ほむら「み、美樹ほむら…です……」(615)

キュゥべえ「美樹さやか、それが君の願いかい?」

さやか「うん…!」

キュゥべえ「僕が言うのも何だけど…本当に大丈夫なんだね?」

キュゥべえ「他に方法はいくらでもあると思うよ」

さやか「いいよ、大丈夫……あたし、バカだからこれくらいしか思い付かなかったけど」

さやか「自分で決めたことだからさ…だから」

さやか「後悔なんてあるわけない」

さやか「あたしはこの願いで…だから、叶えてよ!キュゥべえ!」

キュゥべえ「わかったよ」

―――

――

―――

――



ほむら「……」パチ

ほむら(また…守れなかった……)

ほむら(どうして?どうしてなの?)

ほむら(どうしても、まどかを守ることができない……!)

ほむら(巴マミは死に、佐倉杏子も……)

ほむら(美樹さやか……)

ほむら(彼女に至っては、もう友達だなんて……)

ほむら(でも、私は諦めるわけにはいかない)

ほむら(何があっても絶対にあなたを守ってみせる!)

ほむら「まろか…!」

ほむら「……?」

ほむら(何か違和感があるような…?)

ほむら「ほみゅ……」キョロキョロ

ほむら(気のせい…よね?)

ほむら(とにかく、何があっても私は絶対にまどかを守ってみせる)

ほむら(だから何事にも動ずることはできないわ…!)

ほむら(まずは病室からでないと)

ほむら「………!?」

ほむら(あ?あれっ?)

ほむら(病室じゃない…ど、どうして?)

ほむら(この部屋は一体……?)

ほむら(知らない天井…それに、これはお布団…よね?)

ほむら(病院のベッドはこんなに大きくはなかったはずよ?)

ほむら(何がいったいどうなってるの…?)

ほむら(と、とにかくここから離れないと…)

ほむら「ほ…みゅ……」ヨロヨロ

ほむら「あぅっ」コケッ

ほむら「うぅ…」ジワジワ

ほむら(い、痛い…それに立てない……?)

ほむら「ほ…みゅ…!」ヨジヨジ

ほむら(ダメよ…こんな所で挫ける訳には……!)

ほむら(いくら歩けなくったって…それくらいで…!)

ほむら「あぅ……」ヨジヨジ

ほむら「はぁ…」

ほむら(つ、疲れるわね…)

ほむら(それにこの部屋…かなり広い?)

ほむら(特別豪華な部屋ではないわ…いたって普通の部屋…)

ほむら(でも広い…ここは…?)

さやか「たっだいまー!」

ほむら「!」

ほむら(この声は…)

さやか「えへへ、まだ眠ってるのかな?」

ほむら(美樹さやか…?)

さやか「ゆっくり入らなきゃね」

ほむら(間違いない…この声は美樹さやかのものよ)

ほむら(でもどうして彼女が?)

ほむら(これは問いただす必要があるわね)

さやか「ただいまー…っと」ソーッ

さやか「ほむらー、眠ってる?」

ほむら「!」

ほむら(美樹さやか…!)

さやか「あっ!起きてるじゃん」

さやか「えへへ、おはよー」

ほむら(早く問いたださなきゃ…!)

ほむら「ほ…ほみゅ…」

さやか「ん?なーに?」

ほむら「ほみゅぅ…」

ほむら(ど、どうして?上手く話せない?)

ほむら(私の身に何が起こっているの?)

さやか「あれ?ほむら、どこかに行きたいの?お布団から離れちゃってさ」

ほむら「ほみゅ…」

ほむら(それにしても…美樹さやかってこんなに大きかったかしら?)

ほむら(顔は私の知ってる美樹さやかよりも幼く見えるけど……)

さやか「んー?よくわかんないけど、部屋からでたいの?」

ほむら「!」コクッ

さやか「おぉ!やっぱり?ってか言葉わかるんだぁ!」

さやか「えへへ、さっすがあたしの妹!天才だね!」

ほむら「ほみゅ!?」

ほむら(え…?)

さやか「ほーむら♪」ダキッ

ほむら「ほ、ほみゅっ?」

さやか「さやかお姉ちゃんが連れてってあげますからねー」

ほむら(な、何がどうなって…?)

ほむら(美樹さやかがものすごく大きい…)

ほむら(それに…お姉ちゃんって…)

ほむら(ま、まさか……?)

さやか「えへへー。ほむら、何処に行きたいの?」

さやか「何処にでも連れてってあげるよ!」

ほむら「ほ…ほみゅ…」

さやか「えへっ、かわいーやつめー!」

さやか「いいこいいこー♪」ナデナデ

ほむら「ほみゅぅ……」

ほむら(ま、まさか…まさか私は……?)

ほむら「ひゃ…ひゃひゃか!」

さやか「ん?」

ほむら「ひきひゃひゃか!」

さやか「え?え?なになに?」

ほむら「しゃ…しゃ…」

ほむら「しゃやか!」

さやか「!!!」

たっくんくらいの年ってことでいいの?

さやか「え…うそ…?」フルフル

ほむら「ほみゅ?」

さやか「ほ、ほむら…もう一回…もう一回言って?」

ほむら「?」

さやか「ねっ?もう一回!もう一回言ってよ!」

ほむら「しゃ…しゃやか…?」

さやか「きゃーっ!」

ほむら「ほみゅぅ?」

さやか「やったぁー!」

さやか「えー?うそ?うそっ?ほんと?ほんと?」

さやか「ママー!ママってば!」

さやか「ほむら、待っててね?」

さやか「ママー!ほむらが、ほむらがぁー!」タタッ

ほむら「……ほみゅ」

ほむら(わけがわからないわ……)

ほむら(何がいったいどうなって……)

ほむら(ママ…と言っていたわね、ならここは美樹さやかの家なの…?)

ほむら「ほみゅぅ…」キョロキョロ

ほむら「!」

ほむら(鏡!鏡があるわ!)

ほむら(鏡を見れば……!)

ほむら「ほみゅ…ほみゅ…」ハイハイ

ほむら「ほみゅー!ほみゅー!」

ほむら(と、届かない…)

さやか「もぉー、ママったら何時の間にお出掛けしちゃったのさ」

さやか「せっかく、ほむらが喋ったのに…」

ほむら「しゃ、しゃやか!」

さやか「ほら!また!」

さやか「って…どうしたの?ほむら?」

ほむら「ほ、ほみゅ!」

さやか「え?鏡が見たいの?」

ほむら「ほみゅほみゅ」コクコク

さやか「うん、わかった!お姉ちゃんに任せなさい!」

さやか「はい、おいでーほむら」

ほむら「ほみゅ…」

さやか「さっ!お姉ちゃんの胸に飛び込んで!」

ほむら(ど、どうして私がそんなことを……)

さやか「ほーむら♪」ニコニコ

ほむら(……仕方ないわね、私の姿を確認するためよ)

ほむら「ほみゅ…ほみゅ…」ハイハイ

さやか「よくできましたー!」

ほむら「ほみゅぅ」

さやか「えへへっ!やっぱりほむらは天才だね!」

さやか「だってあたしの言葉をもう理解できてるんだもん」

さやか「ほむらー♪」ギュゥ

ほむら「ほ、ほみゅ…」

ほむら(いいから早く鏡を……)

ほむら「か、かかみ!」

さやか「あっ?うん、そうだったね」

さやか「いやー、鏡の名前まで言えるなんてほんと凄いわ」

さやか「何よりスッゴく可愛い!」

ほむら(いいから早く…)

なんでまどマギ厨ってキャラ信者同士で争ってんの?
同じアニメ見てんだから仲良くしろよ

さやか「はーい、鏡だよー!」

ほむら「!?」

ほむら(あ…あぁ……)

さやか「えへへ、自分の可愛い姿が見たかったのかー、なんてね」

ほむら(そ…そんな…まさかとは思っていたけど……)

ほむら(うそ…うそよ……)

ほむら(どうして…私が…赤ちゃんに……)

ほむら(なんで…どうして?そんな……)

ほむら(こんなの絶対おかしいわ…)

ほむら「ほ…みゅ…」ウルウル

見るのも見ないのも自由だろ

ほむら(そんな…これじゃ…このままじゃ…私……)

ほむら(何もできない……)

ほむら(話すことも…歩くことも……)

ほむら(何も…何もできないって言うの…?)

ほむら(こんなのって…それじゃあ…私は…)

ほむら(まどかを救えない…?)

ほむら(まどかと話せない…まどかと会えない………)

ほむら(まどか…まどかぁ……)

ほむら「ほ…みゅ…」ジワジワ

>>80
ケチつけたいなら余所行けって言ってんだよマヌケ

さやか「ん?」

ほむら「ほみゅ…ほみゅ…」ウルウル

ほむら(あ、あれ…私…涙が……?)

ほむら「ふぇぇぇぇぇん」

さやか「わわっ?」

ほむら(どうしてなの?涙がとまらない…)

ほむら「ふぇぇぇぇ」ヒックヒック

さやか「ど、どうしちゃったの?どこか痛いの?」

ほむら(どうして……)

さやか「ほ、ほーら!たかいたかーい!」

さやか「よ、よしよーし。痛いの痛いのとんでけー!」

ほむら「うぇぇぇぇん」

さやか「あぁぁ…ど、どうしよう…ママはいないし……」

さやか「だ、大丈夫だよー?お姉ちゃんがついてるからねー?」

ほむら(あなたが姉だなんて…どうして……)

ほむら(私は…暁美ほむらよ…美樹ほむらじゃないのよ…?)

ほむら(なのに…なのにぃ…)

ほむら「ふぇぇぇぇぇん」

さやか「わわわ…えーと!えーとっ!」

さやか「い、いないいない…ばぁー!」

ほむら(私は赤ちゃんなんかじゃない!)

ほむら(なのに…どうして…こんなことに……)

ほむら「うぇぇぇん」

さやか「あわわわ…えっと!えーと!」

さやか「そ、そうだ!ママがダメなら…ケータイは…あった!」

さやか「よし、これで…」

さやか「あっ!もしもし?」

数分後

さやか「よしよし、よしよし」

ほむら「ふぇぇぇぇ……」

ほむら(ダメ…涙が止まらない……)

ほむら(ソウルジェムも見当たらない…これじゃ変身もできない…)

ほむら(時間を巻き戻すことすらできないの……?)

ほむら(まどか…まどかぁ……)

さやか「そろそろ来るからね?だから泣かないで?ねっ?」

ほむら(誰が来たって、私は…)

まどか「さやかちゃーん」

さやか「まどか!」

ほむら「ふぇぇぇぇぇん」

まどか「来たよ、入ってもいい?」

さやか「助かった!うん、入って入って!」

まどか「おじゃまします」

さやか「ごめんね?呼び出しちゃってさ」

まどか「ううん、大丈夫。それよりも、ほむらちゃんは大丈夫なの?」

さやか「それが……」

ほむら「うぇぇぇぇん」

まどか「泣いちゃってるんだ…どうしたのかな?」

さやか「わ、わかんない…急に泣き出しちゃって……」

さやか「ママもいないし、あたし…どうすれば良いか……」

さやか「まどか、あんたもお姉ちゃんでしょ?どうやってタッくんをあやしてるの?」

まどか「うーん…とりあえず、がんばってみるね」

さやか「う、うん!お願い!」

まどか「ほむらちゃん」ギュッ

ほむら「ほみゅ!?」

ほむら「み、美樹ほむら…です……」★2

ほむら「み、美樹ほむら…です……」★3

何やってんだコイツwwwww

>>119
datおちてるんだけどだれたてたの

まどか「大丈夫、大丈夫だよ」ナデナデ

ほむら(ま…まさか…)

まどか「なーんにも怖いことなんてないんだよ?大丈夫、わたしがついてるから」

まどか「だから泣かないで?ほむらちゃん」ナデナデ

ほむら(まどか…?)

ほむら「ほみゅぅ……」

さやか「あっ、泣き止んだ…」

まどか「よしよし、いいこいいこ」ナデナデ

ほむら「……ほみゅ」

>>123
ID:P9AXWGEE0が立ててる

まどか「えへへ、よかったぁ」

さやか「すごいよ、まどか!ありがとう!」

まどか「ううん、そんな…でも泣き止んでくれて嬉しいな」

ほむら「……ほみゅ」ギュッ

まどか「あっ…えへへ、ほむらちゃん」

さやか「おぉ…すっかりなついてる」

ほむら(まどか…まどかぁ…!)

ほむら「まろか……!」

まどか「えっ?」

さやか「あっ!」

ほむら「まろかぁ…!」

まどか「わわ…さ、さやかちゃん…わ、わたし…!」

さやか「う、うん!」

ほむら「まろか…」

まどか「や、やった!やったよ!さやかちゃん!わたし、名前で!」

まどか「まどかって!ほむらちゃんがまどかって言ってくれたよ!」

まどか「わーい!やったやったぁ!うぇひひ!」

さやか「うんっ!すごい!すごいよ、まどか!」

まどか「えへへっ!ほむらちゃん!」ダキッ

ほむら「ほみゅぅ」

ほむら(まどか…まどかが来てくれた…)

ほむら(もしかしたらもう会えないかと思ってしまったけど…よかった)

ほむら(まどか…)

まどか「えへへ、ほむらちゃんは凄いね。タツヤはまだ何も喋れないんだよ?」

さやか「ほむらの方がちょっとだけお姉ちゃんだもんね」

ほむら(でも…)

まどか「ほむらちゃん、何があったのかな?」

さやか「さぁ…鏡見たら急に泣き出しちゃってさ」

まどか「うーん…鏡の中の自分を見てびっくりしちっゃた…とかかな?」

さやか「あっ、そうかも」

まどか「とりあえず、鏡はもうおしまいだね」

さやか「うん、見れないようにしとくわ」

まどか「ほむらちゃん、もう大丈夫だからね」

ほむら「………」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら(まどかと会えても…今の私じゃまどかを守ることはできない……)

ほむら(それどころか…まどかにあやされるなんて……)

ほむら(少し嬉しい…)

ほむら(けどっ!これじゃダメよ!)

ほむら(ダメなのよ……これじゃまどかを守ることは……)

ほむら(私は……)

ほむら(………)

ほむら「………」

さやか「あれ?」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「すぅ…すぅ…」

まどか「……ふふ、眠っちゃったみたいだね」

さやか「泣きつかれて眠っちゃったんだろうね」

さやか「まどか、抱いたままじゃ疲れるでしょ?」

まどか「ううん、大丈夫だよ。タツヤにもよくこうしてるし」

さやか「そっか、まどかはお姉ちゃんの先輩だもんね」

まどか「えへへ、よーく眠るんだよ?ほむらちゃん」

さやか「でもほんと助かったよ、まどか」

まどか「何かあったら何時でも呼んでね?」

さやか「うん!頼りにしてるからね!」

まどか「…わたしなんかでも役に立てるなら…うん!頼りにしてね!」

さやか「ありがと、まどか!」

まどか「うんっ!」

さやか「あっ、ランドセル…てことはまだ家に帰ってなかったんだ」

まどか「うん、帰ってる途中だったんだ」

さやか「何かしてたの?」

まどか「仁美ちゃんとお話してただけだよ」

さやか「え?何の?」

まどか「んーと…な、内緒だよ!」

さやか「えー?何でよ?気になるー!」

まどか「そ、それよりもさやかちゃん!ちょっと間違ってるよ?」

さやか「話をそらそうとしてもそうはいかんぞぉ!」

まどか「だって、さやかちゃんの方が先にお姉ちゃんになったんだよ?」

さやか「ん?」

まどか「だから、わたしはお姉ちゃんの先輩じゃないよ」

さやか「あぁ…言ってなかったっけ?ほむらは病弱だったから中々家に来れなかったんだ」

さやか「だから、まどかのが家でお姉ちゃんしてる時間は長いんだよ?」

まどか「そ、そうだったんだ…」

さやか「まどかってほんとバカ!なーんてね」

まどか「てぃひひ……」

さやか「で?何の話だったっけ?」

まどか「えっ…と、ほむらちゃんをちゃんと寝かせなきゃなぁ…って」

さやか「あ、そっか!ちゃんとお布団で寝かせなきゃね」

まどか「うん、それじゃあ寝かせるね?」

さやか「うん、お願いね」

ほむら「すぅ…すぅ…」

まどか「おやすみ、ほむらちゃん。また来るからね?」

さやか「うん、ありがとう」

まどか「次はタツヤとも遊べるといいなぁ」

さやか「待ってるからね」

―――

――



ほむら「……ほむゅ?」パチッ

ほむら(あれ…私…?)

さやか「ぐうぐう」

ほむら(美樹さやか……そっか、私は……)

さやか「ん……?」パチッ

さやか「ふわぁっ…まだ夜かぁ」

ほむら「……」ジッ

さやか「あれ?ほむら、起きてたの?」

ほむら「……」コクッ

さやか「やっぱ言葉通じるんだ…さすがあたしの妹」

さやか「ほむら、まどかお姉ちゃん次会ったらちゃんと、ありがとうって言うんだよ?」

ほむら「ほみゅ」

さやか「あはは、まどかのやつきっと喜ぶだろうなぁ」

ほむら「……まろか」

さやか「まただ!ほむらはまどかが好きなんだねぇ」

ほむら「ほみゅ!」

さやか「でーも、あたしがお姉ちゃんなんだからね?」

ほむら「…しゃやか」

さやか「きゃーっ!」

さやか「ほむらってほんと可愛い!」

ほむら「ほみゅ」

さやか「この年でもう話せるんだから、幼稚園になるころにはもっと凄くなってるはずだよ!」

ほむら(幼稚園…ね)

さやか「よーし、ほむら!タッくんとまどかに負けないよう頑張るぞ!」

ほむら「?」

さやか「あの仲良し姉弟以上に仲良し姉妹になるのだぁー!」

さやか「それと、タッくんとも仲良くなるんだよ?」

ほむら「……ほみゅ」

―――

――



先生「はい、それじゃあお別れの歌で今日はおしまいです」

先生「いきますよー、さんはい」

先生「サールティー♪」

園児達「ろーやりー♪」

ほむら(……気がついたら私は幼稚園児になっていた)

ほむら(全く…わけがわからないわ)

ほむら(それにこの曲……)

ほむら(ううん、気にしないことにしましょう)

タツヤ「うた、たのしかったね」
ほむら「…タッくん…う、うんそうだね」

ほむら(鹿目タツヤ…まどかの弟)

ほむら(そして私とは同い年…か)

ほむら(もう…考えるだけ無駄な気がしてきたわ)

ほむら(それに……)

まどか「タツヤー」

タツヤ「ねーちゃ!」

さやか「ほむら、迎えに来たよ」

ほむら「……おねえちゃん」

先生「あら?今日はあなた達がお迎えに来たのね」

さやか「はい!今日は学校休みだったんすよ!」

まどか「だから迎えに行きたいな…って」

先生「そう、うふふっ。優しいお姉ちゃん達ね」

タツヤ「ねーちゃ、だいすき!」

まどか「えへへ、ありがとう!」

さやか「むむっ!まどかだけずるーい!」

さやか「ほむら、お姉ちゃんにも言って?」

ほむら「………」

さやか「ほーら、ほむら!ねっ?お願いっ!」

ほむら(もう…仕方ないわね)

ほむら「おねえちゃん、だいすき」

さやか「きゃーっ!かわいいー!」

まどか「うぇひひ」

タツヤ「ほむらちゃん、つんでれだね!」

ほむら(何処でそんな言葉覚えてきたのよ……)

ほむら(…はぁ…幼稚園児…ね)

ほむら「………」ジィ

まどか「ほむらちゃん?どうしたの?」

ほむら「まどかおねえちゃん、だいすき」ギュッ

まどか「あっ…えへへっ!わたしも大好きだよ、ほむらちゃん」

ほむら「まどかおねえちゃん…」

ほむら(ま、まぁ…こう言うのも悪くはないわね)

ほむら(まどかとは毎日会えるし、キュゥべえも一度も見かけたことはないわ)

ほむら(だから時間をかけてでも構わない、とにかく確実に元に戻る方法を考えるべきね)

さやか「くぅー!まどかはほむらにモテモテだね」

まどか「えへへっ!」

さやか「よーし、ほむら」

ほむら「?」

さやか「ほむらの将来のお嫁さんはまどかに決まりだぬ!」

ほむら「!!」

まどか「えー?うぇひひ、いいのかな?」

タツヤ「ぼくはさやかねーちゃとけっこんしたい!」

さやか「うはっ!恭介とタッくん…どっちも良いなぁ」

先生「あらあら、もう結婚のお話なの?」

さやか「あはは、まぁね」

まどか「てぃひひ!」

先生「良いなぁ、もし式をあげるときは先生も呼んでね?」

先生「その時は思いっきりティロってあげるわ!」

さやか「わーぉ!うん!ティロろう!ティロ!ティロ!」

まどか「あはは…」

タツヤ「せんせい、まただね」

さやか「で?ティロってなんなの?」ボソッ

ほむら「きにしちゃだめだよ」

さやか「ほむら…あんたほんと大人びてるよね」

ほむら「そうかな?」

さやか「ほんとほんと!あたしより精神年齢高そうだっての」

まどか「えー?ほむらちゃんはこんなに可愛いんだよ?」ギュッ

ほむら「まどかおねえちゃん!」

さやか「むぅ…タッくん!」ギュッ

タツヤ「てぃひひ、さやかねーちゃ!」

先生「うふふっ」

―――

まどか「それじゃ、また明日ね!さやかちゃん、ほむらちゃん」

タツヤ「ばいばーい」

さやか「うん!またねー!」

さやか「ほら、ほむらも」

ほむら「ばいばい」

まどか「ばいばい!」

さやか「さーて、帰ろっか」

ほむら「うん」

さやか「あ、そーだ!今日はパパもママも帰りが遅いんだよね」

ほむら「そうなの?」

さやか「うん、だから帰りに何か食べて帰ろっか」

さやか「ほむらは何が食べたい?」

ほむら「んー…オムライス」

さやか「オムライスかぁ…うん、いいよ!」

さやか「ここからそう遠くない所に美味しいお店があるし、行こっ」

ほむら「うん」

さやか「そーら!」

ほむら「わわっ?」

さやか「えへへ、お姉ちゃんが肩車してってあげるね!」

ほむら「あ、あるけるよ!」

さやか「いーの、いーの!ほらっ、行くよ?」

さやか「ふふーん♪」

ほむら「………」

ほむら(さやか……)

ほむら(……やっぱり、私…)

さやか「ねっ、ほむら?」

ほむら「?」

さやか「あたしさー、ちゃんとお姉ちゃんできてるかな?」

ほむら「えっ?」

さやか「昔っからさ、ほむらってまどかにばっかなついてて」

さやか「あたしにはなーんか、ツーンってしてると言うか…」

ほむら「……」

さやか「まどかと仲良くしてくれるのはあたしも嬉しいよ?」

さやか「でもさ、あたしとほむらはたった二人の姉妹なんだから」

さやか「さやかお姉ちゃんにももっと甘えたって良いんだよ?」

ほむら「……」

さやか「だからさ」

ほむら「………だよ」

さやか「ん?」

ほむら「わ、わたし…もう、きらいじゃないよ?おねえちゃんのこと」

さやか「もう…?」

ほむら「あっ…」

さやか「……えへへ、そっかそっか!」

ほむら「おねえちゃん…」

さやか「うん、十分だよ!それで!」

さやか「まぁ…好き、って言われたいけどさ」

さやか「今はいいよ、それでも」

ほむら「………」

さやか「でーも!いつかは好きだって言ってもらえるように頑張るからね!」

さやか「お姉ちゃんとか妹とか関係なくってさ」

さやか「単純に、ほむらに嫌われないあたしに」

さやか「ほむらに好かれるようなあたしに」

さやか「ほむらと仲良くなれるようなさやかちゃんになっちゃいますからね!」

ほむら「おねえちゃん…?」

さやか「あっ、ついたよ。ほむら」

さやか「さっ、入ろうよ」

ほむら「う、うん……」

―――

さやか「おいしかったねー、オムライス」

ほむら「…うん」

さやか「ねっ?また二人で来よっか?」

ほむら「…うん」

さやか「あっ…でも、もうお小遣いないんだった…」

さやか「ならさ!手作りしちゃおっか!二人でオムライスをさ!」

さやか「ほむらが作るからホムライス!なーんてね」

ほむら「…もぉ、なまえがへんだよ?」クスッ

さやか「むぅ!せっかく考えたのにぃ!」

ほむら「ふふっ」

さやか「あー!笑うなってぇ」

ほむら「だって…ふふふっ」

さやか「………」

ほむら「?おねえちゃん…?」

さやか「えへへ、ほむらが笑ってくれた!」

ほむら「えっ?」

さやか「よーし、ほむら」ヒョイ

ほむら「ひゃっ?」

さやか「家までまた肩車で帰るよー!帰ったら二人でお料理!いいね?」

ほむら「……うん!」

さやか「よぉーし!いっくぞー!」

―――

ほむら「み、美樹ほむら…です……」

ほむら(やっぱりこの名前で自己紹介はなれないわね)

ほむら(今は小学校の入学式)

ほむら(気がつけば私は小学生になっていたわ)

ほむら(何度も何度も時間を繰り返して感覚が狂ったのかしら?)

ほむら(どうも時間が立つのが早く感じるわ)

ほむら(ついこの前まで私は赤ちゃんだったはずなのに……)

タツヤ「鹿目タツヤです」

ほむら(タッくんも小学生に…か)

ほむら(お姉ちゃんもまどかも成長して高校生になったわ)

ほむら(高校生のまどか…綺麗になったわ)

ほむら(それに、お姉ちゃんもね)

ほむら(……できることなら、2人と一緒に高校に通いたかったけどね)

ほむら(でも……)

ほむら(…ちなみに相変わらずキュゥべえの姿は見られない…)

ほむら(ひょっとすると、偶然ではなくこの時間軸にはキュゥべえそのものが存在しない…)

ほむら(なんてこともあり得るのかしら?)

ほむら(……未だに元の時間軸に戻る方法は見付からない)

ほむら(だからまどかを救うこともできない…)

ほむら(…だけど、そもそもキュゥべえが存在しないのなら……)

ほむら(……そんな虫のいい話があるとも思えないけど…)

モモ「ほむらちゃん」

ほむら「…なに?」

モモ「ほむらちゃんにも、お姉ちゃんがいるんでしょ?」

ほむら「え?そうだけど…誰からそんなことを?」

タツヤ「ぼくだよ」

ほむら「タツヤくん?」

タツヤ「モモちゃんにもお姉ちゃんがいるんだって!」

モモ「お姉ちゃんの話をしてたらタツヤくんと仲良くなったの」

ほむら「そう」

モモ「わたしのお姉ちゃんはね?カッコいいんだよ!」

タツヤ「ぼくのお姉ちゃんはすっごく優しいよ」

モモ「ほむらちゃんのお姉ちゃんはどんなお姉ちゃんなの?」

ほむら「……わたし…は」

ほむら「ちょっとバカで…自分勝手なところがあって…」

ほむら「うるさくて…わがままで……でも」

ほむら「明るくて…良いお姉ちゃん…かな」

タツヤ「ほむらちゃん…!」

モモ「えーと…大好き、ってことかな?」

ほむら「べ、別にそんな訳じゃ…」

ほむら「わたしはただ、さやかお姉ちゃんが…その……」

男の子「あれれー?おかしいぞー」

男の子「それってつまり、お姉ちゃんが大好きってことじゃないのかな?」

ほむら「だっ、だから!」

男の子2「そんなことどうでも良いから鰻重食おうぜー!」

男の子「ば、バーロー!」

タツヤ「てぃひひ…何だったのかな」

モモ「ほむらちゃんはお姉ちゃんが大好きなんだね!」

ほむら「いや!だからっ…!」

タツヤ「うぇひひ、ほむらちゃん」

ほむら「な、なに?」

タツヤ「お姉ちゃんが何時も言ってるよ?」

ほむら「まどかお姉ちゃんが?」

タツヤ「うん。ほむらちゃんは本当はさやかちゃんが大好きなんだよ。ってね」

ほむら「そ、そんな…!」

モモ「そうなんだぁ」

タツヤ「うん、ほむらちゃんはすぐ照れちゃうからすぐわかるってね」

ほむら「た、タツヤくんっ!」

タツヤ「うぇひひ!ほら、今も照れてるよ?」

モモ「ほんとだー」

ほむら「も、もう…」

タツヤ「照れなくてもいいんだよ?ほむらちゃん」

モモ「そうだよ、わたし達もお姉ちゃん大好きだもん」

ほむら「………」

―――

ほむら「………」テクテク

ほむら(わたしは…好き…なのかな、さやかお姉ちゃんのこと…)

ほむら(もちろん、loveじゃなくてlikeだけど……)

ほむら(……今までの時間軸じゃさやかお姉ちゃんと仲良くなることなんて一度もなかった)

ほむら(私の話を信じてくれないし…すぐ魔女化するし…)

ほむら(その度にまどかを悲しませて……)

ほむら(だから…マミや杏子はともかく、さやかお姉ちゃんとだけは……)

ほむら(でも…それはさやかお姉ちゃんと関わることを私が避けてきたから…)

ほむら(さやかお姉ちゃんのことをちゃんと理解しなかったから……なのかな?)

ほむら(もし、私もまどかと同じように仲良くできていれば…)

ほむら(そうすれば私は…さやかお姉ちゃんと……)

男の子「服部!そっちに行ったぞ!」ギュイィィン

ほむら「………」ゴシゴシ

ほむら(み、見間違え…よね?クラスメイトの男の子が物凄い早さで……)

ほむら(……私、疲れてるんだわ)

ほむら(コンビニで飲み物でも買って行きましょう)

ほむら「えっと…コンビニ、コンビニ……」

ほむら「あった!マミリーマート」

マミマミマミマーマミマミマー♪

まどか「安さは頭抜けてます、マミリーマートへようこそー♪」

ほむら「あっ…!」

まどか「あれ?ほむらちゃんじゃない?」

ほむら「まどかお姉ちゃん?」

まどか「えへへ、今日は入学式だったんだよね?おめでとう!」

ほむら「あ、ありがとう」

まどか「私も見に行きたかったなぁ…タツヤとほむらちゃんの入学式」

ほむら「……」ジィー

まどか「あっ!うぇひひ、どう似合ってるかな?」

ほむら「う、うん」

まどか「えへへ、ありがとう。実はバイト始めたばっかりで緊張してたんだ」

ほむら「そ、そうだったんだ」

まどか「さやかちゃんにお買い物頼まれて来たのかな?」

ほむら「ううん、近くを通りかかったから…」

まどか「そっか、なら…はい、これ!」

ほむら「これは?」

まどか「マミリーマート自慢の手作りケーキだよ、特別にプレゼントするね?」

まどか「てぃひひ、店長には内緒だよ?」

ほむら「う、うん。ありがとう」

まどか「さやかちゃんと仲良く食べてね?」

ほむら「うんっ!」

ほむら(さやかお姉ちゃん、喜ぶだろうなぁ…!)

まどか「……えへへ、ほむらちゃん」

ほむら「?」

まどか「ほむらちゃんってさ、隠してるみたいだけど実はさやかちゃんが大好きだよね?」

ほむら「えっ?」

まどか「隠しててもわかるよー」

ほむら「わ、わたしは…」

まどか「さやかちゃんがさ、よく私に言ってくるんだよ」

まどか「あたし、ほむらに好きになってもらえてるのかな?って」

ほむら「………」

まどか「さやかちゃん、普段は明るいのにこの時だけはちょっぴり暗くて…ね」

まどか「たぶん、自信がないんだろうね」

まどか「ほむらちゃん、本当はさやかちゃんが大好きなのにね」

ほむら「さやかお姉ちゃん……」

まどか「私はほむらちゃんが赤ちゃんのころから良く見てるからわかるよ」

まどか「ほむらちゃん、さやかちゃんの前だと好きじゃないふりをしちゃうんだもん」

まどか「ほんとはさやかちゃん意外にばればれなんだけどね」クスッ

ほむら「………」

まどか「ほむらちゃんは私には甘えてくれるけど、それじゃさやかちゃんが嫉妬しちゃうよ?」

まどか「ああ見えてさやかちゃん、結構か弱いところあるからさ」

ほむら「わたしは…ただ……」

まどか「ふふっ。だからさ、ほむらちゃん」

まどか「そろそろ素直になってさやかちゃんに甘えちゃいなよ?」

まどか「まだ小学生になったばかりなんだから強がらなくったっていいんだよ?」

まどか「タツヤなんてまだまだ子供だもん」

まどか「だけどほむらちゃんは我慢してるように見えるんだ」

ほむら「………」

まどか「だから、いいんだよ?素直になっても」

ほむら「……」

まどか「大丈夫、私が保証するよ!」

まどか「私はさやかちゃんとほむらちゃんの親友だからね!」

ほむら「まどかお姉ちゃん…」

まどか「……さやかちゃん、今日はバイト休んで家で待ってるよ」

ほむら「えっ?」

まどか「ほむらちゃんに大事な話があるんだって」

ほむら「大事な話…?」

まどか「うん、さやかちゃんにしては珍しく真面目な表情だったな」クスッ

ほむら「……」

まどか「だからさ、帰ってあげなよ、ほむらちゃん」

まどか「ほむらちゃんと、さやかちゃんの家にね」

ほむら「…うん、そうするね」

まどか「いってらっしゃい!ほむらちゃん!」

ほむら「いってきます!あ…ケーキありがとう!」

まどか「ふふっ」

店長「鹿目さんは優しいわね」

まどか「あっ?て、店長?」

店長「うふふ。勝手にケーキをあげるし、レジを打たずに話してばっかりだし」

まどか「てぃ、てぃひひ……」

店長「来月の給料はティロっちゃうから、覚悟しなさい?」

まどか「そ、そんなぁー」

店長「それとも、マミりたい?」

まどか「うぅー…」

店長「……ほむらちゃん、大きくなったわね」クスッ

まどか「……はい!」

―――

ほむら「た、ただいま…!」

さやか「あっ、ほむらー!」タタッ

さやか「えへへ、おかえりなさい!」

ほむら「う、うん!」

さやか「あれ?このケーキは?」

ほむら「まどかお姉ちゃんがくれたの」

さやか「うわっ、これって一番高いやつじゃん…まどかのやつ無理したな?」

ほむら「か、返した方がいいかな?」

さやか「いや、あたしが払っとくから大丈夫」

さやか「それよりも食べよっか!」

ほむら「う、うん!」

さやか「どう?おいしい?」

ほむら「うん…!」モグモグ

さやか「あはは、そんなに慌てて食べなくっても」

ほむら「だって、美味しいから」

さやか「そっかそっか!」

ほむら「もぐもぐ」

さやか「……」ジィー

ほむら「もぐ…?」

ほむら「お姉ちゃん、どうしたの?」

さやか「…ほむらも変わったなぁ…って」

ほむら「そうかな?」

さやか「うん」

さやか「赤ちゃんの時の方がある意味大人びてたかも…なんてね」

ほむら「?」

さやか「なんて言うかさ、精神年齢と実年齢が合ってきたと言うか…」

さやか「とにかく、小学生らしくなったよ、ほむら」

ほむら「そうなの?」

さやか「うん……」

ほむら「さやかお姉ちゃん?」

さやか「……あたしさ、ほむらに言わなきゃいけないことがあるんだ」

ほむら「……?」

さやか「あたし、ほむらが赤ちゃんのころからずっと隠してきたことがあるんだ」

ほむら「隠してきた?」

さやか「うん、そして騙してきたの」

ほむら「何を言ってるの?」

さやか「……こんなこと、本当の小学生に話してもワケわかんないと思うけど」

さやか「ほむらはさ、本当は小学生じゃなくて中学生だから…話すね」

ほむら「!?」

ほむら「さやかお姉ちゃん…?」

さやか「さやかお姉ちゃん…か、初めて『さやか』って言ってくれた時は嬉しかったなぁ」

さやか「あれはもう7年前…だけど、ほんとはそんなに時間は経ってないんだよね」

ほむら「え…?」

さやか「それに、あたし達は本物の姉妹でもないんだしね」

ほむら「さやかお姉ちゃん?」

さやか「……ごめんね、今まで隠してきてさ」

ほむら「何を…?」

さやか「ほむらが赤ちゃんだったのって、ついこの前のように感じない?」

ほむら「…!」

さやか「気がついたら幼稚園、そして小学生になってさ」

さやか「時間が急に進んだように感じなかった?」

ほむら「それは…」

さやか「感じたよね?」

ほむら「う、うん……」

さやか「……これはさ、ただの幻なんだ」

ほむら「……え?」

さやか「この世界はあたしが魔法でほむらに見せた幻なんだよ」

ほむら「………?」

さやか「あたしとほむらは姉妹じゃない」

さやか「そもそも、この世界自体があたしの作った幻なんだからね」

ほむら「幻…って……」

さやか「あたしとほむらだけが見てる幻」

さやか「これがこの世界なんだ」

ほむら「……急すぎて何が何だか…」

さやか「たしかに、この話をするのは急だったかもしれないね」

さやか「でも、もう話しても良いって思ったんだ」

ほむら「……わけがわからないよ?」

さやか「ほむら…このままじゃ幻に呑まれて本当に幼児化しちゃいそうだったからさ」

ほむら「だって今も話し方が変わっちゃってるし」

ほむら「え?」

さやか「だから、ほむらがそうなる前に話す必要があるって思った」

さやか「あたしがこうした訳をさ」

ほむら「さやかお姉ちゃん…」

さやか「ごめんね?ほむら…あたしはお姉ちゃんじゃないよ?」

ほむら「えっ?……あっ」

さやか「ほむらは段々この世界に馴染んじゃってたからね…あたしのせいなんだけどさ」

ほむら「わ、わたしは……」

さやか「思い出した?本当のほむらを」

ほむら「う、うん…いや、ええ」

ほむら「私は…暁美ほむら……」

さやか「うん、この数時間だけでもその事を忘れてたっぽいよね?」

ほむら「………」

さやか「あたしは、何も本当にほむらを妹にするつもりなんてなかったよ」

さやか「でも、時間がかかりすぎちゃって…ほむらがおかしくなっちゃっててさ」

さやか「ほんとごめん…ほむらの大事な記憶まで奪っちゃって」

ほむら「さやか…」

さやか「……ほむら、ここに来る前のこと覚えてる?」

ほむら「ここに来る前…?」

さやか「……ワルプルギスの夜」

ほむら「!」

さやか「ほむらはワルプルギスの夜と戦った」

ほむら「……そう、巴マミと佐倉杏子と一緒に…」

ほむら「でもっ…!」

さやか「マミさんも杏子も……まどかが魔法少女になってワルプルギスを倒したけど」

さやか「まどかは……」

ほむら「……どうして…どうしてもまどかを守ることができないっ!」

ほむら「巴マミと佐倉杏子の3人で挑んだのに…あともう少しで倒せたのに…」

ほむら「なのに…結局まどかが……」

さやか「……あたしは、恨んだよ。何もできなかった自分を」

さやか「そして、ほむらのことを理解しなかった自分をね」

ほむら「さやか…?」

さやか「あたし、ほむらの事が気に入らなかった」

さやか「わけわかんなかったし、話すこともなかったからね」

さやか「でも、最後にほむらのことを知ってさ、後悔したんだ」

さやか「ほむらと仲良くしてれば良かったって、ね」

ほむら「…?」

さやか「もしかしたら、あたしも一緒に戦ってれば、まどかもマミさんも杏子も無事だったかもしれない」

さやか「ほむらのループを終わらせることもできたのかもしれないってね」

さやか「だから、あたしはキュゥべえと契約したんだ」

ほむら「……え?」

さやか「そうすればみんな助けられるって思ったからね」

ほむら「どういうこと…?」

さやか「ほんと、キュゥべえに笑われたんだからね?」

さやか「他にいくらでも方法はあるってさ」

さやか「キュゥべえが契約に少し躊躇うってのも相当珍しいんだろうね?」

ほむら「……なら、あなたはキュゥべえと契約して私に幻を見せたの?」

さやか「…うん」

ほむら「どうして?みんなを救いたかったのなら他にいくらでも方法はあるはずよ?」

ほむら「まどか達を生き返らせるとか…いくらでもあるじゃない!」

さやか「そうだよね」

ほむら「なのにどうして幻…しかも私になの?」

ほむら「妹にする意味がわからないわ!あなたはどこまで愚かなの?」

さやか「あはは、言うねぇ…ま、仕方ないんだけどさ」

さやか「あたしもまどか達を生き返らせてほしかったよ」

ほむら「当たり前でしょ?」

さやか「でも、無理だってさ」

ほむら「え?」

さやか「あたしの素質じゃ3人とも生き返らせるのは無理だったみたい」

ほむら「………」

さやか「それに、それじゃほむらを救えないからね」

ほむら「…別に、私は……!」

さやか「あたしはまどかもマミさんも杏子も、そしてほむらも救いたかった」

さやか「でも生き返らせるのは無理だし…ほむらは時間を繰り返すし……」

さやか「だから!あたしは考えたのよ」

さやか「ほむらのループを終わらせる方法を!」

ほむら「……その結果がこれなの?」

さやか「うん……」

ほむら「……愚かね、バカよ…さやか」

ほむら「なに?私と一緒に時間を繰り返すつもりなの?」

さやか「まあ、そう…かな?」

ほむら「なら妹にする理由は?私の記憶を奪った理由は何なの?」

さやか「それは……」

ほむら「わけがわからないにも程があるわ!さやかっ!」

さやか「あははは…」

ほむら「さやか!あなた本当に自分のしたことがわかってるの?」

さやか「……ごめん」

ほむら「いくら謝ったって…!」

さやか「あたしはただ、ほむらと仲良くなりたかっただけなんだ……」

ほむら「……で、でも!他にいくらでも方法はあったはずでしょ?」

ほむら「暁美ほむらの親友になりたい、これでいいじゃないの!」

さやか「いや!それじゃ魔法で作った嘘の友情じゃん!」

さやか「嫌だよ!そんな親友なんかほしくない!」

ほむら「じゃあ妹なら良かったとでも言うの?」

さやか「だから本当に妹にするつもりなんてないんだってば!」

ほむら「でもさやかは本当に私を妹にしようとしたじゃない!」

ほむら「実際に私は…っ!」

ほむら「洗脳じみたことをされたのよ…?」

さやか「まさかこうなるなんて思ってなかったのよ!」

さやか「別にほむらの記憶を奪うつもりなんてなかったし!それに洗脳なんて考えてもいなかった!」

さやか「あたしはただ、ほむらと姉妹の生活をして仲良くなりたかっただけなの!」

ほむら「だから何で姉妹である必要があったのよ?」

ほむら「普通に友達でよかったんじゃないの?」

さやか「だって…普通にしてたらほむらと友達になれなかったし……」

ほむら「そ、それは……」

さやか「姉妹ならさ、一緒に暮らせるから何時でも側にいれるじゃん?」

さやか「まどかとタッくんみたいに仲良くなれるのかなって、さ」

さやか「だから…あたしがほむらのお姉ちゃんになって、ほむらと暮らしたいって……」

さやか「ほむらと仲良くなりたいって……」

ほむら「……バカよ、愚かにも程があるわ」

さやか「………」

ほむら「……で?私はあなたの望む妹にはなれたの?」

さやか「……わかんない…」

さやか「まどかに相談しても大丈夫としか言ってくれないし…」

さやか「ほむらはまどかにばっか甘えるから…」

さやか「結局、あたしは……」

さやか「最後の最後までほむらに好かれたのか不安で不安で仕方なくって…」

さやか「いつの間にかほむらがこの世界に侵食されちゃってて…」

さやか「だから…あたしは……」

さやか「あはは…バカだよね、わけわかんないよね?気持ち悪いよね?」

ほむら「……否定はしないわ」

さやか「あははは…たぶん、あたしって端から見たら頭イっちゃってるおかしな子なんだろうなぁ……」

さやか「どうしてこんな願い事したんだろ…キュゥべえにすら止められたのに……」

さやか「あたしは…ただ、ほむらとの仲をやり直したかっただけなのに……」

さやか「こんな方法しか思い付かないだなんてね……」

さやか「あたしって…ほんとバカ……」

ほむら「本当にバカよ……」

さやか「……ごめん」

ほむら「こんなことしなくたって…私は…あなたと……」

さやか「…え?」

ほむら「私だって!さやか…あなたと仲良くなりたかった!」

さやか「!」

ほむら「まどかと仲良くしてるあなたが羨ましかった!」

ほむら「あなたとも友達になりたった!」

ほむら「でも…無理だったのよ……」

ほむら「私はあなたと仲良くなれなかった…自信がなかった…」

ほむら「あなたはまどかを悲しませる…」

ほむら「私の警告も聞かずに契約する……」

ほむら「私のことを信用してくれない……!」

ほむら「だから…今まで…ずっと諦めて来たのに……」

ほむら「なのに…どうして…どうして今になって表れたのよ…っ!」

ほむら「さやかの…バカっ…!」

さやか「ほむら……」

さやか「なら…ほむらも…?」

ほむら「そうよ…私だって本当はあなたとも仲良くなりたかった…」

ほむら「友達になりたかった……」

さやか「ほむら……」

ほむら「だけど無理だったから諦めて来たのに…どうして今さら……」

ほむら「来るのが遅すぎたのよ…バカさやか…!」

ほむら「私は…まんまとあなたの思惑に引っ掛かったみたいね」

さやか「えっ?」

ほむら「私が赤ちゃんになって、幼稚園児になって、小学生になって」

ほむら「…あなたの作った幻の中の暮らしで、たしかにあなたと私は一緒にいることができた」

ほむら「最初はあなたの妹になったと言うことが嫌で嫌で仕方がなくて涙が止まらなかった」

ほむら「でも、あなたと暮らしていくうちにあなたの良いところも悪いところもわかってきた」

ほむら「それは、いくら時間を繰り返してもわからないことだったわ」

さやか「ほむら…?」

ほむら「私はたしかにこう思った」

ほむら「さやか…あなたが好きだとね、あなたの思惑に引っ掛かったと言うわけよ」

さやか「!」

ほむら「でも私はその自分の感情が恥ずかしくて素直になれなかった」

ほむら「……もっとも、まどか達にはバレていたようだけどね」

さやか「まどかに?」

ほむら「さやか、この世界のまどか達はあなたの思う通りに行動したわけじゃないのでしょ?」

さやか「そりゃそうだけど…あたしも良くまどかには相談したし…」

ほむら「やっぱり…なら、いくら幻とは言えまどかはまどか、なのね」

さやか「…?」

ほむら「自分でも薄々気づいていたけど恥ずかしくて気づかないふりをしていたわ」

ほむら「あなたを好きになったことを認めたくはなかった」

ほむら「でも、まどか達に言われてようやく認めたわ」

ほむら「私はさやかが好きだって、友達になりたかったって」

さやか「ほむら…!」

ほむら「……ただ、幻に呑まれて記憶が曖昧になってしまっていたようだけど」

ほむら「あなたのバカさのおかげでで目が覚めたわ」

さやか「…えーと……」

ほむら「……はあ、きりがないわね」

ほむら「私は…幻なんて関係なくてもあなたと仲良くなりたかった」

ほむら「わざわざ、さやかがこんなことしなくても、その気持ちに嘘はなかったのよ」

さやか「…ほむら…あたし……」

ほむら「なのに…あなたは…幻なんか作って……」

ほむら「それが悔しかった…だから私は今も怒っているのよ」

ほむら「愚かなさやかと、私にね」

さやか「ほむら……」

ほむら「さやか、ごめんなさい。そして…ありがとう」

さやか「……」

ほむら「……私、たぶんあなたがこの魔法を使ってくれなかったら」

ほむら「最後まであなたのことを諦めたまま時間を繰り返していたのだと思うわ」

ほむら「でも、今は違う」

ほむら「私には美樹さやかと言う友達が存在してくれるんだって、心からそう思えるわ」

さやか「!」

ほむら「友達との出会いをやり直すなんて願い事をする人が他にもいるだなんて…」

ほむら「それも…私のために…ね」

ほむら「ただ、それを知った原因が幻だと言うのは認めたくない事実ね」

さやか「ご、ごめん…」

ほむら「でも、良いわ」

さやか「えっ?」

ほむら「確かに今回は間違ってしまったのかもしれない」

ほむら「だけど、私たちには未来があるんだもの」

ほむら「またやり直せば良いわ」

さやか「……うん」

ほむら「ありがとう、さやか」

ほむら「これからは私も諦めずにあなたと接していけると思う」

ほむら「……そのさやかが、今目の前にいるさやかじゃないのは残念だけど、ね」

さやか「えっ?」

ほむら「さやか、私…行かなくちゃいけないの」

ほむら「まどかを守る。これは私の道標」

ほむら「ただ…これからは、まどかもさやかも守る」

さやか「ほむら…!」

ほむら「いえ、あなた達だけじゃない」

ほむら「マミも杏子も…それに仁美達だって」

ほむら「みんな…最後まで諦めずに守ってみせるわ」

ほむら「無理じゃないと、あなたが教えてくれたからね」

さやか「…うん!やれるよ、ほむらなら、きっと!」

ほむら「ありがとう」

さやか「……なら、もうそろそろ元の姿に戻さないとね」

ほむら「あっ…」

さやか「ふふっ、まだ小学一年生の姿だったもんね」

ほむら「さ、さやかのせいでしょ!」

さやか「小さい体で怒るほむらは可愛かったわぁ」

さやか「さっすがあたしの妹!」

ほむら「あ、あなたねぇ…反省したんじゃないの?」

さやか「あはは、ごめんごめん!」

ほむら「まったく…」

さやか「んじゃ、元に戻すね」

ほむら「……」ファサッ

さやか「これで魔法も使えるはずだよ」

ほむら「ええ、そうみたいね」チャッ

さやか「……行くんだね」

ほむら「もちろん、まどか達を救うその日まで止まるわけにはいかないもの」

さやか「うん、でもほんとはこうじゃないの?」

ほむら「?」

さやか「救うんじゃなくて、救った後に仲良くする。でしょ?」

ほむら「ふふっ、そうね」

さやか「救ってはいおしまい!じゃダメなんだからね」

ほむら「肝に命じておくわ」クスッ

ほむら「それじゃ…行くわ」

さやか「うん、次こそは絶対上手く行くよ」

さやか「あたしが保証する!」

ほむら「ふふ、それは心強いわね」

さやか「だからさ、一緒に頑張ろうね!」

ほむら「ええ、あなたも頑張って」

さやか「もっちろん!」

ほむら「じゃあ…私の友達のさやか」

ほむら「さようなら、元気でね」

さやか「あたしの友達のほむら!」

さやか「またね!」

カチッ

ほむら「救ってみせる」

ほむら「今度こそ…必ず!」

ほむら「まどか」

ほむら「さやか」

ほむら「マミ、杏子」

ほむら「みんな…!」

ほむら「必ず、この手で救い出してみせる!」

ほむら「そして…今度こそ、友達に…!」

―――

――

―――

和子「はい、それじゃ自己紹介言ってみよう!」

ほむら「暁美ほむ…」

さやか「ちょっとまったぁー!」

まどか「さやかちゃん?」

ほむら「……」クスッ

ほむら(さっそく図々しいわね…)

ほむら(でも、今度こそは友達になってみせるわ)

ほむら(さやか!)

和子「美樹さん?どうしたの?」

さやか「ちょっとですねー」スタスタ

ほむら「?」

さやか「はい、これ!」

ほむら「これは?」

さやか「自己紹介カード、作っておいたんだ!」

ほむら「……?」チラッ

ほむら「み、美樹ほむら…です……?」

さやか「そういうこと!」

まどか「えっ?どういうこと?」

ほむら「ちょっと、これは…?」

さやか「みんな、ほむらとあたしは時空を超えて巡り会った運命の姉妹なんだ!」

ザワザワ

まどか「えぇっ?」

ほむら「ち、ちょっと…えっ?」

まどか「さやかちゃんと暁美さんって姉妹なの?」

まどか「あれ?でも暁美さんは美樹さんじゃないよ?」

まどか「えっ?あれ?あれ?」

さやか「あはは!まぁ姉妹だってのは嘘なんだけどね!」

ほむら「……さやか?」

さやか「でーも!この暁美ほむらはあたしの大事な友達なのはほんとだよ!」

さやか「だから、みんな!ほむらと仲良くしてあげてね!」

ザワザワ

さやか「ほらっ!特にまどか!」

まどか「え?わたし?」

さやか「特にあんたはあたしの親友なんだから仲良くしなさいよね!」

まどか「え、えと…う、うんっ!」

さやか「親友の親友は親友!つまりまどかとほむらも親友と言うわけだぁ!」

ほむら「……えっと」

さやか「ほら、まどか!あいさつ!」

まどか「あっ…えと、か…鹿目まどか…です」

まどか「よ、よろしくね?暁美さん!」

さやか「こらー!親友に名字呼びするやつがいるかー!」

まどか「えぇー…」

ほむら「あ、あはは…」

さやか「仁美!お手本見せたげて!」

仁美「あらあら、さやかさんったらはしゃいじゃって」クスッ

仁美「でも、お友達が増えることは素晴らしいことですわ」

仁美「志筑仁美です、よろしくお願いしますわ」

仁美「ほむらさん」ニコッ

ほむら「…!」

さやか「ほら、ほむらも」

ほむら「……よろしくね、志筑さ…」

仁美「仁美。ですわ」

ほむら「…よろしくね、仁美」

仁美「はいっ!」

さやか「ほら、まどかも改めて!」

まどか「え、えと!ま、まどかって呼んでほしいなぁ…なーんて…えへへ」

まどか「ほ、ほむらちゃん…!」ニコ

ほむら「!」

ほむら「ええ、よろしくね、まどか!」

まどか「う、うんっ!」

ザワザワ

さやか「うんうん!これでバッチリだね!」

和子「どこがですか!」

和子「転校初日にキャラ付けすればよろしい!」

和子「なーんてことは大間違いです!」ポコッ

さやか「あぅっ!」

仁美「うふふっ」

まどか「うぇひひ!」

ほむら「………」ジィー

さやか「!」

さやか「えへへ、あたしってほんとバカ!」

ほむら「…!」

ほむら「ほんと、バカよ」クスッ

ザワザワ

―――

まどか「あれ?ほむらちゃんは?」

仁美「さやかさんを連れて何処かに行きましたわ」

まどか「そっか、それにしても驚いちゃったよね」

仁美「ふふ、さやかさん。とてもおおはしゃぎしてましたものね」

まどか「本当に仲の良い友達なんだね」

仁美「そうみたいですわ、私たちも負けていられませんわね」

まどか「うんっ!」

―――

さやか「ちょっとぉー、何処まで連れてく気よ?」

ほむら「ここまで来れば大丈夫かしら…?」

さやか「ほむらー!聞いてるのかー!」

ほむら「はぁ…もう、何を考えてるのよ?」

ほむら「転校初日にあんなことするのバカは世界中さがしてもさやかくらいよ」

さやか「いやぁ、それはどでも」

ほむら「…ほめてないわよ」

さやか「あははっ!」

ほむら「……」ジィー

さやか「ん?」

ほむら「あなた…本当にさやか…なの?」

さやか「…うん!正真正銘の美樹さやかだよ!」

ほむら「幻じゃない?」

さやか「もっちろん!」

ほむら「なら…あなたは…本当に…?」

さやか「あるよ」

ほむら「えっ?」

さやか「奇跡も魔法もあるんだよ」

ほむら「……そうみたいね」クス

ほむら「まさか、またあなたと会えるだなんて…」

さやか「いったじゃん、あたしはほむらとの出会いをやり直すってさ」

ほむら「そう、あなたも私と同じ…ね」

さやか「ほむら」

ほむら「ん?」

さやか「あたし、今度こそ守ってみせるよ」

さやか「みんなを…ほむらをさ!」

ほむら「……!」

さやか「もうこれ以上ほむらが時間を繰り返さないで済むように、あたし…頑張るから!」

さやか「だから一緒に守ろう!」

さやか「やれるよ!あたしとほむらなら!」

さやか「それにマミさんや杏子だって!」

ほむら「…ええ!」

ほむら「今度こそ…4人でワルプルギスを…!」

さやか「ワルプルギスを倒したさら、みんなでパァーッと遊ぼうね!」

さやか「まどかも仁美も誘ってさ!」

ほむら「うん…!」

さやか「よし!そうと決まったら…」

ほむら「その前にさやか」

さやか「ん?」

ほむら「さっきの自己紹介は何なの?」

さやか「あぁー、いやさ?前の世界でのほむらの自己紹介ってシンプルすぎてさぁ」

さやか「取っ付きにくい印象しかなかったから、ここはさやかちゃんが一つ」

ほむら「もう、おかげで恥ずかしくて教室にいられないじゃないの」

さやか「あはは、大丈夫だって!」

まどか「さやかちゃーん」

さやか「お、まどか」

まどか「いたいた!もぉ…さやかちゃんだけほむらちゃんを独り占めしちゃダメだよ?」

さやか「やー、ごめんごめん」

ほむら「……」

まどか「クラスのみんな、転校生なんて珍しいからはしゃいじゃって!」

まどか「みんな、ほむらちゃんを待ってるよ?だから行こうよ」

さやか「だから言ったでしょ?大丈夫だって」

ほむら「……うん!」

―――

ワルプルギスの夜『アハハハハハッ!!アハハハハハッ!!』

杏子「ついに出てきやがったか…!」

さやか「大丈夫、あたし達4人なら絶対に勝てるよ!」

マミ「これが終わったら私の家で盛大にティロりましょう!」

ほむら「そうね、ティロるわよ」

さやか「ティロっちゃいますからねー!あたし達!」

杏子「はぁ…あたしがいないと突っ込みが不在になっちゃうからね」

杏子「いいよ、一緒にティロってやるよ」

ワルプルギスの夜『アハハハハハッ!!アハハハハハッ!!』

マミ「さーて、そうと決まったら」

杏子「いくぜ!みんな!」

さやか「うんっ!」

ほむら「今度こそ…!」

さやか「ほむら!」

ほむら「さやか…!」

さやか「今度こそ終わりにしようね」

さやか「一緒に帰ろう、まどか達の元にさ!」

ほむら「……うん!」

―――

マミ「はぁ…はぁ…」

杏子「どう…だ…!あたし達の…」

マミ「勝ち…よ…!」

ほむら「…やった……!」

ほむら「やった…やったぁ…!」

ほむら「まどか…!私…やったよ!ついに…ワルプルギスを…!」

ほむら「嬉しい…!」

ほむら「さやかっ!これもあなたのおかげ…」

ほむら「……さやか?」

杏子「おい…さやかは…さやかはどうした?」

マミ「……!」

マミ「……そう、なるほどね」

杏子「マミ?何がなるほどなのさ?」

ほむら「マミっ!さやかは?さやかは何処なの?」

マミ「……逝ってしまったわ…」

ほむら「……え?」

杏子「なっ…?」

マミ「円環の理に…導かれて……」

ほむら「な、なによ…それ…」

ほむら「円環の理って何よ?さやかは?さやかは何処なの?」

杏子「嘘だろ…おい…」

杏子「こいつ…死んでるじゃねぇか……」

ほむら「え……?」

さやか「」

ほむら「うそ…うそ…よね…?」

杏子「くっ…」ギュッ

ほむら「うそでしょ…ねぇ?うそなんでしょ?」

杏子「ちくしょう…せっかく友達になれたのに……」

マミ「……」フルフル

さやか「」

キュゥべえ「まさかあのワルプルギスの夜を倒すとはね」

ほむら「さやかぁ……」

キュゥべえ「まったく、君たちはとんでもないことをやってくれたよ」

キュゥべえ「暁美ほむらと美樹さやか、この2人のイレギュラーがいなければこんなことにはならなかったんだ」

マミ「っ…」フルフル

杏子「マミ…何目を剃らして震えてんだよ…」

杏子「さやかが…さやかがぁ…くそっ!」

ほむら「さやか……」

ほむら「さやかぁっ……」ポロポロ

キュゥべえ「………はぁ」

キュゥべえ「やれやれ、僕はこれ以上茶番に付き合う気はないよ」

キュゥべえ「まどかが契約をしない以上ここに留まる理由もない」

キュゥべえ「ここでお別れだね」

まどか「さやかちゃーん!ほむらちゃーん!」

マミ「あっ」

杏子「まどか…」

ほむら「さやかぁ……」

まどか「マミさん!杏子ちゃん!それにほむらちゃんも!」

まどか「良かった!みんな無事だったんだね?」

ほむら「さやか……」

杏子「…まどか…さやかが…」

まどか「えっ?さやかちゃんがどうしたの?」

杏子「くっ…」

まどか「?」

マミ「あ、あの…鹿目さん?」

まどか「ほむらちゃん、こんなとこにいないで帰ろう?」

まどか「みんな待ってるよ?」

ほむら「さやか……」

まどか「ほむらちゃん?」

杏子「まどか…今はそっとしといてやりなよ」

杏子「だって…さやかは…もう……」

まどか「ほむらちゃんも杏子ちゃんもどうしたの?」

まどか「さやかちゃんならそこにいるよ?」

マミ「あっ」

杏子「……もう、息…してないんだぜ」

まどか「え?でも…」

ほむら「さやか…さやかぁ……」

ほむら「せっかく…せっかく友達になれたのに…」

ほむら「やっとワルプルギスを倒したのに……」

ほむら「まどかも守ることができたのに……」

ほむら「なのに…どうして…どうしてなの…」

ほむら「あなたが居なきゃ…私……」

ほむら「さやか…さやか……」

ほむら「さやかぁっ…!」

ほむら「返事をしてよっ!またほむらって言ってよ!」

さやか「ほむらー」

ほむら「お願い…お願いだから…!」

杏子「……ん?」

まどか「さっきからほむらちゃんは何を抱き締めてるの?」

マミ「か、鹿目さん?あっちに行きましょう?」

まどか「え?でもほむらちゃんが…」

ほむら「さやかぁ…」

さやか「おーい」

杏子「な、なんだと…?」

ほむら「私…私っ…」

さやか「ほむら、あたしは死んでないぞー?」

杏子「お、お前…っ!」

ほむら「さやか……」

さやか「死んだかと思った?残念!幻でしたー!」

杏子「はぁ?ふ、ふざけんじゃねぇ!」

さやか「いやー…ちょっと驚かそうと思ったら思ってたより重くなっちゃっててさ」

杏子「命を粗末にするんじゃねぇ!殺すぞ!」

さやか「あはは…マミさんも悪のりしてくれたからさ」

杏子「マミぃっ!」

マミ「あはは…ワルフザルの夜…なーんて……」

杏子「ふっざけんな!許さねぇぞ!マミ!」

マミ「えぇっ?私は空気を読んだだけよ?」

杏子「んな空気読んでどうすんだ!絶対に許さねぇからな!」

マミ「ちょっ、ちょっと?やめて?」

杏子「逃がすかー!あたしだって幻使えるんだからな!」

マミ「け、ケーキがたくさん?」

杏子「マミー!」

マミ「きゃっー!」

さやか「……ごめん、マミさん」

まどか「………」ポカン

ほむら「さやかぁ…」

さやか「いや、だから…あたしは生きてるよ?」

まどか「さやかちゃん…流石にないよ……」

さやか「え?あたしはただ驚かそうと…」

まどか「だってほむらちゃん、こんなに悲しんでるんだよ?」

ほむら「まどか…?」

まどか「大丈夫、大丈夫だからね?ほむらちゃん」

さやか「ご、ごめん…ほんとに軽く驚かすだけだったんだって」

ほむら「……まどか、さやかの幻が見えるの」

まどか「本物だよ、ほむらちゃん」

ほむら「うそよ!だって…さやかは……」

さやか「ほ、ほら!生きてる!生きてるよ!」ダキッ

まどか「あっ」

ほむら「……え?」

ほむら「さ…やか……?」

さやか「うん、あたしだよ!」

ほむら「生き…てるの…?」

さやか「うん、おかげさまで…」

ほむら「うぅぅ…」

さやか「ほ、ほむら?」

まどか「大丈夫?」

ほむら「よかったぁ…ほんとによかった…」

さやか「……すごい罪悪感」

まどか「ほむらちゃん…」サスサス

ほむら「……あれ?ならさっきのさやかの死体は…?」

さやか「ざ、残念!幻でしたぁー…なんて」

ほむら「………へ?」

ほむら「まぼ…ろし……?」

さやか「う、うん」

ほむら「……あなたって人は…」ワナワナ

さやか「うっ…」

まどか「さやかちゃん、逃げちゃダメだよ」

ほむら「バカっ!愚か者!アホッ!青っ!」ポカポカ

さやか「いたたっ!」

ほむら「バカっ!バカ!バカぁっ!」

さやか「ほむら……」

ほむら「もう…心配したんだから……」

さやか「……ごめん」

ほむら「でも…よかった……」

さやか「……」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「あなたが生きていてくれて…私……」

さやか「……ほむら」

ほむら「もう…さやかのバカ」

さやか「……うん」

さやか「あたしってほんとバカ!」

ほむら「本当よ…このバカさやか」クス

さやか「あははっ!」

まどか「………」

まどか「うぇひひっ!」ニコッ

―――

詢子「まどかもいよいよ高校デビューか」

知久「新しい髪型、似合ってるよ」

詢子「うん!それにあたしに似て美人になってきたんじゃないかぁ?」

まどか「えへへ、そんなことないよー」

詢子「そう思っておくのが美人の秘結だよ」

まどか「えへっ」

知久「それじゃあまどか、行っておいで!」

詢子「さやかちゃんと仁美ちゃん、それにほむらちゃんも待ってるんだろ?」

まどか「うん!いってきまーす!」

まどか「みんなー、おはよう!」

さやか「おそいぞ、まどか!」

仁美「おはようございます」

ほむら「おはよう、まどか」

まどか「てぃひひ、ごめんね?」

ほむら「あら?髪型変えたのね?」

まどか「う、うん…どうかな?」

ほむら「ふふっ、凄く似合っているわ」

まどか「えへへ、ありがとう」

さやか「さては高校デビューするつもりだなぁ…けしからぁん!」

仁美「さやかさんこそ、少し髪型を変えましたわね」

さやか「えへへー、まぁね」

さやか「どう?似合ってる?」

ほむら「いまいちね」

さやか「がーん…」

ほむら「あなたがどうイメチェンしようが、さやかはさやかよ」

さやか「うぅ…ほむらだってイメチェンくらいしたことあるでしょ?」

ほむら「な、ないわよ…」

さやか「あやしぃ…!」

ほむら「……ほ、ほら!早く行くわよ!」

仁美「そうですわね」

まどか「入学式が始まっちゃうよ」

さやか「こらー!逃げるなぁ!」

ほむら「きゃぁっ?」

さやか「誤魔化そうったってそうはいかんぞぉ!」

さやか「ほむらにはこうだぁー!」

ほむら「きゃっ?あははっ!ば、バカ!やめなさい!」

さやか「ほれほれー!」

ほむら「バカさやかっ!」

仁美「本当に二人は仲が良いですわね」

まどか「そうだねぇ」

さやか「ほれほれ、ほむらぁ!」

ほむら「やめなさい!バカさやか!」

キャッキャッ

仁美「ほむらさん」

ほむら「なに、仁美?」

仁美「ほむらさんにとって、さやかさんはどんな存在ですの?」

まどか「わたしも気になるなぁ」

ほむら「そんなの決まってるわ」

さやか「なになに?」

ほむら「私の最低の親友よ」

まどか「親友…」

さやか「えぇっ?」

ほむら「なによ、何か文句あるの?」

さやか「むぅー!」



仁美「ふふっ、最低の親友ですか」

まどか「ね、ねぇ?わ、わたしはどうなのかな?」

ほむら「まどか?まどかはもちろんこうよ」

ほむら「私の最高の友達、よ」

まどか「そ、そっか…!」

まどか「えへへ…」

さやか「あたしが最低でまどかが最高とはどう言うことだぁー!」

ほむら「そのままの意味よ?」

さやか「不公平だぁー!」

仁美「ちなみに、私はどうなのですか?」

ほむら「仁美?仁美は…ふふ、そうね」

仁美「わくわく」

ほむら「みんなには内緒、よ?」

仁美「えー?どうしてですのー?」

ほむら「ほら、早く行かなきゃ本当に遅刻するわよ」

さやか「こら!まてー!」

仁美「待ってくださーい!」

まどか「うぇひひ」

まどか「さやかちゃんとじゃれあってるほむらちゃんの姿はいつも輝いてて」

まどか「親友。って呼んでもらえるさやかちゃんはとっても羨ましいなって」

まどか「だからいつか、わたしもほむらちゃんに親友だって呼ばれたいな」

まどか「さやかちゃんが最低の親友から最高の親友になるよりも早く」

まどか「私が最高の友達から最高の親友になれたら」

まどか「それはとっても難しいけど」

まどか「だけどとっても嬉しいなって」

まどか「思ってしまうのでした」

おわり

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