昔VIPで書いたことのあるピカチュウ♂とサンド♀の話をベースにしたSSです。
「あっ、ピカチュウ、見て。流れ星だよ」
横に立っているサンドが夜空を指さしながら話しかけてくる。
「どこ?」
ぼくは空を見上げたまま聞いた。
「ほら、あそこ。今動いてるよ、ほらっ。あっ、あそこにも」
サンドが次々とさす方向を眼で追ったけど、あるのは佇んでいる無数の星ばかり。
動いている星は1つも見当たらない。
「あっ、消えちゃった。ピカチュウ、見つけられた?」
「ううん、わかんなかった」
首をふって答えると、サンドは「そっかぁ」と残念そうにつぶやいた。
ぼくは夜空から眼をそむけてため息をついた。
がっかりしてるのはぼくも同じだった。
なんで見つけられなかったんだろう。ずっと星を眺めてたのに、どこに流れ星があったのかちっともわからなかった。
眼が慣れちゃっててほんとは動いてた星がとまってみえたのかな。もしそうだとしたらすごく損なことしちゃったなぁ……。
サンドはぱっと顔を明るくすると、ぼくに質問した。
「流れ星が見えてる間に3回願いごとをするとね、その願いがかなうんだよ。知ってた?」
「うん。でも誰かに話したらかなわなくなるんでしょ?」
「そうそう、詳しいね。わたし、心の中でちゃんと3回お願いできたよ。かなうといいなぁ」
サンドはニコニコしながらシッポをふっていた。
ご機嫌な様子からして、かなえば相当うれしいことなのは間違いない。
このコがお星さまにどんな願いごとをしたのか、なんとなく気になった。
「なにをお願いしたの?」
聞いてからぼくは、それがひどく愚かな質問だったことに気づいた。
――願いごとを誰かに言っちゃったらその願いは無効になる。
たった今自分でそう言ったのに、ぼくったらなに言ってるんだろ。
聞いたところで「ナイショだよ」って返されるのがオチだ。
でも案に相違して、サンドは笑みを保ったまま聞き返した。
「なんだと思う?」
「えっ?」
「当ててみてよ」
予想外の返答にぼくは戸惑った。
まさか、言葉遊びでも始めるつもりなのかな。
――秘密にしておかないと願いがかなわなくなっちゃうよ。それでもいいの?
そんなぼくの心の疑問に答えるように、サンドは言った。
「もし言い当てちゃったら責任とってね、ピカチュウ」
「責任って……」
「だってせっかくステキな願いごとをしたのに、言い当てられたらおじゃんになるんだよ。それじゃわたしが救われないじゃない」
じゃあなんで聞くの?
思わずそう言いそうになったのをぐっとこらえた。
気が強いポケモンなら「じゃあ聞くなよ」って言い返すんだろうけど、元々ひかえめなぼくにはそんな発言、とても口にできなかった。
元々イタズラっぽい性格のサンドのことだ。
ぼくを困らせてただ反応を楽しみたいだけなんだろう。
サンドは「ねぇねぇ、早く当てて」とやたらせかしてくるので、とりあえず思いついたことを片っぱしから言ってみた。
「『水嫌いを克服できますように』とか?」
「ブーッ。はずれ」
「『ミミロップともっともっと仲良くなれますように』かな?」
「あっ、ちょっとおしい」
「じゃあミミロップじゃなくてマスターかな?」
「また遠ざかっちゃったよ」
「そうなの? じゃあえっと……バトルにもっと出させてもらえるようにお願いしたとか?」
それを聞いたとたん、サンドは不服な表情を浮かべた。
「なんでそうなるの? バトルもマスターも全然関係ないよ。ピカチュウったら鈍感なんだから。もっと恋心を抱く女の子の立場になって考えてよ」
そこまで言うならじれったいことしてないで、さっさと答えを言えばいいのに。
大体ヒントもくれないのに当ててみてなんて言われても無理だよ。
兄弟とか親友とかの間柄ならともかく、ぼくとサンドはお互いニンゲンに飼われてるただの愛玩動物にすぎない。
決して仲が悪い方ではないけど、特別な関係というわけでもない。
それなのに恋心だの鈍感だの、さっきからなにを言ってるんだろう。
もしかしてハナから当てさせる気なんてないんじゃないか。
ぼくはだんだんそんな気がしてきた。
「大ヒント言ってあげるね。ピカチュウに関係があることだよ」
「えっ? どういうこと?」
ぼくはそれが本当にどういうことなのかわからなかった。
「わたしがした願いごとはピカチュウにすごく関係があるよ。さっさ言ってたミミロップをピカチュウに置きかえれば……ここまで言ったらもうわかるでしょ?」
サンドはぼくの顔をじっと見つめて答えを待っている。
ぼくは夜空を見上げて考えた。
さっきぼくがミミロップの名前を口にしたのは確か、「ミミロップともっともっと仲良くなれますように」と言った時だ。
で、サンドは今、ミミロップをぼくの名前に置きかえてと言った。
ということはつまり……?
「――ぼくともっともっと仲良くなりたい。そうお願いしたってこと?」
サンドは満面の表情で何度もうなずいた。
「大正解だよ。わたしね、ピカチュウともっと親密な仲になりたいなって前からずっと思ってたの」
「そ、そう」
「最初は秘密にしとくつもりだったんだけど、考えてみればこういった願いごとって胸に秘めておくより言葉にした方がいいもんね。
本人が聞いたらきっとうれしくなって、その気持ちにこたえようって思うわけだし」
サンドは1匹で勝手に話を進めながらぼくとの幅を縮めていく。
やがて密着するほどぴったりとくっつき、ぼくは戸惑った。
「サンド、くっつきすぎだって」
「どうして逃げるの?」
さりげなくサンドと距離をあけたけど、すぐにまた身体をくっつけてくる。
離れようとすればするほど、サンドは磁石のようにすすっと身を寄せてくる。
ぼくは顔が熱くなっているのを感じた。
気恥ずかしいってこういうことをいうのかな。
「あっ、もしかして照れてるの? あはっ、ピカチュウったらかわいい」
サンドはクスクスとおかしそうに笑う。
別に照れてるわけじゃないけど、否定したらこのコはより一層調子づいてぼくをからかうだろう。
ぼくはなにも言わず、その場に立ちどまって夜空を見上げた。
流れ星は……やっぱり見当たらない。
見つけたら「このコをなんとかしてよ」ってお願いしようと思ってたのに。
空を見つめたたまま黙っていると、サンドはぼくの耳元でささやいた。
「こうして一緒に星を眺めてるとあの日のことを思い出すよね」
あの日のこと――その言葉に反応したぼくの耳がピクッと動いた。
なるべく思い出さないようにしていたあの日の夜の出来事が頭の中でフラッシュバックされていく。
「さわるとツメでひっかいちゃうかもしれないから」という理由でサンドにオチンチンを舐められ、なぜか今度はぼくまでこのコの陰部を舐めるハメになった。
それだけでなく、このコの股間にある細い隙間にも半強制的にオチンチンを挿入させられた。
マスターの家の庭で繰り広げたサンドとのエッチな行為――思い出すだけで顔がかあっと赤くなる。
横目でサンドを見ると、顔を綻ばせながらぼくを見つめていた。
「ピカチュウ、わたしにオチンチンをかわいがられてすごく気持ちよさそうにしてたよね」
ぼくはそれを聞き流すことができなかった。
「へ、変なこと言わないでよ。きみが無理矢理やったことじゃんか。ぼくはずっといやだって言ってたのに」
「確かにあのときのピカチュウはやけに取り乱してたね。でもそのあとオチンチンからあの白いやつ出してたよね?」
サンドはいじわるっぽくそう言ってぼくに微笑みかける。
――妙な気持ちになりながらオチンチンから出した、白い液体。
おしっこを出す時と全く異なる感覚だったのは、数日たった今でもちゃんと覚えてる。
必死でこらえてたけどだんだんがまんできなくなってきて、あえなくこのコの出しちゃったんだ、確か。
「あれはだから……がまんできなかったから仕方なく出しちゃったっていうか……。と、とにかく、自分の意思で出したんじゃないよ」
「でもアレが出るのってオチンチンを刺激されて興奮してる証拠なんだよ」
「えっ? そ、そうなの?」
思いもよらない言葉に、ぼくは思わず聞き返した。
「そうだよ。もう1つ言っておくとね、あの白いドロドロしたやつってオチンチンがとっても気持ちよくなったら出るんだよ。性的な快感っていうのかな? よくわからないけど、とにかく気持ちよくならないと出ることはないんだよ」
きみはチンチンがついてないのにどうしてそんなに詳しいの?
そう思わざるをえなかった。
おおかたミミロップから聞き出した情報なんだろうけど、さっきからやけに難しいことばかり言う。
ぼくの顔つきを見て察したのか、サンドは予想どおり「ミミロップに教えてもらったことの受け売りだよ」とつけ加えた。
まったくあのポケモンときたら、どうしてすぐこのコに余計なことを吹きこむんだろう。
そういうのって普通どれだけしつこく聞かれても相手が幼かったら隠し通すものだと思うんだけど。
マスターとエッチなことをするのは勝手だけど、こどものぼくたちを大人の世界に誘うのはやめてくれないかな。
「そういえばピカチュウ、わたしがあなたにまたがって腰を動かしてたとき『オチンチン気持ちいい!』って叫んでたね」
「い、いや、あれはなんていうか、無我夢中になってたから……。つまりその、あんまり自分でも覚えてないんだ」
「でも気持ちよかったんでしょ? 気持ちよかったからあの白いやつ出したんでしょ?」
「……」
なにも言い返せず、眼をふせて黙りこむ。
確かに以前のぼくはそんなことを言ってた気がする……ううん、気がするじゃなくて言ってた。
ぼくのお腹にまたがり、オチンチンとつながった状態のサンドが腰を上下に動かしてたときの光景が脳裏をよぎる。
サンドの体内でチンチンがこすれ、思わず出してしまった高い声。
強烈な刺激に耐えきれず、ぎゅっと眼をつぶっていたぼく。
オチンチンからなにかが込みあげてくるのを感じた直後にはもう、このコの体内に白いおしっこを出していた。
ぼくから離れたサンドがぼくを見下ろしながら、おまたから白い液体をトロトロ流していたのは今でも忘れられない。
「あっ、あとね」
サンドはなにかを思い出したかのように口をひらいた。
「オチンチンから出る白いやつの正体も教えてもらったよ。あれね、“精液”っていうんだって」
「せーえき?」
聞き慣れない単語にぼくは面食らった。
ぼくは“白いおしっこ”と勝手に名づけてたけど、どうやら正式な名称があるらしい。
ミミロップったらそんなことまでこのコに教えたんだ……。
ぼくは唖然としてサンドを見つめた。
「なんでもタマゴを作るためにはエッチと精液が欠かせないものなんだって」
「タマゴ?」
「大多数のポケモンがタマゴから産まれてくるのは知ってるでしょ?」
「う、うん。まあ……」
ピチューとかピィなどの赤ちゃんポケモンはみんなタマゴから産まれてくる。
タマゴはペリッパーがどこかから運んでくる。
その程度しか知らない。
「精液はそのタマゴができる大事なもとになるんだって。わたしとピカチュウは大丈夫だと思うけど、中にはタマゴができない組み合わせのポケモンもいるみたいだよ」
「へぇっ……」
「でもメタモンってポケモンは基本的にどんなポケモンのタマゴも作ることができるんだって。もしピカチュウがメタモンとエッチなことをしたらピチューのタマゴができるはずだよ」
「そ、そうなんだ」
サンドの言うことは難しいことだらけで、ぼくはただ相づちをうつことしかできなかった。
性に関する事柄についてなんにも知らないぼくに、サンドは得意げに説明を続ける。
「マスターとミミロップは毎晩わたしたちの眼を盗んでエッチなことしてるけど、本来ニンゲンの精子でポケモンが孕むことはないんだって。
だからミミロップ、『マスターと子作りしたかったわ』って残念そうに言ってたよ」
精子――その単語には聞き覚えがあった。
マスターがこの前お風呂でぼくのチンチンをいじりながらそんなことをつぶやいてた気がする。
「こんなポコチンでも精子って出るんだなぁ」って妙に感心してたのが印象的だった。
で、そのあとはいつものようにやらしい手つきでチンチンを撫でまわしてきたり、先っぽの穴を指先で愛撫してきたんだよね。
あぁ、やだ。思い出すだけで恥ずかしくなる。
今日はここまでです。
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