ほむら「…何ループ目かにしての新事実だわ」 (395)

『なぁ、お前っていっつも休み時間も一人で本読んでるよな』

ほむら『…え?えっと…』オド

『たまには皆と外で遊ぼうとか思わないの?』

ほむら『わ…私、身体が…そんなに強くないから……その…』オドオド

『ふーん』

ほむら『…』オドオド

『じゃあさ、外で遊べるぐらい元気になったら、俺と遊ぼうぜ!ほむら!』

ほむら『…え?』

『楽しいぜ!ドッヂボールとかさ!』ニカッ

ほむら『!』

ほむら『あ……う…うん!』ニコッ

カチッ …ギュイーン


キキーッ!
「ふぅ!…危なかったな!」

ニャーン

「はは…!くすぐったいって!」


ほむら「 」

ほむら「まどかが契約する原因になった猫を助けようとしたら先を越されていた…こんな事初めてだわ」

ほむら「…それにこいつは確か…」

学校

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

ほむら(…まどか…今度こそは、必ず貴女を…!)ジロ

まどか「…!」


ガラッ

「ハァハァ…すみません!!遅れました!」

ほむら「!」

早乙女「やっと来ましたね…目玉焼きとは、固焼きですか?それとも半熟ですか?はい、中沢君!」

中沢「ど、どっちでもいいんじゃないかと」

早乙女「よろしい!座りなさい!」



ほむら「…」

ほむら(…こいつ、この間の…!)

ほむら(ていうか、中沢って、確か隣の席の中沢君よね…)

ほむら(この展開は今までの時間軸では無い展開だわ…)

中沢「?…あれ?君は……」

ほむら「!」ハッ

早乙女「転校生の暁美さんです。中沢君、隣の席のよしみで色々力になってあげてね」

中沢「え…暁美?……あ、よろしく!中沢っていいます」

ほむら「…えぇ。よろしく」

ほむら(まぁ、そういう事もあるわよね)ファサッ


中沢「…」

「前はどこの学校だったの?」「部活は?」

ほむら(…そろそろかしら)

ほむら「ごめんなさい…ちょっと保健室に…」

「あ、ずっと入院してたんだっけ。大丈夫?」

中沢「え、そうなの?保健室案内しようか?」

ほむら「!」

ほむら(…猫の事といい、今回は出しゃばるわね)

ほむら「いえ。係の人に頼むから…鹿目さん…」

まどか「うぇひ!」

スタスタ

中沢「…あ」

CDショップ


中沢「あれ?美樹さん」

さやか「お、中沢じゃん。あんたも今帰り?」

中沢「まぁね。…へぇ、美樹さんクラシックなんて聞くんだ。意外だなぁ」

さやか「む…馬鹿にすんなよ!こう見えて結構詳しいんだから!…まぁ、誰かさんの影響もあるけど」ポリ..

中沢「あぁ…上条か。あいつ、最近どう?」

さやか「んー、まぁまぁかな…。あ、あんたもたまには顔見せてやってよ」

中沢「そうだね。今度お見舞いにでも行ってみるよ」

さやか「ん…って、あれ?まどかがいない…」キョロ

中沢「…鹿目さん?」

さやか「うん。さっきまでそこにいたんだけど…おーい、まどかぁ」キョロキョロ

中沢「…俺も一緒に探すよ」

中沢「美樹さん、あれ鹿目さんじゃない?」

さやか「え?あ、本当だ。…あんな所で何を…って、え?」

さやか「…転校生?」

中沢「!」



まどか「だめだよ…酷い事しないで!」
ほむら「貴女には関係ない」

ブシャアアアア

ほむら「…っ!?」

さやか「まどか!こっち!」

まどか「さやかちゃん!…と、中沢君?」

中沢「…はは。成り行きでね。…って鹿目さん、それ生き物?」

まどか「わかんない…でも、この子助けなきゃ!」

さやか「…あれ?非常口は?どこよここ」

まどか「変だよ、ここ。どんどん道が変わっていく…やだっ。何かいる」

さやか「冗談だよね?私、悪い夢でも見てるんだよね?ねえ、まどか!」


中沢(…一体何がどうなって…?でも、俺が二人を守らないと…!)

ガシャーン

中沢「!?」

さやか「あ、あれ?」

まどか「これは…?」


コツコツ

マミ「危なかったわね。でももう大丈夫」

さやか「あ、あなたは?」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね」

マミ「…でも、その前に」

マミ「ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら」

サーティーローヤーリー

マミ「ハッ!」

シュパパパパン




中沢「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!いつの間にか迷い込んだよく分からない空間で変な生物に襲われかけていたら、突如現れた謎の金髪美女が一瞬で撃退してくれたんだ。何を言ってるか分からないかもしれないが、俺もよく分からない」

まどか「す…すごい」

さやか「…も、戻った!」

コツ…

中沢「!…暁美…」

マミ「魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい。今回はあなたに譲ってあげる」

ほむら「私が用があるのは……」

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの。…お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

ほむら「…っ」


中沢「…ま、待って下さい!」

マミまどほむさや「!」

中沢「あ…あの、こいつにも何か事情があったんだと思います…だから…」

さやか「ちょ…ちょっと中沢?あんた何を…」


マミ「…どんな事情があるにせよ、友達を傷付けられたら私も黙っていられないわ」

中沢「で…でも!」

ほむら「良いわ。もう…。そいつが鹿目まどかと接触する前にケリをつけたかったけれど、今更それも手遅れだし」

まどか「…ぁ…ぅ」ビクッ

ほむら「…」ファサッ



中沢「…」

次の日

さやか「よ!中沢!」

まどか「ティヒヒおはよう」

中沢「あ、おはよう二人とも…うぇっキュゥべえ!?」

中沢「…学校に連れてきて大丈夫なのか?」コソコソ

まどか「(大丈夫だよ。他の人には見えてないから)」

中沢「!?」

中沢(こいつ…直接脳内に…!)

さやか「(これもキュゥべえの力みたい。マミさんとも通じてるはずだよ)」

マミ「(えぇ。ちゃんと見守ってるから、安心して?)」

中沢「(へ、へぇ…)」

QB「(正直、少女でもない君が僕の姿を視覚的に捉える事が出来るのには驚いているけど、君も完全に無関係という訳ではないからね)」

中沢「(はは…)」

ガラッ

さやか「(げ…噂をすれば)」

ほむら「…」ジロ

中沢「…」

中沢「(なぁキュゥべえ…君、本当に暁美さんに何もしてないんだよな?)」

QB「…」キョトン

QB「(君は随分暁美ほむらの肩を持つようだけど、あの少女に何か特別な感情でもあるのかい?)」

中沢「(…そうじゃないけど)」

中沢「…」

QB「…」

回想・マミルーム

マミ『魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの。だから、時と場合によっては手柄の取り合いになって、ぶつかることもあるのよね』

さやか『つまりアイツは、キュゥべえがまどかに声掛けるって最初から目星を付けてて、それで朝からあんなに絡んできたってわけ?』

マミ『たぶん、そういうことでしょうね』

中沢『…そうかな』

マミ『え?』

中沢『…そんな奴じゃ、ないと思うけど』

さやか『ねぇ中沢、あんただって見たでしょ?あいつはキュゥべえやまどかを襲ってたんだよ?…さっきから何でそんなあいつの肩持つ訳?』

中沢『…それは。多分あいつが…悪い奴じゃないから…上手く言えないけど…でも、きっと』

さやか『だから、それが何でって
まどか『さ、さやかちゃん』


マミ『美樹さん、落ちついて。でも私からも、どうしてあなたがあの子を庇うのか、理由を教えて貰えないかしら?』

中沢『…』

中沢『…俺、多分あいつ知ってます。でも…俺の知ってるあいつと、今のあいつがあまりにかけ離れてるような…その』

マミ『昔はあんなんじゃなかったって事?』

中沢『…はい。だから…あんな態度を取るのも、キュゥべえを襲ったのも、きっと何か理由があるんじゃないかって…』

マミ『そう…。なるほどね』

マミ『…でも中沢君。あなたの言葉を否定したい訳ではないけど…人ってね、きっかけさえあれば簡単に変わってしまうものよ。……魔法少女なんてやってると特に…ね』

中沢『…っ』

マミ『それにね、私は魔法少女として、この街を守る者として、少しでも危険分子になり得る存在があるなら、それを排除しなければならない…。それは分かってくれる?』

中沢『そ…それは……はい』

マミ『ありがとう』

マミ『美樹さんも、もう…ね?』

さやか『うーん…まぁでも、さっきのはただの八つ当たりだったわ。ごめん、中沢』

中沢『いや、こっちこそ』

中沢「…」

ほむら「…」

ほむら(…まさか彼にまで魔法少女の存在を知られるなんて…イレギュラーだわ)

ほむら(…どう見ても一般の男子生徒よね。なら、放っておいても平気そうね)ファサッ

昼休み


ほむら「…忠告が無駄にならないよう、祈ってる」

まどか「あ…ほむらちゃん。あの…あなたはどんな願いごとをして魔法少女になったの?」

ほむら「…」ジッ

まどか「…!」

ほむら「…」クルッスタスタ



中沢「やぁ」

ほむら「!」

中沢「そんな警戒しなくて良いって。話しがしたいだけなんだ」

ほむら「…あの子達に関わるなとか、そんな所かしら。だったら時間の無駄になるだけよ」ファサッ

中沢「…」

中沢「…なぁ、やっぱりお前、ほむら…なんだよな?」

ほむら「は?」

中沢「いや…俺実は、昔ちょっとだけ東京住んでて。小学校一緒だったの、覚えてない?つっても、お前ほとんど学校休んでたもんな…」

ほむら「え…え?」

中沢「名前聞いてあれ?って思ってさ、でも昔と随分雰囲気違うから自信なかったんだけど…やっぱり、あの暁美ほむらだよな?」

ほむら「ちょ…」

中沢「眼鏡かけてて、三つ編みで」

ほむら「…あの」

中沢「オドオドしてて、いっつも教室の隅で一人で本ばっか読んでて…」

ほむら「…待って」

中沢「泣き虫ほむほむって呼ばれた!」
ほむら「もうやめてえぇぇ!!!」

ほむら「////」プルプル


中沢「あ…ごめん。もう泣き虫ほむほむじゃないもんな」

ほむら「いや、もうやめて下さい。そのあだ名で呼ばないで下さい…」

ほむら「…っ////」グスッ

中沢「……良かった」ボソッ

ほむら「いや良くな…え?」

中沢「やっぱり、俺の知ってる暁美ほむらだったんだ…って」ホッ

中沢「……なぁ…お前、本当はそんなんじゃないだろ?ずっとそんな怖い顔してさ…何で鹿目さん達にもあんな態度取るんだよ?」

ほむら「…」

中沢「…ごめん…困らせたい訳じゃないんだ…」

ほむら「…ぁ」

中沢「言いたくないなら、無理には聞かない。俺が知りたかった事はもう聞けたし」

ほむら「…ごめんなさい」

中沢「…お前、凄いよ」

ほむら「?」

中沢「あんなに引っ込み思案だったのに、昨日の魔女?とかと戦ってさ…人ってさ、こんなに変われるもんなんだな!」

ほむら「…っ」

ほむら「私は…前に進まなくちゃいけない。…だからもう、昔の自分には戻らないって決めたの…」

中沢「…ほむら」

ほむら「だから、この話しはもうおしまい。それじゃあね」ファサッ

スタスタ


中沢「…ほむら」

ほむら「…」


ほむら「まさか昔の知り合いがクラスにいたなんて…何ループ目かにしての新事実だわ。…何とか最もらしい事言って切り抜けたけど」

『泣き虫ほむほむだよな!』


ほむら「…死にたい」

放課後

さやか「ふぅん…。やっぱりあの転校生、あんたと知り合いだったんだ」

中沢「はは…うん。向こうは覚えてないみたいだけど…」

まどか「昔のほむらちゃんって、どんな感じだったの?」

さやか「私も気になる!ずっとあんなんだったんじゃないんでしょ?」

中沢「えっと…(泣き虫ほむほむの事言ったら怒るだろうな…)今とは違った意味で大人しい子だったかな。クラスでもそんな目立つタイプじゃなかったし…でも、優しい奴だったよ」

まどか「仲良しだったの?」

中沢「いや…そうでもないよ。話したのも数回しかなかったと思うし…ほとんど関わりないまま転校しちゃったから、俺」

中沢(…そうだ。確かあいつが体調崩して休んでる間に引越したんだっけ。結局挨拶も出来なくて…)

さやか「…なのにそんなに印象に残ってるなんて、中沢あんた」ニヤニヤ

中沢「ちょ…そんなんじゃないってば///」

さやか「んー?私は何も言ってないけどー?」

まどか「うぇひひ」ウェヒウェヒ

中沢「な…///鹿目さんまで…ほっとけない奴だったんだよ!」



中沢「ところで、二人はこれからマミさんの所に?」

まどか「うん。今日から魔女退治について行く事になってて…」

さやか「魔法少女体験コース第一弾ってとこね!」ブンブン

中沢「あ、だからバット?」

さやか「へへへ。まぁね。何も無いよりマシかなって」

中沢「…二人とも勇気あるなぁ」

まどか「え?中沢君は来ないの?」

中沢「…俺は魔法少女になれる訳じゃないからね。遠慮しておくよ」ハハ

まどか「そう…なの。…そうだよね」

さやか「大丈夫だってまどか!なんたってこのさやかちゃんが付いてるんだから!」

まどか「さやかちゃん…」

中沢「はは…頼もしいね」

中沢「まぁ…何かあったら俺も力になるよう頑張るから。…怪我しないようにな」

さやか「うん…ありがとう」

まどか「行ってきます」
タタタッ

まどか「ねぇ、さやかちゃん?中沢君の話し、どう思う?」

さやか「…転校生の事?」

まどか「うん…ほむらちゃん、やっぱり悪い子じゃないんじゃないかな」

さやか「んー…まだあの話しだけじゃ分かんないや。大人しくて優しいなんて、今のあいつからは想像つかないし」

まどか「…そっか」

さやか「さ、マミさん待ってるし急ご!」

まどか「うん…」

数日後


中沢「で、魔法少女体験コースはどう?」

さやか「いやー!マミさんがとにかくかっこよくってさぁ!」

中沢「へぇ…」

まどか「私もあんな風になりたいなぁ」

中沢「…鹿目さんは魔法少女になりたいの?」

まどか「そういう訳じゃ…。ただ、マミさんみたいに、誰かの役に立てるような生き方って、とっても素敵だなって」ティヒヒ

さやか「ほんとほんと!転校生とは大違い!」

まどか「ちょ…さやかちゃん」

さやか「…あ」

中沢「…」

さやか「ねぇ、中沢…やっぱりあいつ、あんたが思ってるような子じゃないよ。この前だってマミさんに喧嘩売ってたし…やめといた方が良いって」

さやか「それに何かにつけて一々一般人は首突っ込むなとか言っちゃってさ!くぅ~っ思い出しただけでも腹立つ!」

中沢「…きっと、二人を心配して言ってるんだと思うな。マミさんだってよく言ってるだろ?命がけだって…」

さやか「そうだけど…でも、それにしたってあんな言い方…!」

まどか「さやかちゃん」

中沢「クスッ…君達に、本当に危ない目に合って欲しくないんだよ。だからきつく当たりもする…そんな所だと思うよ」

まどか「…中沢君」

さやか「そう…なのかな」

中沢「きっと、話せば分かってくれると思うんだ。だから、あんまりそういう目でばっかり見ないであげてくれないかな?」

中沢「…って言っても、俺もあれから随分警戒されちゃって、まともに話せてないんだけどさ…」ハハハ

さやか「…中沢…分かったよ。あんたがそこまで言うなら、考えとく」

中沢「!…美樹さん、ありがとう」

さやか「じゃあ、私達はここで」

まどか「また明日ね。中沢君」

病院近く

中沢(…はぁ。やっぱり難しい、のかな。美樹さん達と仲良くさせるのは…。ほむらももう少し…)

中沢「あ…」

ほむら「!」

ほむら「…」クルッ

中沢「…ま、待って!逃げないで!」

ほむら「…逃げてなんてないわ」

中沢「…この間は、いきなり昔の話しなんてして悪かったよ。もうあのあだ名は呼ばないからさ…」

ほむら「ききき…気にしてなんか、なっなないわ」

中沢(…めっちゃきょどってる)

ほむら(…とてもきょどってしまった)

中沢「あのさ…ほむ…」

ほむら「ハッ…!」

ほむら(…この気配は)

中沢「ほむら?…まさか!」

ほむら「えぇ…間違いない。魔女の結界だわ」

ほむら「しかも、この魔女は…巴マミが危ない!」ダッ

中沢「あ!…待って!」

魔女結界


まどか「間に合ってよかった」

マミ「無茶し過ぎ…って怒りたいところだけど、今回に限っては冴えた手だったわ。これなら魔女を取り逃がす心配も……」

まどか「…!ほむらちゃん」

マミ「言ったはずよね。二度と会いたくないって」

ほむら「今回の獲物は私が狩る。貴女達は手を引いて」

マミ「そうもいかないわ。美樹さんとキュゥべえを迎えに行かないと」

ほむら「その二人の安全は保証するわ」

マミ「信用すると思って?」

中沢「マミさん、俺からもお願いします!」

マミ「中沢君…?」

マミ「一般人は巻き込むな…じゃなかったかしら?一体どういうつもり?」

中沢「ち、違うんです!…俺が勝手に着いてきただけで…」

中沢「お願いします!こいつにチャンスを貰えませんか?今回だけで良い…こいつを信じてあげて欲しいんです!」

ほむら「!」

中沢「もしもマミさん達に何かしようとしたら、その時は俺が全力で止めます…!だから…」

ほむら(こいつ…なんでこんなに)

マミ「…そう。…貴女はどうなの?暁美さん?」

ほむら「…!」

ほむら「…着いて行かせて貰うだけで構わない。ただ、もしもの時は…」カチャ

マミ「…」

ほむら「…」

マミ「…良いわ。鹿目さん、行きましょう」クルッ スタスタ

まどか「は…はい!」

ほむら「…」チラ

中沢「…」ホッ

ほむら「…」

最深部


マミ「お待たせ」

さやか「はぁ間に合ったぁ…って、げっ転校生!?…と、何で中沢?」

ほむら「…」
中沢「はは…」

キュゥべえ「気をつけて!出て来るよ!」

シャル「プキィ」

マミ「せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせて…もらうわよ!」

さやか「やったぁ!」

中沢「…す、凄い!」

さやか「どうやらあんたの出番はないみたいだね!転校生?」


マミ「ティロ・フィナーレ!!」


シャル「オエー」ニュルッ

マミ「…え?」

ほむら「…っ!」

まどか「…マミさん!!」

カチッ…ドオォン

ドサッ
マミ「…え、わ…私?」

ほむら「…」ファサッ

マミ「…あ、暁美さん…あなた…私を…」

ほむら「…言ったでしょう?もしもの時は…って」

まどか「マミさん!!ほむらちゃん!!」

ほむら(…もしかしたらこれは、良いチャンスなのかもしれない)

ほむら「…魔法少女になるって、どういう事か分かってくれたかしら?」

さやか「…っ」
まどか「ぁ…ぅ…」

ほむら「やっぱり貴女達は、これ以上関わるべきじゃない」

マミ「…」

ほむら「…そこで提案なのだけれど、巴マミ、私と手を組まない?」

さやか「…だ、大丈夫…なの?」

ほむら「…えぇ。見ての通りよ」ファサッ

マミ「…あ、ありがとう…暁美さん…」

マミ(暁美さんがいなかったら、私…)ゾッ

ほむら「…礼には及ばないわ」

中沢「…ほむら…」

ほむら「…ありがとう。貴方のおかげよ」ボソッ

中沢「…え?」

ほむら(…もしかしたらこれは、良いチャンスなのかもしれない)

ほむら「…魔法少女になるって、どういう事か分かってくれたかしら?」

さやか「…っ」
まどか「ぁ…ぅ…」

ほむら「やっぱり貴女達は、これ以上関わるべきじゃない」

マミ「…」

ほむら「…そこで提案なのだけれど、巴マミ、私と手を組まない?」

マミ「…え?」

ほむら「今後も今みたいな事が起こらないとも限らない…このまま敵対して
いるよりは、ずっと良いと思うのだけど」

マミ「…」

ほむら「…やっぱり、信用して貰えないかしら」

マミ「…ううん。一歩間違えれば自分が危なかったかもしれないのに、あそこで私を助けてくれた…。そんなあなたを…信じない訳ないじゃない」

ほむら「!…じゃあ」

マミ「これからよろしくね!暁美さん!…今まではごめんなさい」

ほむら「…それは、私も…ごめんなさい」

中沢「…」

中沢(…良かったな)

マミマンション外


ほむら「…中沢君」

中沢「…や、やぁ」

ほむら「ずっとそこで待ってたの?」

中沢「はは…うん。マミさんは?」

ほむら「疲れて寝てるわ。大丈夫。怪我はないから」

中沢「良かった…」

ほむら「…ねぇ、どうして貴方は私に構うの?私なんか庇って、下手したら貴方まで悪く思われるようになっていたかもしれないのよ」

中沢「…信じてたもん。俺、お前の事」

ほむら「…!」

中沢「実際、お前は悪い奴じゃなかった。マミさん達とも良い関係を築けそう。…それで良いじゃないか」

ほむら「…どうしてそんなに」

中沢「友達信じるのって、何もおかしい事じゃないだろ?」

ほむら「…友達…?…私と?」

中沢「え…少なくとも俺はそう思ってたんだけど。…あぁそっか。お前は俺の事覚えてないんだったな…」

ほむら「…」

中沢「なら、今から友達だ!な?ほむら!」

ほむら「…中沢君」

次の日・通学路


まどか「あ、ほむらちゃん!」

ほむら「まどか…」

まどか「おはよう」

さやか「…おはよ」

ほむら「えぇ。おはよう」

さやか「…その、何ていうか、今までごめん。あと、昨日はありがとう」

ほむら「貴女にお礼を言われる事じゃないわ」

まどか「…マミさんはどう?怪我はないんだよね?」

ほむら「えぇ。…ただ、さすがにショックが大きかったみたいね。今日はお休みするそうよ。魔女退治も、恐らくしばらくは…」

さやか「仕方…ないよね」

ほむら「巴さんが復活するまで、魔女も使い魔も私が狩るから大丈夫よ。安心して、グリーフシードも独り占めしようなんて思ってないから」

まどか「…ほむらちゃん」

さやか「…信用して良いんだよね?」

ほむら「えぇ。もちろん」ファッサァ

教室


中沢「ほむ…暁美さんおはよう。美樹さん達と一緒だったんだ」

ほむら「…たまたまよ」ガタッ

中沢「仲良くやれそう?」

ほむら「…どうなのかしら」

中沢「へへ…そっか」ニヤニヤ

ほむら「?…何?」

中沢「いや、昨日より柔らかくなったなって…」

ほむら「?」

中沢「雰囲気とか、表情とか。そっちの方が俺は……」ハッ

ほむら「?…中沢君は?」

中沢「…っな…何でもない///」

ほむら「??」

放課後・マミルーム


マミ「あら、暁美さんに鹿目さん…来てくれたの」

ほむら「えぇ。様子が気になって…」

まどか「あの…調子はどうですか?」

マミ「二人とも…ありがとう。上がって?」ニコッ



マミ「…そう。それじゃあ、もう魔法少女になるつもりはないのね…」

まどか「…ずるいって分かってます…今さら虫が良すぎだって事も……ヒック…ごめ…ごめんなさい…っ」

ほむら「まどか…」

ほむら「…貴女は自分を責めすぎているわ。…貴女を非難できる者なんて誰もいない。いたら、私が許さない」

マミ「…暁美さんの言う通りよ。あんなものを見てしまったんだもの…当然だわ。寧ろ謝るのは私の方…怖い思いをさせてしまって、本当にごめんなさい」

まどか「マミさん…ほむらちゃん…」



まどか「…それでさやかちゃんたら」ティヒヒ
マミ「まぁ…!うふふ」

ほむら(…先程まで沈んだ空気だったけれど、二人ともまた笑って話せるまで復活したみたいね。良かった)


まどか「あ…それじゃあ、私そろそろ」

マミ「あら、もうこんな時間なのね」

ほむら「私はまだここに居て良いかしら?巴さんと今後の事について話したいし…」

マミ「えぇ、もちろん」

まどか「マミさん、お大事に…ほむらちゃん、また明日学校でね!」

ほむら「えぇ」

ほむら(…このまま行けば、まどかは契約せずに済むかもしれない)

ほむら(……問題は…美樹さやか)

病院


上条「僕は…僕は…っ!ああ!!」

さやか「恭介…っ!」

上条「動かないんだ…もう、痛みさえ感じない。こんな手なんて…っ」

さやか「大丈夫だよ!きっと何とかなるよ!諦めなければきっと、いつか…っ」

上条「諦めろって言われたのさ…。もう演奏は諦めろってさ。先生から直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって」

上条「…僕の手はもう二度と動かない!奇跡か、魔法でもない限り治らない…!!」

さやか「あるよ」

上条「え?」

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ!」



中沢「…え?」

さやか「…じゃあ、もう行くね」ガラッ


さやか「!」

中沢「や、やぁ…」

さやか「中沢…」

中沢「立ち聞きするつもりは無かったんだけど…入るタイミングが…」ハハ

さやか「…聞いてたの?」

中沢「…美樹さん、まさかと思うけど…」

さやか「うん。…私、決めたんだ」ニコッ

さやか「別に、勢い任せって訳じゃないよ。本当に叶えたい願いを見つけたってだけ」

中沢「…後悔、しないんだね?」

さやか「ん!…きっと、こうなる運命だったんだよ…だから、後悔なんてしない」

中沢「…美樹さん」

パァァ
QB「さあ、受け取るといい。それが君の運命だ」

さやか「…これが…私の」



テクテク
さやか「…やっぱり、マミさん達にちゃんと言わないとだよね。転校生、きっと怒るだろうなぁ…」ハァ

中沢「まぁ…なっちゃったものはしょうがないよ。それに、後悔はしないんだろ?」

さやか「もっちろん!私は、なるべくして魔法少女になったんだから!」

さやか「…って、この反応!」

QB「間違いない。魔女の結界が出来上がってるようだ。恐らく近くの廃工場だ」

さやか「うわぁ…早速かよ。ここは一旦マミさん達に知らせて…」

QB「そんな時間はないかもしれないよ。さやか…まずい事になった」

QB「魔女の結界に既に何人か取り込まれてる。その中に、どうやら鹿目まどかも含まれているみたいだ。急いだ方が良い」

中沢「…そんな!」

さやか「…中沢、私行ってくる」ギュッ

中沢「え!?…そんな一人でなんて…」

さやか「親友のピンチなんだもん!放っておける訳ないよ!」

中沢「美樹さん…」

中沢「……わ、分かった。俺、ほむらに知らせてくる!」ダッ


タッタッタッ
中沢「…って、よく考えたら俺、ほむらの家知らないじゃん!」

中沢「いや、待てよ…確かマミさんの家に寄るって……ええい!ままよ!」

マミルーム


ほむら「それじゃあ巴さん、お大事にね」

マミ「ありがとう。…明日は学校にも行けるから」

パタン..
中沢「ほむら!」

中沢「っ…ほむら!…良かった。
いてくれた…」

ほむら「…中沢君?どうかしたの。そんなに慌てて」

中沢「…ハァハァ…大変なんだ!ま、魔女の結界に…鹿目さんが!」

ほむら「!」

中沢「…今、そこに美樹さんが向かってる…」ハァ..

ほむら「…美樹さやかが?…ハッまさか…っ」ダッ

中沢「…あ、ほむら!」



まどか「さやかちゃん…その格好」

さやか「ん?んー、まぁ、心境の変化ってやつ?」

まどか「…さやかちゃん」

さやか「大丈夫だって!初めてにしちゃあ、上手くやったでしょ?」

まどか「…でもっ!」


コツ..
ほむら「美樹さやか…貴女!」

さやか「!…転校生!…あはは…ごめん…相談なしに…」

ほむら「…っ」

まどか「ほむらちゃん、さやかちゃんを責めないであげて…!さやかちゃんがいなかったら、私…。それに仁美ちゃんだって…」

ほむら「…まどか」

ほむら(…迂闊だった。やはり、美樹さやかからも目を離すべきじゃなかった…)



QB「…一体この街に何の用なんだい?佐倉杏子」

杏子「べっつにぃ。マミの奴が引き込もったって聞いたから、こうして様子見に来てやったんじゃん」

杏子「こんな絶好の縄張り、腐らせるのには勿体無いしねぇ」

QB「…」

次の日


マミ「美樹さん…」

さやか「マミさん!」

まどか「もう、大丈夫なんですか?」

マミ「えぇ、もうすっかりね。…そんな事より」

さやか「…もう、知ってるんですね」

マミ「中沢君から聞いたのよ。…一言相談くらいして欲しかったわ」

さやか「…ぅ。ごめんなさい」

マミ「…まぁ、過ぎた事を言っても仕方ないものね。私に責める資格なんてないのだし。……覚悟の上なのよね?」

さやか「…それは、もちろんです!」

マミ「そう…。なら良いの。これからは、一緒に頑張りましょう?」ニコ

さやか「マミさん…!はい!」

マミ「それから」

マミ「暁美さんに会ったら、きちんとお話しする事!…美樹さんの事、とても気にしていたから」

さやか「へ…転校生が?」

マミ「コホン..返事は?」

さやか「はっはいぃ!」

教室


中沢「(…暁美さん)」

ほむら「…」

中沢「(おーい。暁美さんってば)」

中沢「(…ほむらー?)」

中沢「(ほむー?ほむほm「(黙りなさい)」

中沢「(やっぱり聞こえてるんじゃないか)」

ほむら「…」

中沢「(…怒ってるのか?美樹さんの事で)」

ほむら「(…どうして)」

中沢「(…え?)」

ほむら「(…どうして美樹さやかを止めなかったの?…っあの子は、契約すべきじゃなかった…)」

中沢「(何でそんな事言えるんだよ?それを決める権利なんて、お前にはないだろう?それとも、美樹さんに魔法少女になられちゃ困る理由でもあるのか?)」

ほむら「(…それはっ……)」

中沢「(なぁ、お前何か隠してねぇ?)」

中沢「(ちゃんとした理由もなしにそんな事言われたって、訳わかんねぇだろ?)」

ほむら「(…それ…は…)」

ほむら「…」

中沢「(また黙るのか?…肝心な所でいっつもそうだよな。…それとも、やっぱり手柄が減るのが嫌なのか?)」

ほむら「…っ!」

ほむら「…あ…貴方まで…っ」

ほむら「…貴方までそんな風に私を見るの…っ!?」ガタンッ

ザワッ

中沢「ちょっ!ほむら…!?」

ヒソヒソ…

ほむら「…ハッ……っ」ガタッ


ガラッ
さやか「わっ!…っとと…え、転校生?」

ほむら「…っ」ダッ
まどか「ほむらちゃん!?」


シーン
さやか「え?…何があったの?」

中沢「……という訳なんだ」

さやか「…って、何?完全私のせいじゃん!」

中沢「いや…俺が言い過ぎたんだ。…あんな事、言うつもりじゃなかったのに」ズーン

まどか「…ほむらちゃん、戻ってこないね」

中沢「…っ」

中沢「お…俺、探してくる…!」ダッ

ガラッ
教師「おー、授業始めるぞー!どうした中沢?席着けー」

中沢「 」


次の授業にはほむらは戻ってきたが、一度タイミングを逃してしまうと何となく話しかけづらく、その日は結局気まずいまま一日が過ぎていってしまった…。

放課後


マミ「あ、暁美さん!」

ほむら「…巴さん」

ほむら「もう学校に来てたんですね…。平気なんですか?」

マミ「えぇ、もうすっかり。…今日からパトロールも再開しようと思うの」

ほむら「そうですか…」

マミ「?…何かあったの?」

ほむら「!…いえ、別に何も」

ほむら「巴さん、今日のパトロール、美樹さやかをよろしくお願いします」

マミ「え…暁美さんは…」

ほむら「ごめんなさい。今日は…一人にさせて」

マミ「あ…!暁美さん…?」

中沢「…はぁ。結局謝れなかった…」

中沢(…何であんな事言っちゃったんだよ。俺。あんな風に思った事なんてないのに…)

中沢「ほむら…許してくれないよな」

中沢(…信じてるって、言った癖に…俺、いつもそうだ。あの時の約束だって、まだ…)

中沢「…俺…俺は…」ハッ

中沢「…何だ…ここは…!」


使い魔「a&#ajagtdw__&#_p#/jdw,w.,om!」

中沢「あ…あぁ…これって…!」



マミ「…そう。そんな事が…。だから暁美さん…」

さやか「やっぱり…私が契約したせいですよね…」

マミ「そんな事…。美樹さんは、全てをかけてでも叶えたい願いを見つけたのでしょう?…そんな貴女を、誰も責める事なんて出来ないはずよ」

さやか「…でも」

マミ「…どちらにしても、あとはあの二人の問題だわ…。私達に出来る事は、ただ見守ってあげる事よ。…!」ポォ..!

マミ「それから…この街を守る事!…魔力反応だわ!…行くわよ!美樹さん!」

さやか「は…はい!」タタタッ

ほむら「…話しって何?まぁ、大方の予想はつくけれど」

まどか「んぅ…あのね、さやかちゃんと、中沢君の事、なんだけどね…」

ほむら「…」

まどか「二人と…仲直り、出来ないかな…?せっかくマミさんとは仲良くなれたのに、このままだと、また…」

まどか「それに…さやかちゃん、平気そうなふりしてるけど、きっと…。そりゃ、マミさんもついてるけど…でも私…」

ほむら「…美樹さやかが心配なのね」

まどか「…皆で協力した方が、マミさんもさやかちゃんも…ほむらちゃんだって、もっと安全に戦えると思うの」

ほむら「魔女と戦う事に、いつだって安全なんてないわ。美樹さやかだって、その覚悟は出来ていたはずよ」

まどか「…っそれは」

ほむら「一度魔法少女になってしまったら、もう救われる望みなんてない」

ほむら「あの契約は、たった一つの希望と引き換えに、すべてを諦めるってことだから」

まどか「…だから、ほむらちゃんも諦めちゃってるの?自分のことも、他の子のことも全部」

ほむら「…そうよ」

まどか「…でも…!」

まどか「中沢君は……諦めなかった…」

ほむら「…」

まどか「ほむらちゃんの事…さやかちゃんもマミさんも、悪い子だって決めつけてた…。でも、中沢君はずっとほむらちゃんの事、良い子だって、本当は優しい子だって…ずっと信じてたの」

ほむら「…っ」

まどか「中沢君、本当はあんな事思ってないの…。さやかちゃんの事も、ほむらちゃんの事も心配で…でも、力になってあげられないから…それでつい、あんな事…」

ほむら「…」

ほむら「……知ってるわ」

ほむら「今朝の事は…そうね。私も熱くなり過ぎだったわ…」

まどか「!…ほむらちゃん」

ほむら「…でも、その事と美樹さやかの件は別。…あの子は、契約すべきじゃなかった」

ほむら「…これから起こる事に、美樹さやかはきっと耐えられない…」ボソッ

まどか「え…?」

まどか「これから…って…ほむらちゃんは、何か知ってるの…?」

ほむら「…それは」

「やぁ」

まどか「!…キュゥべえ!」

ほむら「…消えなさい」

QB「酷い言われようだね。重要な事を教えてあげようと思ったのに」

まどか「重要な事?」

QB「中沢が使い魔の結界に取り込まれたようだ。彼は一般人だ。早く向かわないと手遅れになるかもしれない」

ほむら「…なっ!」ガタ

まどか「…っそんな…ほむらちゃん!」

ほむら「…っ」ダッ




ほむら(…お願い!間に合って!)



使い魔「&#@adjmhbawdw_m!!」

中沢「う…うわあああ!!」

中沢(あぁ…きっと罰が当たったんだ。…きっと、あいつを傷つけた罰だ…)

中沢「…ごめんな」

中沢(…やっぱり、謝っておくんだったな)

ズバッ

ドサッ
中沢「…!」

中沢「ほ…むら……?」

>>1です
モリタポから書き込みしてましたが、メンテナンスで落ちてました…
荒れさせてしまったようで申し訳ない

書き貯めてたので投下していきます

さやか「転校生かと思った?残念!さやかちゃんでした!」

さやか「まどかもだけどさ、二度も結界に取り込まれるなんて、あんたも相当ついてないよね」

中沢「…美樹…さん」

中沢(…だよな。ほむらの訳…ないよな)

さやか「だぁーっもう!あからさまにそんながっかりした顔しないでよね!そんな顔するくらいなら、とっとと仲直りしちゃいなさいよ!」

マミ「お喋りしてる余裕ある?使い魔だからって油断は大敵って言ったはずよ!」

さやか「わーかってますって!あんな使い魔ちゃっちゃと……っ!?」
ヒュンッ..チャキ



杏子「ちょっとちょっと。何やってんのさ、あれ使い魔だよ?」

さやか「なっ…!?何なのよあんた!そこどいてよ!」

杏子「だーかーら、グリーフシード持ってない奴倒したって意味ないっしょ?卵産む前の鶏シメてどうすんのさ」


タッタッタ
マミ「美樹さん?どうかした……っ!!」

杏子「何だマミ、聞いてたより元気そうじゃねーか」

マミ「…佐倉さん」

さやか「…マミさん?こいつ知ってるんですか?」

杏子「ふぅん。なるほどねぇ…。マミあんた、まーだそんなふざけた正義の味方ごっこなんてしてる訳?」

杏子「あんたも可哀想だよねぇ。こんな甘ちゃんのおふざけに付き合わされてさ」

マミ「…っ佐倉さん、いくらなんでも怒るわよ?」

杏子「ふんっ…そんな可愛い顔で言われたって怖くねーよ」

中沢「な…ちょっと、一体何なんだよ…。君も魔法少女…なのか?」

杏子「何あんた?魔法少女の事知ってる訳?ま、どうでも良いけど…どうせ纏めてぶっ潰すつもりだし」

中沢「!」ゾク

ガキンッ
杏子「!」

さやか「…ハァッ…ハァッ…あんた…あんたみたいのがいるから…!」

杏子「…」ニヤ



杏子「チャラチャラ踊ってんじゃねぇよウスノロ!」

中沢「み、美樹さんっ!!」

マミ「二人ともいい加減に…!」

さやか「マミさんは黙ってて!…これは、私とこいつの戦いなんだ…!!」

杏子「はぁ…言って聞かせてわからねえ、殴ってもわからねえバカとなりゃあ…後は殺しちゃうしかないよねッ!?」

さやか「負けない…っ負けるもんかあ!」

中沢(何で…魔法少女同士なのにこんな…。ほむら…もしかして君も、いつもこんな戦いを…)

杏子「終わりだよ!」


スッ…トン

杏子「な…っ!?」

さやか「え…?」


中沢「…!ほむら!」

杏子「…っ何なんだあんた?一体誰の味方だ?」

ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵」

ほむら「…貴女はどっちなの?佐倉杏子」

杏子「な…どこかで会ったか?」

ほむら「さあ、どうかしら」

杏子「手札がまるで見えないとあっちゃね。今日のところは降りさせてもらうよ」

ほむら「賢明ね」

杏子「…っ何なんだあんた?一体誰の味方だ?」

ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵」

ほむら「…貴女はどっちなの?佐倉杏子」

杏子「な…どこかで会ったか?」

ほむら「さあ、どうかしら」

杏子「手札がまるで見えないとあっちゃね。今日のところは降りさせてもらうよ」

ほむら「賢明ね」

まどか「さやかちゃん…!?さやかちゃん、大丈夫!?」ダッ

ほむら「…貴女がついていながらなんて有様なの、巴マミ」

マミ「……っ」

まどか「ねぇ、あの子は一体何なの?どうして魔女じゃないのに。…味方同士でこんな…」

さやか「…魔法少女だからって、皆が皆味方とは限らないんだよ。まどか」ヨロッ

まどか「そんな…」

中沢「マミさん…あの魔法少女…」

マミ「佐倉さん…」

中沢「…」

ゲームセンター


杏子「…何?まだ何かあんの?」

杏子「やろうってんなら、受けて立つよ」

ほむら「…貴女とは敵対したくない」

杏子「はぁ?…どういう意味さ。あんた、あの甘っちょろい二人の仲間なんだろ?」

ほむら「…貴女の邪魔はしない。この街の魔女も好きに狩ってくれて良い」

杏子「どういう風の吹きまわしだよ?」

ほむら「…二週間後、この街にワルプルギスの夜が来る。私はそれを倒したい…。貴女にも協力して貰いたいの」

杏子「…なっ」

ほむら「美樹さやかは契約したばかり。かといって、私と巴マミだけじゃきっと歯が立たない。…でも、貴女がいれば…」

杏子「…」

杏子「へっ!…あたしが良くっても、あの二人が何て言うかな」

ほむら「その件は私が説得するわ。…だから、貴女もあの二人には手を出さないで」

ほむら「…そいつさえ倒せれば、後はどうしようと貴女の好きにしたら良い」

杏子「ふぅん。…ま、あんたはあいつらと違うみてぇだな」



杏子「…食うかい?」

次の日


まどか「…ねぇ。やっぱり今日も魔女探しに…?またあの子と会ったら…」

さやか「当たり前でしょ。何があったって、私達は正義の魔法少女なんだから」

さやか「ねぇマミさん、あの杏子って奴も、昔はマミさんと組んでたんでしょ?なのに…なんで昨日あんな事…」

マミ「…」

マミ「……あの子にも、色んな事情があったのよ…。そう…色々、ね…」

中沢「前にマミさん、人はきっかけがあれば変わってしまうって言ってたのって…」

マミ「えぇ…。あの子の事が、頭にあったのかもしれないわ」

まどか「マミさん…」

マミ「…私にも少しは責任があるの。もっとちゃんと、あの時に彼女のケアをしてあげられていたら…」

中沢「…」

中沢「もう…手遅れなんですか?」

マミ「え?」

中沢「…あの子が変わったからって、もう手遅れだって、マミさんは諦めるんですか?」

さやか「ちょ…中沢?」

中沢「俺は、あの子の事を知らない。マミさんとあの子に、何があったかも知らない…。でもマミさんは知ってる」

中沢「マミさん…俺は、暁美ほむらが本当は良い奴だって信じてた。今でも信じてる。…だから、マミさんもあの子を信じる事…諦めないで欲しい…」

中沢「何も知らない俺からの…勝手なお願いです」

マミ「中沢君…」



QB「やぁ」

中沢「…キュゥべえ」

QB「何だか浮かない顔だね」

中沢「まぁね…。なぁキュゥべえ、あの佐倉杏子って子と美樹さん達、何とか仲良くさせたり出来ないのかな…」

QB「無駄じゃないかな。さやかやマミと同じように、杏子にも杏子なりの正義がある。どっちも引く気はないみたいだしね」

中沢「言ってる事はもっともだけどさ…でも」

QB「君の気持ちも分からない訳ではないよ。でも、この戦いに割り込めるとしたら、それは同じ魔法少女としての運命を背負った子だけじゃないかな」

中沢「そういうもの…なのかな」

QB「中沢…。もし君が少女だったなら、きっと素晴らしい素質があっただろうね」

中沢「はは。何言ってんだよ。男だよ?俺」

QB「だからこそ言っているんだよ。事実、今でさえ僕を認識出来ている位だしね。君が少女でなかった事が、本当に悔やまれるよ」

中沢「そりゃどーも。……にしても、素質かぁ」

QB「もう一人、魔法少女になれば途方もない才能を持つだろう子がいるよ」

中沢「え?誰だい?」

QB「鹿目まどかさ」

中沢「!…鹿目さんが?」

QB「魔法少女としての潜在力は、普通背負い込んだ因果の量で決まるんだ。一国の女王や救世主でもない、ごく平凡な人生を与えられてきたまどかが何故あれ程までの素質を持っているのか、とても興味深い」

中沢「そう…なんだ」


中沢(鹿目さんって…一体)



マミ「佐倉さん…」

杏子「……なんの用だ?この間のお説教ってんならごめんだよ」

マミ「そうね…。その件についていくつか小言は言いたいけれど…」

杏子「…やろうっての?」

マミ「ううん…そうじゃない。やめましょう…今日は喧嘩をしにきたんじゃないの。…きちんと、あなたと話しがしたくって…」

杏子「…はっ!」

杏子「今さら話す事なんて…。それとも何?もうほむらって奴からなんか聞いてんの?」

マミ「え?…暁美さん?」

杏子「違うのか?」

マミ「暁美さんが何の関係があるか知らないけど…」

マミ「あのね佐倉さん…あなた、私ともう一度やり直す気、ない?」

杏子「はぁ!?」

杏子「いきなり何言っちゃってる訳?」

マミ「私なりによく考えた結果よ。…あなたの事、もう一度信じてみたくなったの」

杏子「信じる…?」

マミ「…あなたは確かに変わったかもしれない。でも、きっとまだ忘れてなんてないって…。前みたいな、正義を信じた佐倉さんがきっといるはずだって…私は信じたい」

杏子「……は?」

杏子「…何だよ。正義正義ってどいつもこいつも…あんたも知ってんだろ?他人の為に祈ろうが命かけようが結局は報われねぇって事」

マミ「そんな…そんな事…」

杏子「あたしの家族の事知ってる癖に、よくそんな事言えるよな!?」

杏子「…あのひよっこだって分かんねぇぜ?いつかあたしみたいに、あんたの事裏切るかもな?「…っ美樹さんはそんな子じゃないわ!!」

マミ「…っハァッ…」

杏子「…ふんっ!美樹さん"は"…ねぇ。ほらみろ。信じる信じる言っておいて、結局は口ばっかじゃねぇか」

マミ「ぁっ…違う。そんなつもりじゃ…」


杏子「……噂をすれば何とやら」

マミ「…?」


杏子「…良い憂さ晴らしにはなりそうだ」

テクテク
中沢「あれ?美樹さん」

さやか「中沢…」

~~♪~♪♪~

中沢「この音…あぁ。上条、退院したんだ」

さやか「うん。…らしいね」

中沢「らしいねって…美樹さん、上条からは何も……ハッ君は…」

さやか「…っあんた」

杏子「ったくさぁ…あんたもくっだらねぇ事に使っちまったよね。たった一度の奇跡をさ」

さやか「…っ」ギリッ

マミ「佐倉さん…やめなさい」

さやか「マミさん…」

杏子「この家の坊やなんだろ?あんたが契約した理由」

さやか「だったら何だって言うのよ」

杏子「…ふっ」

杏子「惚れた男をモノにするならもっと冴えた手があるじゃない。せっかく手に入れた魔法でさぁ」

さやか「は?…何?」

杏子「今すぐ乗り込んでって、坊やの手も足も二度と使えないぐらいに潰してやりな。あんた無しでは何も出来ない体にしてやるんだよ」

杏子「そうすれば今度こそ坊やはあんたのもんだ!身も心も全部ね」

中沢「!」

杏子「気が引けるってんなら、アタシが代わりに引き受けてもいいんだよ?同じ魔法少女のよしみだ。お安い御用さ」

マミ「っ佐倉さん!あなた何て事…!」

さやか「…っ…さない…!」

さやか「絶対に…お前だけは絶対に許さない。今度こそ必ず…!」

杏子「場所変えようか?ここじゃ人目につきそうだ」ニヤ



杏子「さ、いっちょ派手にいこうか」

タッタッタッ
まどか「さやかちゃん!駄目!」

中沢「鹿目さん!」

マミ「佐倉さんも落ちついて…こんな事したって」

杏子「うぜ…マミはともかくさぁ、そこのあんたらはそもそも関係ないよねぇ?引っ込んでてくんない?」

まどか「でも…でも!こんなの…っ」

コツ..
中沢「ほむら…!」

ほむら「話しが違うわ。巴マミ達には手を出すなと言ったはずよ」

杏子「ふんっ…向こうはやる気みたいだぜ?」

さやか「…っ!転校生まで…邪魔しないでよ!」

まどか「!……っさやかちゃん!ごめん!」バッ

マミ「鹿目さん!あなた!」

ほむら「ハッ…!…っ」シュン

さやか「まどか…!あんた、何て事…ぁっ?」ドサッ

中沢「み、美樹さん!?」

まどか「さやかちゃん…?ねぇ!さやかちゃんどうしたの?…ねぇっ!」

杏子「どういう事だ…おい。こいつ、死んでるじゃねぇか」

マミ「え…?」

QB「今のはまずかったよ。まどか。よりによって友達を投げるなんて。どうかしてるよ」キュップイ

マミ「キュゥべえ…?一体どういう事…?」

QB「!…どうやら戻ってきたみたいだね。さやか」

ほむら「…っ…ハァハァッ…」

中沢「ほ…ほむら?」

コツ
さやか「ん……何?何なの…?」

まどか「さやかちゃん!」

マミ「どういう…事…?ソウルジェムって…一体」

杏子「…説明して貰おうか」チャキ

QB「…」キュップイ



杏子「…チッ」

中沢「ま…待って」

杏子「…あんたは…何か用?」ギロッ

中沢「怖いなぁ…はは」

杏子「あんたもさっきの話し聞いてたんだろ?…むしゃくしゃしてんだよ」


中沢「俺と…少し話さない?」

杏子「はぁ?」

杏子「言っとくけど、ナンパなら他あたってくれる?」

中沢「そんなんじゃないって」

杏子「大体あんたさぁ、あいつらの仲間なんだろ?良いのかよ、あたしなんか構ってて。…後で何か言われても知らねぇぞ?」

中沢「…」

杏子「それに、あのさやかって子、早くもやばそうじゃん…放っておいて良い訳?」

中沢「…はははっ。やっぱり君、良い子じゃないか…!」

杏子「は…はぁ?」

杏子「良い子って…ばかじゃねぇの!?」

中沢「俺の事も、美樹さんの事も心配してくれてるだろ?」

杏子「なっ…ちげーよ。たまたまだっつの」

中沢「…美樹さんには、鹿目さん達がいるから大丈夫。…きっと」

杏子「はっ…随分信用してんだな。あいつらの事…」

中沢「うん。信じてる……君も」

杏子「…え」

中沢「君さ、やっぱり正義の方が似合うよ」

中沢「…だってさ、赤ってヒーローで言ったら主人公だろ?」ニカッ


杏子「な…っ!?」

杏子「……フッ…調子狂うなぁ…ったく」

中沢「それとさ…」

中沢「君、似てると思うな。…美樹さんと」

杏子「!」


杏子「…うぜえ」ポリ

次の日

さやか「こんな身体になっちゃって…私、どんな顔して恭介に会えばいいのかな」

杏子「いつまでもショボくれてんじゃねえぞ、ボンクラ」

杏子「ちょいと面貸しな。話がある」


学校

マミ「今日、美樹さんは…」

まどか「…お休みするみたいです。…さやかちゃん…」

中沢「…俺があの時契約を止めてたら、こんな風にはならなかったのかな」

まどか「…中沢君…」

マミ「中沢君、自分をそんな風に責めるものではないわ…。あなたが強制したのならともかく…ね」

まどか「マミさんは…平気なんですか?」

マミ「…」

マミ「そりゃあ…私だってショックよ。今こうして学校に向かってる自分も、昨日まで過ごしてきた自分も…本当はもう、死んだ身体を動かしていただけだったなんて…」

マミ「でも、私はキュゥべえに出会わなかったら、本当はとっくの昔に…。あそこであのまま死んじゃうよりは、きっと今の生活も、運命も、意味のあるものなんだって…そう思う事にしたの」

マミ「でないと…今までの正義も、この街を守りたいって戦ってきた気持ちも、きっと嘘になっちゃう。…そんな気がするから」

中沢「マミさん…」

マミ「なんてね!…ふふっ。駄目ねぇ…本当はね、今でも精一杯無理してるの。でも…後輩の前でくらい、かっこつけさせて?」

まどか「…っ…ヒック…マミさん…っ」

マミ「あとで、美樹さんを元気づけてあげましょう?」

教室


中沢「(…ほむら)」

ほむら「(…何)」

中沢「(ほむらはさ、全部知ってたんだな…)」

ほむら「(…)」

中沢「(…違う。責めるつもりはないんだ…。ごめん…忘れてくれ)」

ほむら「(…)」


中沢(あ…結局、前の事…謝れてない)

中沢(何やってんだよ…俺)

次の日


中沢「上条…お前、怪我はもう良いのか?」

上条「家にこもってたんじゃ、リハビリにならないしね」

中沢「そっか…。なぁ上条、美樹さんには、ちゃんと話したか?」

上条「さやかかい?…そういえばバタバタしていて…そうだね。後で挨拶がてらお礼でも言いにいくよ」

中沢「…は?」

中沢「チッ……今すぐ行けよ馬鹿やろう」ボソッ

上条「え…?何か言ったかい?」

中沢「今すぐ美樹さんとこ行って来いっつってんだ馬鹿やろうが!!」

中沢「良いか、良く聞け!俺はな、散々世話になった幼馴染にお礼も録に出来ねえような親友を持った覚えはねぇぞ!!」

中沢「分かったらすぐに美樹さんの所行ってこいや!あとリア充爆発しろ!!」

ほむら「!」

ザワ

さやか「…ちょ、中沢…?」

上条「あ…中沢…?う、うん。そうだね」



上条「さ、さやか」

さやか「う…ぇ…あ、何かなー」

上条「報告が遅れてごめんね。今までさやかには随分お世話になったのに…」

上条「今度さ…家においでよ。ヴァイオリン、聴いて欲しいんだ」

さやか「え!」

さやか「…あ、あはは!お礼なんて良いのにさー!う…うん。でも、聴かせて貰おうかな…」

上条「うん。じゃあ、また」


さやか「…」



仁美「…」

まどか「さやかちゃん、上条君とお話し出来て良かったね」

さやか「う…うん。良かった、けどさ」

さやか(こんな…ゾンビの私じゃ…)

まどか「さやかちゃん?」


仁美「さやかさん…」

さやか「ん?なぁに、仁美」

仁美「…今日の放課後、お時間ありますか?」

仁美「大事なお話しがありますの…」

さやか「え…?」

ほむら「…」

ほむら「貴方も案外お節介よね…」

中沢「そうかな…」

ほむら「あんな事した所で、美樹さやかの運命が変わるとは思えない…」

中沢「…」

中沢「そんな風に言うほむら、好きじゃないな」

ほむら「…っ」

中沢「お前、言ってたじゃん。前に進むんだって…。なのに、何でいつもそんな諦めた目をしてるんだ?」

ほむら「…そ、それは」

中沢「お前は…本当は何もかも諦めてる。…でも、諦めたくないとも思ってる。……本当はどっちだ?」

中沢「このまま諦めるのか…諦めずに突き進むのか」

ほむら「私…私は…」
中沢「…俺は諦めないぜ?美樹さんの事も」


中沢「…お前の事もな」


ほむら「…!」



さやか「仁美に恭介を取られちゃうよ…!っでも私、何も出来ない。だって私、もう死んでるもん。ゾンビだもん…!こんな身体で抱き締めてなんて言えない…っキスしてなんて言えないよ…っ」

まどか「さやかちゃ「だったら俺がしてやるよ!」

さやか「!?」

さやか「中…沢…?」

中沢「…もしも上条が受け入れてくれなかったら…その時は俺が抱き締めてやる。キスだってしてやる。……どんな身体だって…愛してやるよ!!」

まどか「…中沢君!」

中沢「…」ドヤァ

さやか「……っ」

中沢「だから…」

さやか「ブフォオッ!!」

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「くっ…」

中沢「え?…み、美樹さん…」

さやか「ご、ごめん…中ざ…ブフォッ!」プルプル

まどか「さ…さやかちゃっ…っ」

中沢「え…あの」

さやか「い、いやー!まさかこのタイミングであんたに告白されるなんて!ププ…いや、ごめんごめん!笑うつもりはないんだけど」

中沢「 」

さやか「あの台詞はさすがにねーわ」



まどか「…っ」プルプルプル

さやか「あー!笑ったらスッキリしたわ!…その、ごめんね?中沢」

中沢「…////」

さやか「いや、うん!ありがとう中沢!…昼間の事も」

中沢「…良いけど。…さすがに傷付くよ…」

さやか「ご、ごめんって!…まぁ、その…ちょっとは嬉しかったし?///」

さやか「でもさ…それを本当に言いたい相手、私じゃないよね?」



中沢「え…」

さやか「クス…ちゃんと仲直りしなさいよ?」


さやか「さって!そろそろマミさん達の所行かないと!…私も転校生にちゃんと謝らなきゃね」スタスタ

さやか「ありがとう!中沢!」ニコッ




さやか「で、あんたはいつまで笑ってんの?」

まどか「…っ…っ」プルプル



さやか「…という訳で、さやかちゃん!完・全!復活!!なのでした」

マミ「そ…そう。何はともあれ、うん。良かったわ。美樹さん…!」

ほむら「…」

さやか「あれ~?転校生、何黙って…やきもち?」

ほむら「…やっぱり貴女って、ほんとバカね」カチャッ

さやか「じょ、冗談だって…。その、転校生、勝手に契約して…ごめん」

マミ「まぁまぁ。これからは三人で力を合わせましょう?」

ほむら(意外だったわ。美樹さやかを本当にここまで立ち直らせるなんて…。でも、一番意外だったのは…)

ほむら(…その事をあまり驚いていない、私…かしら)


さやか「あ…ねぇマミさん、その事なんだけどさ」

ほむら「!」

次の日


さやか「よっ!不良少女!」

さやか「あんたって、本当どこいるか分かんないよね。…探し回っちゃったわよ」

杏子「…何の用だ?」

さやか「…隣、良いかな?」

杏子「チッ…学校は良いのかよ?」

さやか「あー…あはは。サボりって奴?」

杏子「…どっちが不良なんだか」

杏子「で?あたしに一体何の用さ?言っとくけど、喧嘩の続きならお断りだよ。今はそんな気分じゃねぇ」

さやか「本当、可愛くないわね。あんたも」

杏子「…フン!…思ったより、元気そうじゃねぇか」ボソ

さやか「…あんたにも、色々手間かけさせちゃったよね」

杏子「何だよ。らしくねぇじゃん」

さやか「…ありがと。あんな話し、私にしてくれて」

杏子「別に…ただの気の迷いだよ」

さやか「ふぅん。…ね、だったらその気の迷い…もう一回だけ、起こしてみない?」

杏子「は?」

さやか「私達とさ、組まない?」

杏子「!?」

さやか「いつまでも意地張っていがみあってるのさ、良い加減バカバカしく思えてきたしさ…それに」

さやか「昔のあんただけじゃなくって、私は…これからのあんたの事も知りたい。だからさ…杏子」スッ

杏子「!…フッ…あんたらには負けるわ」


杏子「よろしく」パシッ

さやか「あ…」

杏子「言っておくけど、それは盗んだやつじゃねぇからな」

さやか「…貰っとく」クスッ

さやか「…っと、もうこんな時間」

杏子「ん?…ああ、マミ達の所行くのか?」

さやか「それもあるけど…ちょっとね」


上条「それで、志筑さん…話しって」

仁美「えぇ。…私、実は…以前から上条君の事…「その告白待ったああーっ!!!」

仁美「え?」

さやか「か…可愛い女の子かとおも…思った?ハァハァ…残念…さや、さやかちゃん…ハァでした」

上条「さやか?今日は風邪で休みじゃ…それに、告白って?」

仁美「…さやか、さん」

さやか「仁美…ごめん!…恭介!私、恭介が好き!ずっと前から、好きだったの!」

上条「え…さやか?」

仁美「ぁ……わ、私も。私もですわ!上条君!」

上条「えぇ!?」

仁美「ずるいですわさやかさん!私はちゃんと一日お待ちしたのに!!」

さやか「あはは…ごめんごめん。まぁでも、先越す権利、私にはあるんでしょ?」

仁美「…もぅ!知りませんわ!」

さやか「ああもう!可愛い顔が台無しだぞ~」



上条「えっと…」

杏子「ふぅん。それで保留ねぇ。男らしくねぇんじゃねぇの?そいつ」

さやか「恭介は真面目なの!真剣に考えてくれてるんだから」

マミ「もう、仲直りしたと思ったらまた喧嘩?」

まどか「うぇひひ。喧嘩する程仲が良いって言うし」

杏さや「「誰が!こいつと?やめてよ!」」プイッ

マミ「息ぴったりね」クスクス


マミ「それにしても佐倉さん…あなたがこうして戻ってきてくれた事、素直に嬉しく思うわ」

杏子「…あっそ///」



ほむら「何…?」

中沢「あの時の事、ちゃんと謝ってなかったから…」

ほむら「…」

中沢「ごめん」

中沢「何も知らなかったのに、傷付けるような事言って…。本当は、あんな事思ってないのに俺…」

ほむら「気にしてないわ」

中沢「え…で、でも」

ほむら「…あの事なら、私も意地になり過ぎてた。…その、ごめんなさい」

ほむら「それから、美樹さやかの事、ありがとう」

中沢「ほむら…」

ほむら「…それで…出来れば貴方とは…もう喧嘩にはなりたくないのだけれど…」

中沢「!うん。…じゃあ、仲直り…かな?」

ほむら「クスッ…えぇ。」



ほむら(…彼のお陰で、皆が纏まってきてる。今までにないくらい最高のシチュエーションだわ…。この時間軸なら、もしかしたら…!)

ホムホーム

ほむら「今日集まって貰ったのには他でもない…とても重要な話しがあるの」

ほむら「もうすぐこの街に、ワルプルギスの夜が来る…」

マミ「…!ワルプルギスの夜…」

さやか「何それ?」

杏子「超弩級の大物魔女だ。…こいつは今までの魔女と違って、結界に隠れて身を守る必要なんてない。ただ一度具現しただけでも、何千人という人が犠牲になる」

ほむら「そう…。相変わらず普通の人には見えないから、被害は地震とか竜巻とか、そういった大災害として誤解されるだけ」

まどか「そんな…」

中沢「それを倒す為に、ずっとこんな準備を…?」

ほむら「…えぇ」

まどか「大丈夫…なんだよね?絶対やっつけられるんだよね?」

マミ「今までワルプルギスの夜と戦って生き残った魔法少女は…残念ながら聞いた事ないわ」

さやか「…そうなの…?」

ほむら「…怖い?ここで降りても、私は責める気はないわ」

さやか「怖いよ…そりゃ。…でも、街の皆を守る為だもん!私は絶対降りないよ。転校生…ううん。ほむら!」

マミ「私も美樹さんと同意見よ。正義の魔法少女だもの!ここで逃げる訳には行かないわ!」

杏子「まっ、乗りかかった船だ。最後まで付き合うよ」

ほむら「皆…ありがとう…」


まどか「…」



まどか「いよいよ、明日なんだね」

中沢「皆が心配?」

まどか「…皆の事は信じてる。…ただ、私だけ何も出来ないの…それで良いのかなって…」

中沢「鹿目さん…」



QB「…」

ほむら「そう…。まどかがそんな事を」

中沢「うん…俺も、気持ちは分かるからさ」

ほむら「それでも…まどかだけは、契約させる訳にはいかない…!」

中沢「…やっぱり」ボソッ

中沢「やっぱり、鹿目さんなんだね…。君がそこまで頑張る理由…道標って、言ってもいいかな」

ほむら「っ…えぇ。そうよ」

ほむら「…貴方になら、話しても良いかもしれないわね」

中沢「…え?」



中沢「……それで、君はこの一ヶ月間を何度も?」

ほむら「…」コクッ

中沢「…どのくらい?」

ほむら「…数えるのを、諦める程…」

中沢「そんな…」

ほむら「何回も繰り返して、何回も駄目で…確かに貴方の言う通りよ。私は、諦めそうになっていたのかもしれない…」

ほむら「…今回は、今までの時間軸とは違う。今まで繰り返してきた時間の中で、貴方が私を覚えていたのは今回が初めてなの」

中沢「そう…なんだ。ははっ…馬鹿だな。他の俺は…」

ほむら「…それでも、貴方に出会えた。もしかしたら、今回こそはまどかの運命を変えられるかもしれない…!」

中沢「…ほむら」

中沢「はあー!悔しいなぁ!」

ほむら「?」

中沢「それでも結局、守ってもらってばっかりで…」

ほむら「……」

ほむら「…あの時の、猫…」

中沢「猫…?」

ほむら「助けたでしょう?私が転校してくる少し前に、黒猫を…」

中沢「あぁ…!って、見てたの?」

ほむら「……本当はあの時、あの猫の為に、まどかは契約しているはずだった」

中沢「…!」

ほむら「私はそうさせないように、あの場所にいたの。…でも、貴方があの猫を助けた。おかげで、まどかの運命を、あの時にほんの少しだけ変える事が出来たの…」

ほむら「……ぁ…ありがとう」

中沢「!………ょ…良かったぁ」

ほむら「え…?」

中沢「…俺、少しはほむらの役に立ててたんだ…!」ニカッ

ほむら「…!」

ほむら「…その笑顔……」

中沢「…え?」

ほむら「…休み時間、ずっと一人だった私をいつも遊びに誘ってくれてたの……」

中沢「あ…思い、出したの?……はは。フられてばっかだったけどね」

ほむら「…」

ほむら「そう…。貴方が…」

中沢「あ…じゃあ、あの約束は…?」

ほむら「…約束?」

中沢「…元気になったら、遊ぼうって…」

ほむら「…あぁ。確か、そんな事も言っていたような」

中沢「結局、まだその約束も守れてないんだよな…」

ほむら「…」

中沢「あのさ、ほむら…今からでもその約束、果たせないかな…」

ほむら「え…?」

中沢「ワルプルギスの夜を倒したら、ほむらの願いが、本当の意味で叶ったら…」

ほむら「…!」

中沢「…もう、ドッヂボールって歳でもないからさ。だからその…俺と……で」

ほむら「?」



中沢「デートっ…して、下さい…!!」


ほむら「…え」

ほむら「…」

中沢「…駄目…だよな…そりゃ」

ほむら「…約束…するわ」

中沢「え!?」

ほむら「でも、言っておくけれど私、そういうの、した事ないから…楽しめないかもしれないわよ?」

ほむら「…それでも、良い?///」

中沢「あ…も、もちろん!///」

「雷雲がとんでもない勢いで分裂と回転を起こしています。明らかにスーパーセルの前兆です。直ちに避難指示の発令を」
「本日午前7時、突発的異常気象に伴い避難指示が発令されました。付近にお住いの皆さんは、速やかに最寄りの避難場所への移動をお願いします。こちらは見滝原市役所広報車です」



マミ「いよいよね」
ほむら「…っ」
ゴオオオッ

避難所

まどか「…ほむらちゃん」ギュッ

中沢「信じよう。皆を…」

まどか「中沢君…」

中沢「大丈夫だよ。なんてたって、正義の魔法少女が四人もいるんだから」

中沢「だから、信じて待つんだ…」

QB「そんなに上手く行くかな」

まどか「キュゥべえ…?」

中沢「…何しにきたんだよ」

QB「やれやれ。招かれざる客って感じだね」

中沢「当たり前だろ「ねぇ、どういう意味なの?」

中沢「鹿目さん…?」

QB「相手はあのワルプルギスの夜だ。いくら何人の魔法少女が束になってかかったって、それは無謀に等しいんじゃないかな」

QB「事実、すでに一人脱落したみたいだ」

まどか「え…」

アーハハハハアハハハハハアハハハハハ


杏子「ちくしょう!…マミ、なんであたしなんか庇って…!」

ほむら「…っ」

ほむら(…どうしてよ。ここまで順調だったじゃない…!どうして…)

さやか「二人とも、今は悲しんでる場合じゃないよ…っでないと…マミさんだって浮かばれない!」

ほむら「さやかの言う通りだわ…っ絶対に、この街を守りましょう!」


アーハハハハアハハハハハアハハハハハ


杏子「あんたの仇は…絶対にとってやる…マミ」

まどか「……」スッ

中沢「…鹿目さん!どこ行くつもりだよ」

まどか「私…皆を助けに行かないと」

中沢「なっ…駄目だそんなの!!」

まどか「でも…!」

中沢「…俺だって一緒なんだよ鹿目さん…本当はこんな所でじっとしてたくなんてない…!だけど、約束したんだよ…ほむらと!絶対に鹿目さんを守るって…!ほむらの今までの頑張りを…無駄にしない為にも…」

まどか「それでも…ううん、だからだよ。…今日までずっとそうして守られてきた私だから、今度は私が皆を守りたいの…っ!」

中沢「…鹿目さん」

まどか「……ごめんねっ」ダッ

中沢「あっ!…鹿目さん…っ」

杏子「はぁっ!……やったか!?」


アーハハハハハアハハハハアハハハハハハハ

杏子「チッ…全然効いてねぇ」

さやか「…っハァッ…ハァッ」ドサッ

杏子「さやか!」

ほむら(駄目…これ以上さやかは戦わせられない…!)

アーハハハハハアハハハハアハハハハハハハ

ほむら「…っ」

ほむら「ハッ」

ほむら(…どうして…)

ほむら「時間停止が…」

アーハハハハハアハハハハアハハハハハハハ


バンッ
まどか「…っ」

まどか「…酷い…!こんな…こんなのってないよ!!」

QB「あれじゃあさやかももう戦えない。残る魔法少女は、ほむらと杏子の二人だけだ。だが見てごらん、まどか。まるで攻撃が効いていない。これじゃあ、二人の魔力が尽きる方が早い」

まどか「そんな…」

QB「まどか。君なら、こんな結末を変えられる。あのワルプルギスの夜を、一撃で倒す事だって容易いだろうね」

まどか「本当なの…?私なら…!」ガシッ

まどか「中沢…君」

中沢「ハァハァッ…駄目だ!それだけは…それだけは駄目なんだよ鹿目さん」

中沢「そんな事をしたら…君は…君は…」


まどか「え…」

まどか「何…?私が何なの…」

中沢「…っ…良いから、避難所に戻るんだ!」グイッ

まどか「ぁ…っ…ハッ…な、中沢君!」

中沢「え?…ハッ…ほむら…」



ゴオオォォッ

ほむら「…くっ…」ドサッ

ほむら(ダメ…っ避けきれない…っ)

ほむら(ここまで…なの?)

ドンッ
ほむら「…え?……っ!」

中沢「ぅ…っ…良かっ…た…ほむら」ズル

ほむら「中…沢……君…?嘘!…どうして貴方が…!」

中沢「…ははっ…約束…また守れそうにないや…ごめんな…」

ほむら「中沢く…っ!…っ」

中沢「…泣くなよ…また…泣き虫ほむほむ…って…呼ぶぞ…っ」



まどか「ハァハァッ…ほむら…ちゃん…」

ほむら「…!まどか…」

まどか「え…?中沢君?…嘘…中沢君!…嫌だぁ…っ!」

アーハハハハハアハハハハアハハハハハハハ


ほむら(どうしてよ…どうして駄目なの…私は…結局…何も守れない…)



ほむら「ハッ…まど…か…?」

まどか「…キュゥべえ…いるんでしょ?」

ほむら「…っ駄目…っ!」

まどか「ごめんね。ほむらちゃん…でも大丈夫。私が皆を助けるから…」

まどか「キュゥべえ…私なら、どんな願いでも叶うっていうの…本当だね?」

QB「ああ。君なら、どんな途方のない願いも叶える事が出来る。こんな結末を覆す事だって、造作もないだろう」

まどか「そう…」

ほむら「…まどか!」

QB「さぁ、教えてごらん?君は、どんな祈りでソウルジェムを輝かせるんだい?」

まどか「私は…私は皆を助けたい。この街の皆、マミさんもさやかちゃんも杏子ちゃんも…ほむらちゃんも!そして…中沢君も!皆を助けたい…!」

QB「君の祈りは、エントロピーを凌駕した。さぁ。解き放ってごらん」



中沢「ぅ…っ?」

中沢「…ハッなっ…嘘だろ…?俺は…あの時…」

QB「鹿目まどかだよ。まどかの祈りによって、君は助かった。君だけじゃない。この街は、まどかによって救われたんだ」


クリームヒルト「ゴオオオォ」


中沢「あれは…まさかっ…あれが…鹿目さん…なのか」

QB「当然の結果さ。彼女は最強の魔法少女として、最大の敵を倒してしまった。後は最悪の魔女になるしかない」

中沢「そんな…ハッ…他の皆は…?ほむらはどうしたんだ…!?」

コツ…
ほむら「…あとの三人はあそこにいるわ。…大丈夫。気を失っているだけ…」

中沢「ほむら…」

中沢「ごめん…っ」

中沢「ごめんほむら…っ!!俺が、鹿目さんをちゃんと止められていたら…」

ほむら「…」フルフル

ほむら「…中沢君、あの時、庇ってくれてありがとう…」

ほむら「…だけど結局、この時間軸での貴方の頑張り、無駄にしちゃったわね…」スッ

中沢「…ほむら!」

中沢「…」

ほむら「…」

中沢「……また、行くのか?」

ほむら「…私は、立ち止まる訳には行かないから…」

中沢「…」

中沢「…っ」

ギュッ

ほむら「!」

中沢「次に出会う俺は…もしかしたらお前の事、また忘れてるかもしれない…。でも絶対思い出すから…!絶対に…何度でもお前の力になるから…っ!…だから…」



中沢「頑張れよ……暁美ほむら!」

ほむら「っ……うん」




中沢「それから……好きになってた…」

ほむら「……ありがとう」

カチッ



ほむら(…そういえば、いつだったかそんな時間軸もあった気がする…。もう、朧気でしかないけれど…)

ほむら("絶対に思い出す"…か。結局彼が私と大きく関わったのは、後にも先にも、あれが最初で最後だった…)


早乙女「さっ、自己紹介行ってみよう!」

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

ほむら(このやり取りもこの教室もすっかり慣れたわね…でも…)クスッ

ほむら(もうここには、あの子はいない…)

ほむら(…まどか…)

早乙女「それじゃあ、席は中沢君の隣に…。中沢君は、保健係もやってるの。中沢君、何か困った事があったら助けになってあげて」

ほむら「!…そうなんですか…」


中沢「はは…。立候補がいなくて何となく決まっちゃったんだけど…って、あ!」

中沢「君、小学校で同じクラスだった、泣き虫ほむほむじゃないか!?」

ほむら「!」


ほむら「…えぇ」クスッ

ほむら「…久しぶりね、中沢君?…でも」




ほむら「……そのあだ名は、やめて」

その後彼は、いつかその世界では存在しないはずの魔女の結界に取り込まれる事になるのだが…それはまた、別のお話しで。

おわり

中沢「ぅ…っ?」

中沢「…ハッなっ…嘘だろ…?俺は…あの時…」

ほむら「…っ…まどか…」

中沢「え…?鹿目さん…ハッ…まさかっ!」


クリームヒルト「ゴォオオオオ」


QB「いやー、本当にもの凄かったよ、変身したまどかは。彼女なら、最強の魔法少女になるだろうと予測していたけれど…。まさかあのワルプルギスの夜を、一撃で倒すとはね」

中沢「なっ…その結果が…これなのかよ…」

QB「遅かれ早かれ、結末は一緒だよ。彼女は最強の魔法少女として、最大の敵を倒してしまったんだ。もちろん後は、最悪の魔女になるしかない」

中沢「…そんな」

QB「せっかくまどかの祈りで救われた命なんだ。君達もまた余生を楽しむと良い。…もっとも、今のまどかならあと10日やそこいらでこの星を壊滅させてしまうだろうけどね」

ほむら「…っ」

QB「ま、後は君たち人類の問題だ。僕らのエネルギー回収ノルマは、おおむね達成できたしね「待てよ…」

QB「?」

中沢「お前、言ってたよな?俺に魔法少女としての素質があるって…」

QB「だからそれは、君が少女だったらと仮定した場合さ「試させてくれ…」

ほむら「中沢君…?貴方何を…」

中沢「魔法少女は、条理を覆す存在なんだろ?…やってみないで諦めるなんて…俺は嫌だ!」

QB「…!この力は…!中沢、君は一体…」

QB「良いだろう。試してみる価値はありそうだ。…君の祈りがエントロピーを凌駕した時、生み出されるソウルジェムの大きさは興味深い…」


QB「さあ、君の叶えたい願いはなんだい?中沢」

中沢「俺は…俺の願いは…、こんな結末を変えたい。全ての魔法少女に、俺は絶望なんてして欲しくない…!俺は…俺は…」

中沢「魔女が生まれない世界にしたい…!この宇宙、過去と未来、全ての魔女が生まれなかった世界に…!」

QB「そ…その願いは!そんな願いが叶うとすれば…因果律そのものに対する反逆だ…!…君は…一体何者なんだ…!」

中沢「俺が…こんな悲劇壊してみせる!…さぁ!叶えてくれ!!インキュベーター!」

ほむら「…っ…!?」



ほむら「…ここは…」

QB「中沢のもたらした新しい法則に則って、宇宙が再編されていくんだよ」

QB「中沢、良かったのかい?これで君は、宇宙の法則と共に、君の人生まで大きく変えた事になる…。君はもう、きっと今の君ではなくなってしまう」

ほむら「…そんな!」

中沢「はは…。うん。大丈夫、全て覚悟の上だよ」

ほむら「中沢君…」

中沢「大丈夫だよ。ほむら…きっとまた会える。その時はさ、俺の事…覚えててくれたら、嬉しいな」


中沢「俺……お前の事、好きだったんだ」ニカッ

ほむら「な…中沢君…!」



ほむら「…ハッ」

杏子「さやか…!さやか、大丈夫か?」

さやか「…ごめん。私、もう一緒に戦えないみたい…」

杏子「…ソウルジェムが…消えていく…」

マミ「美樹さん…さっきの一撃に、全てをかけていたのね」

さやか「ごめんね…皆」

ほむら「…!?」

マミ「ううん。…希望を求めた因果が、この世に呪いをもたらす前に、ソウルジェムはああやって私達に還る…それはもう、決められていた事だもの」

杏子「ま、後は晴れて普通の生活が待ってるんだ!もっと喜べよ!さやか!」

マミ「うふふ!これから美樹さんの魔法少女卒業パーティよ!」

まどか「うぇひひ!さやかちゃんおめでとう!!」

さやか「えへへ…良いのかな。先輩のマミさんや杏子よりも先になんて」

ほむら「…」

ほむら(これが…彼が変えた…新しい法則…)

ほむら「っ…中沢君…」

杏子「ん…?」

さやか「中沢君…って」


まどか「気になってたんだけど、どうしてほむらちゃんはいつも中沢さんの事中沢"君"って呼ぶの?」

ほむら「…え?」

マミ「確かに、それじゃあ何だか男の子みたいよね」クスクス

コツ
「気にしてないわよ。…なんだかそっちの方が、私もしっくりくる気がするし」クス

ほむら「…!?」


中沢さん「どうしたの?そんな驚いた顔して…」ニコッ



中沢さん「そっか。ほむらは覚えてるんだっけ」

中沢「うん。なっちゃったみたい…文字通り、魔法"少女"…」

ほむら「…」

ほむら「…良かったのかしら、これで」

中沢さん「うん…これで良かったんだよ。…まぁ、確かに戸惑う事も多いけど…」クスクス

ほむら「…」

中沢さん「…そんなに気にするなら、あの約束果たしてくれないかな…?それでチャラって事で」

ほむら「約束…?」

中沢さん「デート!…女の子同士だけどさ、性別なんて別に……どっちでも良いよね」ニコッ


ほむら「クスッ…えぇ。そうね」ニコッ

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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月02日 (木) 19:21:20   ID: xUTcvljy

すげーよ、すげー男前だよ中沢

オチ2つは、どっちでもつかどっちも良いよ、おもろかった

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