れんげ「なっつん、ライター使うのん?」 (79)

夏海「そうだよー、この時期蚊がすごいからなぁ…」

れんげ「でもなっつん、前までチャッカマンとかマッチ使ってなかったん?」

夏海「いやぁ~前までの私じゃないからね~、なんていうか、大人になった、って感じ~?」

れんげ「?なっつん、大人になったん?」

夏海「もう15越えたら大人だからねー」

れんげ「でも、なっつんまだ13なん」

夏海「げ、ほ、ほら、よく言うじゃん、ちっちゃい大人って」

れんげ「そうなん?」

小鞠「こらこら、れんちょんに嘘教えてちゃダメでしょー」

れんげ「え!なっつん今のうそなん?」

夏海「でもあながち間違いでもないかもよー?」コトッ

夏海「よしっ、完成~」

小鞠「けほけほっ…ちょ、ちょっと、煙こっちに持ってこないでよ!」

夏海「あーご~めんごめん…これでよしっと」

れんげ「蚊取り線香なんで久しぶりなん」

夏海「もう夏はやだねー、蚊いっぱい出るし」

小鞠「あんた名前に夏って入ってるじゃない」

夏海「へ?そうだっけ?」

小鞠「そうよ……あれ?フンフン…焦げ臭い匂いしない?」

夏海「えー?…あ、ほんとだ、なんか臭うねー」

小鞠「あ、あんた、ライターはどこに!?」

れんげ「ここにあるのんなー」フリフリ

小鞠「あ、よかった…」

夏海「それよりもこの匂い…まさか…」

夏海・小鞠「キッチン!?」

夏海「んっ、こ、焦げ臭い~」

小鞠「流石にわたし放置してないよ?…あ」

ボフフン

一穂「あ、ども」

夏海「せ、先生!?」

一穂「いやぁ~、れんちょんに呼ばれて、じゃあ夏だしついでにとうもろこし焼くかーって思ってたんだけどねー」

小鞠「そ、それより勝手に人のうちの台所使わないでください!」

一穂「ごめんごめん」

れんげ「どうしたのん~?」

夏海「あ、れんちょん、…まさかれんちょん、先生のこと知ってた…?」

れんげ「うん、知ってたー」

夏海「ま、マジですか…」ガックリ

一穂「まぁまぁ、ほら、とうもろこしも焼けたし」

小鞠「いや、それ焦げてますよね?真っ黒ですよ…」

一穂「ん~」

夏海「あれ?どうしたんですか、先生?」

一穂「いやー、一つ忘れてることがあると思ったんだけど…なんだっけ?」

小鞠「え?わたし達は知らないですよ?」

一穂「そう?そんなことないと思うんだけどなぁ~」


***


外のバス内

蛍「すぅ…すぅ……Zzz」

一穂「まぁいっか、それより外の川にスイカ冷やしてあるから、食べに行こうか」

小鞠「ちっちゃくないよ!ちっちゃくないよ!」

れんげ「わーい、ス~イカなの~ん」

夏海「おぉ!先生やるねぇ!」

小鞠「台所のはぐらかそうとしてるんだろうけど…ま、いっか」

一穂「よーし、じゃあとりにいこっか~」

夏海・れんげ「おぉ~!」



一穂「通知表も返さなきゃね~」

夏海「」

れんげ「あれ?なっつんどしたん?」

夏海「う、ううん、なんでもないよれんちょん」

夏海(なんで悪寒が…)

一穂「ほら行くよ~」

夏海「あ、待ってよ~!」


***


蛍「あ、あつ…っ…ぅん…」

車内温度 46℃

駄菓子屋「蛍の丸焼きじゃねえか」

蛍「ん…?」

蛍「あ、わ、わたし、寝ちゃって…」

蛍「ここは…あ、先生の車…」

ピトッ

蛍「あつっ!?……そ、そういえば、この車、なんか暑いような…」

蛍「もしかして、太陽の光で…?」

蛍「は、早く出ないと…!」

ガチャガチャ

蛍「!?あ、あかない…?」

蛍「な、なんとかして…そ、そうだ、窓を割れば…!」

ドンッ ドンッ

蛍「えいっ…!…だ、だめだ……あ、汗もこんなに…」

蛍「他に何か…」

蛍「………」

>車の前のカゴにライター発見

蛍「……………い、いくらなんでも危険よ…ほ他には…」

夏海「な、なんとか赤点はまぬがれたぜ…」

れんげ「わーい、5がいっぱいなの~ん!」

一穂「こらこら~遊びすぎちゃダメだよ~、じゃ次…ほたる…ん…あれ?」

夏海「そういえばほたるんはどこにいるんだー?」

一穂「……………………あ」

小鞠「?どうしたんですか、先生?」

一穂「ほたるん…車の中に置いてきた…」

駄菓子屋「おーい、蛍が丸焼きになってたぞー」

夏海「そ、それって、いくらなんでもまずいんじゃ…」

一穂「そ、そういえば車の中にはライターもあった気がするん…!」

小鞠「ちょ、ちょっと、それいくらなんでもまずいですよ!!?早く開けに行って…」

一穂「う、うん!」


タッタッタッタッタ

蛍「どうしよう…もう他には…」

蛍「いやぁ…もう下着まで透けちゃってる……意識もそろそろ…」


一穂「ほたるーん!大丈夫ー!?」

蛍「せ、先生…!」


一穂「今から開けるからもうちょい待っててね、ほたるん!」スッ

スカッ スカッ

夏海「あれ……先生?」

れんげ「はやく蛍助けてあげるん!」

一穂「か、鍵なくした…」

駄菓子屋「なんだこの鍵?ちゃんとしまっとけよ。引き出しの中っと」

夏海「くそーっ、もうこれじゃハンマーとかで壊すしか…!」

れんげ「で、でもなっつん、どこからハンマーもってくるん?」

夏海「そ、それはもちろん、うちから…じゃ遠いか…」

れんげ「それにほたるんに何かあったら大変なん!」

夏海「いや、今でも十分大変だと思うけど…」


蛍「はぁ……はぁ……!」


夏海「ほら、なんかエロい声を出して…じゃなくって、ヤバい!呼吸困難起こしてる!?」


小鞠「バール持ってきたわよー!」


夏海「お!でかした姉ちゃん!それでこのガラス割って」

小鞠「もちろんよっ!いっけ」

ガッ

小鞠「あれっ!?」


メシィッ!バリーーン!

ピッ…… ピッ……

夏海「あれ…ここは…?」

れんげ「な、なっつん…!」

夏海「へ?」

小鞠「あ、あんたねぇ…心配したんだから…っ!」

夏海「な!?…」

一穂「ほ、ほらほら、れんちょんもコマちゃんも、その辺にして」

れんげ「う、うん…」

蛍「せ、先輩…大丈夫…ですか?」





夏海「………………え?あれ?先輩って………わたし?」

夏海・れんげ・蛍・一穂「!?」

……

夏海「えっと…わたしは『越谷夏海』で…この人がわたしの姉の…え、えーっと…」

小鞠「こ、越谷小鞠」

夏海「あ、す、すいません、越谷…小鞠さん」

小鞠「うっ!…うぅ…」

れんげ「こ、コマちゃん!大丈夫なん!?」

一穂「れ、れんちょん、大丈夫だって、コマちゃんも一々びっくりしないの」

小鞠「こ、こんなの…夏海じゃ…ない…」

蛍「せ、先輩…本当に覚えてないんですか?」

夏海「うーん…でも、自分の名前覚えてなかったくらいだから、覚えてないんじゃないかしら…」

蛍「く、口調まで変わってる…」

小鞠「せ、先生は話しかけていればそのうち戻るとはいってたけど…」

蛍「す、すいません、わたしがあの車から出ていれば…」

小鞠「……う、ううん、蛍が謝る必要ないよ、あの車、ロック解除できるの運転席だけだったし…」

小鞠「それよりも…」

一穂「うっ、あ、あれは事故だったんだよー、ま、まぁ今回は運が悪かったんだよ、コマちゃんのあれも」

小鞠「…………」

事件当日(一週間前)

小鞠「いたた…で、でも、これで窓が割れ…て…」


夏海「」


れんげ「な、なっつん?大丈夫なん?」

蛍「…はぁ…はぁ…せ、せんはぃ…」

一穂「…あ…き、救急車!早く!」ガチャガチャ

小鞠「あれ?な、夏海…?…ぇ?」

小鞠「あ、頭がぱっくり、われて…」

小鞠「」フッ ドスッ

***

一穂「いや~最近の科学はすごいね~、あんなにひどかったのに治しちゃうなんて」

小鞠「……せ、先生…夏海にはちゃんと、…ちゃんと言ったんですか…?」

一穂「………な、なにを…?」


小鞠「重度の言語障害を患っていること」

一週間後

小鞠「夏海、おはよ」

夏海「…ぉ…おぁょ…ぉ…お…」

小鞠「あーいいよいいよ、よく言えましたっ」

夏海「……ぇ…ぇへえぇ…」

小鞠「うんうん、よしよし………っ……」

小鞠「ち、ちょっとだけ小鞠お姉ちゃん、水飲んでくるね?」

タッタッタッタッ……


夏海「ふぅ…やっと行ったよ…」

ゴソゴソ

れんげ「なっつんも、なかなかやるのんな~」

蛍「せ、先輩…そ、そろそろやめた方が…」

夏海「えー?退院まであと3日あるし、3日くらいいいでしょ?」

蛍「で、でも…」

夏海「まぁ最終日くらいは謝ってあげなくちゃね。へへっ」

蛍「せ、先輩…!」


BAD END

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