憩「恋愛相談?」(218)
代行ID:A99ec0os0
改めてスレ立てありがとうございました
いつもどおり行き当たりばったりいきます
前スレのようなもの
照「保健室の荒川先生?」
体育倉庫の人か!
聞きたいんだけどこのネタでSS書いてみたいんだけど
設定借りてもいいかい?
初美「はい……私の知り合いでこういうこと相談出来そうなのって、先生だけなんで……」
憩「スクールカウンセラーとして尽力はさせてもらうけども……あの二人じゃあかんの?」
初美「衣と胡桃ですか? あんなちんまいのに何を相談するんですかー」
初美「二人とも恋愛経験とか無さそうだし」
憩「あはは……えらいボロクソ言うんやね……」
初美「本当のこと言ってるだけですよー」
憩(仲良いほど遠慮せえへん、ってことなんやろうなぁ)
憩「まあええわ。それで、恋愛相談って言ったけど……誰か好きになったの?」
>>5
はい、全然大丈夫です
どんどん書いちゃってください
初美「……たぶん好きになっちゃったと思います」
憩「青春やなぁ。お相手は訊いてもいい感じ?」
初美「はい。先生になら言っちゃいますよー。3年生の臼沢さん、って知ってますか?」
憩「臼沢さんって……バスケ部で部長やってる臼沢塞さん?」
憩「確かこの前はっちゃんと一緒に保健室来たよな?」
初美「一ヶ月以上前のことなのに覚えてるとは……流石先生ですねー」
憩「まあ、結構印象深い出来事やったしなー。二人の組み合わせも珍しかったし」
憩「あ、もしかして……そのときに惚れてもうた感じ?」
初美「あ、あれはきっかけです……その日からちょっと気になりだして、バスケ部覗いたりしているうちに……って感じです」
憩「なるほどなぁ」
憩「そっか、臼沢さんかー……美人さんやもんなぁ。運動してるところとかもカッコいいし」
初美「そうなんですよー。あの時もすごく優しくしてくれたし、バスケしてるとことか特にカッコいいです……」ポケー
憩(初恋、って感じやなぁ……恋に恋してるような感もあるけど……)アハハ
憩「えっと、それではっちゃんは臼沢さんと具体的にどうなりたいの?」
初美「うーん……とりあえず、気兼ねなく話せるくらいには仲良くなりたいですね」
憩「そっかそっか。……付き合いたいとか思っちゃってる感じ?」
初美「そ、それは……まだ分からないです……」
初美「この気持ちが恋愛感情なのかも分からないので……」
憩「ただの憧れかもしれんしな」アハハ
初美「だから、この気持ちを確かめるためにも、その……」
憩「お近づきになりたい、ってことやんな?」
初美「それ! その通りですよー!」
憩「ふむふむ……しかし、話は分かったけど具体的にどう協力するかが迷うわ……」
初美「先生のコネとか使っちゃって、こう、ぐぐーっとばばーっとなりませんか?」
憩「ぐぐーっとばばーっと……」アハハ
初美「何か用事とか無いと、話しかけにくいし……」
憩「学年も違うしなぁ」
初美「はい……」
憩「とりあえず。こういうのは外堀から攻めて行くのがセオリーやではっちゃん」
初美「おお!」
憩「だから臼沢さんと仲ええ子に事情を話して、ちょっと手伝ってもらおか」
初美「塞さんって誰と仲が良いんですか?」
憩「えっと……3年の小瀬川さんに、2年の鹿倉さんに」
初美「えっ……胡桃と仲良いんですか!?」
憩「臼沢さんと同じ部活入っとるやん。名前忘れたけど、学内ボランティア部みたいなん」
初美「そ、そうなんですか……初耳です。胡桃の部活、お遊びサークルだと思ってたんで……」
憩「まあ、暇な時はずっと遊んどるらしいけど」アハハ
学年どっちも三年じゃなかった?
このSSでは違うの?
初美「って」
初美「塞さんってそんな部活に入ってるんですか!? 初耳ですよー……」
憩「1年の時からバスケ部と兼任してるで? その部自体は小瀬川さんが部長やけど」
初美「そうだったんですかー……」
憩「まあ臼沢さんはバスケ部の方がイメージ強いからなぁ。部長でエースで有名やし」
初美「胡桃と仲が良いのは分かりましたけど、小瀬川ってのは誰ですか?」
憩「中学の時からの友達、とかそんなんやった気がするけど……詳しくは知らんわ」
初美「そうですか……」
憩「でも臼沢さんと一緒のクラスやで? 部活外ではほとんど一緒におるし」
初美「仲の良い友達ってことですかー……」
>>23
はい。はっちゃんと胡桃が2年生設定です
憩「あ、そうそう。あと同じバスケ部で1年の東横さんとも仲ええわ」
初美「東横さん……うーん、知らないですー……」
憩「バスケ部唯一の1年生レギュラーやから、名前だけやったら結構有名やと思うで?」
初美「ほ、本当ですか? 見学してたときそんな人見かけませんでしたよー」
憩「あの子クラスでも部内でもめっちゃ影薄いらしいからなぁ……」
憩「名前は知れてても実際に姿見た事ある人はほとんどおらんらしいわ」
初美「なんか都市伝説みたいですね……影薄いにも限度がありますよー……」
憩「まあとりあえず、ウチが把握してる限りやったらその三人かなぁ」
初美「なるほどなるほど……」
憩「どうする? とりあえず、身近なところで胡桃ちゃんあたりに頼んでみる?」
初美「うーん……胡桃にこういうこと頼むのはちょっと……」
憩「普段一緒におるから逆に頼みにくいか」アハハ
初美「どうしても、ってなった場合はアレですけど……」
憩「ほんなら小瀬川さんか東横さんいってみる?」
初美「小瀬川って人は3年生ですよね?」
憩「うん、そやでー」
初美「学年が上の人に頼むのはちょっと気が引けるから……とりあえずバスケ部の1年生にお願いしましょう!」
憩「了解です。んじゃ早速来てもらおか」
初美「えっ? こっちから出向かないんですか?」
憩「東横さんには悪いけどな」
憩「ウチは保健室離れるわけにもいかんし、そもそもあの子見つけられる自信ないから……」アハハ
初美(み、見つけられる自信無いってどういうことですかー……)
憩「ってことで早速」
キーンコーンカーンコーン
憩『バスケットボール部1年の東横桃子さん。校内にいましたら、至急保健室まで来てください』
憩『繰り返します。バスケットボール部1年の……』
―――――――――――
憩「ま、ゆっくり待ちましょ」ニコ
初美「流石先生ですよー! 頼りになる!」
憩「褒めても何も出えへんでー」
憩「まあこの時間やったらバスケ部もまだ練習中やと思うし、来てくれると思うわ」
憩「そういえばはっちゃんは部活行かんで大丈夫なん?」
初美「今日はお休み頂いてます。気になって部活にも身が入らなくて」
憩「そんなに思い詰めてるんや……」
初美「一つのことしか集中出来ないだけですよー」アハハ
憩「ふふ、そっか」
憩(もし上手くいかんくても、この子の性格やったら大丈夫そうやな……)
初美「このチャンス、絶対に活かしてみせますよー……!」ゴゴゴ
憩「燃えとるなぁ」アハハ
―――――――――――
初美「……来ませんね」
憩「まだ5分も経ってないでー」
初美「うぅー、そわそわしますよー……」
憩「せっかちさんなんやね 。でもまあ、もう言うてる間に来ると思うけど……」
モモ「あのー……」ユラ
初美「きゃあああ!?」
初美「だ、誰ですかー!? てかいつの間に部屋に!?」
モモ「さっきノックして入ったっすよ? 返事なかったんで勝手に入っちゃいましたけど……」
憩「ごめんな東横さん。毎回気付けんくて。ウチは始めてやないのに……」
モモ「別にいいっすよ。馴れてるんで」アハハ
初美「ってことは……あなたが噂の……」
モモ「う、噂されてるんっすか私?」
憩「ふふ、さっき絶賛噂してたでー。東横さんの力が必要やってな」
モモ「私の力が? えっと……どういうことっすか先生?」
モモ「ここに呼びだれたのになんか関係してたり……」
憩「ちょっと東横さんに手伝って欲しいことがあってなー」
初美「東横さん! 塞さんのこと教えて欲しいですよー!」
モモ「塞さん? 塞先輩のことっすか?」
初美「ずばりその通りですよー!」
憩「意味分からんやろうから事情説明するわ」アハハ
モモ「は、はいっす……」
――――――――――――
モモ「なるほど……そんな甘く切ない事情が……」フムフム
憩(そこまで切なくはないと思うけど……)
モモ「塞先輩、相変わらずモテモテっすね」アハハ
初美「も、モテモテ!? ってことは、私以外にも……」
モモ「はい。クラスではどうか知りませんけど、部内では大人気っすよ?」
憩「まあ、部長でエースやしね」
モモ「はいっす。それでいて面倒見も良いし優しいし、絵に描いたような理想の先輩っすよ」
モモ「我がバスケ部の誇りっすね」キリッ
初美「それじゃあ塞さん、もう付き合ってる人とか……」
モモ「うーん……そういう話は聞いた事ないっすね」
初美「!」パァァ
モモ「誰々が告白したとか何々が好きらしい、ってのはよく聞くんすけど」
憩「やったやんはっちゃん。臼沢さんフリーやって」
初美「これはもう勝利宣言出来るレベルですよー!」
モモ「あはは、落とせる気マンマンなんっすね。でも正直かなり難しいと思うっすよー?」
初美「な、なにゆえですかー……?」
モモ「塞先輩、高校入ってから今まで誰ともお付き合いしたことないらしいんで」
憩「今までの告白全部断ってきてるってこと?」
モモ「聞いた話では」
初美「そ、それは今までの女が雑魚だっただけですよー」
モモ「薄墨先輩なかなか言うっすねー。確かにそれはあるかもですけど……」
モモ「塞先輩、誰か好きな人がいるんじゃないか、ってのがバスケ部の推測なんすよ」
初美「す、好きな人!?」
憩「なるほどなぁ……そうなってくると難しなってくるね……」タハハ
モモ「塞先輩の断り文句が、気になる人がいる、とか」
モモ「本当に自分が好きだと確信できる人じゃないとお付き合い出来ない、とからしくて」
初美「うむむ……!」
憩「これは一筋縄じゃいかなさそうやね……」
モモ「塞先輩って見た目通り乙女っすから、かなり貞操観念が強いんすよ」
モモ「ちょっとエッチな話するとすぐ顔赤くするし、そのクセ恋バナには興味津々で」アハハ
初美「塞さんって初心なんですねー」
憩「めっちゃ普通に女子高生しとるんやね。この学校の子おかしい子ばっかりやからなんか安心するわ」
モモ「まあつまりそういうことっすから、あの人落とすってかなり大変だと思うっすよ?」
モモ「ましてや出会って間もない人と付き合う姿とか想像できないっすね」タハハ
初美「マジですかー……」シュン
憩「高嶺の花ほど手に入れるのは大変ってことやね」
モモ「本当に高嶺の花っすね。突撃しては玉砕していく人いっぱい知ってますし」
憩「そういえば、好きな人に振られたとかでたまにカウンセリング受けに来る人おるけど……」
モモ「そのうちの3割くらい塞さんじゃないんすか?」アハハ
初美「ほ、他の女の手垢が付いてないことは良い事ですよー」
憩「あはは。はっちゃんはポジティブやねー」
モモ「でもそれでいいっすよ薄墨先輩! 恋愛なんて諦めずに押しまくるのが一番っす!」
モモ「私の経験談では!」
憩(お相手誰ですかー)
初美「東横さん! 是非あなたの力を貸して欲しいですよー!」
モモ「ふふ、私なんかでよければ任せるっす」
モモ「塞先輩はそろそろ恋愛の一つでもするべきだと思うっすからね」
初美「おお……!」
憩「やったなはっちゃん。これで協力者一人目やで」
憩「バスケ部とのパイプも出来て数歩前進や」
初美「それじゃあ早速……どうすればいいんでしょう?」
モモ「体験入部でもしてみるっすか? あ、でも流石に塞先輩が構ったりは出来ないっすね……」
憩「まずはきっかけやなぁ……いやでも、顔見知り程度にはなっとるんやから、あとは親密になるためになんかして……」
初美「な、何をすればいいですか……?」
モモ「うーん、そうっすね……」
憩「保健室に二人きりでもなってみる?」
初美「えっ」
モモ「それは良い案っすね」
モモ「お互いに保健室に用事があって、それでいてたまたま一緒になったって言うのなら自然っす」
憩「そこから会話が始まって、親密になれるかどうかははっちゃん次第やな」
初美「な、なるほど……」
モモ「なんなら一日中保健室に閉じ込めるとかどうっすか! これで一気に距離を縮めて……!」
初美「それは素晴らしい案ですよー!」
憩「流石に先生としてそこは認められんかなぁ……」アハハ
初美「えー。ちょっとくらいダメですかー……?」
憩「ちょっとくらいダメですねー。1時間くらいは空けても大丈夫やから、その間に次のイベントに繋がるよう頑張ってや」
モモ「なんなら体育倉庫にでも閉じ込められてみるっすか?」
モモ「吊り橋効果を利用して距離をぐっと……」
憩「と、東横さん? あんましそういう穏便じゃないことはやめような」
初美「保健室に二人きりだけでも十分ですよー。何から何までお世話になるつもりはないです!」
モモ「それは心強いっすね」アハハ
憩「んじゃ、とりあえず早速今から始めよか」
憩「東横さん、臼沢さんここに呼び出したりって出来る?」
モモ「任せるっす!」
初美「よろしくお願いしますよー!」
憩「んで、はっちゃんはここで待機やけど……臼沢さん来るまでにちょっと細工しとこか」
初美「細工?」
憩「まあ、任せてや♪」
モモ「それじゃあ、とりあえず私は呼んで来るっすね」
初美「よろしくですよー」
―――――――――――
初美「うぅ……いざ保健室に一人にされると緊張するですよー……」
初美(でも、これは私自身のこと……協力してくれた二人のためにも、足がかりを……!)
コンコンコン
初美(き、来た!)
初美「は、入って大丈夫ですよー」
塞「失礼します……ってあれ? 先生は……?」ガラ
初美(塞さん……ユニフォーム姿……)
初美「なんか用事があるらしくて出て行っちゃいました。すぐに戻って来るそうですよ?」
塞「そっか。って……薄墨さん」
初美「お久しぶりですー。あの時はお世話になりました」ニコッ
塞「いえいえ。当然のことをしたまでだからって、その足……」
初美「あはは、また怪我しちゃいました」
塞「だ、大丈夫? この前よりも酷く見えるけど……」
初美「体育の授業中にちょっと捻っちゃいました……」アハハ
塞「そっか……何かあったら私に言ってよ。先生帰って来るまでは手助けするから」
初美「ありがとですよー……塞さんはやっぱり優しいですね」ニッコリ
塞「そ、そうかな? 当たり前のことだと思うけど……」
初美「そんなことないですよー。塞さんは凄く優しいです」
初美「あの時だって、怪我した私のところに真っ先に向かって来て、保健室まで運んでくれて……」
塞「あ、あの時は私が一番近くにいたから……それに、怪我した人を放っておけるわけないし」アハハ
初美(ふふ、本当に素敵な人ですよー……)
初美「そういえば、塞さんはここに何の用て来たんですかー?」
塞「なんか健康診査? に不備があったとかで、荒川先生が呼んでるらしくて」
初美(また適当なことでっち上げたんですねー……)
塞「先生がいないから、少しの間ここで待つ事になりそうだけど……」
初美「そうなんですかー。それなら、その間は二人きりですね」ニコッ
塞「ふふ、そうだね」
初美(とりあえず、メルアドくらいは持って帰りたいですねー……)
塞「薄墨さんはどんな用事? って言っても、その足だよね……」
初美「いえ、この足もそうなんですが……実は今、ちょっと熱っぽくて」
塞「えっ?」
初美「体調もあんまり良く無いんですよー……」
塞「だ、大丈夫? 私先生探して来ようか?」
初美「いえ、そこまでしてもらわなくて大丈夫ですよ……」
塞「本当に……?」
初美(心配されるってなんか良い気分ですねー……)
初美「はい。一人のときは少し辛かったですけど……」
初美「今は塞さんがいるから大丈夫です」ニコッ
塞「っ……そ、そっか。あはは……なんかそう言われると恥ずかしい……」
初美(塞さん可愛いですよー)
初美「そういえば。聞いた話なんですが、塞さんって胡桃と仲良いんですか?」
塞「うん、昔からの馴染みだけど……薄墨さんは胡桃の知り合い?」
初美「私、胡桃とは同じクラスなんですよー。いつも一緒にご飯食べたりしてます」
塞「そうなんだ! そっか、胡桃、同学年の友達出来たのかー……」
初美「私と胡桃は1年の時から友達ですよ? まあ、腐れ縁ですけど」
塞「二人ともちっちゃいか気が合ったりするのかな」アハハ
初美「身長のことはいじらないでください」ジトー
11行目修正
塞「二人ともちっちゃいから~~
塞「ごめんごめん。でも初めて薄墨さんのこと見たときビックリしたんだよ?」
塞「高校生で胡桃と同じくらいの身長の子なんて、この世にいないと思ってたから」アハハ
初美「私も初めて胡桃を見た時はビックリしたですよー」
初美「高等部の1年と中等部の1年間違えてるんじゃないかって思いました」
塞「ふふっ……薄墨さんがそれ言うとめちゃくちゃ面白いね……」
初美「バカにしないで欲しいですよー……」ジトー
初美「それでまあ、案の定胡桃に話しかけられたんですが……アイツ私になんて言ったと思います?」
塞「胡桃のことだから……ふふ、ここは高等部だよ、って注意されたとか?」
初美「その通りです。そっから互いに初対面なのに大喧嘩ですよー」
塞「薄墨さんと胡桃にそんな馴れ初めがあったなんて……面白いなぁ」
初美「そんでまあ、もう一人乳臭いのが喧嘩を止めに入ってきたりしてもっとすごいことになったんですが……」
塞「高等部に上がった初日にそれってすごいね」アハハ
初美「まあ最初の印象が最悪だったせいか、今ではそれなりに仲良くさせてもらってますけどね」
塞「そっか。胡桃にそんなことがあったなんて……全然知らなかったなぁ」
塞「あの子、私たちといる時はクラスのこととか全然話さないから」
初美「そうなんですか?」
塞「うん。まあそれを言うなら、私とかもそうなんだけどね」
初美「塞さんはバスケ部とは別に胡桃と同じ部活に入ってるそうですが……何の部活なんですか?」
塞「ただのお遊びサークルだよ。名称は立派に校内ボランティア部ってなってるんだけど……」
初美「こ、校内ボランティア部?」
塞「私たちが1年生のときに、放課後だらだら出来る場所を作りたいとかって言い出した子がいてね」
塞「そいつがただ自分の欲求を満たすためだけに作られたのが校内ボランティア部なの」
初美「めちゃくちゃふざけた成り立ちですねー……」
塞「最初は昼寝部っていうもっとふざけた名前にしようとかって言ってたんだけど、流石にやめさせて」
初美「あはは……」
塞「部として承認してもらうために名前だけでも偽ってるって感じだね」
初美「具体的にはどんな活動をしてるですか?」
初美「流石に遊んでるだけだと、先生たちが気付いて消滅させようとするんじゃ……」
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⌒フ / , / l 〈 \\ \
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〈 / | |八Ν__八{ | _\ ∨ l|′
/ l| l ァ┼ ┬ \N┬‐┬ | | リ
〃 / l|\_从 乂゚_ノ 乂゚ノノ}∧l/}
八/ / ,八 入 、 ,,, ,′ ト、ノ
. { / }\__ ′ | 昼寝部でよかったのに
. 从 八{ 込、 ∠> . イ^| }八
∨ \从_}> . __ イ 八jノ )
/ \__ Κj/
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塞「まあ遊んでるのが7割くらいで、残りの3割はその名の通りボランティア活動してたりするんだ」
塞「先生から雑用回されてそれやったり、一般生徒の依頼とか相談事を解決したり」
初美「要するになんでも屋みたいなものですかー?」
塞「うん、その例えが一番しっくりくるね」
初美「そんな部がこの学校にあったなんて……」
塞「案外有名だって聞いてるんだけどね」
塞「荒川先生に頼めないようなことはボランティア部に頼むとかって」
塞「まあ、部長は年中めんどいめんどい言ってるんだけど」アハハ
初美「ふふ、面白そうな部活ですねー……また何かあったときは利用させてもらうですよー」
塞「ぜひ。まあ、バスケ部もあるからそんときに私がいるかどうかは分からないけど」
塞「薄墨さんはそういえば……水泳部だったよね?」
初美「はい。毎日元気にすいすいしてますよー」
塞「すごく健康的な見た目してるもんね。綺麗に焼けてて……」
初美「塞さんの真っ白な肌も綺麗ですよー」
塞「そ、そうかな……」
初美「はい。一度でいいから触ってみたいです」ニッコリ
塞「あ、あはは。また機会があったらね」
初美(ガードが固い……)
塞「にしても、先生帰って来ないね……結構話し込んだと思うんだけど……」
初美「そ、そうですねー……きっと色々と立て込んでるんですよー」
塞「保健室の先生って忙しいって聞くしね……」
初美(今の感じだと、ここからキャッキャウフフなんて到底無理そうですねー……)
初美(とりあえず、今日の目的だけでも……)
初美「あ、あの、塞さん!」
塞「ん、なに薄墨さん?」
初美「め、メールアドレス交換しちぇもらっていいですか?」
初美(か、噛んだ……)
塞「ふふ、喜んで」ニコッ
初美(やりましたよー!)
塞「あっ……携帯部室だ……」
初美「」
塞「ご、ごめんね薄墨さん……えっと、どうしよっか? 紙に書いて渡す?」
初美「そうしてもらえると嬉しいですよー……」
塞「あはは。ごめんね、出鼻くじくようなことしちゃって」
塞「えっと、紙と書くもの……」
初美「このペンと入室許可書に書いちゃってください」
塞「ありがと」ニコッ
初美(あぁ、塞さんすごく素敵ですよー……大人のお姉さんって感じで……)ポーッ
塞「はい、これ。連絡待ってるね」スッ
初美「ありがとうございます!」
塞「な、なんかそんなにも喜ばれると気恥ずかしい……」
初美「塞さんはシャイなんですねー」
塞「どっちかというとそうだとは思うかな」アハハ
初美(ああ、ずっとこのままいたいですよー)
塞(うーん……もうこんな時間かぁ)
塞(流石にそろそろ戻らないと……)
塞「薄墨さん、ごめん。私そろそろバスケ部戻るね」
初美「えっ……」
塞「練習の途中だし、あんまり長い時間放っておくわけにもいかないから……」
塞「荒川先生には後日訪ねるから、って伝えておいてくれる?」
初美「了解です……」シュン
初美(もう少し一緒にいれると思ったのに……)
塞(す、すごい落ち込んでる……)
塞「ご、ごめんね薄墨さん。一人にしちゃうけど、先生もすぐ来ると……」
初美「塞さん……行かないでください……」ウルウル
塞「へっ……?」
初美「一人は心細いですよー……」
塞「え、ええっ……? そ、そんなこと言われても……」
初美「塞さん先生が戻って来るまでは一緒にいてくれるって言ったじゃないですかー……」
塞「き、記憶にないんだけど……」タハハ
初美「うぅっ……頭が痛くなってきましたー……体もぶるぶるですー……」
塞(し、白々しい……でも……)
塞「……分かった。先生が戻って来るまでは一緒にいるよ……」
初美「塞さん大好きですよー」ニッコリ
塞「あはは、取り繕う気はゼロなんだね……」
初美「約束させればこっちのもんですよー」
塞(この子、結構イイ性格してるなぁ……)
―――――――――――――
初美(話題がなくなっちゃいました……)
塞「……」ソワソワ
初美(なんかさっきからそわそわしだしてるし、このままじゃまずいですよー……)
塞(いくらなんでも遅すぎるような……早く戻りたいけど薄墨さんにはああ言っちゃたし……)
初美(な、なにかグッドなアイデアは……)
初美(……そうだ。この足を利用して……)
初美「塞さん」
塞「なに?」
初美「ちょっとトイレ行きたいんで、そこの松葉杖を……」
塞「あ、ああ。えっと、一人で行ける……よね?」
初美「そこまではお世話にはならないですよー」
塞「だよね。はい、これ」
初美「ありがとですよー」
④
初美(松葉杖を使って歩き出そうとした時に、わざとバランスを崩して……)
初美「きゃっ!」ガクッ
塞「薄墨さん!」ガシッ
初美(ふふ、やっぱり。運動神経の良い塞さんなら抱きとめてくれて……)
塞「だ、大丈夫薄墨さん?」
初美「ごめんなさい……ちょっとバランス崩しちゃいました……」エヘヘ
塞「気を付けないとダメだよ? 怪我してるんだから、悪化させたら……」
初美「ふふ、やっぱり塞さんは優しいですよー……」
塞「もう、そんな調子の良いこと……」
塞「一人で立てる?」
初美「すみません……ちょっと、軽く怪我したところ捻っちゃったみたいで……」
塞「えっ!? だ、大丈夫なの!?」
初美「ちょっと足痛いですー……あそこにあるベッドまで運んでもらえれば……」
塞「分かった。えっと……肩とかは組めないし、どうやって運べば……」
初美「あの時みたいにおんぶすれば……」
塞「あ、そっか。……はい、身体預けて?」
初美「了解ですよー」ギュッ
初美(ふふ、計画通りなのですよー)
塞「少しの距離だから頑張ってね」
初美「はいですよー♪」
初美(塞さんあったかいです……このシャンプーと汗が混じった匂いも好き……)
初美(こうやってぴっとりくっつくのはもっと……)ギュウ
塞(う、薄墨さんの吐息が……体も熱いし……)ドキドキ
塞「お、下ろすね、薄墨さん」
初美「えっ……」
初美(もう終わり……)
初美「は、はい……大丈夫ですよー……」
塞「よっと……足、楽にして」
初美「はい……」
塞「先生が来るまでは安静にしてて。出来るだけ動かさないで」
初美(何の異常もないのにここまで心配されると、少し悪い気が……)
塞「……私、やっぱり先生のこと探して来るよ」
初美「えっ……」
塞「早く処置しないとどんどん悪くなるから……ちょっと待ってて」
初美「あっ……ま、待って……!」
塞「ごめん。すぐに戻って来るから」タタッ
初美(行っちゃいました……)
初美(塞さんの優しさがここに来て裏目に出ちゃいましたかー……)
初美「はぁ……もっとおんぶされたかったなぁ……」
―――――――――――
塞「それじゃあ先生、薄墨さんのことよろしくお願いします」
憩「了解しました。ウチがおらんかったせいで、色々とごめんな」
塞「いえ、いいんです。先生がお忙しい事は知ってますから……」
憩(うぅ……はっちゃんのためとは言え、臼沢さんの誠実さが胸に刺さるわ……)
塞「それでは、失礼しました」ガラ
憩「ふぅ……成果はどんなもん、はっちゃん」
初美「……本音を言えばちょっと物足りないかもですよー」
モモ「あれだけすれば十分だと思うっすよ?」ユラ
初美「きゃあ!? ってまたですかー……」
モモ「ふふ、ずっと中で見てたっすよ?」
初美「ほ、ほんとですかー……全然気付かなかったですよー」
憩「ウチは職員室おったけどなー」
モモ「目的のアドレスも早い段階から交換出来てましたし、普通に話も盛り上がってたっす」
モモ「バッチリっすよ薄墨先輩」
初美「もっとおんぶされてたかったですよー……私、アレかなり好きかもです」
憩「ふふ、はっちゃんは自分の気持ちハッキリ言うから好感持てるわー」
モモ「同感っす。ここまで好きって感情押し出す人も珍しいっすよね」
初美「隠す理由がないですよー」
初美「塞さんがオッケーしてくれるなら今すぐにでも告白したいです」
憩「はは、そっか」
モモ「塞先輩思われてるっすね……でも、今告白してもまだまだ厳しいと思うっす」
初美「やっぱりそうですかー……」
初美「今日いっぱい話して思ったんですけど、なんか恋愛対象に見られてない気がするんですよねー……」
憩「知り合ってから一ヶ月とかそんなんやし、それはしょうがないと思うで?」
憩「むしろ学年も違う部活も違うこの状態で、ここまで話せるようになっとるんやから十分すごいわ」
モモ「先生の言う通りっす。心配しなくても、もっと時間を重ねればいつか落とせるっすよ!」
初美「そ、そう言われるとなんか元気出てくるですよー!」
憩「ま、ゆっくり頑張って行こはっちゃん。時間はいっぱいあるんやから」
憩「とりあえず帰ってメールしてみたら」
初美「あ、そういえばアドレス……」
モモ「塞先輩メールするの大好きっすから、ウザいほどメール送っちゃってください!」
初美「了解ですよー!」
キリもいいんで、勝手ながら前半終了ってことで一旦締めます
13時頃にまで残ってたらこのスレで続き書きます
落ちても立て直して完結させるので、心配しないでください
お疲れ様でした
ありがとうございました
再開します
自保守
初美「あ、そうだ……改めて。二人とも、今日は本当にありがとうございました」ペコ
憩「いえいえ。まだ相談解決とまではいってないし、お礼言うのは早いで」
モモ「そうっすよ。本当の勝負はこれからっす」
初美「塞先輩と二人きりで話せただけでも幸せですよー」ニコニコ
憩「はは、まあはっちゃんが幸せそうにしとるんやったら、ウチはそれでいいんやけども……]
初美「では、また何かあったら相談しにきます。東横さんもその時はお願いするでよー」
モモ「任せるっす!」
憩(この子はなんでこんなにも協力的なんやろか……)アハハ
初美「それじゃあ、今日はこれで。水泳部の方に軽く顔出してくるですよー」
憩「お疲れ様。またなんかあったら遠慮なく来てや」
モモ「私も呼ぶっすよ!」
初美「よろしくですよー!」ニッコリ
憩(とりあえず一件落着……かな?)
――――――――――――
憩「あれからはっちゃんどんな感じなんやろなぁ」
憩「上手いことやってたらええけども……」
コンコン
憩「はーい、どうぞー」
初美「こんばんわです先生……」ガチャ
憩「噂をすれば……こんばんわはっちゃん。今日はどないしたん?」
憩「身長測りに? それとも……この前の続きとか?」
初美「続きなんですよー……先生、私どうしたらいいですかぁー……」ウワーン
憩(い、一体何が……?)
憩「とりあえず事情訊かせてや。何があったの?」
初美「実は……」
――――――――――――
憩(簡潔にまとめると。臼沢さんが3年生と思われる誰かとキスしてたとか)
初美「うぅ……」
憩「う、うーん……それって本当なん? 見間違いとかじゃ……」
初美「遠かったんでよくは見えなかったですけど」
初美「終始良い雰囲気で、空気が甘酸っぱかったというか……」
憩「なるほどなぁ……」
初美「あんな塞さん見たことないですよー……ジェラシーめらめらですー……」
憩(元気ないなぁ……そないショックやったんか……)
初美「先生、私、あれが塞さんの好きな人だと思うですよー……」
初美「あの雰囲気からして、ひぐっ、付き合っててもおかしく……」ウルウル
憩「は、はっちゃん……」
初美「うわぁーん! どうしたらいいですか先生ー!」ギュッ
憩「う、うーん……具体的にどうしろと言われると……」
モモ「そんなヤツ刺しちゃえばいいんすよ!」ユラ
憩「うわぁ!? って東横さん!?」
モモ「元気無さそうなはっちゃん先輩の姿を見かけたんで付いて来たっす」
初美「ぜ、全然気付かなかったですよー……」
モモ「まあ私のことは置いといて……ダメっすよはっちゃん先輩! そんなことで落ち込んでちゃ!」
初美「モモちゃん……」
憩(い、いつの間に名前で呼び合うような仲に……)
モモ「恋に障害が多いのはあたりまえっす! 塞先輩のような人を狙うなら尚更っす!」
初美「で、でもキスしてたですよー……あれは絶対いかがわしい関係ですよー……これはもう、諦めるしか……」
モモ「そんなのダメっす! 相手に恋人がいるなら寝とっちゃえばいいっすよ!」
初美「ね、寝取る……!」
憩(この子も例を漏れずにええ性格しとるなぁ……)
憩「って待ち待ち。刺すとか寝取るとか物騒なこと言わないの」チョップ
モモ「あうっ」
憩「話を聞いてる限りじゃ、諦めるんはまだ早いと思うで?」
初美「どういうことですかー……?」
憩「キスしてたんも確定やないし、本当に付き合ってるんかも分からんやから、まずはそこを調べんと」
憩「ただの誤解で刺されてたら命いくつあってもたまらんで」アハハ
モモ「確かにそれはそうっすね……ライバルがどんなヤツなのかを知るためにも、偵察は大事っす」
憩(過激な方向に持って行きたがるなぁ……恋愛事でなんか嫌なことでもあったんかな……)
初美「つまり……なにをすればいいですかー!」
モモ「塞先輩に直接訊いても答えてくれるわけないし……」
憩「そのキスしてたっていう相手の子に事情訊くのが一番早そうやね」
憩「名前とかって分かる? 分からんかったらその子の特徴とか」
初美「名前は分かんないですけど……たぶん、3年生だと思いますよー」
初美「特徴は……背が高くて、白髪で」
憩(背が高くて白髪って……)
初美「それでいて死んだ魚みたいな目してて、眉毛がにょろにょろーってなってて」
モモ「と、特徴的な方なんっすねー……」
憩(間違いなく小瀬川さんやん……)
初美「心覚えはあるですかー? 先生」
憩「うん、背が高くて白髪の時点で分かったわ……」
モモ「おお! 流石っす先生!」
憩(小瀬川さんかぁ……理性的な子やから、すんなりと話してくれるとは思うけど……)
憩(はっちゃんと対峙したらどうなるやら……)
初美「先生! この前みたいにお願いするですよー!」
モモ「ここに来たところを闇討ちっす!」
憩「闇討ちはやめたってな」アハハ
キーンコーンカーンコーン
憩『校内ボランティア部3年の小瀬川白望さん。校内にいましたら、至急保健室まで来てください』
憩『繰り返します。校内ボランティア部3年の……』
――――――――――――
憩「さて。あとは待つだけやね」
初美「き、緊張するですよー……」
モモ「はっちゃん先輩! 今のうちに戦闘態勢を整えるっすよ!」
憩「戦争するんやないんやから……」
初美「うぅ……本当に塞さんの恋人だったらどうしよう……」
憩(それが一番問題なんよなぁ……)
憩(あの小瀬川さんが恋愛ってホンマに想像付かんけど、臼沢さん相手やったらもしかすると……)
モモ「諦めたらそこで試合終了っすよはっちゃん先輩!」
モモ「もしそうだとしても、奪い取るくらいの気持ちで塞先輩にアタックするっす!」
初美「そうしたいのは山々ですがー……塞さんの幸せの邪魔するようなことは気が引けるですよー……」
モモ「なに言ってるすか! 自分がもっと幸せにすればいいんすよ!」
憩「逞しすぎるわ東横さん……」タハハ
――――――――――
モモ「来ないっすね」
初美「来ないですよー」
憩(あれから結構経ってるけども……校内におらんのかな?)
憩(いや、ちゃうな……たぶんあの小瀬川さんのことやから……)
初美「先生、もう一回呼び出してみて……」
憩「十中八九意味ないと思うわ。あの子の性格忘れてた」アハハ
モモ「どういうことっすか?」
憩「直接出向くしかないってことやね。小瀬川さん間違いなく部室におると思うから」
初美「それってつまり……呼びだれてるのに無視してるですかー?」
憩「まあ、そうやろね」アハハ
モモ「これは何か疾しいことがある証拠っす!」
憩「いや、あの子の場合はただ単に面倒くさいだけ……」
モモ「そうと分かれば早速出陣っすよ!」
初美「りょ、了解ですよー!」
モモ「はっちゃん先輩、もしものために何か武器を……」
憩(ホンマは保健室離れたらアカンやけども、この二人だけに行かせるのは危ないやろなぁ……小瀬川さんの身が)
憩「二人とも先外で待っといてー。戸締まりしとくから」
憩「あとそのモップはちゃんと直しといてやー」ニッコリ
――――――――――――――
初美「ここが校内ボランティア部……」
モモ「部室棟にあったんすね。名前は何度か聞いた事あるっすけど、場所までは……」
憩「ウチは何度かお邪魔することあったわ」
憩「そんじゃま、行きましょか」
初美「ご、ごくり」
コンコンコン
シロ「どうぞー……」
憩「お邪魔しまーす」
やえ「って……荒川先生? それに……」
初美「お邪魔するですよー……!」ギラギラ
モモ「敵は一人じゃなかったすか……!」ギラギラ
やえ(な、なんだコイツら……)
憩「こらこら二人とも。そんな殺気立たんと」
やえ「えっと……ウチに何の御用でしょうか?」
憩「今日はちょっと小瀬川さんに話があって……」
シロ「私に?」
やえ「シロ、お前またなんか厄介事を……」ジトー
シロ「うーん……なんかしたっけなぁ……」
やえ「てかさっき呼び出されてたでしょ! だから行けって言ったのに……」
シロ「保健室遠いから……この学校無駄に広いし……」
やえ「あのなぁ……」
憩「まあそこまでにしといて」アハハ
憩「実はちょっと小瀬川さんに訊きたい事があってな。時間もらっても大丈夫?」
シロ「んー……まあ、はい。大丈夫です。暇なんで」
憩「それはよかったわー」
モモ(この人が、塞先輩の……?)
初美(小瀬川白望って言うんですねー……! 覚えましたよー……!)ゴゴゴ
シロ(なんか……ちっちゃい子から暑苦しい視線が……)
憩「えっと、ここの部員で臼沢さんっておるやん? その子に関係することなんやけども……」
初美「小瀬川白望! あなたは塞先輩のなんなんですかー!」
憩「ちょっ……」
シロ「塞? 塞とは友達だけど……」
初美「ほ、本当にそれだけですかー!?」
シロ(なんかダルそうな雰囲気……)ハァ
憩「は、はっちゃんちょっと落ち着き。小瀬川さん意味分からんって顔してるから」アハハ
モモ「ここは私が出るっす。敵はなかなか手強そうっすからね」
シロ(もう一人出て来た……)
やえ(この子いつの間に……)
憩「と、東横さん?」
モモ「ずばりきくっす! 小瀬川先輩は塞先輩と付き合ってるっすか!?」
シロ「……は?」
初美「私見たんですよー! 塞先輩と白いのがキスしてるところを!」
やえ「お、お前ら……」
シロ「いや、してないから」
モモ「嘘付くっす! ネタはもうあがってるっすよ!」
初美「塞先輩に手を出すなんて許せないですよー!」
憩「二人とも人の話を聞きなさい」チョップ
「「あふっ」」
憩「ごめんな。いきなり来て意味わからんこと言って」アハハ
シロ「よくあることだから大丈夫です」
やえ(本当によくあるから困る……)
憩「えっと、つまりまあ何が訊きたいかと言うとな、……小瀬川さんと臼沢さんって付き合ったりしてるの?」
シロ「してないです」
モモ(そ、即答っすか……いやでもまだ……)
やえ「そう出来れば塞も幸せだろうなー」ボソッ
初美「!?」
憩「えっと、小瀬川さんの言葉は信じてもいい感じなん?」
シロ「信じるも何も、私なんかと勝手にくっつけられたら塞が可哀想だと思いますけど……」
モモ「むむむ……」
憩(これは白っぽいなぁ……)
初美「ほ、本当に塞先輩となんともないんですかー……?」
シロ「中学からの友達ではあるけど、そういうダルい関係じゃ無い」
憩「はは、ダルいときたかー」
やえ「3年間コイツらと一緒にいる私も断言するけど、この唐変木に恋愛なんてありえませんよ」
シロ「唐変木……木になったらどんな気分なんだろ……」
憩(なーんかうっすらと事情が見えて来たような……)
モモ「た、タイムっす! 作戦会議させてもらうっす!」
やえ(本当に何しに来たんだコイツら……)
初美「こ、これはどうしたらいいですかー……」
憩「どうするも何も、訊くこと訊いたんやから解決ちゃう?」
モモ「確かにあの人たちが嘘付いてるようには思えないっすけど……」
憩「疑う余地ないと思うで?」
憩「キスしてたんはたぶんゴミかなんか取ってたのがそう見えただけで、いい雰囲気なんは小瀬川さんと臼沢さんの付き合いが長いからで……」
初美「そ、それなら……」
モモ「終戦、っすか……」
憩(臼沢さんが小瀬川さんのこと好きなんは確定っぽいけど)アハハ
シロ「もういい感じ?」
初美「は、はいですよー!」
憩「ごめんな小瀬川さん。いきなりやって来てこんなこと訊いてもうて」
モモ「疑ってごめんなさいっす」ペッコリン
初美「同じくですよー」ペコ
シロ「何を謝られたのかよく分かんないんだけど……」
やえ「日頃の行いが悪いからこういうことが起こったりするのよ」ハァ
シロ「学校のみんなのためにダルいの我慢して頑張ってるよ?」
やえ「シロの場合は業が深すぎるの」
シロ「はぁ……意味わかんないダルい……」
憩「さて。相談解決ちゃう? 臼沢さんは晴れて独り身ってこと分かったし」
モモ「良かったっすね! はっちゃん先輩!」
初美「えへへ……」
やえ「えっと、その中等部? の子が塞のこと好きだったりするの?」
憩「まあ、そういうことです」アハハ
初美「失礼ですねー……私は高2ですよー……」ジトー
シロ「高2……? ホントに?」
初美「まず制服が高等部のヤツなんですけどー……」
やえ「信じられない……高校生で胡桃以外にもこんななりした子がいるなんて……」
憩「はっちゃんはその胡桃ちゃんのクラスメイトで友達なんやでー」
シロ「そうなんだ……胡桃のクラスでの友達……」ジー
初美(は、初めて興味持たれた気が……)
モモ「私は塞先輩の後輩っすよー。バスケ部っす」
やえ「バスケ部? 何年生なの?」
モモ「華の1年っす」
シロ(1年……塞がよく話してるあの子かな……分かんないけど)
やえ「にしてもこんな子にまで惚れられて……塞も塞で罪深いわね……」
憩「ちゃんと気持ち受け取って返事しとるらしいし、誠実やと思うで?」
憩(あの子らに比べれば)
モモ「せっかくなんすから、この二人にも協力してもらうとかどうっすか?」
初美「それは名案ですよー! 塞先輩と仲が良い二人が手を貸してくれたら……!」
シロ「協力?」
やえ「ってことは、校内ボランティア部に対する依頼……」
憩(うーん、それってどうなんやろ……)
憩(臼沢さんは小瀬川さんのこと好きやのに、そんな小瀬川さんを協力させるって……)
シロ「……ごめん、私パス」
「「えっ?」」
本当にすみません、20分ほど席外します
保守お願いします
やえ「な、なにいってるのさシロ? 依頼を断るなんてそんなこと……」
シロ「いや、私は協力したくないってだけだから……」
シロ「やえと他の子で頑張ってよ。たまには顧問の戒能先生とか付き合わせてさ」
やえ「協力したくないって……今までそんなこと一度も言わなかったのに……」
シロ「うん、だから本当にごめん。こればっかりは私の我がままだから」
初美「そ、そんなぁ……」
モモ「部長の協力が得られないなんて想定外っす……」
憩(……ふふ、どういう考えかは分からんけど、小瀬川さんはやっぱしっかりしてるわ)
憩(この人の気持ちを汲み取るというか、気遣いが出来る子がもっと増えれば平和やのになぁ……)
やえ「シロ抜きでやるなんて今まで例がない……」
シロ「基本私とやえは固定で、その日部に来てる人を入れて依頼解決するのがスタイルだからね」
初美「あ、あの! 小瀬川先輩!」
シロ「ん、なに?」
初美「今まで依頼を断ったこと……ないんですよね?」
シロ「私に関しては部が出来てから一度もなかったかなぁ……たぶん」
初美「……理由、聞かせてもらってもいいですか?」
シロ「んー……理由、か……」
シロ「……ちょいタンマ」
憩(これは正直、めちゃくちゃ気になるわぁ……)
憩(ま、ここにおる全員そうやろうけども)アハハ
やえ(もしかしてシロのヤツ、塞のこと……いや、ありえないとは思うけど……)
初美(まだまだ怪しくなってきたですよー……さっき言ったことも本当は嘘かも……!)
モモ(塞先輩の気になる人って……)
シロ「……面白くないから、かなぁ」
初美「お、面白くない……?」
シロ「いや、依頼に対して面白いとかつまんないとかでやったりしてないんだけど……」
シロ「こう、塞が誰かと付き合うための手助けをするのが……嫌、なのかなぁ」
やえ(シロ……)
モモ「な、なんかハッキリしない言葉尻っすね」
シロ「うん、自分でもそう思う……私自身よく分かってないから」
初美「つまり、私と塞さんの恋路は応援出来ない、ってことですかー……?」
シロ「申し訳ないけど」
初美「……」
憩(なんか、近い将来小瀬川さんの相談受けそうな気が……)
シロ「応援は出来ないけど、何も言うつもりはないから。邪魔しようとも思わないし」
初美「え。そ、そうなんですかー……?」
シロ「塞と薄墨さんのことだから、私は関係ないよ」
モモ(小瀬川先輩が何を考えてるのかますます分からなくなってきたっす……)
憩(本人でも分からん言うてるくらいやし、かなり複雑な気持ち持ってそうやなぁ……)
やえ「……はぁ。ほんっと、昔から面倒くさいだから」
シロ「ごめん……」
やえ「謝らない! ……部長がこんなだし、申し訳ないけど断るわ」
シロ「やえ……?」
憩「うん、ウチもそれがええと思うわ」
憩「臼沢さんのためにも、ウチらと小瀬川さんたちは手を取り合うべきではないね」
初美「先生……」
シロ「うん。私もなんとなくだけど、そう思う」
/ 、\
. / / / ヽ ', _
/ ′/ / ヽ ヽ .: // rf_f_l
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j 〈/ィ ト弋ツ 弋)ツノィ l|l| //
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八 八_>ー/┏━━━━━[____]━━━┷//⌒ヽ
人 `丶}} /_ ┃| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (/⌒ ヽ
⌒ヽ\ f⌒ヽ (_/┃ ノ
/ f⌒ヽノ |┃
{ f⌒ヽノ シロハワタシノ |┃
憩「うんうん。これ以上話す事もないし……二人とも帰ろか」ニコッ
モモ「……了解っす」
初美「分かりましたですよー……」
初美「それでは、お邪魔しました」ペッコリン
シロ「またなんかあったら来て。たぶん、手伝えるから」
初美「っ……」
初美「はいですよー!」ニッコリ
やえ「やれやれ……」フフ
憩(臼沢さんが誰とも付き合ってないってことは分かったし……一応は一件落着、なんかな)
モモ「なんかもやもやするっすー……」
―――――――――――
やえ「はぁ。なんか今日は珍しい日だったな……」
シロ「こういう日もあるよ」ハァ
シロ「……そろそろ出て来たら? 塞」
やえ「もう隠れなくてもいいよ」
塞「げっ……い、いつから気付いてたの?」
シロ「割と始めから」
やえ「あんなあからさまに部屋の中覗いてたら、そりゃね」アハハ
シロ「先生たちはこっち向いてたから気付けなかっただろうけど、ここからは丸見え」
塞「な、なるほど……」
やえ「またえらく気に入られてるじゃないか」ニヤニヤ
シロ「軽く話しただけでも分かったけど、あの子本気で塞のこと好きだと思うよ?」
塞「そんなの言われなくても分かってるから……」
やえ「あはは、本気で困ってるし」
シロ「どうするの?」
塞「……ど、どうするって?」
シロ「告白されたら」
やえ「そう遠くはない未来だと思うよ?」
塞「……元気で明るくて、話してるとすごく楽しいんだけど……」
塞「今はまだ妹とかにしか思えないというか……」
やえ(あっちゃー)
シロ「……可哀想」
塞「ええぇっ!?」
小走先輩が普段の塞ちゃんの役割だね
やえ「ま、しばらくは告白なんてしてこないだろうし、仲良くしてあげれば?」
やえ「塞の気持ちも変わるかもだしね」ニヤニヤ
塞「そ、そんなことっ……」
シロ「……」
やえ「さて、そろそろ下校時間だし帰るか。巽向かいに行ってくるよ」テクテク
シロ「いつもの場所で待ってるね」
塞(ちょっ、この状態でシロと二人きりにする気なの!?)
やえ(お前らもいい加減ハッキリさせろって)ハァ
塞(や、やえのヤツ……!)
シロ「……」ボケー
シロ「……今日はバスケ部じゃなかったっけ?」
塞「……練習メニュー変わってね。3年は早く終わったから顔出しに来ただけ」
シロ「そっか……」
塞「あ、あのさ」
シロ「?」
塞「薄墨さんたちの依頼、断ってたけど……アレってつまり、その……」
塞「私が誰かとそういう関係になるのが嫌ってことだよね……?」
シロ「……うん」
塞「そ、そっか……あははー……そうなんだー……」
塞(ヤバい、めっちゃ嬉しいかも……)
シロ「自分の娘を嫁にやりたくないとか、そんな感じの気持ちだと思う」
塞「……は?」
シロ「飼ってる犬が他人に懐いてるの見たくないとか、そんな感じの」
塞「……」
シロ「塞?」
塞「シロのバカ!!」ドゴォ
シロ「ぐふっ!?」
―――――――――――――――
初美「うふふー、今日はウキウキなんですよー」ルンルン
モモ「協力は得られませんでしたが、疑惑が晴れただけでも大収穫っすね」
憩「幸せそうで何よりやわ」
初美「塞さんと一緒に帰りたいですよー。あ、そうだ。メールしてみよう」
モモ「部活も終わってる頃ですし、きっとすぐに返信くるっす!」
憩(臼沢さんの気持ちを動かせるか……小瀬川さんがあの様子やから、まだまだ時間はあると思うけども……)
憩「ま、なにはともあれ。これからも頑張りやはっちゃん。押せ押せあるのみやで♪」
初美「はいですよー!」
憩「これからも相談乗るから、なんかあったら来てや」ニッコリ
モモ「私にも相談するっす! 偵察と闇討ちなら任せるっす!」
初美「二人とも本当にありがとなんですよー!」
初美「協力してくれた先生とモモちゃんのためにも、絶対に落としてみせます!」
モモ「その調子っす!」
憩(果たしてどうなるやら……)アハハ
終わり
途中で何度も消えて申し訳ないです、支援ありがとうございました
お疲れ様でした
乙
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