モバP「幸せの魔法」 (34)


工藤忍「……ふぅ」

佐城雪美「……忍……上手……」 パチパチ

忍「ふふっ、ありがと、雪美ちゃん」

忍「でも、もうちょっと練習しないと……ステップ失敗しちゃってたし」

雪美「……そう…なの……?」

忍「うん、やっぱりみんなと比べるとアタシはまだまだだから」

雪美「……私……より…上手……」

忍「雪美ちゃんは歌がメインだからね、歌はアタシより全然上手だよっ!」

雪美「……ありがと……」


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工藤忍(16)
http://i.imgur.com/DWRXOzz.jpg
http://i.imgur.com/YQFca6v.jpg

佐城雪美(10)
http://i.imgur.com/6jLSUCi.jpg


雪美「……忍……何で…練習してる……の……?」

忍「次のお仕事がもう近いから……いっぱい練習しとかないとね」

雪美「……お仕事……?」

忍「そっ、へへっ、大きな仕事なんだ!」

雪美「……何…するの……?」

忍「……見たい?」

雪美「……うん……」 コクッ


忍「じゃあ、このシルクハットを見ててね……」

雪美「…………」

忍「よっと!」

雪美「……お花……出た……」

忍「ふふっ、次のお仕事はマジシャンなんだって!」

雪美「……忍……魔法使い……」 パチパチ

忍「魔法はこのシルクハットだよっ!」

雪美「……もっと…見せて……」

忍「あー、今はこれくらいしかできないかな……」

雪美「……残念……」

忍「また今度新しい魔法を仕入れとくね」

雪美「……うん……」


ガチャッ

P「雪美、忍、お疲れ様」

雪美「……P……」

忍「あっ、Pさん」

P「もう遅いからそろそろ帰らないと駄目だぞ」

忍「ホントだ、こんな時間なんだね……」

雪美「……私…も……帰る……」

P「雪美はお母さんが迎えに来てくれてるぞ」

雪美「……うん……」

忍「…………」

P「忍は俺が送って行くよ」

忍「うんっ、わかった! 着替えてくるね!」


忍「お待たせっ! Pさん!」

P「よしっ、じゃあ帰ろうか」

忍「今日は車じゃないんだね」

P「あぁ、ちょっと点検に出しててな。申し訳ないけど歩きだよ」

忍「ううん、アタシは全然かまわないよっ!」

P「忍の家が近くて助かったな」

忍「アタシ的には事務所が近くて助かってるかな」


忍「Pさん、次のお仕事って何でマジシャンなの?」

P「んー、忍に似合うと思ったからかな」

忍「アタシに?」

P「そうだな、忍ならみんなに魔法をかけられると思ってさ」

忍「魔法って……アタシそんなのできないよっ!」

P「ははっ、そこは例えだよ」

P「忍は毎日手を抜かずしっかり頑張ってるからな」

P「そんな姿に励まされる人も多いんだよ、だから魔法ってわけだ」

忍「そうなんだ……」


P「忍は努力のアイドルだからな」

忍「ふふっ……」

P「どうしたんだ?」

忍「身近な人に認めてもらえるのが、なにより一番嬉しいなっ!」

P「そっか……」

忍「Pさん、アタシの努力……見ててくれたんだね!」

P「当たり前だろ、デビューした時から見てるさ」

忍「また今度レッスン付き合ってね」

P「時間を空けるようにしておくよ」

忍「練習するんだ! もっともっと!」


忍「あれ、このポスター……」

P「そう言えば、そろそろアイドル総選挙の時期だからな」

P「そこらじゅうで宣伝してるよ」

忍「これ……アタシも出るんだよね?」

P「もちろん、忍もアイドルだからエントリーされてるよ」

忍「どうなるのかな……」

P「わからんな。前回同様予測不可能だよ」

忍「そうだね、みんな可愛い子ばっかりだから……」


P「…………」

忍「やっぱりアタシなんかじゃ、全然なのかな……」

P「……忍」

忍「どうしたの?」

P「……どんな事でも応援してくれる人がいるんだ」

P「順位が気になるかもしれないけど、忍は忍で応援してくれる人のために頑張れ」

忍「……うんっ! そうだねっ! アタシ頑張るから!」

P「その意気だよ」


忍「Pさん……」

P「ん?」

忍「今日の私服……どうかな?」

P「…………」

忍「あ、あくまで一般的な意見でだよ?」

P「似合ってるよ、まぁ昔から服装のセンスは良いと思うけどな」

忍「ありがとっ! そう言われると嬉しいよっ!」

P「でもいちいち俺に確認しなくても良くないか?」

忍「いま、Pさんは1番近くでアタシを見てる人なんだよっ!」

P「あぁ、いつも一緒に居るからな」

忍「だから、Pさんにはいっぱい、見てもらいたいな!」

P「なんだそりゃ……」

忍「駄目かなっ?」

P「駄目じゃないさ、でも確認しなくても大丈夫だ」


P「着いたな、今日もお疲れ様だったな」

忍「……Pさん」

P「どうした?」

忍「……あの、その……家、寄ってく?」

P「家って、忍の家にか?」

忍「うんっ! 時間があるなら寄っていって欲しいなっ!」

P「別にかまわないけど、何かあるのか?」

忍「それは家に入ってからのお楽しみだよ」

P「お楽しみね……」

忍「じゃあ、いこっか!」


ガチャッ

P「お邪魔します」

忍「ふふっ、お帰りなさいっ!」

P「何か新鮮だな……」

忍「そういえば、この部屋に来たの初めてだっけ?」

P「そうだな、部屋に上がる事ってそうそう無いからな」

忍「どう、感想は?」

P「一人暮らしで大変なのにちゃんとしてるんだなって」

忍「……そっか」

P「どうかしたのか?」

忍「……よく考えたら掃除とかもうちょっとしとくんだったなって……」

P「俺の部屋に比べたら充分綺麗だと思うけど……」

忍「あはは。Pさん。細かい事は目をつむってね?」


忍「適当に座ってて、お茶入れてくるから」

P「わかった」

忍「はいっ、麦茶で大丈夫だよね?」

P「大丈夫だよ、ありがとう」

忍「どうしたの? さっきからソワソワしてるよ?」

P「やっぱり人の家って緊張するなって」

忍「ふふっ、Pさんはリラックスしてくれないとっ!」

P「そうもいかないだろ、そこまで神経図太くないよ」

忍「……アタシね親と同じくらいPさんも大切なのっ! アタシにとっては家族同然!」

忍「だから気楽にしていてくれると嬉しいんだっ!」

P「……そこまで言われるといつまでも固まってるわけにもいかないな」


P「んっ、マジックの本なんて買ったのか?」

忍「あっ、それ? やっぱりマジシャンなら練習しとかないとって思って」

P「こんな難しいやつはやらなくても大丈夫なんだけどな……」

忍「何事も練習第一だよっ!」

P「ま、忍がやる気になってくれてるのはありがたいよ」

忍「最近、お仕事が楽しくって!」

忍「アタシ、どんなお仕事でも頑張るからね!」

P「そうか、俺も負けてられないな」


忍「あっ!」

P「?」

忍「そう言えば、Pさんはリンゴは好きかな?」

P「ん、そうだな好きな方だよ」

ドサッ

P「なんだこりゃ、凄い数だな……」

忍「Pさんがリンゴ嫌いじゃなくてよかったよ」

忍「実家のお母さんがたくさんリンゴを送ってきてさ……」

忍「こんなにたくさん、アタシ一人じゃ食べきれなかったし……」

P「そうだったのか、こんなに送ってきてくれるんだな」

忍「一緒に食べてくれる?」

P「もちろん食べるよ」

忍「じゃあ早速剥くねっ!」


P「綺麗に剥くもんだなぁ、忍って自炊してるのか?」

忍「うん、簡単な料理だけどね」

P「へぇー……」

忍「あっ、でも今日はリンゴを食べるだけね!」

P「あら、残念だな」

忍「手料理はもう少し上手になったら……」

P「そんなの気にしないんだけどな」

忍「アタシが気にするの!」


忍「…………」

P「何か作ってるのか?」

忍「えへ……なにか、気になる?」

P「そりゃあな」

忍「……はい。ウサちゃん。どーお?」

P「おっ、上手だな。綺麗にできてる」

忍「これでも手先は器用なんだ♪」

P「確かに忍は妙に器用なとこあるからな」 モグモグ

忍「どう? Pさん、リンゴ美味しい?」

P「……旨いな、スーパーで売ってるのとは全然違うよ」

忍「ふふっ、よかった……」


P「…………」

忍「なに?」

P「こうやって忍とリンゴ食べるのも良いなって」

忍「……はぁ。なにさもう……」

P「リンゴ、食べさせてもらっていい?」

忍「……わかった。口開けて?」

P「あーん」

忍「はい、あーん!」

P「いやー、こういうシチュエーションを味わえて満足だよ」 モグモグ

忍「もう……アタシより年上なのに子供みたいなんだね……」

P「歳は関係ないさ」


P「でも、まだまだいっぱいあるな」

忍「大丈夫だよ、事務所とスタッフにもおすそわけするからっ!」

P「その方が良いかもな、みんなも喜ぶと思うよ」

忍「みんなにもウサちゃん作ってあげようかな」

P「雪美は喜ぶんじゃないかな」

忍「そうだね。明日持って行くよっ!」


P「こうやって色々送ってきたりしてくれてるのか?」

忍「うんっ! 前に着けてきたリボンもお母さんからのプレゼントだしねっ!」

P「あぁ、そう言えばそうだったな……」

忍「これでも最初は凄く反対されてたんだけどね……」

P「娘がアイドルになりたいって上京するとか言い出したら普通は止めるだろう」

忍「ふふっ、でも抑えきれなかったんだ……どうしても」

P「初めて会った時は凄い熱意だったもんな」

忍「アイドルになる夢だけは諦めたく無かったんだよっ!」

P「でもこうしてアイドルとしてやっていけてるから結果オーライだよ」

忍「アタシね、少しづつだけど、認めてもらえて……」

忍「今はみんなが応援してくれてるんだっ!」

P「良かったな……」

忍「これもみんなPさんのおかげなんだよっ!」


忍「アタシね、アイドルになりたくて上京してきて……」

P「確か単身で来たんだよな」

忍「うん、でも全然駄目だった……」

忍「でも、Pさんにオーディションで出会ってアイドルになれて……」

忍「ホントに嬉しかったんだよっ!」

P「俺からすれば忍がアイドルになれなかったのが不思議だったけどな……」

忍「上京したばっかりの頃はずっと不安だったけど……今は大丈夫!」

忍「みんながいるし、Pさんがこうしてそばにいてくれるからっ!」

P「ははっ、そう言ってもらえると嬉しいよ」

忍「うんっ、私もっと輝くから……アナタが私から目を離せないくらいにね♪」


P「あっ、そうそう。俺から忍にプレゼントだ」

忍「何かあるの?」

P「これだよ、缶コーヒーについてたやつだけど」

忍「あっ、このおまけ、これで全部そろったね!」

P「俺も飲み続けたかいがあったよ」

忍「アタシは缶コーヒー飲まないから……」

P「相変わらずそういうの集めるの好きなんだな」

忍「うん、やっぱり好きかなオトクな感じがして」

P「何か忍らしいな……」

忍「それって、褒め言葉なの?」

P「もちろん、マメな所が良いって言ってるんだからさ」

忍「ふふっ、じゃあ喜んでおくねっ!」


忍「Pさん、リンゴまだ食べる?」

P「もう1個くらいは食べるよ」

忍「じゃあ、はい、あーん!」

P「えっ、流石に自分で食べるけど……」

忍「あーん!!」

P「旨いな……」 モグモグ

忍「もう一個食べさせて欲しい?」

P「じゃあ、もらおうかな」

忍「まだまだいっぱいあるからねっ!」


忍「ね、Pさん」

P「ん?」

忍「実はリンゴと一緒に手紙も入っててさ」

忍「親からだったんだけど『プロデューサーさんとやらと、頑張りなさい』……だってさ」

P「相変わらず良いお母さんだな」

忍「ふふっ、どうする?」

P「どうするって?」

忍「アタシの事、お願いされてるんだよっ?」

P「それ前からだろ……電話でも言ってなかったっけ」

忍「あっ、そんな事言うんだっ!」


忍「Pさんっ!」

ポスッ

P「おい、急にもたれかかるなよ」

忍「……今だけはちょっとこうしていたいかな」

P「はぁ、毎回急にするから驚くよ」

忍「アタシだって不安な時があるんだよ?」

P「ま、気の張りすぎも良くないからな……」

忍「だからこうやって安心するのっ!」

P「安心ね……」


忍「Pさんはアタシがこんな事しても怒らないんだね?」

P「ま、忍なら良いかなって思ってるしな」

忍「そうなんだ、何か理由はあるのっ?」

P「んー、忍なら良いかなって……」

忍「……そっか」

P「そうだな」


忍「Pさん、私の為に時間取ってくれて……ありがとね!」

P「かまわないよ、こっちがお礼を言いたいくらいさ」

忍「アタシ、Pさんがアタシのプロデューサーさんで良かったなって……」

P「そうなのか?」

忍「うん、Pさんがいてくれたからここまでこれたんだなって思うから」

P「俺は少し手を貸しただけだよ、結局は忍の実力が1番大きいよ」

忍「アタシの実力かぁ……」

P「忍の努力が今の忍を作ってるんだよ」

忍「ふふっ、努力は実を結ぶんだっ♪」

P「まぁ、そういうこった」


忍「アタシ、今からライブが楽しみだよっ!」

P「今回もいっぱい人が来てくれるだろうからな、頑張っていこう」

忍「今回の衣装も素敵だけど、前の衣装も好きだったな」

P「あぁ、あの雪をイメージした衣装か」

忍「うん、故郷の雪景色を思い出してとっても素敵だったよっ!」

P「今でもやっぱり気になるのか?」

忍「ちょっと寂しくなる時はあるかな……」

P「無理も無いか、一人暮らしするには早い歳だもんな」

忍「でも、大丈夫だよっ!」

忍「お母さんからの手紙もあるし、Pさんがこうして励ましてくれるからっ!」


P「……さて、そろそろ帰るかな」

忍「こんな時間なんだ、早いなぁ……」

P「しょうがないさ、元々遅かったしな」

忍「…………」

P「…………」

忍「ね、Pさん!」

P「んー、どうしたんだ」

忍「泊って……いく?」

おわり


ここまで読んで下さった方、ありがとうございます

忍ちゃんSRおめでとうSS

でたばっかりなのでSRのセリフしか拾えなかったけど
セリフがデレデレだったので普通のイチャイチャ話

このスレはHTML化依頼を出しておきます

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