貴音「初恋〜一章 片思いの桜〜」 (10)


765プロ事務所

社長「アイドル諸君、ちょっと集まってくれたまえ」

社長「以前より伝えていた新しいプロデューサーが今日から事務所にやってくる」

社長「まだ、誰を担当するかは決まっていないが彼も765プロの一員だ」

社長「諸君、仲良くしてくれたまえ」

ザワザワ

ドンナヒトカナー

オトコノヒトコワイデスー

社長「うむ、今日中に担当を決めるつもりでいるからね」

社長「アイドル諸君もレッスンに励んでくれたまえ」

社長「では解散とする。……おっと、四条君はちょっとついてきたまえ」

貴音「はい?」

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社長室

貴音「高木殿、お話と言うのは…」

社長「うむ、四条君はこの春から我が事務所に来てくれているが」

社長「どうだね、皆とはうまく溶け込めたかね?」

貴音「ええ、皆とは大変良くさせていただいております」

社長「そうかそうか。うむ、実に結構」

社長「さっきも話したが、新しいプロデューサー君とも仲良くやってくれたまえ」

貴音「もちろんですが、どういった意味でしょうか?」

社長「いやいや、大した意味は無いが君たちは最近入ったという共通点がある」

社長「おそらく彼も親近感が湧くだろう」

貴音「なるほど、それでしたら私にお任せください」

社長「うむ、よろしく頼んだよ」

社長「話は以上だ。四条君もレッスンに励んでくれたまえ」

貴音「もちろんです。では高木殿、失礼します」

レッスン後 夜

貴音(れっすんも一通り終わりました)

貴音(真楽しくて胸躍ります)

貴音(しかし、こんな私は本当にでびゅーできるのでしょうか?)

貴音(いえ、これも国の民のためです)

貴音(頑張ってとっぷあいどるになってみせます!)

ネーアタラシイプロデューサドウダッタ?

イイカンジジャナイ

貴音(はて、新しいぷろでゅーさー殿には今日はお会いしなかったですね)

貴音(ほかの方についていたようですが)

貴音(明日は会えますでしょうか?)

ビューガタガタ

貴音(しかし今日は風が強いですね)

貴音(桜の花びらが舞ってたいへん美しいですが)

貴音(今年はまだ桜を見ていませんね)

小鳥「貴音ちゃん、そろそろ上がってもいいわよ」

貴音「はい、それでは小鳥嬢お疲れさまでした」

小鳥「おつかれさまー」

貴音(少し公園に足をのばしてみますか)

公園 桜並木


貴音(風が収まってきました)

貴音(月明かりもちょうどよく、素晴らしい眺めですね)

貴音「フフッ、昼の桜も良いですが夜桜もまた一興」

ザッ…

貴音(おや、私以外にも見物者がおりましたか)

??「……」ボソボソ

貴音(どうやら近づいてくるようです)

………………

貴音(なぜ私の近くに…)

??「……」ジー

貴音(はて、どなたでしょうか?)

?? フフッ

貴音(なぜ笑っているのでしょうか?)

貴音「何が可笑しいのですか?」クルッ

貴音(思わず聞いてしまいました)

貴音(しかしなぜでしょう、不思議な感覚です)

貴音(この方からは親しみが感じられます)

??「大丈夫だよ、僕も一緒さ」

貴音(はて、この方も夜桜を見てたと)

貴音(しかし、なぜ肩が震えているのでしょうか)

??「つ、月が綺麗ですね」

貴音「えっ」

??「あっ、すいません…」

??「えっと、765プロの四条貴音さんですか?」

貴音「ええ、そうですが… 貴方は?」

P「は、初めまして 今日からあなたのプロデューサーになった者です」

貴音「私のぷろでゅーさーですか……」

貴音(しばらく沈黙が訪れました)

貴音(なんだか春風が心地いいです)

貴音(この沈黙も苦ではありません)

貴音(何でしょうか、この気持ちは…)





貴音(それが彼と私の出会いでした)

貴音(そして今では)

ワイワイ ガヤガヤ

貴音「貴方様少しよろしいですか?」クイクイ

P「ん? 貴音か、どうしたんだ?」

貴音「じつはですね貴方様…」

貴音(こうして皆に隠れて内密に話す事が多々あります)

貴音(そして私は気づいてしまったのです)

貴音(この私自身の気持ちに…)

貴音(私は貴方様の事を好いているのです)

貴音(貴方様の新しい事を知るたびに)

貴音(もっと貴方様の事を知りたい)

貴音(もっと貴方様の傍にいたいと)

貴音(こうして肩を並べてお話できることがとても幸福に感じます)

貴音(こんな気持ちは初めてです)

貴音(桜色に染まっていく私の心)

貴音(これが初恋…)

貴音(いつかの桜のように貴方様の傍に)

貴音(きっと…)


貴音「フフッ」

P「どうした? 何か可笑しかったか?」

貴音「いいえ、何でもございません」

貴音(この震える胸は…)

貴音(笑いあえる私と貴方様…)

貴音(初めてできた心を許せる存在…)

貴音(めぐり合えた貴方様…)

貴音(貴方様のお気持ちは私にはわかりませんが)

貴音(これが私の初めての…)

貴音「片思い」

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