P「もう頭来たから徹底的に亜美を可愛がってやる」(130)

P「俺は本気だ」

P「いつもいつもイタズラをして俺を困らせる双海姉妹……」

P「特に亜美は凄い。普段あまり顔を合わせないからか、真美に比べてもそりゃひどいもんだ」

P「そこで考えたんだ。そして気付いたんだ」

P「なんでアイツらが調子に乗ってイタズラをしまくるかということに……それは」

P「俺が困っている姿を見るのが楽しいからだ! ……たぶん」


P「ということで、もう俺はどんなことをされても困ったそぶりを見せないぞ」

P「逆に可愛がるくらいの勢いでノリノリになってやる」

P「そうすればもう、俺にイタズラしてもつまらないと思って、次第にイタズラをやめていくだろう……」

P「ゲッヘッヘ……!」

【765プロ事務所】

P(よおし! 今日から新しい自分デビュー!)

P(早く来ないかなぁ、亜美)

小鳥「プロデューサーさん、なんだか楽しそうな顔してますね」

P「え、そうですか?」

小鳥「ええ。ふふっ、まるで好きな子とのデートを待つ思春期の男の子みたい」

小鳥(まぁ、そんなシチュエーションも、漫画でしか見たことはないけど……)

P「あはは! まぁ、あながち間違ってはいませんけどね!」

小鳥「えっ」

P「ふふふ……」

ガチャ

真美・亜美「「おっはよーだぴょーん!」」

P「おお、待ちわびたぞ! おはよう!」

亜美「おやおや~、兄ちゃん、亜美たちのことそんなに恋しかったの~?」

真美「んっふっふ~! でもま、しょーがないよね! 兄ちゃんは真美たちのこと、めっちゃ好きっぽいもんね!」

P「ああ、大好きだぞ! それはもう、愛してると言ってもいいくらいに……!」

亜美・真美「「……え?」」

P「いますぐ抱きしめたいよ……亜美」

亜美・真美「「……」」

真美「……ねぇ、亜美亜美ぃ」

亜美「なぁに、真美」

真美「なんか兄ちゃん、気持ち悪いっぽくない?」

亜美「うん……」

P「あっはっは! そんなこと言うなよ!」

真美「うぇえっ! 聞かれちゃってたぁ~!」

亜美「やばいよ真美ぃ! 兄ちゃんに怒られちゃうかも~!」

P「」ズンズン

亜美「ひぇっ、こっち来――」

ぎゅうっ

亜美「……へ?」

P「……」

亜美「……に、兄ちゃん? くるしいよ……」

真美「どったの……? ねぇ、兄ちゃん」

P「――してる」

亜美・真美「「え?」」

P「世界で一番、愛してるよ……亜美」

P「はい……だから、その」

P「ええ……いえ、ただのスキンシップでして……そんな、大げさなことには」

P「もちろん、天に誓って……ですから、どうか……あの、マスコミとかそういうアレには……」

P「……はい、ありがとうございます。失礼します……」




P「……ふぅ」

P「まさかあれくらいのことで通報されるとは夢にも思ってなかったな」

P「帰ったらお仕置きに、もっと可愛がってやらなければ!」ダダッ

バターン!

P「ただいま亜美ぃ愛してるぞぉい!」

亜美「あ、お、お帰り兄ちゃぇえぇえええ!?」

P「どうしたんだよ、何をそんなに驚いてるんだ?」

真美「うあうあー! 兄ちゃん、さっきから何言っちゃってんの~!?」

P「何って……亜美へのこの熱い気持ちを言葉にしてるだけだけど……おかしいか?」

真美「そんなのおかしすぎるっしょ! ゼンゼン、いつもの兄ちゃんっぽくないじゃん!」

P「おいおい真美、何をそんなに怒って……あ、そうか」

真美「え?」

P「ごめんな、真美。真美にもただいまって言うの忘れてたよ」

真美「うあうあー! ゼンゼン的外れの外角高めだよ~!」

真美「ねぇ亜美ぃ! 亜美からもなんとか言って……」

亜美「……」

真美「……亜美?」

真美「亜美、なんでさっきから黙っちゃってんの……?」

亜美「……んっふっふ……兄ちゃん、そーいうことか!」

真美「え? どうしたの亜美、なんかわかっちゃったの!?」

亜美「トーゼンっしょ! 兄ちゃんの考えてることなんか、亜美にはまるっとお見通しでもう透けちゃうくらいっぽいよ!」

P「へぇー……それじゃあ言ってみてくれよ」

亜美「兄ちゃんくん! 君は……」

ゴゴゴゴ……

真美「君は!? 君は!? もうなんなの亜美ぃ、そんなに焦らさないでよ~!」

亜美「え~、だってぇ。簡単に答え言っちゃったら、ゼンゼンおもろくないっしょ?」

真美「あっ、そっかぁ~!」

亜美「こうやって風紀委員を作って、そんでからビシシッ! って決めた方がぁ、うわーってなって、きっとおもろいよ!」

P「風紀委員じゃなくて雰囲気な」

真美「さっすが亜美だね! んっふっふ~!」

亜美・真美・小鳥「「んっふっふ~……」」

ゴゴゴゴ……

P「……音無さん?」

小鳥「あ……すみません。なんか、そういう感じかなって……」

P「……」

小鳥「……平均すれば18歳!」

P「はは……」

小鳥「……」

P「……俺、音無さんはとても素敵な方だと思いますよ」

小鳥「脈絡無く褒めるのはいつだって自分に負い目があるときだって、漫画で見たことがあります」

P「そ、そんなこと……」

小鳥「目をそらさないでください!」

亜美・真美「「うあうあー! 兄ちゃん、こっちの話聞いてよぉ~!」」

P「……それで?」

亜美「へ?」

真美「?」

P「えっと、亜美は俺の考えてることがわかったんだよな? 聞かせてみてくれよ」

亜美「うぁあっ、そーだった!」

真美「すっかり忘れてたよ~!」

亜美「亜美もだよぉ~……」

真美「え、亜美も?」

亜美「うん……あのね、真美」

真美「なーに?」

亜美「……兄ちゃんが何考えてるか、なんとなく適当に思いついたのに、それ忘れちゃったんだ……」ヒソヒソ

真美「うぇぇ!? どーすんの亜美ぃ! 兄ちゃん、めっちゃどや顔でこっち見てるよぉ!」ヒソヒソ

亜美「だってぇ~! うあうあー!」

亜美・真美「「ピヨちゃんのせいだぁー!」」

小鳥「ええっ!?」

小鳥「あの……意味はよくわからないけど……ごめんね、亜美ちゃん、真美ちゃん」

亜美「そんなこと言われたって許さないんだかんね!」

真美「そーだそーだ! ひどいよピヨちゃん! 亜美の立場がもうズタボロでゆきぴょんの穴みたいっしょ!」

小鳥「雪歩ちゃんの穴」

P「音無さん」

小鳥「……雪歩ちゃんの掘った穴、ね」

P「それでいいんです」

小鳥「おっほん! それじゃあ……亜美ちゃん、良い考えがあるわ。こっちに来なさい」

亜美「えっ、なになに~?」

小鳥「えっとね……」

亜美「ふんふん……」

P(早く亜美を可愛がりたいのにどんどん脱線していっている気がする……)

亜美「うわ~! ピヨちゃん、それめっちゃナイスアイディーア↑だねっ!」

小鳥「ふふん。伊達にこちとらにじゅう[チョメチョメ]年間も人生を重ねていないわよ!」

真美「頑張って、亜美」

亜美「」

すまん間違って途中送信しちゃった
>>25はナシでオナシャス

亜美「うわ~! ピヨちゃん、それめっちゃナイスアイディーア↑だねっ!」

小鳥「ふふん。伊達にこちとらにじゅう[チョメチョメ]年間も人生を重ねていないわよ!」

真美「頑張って、亜美!」

亜美「うん!」



亜美「うぇおっほん! えー、ではでは改めましてぇ~……」

亜美「全国の兄ちゃん姉ちゃん、弟ちゃん妹ちゃん、おじいちゃんおばあちゃん、あとついでに近所のいぬ~!」

亜美「めっちゃお待たせしちゃってごめんね! こっから亜美の反撃の序章が幕を開けるっぽいよ~!」

P「いやっほう待ってました! 亜美ー! 頑張れぇー!」パチパチ

亜美「あー、いや、どーもどーも……えへへ……」

P「可愛い! マイエンジェル!」

亜美「あっ、そーお? それほどでもぉ、あるけどね~! んっふっふ~!」

P(……さすがだな、亜美。普通に褒めるだけではあまり効果はないみたいだ)

P(ついついなんとなく亜美のペースに乗っかってしまったが、少しやり方を変えなければ……)

亜美「兄ちゃんくん! さっそくズヴァリ! 君の考えてることを当てちゃうよ~!」

P「ほぉ……聞かせてもらおうじゃないか」

亜美「んっとね、兄ちゃんはね、たぶんこう考えたんじゃないかな~」

P「どんなどんな? わくわく!」

亜美「んもうっ! そんなに急かしちゃ、ダ・メ。ダーリンってばいっつもそうなんだからぁん」

P「ハハハ、参ったなハニー。そんなこと言わずに教えてくれよ」

亜美「しょうがない子ねぇん。そうやって急かしちゃうダーリンはね、きっとカルシウムが足りてないのよぉん」

P「なんだって、カルシウムだって?」

亜美「そうよぉん。そんなダーリンに今日お勧めするのが、コ・レ」

ジャジャーン

P「一粒で一日分のカルシウムを摂取できるスーパービタミン剤だって!?」

亜美「ウフフッ。私もこれを使うようになってから、もうお肌のプルプルで毎日がハッピーなんだからぁ」

P「でも高いんだろう? オイオイハニー、僕は無駄遣いは感心しないなぁ」

亜美「そう思うでしょ? でも違うのよぅ。今ならなんと、二箱セットでいちっきゅっぱ」

真美「うあうあうあうあうあうあー!!!! ねぇ!!! さっきからなんのハナシしてんの~!!!!!!」

亜美「うあうあー! 真美ぃ、いいところなんだから邪魔しちゃダメっしょ!」

真美「だってぇ~……真美、いきなり通販番組がハジマルなんて知らなかったんだもん……」

亜美「だってぇ~……じゃないっしょ! これくらいしなきゃ兄ちゃんを誤魔化せ……」

P「誤魔化す?」

亜美「……あ」

真美「亜美亜美ぃ、誤魔化すってなんのこと?」

亜美「……あ、う、う……」

P「……音無さん? 亜美に何を――」


P「っていねぇ!」

亜美「ピヨちゃん裏切ったぁ~!!」

亜美「……ピヨちゃんがね、言ったんだぁ」

小鳥『適当な話題でお茶を濁すのよ、亜美ちゃん。プロデューサーさんならきっとノってくれるから』

小鳥『――思えば私も、ずっとそうやってここまで生き抜いてきたのよ。だから、私を信じて……ね?』

亜美「って……」

P「そ、そっか……」

亜美「うぇ~……でも失敗しちゃったよぉ……」

真美「亜美……ごめんね……真美のせいだよ……」

亜美「……うぅ。兄ちゃん、ごめんね。亜美、ホントはゼンゼン、兄ちゃんの考えてることわかんなかったんだ……」

P「……」

P(謝られる意味はわからないけど、これはチャンスかな)

P「……いいや、許さない」

亜美「あうっ……」

P「俺は悲しいよ、亜美……亜美なら、俺の考えてること、なんでもわかってくれると思ったんだけどな」

亜美「で、でもぉ! い、いきなしスキ、とか言われたって、意味わかんないっぽいよ!」

真美「そーだよ! 真美には言わなかったのにぃ!」

亜美「え?」

真美「なんでもないっぽいよ!」

P「……意味わからないもなにも、あるか。そのまんまだよ、亜美」

亜美「ど、どーいうこと?」

P「ま、そんなことより……罰ゲームが必要だよな」

亜美「罰ゲーム?」

P「ああ、俺の考えてることを当てられなかった亜美へ、お仕置きしないと」

亜美「えー! やだやだぁ! それならもっかい、もっかい! 三回勝負~!」

P「人生はいつだって一回きりの真剣勝負。さぁ、こっちにおいで」

亜美「うぇ~……」

P「大丈夫、かるーくハグするだけだから」

亜美「あ、そっか~、それならうぇえぇええ!?!!?」

亜美「は、ハゲ?」

P「hug」

亜美「英語で言ったってゼンゼンわかんないぃ~!」

P「うるせい」

――ぎゅっ

亜美「!!?!?」

P「……なぁ、亜美」

亜美「な、なに……? ねぇ兄ちゃん、くるし――」

P「俺の心臓の音、聞こえるか?」

ドックン ドックン……

亜美「……うん。めっちゃバックンバックン言ってる……」

P「亜美を抱きしめているからだよ」

亜美「え……」

P「亜美が、俺をこんな気持ちにさせるんだ……」

真美(なにこれ~……でも口出しちゃダメっぽいふいんきだよ~……)

P「……」

亜美「……」

P「……亜美」

亜美「ん……なぁに……」

P「亜美は可愛いな」

亜美「……と、トーゼンっしょ!」

亜美「なんたって亜美は、今めっちゃノリにノってる、ちょーめちゃイケのアイドルなんだかんね!」

P「アイドルとか、関係ないさ」

亜美「え」

P「……歌ったり踊ったりしている亜美も可愛いけど……何より俺は、亜美の表情が好きなんだ」

亜美「す、スキ?」

P「ああ。特に……」

ざわわんっ

亜美「あう……っ」

P「少し恥ずかしがってる顔とかな……首、くすぐったいか?」

亜美「や、やめてよぉ~……」

P「」フー

亜美「ひゃんっ!」

P「……こちょこちょこちょ」

亜美「んっは! あはっ、あひゃあはは! はやー!」

P「ふふ……笑ってる顔も大好きだぞ」

コチョコチョコチョ……

亜美「や、やめっ……あはっ! ひぃ、ひぃ……あははは!」

P「……」

コチョコチョコチョ……

ふにっ

亜美「!!!?!!?」

P「……何度も、はい……反省……はい」

P「いや、あの、ですかr……いえ、なんでもないです」

P「すべて……はい、私が……」

P「どうか、どうか……おおごとには……彼女達のアイドル生活がかかっていますので……」

P「はい……はい……ありがとうございます……」




P「……ふぅ」

P「真美のやつめ……一度ならずニ度までも通報するとは……」

P「だけど話がわかる人で良かった。よおし、今度こそ……!」ダダッ

ガチャリ!

P「俺は決して諦めない! ルールが俺を縛るというなら、俺は――」

P「って、あれ?」

真美「……ぶー」

P「……真美だけ?」

小鳥「私もいますよ~」

P「ああ、音無さん、帰ってきてたんですね。えっと……亜美は?」

真美「亜美なら、律っちゃんと一緒にレッスン行っちゃったよ!」

P「なに、それは本当か……」

P(なんということだ……俺は一刻も早く亜美を可愛がりたいのに……!)

真美「ねぇねぇ兄ちゃん! 今日の兄ちゃん、なんかヘンっしょ!」

P「え、そうかな……」

真美「ぜぇーったい、そうだよ! なんで亜美ばっかりひいきすんの~!」

P「……真美」

P(俺としたことが……一番大切なことを忘れていた)

P(力の亜美、技の真美とはよく言ったもので……亜美と真美、ふたりはふたつでひとつなんだよな)

P「……そうだったかもしれない。ごめんな、真美」

真美「! えへへ……やっぱり兄ちゃんならわかってくれるって信じてたよ~!」

P「よし! それじゃあ、ちょっと遠回りしちゃったけど、今日の活動を開始しようか!」

真美「うん~! そんでそんで、今日は何すんの?」

P「ああ、今日はな……」


P「竜宮小町と一緒に、レッスンだ」

P(亜美と真美のふたりを引き剥がすなんて、そんなことしちゃいけないもんな! ウェッヘッヘ)

最近亜美SSが増えて亜美Pの俺としては嬉しいことこの上ない
お仲間の亜美Pが荒ぶっておられるのか

【ダンスレッスンスタジオ】

P「……」ニヤニヤ

亜美「ふわぁっ」ステン

P「おい大丈夫か亜美ぃ!! 今行くぞ!!!」

律子「」シュッ

――ドゴォ!!

P「フゴッ」

律子「……プロデューサー? 急に合同レッスンしたいなんて言い始めたと思ったら、さっきからなんなんですか?」

P「な、何って……亜美が転んでケガでもしたらどうするんだ! 俺死ぬぞ!?」

律子「ダンスレッスンしてたらそんなのよくあることでしょう! トレーナーに任せて、私達はこ・っ・ち……!」グググ

P「ぐぬぬ……」グググ

律子「だーもう! めんどくさい人ね!」

トレーナー「はい、L、R、L、L、R……」

亜美「うあっとと……!」

すってーん

あずさ「亜美ちゃん、大丈夫~?」

亜美「ご、ごめんねあずさお姉ちゃん……」

伊織「アンタらしくないわねぇ、これくらいのダンスで転ぶなんて」

亜美「……」

真美「亜美……」

伊織「……で、なんでアンタは自然にここにいるのよ」

真美「うあうあー! そんなの真美にもわかんないよぉ~!」

トレーナー「うぅん……一旦、ちょっと休憩にしましょうか」

亜美「……」チラ


律子「」ガミガミ

P「はい……はい……ごめんなさい……」


亜美「……ほっ」

伊織「さっきからどーしたのよ、外ばっかり見て」

亜美「うぇえ!? な、なんでもないっぽいよ!」

伊織「ん~? あっちには、律子と……プロデューサーがいるわね」

伊織「律子がいるのはいつも通りだし……あぁっ、もしかしてアンタ!」

亜美「!」

伊織「プロデューサーに練習見られて、照れちゃってんの?」

亜美「うあうあー! そんなことないもん! 兄ちゃんに見られたって、亜美、別に平気だもん!」

伊織「あーら、図星みたいね! まったく、お子ちゃまなんだから~」

亜美「うぐぎぎぎ……!」

亜美「違うって言ってるっしょ~!」

伊織「にひひっ! 本当にそうかしら~?」

伊織(いつも亜美にからかわれてるけど、たまにはこういうのもいいわね!)

ギャー ギャー


真美「ぶー……」

あずさ「……真美ちゃん?」

真美「ぶー!」

あずさ「まぁ……ふふっ、ブタさんのモノマネ?」

あずさ「そういう真美ちゃんも、いつもと違う一面が見れて、私、とーっても可愛いって思うわ~」ナデナデ

真美「うあうあー! あずさお姉ちゃん、違うよっ! ブタのモノマネなんかやったって、ゼンゼンおもろくないっしょ!」

あずさ「あ、あら……ごめんなさいね、真美ちゃん……」

真美「……あずさおねえちゃ~ん」

あずさ「どうしたの? 悩み事?」

真美「……うん」

あずさ「……私でよかったら、なんでも話してみてちょうだい」

あずささんマジ聖母

あずさ「プロデューサーさんが、亜美ちゃんばっかり褒める?」

真美「そーなんだよ~! 真美だってすぐそこにいるのに、亜美ばーっかり!」

あずさ「んー……それは、確かに良くないわねぇ」

真美「真美、思わずおまわりさんに電話しちゃったもん」

あずさ「え?」

真美「それにさっきもね、亜美には、『愛してるぜ……マイスイートハニー』とか言っちゃうんだよ!」

あずさ「そ、そう……プロデューサーさん、思っていたより、ずっと大胆な方なのね。おまわりさん……?」

真美「ねね! あずさお姉ちゃんも、そんな兄ちゃんはダメダメだーって思うっしょ!?」

あずさ「……そうね。褒めること自体は、決して悪いことではないけれど……」

あずさ「亜美ちゃんだけっていうのは、ダメね。真美ちゃんだって、プロデューサーさんに褒められたいわよね」

真美「うんうん! やーっぱり、あずさお姉ちゃんだけは真美の味方だよ~!」

あずさ「真美ちゃんだって、好きだよって、言われたいわよね」

真美「うんうぇえええええ!!?」

真美「そーいうハナシしてんじゃないっしょ!」

あずさ「え、そ、そうだったかしら?」

真美「真美はね、兄ちゃんは亜美の兄ちゃんじゃなくて、真美の兄ちゃんだから、だからフコーヘーは良くないって言ってんの!」

あずさ「んー……だから、亜美ちゃんとおんなじように、真美ちゃんも好きって言われたいんでしょう?」

真美「……」

あずさ「……?」

真美「……べ、べつにそんなことないもん」

あずさ「……そうなんだ。ふふっ……」

真美「うあうあー! なんかモヤモヤするぅぅ!!」ダダッ

あずさ「えぇ!? ま、真美ちゃん!?」

真美「もーおしまい! ちゃんちゃん! 真美、おトイレ!」

あずさ「……行っちゃったわ~」


あずさ(真美ちゃん、顔真っ赤にしちゃって……)

あずさ(……プロデューサーさん、思ったより、悪い人なんですね~)

【レッスン終了後】

P(結局、そのあとのレッスンは……律子に縄で縛られたまま、ろくに様子も見れないで終わってしまった)

P(亜美のしなる肉体を間近で見たかったんだけどなぁ……)


あずさ「プロデューサーさん」

P「あ、お疲れさまですあずささん」

あずさ「ええ、お疲れさまですー。でも……」

P「でも? 何か気になることでもありましたか? この縄についてはうまく説明は出来ないんですけど……」

あずさ「めっ!」

P「へ?」

あずさ「……ですよ?」

P「い、一体何が……」

あずさ「それは、女同士のヒミツです。ふふっ……」

あずさ「律子さん、あのー……」

律子「え? なになに……ふんふん……」

律子「……なーるほど」


P「り、律子。そろそろ縄を……」

律子「ええ、ほどきます。……で・も」

P「でも? 律子までなんだ?」

律子「真美にほどかせますね♪ もちろん、私達がこの場を去ったあとに」

P「んなっ……! そんなことしたら!」

亜美「……」

P「亜美の汗の匂いが! 嗅げないじゃないフゴォ」

律子「ああん?」メキメキ

P「なんでも……ないでしゅ……」

亜美「うぅぅぅぅ~! 兄ちゃんのバカぁー!」ダダッ

P「ええ!?」

P(な、なんで……亜美にそんなことを……心当たりがまったくないぞ……!)

P「……」ポツーン

真美「……」

P「ま、まm」

真美「真美、シャワー浴びてくんね!」

P「あ、ああ……」

真美「兄ちゃんのバーッカ!」

P「!? 真美まで……」


P「……」

P(一体何が原因なんだ……)

P(亜美にはいつも以上に可愛がっただけで……)

P(真美には冷たく接したわけでもなく……いつも通りだったのに……)


P(……いや、ダメだ)

P(あずささんにもめっ! されてしまったし……きっと、俺自身に問題があるんだよな)

P(自分でそのことに気付かなければ……!)

【帰りの車内】

P「……な、なぁ真美」

真美「つーん」

P「……まだ、機嫌直ってないのか?」

真美「べつに、怒ってなんかないっぽいよ!」

P「……」

真美「……」

P「……そっか」

真美「……あ、う……あ、でも、その」

P「帰りに、ケーキでも食べにいこうか」

真美「ホント!?」パァァッ

P「……」

真美「今のウソ! 今のナシナシ! 違うもん!」

P「じゃあ、ケーキもいらないか?」

真美「……」

真美「……兄ちゃんがどうしてもっていうなら、食べてあげないこともないっぽいよ」

P「……どうしてもだよ」

真美「……そーなの?」

P「ああ。こないだロケに行ったろ? そこの近くで美味しいケーキ屋さんを発見してさ、真美にも一度食べて欲しいと思ってたんだ」

真美「え~! 兄ちゃん! 真美がお仕事してる間に、ケーキ食べてたの!?」

P「いやぁ、時間が出来ちゃったからついな」

真美「ず~る~いぃぃ~!」

P「ごめんごめん、その代わり、今日はいくらでも食べていいから……、な?」

真美「やったぁ~! んっふっふ~、兄ちゃん、ありが――」

P「……」

真美「うあうあー! 違うもん! 今の真美はお怒りモードだからありがとなんて言わないんだよ~!」

P「怒ってないんじゃなかったっけ?」

真美「怒ってるフリして実は怒ってないっていうちょードッキリー! ってカンジなんだよ~!」

亜美「ぶー……」

伊織「……で」

亜美「ぶー!」

伊織「アンタはいつまでその調子なのよ。もうアイツもいないでしょ?」

亜美「いーおり~ん! 兄ちゃんはカンケーないって言ってるっしょ!」

伊織「まったくもう……素直じゃないわねぇ。ホーント、お子ちゃまなんだから」

律子「それをアンタが言うのか……」

あずさ「そうよ、伊織ちゃん。そんな風に言っちゃったら、亜美ちゃん、かわいそうよ~?」

あずさ「亜美ちゃんはただ、プロデューサーさんがいなくなって本当は寂しいから、そんな感じになっちゃってるだけなのよね?」

亜美「うあうあー! あーずさお姉ちゃん、何言っちゃってるの~!?」

律子「はいさい、やめやめ。もうすぐラジオの収録、始まるわよ」

かわいい

間違って癖ではいさいって打っちゃった
律子の台詞は、「はいはい、やめやめ。もうすぐラジオの収録、始まるわよ」でオナシャス

はいさいワロタ

【ラジオのお仕事】

伊織「あぁ~もう、疲れちゃったわぁ」

あずさ「伊織ちゃん、どうしたの~?」

伊織「どうしたもこうしたもないわよ!」

伊織「なんで毎回ライブが終わる度に、ファンサービスと称した罵倒をファンの皆に浴びせないといけないわけ!?」

あずさ「でもー、伊織ちゃんのファンの方は、そういうのがお好きな方が多いって言うから……」

伊織「それでもこれはやりすぎよ! 伊織ちゃんはキュートで、プリティで、ハートフルなアイドルでなくちゃいけないんだから!」

伊織「こんなんじゃ、ヘンな印象付けられて、そのうち握手会ならぬ踏みつけ会が開催されちゃうわよ!」

亜美「……」

伊織「……」


伊織「ちょっと亜美! どうしたのよ、今のは『踏みつけ会ならもうやってるっしょ~』ってボケるところでしょ!」ヒソヒソ

伊織「それで私が『やってないわよこのバカぁ! 踏んづけてやる!』ってピー子風に……って、亜美?」

亜美「……あ、ご、ごめんねいおりん! 踏んづけてやる!」

伊織「アンタの台詞じゃないでしょーが! っていうかなんなのこの小芝居! なんで毎回くっだらないミニドラマが最初にあるわけ!?」

いおりん暴走しすぎワロタ

伊織「……と、というわけで! みんn――」

あずさ「皆さん、お待たせしました~」

伊織「ぬっふぁあ!?」

あずさ「少しゴタゴタして、ごめんなさいね。それではいよいよ、竜宮らじお!」

亜美「はーじまーるよーん!」

伊織「きぃー! なんで肝心な私の台詞をふたりして取るわけぇ!?」

ギャー ギャー



律子「……ふーむ」

律子「やっぱり、亜美の調子がちょっとヘン……?」

律子「……ったく、どいつもこいつも思春期なんだから……」

【お仕事終了後】

律子「お疲れさま、皆」

伊織「なんか……今日は、いつにも増してドっと疲れた気がするわ……」

亜美「ごめんねいおり~ん……亜美、あんまり喋れなかったから、いおりんが代わりに頑張ってくれて……」

伊織「……いいわよ、別に。アンタも本調子じゃないみたいだし、そうさせたのは……私でもあるんだから」

亜美「いおりん……」

伊織「な、なによ! そんな目で見つめないでしょ! ……て、照れちゃうじゃない」

あずさ「伊織ちゃん。とっても、可愛かったわよ、モノマネのコーナー……」

伊織「あっ、あれはもう忘れてちょうだい! 亜美の代わりに、その……仕方なくなんだから!」

律子「……よし!」

みんな「?」

律子「このあとは仕事もないし……たまには気分転換でもしましょっか!」

あずさ「気分転換、ですか?」

律子「ええ。亜美とも、よーく話さなきゃだしね?」

亜美「あう……」

亜美「律っちゃ~ん……怒ってる……? ごめんね……」

律子「あぁ、ううん、べつに怒ってるわけじゃないわよ。気分転換、って言ったでしょ?」

伊織「じゃあ何をするっていうのよ?」

律子「……ま、普段はあまりこういうのを摂りすぎるのもダメだと思うけど……今日くらい、特別ね」

あずさ「摂る、というと……何か、食べるんですか?」

律子「そうです! ふっふっふ……実はですね」

律子「こないだプロデューサーに、素敵なケーキ屋さんを教えてもらったんですよ!」

亜美「ケーキ!?」パァァッ

律子「そこで甘いものつまみながら、あんたの考えてること、全部吐き出しちゃいなさい!」

亜美「やったぁ~! 胃袋がもうダメ! って言わせるくらい吐き出しちゃうよ~!」

伊織「……ねぇ、律子」

律子「なに?」

伊織「……それ、アンタが食べたかっただけじゃない?」

律子「そ、そんなことあるわけないでしょ。あくまで亜美とコミュニケーションを取るため、プロデューサーとして……」

伊織「ケーキなんかで釣ってパーフェクトコミュニケーション取ろうとするプロデューサーはアンタくらいよ……」

【ケーキ屋さん】

P「あ」

真美「うあっ!」

亜美「ああっ!」

あずさ「まぁ……」

律子「はー……」

伊織「なんてことなの……プロデューサーって皆こうなわけ……?」

あちゃー……

P「……き、奇遇だな」

律子「そ、そうですね」


真美「……」モグモグ

亜美「真美真美ぃ、何食べてんの?」

真美「んっふっふ~! ショートケーキだよ~!」

亜美「うわぁ~、いいなぁ~! ねぇねぇ、亜美にも一口っ!」

真美「ダメぇ!」

亜美「なぁんでぇ~! いいじゃんいいじゃん、真美のケチンボ!」

真美「ケチじゃないもん! 亜美はぁ、律っちゃんに買ってもらえばいいっしょ!」

亜美「ちょっとくらいぃ~!」

真美「だめー! 兄ちゃんが真美に買ってくれたんだから、これは真美のケーキだよっ!」

亜美「ぶー! ぶーぶー!」

真美「ふんだ! あげないもんねー!」

亜美「うぅ~……!」

律子「ほ、ほら亜美。ケーキなら買ってあげるから、こっちに……」

亜美「……兄ちゃんのがいい!」

P「お、おう! それならもちろ――」

律子「なーに言ってんのよ、あんまりプロデューサーに迷惑かけないの」

あずさ「……」

律子「……あなたも、あんまり亜美を甘やかさないでください。こうなった原因はプロデューサーなのよ?」ヒソヒソ

P「え!? そ、そうなのか……?」

律子「まだ気付いてなかったんですか!? もう、どれだけニブチンなの……」

亜美「ねぇねぇ兄ちゃん、亜美にも買ってよぉ~!」グイグイ

P「あ、いや、だけど……」

真美「ダメだよ兄ちゃん! いまは、真美と兄ちゃんがお喋りしてるんでしょ!」グイグイ

あずさ「…………」

亜美・真美「「ねぇねぇ兄ちゃ~ん!!」」

  _l_   _l_    `'ー、_____.                    rヘ、___LLl
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    、_     、_     ヽ;.:.:.:(|:.:.:.:.:.:l '"⌒  ⌒l:.:.:.:j    /  _ヽ `ー= 三三- ̄ ≡  7  /=/ヽ=   ー--
   l.__    l.__      >.:.:.:.:.:.:.:.i     ,  j:.:./        /  ̄      -ー =-  、-'__/  /ミ 
  、___,)   、___,)    /::::.:.:.:::::::iヽ;i  、-‐ァ ノ'i/       ,. -‐-、_  = ' ' ==-="~ ̄`'ー= -Z'ー'~_____
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   __|__/   _l_   |::::::::::.:.:.:.:.:ノ_/_j l T'┬'⌒ヽ      (、__j' / , ニl-  _             .r'ミ7 王.l‐i、
. (___|ノ`)   __ |__/  .ヽ::::::.:.:.:/-、 ヘ ̄ ̄`\  \     ヽァ`'ーく.r='ニ-    ̄ " ' ー-=-三ヽ ニ-( ̄ヽ / jーl=〉
  _l_  (___|ノ`)  _.〉:::./ー-、. 、. . .``ヽ :ヽ、 \   /   /               ヽj   ̄`'i―'"_ノ、ノニ
   __|__/    、_'"  /::::.:/    \ヽ: .\\\:.\ヽ ヽ,/   ≡三ニニ=-  - ニ ̄三ヽ=-_ `'ーー'^  ̄
 .(___|ノ`)   l.__  ./:::::::::;i      i. :i . : .ヽ: : :ヽ: :l       r=≡-        -ミ二`' =ヽニ
  _l_    、___,) .|::::::::::iヽ     ヽ: . : . : l.: . : .i.:ノl l     エニー ,.=r'" ̄ヽニ -、 -=  -' /.ノ= ー--
   __|__/       i、::::::::i ヽ     ヽ =、: .___,/ ノノ 、 ./- /=    iヘ-  ヽ、__,=-r'='-  __ ー
. (___|ノ`)       __|`ヘ:::j  \     ` 、;.//      `"  三   ヽ \ミノ三-、            ̄
           / /:. : ./: . :.ヽ  ヽ 、_'ー-ニー_,.==-、     ー '" ̄ヽ‐' ニ__     ,. -=ミ ̄`ヽ、_ ' ー‐ --
  ヽヽ ノ    ,r'  /: .、 . /: . :/. : \ ー -  ̄ニ/=ー_ \  ー ―=- ----ー―三三ミ、_   、__  ヽニz
   ー '    / /: . 、ヽ:\ . .ヽ、 : . :ヽ、  ニ-.ク r-r┐ \ \            ニニ     `ヽス_ミ
   / ̄/  | /_;_: . ヽ\\ \__\.: . : / 、 /l"l L/Lj   ヽノ^7=         ニ=-   ー 、__ =ノ_ノ.j= 
   /_/ /ヽj   \. r-ーく ̄ `く^'ヽr-、 lニニ ニニl  `ー'^ /ミ- ’"' ー - ----、 ___i   、_ __ミノ=/  __
  O   /ヘ    /-   'i、   ヽ | \r┐| .| くヽ 〈〉〈〉/7               ヒ, _ _ ,.ノ-   ー -  ̄

亜美「……兄ちゃんは、亜美より真美のが好きなの!?」

P「えぇ!? なんでそんな話になるんだよ!」

真美「兄ちゃんは真美の方が好きっしょ! だって兄ちゃん、真美のプロデューサーだもんね!」

亜美「そんなのカンケーないっぽいよ! だって兄ちゃん、さっき亜美にスキって言ってくれたもん!」

真美「あ、う……それはそーだけど! でもゼッタイ、そのうち真美にだって――」

亜美「「世界で一番、愛してるよって言ってくれたから、亜美が世界一なの!」

真美「う、う……! そ、そんなことないもん!」

亜美「あるもん!」

真美「……あ、亜美……亜美の……!」

亜美「ま、真美のぉ……!」


亜美・真美「「――バカぁ!!!」」

あずさ「ふたりとも、いい加減にしなさい!!!」

亜美・真美「「っ!?」」

亜美「……あ、あずさお姉ちゃん……?」

真美「ど、どうしたの……?」

あずさ「……大きな声出して、ごめんね、亜美ちゃん、真美ちゃん」

亜美「……」

真美「……」

あずさ「でも、そうやってどっちが一番かってケンカするのは……よくないと思う」

あずさ「いつもはあんなに仲良しでしょう? それなのに……そんな風になっちゃったら、私、とっても悲しいわ」

亜美「……でもぉ」

真美「亜美がぁ……」

あずさ「めっ! ……ほら、それに。悲しんでるのは私だけじゃないわよ。伊織ちゃんだって……」

伊織「うぇえぇえ!? わっ、私!?」

あずさ「こんなに目が赤くなっているじゃない……二人がケンカしてるのを見て、心を痛めちゃったのよ」

伊織「み、見ないでよ! う~……い、いいところで割り込もうと思ったのに……不意うちもいいところだわ……!」ゴシゴシ

伊織「……おっほん! いいこと、ふたりとも。ケーキなんてくだらない理由でケン」

あずさ「プロデューサーさん」

伊織「むっはぁ!! スルーするくらいならそれじゃあなんで私に話を振ったのよ!!」

P「……はい」

あずさ「亜美ちゃんと、真美ちゃん。ふたりがこうなってしまった原因、わかりましたか?」

伊織「きぃー!」プンスコ

P「……もう、なんとなくは」

あずさ「ふふっ、それでいいんです。確かな原因なんて、ないんですから……なんとなくで」

P「……」

伊織「このお店で一番高いケーキを持ってらっしゃい! もうこうなったらヤケ食いよ、ヤケ食い!」

律子「ちょ、ちょっと伊織、静かに……」

P「……亜美、ごめん」

亜美「……」

P「今日はさ、なんというか……ヘンだったよな、俺」

亜美「……うん。めっちゃヘンだった……」

P「……正直に言ってさ、俺、そんな大層な理由を掲げてあんな態度を取っていたわけじゃないんだ」

亜美「そんじゃ、なんで……?」

P「うーん……亜美に、舐められたくなかったというか……」

亜美「へ? 亜美、兄ちゃんのこと舐めたことなんてないよ? ……美味しいの~? あんま美味しくなさそう」

P「あ、いや、違う違う! そうじゃなくてだな……」

亜美「うあうあー! じゃあなんなのさー! はっきり言ってよぉ~!」

P「愛してる」

亜美「!!?」

亜美「え、え……あの、じゃあ」

P「……のは、亜美だけじゃない」

亜美「え……」

P「真美のことだって、もちろんそうだ」

真美「ふえ!? ……モグモグ」



真美「……ごっくん! ま、真美!?」

P「ちゃんとケーキ飲み込んだか?」

真美「うんバッチリ! ……んじゃなくてぇ!」

真美「ま、真美のこと……なんて?」

P「俺は、真美のことも……、亜美に対する気持ちに負けないくらい、大好きだって言ったんだよ」

店員(なんだコイツら……)

店員(通報通報っと)ポパピプペ

P「まぁ、それはさておき」

真美「にいちゃん! もっかい! もっかい言って!」

P「俺、実は……亜美にバカにされてるんじゃないかって思ってたんだ」

亜美「ええ!? なぁんで~!? そんなわけないっしょ!」

真美「うあうあー!」

P「だって、お前はいつも俺にイタズラばっかりするじゃないか。目が逢う瞬間、背中に蛇を入れられた日にはちょっと漏らしたぞ」

亜美「あう……そ、それはぁ……」

P「……だから、今日はさ、亜美にどんなことをされても動じないでいようって決めてたんだ」

P「そうすればきっと亜美も、『リアクションが無くてつまんない』と思って、イタズラをやめると思って……」

亜美「……」

P「それで、ついでに……可愛がった」

亜美「意味わかんないっぽいよ~……」

P「どんなことがあっても可愛がる! っていう覚悟を持っていれば、ビックリもしなくなると思ってさ」

亜美「ん~……? そうかなぁ~……」

P「……でも、そうしたことで、真美は不公平だって感じてしまったんだよな」

真美「……うん。亜美ばっかズルイ! って思った……」

P「ごめん……本当に悪かったよ、亜美、真美」

亜美「……」

亜美「ねぇ兄ちゃん」

P「なんだ?」

亜美「亜美のこと大好き、って言ったのは……ホント? おーばーリアクションじゃなくて?」

P「……本当だよ。今日の俺は、亜美に対していつもよりちょっと素直になっただけと思ってくれればいい」

亜美「……真美のことも、おんなじくらい大好き?」

P「ああ」

亜美「……んっふっふ~! それなら、いっか!」

亜美はいい子だなぁ

真美「いいの、亜美ぃ……?」

亜美「うんー! 亜美ね、考えたんだよ~」

亜美「なんで兄ちゃんが亜美にぎゅってしただけなのに、あんなにモヤモヤしたんだろって」

真美「……」

亜美「えへへっ! それはね……真美が、いっしょじゃなかったからだよ~!」

真美「へ?」

亜美「だってぇ、亜美ばっか優しくされて、真美がおいてけぼりになってたんだもん」

亜美「なんかそれって、ズルイっしょ? 亜美たちっぽくないっしょ?」

真美「あ、亜美……」

亜美「えへへ……」

                  ト、
             __   |:.れ,
.       ..:.´.:.:.:.:.:.:.:.:`|:.:.:イ                         ,:ー:.、
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.         ′:.:从:.:.:.:.:.: /   \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.‘,:.:‘,:.: :.:.:.:./ __\:.:.:.:. : |'⌒ヽミ:ト、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ⌒ヽ:. ァ、:.:i
.         i|:.:.:.' ⌒ヽ:.: /  /⌒丶.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,: :.! :.:.:.:i:.:i ´   ` \:.:.:.|   !ノ `¨¨¨¨¨¨´     jノ  )ノ
.       八:.:.|   ∨         )イ!:.:.:.:.:.:.:.i.:.:. l!.:.:.i:.|:.:l       )ノ _,  !
.        ヽ!             |i:i.:.:∧:.:|:.:.:,':i :.:l:.|V   __      y=ミ :
.           ! y=ミ    y==ミメ |:i:i/i:i:iVi:.:/i:i:i: :l:.l  ア´¨¨`     ,
.               ,            j/⌒ヽ:i:i:/i:i:i/⌒ヾ;,              i{
            ′                う ノi:i彡ゞ{ れ l:i     F     ヲ  八
.          人   F    ヲ    r=彡'⌒ヾイ 厂  ̄ ̄ \  `     ´   丶:ヽ
             \ `    ´    / __   V/ ̄ ̄\ (\     /    j:ノ
            \      イフ´      `ヽ/         \T'うぅ=‐- ′
.                ー<\,/´      /       ∧i\ \  ̄}
                 _厂ィ´/       /          <  > \ \ \
            / /ノ ノ    _,∠ _             ∨    \__〉__/
                \/ /  ☆ 〈/   \           |        「ll ト、
             r|/o   ∧ /       \      |/ ヽ  < l ll |/\
            //〉o < /        / >- 、   |      ∧|」l_|∨》\
.             ////|     〈        、/ /     \ノ    <  >  ∨》 \
             レ' レ':.;o     \     \ l \      \     ∨    ∨》   〉
            /:.:. ′     \     \ニ/      /              ∨》 /
              /:.:./   o∧o     \      /      /              |//
          /:.:./  <  >    .:\   /      /:::.                 l/

亜美「さっきはさ、ついつい兄ちゃんの取り合いしちゃったけど……でもホントはダメだよね、あんなの」

亜美「だって兄ちゃんは、ホントはさ……、亜美のものでも、真美のものでもないもんね!」

真美「……うん! そうだね!」

P「お前達……」

真美「兄ちゃん兄ちゃん! 真美も、亜美がいいならそれでいいよ~!」

P「……こんな俺を、許してくれるのか? 散々振り回しちゃったのに……」

亜美・真美「「あたりまえっしょ!」」

P「……っ!」

P(前々から、薄々気付いてはいたけど……)

P(なんて……なんて素直ないい子達なんだ……!)

亜美「んっふっふ~! だって兄ちゃんは……」

真美「真美のものでも、亜美のものでもなくて……」

P「そ、そうだな……俺は誰のもn」

亜美・真美「「亜美と真美のものだもんね!」」

P「……え?」

                    |   __ ヽ }/    !
                    |   .|__}=夫=  ヽ,.へ
                    }_  i__} ‐十┐   {二 ヽ

                   r'゙ -ヘ}.| ! ノ 」   「 __  Y
        - ― - ⌒丶  :!_  へ)   、  ノ    ヽ)r  |、
     /  _ / ー‐┐ヽ)/」_  ,イ`' ー一 }‐┬    {ゝ_ノ}!
    /  /  , / ,ノ !彡) 、 __ ヽ }   ニニ ! `ト、    ',ミ彡1!
   ,   ./ / ./、/}/l ':|⌒;ゝ'ヽ) ヽ!ヨ!   [ _] |  !  __ 」   !
    !   i / ./!./\ j/}ノ __」ミ}/ミニ彡!__ ,,, ....、--<\ヽ{    i
   ,  r'jハ / ≡ミ   ´_  リ{     }ミr'^^ 、ヽ \ _  ヽ';    i
   } i{じ '  ''''     ⌒,,,リ ',    :;ヨ_  \}/ ヽ}、}ハ   ,
 _ ノ ノ ゞ _;,   r―  、'  ,゙   :.    :!} _`  /  ヽ!;!    !
`ー彡/ノ }ヽ  、   }} .,    ,    ハ;,,,/    ̄ '''.}ハ!   ,
 ̄-/ ̄、, ィ^r㍉x_二 /,.へ   }   ' }、 r   ̄ } ハ }   ,
  {    !/    Y「 ̄ r= Y  ゙.,    i >ヽ   ノ/ /!   i ,
  ;  ヽ ヽ   ノ` ゙ 、 t‐   i   ,    !  丁 ̄} j/、 、  ;
 /j ヽ,  ,r;}  ムrt=ハ 厂ゝ、,}ヽ  ヽ   ;! ヽハ` イ!/{  ヽ _ ノ
 ! ;,  Y {{ゞ==シヽ}-'- リ /ヽ }ノシ}}   \  i/\!-,-Y{     !
 ヽi  ノ ヾ= 彡'゙ }! ; }/ r'^=彡1   } >゙  } }-'-i '    ;i
  }/{ ヽ    ノ :i! ,ハ;!  、ヽ _   、   、    j i  !    ,ハ
  ヽ `   /  j /  i  } ノ   }  }     !、 i      ヽ

数日後

トコトコ

亜美「兄ちゃん兄ちゃ~ん!」

真美「兄ちゃ~ん? どこー?」

P「……」

ガタッ

P「!」

亜美「あっ、見っけた!」

真美「んっふっふ~! 取~り押さえろ~!」

P「あ、あああああ!! ま、待っ、ちょ、待って、あ、あんっ」

P「そんなところにハム蔵は入らな……あっあ」

P「……」ゲッソリ


P(亜美だけを可愛がってしまったあの日から……)

P(俺はいつも以上に、双子からイタズラを受けまくっているのであった)

P(どういう話の流れでそうなったのかいまだにわからないが、結局目論見どおりにはいかなかったな……)


亜美「ねぇ、兄ちゃん」

P「ん……? なんだ、もう脱ぐものはパンツくらいしかないぞ」スッ

亜美「うあうあー! そんなのいいって! 手をかけないで~!」

P「じゃあ、一体……あ、そっか」


P(……でも、少しだけ変わったことがある)

P(これが良いのか悪いのか、判断に困るところだけど……)


亜美「今日は、亜美の番だよ? 真美もさ、もう行っちゃったから……」

P「……そうだったな。こっちにおいで、亜美」

通報通報っと・・・

P「……可愛いよー、亜美」

亜美「うあうあー! そんなんゼンゼン心こもってないっしょ!」

P「そんなこと言ったって……こんな格好だし」

亜美「もっとこーさぁ、こないだみたいに、ね!」

P「……」

ナデナデ

P「……愛しているよ、亜美」

亜美「! えへへ……」


P(日替わりの当番制で、亜美と真美を、交互に可愛がることが決定したのだ)

P(もちろん、俺としても悪い気はしない……むしろ亜美良い匂いもっと強く抱きしめたいなぁゲッヘッヘ)


ぎゅぅぅぅ


亜美「あぷ」

P「……」

亜美「……えへへ……♪」

P(こんな関係になったことについて、亜美と真美が実際どう思っているかは……はっきりとはわからない)

P(それでも概ね、二人は納得してくれているようだった……)

P(……ふたりでいっしょ、だもんな)


P(――そして、これは余談ではあるが……)

P(それまでの生活と比べて、はっきりと変わったことが二つある。それは……)


小鳥「……」ジー


P(事務所の皆の目線が、少しだけ冷たくなったこと)

P(……そして)


P「あの……ですから、ですね……」

P「え!? 留置所て……ちょ、それは勘弁……お、俺がいなくなったら、誰があの子達をプロデュースするって言うんだ!!」

P「ま、……嘘、嘘です嘘……やめ……ああああ!」


P(……765プロの事務所におまわりさんがお邪魔する回数が、増えたことだった)

終わり

おわりです、お付き合いありがとうございました
徹底的に亜美だけを可愛がるつもりだったんだけどなんか途中から真美はかわいいなぁ!!!!
それで結局変な感じになっちゃった死んでくる

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