王「勇者よ! 世界を救ってくれ!」 阿部さん「ウホッいい男……」(36)

王「魔術師よ。準備はよいか?」

 魔術師「はい」

 弟子(ドキドキ)

 魔術師「これより、異世界からより勇者召喚の儀式を始めます」

 弟子「では師匠、巻物をどうぞ」

 魔術師「はい。先ほど説明したように召喚というのはとても危険な儀式です。念のため下がってください」

 弟子「しかし……」

 魔術師「もし召喚された者が野蛮だった場合誰が王を守るですか?」

 弟子「……わかりました」

王「人間性に問題がある者が召喚される場合があるのか?」

 魔術師「あります。確かに勇者としての素質がある物が召喚されますが、それ以外は運です」

 王「そうか……」

 魔術師「では始めます。……ルナ・ファーカス。レオナリス・ヤラナイカ……」

 王「おお……」

 弟子「魔方陣が輝いて、まるで蛍のように優しい光りだ……」

 バシュウウ!

 魔術師「フゥ……」

 王「成功か!?」

 弟子「見てください! 魔方陣の中央に人が!」

見ると、青く奇抜な服を着ている男が一人仰向けに倒れていた。僅かに胸が上下していることから死んではいないようだ。

 王「……近寄っても問題無いな。さて、この者に世界を救う素質があるかどうか」テクテク

 魔術師「くどいようですが素質だけは保障します。危険ですのであまり近寄らないで下さい。弟子、杖を抜いておきなさい」テクテク

 弟子「これが……異世界人ですか。黒髪とは珍しいですね」テクテク

 王「ふむ、奇妙な服装をしておる。全身青、そして見たからに見たことの無い素材で出来ている事が分かる」

 魔術師「……武器を持っていませんね」

 弟子「結構体格がいいですね。いいなあ……」

 魔術師「弟子!」

 弟子「は、はい!」

 魔術師「この者を開いている部屋に寝かして置きなさい。一応武器になりそうな者を持っていたら取り上げておく事。いいですね?」

 弟子「わかりました」

阿部(うぅ……頭が……)

 阿部(ここは、どこだ? 目がチカチカするな……だるくて体が動かせない)

 阿部(俺は……そうだ。確か公園でイイ男を待っていた時……)

 阿部(良く分からん空間に引きずりこまれたんだった)

 阿部(一瞬の事だったから抵抗する間も無く気を失ったんだった)

 阿部「にしてもここはどこだ? 知らない天井、知らないふかふかなベッドだ」ムクリ

 阿部「頭上にシャンデリア、巨大な化粧台」

 阿部「壁は大理石といったところか」コンコン

 阿部「……どこなんだここは」

コンコン

 阿部「! 誰だ!?」

 ガチャ

 使用人「あ、目を覚まされたのですね!」

 阿部「誰だ!? ここはどこだ! どうして俺はここにいる!」

 使用人「落ち着いてください。私は一介の使用人です。詳しい話は王がいたします。付いてきてください」

 阿部「王!? 王だって!?」

 使用人「はい。貴方が目を覚ますのを待っておられたのですよ?」

 阿部「一つだけ教えてくれ。ここは日本か?」

 使用人「申し訳ございません。ニホンという言葉に聞き覚えがございません」

 阿部「……なんてこったい」

王「おお、目を覚ましたか勇者よ! 私はこの国の王である!」

 阿部「俺をここに呼んだのはアンタか?」

 親衛隊「貴様! 王に対して何たる無礼を!」

 王「待て。いきなり連れて来られて混乱してるのだ」

 阿部「全くだ。で、あんたらの目的は何だ? いい男を拉致して政府に身代金でも要求するつもりかい?」

 王「違う。私の目的は……世界平和なのだ。そのために力を貸して欲しいのだ! 勇者よ!」

 阿部「ふーん。つまり俺は勇者として魔王を倒し世界に平和をもたらすために異世界に召喚されたと」

 王「そうだ。どうかそなたの力を貸してやくれぬか」

阿部「……王。あんた年はいくつだ? 結構若いんじゃないか?」

 王「今年で18だが、それがどうかしたのか?」

 阿部「ウホッ 気にしないでくれ。それで勇者の件だが条件しだいでは受けてやってもいい」

 王「なるほど。では対価に何を望む? 金でも武器でも、出来る範囲ならば渡そう」

 阿部「そうかい……じゃあまず、この話は二人っきりでしたい。だから親衛隊には退場していただきたい」

 王「分かった。下がるがよい」

 親衛隊「し、しかしこのような得体の知れ無い者と二人になるなど!」

 王「二度とは言わぬ。下がれ」

 親衛隊「……ハッ」タッタッタ

王「さて、話の続きをしよう。一体何を望む?」

 阿部「なあ王様、アンタ好きな女はいるか?」

 王「女? ああ、許婚がいるが……それがどうした?」

 阿部「という事はノンケか……悪くない」ペロ

 王「ノンケ……? それが欲しいのか」

 阿部「ああ」

 王「ふーむ、心当たりが無いが用意しよう」

 阿部「言ったな? 今すぐ貰おう」

 王「今すぐ?」

シュルリ

 王「な、何故脱ぐ!?」

 阿部「決まってるじゃないか」ハラ

 阿部「甘いノンケを食べるためさ」

 王「~!! だ、誰かむぐ__」

 阿部「おおっと、最初は二人っきりで楽しもうぜ」

 王(な、何て力!!)

阿部「いい匂いだ。さすがは王族」

 王「や、やめ__んん!?」ゾクッ

 阿部「何のシャンプー使ってんだ? 食べるのが勿体無いぜ」

 王「ンンー!」(誰かー!)

 阿部「さあ、もうムラムラしてんだ。責任、取ってもらうぜ」シュルリ

 王「ンンンンー!」(脱がすなー!)

 阿部「はあ、はあ。無駄毛が一本も生えてない……まるで二次元だな」

 王「ンンンンンー! ンンンンンー!」(親衛隊! 親衛隊!)

 阿部「それじゃ……ショータイムだ」

阿部「それじゃ……ショータイムだ」

 阿部「挿れるぞ」スブリ

 王「~~~~~~がはぁ!!!」

 阿部「くぅ……いいしまりじゃないの。こりゃ勇者になる甲斐があるってもんだ」

 王「や、やめてぇ~~! 痛い、痛い!」

 阿部「大丈夫、それは最初のうちさ。段々気持ちよくなってくるからな」パンパン

 王「~~~~~~~~~~~~~!!!!」ブチッ

 阿部「ああ……いいぞ、吸い付いてきやがる」パンオアン

 王「くぁwせdrftgyふじこlp」バッシャアア

阿部「出る、出る!」 ビクンビクン

 阿部「アッー!」 ドピュルルル

 阿部「はぁ、はぁ、男同士ってのも悪くないだろ?」

 阿部「ん?」

 王「」

 阿部「し、死んでる……」

 阿部「肛門から血が……出血多量か! 激しくしすぎちまったか!」

誰もいないとか寂しいな

だって誰得だよ

>>14 全人類?

親衛隊「王! 先ほど悲鳴が__!!」

 阿部「ち、違う、違うんだ!」

 親衛隊「王が殺されたぞ! 異世界人が王を殺した!」

 親衛隊「くそ……私が出て行かなければこんな事には……」

 阿部「まいったな……どうするか」

 親衛隊「貴様……なぶり殺しにしてくれる!」スチャ

 阿部「剣!?」

 親衛隊「くらえええええ!!」

 阿部「ふん」ゴン

 親衛隊「グッ!?」ドサッ

 阿部「ケツにスピナを入れといて正解だったな。悪いが女には容赦しないぜ?」

阿部「王、すまないが俺は死ぬ訳にはいかない。まだまだイイ男とヤり足りないからな」

 阿部「だが約束は約束だ。魔王は必ず倒してやる」

    ドタドタ

 阿部「来たか……まずはここから脱出しなければ」

 魔術師「王! __な!?」

 弟子「なんという……」

 使用人「尻から血を流して……オエ」

 親衛隊長「これはひどい……」

 魔術師「!! 親衛隊長、あそこに倒れているのは親衛隊では……」

 親衛隊長「親衛隊! 大丈夫か!?」

親衛隊長「親衛隊! 大丈夫か!?」

 親衛隊「ぐ、うう」

 隊長「大丈夫か! 何があった!」

 親衛隊「い、異世界人が王を……」

 隊長「それは分かっている! 奴はどこだ!」

 親衛隊「まだ近くにいるはずです……速く奴を」

 隊長「分かった! 誰か、こいつを医務室につれていけ!」

 親衛隊「ハァ、ハァ」

医者「どうしたんじゃ。いつも元気なおぬしらしくないのぉ」

 親衛隊「い、痛み止めを……」

 医者「分かった分かった。今魔法をかけちゃる。フン!」 パァァ

 親衛隊「おお、何と心地いい……ありがとうございます」

 医者「気にするでない。しばらく横になっとれ。わしは少し席をはずすからの」

 親衛隊「はい……」

親衛隊「ふぅ……あれは魔法なのか? まったく、変な世界に来ちまったな」

 阿部「しかし魔法とはすごいな。一瞬にして賢者モードから脱出したぜ?」

 阿部「まあ、幸いだったのは親衛隊がヘルムを被っていた事と運よく親衛隊長の名前が呼ばれたことだな。おかげでなりすますことが出来たぜ」

 阿部(しかし親衛隊の奴、いい尻してたな……時間があれば食ってたんだが)

 阿部「まあいい。この鎧を着ていればしばらくはバレないだろう……んん?」

 阿部「おお! これは俺の仕事道具箱! 一緒に飛ばされたのか!」

 阿部「ここにある理由が分からんが……よし、全部あるな」

 阿部「うっし! 行くか!」

阿部(何とか脱出することができた……だが広すぎだろ。結構迷ったぜ)

 阿部「人通りが多いな。結構でかい国なのか?」

 阿部(そんな事どうでもいいか。俺は王を殺しちまったんだ。じきに指名手配されるだろう。速くこの国から出なければ)

 行商人「らっしゃーい。いい薬、武器はいらないかい?」

 阿部「ウホッ、いい男……すみません、この鎧売れますか?」

 行商人「おお、これはいい防具だね。お兄さん名のある騎士なのかい?」

 阿部「いえ、我が家に代々ある物なのですが、置き場に困っていてですね」

 行商人「なるほどね…… 少し色をつけて金貨40枚でどうだい?」

 阿部「分かった。ナイフやダガーはあるかい?」

 行商人「あるよ。さあ、好きなのを選びな!」フワサ

 阿部「すごく……ダイナミックだ」

行商人「鋼鉄のダガー金貨一枚毎度あり!」

 阿部「なあ、この国から出るにはどちらに行けばいいんだ?」

 行商人「あんたまさかそんな格好で外に出る気じゃないだろうな? 止めときな。外には恐ろしい魔物がうじゃうじゃいるんだぜ? しかも近場の森には最近山賊が住み着いたって噂だ」

 阿部「大丈夫だ。なんたって俺はいい男だからな」

阿部「ふう……今日はこの辺りで野宿しようじゃないの」

 阿部「にしても歩けど歩けど木ばかり。食べ物には困らないがな」

 阿部「まいったな。遭難したなこりゃ」

 山賊A「ヒッヒッヒ」

 阿部「! 誰だ!?」

 山賊B「俺たちゃ泣く子も黙る山賊様よ! 命が惜しければ金目の物を置いてくんだな!」

 阿部「お前が山賊か……俺がそんな要求を呑むとでも?」

 山賊A「ケケケ、周りを見てみな」
 ザクザク  ザクザク


 阿部「何時の間に……ち。残念だが特に何も持ってないぜ」

正気に戻った。何やってんだろ俺

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