シンジ「もう……放っておいてください……」
ミサト「エヴァに乗るのが嫌なの?」
シンジ「……乗りますよ。どうせ乗るしかないんでしょ?」
ミサト「……っ」
シンジ「誰も僕の気持ちなんて……分かってくれないんだ……」
ミサト「言いたいことがあるならはっきりいいなさい。誰かが察してくれるなんて甘いこと考えないで」
シンジ「……本当に言ってもいいんですか?」
ミサト「勿論よ。怒らないから言ってみなさい」
シンジ「ゴミ捨てやってくださいよ。自分のご飯ぐらい自分で作ってくださいよ。半裸なのに酔って絡んでこないでくださいよ。学校に行けとか言わないでくださいよ。言われなくても行きますよ」
ミサト「え……」
シンジ「半裸でうろうろしないでくださいよ。僕だって男なんですよ。半裸のミサトさんを見て変なことを考えたりしますよ」
シンジ「そもそもミサトさん美人だし、そんなことされたら僕も良いのかなって思いますよ」
ミサト「一応、訊くけど。なにが良いって思うの?」
シンジ「ミサトさんは僕のこと好きなんですか!?違いますよね?!年下だからってからかってるだけなんだ!!!違うなら脱がないでよ!!!僕を迷わせないでよ!!!」
ミサト「ご、ごめんなさい」
シンジ「もうやめてくださいよ……本当に……。半裸のミサトさんを見せられて毎日、どう過ごせばいいっていうんですか……」
ミサト「……」
シンジ「学校でも気を抜くとミサトさんが頭に浮かんでくるし、ネルフ本部でミサトさんがきちんとした服を着ていても、瞼を閉じればあられもない姿のミサトさんが見えるし……」
ミサト「シンジくん?」
シンジ「家に帰ればミサトさんの肌色は一気に多くなるし。しかも酔えば無駄にスキンシップが多くなるし、胸だって押し付けてくるじゃないか!!」
ミサト「あの……」
シンジ「中学生は多感な時期だって分かってないんですか?!」
ミサト「……」
シンジ「こんな生活してたら……頭がおかしくなりそうで……怖いんです……」
ミサト「シンジくん……あたしは……そんなに貴方のことを……追い詰めて……」
シンジ「もう……僕に構わないでください……構うなら……この想いを受け取ってくださいよ!!」
ミサト「……え?」
シンジ「……失言でした。忘れてください」
ミサト「あの……それは……えっと……」モジモジ
シンジ「僕が言いたいことは以上です……」
ミサト「シンちゃん?」
シンジ「……なんですか?」
ミサト「えっと……なんて言ったらいいか……困るんだけど……」
シンジ「……」
ミサト「要約すると……あたしのことが好きになっちゃったってことで……いいの?」
シンジ「ち、違いますよ。僕は別にミサトさんのことなんて好きじゃないですよ。本当です」
ミサト「そ、そう……」
シンジ「ミサトさんが僕のことを好きなら……それは……それで……はい……」
ミサト「……」
シンジ「……」
ミサト「えーと……一応、あたしはシンちゃんの保護者だからね……。ごめ―――」
シンジ「ほら。大人はすぐに期待を裏切る。僕のことなんて誰もわかってくれないんだ!!!!」
ミサト「そういわれても……」オロオロ
シンジ「うわぁぁぁ!!!」
ミサト「シンちゃん、落ち着いて。お願いだから」
シンジ「なんだよ!!じゃあ半裸でうろつくなよ!!!こっちは色々処理に困るんですよ!!ミサトさん!!大人なのに分からないんですか!?」
ミサト「だ、だって、ま、まさか意識されるなんて……」
シンジ「なんで意識されないって思うんですか!?」
ミサト「いや、ほら、あたしとシンちゃんは15歳も歳の差が……」
シンジ「ミサトさん!!鏡見て来てくださいよ!!!!」
ミサト「え?顔になにかついてる?」
シンジ「すごく美人じゃないですか!!」
ミサト「お……」
シンジ「自覚ないんですか!?化粧しててもしてなくても綺麗じゃないですか!!むしろすっぴんのほうが魅力的ですよ!!!」
ミサト「そ、そう……?」
シンジ「そんな人に毎晩酔った勢いとはいえ胸を押し付けられたら……られたら……」
ミサト「……」
シンジ「そりゃ僕の部屋のゴミ箱は毎日異臭がしますよ!!当然じゃないか!!!僕は何も悪くない!!」
ミサト「ごめんなさい……」
シンジ「もう……僕はいやだ……こんなところに居たくないんだ……」
ミサト「そ、そんなこと言わないで、ね?」
シンジ「僕の気持ちも受け取ってくれないくせに!!!」
ミサト「保護者だから……無理よ……。司令やリツコに何を言われるか……」
シンジ「黙ってればいいじゃないですか……いつもだらしないのに……どうしてそこだけ真面目なんですか……おかしいよ……」
ミサト「……」
シンジ「大人はズルいですよね。そうやって都合が悪くなったら仕事だからとか、立場があるからって逃げるんだ……」
シンジ「僕はずっと崖っぷちにいるのに……誰も……助けてくれないんだ……」
ミサト「あたしと居るの……辛いのね?」
シンジ「ミサトさん次第です」
ミサト「じゃあ……アスカと二人っきりで住む?」
シンジ「なんでそうなるんですか!?」
ミサト「だって……同年代がいるほうが……」
シンジ「僕を殺したいなら……そういってくださいよ……アスカ……アスカなんて……ミサトさんより酷いじゃないですか!!!」
アスカ「呼んだ?」
シンジ「見てくださいよ。ミサトさん」
ミサト「なに?」
アスカ「なによ?」
シンジ「住み始めたころは互いに遠慮してた。いや、今でも僕は遠慮してますよ。でも、アスカはもう油断してます」
アスカ「私が油断ですって?はっ、何言ってるわけ?」
シンジ「学校のある日はまだいいよ。でも、アスカ。最近、休日とかTシャツ一枚のときあるよね?!」
アスカ「え?ああ、まぁ……」
シンジ「ショーツ丸出しでリビングを何食わぬ顔で横切るのはなんでなの?」
アスカ「トイレ行くだけだから、穿くの面倒なのよ」
シンジ「はけよ!!!」
アスカ「な、なによ!!別にいいでしょ!!なんでアンタに命令されないといけないのよ?!」
シンジ「じゃあもう素っ裸で出て来たらいいじゃないか!!どうして妄想が膨らむ格好で出て来るんだよ!!」
アスカ「楽だからよ」
シンジ「僕だって男なんだ!!やるときはやるよ?!いいの?!」
アスカ「やられるのは困るけど……」
シンジ「もういやだ……もうたくさんだ……。こんなところにいたら……いつか……殺される……自分に殺されるんだ……」
アスカ「なに言ってるのよ。アンタ、バカぁ?」
ミサト「そうよ、シンジくん。自分を卑下しないで」
シンジ「じゃあ、もっと厚着してよ!!!」
アスカ「暑いじゃないの」
シンジ「ダジャレなんてききたくないよ!!!ふざけないでよ!!!!僕をバカにしないでよ!!!」
アスカ「ちょ、ちょっと……」
ミサト「シンジくん!落ち着きなさい!!」
シンジ「うわぁぁぁ!!!!」
アスカ「ダメね、これは」
シンジ「アスカのほうがダメだろ!!!」
アスカ「あんたがエッチなこと考えるからでしょ?考えないようにしなさいよね」
シンジ「わかったよ……。ミサトさん、何でもいいです……そうだ……エヴァの兵器なら簡単ですよね?」
ミサト「なにが?」
シンジ「僕の股間にあるいけない部分を消去してください」
ミサト「だ、だめよ!!そんなの!!」
シンジ「これがあるから妄想が肥大化するんだ!!これがなければ……こんなものがあるから……!!!こんなの僕には必要ないんだ!!!!」ペシペシ
アスカ「アンタ、本当にバカなの?」
シンジ「黙れよ!!」
アスカ「なによ!!心配していってあげてるんでしょ!?」
シンジ「頭の心配なんて余計なお世話だ!!僕はアスカより頭悪いよ!!それでいいだろ!?」
アスカ「……ミサトぉ」
ミサト「シンジくん。自らアイデンティティーを崩壊させるなんてダメよ。何を言っているの?」
シンジ「でも、これがあるからいけないんでしょ?僕だって義務教育を受けているんです。それぐらい分かりますよ」
ミサト「だからって……」
シンジ「どうせ、こんな粗末なもの使い道もないんですよ。分かってますよ。これは使われること無くただ朽ちていくんです……」
ミサト「……シンジくんのはA.T.フィールドが強いだけよ。大丈夫。これから洗うときにフォールドを剥いていけば……」
アスカ「え?シンジのってそうなってるわけ?」
シンジ「ミサトさん!!!!どうしてそんな大事なことを簡単に言うんですか!?エヴァのパイロットは股間のプライベートも許されないんですか!?」
ミサト「だ、大丈夫よ。多くの人はA.T.フィールドが半分以上残ってるらしいし……」
シンジ「もう嫌だ……こんなのたくさんだ!!!」
ミサト「待ちなさい!!シンジくん!!」
シンジ「なんですか?僕のA.T.フィールド……ミサトさんが全開にしてくれるんですか?」
ミサト「それは自分でしなさい。他人を頼らないで」
シンジ「ほら……どうせこうなるんだ……ええ。わかってましたよ。誰も僕のA.T.フィールドは中和してくれないんだ……」
ミサト「とにかく落ち着いて話しましょう。今のシンジくんは興奮しているわ。このままじゃまともな話もできないでしょ?」
シンジ「じゃあ、何か着ろよ!!!このままじゃ僕の初号機は暴走しますよ!!異常なエネルギー反応をマヤさんが感知することになります!!!」
ミサト「わ、わかったから……。アスカ?」
アスカ「なに?」
ミサト「とにかく何か着てきましょう。できるだけ露出の少ないのをね」
アスカ「はいはい……。仕方ないわね……」
ミサト「じゃあ、少し待っててね」
シンジ「はい……」
ミサト「これでいいわね?」
シンジ「……はい」
アスカ「面倒なやつ……」
ミサト「えっと……じゃあ、今度からはシンちゃんの前ではできるだけ露出の少ない服を着ればいいってことで」
アスカ「えー?着るの面倒なんだけど」
シンジ「じゃあ、もう裸でいればいいじゃないか。隠すほうが興奮するよ。妄想する余地を残さないでよ……」
アスカ「何よ?文句あるわけ?」
シンジ「じゃあ、僕が裸でアスカの前を横切ってもいいの?」
アスカ「別に」
シンジ「裸で変な踊り踊っても、アスカの目の前で僕のアダムを振りましてもいいんだね?!」
アスカ「なんでそこまでするのよ!?アンタ、バカ?!」
シンジ「それだけのことをアスカは無意識でやってるんだよ」
アスカ「そ、そうなの?」
シンジ「うん」
アスカ「……じゃあ、着るわよ。悪かったわね」
シンジ「分かってくれればそれでいいんだ」
ミサト「えーと……あとの問題はなんだっけ?」
シンジ「お酒に酔って抱きついてこないでください。ミサトさんの胸、大きいですから」
ミサト「普通だと思うんだけど……」
シンジ「中学生の目線を甘くみないでください。ミサトさんにとって普通でも、僕からみたらセカンドインパクトとサードインパクトが同時に発生しているようにしか見えません」
ミサト「はぁ……」
シンジ「あと、ミサトさん……今、ブラジャーしてますか?」
ミサト「してないけど」
シンジ「ですよね。というか、してないときのほうが多いですよね?」
ミサト「それがどうかした?」
シンジ「どうかしたじゃないよ!!!」
ミサト「え?え?」
アスカ「ミサトの核弾頭が浮かび上がってるってことでしょ?」
ミサト「あ……」
シンジ「ミサトさんの形を考えるだけで授業中はいつも熱膨張しているんです。本当にやめてください」
アスカ「……聞いてればなによ。結局、アンタがエッチなだけじゃない。スケベ」
シンジ「アスカ……。何も分かってないんだね……」
アスカ「何がよ?」
シンジ「僕だって男なんだよ?多感な時期に妄想しないほうが難しいよ!!!」
アスカ「他のことで気を紛らわせればいいじゃないの」
シンジ「他のこと?」
アスカ「アンタ、いつも音楽聴いてるじゃない。変な気分になったらそれで誤魔化せばいいじゃないの」
シンジ「効果はあるの?」
アスカ「性欲っていうのは大概のことに昇華できるものなのよ。運動するとか読書をするとかでね」
シンジ「本当ですか?」
ミサト「まぁ……うん。そうね」
シンジ「じゃあ、僕が音楽さえ聴いていればアスカやミサトさんが薄着で前を横切っても平気になるってこと?」
アスカ「ええ、もっちろん!」ドヤッ
シンジ「……じゃあ、やってみるよ」
ミサト(よかった……。なんとか丸く収まったみたいね……)
シンジ「……」
アスカ「ふわぁぁ……トイレ……」スタスタ
ミサト「シンちゅぁ~ん、おしゃくしてぇ」
シンジ「……」
アスカ「スッキリした」スタスタ
ミサト「ねぇ、しんちゃぁぁん?おしゃくぅ」ギュゥゥ
シンジ「アスカ」
アスカ「ん?なに?」
シンジ「これ見てよ」ドヤッ
アスカ「バっ!?!なに粗末なものみせてるのよ!!!!バカバカバカ!!!!」
シンジ「アスカは僕を裏切ったんだ……これはその報いだよ……」
アスカ「し、知らないわよ!!!バカシンジー!!!」ダダダダッ
シンジ「……ミサトさん」ドヤッ
ミサト「あらぁ……A.T.フィールド半開ねぇ……シンちゃん……」
シンジ「明日、もう一度話し合いましょう。何も解決していませんし……」
翌日 ネルフ本部
ミサト「はーい、みんな、おつかれー」
シンジ「お疲れ様でした」
アスカ「……今日は全然集中できなかったわ……全部、バカシンジの所為よ……」
レイ「お疲れ様です」
ミサト「じゃあ、各自解散。また明日ねん」
シンジ「待ってください。ミサトさん、話し合うって約束したじゃないですか」
ミサト「でも、まだ仕事がちょっち残ってて……」
シンジ「待ちますよ。休憩時間が無いなんて言わせませんよ」
ミサト「うぐっ……」
アスカ「もう別にこんなところで話すことじゃないでしょ?」
シンジ「僕にとっては死活問題なんだよ!!分かってよ!!!」
アスカ「ミサトぉ」
ミサト「分かったわ。1時間ほど都合をつけるから」
シンジ「はい。お願いします」
アスカ「ホントにもう……別にどうでもいいじゃないの……下着で歩くぐらい。アンタ、そんなことじゃあ一生女の子とシンクロできないわね」
シンジ「……」
アスカ「な、なんか言いなさいよ……」
シンジ「ミサトさんが来たら話すよ」
アスカ「そ、そう……」
ミサト「お待たせ」
シンジ「じゃあ、座ってください」
アスカ「ホント、面倒なんだから……」
レイ「作戦会議が始まるの?」
シンジ「うん」
レイ「そう」
ミサト「えっと……それで、何を話すんだっけ?」
シンジ「僕が心穏やかにリビングでホットミルクを飲めるようになるにはどうすればいいのかですよ。あと、ゴミ捨てぐらい当番制にしましょうよ。毎日僕が捨ててるじゃないか!!!!」バンッ!!!
レイ「……?!」ビクッ
ミサト「あ、はい。ごめんなさい。いつもありがとう、シンちゃん」
アスカ「じゃんけんに全部負けたシンジが悪いんでしょ?」
シンジ「……それは確かに。ごめん、僕が間違ってた」
アスカ「で、ホットミルクがなによ?」
シンジ「僕は寝る前に温かいミルクを飲んで寝たいんだよ。でも、みんながそれを邪魔するんだ……」
レイ「そうなの?」
アスカ「邪魔なんてしてないわよ。ね、ミサト?」
ミサト「あたしは邪魔してるかもしれないわねー」
シンジ「かもしれないじゃない……してるんですよ……半裸で歩くし、半裸で抱きついてくるし……いつも僕は床に飛び散った白濁液を拭く毎日だよ!!二つの意味で!!!」
アスカ「なによ。じゃあ、寝る前でも厚着しろっていうの?そんなの嫌よ。私はね、できるだけ薄着で寝たいの。本当なら裸で寝たいぐらいだけど、シンジがいるから気を遣ってるの。わかる?」
シンジ「部屋ではどうでもいいよ。リビングを通るときぐらい何か羽織って欲しいって言っているんだ!!」
アスカ「じゃあ、そう言う服買ってよ。着るから」
シンジ「自分で買ってよ!!!どうせ僕が買ってきたらダサいとか難癖つけて着ないんだろ?!」バンッバンッ!!
アスカ「よく分かってるじゃないの」
シンジ「性質が悪いよ、アスカ!!!僕の起ちだけが良くなるんじゃダメなんだ!!!」バンッバンッ!!!
レイ「碇くん、そんなに机を叩いたら手を痛めてしまうわ」
シンジ「なんだよ……僕は……みんなになんとも思われてないんだ……そうなんだ……」
レイ「碇くん、何があったの?いつもの碇くんじゃないわ。怖い」
シンジ「綾波……」
レイ「あと作戦会議はいつ始まるの?」
ミサト「シンジくん。あたしはこれから厚着になるから、もういいわよね?」
シンジ「なに言ってるんですか?ミサトさんは厚着になるだけじゃダメですよ」
ミサト「え?」
シンジ「禁酒してもらわないと」
ミサト「それだけはダメよ!!何言ってるの!?」
シンジ「じゃあ、僕の想いを受け取ってくれるんですね!?それなら毎日でもお酌しますよ!!ワカメ酒でもなんでも!!!」
ミサト「ちょっと!!シンちゃん!!そんな言葉どこで!?」
シンジ「以前、ミサトさんが泥酔して実演までしてくれましたよ!!!それで、どうなんですか?!」
ミサト「ア、アスカかレイじゃダメなの……?」
アスカ「あ?」
レイ「……?」
シンジ「やっぱり……ミサトさんは……もういいです……よ……はは……うぅぅ……ぐすっ……」
ミサト「そ、そうやって泣いて弱音を吐けば誰かが庇ってくれるなんて思ったら大間違いよ……」オロオロ
シンジ「うぅぅ……うぅ……」
ミサト「あの……シンちゃん……あの……ごめんね?」
アスカ「ふーん、シンジってミサトのことそう思ってたんだ……ふーん……」
レイ「あの……作戦会議は……?」オロオロ
アスカ「で、もう会議は終了なわけ?いい加減、帰りたいんだけど」
レイ「もう始まっていたの?作戦概要は?」
シンジ「うぅ……うっ……」
アスカ「泣くなっ!!鬱陶しいわね!!!たかが一回、フラれたからってなによ!!!」バンッ!!!
シンジ「……っ」ビクッ
アスカ「全く……」
ミサト「とにかく、あたしからお酒だけはとらないで……。アレだけが生きがいなのよぉ……」ウルウル
シンジ「じゃあ……僕は……もう……家出するしかないですよね……」
レイ「あの……概要だけでも教えて、碇くん。私だけ、何も分からなくて……」
シンジ「―――っていうわけなんだよ、綾波」
レイ「そうだったの……」
シンジ「ごめん、綾波のこと考えるだけの余裕がなくて。綾波には関係のない話だから……綾波は帰っても……」
レイ「葛城一佐、提案が」
ミサト「え?なになに?」
レイ「要するに二人は碇くんに慣れてしまったんですよね?」
アスカ「え?」
レイ「碇くんを肉親のように思っているから、碇くんの前で露出をしても気にならないということです」
ミサト「え、ええ、そうね。もうシンちゃんは家族みたいなものだし」
レイ「では、私がしばらく葛城一佐の家で寝泊りします」
シンジ「綾波!?」
レイ「三人にとって私は赤の他人同然だもの。私がいれば自然と二人の露出は少なくなると思うわ」
ミサト「確かに、レイだったら完全にお客さんになるし、気は遣う……わよね?」
アスカ「まぁ……いつもの下着姿ではいれないわね」
レイ「だから、私も住むというのはどうですか?」
シンジ「綾波……本気なの?」
レイ「ダメ……かしら?」
シンジ「ダメというか……どうして……そこまで……」
レイ「碇くんが困っているのを見たくないから」
シンジ「え……」
レイ「碇くんには笑っていてほしいから……だから……」
シンジ「あ、綾波……」
レイ「……碇くんがダメっていうなら……諦めるわ」
シンジ「そんなことないよ!!綾波!!ありがとう!!嬉しいよ!!!」
レイ「碇くん……」
シンジ「ミサトさん!!いいですよね!?これしかないですよ!!!」
ミサト「でも、そんなあたし一人で三人のパイロットの面倒なんて……」
シンジ「お酒、飲んでいいですから」
ミサト「リツコに相談してみるわ」
シンジ「お願いします」
リツコ「……ダメに決まっているでしょ?シンジくんとアスカだけでも許容量ギリギリのミサトが、レイまで引き取るなんて無茶よ。ありえないわ」
ミサト「でも……」
リツコ「それなら、シンジくんをネルフ本部で寝泊りさせたほうがいいわ。合理的よ」
ミサト「それは……ダメよ」
リツコ「どうして?」
ミサト「シンちゃんには出来るだけ人と接していてほしいのよ」
リツコ「……ミサト?」
ミサト「なによ?」
リツコ「変な気、起こさないでね?」
ミサト「な、なんのことよ!?」
リツコ「シンジくん、可愛いから」
ミサト「そ、そんなわけないでしょ?!中学生に手を出すなんてないない!!!」
リツコ「……いいわ。そこまでいうならレイを引き取ってみなさい」
ミサト「ありがとう!!リツコ!!」
リツコ(……シンジくん……きっと死ぬわね……)
葛城宅
シンジ「これからよろしく、綾波」
レイ「ええ。よろしく」
ミサト「じゃあ、レイの部屋は……アスカと一緒で」
アスカ「い!!や!!!」
レイ「……」
シンジ「アスカ!!いいだろ別に!!」
アスカ「こんな奴と一緒部屋になるぐらいなら、シンジと一緒のほうがまだマシよ」
シンジ「やめてよ!!!その気も無いくせに!!!僕の前で裸になって困らせたいだけなんだろ!!!いい加減にしろよ!!!」
アスカ「……」
ミサト「じゃあ……えっと……」
レイ「私はここで構いません」
ミサト「リビングでいいの?」
シンジ「綾波!!」
レイ「私が中央の部屋にいればみんな何かを着てから出てくることを意識するはず。それを癖付けるためにも、そうしたほうがいいと思うわ」
ミサト「いいのね?」
レイ「はい。寝ぼけて踏まないようにしてくれれば」
シンジ「綾波……僕の部屋を使っても……」
レイ「大丈夫だから」
シンジ「……うん」
アスカ「ふんっ。勝手にすれば?」
ミサト「じゃあ、服とか入れる収納がいるわよねぇ」
シンジ「僕、使ってない収納ボックスとか持ってるから良かったら使ってよ」
レイ「ありがとう。碇くん」
シンジ(これで僕も心穏やかになれる……)
シンジ(辛いこと、悲しいこともあったけど……これで僕は……人並みの生活に戻れるんだ……)
アスカ「それじゃあ、ご飯になったら呼んでよね」
シンジ「うん」
ミサト「シンちゃん、あとでお酌してねん」
シンジ「はい!任せてください!!」
シンジ「綾波、ご飯のリクエストとかある?」
レイ「ないわ」ヌギヌギ
シンジ「そっか……じゃあ、どうしようかな……」
レイ「……ふぅ」
シンジ「綾波、嫌いなモノ―――」
レイ「なに?」
シンジ「うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
レイ「碇くん?」
アスカ「なに?どうしたの?使徒?」
ミサト「シンちゃん!?どうかしたの?!」
シンジ「うわぁぁぁ!!!!なんでみんな下着姿なんだよ!!!!!おかしいよ!!!!」
アスカ「なによ!あんたが大声出すから着替えの途中で出てきたのよ!!悪い!?」
ミサト「あたしもー」
レイ「私は学校の制服しか服がないから、家では基本的に下着姿でいるのだけど……」
シンジ「意味ないよ!!!綾波!!!帰ってよ!!!」
レイ「え……そんな……」
シンジ「やめてよ……もうたくさんだよ……こんなの……こんなの……」
レイ「あの……こういうときどんな顔をすればいいのかわからないの……」
シンジ「着ればいいとおもうよ?」
レイ「でも、制服は皺になるから……」
シンジ「綾波……どうして今の自分は棚に上げてそんなことを気にするんだよ……」
レイ「何かおかしいの?」
シンジ「僕の初号機も限界だよ!!装甲をパージしちゃうよ!!!」
アスカ「あの装甲は無理よ」
シンジ「黙ってよ!!!」
レイ「え?碇くんの装甲ってなに?」
アスカ「1枚の特殊装甲で厳重に守られているのよ」
レイ「……?」
シンジ「やめろよ!!!僕の股間を弄ばないでよ!!!まだ中学生なんだ!!!A.T.フィールドがあってもいいじゃないか!!!」
ミサト「と、とにかく、服を着てくるわね」
ミサト「レイはとりえず、私のワイシャツを羽織っておいて。大きいからシャーツとはすっぽり隠れちゃうし、いいでしょ?」
レイ「分かりました」
シンジ「なんで綾波は朝を迎えた女の子みたいになってるんだよ……もうシチュエーションだけでA10神経が強化されるよ!!!」
アスカ「シンクロ率上がるじゃない。さっすが、シンジ様。でも、女の子とのシンクロ率は0ね」
シンジ「……」
アスカ「アンタは一生、女の子のターミナルドグマを生で見ることはないわ」
シンジ「黙れよ……そんなの……ネットで見れるよ……」
アスカ「生で見れないのがダメなんだじゃないの」
シンジ「じゃあ……見てやるよ……」
アスカ「はぁ?」
シンジ「アスカ……見せろっ!!!」
アスカ「嫌」
シンジ「……くそっ!!!」
レイ「碇くん、落ち着いて……」
ミサト「そうよ、シンちゃん。セクハラ発言しすぎ。流石に注意させてもらうわね」
シンジ「なんで僕ばっかり……僕はこんなにもがんばってるのに……いつも僕だけが悪者じゃないか……こんな世界……無くなっちゃえばいいんだ……」
ミサト「アスカも言い過ぎよ?」
アスカ「シンジが悪いんでしょ?」
ミサト「アスカ」
アスカ「ふんっ」
ミサト「シンちゃん、ごめんね?」
シンジ「うっ……ぐすっ……うぅ……」
レイ「碇くんが泣いてる……」
シンジ「A.T.フィールドがあっても……いいじゃないか……中学生で全開のやつなんていないよ……いないよ……」
レイ「……あの、A.T.フィールドってどういう意味なの?」
アスカ「あいつの粗末なプログレッシブ・ナイフを覆うモノよ」
レイ「それって……もしかして……おち―――」
シンジ「みんな僕を簡単に裏切るんだ!!!!もう誰も信じない!!!誰も優しくしてくれないんだ!!!」
レイ「分かったわ。A.T.フィールドの意味。碇くんを守ってくれてるのね」
シンジ「アスカ!!!綾波に変なこと教えないでよ!!!」
ミサト「シンジくん。あの……」
シンジ「もういいですよ。僕はここにはいれません」
ミサト「シンジくん……本気なの?」
シンジ「アスカの所為で染まっていく綾波なんてみたくないし、それに……」
レイ「……」
シンジ「下着姿の綾波がずっとリビングにいると思うと……もう安住の地はどこにもありませんから……」
アスカ「じゃあ、勝手にしなさいよ」
シンジ「するよ」
ミサト「シンジくん!!待ちなさい!!」
シンジ「……」
ミサト「嫌なことばかりから逃げないで!!」
シンジ「ミサトさんにだけは言われたくありません」
ミサト「……」
レイ「碇くん、どこに行くの?」
シンジ「ネルフ本部しかないだろ……。さようなら」
マヤ「はぁ?司令のガキ?どうでもいい、ぶっちゃけ先輩以外どうでもいいし」
ネルフ本部 宿舎
シンジ「……やっと……手に入れた……。ここが僕の世界だったんだ……」
シンジ「さぁ、寝よう……」
シンジ「……」
シンジ「……うぅ……」
シンジ「ダメだ……裸のミサトさんやアスカが瞼の裏から僕に迫ってくるよ……」
シンジ「ちょっと、外に出よう……」
シンジ「……」スタスタ
シンジ「ジュースでも買ってこようかな……」
ゲンドウ「……シンジ」
シンジ「と、父さん……?」
ゲンドウ「ここに住むらしいな」
シンジ「う、うん……そうだよ?」
ゲンドウ「……そうか」
シンジ「な、なに?なにかあるの?」
そこ・・・父さんと博士のヤリ部屋なんだ・・・
ゲンドウ「この通路の突き当たりにある部屋は絶対に覗くな。いいな?」
シンジ「なにかあるの?」
ゲンドウ「いいな?」
シンジ「う、うん……」
ゲンドウ「分かればいい……」スタスタ
シンジ「……」
シンジ「そうだ。ジュースを……」
加持「シンジくん。こんばんは」
シンジ「加持さん。どうも」
加持「今から寝るのかい?」
シンジ「はい」
加持「この部屋で?」
シンジ「はい……」
加持「司令は静かだからいいんだけど、相手のほうは声が漏れるほど喘ぐからな……下手をすると聞こえることもあるかもしれない……」
シンジ「な、なんの話ですか……?」
あのクールな赤木博士が乱れるのか・・・風邪引いちゃう
加持「シンジくん。悪いことは言わない。すぐに葛城のところに戻るんだ」
シンジ「そんなの無理ですよ」
加持「どうしてだい?」
シンジ「みんな僕の前で脱ぐんですよ……。耐えられませんよ……」
加持「ここにいればそれ以上の苦しみを味わうかもしれない」
シンジ「そんなの……」
加持「シンジくん」
シンジ「僕はもうあんな生活耐えられないんです!!!」
加持「そうか……。分かった」
シンジ「……」
加持「じゃあ、もう行くよ」
シンジ「え……加持さん……そっちは……」
加持「今日は俺の番だからな」
シンジ「ど、どういうことですか……」
加持「俺はここで種を蒔く事しかできない男なんだ……。できれば……耳は塞いでいてほしい……」
問題はどこに種を蒔くかだな
翌日 葛城宅
ミサト「ふわぁぁ……ん?」
シンジ「……」
ミサト「シンちゃん?!いつ帰ってきたの?!」
シンジ「加持さんのエントリープラグが……父さんに……エントリーして……はは……廊下で縦横無尽に……なんだよ……あれ……」
ミサト「シンジくん……?」
シンジ「ミサトさん!!!」ギュッ
ミサト「シンジくん?!どうしたの!?ちょっと……こんないきなり……あの……」オロオロ
シンジ「僕、ここがいいです!!もうここしか僕の居場所なんてなかったんです!!!」
ミサト「シンジくん……いいのよ?」
シンジ「え……」
ミサト「ここが貴方のいるべき場所なんだもの……ここにいなさい……」ナデナデ
シンジ「よかった……僕……ここにいて……いいんですね……」グスッ
ミサト「ええ……おかえりなさい……シンジくん」ギュッ
シンジ「た、ただいま……ミサトさん……」
アスカが知ったら発狂するな
レイ「ん……」ムクッ
シンジ「ミサトさん……ミサトさん……」
ミサト「もうシンちゃんたら、甘えん坊ね……ふふ……」
レイ「あの……葛城一佐。裸で碇くんを抱きしめて、何をしているんですか?」
ミサト「きゃ!?レ、レイ!?」
シンジ「うわ!!ミサトさん、なんでショーツ以外身に付けないんですか?!」
ミサト「え!?いや、これは……シンジくんいないからいいかなーって、ちょっと開放的になって……」
シンジ「……」
ミサト「すぐ何かきてくるわ」
シンジ「いいですよ。もう」
ミサト「え?」
シンジ「ミサトさんの自由にしてください。ミサトさんが僕に気を遣うことなんてなにもなかったんです。僕のわがままで困らせて申し訳ありませんでした」
ミサト「シンジくん……そんな……」
シンジ「綾波もそのままでいいよ。制服、皺になったら嫌だもんね」
レイ「ええ」
アスカ「んー、朝から何を騒いでるわけ?」
シンジ「アスカ……」
アスカ「きゃ!?ちょっと!!なんでいるのよ?!」バッ
シンジ「裸でいたいなら居ればいいんだよ。僕はもう……大丈夫だから……」
アスカ「ど、どうしたのよ?何かあったわけ?」
シンジ「言いたいことを全部吐き出したからかな?心が軽くなった気がするんだ」
アスカ「そ、そう……」
シンジ「うん……だから、自然体でいようよ。家の中だけでも……せめて、人間らしく」
アスカ「それはいいけど……。下着姿でうろついてもいいわけ?」
シンジ「勿論。裸でもいいぐらいだよ」
アスカ「それは恥ずかしいし……」モジモジ
ミサト「シンジくん……?様子が変だけど……本当に大丈夫なの?」
シンジ「はい。僕は正気ですよ。ただ、僕も本能のままに生きたいって思った……それだけなんです」
レイ「本能のままに生きる……?」
シンジ「そうだよ、綾波。僕はもう溜めることはしない。全部を出し続ける……。それで初めて他人に認めてもらえるって気がついたから……だから……!!!」
浴室
ミサト「ふぅー。お風呂は命の洗濯よねー、やっぱ」
ミサト(それにしてもシンジくん、あのまま部屋に閉じこもったけど……どういうことなのかしら……。本能のままに生きるって……)
ミサト「まさか……私……シンちゃんに……」
ミサト「……」ドキドキ
ミサト「一応、隅々まで洗っておきましょうか。別に深い意味はないけどね」
ミサト「ふんふーん」ゴシゴシ
ガラッ!!
ミサト「え?」
シンジ「……」ドヤッ
ミサト「ちょっと!!シンジくん?!」
シンジ「ミサトさん。奇遇ですね。お風呂で会うなんて」
ミサト「な、なにいってるの?!」
シンジ「混浴しましょうよ、ミサトさん」
ミサト「だ、だめよ!!シンジくん!!心の準備がまだ……!!」
シンジ「いいお湯ですね」
ミサト「そ、そうね……」
シンジ「……」
ミサト「……あの」
シンジ「なんですか?」
ミサト「……なんでもないわ」
シンジ「そろそろ僕は上がりますね」
ミサト「う、うん」
シンジ「よいしょっと」ドヤッ
ミサト「……相変わらず半開なのね……」
シンジ「A.T.フィールド、全、開!!」
ミサト「や、やめなさい!!!」
シンジ「……」スタスタ
ミサト「な、んだったの……」
ミサト(でも、何もされなかった。ただお風呂に入っただけなんて……)
アスカ「トイレ、トイレ」ガチャ
シンジ「……なに?」ドヤッ
アスカ「ちょ、ちょっと!!!入っているなら鍵ぐらいかけなさいよ!!!」
シンジ「僕の勝手でしょ。アスカには関係ないよ」
アスカ「い、いや……」
シンジ「早く閉めてよ!!」
アスカ「ご、ごめん!!」バタンッ
アスカ「……」
アスカ「……まだー?」
シンジ「もういいよ」
アスカ「じゃあ……」ガチャ
シンジ「A.T.フィールド、全、開!!!」
アスカ「ぎゃぁ!?!何やってんのよ!!!仕舞いなさいよ!!そんなもの!!」
シンジ「アスカのA.T.フィールドも全開にしてみてよ。きっと補完は成功するから」
アスカ「でていきなさいよ!!!」
レイ「……!?」ビクッ
シンジ「綾波、どうしたの?」ドヤッ
レイ「あ、あの……隠してくれると……助かるわ……」
シンジ「綾波、良く見てよ。半分以上は特殊装甲で隠れてるじゃないか」
レイ「そ、そういうことじゃなくて……」
シンジ「じゃあ、どういうことなの?」
レイ「いや……だから……」
シンジ「僕のアダムが気になるの?いいよ、もっと見ても」
レイ「や、やめて……」
シンジ「綾波……僕のアダムは今、すごくポカポカしてるんだ。綾波がいるからかな」
レイ「か、かくして……おねがい……」
シンジ「どうしてだよ?」
レイ「だ、だって……」
シンジ「言いたいことがあるならはっきり言ってよ」
レイ「ご、ごめんなさい……よくわからないけど……許して……」
ミサト「シンジくん!!やめなさい!!何をしているの!!」
アスカ「ただの痴漢じゃないの!!!」
シンジ「……」
レイ「こんなの碇くんじゃないわ……」ウルウル
アスカ「シンジ!!泣いてる子もいるのよ!!本当にバカになったわけ!?」
シンジ「……みんな。困るでしょ?」
ミサト「え?」
シンジ「異性が裸で迫ってきたら困るんだよ……」
アスカ「シンジ……」
シンジ「ネルフ本部で見た地獄絵図……。あれを見たとき閃いたんだ。みんな、口で言っても分かってくれない。それなら、僕自身が道化になってどれだけ僕が苦しんだのか目の当たりにしてもらおうって」
ミサト「シンジくん、そんなことを考えて……」
シンジ「僕はずっと今みたいに辛かったんだ。少しでも……それを……わかってほしくて……僕は……うぅぅ……」
アスカ「あー、ごめん、シンジ。泣かないでよ……」
レイ「碇くん、ごめんなさい。身にしみてわかったわ。碇くんの苦悩が……」
シンジ「うぅぅ……こんなこと……したくないんだ……。でも、ここにしか僕の居場所がなかったから……こうするしか……ないじゃないか……」
ミサト「いいから、もうその初号機をケージに戻しましょう。はい、パンツ」
シンジ「ありがとうございます……」
アスカ「これは反省するしかないわね……」
レイ「ええ……」
ミサト「これはからは、気をつけます」
アスカ「仕方ないわね」
レイ「碇くん、私の所為で余計に苦しめてしまったわ。ごめんなさい」
シンジ「いいんだよ。これからは一人でも服ぐらいは着てね?」
レイ「約束するわ」
シンジ「ありがとう」
ミサト「でも、シンジくん。深夜のネルフ本部で何をみたの?」
シンジ「……」
アスカ「シンジ?」
シンジ「……っ」ポロポロ
ミサト「思い出して泣くほど嫌なものをみたのね!?分かったわ、もう聞かないから……今日はもうおやすみなさい……」ナデナデ
加持「葛城……俺はここで種を蒔く事しかできない男なんだ……。できれば……耳は塞いでいてほしい……」
数日後
アスカ「おはよぉ……」
ミサト「先に行くわね。戸締りよろしくぅ」
シンジ「アスカ、おはよう」
アスカ「ん……」
シンジ「ふふ……」
アスカ「なによ?」
シンジ「だって、制服だけはきちんと着てくれてるから……顔とか酷いのに……」
アスカ「アンタが着ろっていうからでしょうが」
シンジ「……ありがとう。アスカ」
アスカ「べ、べつに……」
シンジ「じゃあ、早く食べて学校に行こうよ」
アスカ「そうね」
シンジ「いただきます」
シンジ(やっと……手に入った……平穏な毎日……。僕が欲しかったもの……だけど―――)
ネルフ本部
マヤ「使徒接近!!」
ミサト「初号機は弐号機のアシスト!!」
シンジ『はい!!』
ゲンドウ「まて。そのままでは―――」
シンジ『黙れよ!!お前の言うことなんか誰が聞くもんか!!!』
レイ『?!』
アスカ『シンジ……』
シンジ『ミサトさん!!指示をください!!!』
ミサト「は、はい……」
ゲンドウ「……これが反抗期か……」ウルウル
冬月「この時期は仕方あるまい。すぐに抜けることを祈るしかない」
ゲンドウ「そうだな……シンジ……早く反抗期から抜け出してくれ……頼むぞ……」
シンジ(そう。僕は平穏と引き換えに父さんを失ったんだ。でも、後悔はしていない。むしろ清々している。あんな父親、いつかエヴァで握り潰してやる)
シンジ(僕はあの日、そう誓ったんだ。簡単に脱がないミサトさんとアスカと綾波が居ればそれで満足なんだから……)
END
乙
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