクソ忙しい時に」
夕呼「ATフィールドの構造を分析する意味、あるのかしら?」
武「っ!! す、すみませんでした……」
武「でも、おかしいですよ先生」
夕呼「なにがよ?」
武「話を聞く限り、エヴァって機体は最強じゃないですか」
夕呼「……」
武「話にならないって、どういう事ですか?」
夕呼「話にならないのは、パイロットの方よ」
武「パイロット……?」
夕呼「エヴァのパイロットね、まだ14歳の子供らしいわ」
武「1、14歳!?」
エヴァの電源どうすんだよ
夕呼「軍事教練もまともに受けていない、精神・肉体ともに未熟な子供」
夕呼「正直に言って、ただのお荷物ね。作戦の邪魔だわ」
武「なんでそんな子供が……」
夕呼「子供がパイロットになる事自体は別に不思議じゃないの」
夕呼「オルタネイティヴ3を思い出して見なさい」
武「あ……霞……」
夕呼「適正があれば、役割があるのなら、年齢なんて関係ないわ」
夕呼「恐らくエヴァのパイロットもそういう事なんでしょうね」
武「なるほど……」
夕呼「でも問題は精神的な部分。特に初号機、弐号機のパイロットは顕著ね」
武「……」
夕呼「ここに来たばかりの貴方よりも、甘えた意気地なしのガキよ」
夕呼「そんな子供に、人類の命運を懸けた作戦を託せる?」
>>20
兵站を確立した後に、電源車からアンビリカルケーブルを引っ張る
って事にしておいてくれ
武「どうするつもりですか?」
夕呼「マッピングデータに細工をして、早々に退散してもらうわ」
武「!?」
夕呼「と、言いたいところなんだけど。鑑もまだ完全じゃないし事後処理の事を考えるとねぇ……」
武「あ、焦りましたよ夕呼先生!」
夕呼「貴方なら、私がこのくらい造作もなくやる人間だって知ってるでしょ?」
武「そうですけど……」
夕呼「でも、今回は大掛かりな細工が出来そうに無いわ」
夕呼「それで白銀にお願いがあるんだけど……」
――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――
2001年12月25日 佐渡島沖合い
信濃オペレーター「敵の迎撃を確認! 作戦空域上空に重金属雲発生!!」
信濃オペレーター「全艦、斉射準備よし」
信濃艦長 安倍「目標、河原田一帯、――っ撃てぇ!!!」
「帝国連合艦隊第二戦隊、真野湾に突入を開始」
「HQよりウィスキー揚陸艦隊。西進を開始せよ。繰り返す、西進を開始せよ」
「弾着、――っいま!」
武(作戦は順調に推移している……)
武(国連宇宙総軍による対レーザー弾の反復爆撃で、重金属雲が発生したところに)
武(極東国連軍と帝国軍の砲弾備蓄総量の50%……それだけの艦隊飽和攻撃だ)
武(地表に展開しているBETAはほとんどやられているだろう)
HQ「HQより、帝国海軍第17戦術機甲戦隊、上陸開始せよ。繰り返す、上陸開始せよ」
武「――――っ!!」
アスカ「いい、シンジ? 戦術機だかなんだか知らないけど」
アスカ「私達がBETAを倒すのよ!」
シンジ「ア、アスカ!」
レイ「……」
アスカ「なーによ、偉そうに! エヴァを馬鹿にして、許さないんだから!」
ミサト「アスカ、落ち着つきなさい」
アスカ「落ち着いてるわよ!」
ミサト「でも、アスカの言う通り」
シンジ「ミサトさん?」
ミサト「いざとなったらエヴァだけでも戦ってもらうわ」
シンジ「どういう事ですか?」
ミサト「リツコ」
リツコ「貴方達が直接関与する作戦のプランは、先に通達した通りよ」
リツコ「だけど作戦全体の推移が芳しくなく、最悪のケースを想定したプランGが発動した場合」
リツコ「かなり、厄介な事になるかもしれない」
アスカ「プランG?」
リツコ「例の新兵器が自爆して、佐渡島ハイヴごと消滅させるプランよ」
シンジ「なっ……!?」
アスカ「正気!? だってパイロットは!」
レイ「……新型は無人兵器。問題ない」
シンジ「でも……それでハイヴは、消滅するんですか?」
ミサト「G弾って、あなたたちも知ってるわよね」
シンジ「はい」
アスカ「横浜のハイヴを吹っ飛ばした奴でしょ?」
ミサト「新兵器が自爆した時の威力は、横浜に使われたG弾の――」
ミサト「20発分に相当する威力らしいわ」
アスカ「あのG弾を、20発……!?」
リツコ「間違いなく、日本地図から佐渡島が消滅する事になるわね」
シンジ「……でも、それが厄介な問題ですか?」
アスカ「……まぁ、たしかに威力はすんごいけど」
アスカ「地図の書き換え自体は、そんなに厄介ではないと思うけど」
シンジ「N2地雷でも、なんどかそういう事がありましたし」
リツコ「そうね。威力は問題無いわ。むしろ歓迎するところね」
リツコ「でもBETAからしたら、自分の家を壊されるようなものよ」
レイ「……」
リツコ「家を留守にしていたBETAが、帰ったら家が無くなっていた」
リツコ「どうなると思うかしら?」
アスカ「新しい家を探すんじゃないの?」
リツコ「その通りよ。そしてBETAにとっての家はハイヴ」
リツコ「佐渡島から一番近いハイヴは朝鮮半島にある甲20号目標だけど」
リツコ「それと同じくらい近い位置にもう一つハイヴがあるわ」
シンジ「――えっ!? どういう事ですか!?」
アスカ「もしかして……」
レイ「……横浜ハイヴ」
アスカ「取り返しにくるっていうの!? BETAが!?」
ミサト「あくまで可能性の話よ。でももしそうなったら」
リツコ「日本の本土が戦場になるわ」
ミサト「プランGが発動するっていう、最悪のケースはあまり想定したくないけど」
ミサト「NERVの作戦責任者としてはそうも言ってられなくてね」
ミサト「万が一そうなった場合、貴方達は極地用のD型装備に換装して」
ミサト「海底で残存BETAの掃討を行ってもらう事になるわ」
シンジ「……D型ですか!? D型ってあの、アスカが火山にいった時の……」
アスカ「お、思い出さなくていいわよ! バカシンジ!」
リツコ「あの辺りの海域は、深いところで水深2000メートルに達するわ」
リツコ「水圧を考慮するとD型装備に換装せざるを得ない」
シンジ「……わかりました」
アスカ「ふん、望むところよ」
レイ「……了解」
ミサト「悪いわね。今回の作戦、かなりの長丁場になると思う」
ミサト「上陸もすでに始まっている……みんな――」
ミサト「頼んだわよ……!」
伊隅「それでは改めて、本作戦中における臨時措置として」
伊隅「ヴァルキリー中隊及び、エヴァ小隊の混成部隊の指揮を執る事になった」
伊隅「伊隅みちる大尉だ。よろしく頼む」
シンジ「よろしくお願いします!」
アスカ「……」
レイ「……」
シンジ(ア、アスカ……返事しなよ……)
アスカ(うるっさいわね……なによ偉そうに……)
伊隅「本作戦中における我が部隊の呼称は、ヴァルキリー中隊で統一する」
伊隅「それでは各小隊長を紹介する……」
・・・・・・
・・・・
・・
武「B小隊、補給完了」
伊隅「よし、そのままの位置で待機だ」
武「しかし、支援砲撃が相当効いてますね。赤絨毯の上って言葉の意味が分かりましたよ」
水月「支援砲撃だけじゃない。上陸部隊による橋頭堡の確保に、残敵を引き連れながらの陽動」
水月「それらが上手く働いているって事よ」
武「でもそれって帝国軍の奴らが……」
冥夜「帝国将兵の挺身は当然の事だ武」
武「冥夜?」
冥夜「国民の生命・財産を守るのが帝国将兵の唯一にして無二の使命」
冥夜「その献身を活かす場所は、ここを置いて他にあるまい」
武「なるほどな……」
アスカ「しっかしBETAって薄気味悪いやつらねー」
アスカ「使徒の方がよっぽど可愛い顔してるわ。まぁ顔のない奴とかもいるけど」
武「BETAを直接見るのは初めてか?」
アスカ「あったりまえでしょ! あんたバカぁ!?」
シンジ「ちょ、ちょっとアスカ!!」
水月「あっはっは! 白銀ぇ~。ひょっとしてあんたロリコン?」
宗像「いつの間にNERVのお嬢さんとそんなに仲良くなったんだ? もしかして昨日の夜……」
武「なっ、――」
アスカ「ななななな、なに言ってるのよ! そんな訳ないでしょ!!」
武「速瀬中尉! 宗像中尉! 冗談はよして下さいよ!」
伊隅「貴様ら、じゃれあうのもいい加減にしろ!」
武「……し、失礼しました」
伊隅「重苦しい戦場の空気を払拭するのに軽口を叩くのはいいがな」
伊隅「物事には限度があるぞ、速瀬、白銀」
水月「うっ……」
武(な、なんでオレまで……)
伊隅「速瀬、白銀の両名は作戦終了後、腕立て300回!」
水月 武「了解!!」
水月「……白銀ぇ~覚えておきなさいよぉ~?」
武「オレは悪くないですよ……!」
シンジ「……なんだか、あったかいな」
レイ「碇くん?」
シンジ「こういうの、NERVじゃあんまり無かったから」
シンジ「なんだかあったかく、感じるよ」
アスカ「いちいち大げさなのよバカシンジは……」
伊隅「っ! ヴァルキリー1より各機! 第6軌道降下兵団のお出ましだぞ!」
シンジ(軌道降下……宇宙から降ってくる部隊だ!)
武(ハイヴ突入が成功すれば純夏の負担も軽くなる……頼んだぜ……!)
伊隅「全機、再突入殻の落下に備えろ!」
「「了解!!」」
伊隅「――っ?! おい貴様ら! ボケっとするな!!」
伊隅「飛散した再突入殻の破片で機体を傷つけるぞ!」
武「えっ!?」
武(なっ! エヴァ各機が落下予測コースに近すぎる!)
武「避けろ!!!」
アスカ「大丈夫よ。こんなのなんて事ないわ」
武「えっ……?」
「――――っ!!!!!?」
武「す、すげえ……」
美琴「全部弾いてるよ……」
千鶴「すごい……」
冥夜「ATフィールド……話には聞いていたが、まさかこれほどとは……」
武(なんだよ先生……これが使い物にならないって言うのか……?)
武(すごい防御力じゃないか……! 皆も感動してるよ……!)
伊隅「すまなかったな。貴様らの機体の防御力を見誤ったようだ」
アスカ「別にいいわ」
シンジ「これくらいなら平気ですよ」
レイ「……問題、ありません」
珠瀬「頼もしいですね!」
武「あぁ……全くだ」
武(……? なんだ、この振動)
涼宮「ヴァルキリーマムより各機。ハイヴに先行突入した全部隊との交信途絶」
―――っ!?
涼宮「第一層突入中のマイク、ノーベンバー各隊は地表へ撤退中」
武(交信途絶……だと?)
武(あれだけの大部隊が、全滅したっていうのかよ!)
涼宮「作戦はテストプランBへ移行。繰り返す、作戦はテストプランBへ移行」
涼宮「A-02の攻撃を以って、ハイヴの無力化を試みる」
伊隅「ヴァルキリー1了解。A-02攻撃地点の確保を継続する」
涼宮「尚、ハイヴ周辺の各門からBETAが出現中。警戒を怠るな」
武(振動センサーが振り切ってるって事は……)
武(4万以上のBETAがハイヴから出てくるって言うのか……!?)
涼宮「現在、個体及び構成は不明。光線級の存在を想定した警戒態勢を継続せよ」
アスカ「ほら。こうなったじゃない。全く世話無いわね」
レイ「……セカンド」
アスカ「なによ人形。言いたいことでもあんの?」
シンジ「やめなよアスカ!!」
アスカ「ふん、いい子ぶっちゃって」
武「おい、それ以上は同じ部隊の人間でも許さないぞ」
アスカ「な、なによ!」
武「この作戦ですでに何人死んでると思ってる」
武「それを世話が無いだと……? ふざけるなよ……」
アスカ「ふん……やられるのが悪いんじゃない……」
武「おい、言っていい事と――」
冥夜「武っ!!」
武「――っ!?」
武(しまっ……――)
美琴「ボーっとしてちゃダメだよ、武!」
水月「白銀、あんた死にたいの!?」
珠瀬「地下です! 地下からBETAが!」
伊隅「速瀬! 宗像! 幸い光線級は存在しないが数が多い。小隊単位で対処しろ!」
水月 宗像「了解!」
宗像「左翼の敵を片付ける。C小隊、付いてこいッ!」
伊隅「右翼はA小隊の獲物だ。行くぞッ!」
水月「B小隊は中央を頂くわよ! B小隊、続けッ!」
「「了解ッ!!」」
伊隅「エヴァ各機は後方からライフルを使って支援!」
アスカ「ぬぁんですってぇぇぇ~~!!!」
アスカ「もうこんな扱い許せない! シンジ、レイ! 前に出るわよ!」
シンジ「あ、ちょっとアスカ!」
レイ「碇くん、行きましょう」
ミサト「ちょっと貴方たち! 伊隅隊長の指示に――」
アスカ「こんな恥辱を受けて黙ってろって言うの!? 嫌よ私は!」
ミサト「くっ……!」
ゲンドウ「構わん。エヴァを先行させろ」
ミサト「司令!?」
冬月「現場の指揮官というものは、新しい兵器を過小評価する傾向が強い」
冬月「いくらスペック上の数字を知っていても、それを披露する場がなければ」
冬月「正常な判断はできんよ」
ミサト「では……よろしいんですね?」
ゲンドウ「やれ」
ミサト「エヴァ各機、地中から出現したBETAを掃討せよ!」
アスカ「待ぁってました~! さっすがミサト!」
シンジ「よし、アスカ。僕は中央のサポートに入る! アスカは右翼を!」
アスカ「な、なんであんたに命令されなきゃいけないのよ!」
レイ「……左翼、片付けるわ」
アスカ「……な~んか納得いかないわね。まぁいいわ!」
アスカ「エヴァの実力、しっかり目に焼きつけなさいよッ!っと!!」
武「冥夜! 1時方向、突撃級!」
冥夜「了解! 貴様らどこへ行くつもり――」
シンジ「エヴァ初号機! サポートに入りますッ!! このッ!」
冥夜「碇!?」
武「シンジ君!?」
シンジ「僕は突撃級の面倒を見ます! 奥の要撃級を頼みます!」
水月「ちょっとあんた! 何やってんのよ!!」
冥夜「――おいッ! ぶつかるぞッ!」
シンジ「この程度でッ!!!」
武(な……っ!? 全速力の突撃級の衝突に……ビクともしないなんて……!)
シンジ「うおおおおッッッ!!!」
冥夜「突撃級を、押し返すだと……っ!? 信じられん……!」
水月「白銀! 御剣! 突撃級は碇に任せて奥の残敵を掃討しろッ!」
武 冥夜「りょ、了解!」
水月「碇。あんたBETAとの実践は初めてね?」
シンジ「はいッッ!」
水月「いい? 今回のサポートは許すわ」
水月「だけど次からは絶対に指示にない行動はしないで。でないと――」
水月「死ぬ事になるわよ」
シンジ「わかりましたッ!」
水月「ったく……やりづらいったらありゃしないわね」
彩峰「……」
水月「なによ彩峰? 文句あんの?」
彩峰「……いえ」
水月「さっさと片付けるわよッ! ついてらっしゃい!」
彩峰「了解」
水月「B小隊、掃討完了ッ――」
宗像「C小隊、同じく掃討完了――」
伊隅「よし、各小隊、光線級に警戒しつつ補給を開始しろ」
伊隅「それにしても……驚いたな」
水月「こっちは碇に5匹食われましたよ大尉……」
宗像「こちらも綾波に4匹ほど」
伊隅「そうか。こちらも同じようなものだ」
アスカ「6匹よ! あたしの勝利ねッ!」
シンジ「アスカは小型の奴ばっかりだっただろ~!」
アスカ「なにようるさいわねバカシンジ!」
伊隅「おいよせ二人とも!」
シンジ「す、すみません……」
伊隅「私は少々、貴様らの戦力を過小評価していたようだ」
アスカ「ふっふーん。エヴァの実力、分かったかしら?」
伊隅「さる筋から、貴様らの機体の保護を厳重に仰せつかっていてな」
伊隅「少し慎重になり過ぎていたようだ」
シンジ(さる筋……? なんだろう……)
アスカ「分かればいいのよ! 分かればっ」
シンジ「もう、調子いいんだからアスカは」
武「オレも感動したよシンジ君」
シンジ「白銀さん!」
武「正直言ってXM-3が装備される前の戦術機なら、機動力でエヴァに負けてたと思う」
武「その機動力に加えて、凄まじい防御力」
冥夜「あぁ。感服する他あるまい」
シンジ「へへへっ」
アスカ「なによシンジ、鼻の下伸ばしちゃって」
シンジ「そ、そんなのじゃないよ!」
レイ「……認められるのは、嬉しい」
アスカ「ファースト?」
レイ「……違う? 碇くん」
シンジ「……そうだね。綾波の言う通りだ。それに――」
シンジ「アスカが前に出ようって言わなかったら、ずっと認められないままだったかもしれない」
シンジ「ありがとう、アスカ」
アスカ「や、やめなさいよ気持ち悪い! なによいきなり殊勝になっちゃってさ!」
冥夜「ふふふ……」
武「微笑ましいよな」
冥夜「あぁ、日本にこのような子供達がいるのなら、未来は安泰だ」
疲れた。休憩する
落ちたら落ちたでいいや
保守すまん
書き溜めも尽きたから20時に再開する
伊隅「よし、それではエヴァ各機は――」
風間「大尉! 見て下さい!」
伊隅「どうした風間ッ?」
風間「ハイヴ周辺のBETAが、こちらに向かっています!」
「――――ッ!?」
武(どういう事だッ!?)
シンジ(なんでボク達の方に!?)
美琴「増援を受け持ってた陽動部隊がやられたの!?」
珠瀬「そ、そんなぁ!!」
綾峰「……それは流石に速過ぎる」
千鶴「待って! 陽動部隊のマーカーの半数は健在よ!」
冥夜「どういう事だ……!?」
綾峰「そんなのBETAにしか分からない」
伊隅「――各機、周辺の補給用コンテナをありったけ集めろ!」
伊隅「攻撃開始地点の手前2000mに防衛線を構築する! 急げ!」
「「了解!!!」」
伊隅「ヴァルキリー1よりHQ! A-02攻撃開始地点に向け数個師団規模のBETAが進行中!」
伊隅「当該地区への支援砲撃を要請する!」
冬月「そろそろお出まし、か」
ゲンドウ「……あぁ」
冬月「凄乃皇の実力、どれほどのものか」
マヤ「その凄乃皇って、そんなに凄いんですか?」
リツコ「防御力はエヴァの方が上よ」
リツコ「でも、重力制御機構のおかげで生じる莫大な余剰電力」
リツコ「それを利用した荷電粒子砲が装備されているわ」
マヤ「荷電粒子砲って……」
リツコ「ヤシマ作戦で撃ったアレが、標準搭載ってところかしらね」
マヤ「す、凄い……」
シゲル「まさに動く要塞か……」
リツコ「まともに動くのならね」
マコト「どういう事です?」
リツコ「あら、聞いてなかったかしら」
ミサト「この作戦の主目的は、国連の新型兵器のテストよ」
マヤ「テスト、ですか?」
ミサト「えぇテスト。という事は、失敗もあり得るって事よ」
マコト「そんな……」
ミサト「次善作は幾つも用意してあるから心配いらないわ」
ミサト「お手並み拝見ってところね……」
風間「――支援砲撃、来ます!」
宗像「有り難いねぇ。これで片付いてくれると楽なんだけど」
「――――っ!!?」
武(光線級!? 地下にこんなに残ってやがったのか!?)
水月「レーザーだ! 重金属雲の粉塵爆発に備えろッ!」
風間「大尉ッ! データリンクを!」
武(なっ! 第3級光線照射危険地帯だと……!?)
伊隅「全機防衛ラインまで即時後退ッ! 岩盤を盾にしろ!」
「「了解!!!」」
アスカ「ねぇ、大尉。あたしちょっと試したい事があるんだけど」
シンジ「奇遇だねアスカ。ボクもだよ」
レイ「……」
武(おいおい……まさか……)
伊隅「却下する。エヴァの防御力が幾ら優れているとはいえ」
伊隅「焦点を合わせた重光線級数体の攻撃に耐えられる保証は無い!」
アスカ「なにさ! さっきは認めるって言った癖に!」
伊隅「ヤシマ作戦を思い出せ! 黒焦げになりたいのか!」
シンジ「あっ……!」
伊隅「奴らのレーザーを甘く見るな! いいから退け! これは命令だ!」
水月「あんたらがグズグズしてると作戦の足を引っ張るのよ! 早く来なさい!」
アスカ「くっ……」
ミサト「引きなさいアスカ、シンジ君、レイ。命令よ」
アスカ「分かったわよ……」
シンジ「すみません」
ピアティフ中尉「――砲弾被撃墜率70%、BETA軍は依然、A-02攻撃開始地点に向けて時速60Kmで進行中」
最上オペレーター「――光線級、重光線級の個体数は不明。撃墜率から見ても100体を超えると思われます」
夕呼「まいったわね……レーザー級をそんなに温存していたなんて」
最上艦長 小沢「香月副司令、このまま無策に砲撃を続けても弾が無駄になります」
最上艦長 小沢「即刻、対レーザー弾に換装するべきです」
夕呼「時間はどの程度かかりますか?」
最上艦長 小沢「戦艦は砲弾換装が完全自動化されているので2分とかからない」
最上艦長 小沢「順次換装させ、終了次第砲撃させます」
夕呼「……では、早速。ピアティフ中尉。聞いていたわね?」
ピアティフ中尉「はっ。作戦行動中の全艦隊に告ぐ――」
武(――砲撃がほとんど撃墜されてるじゃないか! 地上のBETAはほとんど無傷だぞ!)
涼宮中尉「ヴァルキリー・マムよりヴァリキリーズ。艦隊は現在対レーザー弾に換装中」
涼宮中尉「全力砲撃開始は10分後を予定」
アスカ「10分もしたらあいつらここに来ちゃうんじゃないの?」
武「それまでは身を隠しているしかないのか……!?」
綾峰「光線級がいるから仕方ない」
美琴「でも、突撃級を中心とした先頭集団はもっと早くここに来るよ!」
シンジ「ならボク達が前に出て!!」
武「駄目だ! 危険過ぎる!」
水月「全く、ピーチクパーチクうるさいわね!」
武「中尉っ!?」
伊隅「――全員よく聞け、状況を説明する」
・・・・・・
・・・・
・・
伊隅「先程の支援砲撃以前、我々がレーザー照射を受けていない事から」
伊隅「敵の狙いが別にあるのだけは確かだ」
伊隅「――状況から推測して、敵の目標はA-02だと思われる」
シンジ(A-02……新型の凄乃皇だ……)
武(もうすぐそこまで来ているんだな……純夏は……)
伊隅「まず全機、遮蔽物に隠れ主機を落とす」
伊隅「この時、A、C各小隊は敵方向に背を向け、B小隊は正対とする」
伊隅「通信機は強化装備の受信のみ。起動タイミングはヴァルキリー・マムより指示される」
伊隅「この時、エヴァ3機に戦力に応じた役割を頼みたい」
シンジ「役割、ですか?」
アスカ「ようやくあたし達の出番って訳ね」
伊隅「エヴァ3機は2000メートル後方のA-02砲撃開始地点で陽動を担当してもらう」
武「シンジ君たちが、陽動ですかッ!?」
伊隅「突撃級を中心に構成される敵前衛を正面から引き受けてもらう」
シンジ「正面、から……」
伊隅「やれるな?」
アスカ「当然よ」
伊隅「とは言っても、全てを相手に戦えと言っている訳ではない」
伊隅「では作戦の続きを説明する」
伊隅「先頭集団がエヴァに向かって突進して行く事になるが、あえて我々の前を通過させる」
伊隅「通過を確認したら全機起動、奴らの柔らかい尻に劣化ウラン弾をたらふくお見舞いしてやれ」
武「そういう事か……!」
伊隅「こうする事で、ヴァルキリーズとエヴァ各機で敵を挟撃出来る」
伊隅「後方からは本作戦の要になる機体が進行中だ。後ろには絶対に行かせるな!」
シンジ アスカ「了解!」
伊隅「支援砲撃による重金属雲発生を合図に、B小隊は敵本隊へ突撃――」
伊隅「C小隊は反転してB小隊を支援しろ!」
水月 宗像「了解ッ!」
武(作戦自体は大丈夫だ……だが、夕呼先生の危惧していた本格的な戦闘が始まっちまった……)
武(今までの戦闘は正直に言ってお遊びみたいなもんだ……)
武(ここから先、シンジ君たちの甘さは、作戦の足を引っ張るかもしれない)
武(全く……嫌な役回りをさせてくれるよ先生も……)
武(だけど部隊全体の事を考えればこれがベストだろう……)
武(オレは人類の勝利に一歩でも近づく方法があるならそれを選ぶ)
武(それだけだ……)
伊隅「A-02は現在日本海を匍匐飛行で進行中だ」
伊隅「本隊突撃から15分以内が勝負だぞ。いいな!?」
「「了解ッ!!!!」」
涼宮「――ヴァルキリー・マムよりヴァルキリーズ」
涼宮「敵前衛は依然時速90キロメートルで侵攻中。防衛線到達まであと360秒」
武(道を指し示す者は、手を汚す事を厭うてはならない……か)
武(殿下……オレ、間違ってないですよね……?)
涼宮「――ヴァルキリー・マムよりヴァルキリーズ」
涼宮「敵前衛、防衛線通過中。最後尾通貨まであと90秒」
武「――――ッ!」
涼宮「――全機起動ッ!! 繰り返す、全機起動せよ!」
アスカ「来たわね~! けっちょんけっちょにしてやるわ!」
シンジ「うん、さっき戦った感じだと問題ないよ!」
レイ「……そうね」
アスカ「やってやるわ!!」
伊隅「――AC小隊及びエヴァ各機、兵器使用自由ッ!」
伊隅「――喰い放題だ! 一匹残らず平らげろッ!」
「「了解!!」」
アスカ「うおりゃああああああッッ!!!」
シンジ「そこだッッ!!!」
レイ「くッ!!!」
宗像「鎧! エヴァ零号機のカバーだ! 抜かれるぞ!」
美琴「了解!」
風間「はぁッッ!!!」
シンジ「アスカ! 右だッ!!」
アスカ「見えてるわよッ! くっ! かったいわねこいつら!」
武(さて、と……IFFは切った)
武(ったく……オレは狙撃手じゃないってのに)
武(夕呼先生も無茶言ってくれるよ……)
武(悪く思うなよシンジ君ッ!)
シンジ「――――ッ!?」
レイ「アンビリカルケーブル、断線」
シンジ「綾波!? 綾波もか!?」
アスカ「こっちもよ! 一体どういう事!? これまでの戦闘では大丈夫だったのに!」
ミサト「状況説明して!」
マヤ「エヴァ全機、アンビリカルケーブル断線! 補助電源に切り替わりました!」
マヤ「それに……これは――」
ミサト「どうしたの!?」
マヤ「電力を供給していた電源車が……全て沈黙しています」
ミサト「なんですってぇ!?」
ミサト「なんだってそんな事が起きるのよ!」
冬月「謀られた、か」
ゲンドウ「……」
伊隅「――エヴァが全機電源喪失だと!?」
風間「アンビリカルケーブルの断線に加えて、電源車も流れ弾に当たったようです」
伊隅「IFFが作動していないのか……!? 補助電源は何分持つんだ!?」
シンジ「5分です! 残り4分30秒! うおおおおッッ!!!」
伊隅「エヴァ各機! 手を休めずに聞け!」
伊隅「貴様らは補助電源が残り4分を切ったら全速力で後退しろ!」
アスカ「――後退ッ!?」
シンジ「仕方ないよアスカ! このままじゃボク達は動けなくなっちゃうよ!」
伊隅「幸い兵站は確立している。4分あれば後方の部隊と合流出来るはずだ!」
伊隅「――電源を確立し次第、帰投しろ! 以上だ!」
シンジ「えっ!? 帰投って……帰れって事ですか!?」
アスカ「ふざけんじゃないわよ! まだやれるわ!」
伊隅「ここから先は相当の混戦が予想される」
伊隅「貴様らの合流を待って指揮をする余裕はない。分かるな!?」
シンジ「……くッ!」
アスカ「お役御免って事……?」
伊隅「加えてもう少しすればA-02も到着する。そこから先はもうやる事はない」
伊隅「貴様らはよく頑張ってくれた。ヴァルキリーズを代表して感謝する」
伊隅「また共に戦う機会があればよろしく頼む――風間ッ! 後ろだ!」
風間「はァッ!!!」
レイ「……4分、切ったわ」
シンジ「くっそ……!」
武(悪いなシンジ君……でもこれが一番いい選択なんだよ……)
ちょっと風呂敷広げすぎた……
オルタ本編丸パクりも増えてきたし集中力が続かないから少し休む
落としても構わないです
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