コニー「サニー・・・マーティン・・・父ちゃん・・・・母ちゃん」(20)

51話までのネタバレありです。

完成しているので、サクサク貼っていきます。

ラガコ村 コニーの実家付近

調査兵1「全ての拘束杭を抜き終わりました」

ハンジ「よーし。移動させる為の荷馬車とロープ準備!!明日朝の出発に間に合うように急いで」

調査兵達「はっ」バッ

ハンジ「ふぅ・・・」チラッ

指示を出し終え、隣に立っている新兵をそっと見る。
彼は先ほど言葉を発したあと、ずっと手元の肖像画を握り締めたまま目の前を見つめ続けていた。

ハンジ「・・・ここからは私の仕事だ、あの巨人・・・君のお母さんを連れ帰り元に戻す方法を探し出す。だから、その時まで最低限配慮はするが扱いが手荒になってしまう事はわかってほしい」

コニー「・・・いえ、構いません」

ハンジ「そうか・・・」

彼がわかったと言いながらも肖像画を握った手が震えているのを見逃す事は出来なかった。

ハンジ「じゃあ、ここでの君の仕事は終わりだ。・・・本部に戻って報告書を出す時には、また協力してもらうけどそれまでは休んでもらって構わない」

コニー「・・・はい」

ハンジ「ほ、ほらっ。今日の夕食はいつもの野戦糧食じゃなくてまともなものが用意出来たって話だから楽しみにするといいよ」ハハハ

コニー「・・・・はい、楽しみにします」クルッ スタスタ

ハンジ「・・・・・・」

・・・はぁ、やっぱり苦手だ。部下を元気づけようなんて柄に合ってない。それでも、目にとまってしまったのだから・・・
夕日に染まる破壊された故郷の中を歩く彼の後ろ姿はなんだか、とても危うく見えた。

モブリット「・・・・分隊長」

ハンジ「!!・・・なんだぁ、いたのかモブリット」

モブリット「・・・・・彼は・・・この先大丈夫でしょうか?」

ハンジ「!・・・やっぱりそう見える?」

モブリット「ええ、彼が兵士として正常な判断を下していけるのかには疑問を持ちます・・・」

ハンジ「故郷と家族を一遍に失った上、ずっと仲間だと思っていた友の裏切り、か・・・」

モブリット「はい。ただでさえ辛いことが重なっていますから、どんなに傷ついているのかは想像もできません」

ハンジ「・・・・・・」

モブリット「・・・冷たいようですが彼の適正判断を行うべきと思います」

ハンジ「・・・そこまで必要?」

モブリット「私は正直、今の彼に安心して命をあずけることができません。正しい判断を行えない兵士は自分の命だけでなく仲間の命まで奪ってしまう・・・」

ハンジ「・・・そうだね」

モブリット「彼の様子を観察する必要があります。・・・もし、忙しいようでしたら私がやりますが・・・」

ハンジ「いや・・・いい。私がやる」

モブリット「分隊長がですか?」

ハンジ「あぁ、柄じゃ無いのはわかってるんだけど、本来それは分隊長である私がやる仕事だからね」

モブリット「・・・わかりました」

ハンジ「その代わり、彼のお母さんを移送する準備の監督をしていてくれ。もう暗くなりかけているからあまり意味はないかもしれないが一応遮光の布をかけて大人しくさせてから馬車に載せるんだ。いいね」

モブリット「はい」

ハンジ「じゃあ、頼んだよ」クル スタスタ

本来なら片時も離れたくない巨人のそばを離れる。兵士としての適正判断・・・精神的に不安になった者を素早く判別し除籍させる措置だ。
冷たいように思えるかもしれないが実際は違う、それが本人の命と仲間の命を救う事に繋がる。
そして、その判断を行う者はできる限り兵士に戻れるように協力する。決して単純に見捨てるわけではない。
モブリットも、壊れそうになる彼を救う方法を何かしら考えていたんだろう。彼には本来自分の仕事であるものの多くをやってもらっている。
特に研究以外の雑用などは彼に殆ど投げてしまっている。だから、今回も自分がやると言ったのだろう。人の心に入り込む面倒な仕事を。
だけど、こればかりは少しでも経験がある者がやったほうがいい。彼が経験不足というわけではないが私とでは差がある。まぁ・・・

ハンジ「・・・まぁ、経験だけでどうにかなるものでもないんだけどね」スタスタ

何から話すか・・・そんなことを考えながら破壊された村の中にいるはずの彼を探す。

ラガコ村 

コニー「・・・・」スタスタ

夕日に染まる破壊された故郷を歩き続ける。あぁ、こんな時間だったらそろそろ母ちゃんが、飯ができたからいい加減戻ってこい、って言ってるんだろうな・・・
サニーは戻ろうとするけど・・・きっとマーティンは遊び足りなくてまだ帰らないって言うだろう。
それで喧嘩になったところで父ちゃんに怒られて家に帰るんだろなぁ。家に帰ったら帰ったでまた母ちゃんに怒られて不機嫌になったマーティンをサニーが慰めてあげるかもしれない・・・
サニーは優しいからな。それから今日あったことを話しながら夕食を食べて、何も変わらない明日の事を話して、それから・・・・それからそれからそれから・・・・・・・・

コニー「!!」ピタ

そこにはおよそ半分が崩れた家の残骸があった。俺はこの家を知ってる・・・昔、サニーやマーティンと一緒に狩りを教えてくれたおじさんが住んでた家だ。
三人で用も無いのにやってきても嫌な顔もしないで迎えてくれて、狩り以外にも色々な事を教えてくれて・・・家の裏に生えてる木で木登りのうまいやり方を教えてもらったっけ。
確か、マーティンが上手くできないでべそをかいてたよな・・・そんなことを思い出しながら裏に回り込む

コニー「っつ、うっ・・」

裏に生えてた木は根元から倒れていた。家の内側から外に向かうように・・・

コニー「うっ、くそ・・・なんでこんなことにっ」

ぼやけた視界の中、倒された木の根元までたどり着く。そこにある人間のものよりはるかに大きい足跡を見つけて何かが壊れた気がした。

コニー「あぁ、どうしてだよ・・・なんで、なんで俺の村だけこんなっ」ザッザッ

コニー「くそっ、消えろ、消えろよ!!」ザッザッ

周りにある土で足跡を消そうとするが中々消えない。

コニー「はぁ・・・はぁ」ストン

やっとの事で足跡を消し終えると、その場に膝から崩れ落ちるように座り込む。

コニー「こんな事しても・・・何も、何も変わらねぇ」

コニー「なぁ、巨人にされるのってのどんな気持ちだったんだ?痛かったのか?怖かったのか?」

コニー「・・・痛くなけりゃいいなぁ・・・でも、怖かっただろうなぁ。訳も分からず急にこんな事・・・」

コニー「ごめんなぁ」

コニー「サニー・・・マーティン・・・父ちゃん・・・・母ちゃん」

コニー「俺、みんなに楽をさせてやりたくて兵士になったのに・・・こんなっ、ことになって・・・」

コニー「なんで俺は何もできねぇんだよ!!」

コニー「(何か・・・何か俺にできたことがあったんじゃねぇのか?・・・・!)」

コニー「・・・そうだ」

コニー「(俺は元々憲兵になるハズだったんだ、そうしてれば・・・)」

コニー「くそっ、くそっ。俺が、俺があの時・・・

ジャン「よぉ・・・」スタスタ

コニー「!?・・・ジャ、ンか?」

ジャン「あぁ」

コニー「・・・どうしたんだよ?こんなとこ来て」ゴシゴシ

ジャン「今日の仕事が終わったからな・・・ちょっと散歩にな」ストン

あいつはそう答えたあと、俺のすぐ隣に座った。

コニー「・・・・・」

ジャン「・・・・・」

ジャン「・・・なぁ、お前の母ちゃんの所にいなくていいのか?」

コニー「あぁ、あとはハンジさん達がやってくれてる・・・・俺にできることなんて何もねぇ」

ジャン「そうか・・・・」

コニー「・・・・・」

ジャン「・・・・・」

コニー「・・・一つ頼みごとしていいか?」

ジャン「なんだ?」

コニー「・・・・・・」

コニー「俺を殴ってくれねぇか?」

ジャン「はぁ?何言ってんだお前」

コニー「頼むよ!どうしても・・・どうしても許せねぇんだ」

ジャン「ちゃんと言わねぇとわかんねぇよ。言ってみろ」

コニー「・・・だってよ、俺兵士になって巨人を殺せるようになったってのに家族を巨人にされて・・・守る事なんて出来なかった!!」

ジャン「それはお前の責任じゃねぇだろ。こんな事になるなんて誰も予想出来なかったんだから」

コニー「けど、俺は母ちゃん達を逃がすことができたんだ!!俺が憲兵になってればその家族も一緒に内地で暮らせる。そうなってればこんな事には・・・」

ジャン「!・・・・・・」

コニー「あの時、俺が間違えていなけりゃこんな事にはなんなかったんだ。自分が許せねぇ・・・だから殴ってくれ!!」

ジャン「・・・それはできねぇ相談だな」

コニー「なんでだよっ!!」

ジャン「さっきのお前の話だがな、憲兵になれば確かにお前の家族は逃げられただろう・・・だけど、他の村の人はどうなんだ?お前は自分の家族だけ助かればそれで良かったのか?」

コニー「それは・・・そんなことはねぇけど、それでもっ」

ジャン「落ち着けよ・・・仮にお前がそうだったとしても俺はお前を殴れねぇよ」

コニー「は?」

ジャン「まぁ聞け。みんなが幸せになれるような選択なんてそう簡単にできるもんじゃないだろ。誰だって何かしら間違えたり後悔したりするもんだ・・・俺もな」

コニー「・・・お前も?」

ジャン「あぁ・・・トロスト区奪還作戦の時の事は覚えてるな?」

コニー「まぁ・・・」

ジャン「あの時俺たちの班は壁際で巨人を惹きつける役割だったな、極力戦闘は避けての」

コニー「あぁ」

ジャン「実際作戦道理に進んでいたな、損害は出ていてもまともに立ち向かうよりは抑えられていた・・・ただ、途中で異変があったな。巨人がエレンの方に食いつきやがった」

ジャン「あの作戦の肝はエレンだ。だから俺は自己判断でエレンの援護につく事を決めた・・・・・・・・・・・・・・その結果、マルコは死んだ」

ジャン「・・・俺がエレンの援護をするなんて言わなけりゃ・・・・」

コニー「け、けどよ、それは・・・

ジャン「あぁ!!わかってる。あの状況であの判断は正しかった・・・もし、今からあの時に戻れるとしても俺は同じ事を言う」

ジャン「・・・だがな正しい判断をしても割り切れねぇもんってのがあるんだよ。もしあの時、あの場から離れて持ち場に戻ってれば、俺たちだけじゃねぇ・・・他の班の援護だって受けれたわけだ。そうすれば、あいつだって生き残れただろうよ・・・」

コニー「・・・・・・」

ジャン「ははっ、俺が話聞いてやるつもりがすっかり逆になっちまったなぁ・・・すまん、コニー」

コニー「・・・いや、俺も同じだ・・・」

ジャン「?」

コニー「俺ももし、所属兵科を決める時に戻れるとしても・・また・・・調査兵団を選ぶと思う」

コニー「俺ってバカだろ、だけどあの時は一生懸命考えたんだよ・・・それで、最後はちょっとやけっぱちになっちまったけどよ、逃げだしちゃいけねぇって思ったんだ。ここで逃げたら何も変わらねぇって・・・」

コニー「ほら、俺は村の奴らを見返してやるつもりで訓練兵になったって言っただろ・・・あそこで逃げるように憲兵になっても村で馬鹿にされてた頃の俺とちっとも変らねぇって!!だからっ、た、例え家族のみんなが巨人になるとしても、俺はっ・・・

ガシィ

ジャン「いい!!・・・・・・それ以上言わなくたって分かる」

ジャン「・・・だからそんな事お前が言うな」

すみません。一部間違えました。

※12は無しでお願いします。

 直したものを貼り直します。

コニー「・・・・・・」

ジャン「ははっ、俺が話聞いてやるつもりがすっかり逆になっちまったなぁ・・・すまん、コニー」

コニー「・・・いや、俺も同じだ・・・」

ジャン「?」

コニー「俺ももし、所属兵科を決める時に戻れるとしても・・また・・・調査兵団を選ぶと思う」

コニー「俺ってバカだろ、だけどあの時は一生懸命考えたんだよ・・・それで、最後はちょっとやけっぱちになっちまったけどよ、逃げだしちゃいけねぇって思ったんだ。ここで逃げたら何も変わらねぇって・・・」

コニー「ほら、俺は村の奴らを見返してやるつもりで訓練兵になったって言っただろ・・・あそこで逃げるように憲兵になっても村で馬鹿にされてた頃の俺とちっとも変らねぇって!!だからっ、た、例え家族のみんなが巨人になるとしても、俺はっ・・・

ガシィ!!

ジャン「いい!!・・・・・・それ以上言わなくたって分かる」

ジャン「・・・だからそんな事お前が言うな」

ニー「すまん・・・」 

ジャン「別に謝る事じゃねえよ・・・でも、馬鹿のお前がそこまで考えてるなら次にやる事もわかってるんだろ?」 

コニー「・・・やる事?」 

ジャン「あぁ・・・俺らをこんな馬鹿みてぇな調査兵団に引きずり込んだ人類の希望様のおもりに行くんだよ・・・あいつ、今回の一件で落ち込んでやがるからな。俺が発破かけてやらねえと、どうにもなりゃしねぇ・・・・・・お前も手伝えよ」スッ

コニー「・・・・・・おう」パシィ

ジャン「・・・・」スタスタ

コニー「・・・・」スタスタ

コニー「・・・なぁ、ジャン?」 

ジャン「あぁ?なんだ?」 

コニー「・・・もし、俺がさ、お前の判断で・・・・・・・・・・・いや、やっぱなんでもねぇ」 

ジャン「余計に気になるじゃねぇか。言えよ」 

コニー「うるせぇよ・・・そうだ!どっちが早く荷馬車まで戻れるか競争な、負けた方が勝った方に夕食のパン一個っ」ダッ

ジャン「あぁ!?っテメェー先に走り出してるんじゃねえよ」ダッ

破壊された家の影

ハンジ「・・・・・・」

ハンジ「(・・・・どうやら私が出る必要はないようだね)」

ガサッガサガサ

ハンジ「!?・・・なんだ、またモブリット?。驚かさないでよ」クルッ

モブリット「移送の準備が完了したので報告に来ました」バッ

ハンジ「そっか、それはご苦労」

モブリット「・・・・・・それで、彼の方は?」

ハンジ「あぁ、大丈夫。無事立ち直ってくれたよ、自分達でね」

モブリット「自分達で、ですか?」

ハンジ「そう、彼ら・・・104期生は本当に強いね。ミカサやエレンだけじゃなくて普通の兵士までが困難を乗り越える力を持っている」

ハンジ「彼らのような兵士が仲間であることに私は誇りを持つよ。不安じゃない」

モブリット「!!・・・・・」

ハンジ「どうした?そんな驚いた顔して」

モブリット「い、いえ。分隊長も人間に興味があったんだなぁ、と」

ハンジ「・・・へぇ、モブリットもそういう軽口叩いたりするんだ」

モブリット「!!いやっ、これは軽口ではなく純粋な感想と言いますか・・・・」ゴニョゴニョ

ハンジ「ねぇモブリット、勝負しようよ」ニヤァ

モブリット「はっ?勝負ですか?」

ハンジ「そう。先に荷馬車まで辿り着いたほうが今日と明日の食事全部貰うっ」ダッ

モブリット「ちょっ、えぇ!?言い終わらない内に走り出さないでくださいよ分隊長っ」ダッ

ハンジ「(彼らを誇りに思う・・・その言葉に偽りはない。だから、私たちも彼らの信頼に応えられるような仕事をしなければならない)」タタタッ

ハンジ「(時間はかかるかもしれないけど君のお母さんは必ず元に戻せるようにから、その日まで私たちと共に生きて欲しい)」タタタッ

ハンジ「(巨人の謎が解明されるその日まで)」タタタッ

サニー・・・マーティン・・・父ちゃん・・・・母ちゃん・・・村のみんな・・・

死なせてごめん

守ってやれなくてごめん

せっかく俺は兵士になったのに何もできなかった

だけど・・・だけど俺たちにこんな事した奴らを許さねぇから

絶対見つけ出してやるから

だから、それまでの間ちょっとだけ待っててくれ

・・・もし俺がその途中で死んだとしても俺の仲間が必ず見つけてくれる

なぁ、ジャン

もし、俺がお前の判断で死んだとしても

俺はお前のこと恨んだりしねえからさ

ちゃんと『正しい判断』ってやつをしてくれよ

なぁ

頼むぞ

ジャン


ここで終わりとなります。

アニメの挿入歌「Call your name」を聞いてて考えた話でした。

拙い文章でしたが読んでいただいた方、ありがとうございました。

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