勇者「魔王を倒しに行こうぜ」(123)

ハピ娘「はぁ~」ホクホク

リザ娘「良い湯だったな」ホカホカ

ゴレ娘「気持ちよかったー」ホコホコ

戦士「おかえり」

勇者「満喫しているようで何よりだ」

リザ娘「なんだ、もう上がっていたのか」


勇者「魔王を倒しに行こうぜ」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1388390258/)

勇者「ところで思ったんだがゴレ娘は大丈夫なのか?」

戦士「硫黄と腕とかさ」

ゴレ娘「二人に虐められた~」メソメソ

リザ娘「そこはあたし達も心配だったから」

ハピ娘「ちゃんと真水で洗っておきましたわ」

ゴレ娘「暖かくなかったー」

戦士「そりゃご愁傷様だな」

ハピ娘「念の為に私の羽もリザ娘さんの鱗も洗いましたけどね」

翌日
勇者「ここらの筈だが……」

戦士「洞窟らしいもんはねーな」

リザ娘「ゴレ娘」

ゴレ娘「ヤイヤイサー」ザッザッ

ゴレ娘「……」

ゴレ娘「……目の前に通路があるっぽい」

ハピ娘「……崖ですわね」

リザ娘「ゴレ娘!」

ゴレ娘「ヤイヤイサー!」ブォン

ゴレ娘「とぉー!」ドゴォン

勇者「わー……」ガラガラガラ

戦士「超パワープレイ」ガランガラ ガラン

ハピ娘「土砂崩れか何かで埋まってしまっていたようですわね……」

勇者「う、お……」

戦士「これは因縁の祠だな」

ハピ娘「魔力は安定しているようですわね」

リザ娘「どうする、行くのか?」

勇者「まあ……行かなきゃ来た道戻って、あの祠に行かないとだしなぁ」

ゴレ娘「迂回路も無し?」

戦士「こっからどう迂回するんだよ……完全に雪山越えだぞ」

シュン
勇者「っと」

戦士「結構こっちも冷え込んできたな」

リザ娘「そうか?」

ゴレ娘「そーでもない」

ハピ娘「まだまだこれからですわ」

勇者「三人の……三人の感覚に涙が」

戦士「頑張れ、耐えるんだ……」

勇者「にしてもここはどの辺りだ……」

ハピ娘「飛んで様子を見てきましょうか?」

戦士「いや、結構山とかあるし、地図だけで分かるんじゃねーかな。どうよ?」

勇者「……。え? ここ?!」

リザ娘「そこなのか? なんだ、魔王城最寄の国じゃないか」

戦士「お、近いところに拠点があるな」

ゴレ娘「最終決戦?」

勇者「いや、ここらは敵も強いから今までほど快進撃って訳にいかないだろうな」

勇者「敵やその拠点を叩く場合、何よりも面倒な事がある」

戦士「あー」

リザ娘「む、我々の力を過小評価していないか?」

戦士「そこじゃないんだよなぁー」

ハピ娘「どういう事ですの?」

勇者「以前話したよな。大抵の勇者が金稼ぎしかしてないって」

ゴレ娘「特権様様ー?」

戦士「金稼ぎが目的の連中、稼ぎ方が二通りなんだわ」

勇者「一つは犯罪行為。ま、特権すするだけのクズどもだ」

戦士「もう一つが魔物討伐や依頼を受けて稼ぐ連中だ」

リザ娘「へえ」

ハピ娘「後者は随分とまともですわね」

ゴレ娘「だねー」

戦士「ところがどっこい……」

勇者「魔物が強ければ強いほど稼ぎが良い。ともすればそこでの衝突がある訳なんだ」

ハピ娘「なるほど……けれども、それほど問題なのかしら?」

勇者「こんな所で戦っている連中ってのは大概、馬鹿みたいに強いんだ」

戦士「言っちゃあ何だが、まあ戦闘狂が多いって話だな」

リザ娘「彼らの狩場に紛れ込んだら襲われる、と?」

勇者「それで潰れたPTがいくつかあるからなぁ」

戦士「縄張り争いってのも十分あるんだろうけどもさ」

ゴレ娘「罪に問われないの?」

戦士「やー……状況を立証する者がいないから。勝ったら正義がガチなんだよ」

勇者「そんな訳だから衝突を回避しつつ進みたい訳だ」

リザ娘「なるほどな。ならば街道を……って街道すら見当たらないんだな」

戦士「最短で南8kmはあるな」

勇者「そして4km先に魔物の砦があるらしい訳で」


荒くれ者達「あァんだゴラァ!」

ハピ娘「こうなる訳ですわね」

ゴレ娘「こうなる訳だー」

勇者「俺達は貴方達の邪魔をしたい訳でも手柄を奪うつもりない」

勇者「ここを通させて欲しい」

荒くれ者A「アァ?! んなモン信じられっかよぉ!」

荒くれ者B「おい! よく見りゃあの女共魔物とのハーフだぜぇ!」

荒くれ者C「気持ちわりぃ!」

リザ娘「……」ピク

荒くれ者A「見ろよあの腕! 岩くっつけてやがるぜぇ!」

ゴレ娘「む!」

荒くれ者D「だけど顔は悪くはねーな」

荒くれ者C「羽のねーちゃんはおっぱいでけぇじゃねぇか。そいつらのお粗末なもんでも挟んでんのか!」

ハピ娘「……げ、下品な」ピクピク

荒くれ者A「その牝豚どもを置いてくってんなら、てめぇら二人は見逃してやらん事もねぇな。なあお前ら!」

荒くれ者B「ちげぇねぇ!」ゲラゲラ

荒くれ者C「そーそー、坊やはてめぇの手で慰めなぁ!」

荒くれ者D「まずは羽のねーちゃんのおっ」ヒュン

荒くれD首「っは」ゴト

荒くれ者ABC「……。は?」

リザ娘「え……?」

ハピ娘「な、なん……」

ゴレ娘「……ゆ、勇者?」

勇者「……」ヒュン

戦士「仮にも好いた相手だ。ここまで言われて引きさがれっかよ」スラン

リザ娘「お、おま……相手は人間なんだぞ!」

勇者「だからこそだ。余計に性質が悪い」

荒くれ者A「ざっけんなよぉ!」

荒くれ者B「ぶっ殺してやる!」

戦士「おらぁ、来いよ! 返り討ちにしてやんぜ!」

荒くれ者B「こひゅー……こひゅー」

戦士「よっと」ザッ

荒くれ者AC「」

リザ娘「何も殺す事は……」

勇者「荒くれ者四兄弟、危険勇者として注意喚起はされてはいたんだよ」

戦士「稼ぎ方が二通りって言ったな。ありゃ嘘だ、両方やってる連中もいてこいつらそうなんだよ」

ハピ娘「だからと言っても……」

ゴレ娘「……勇者達、人殺し?」

勇者「……一応ね、用心棒で小銭稼いでいた時に窃盗団と、な」

リザ娘「……」

勇者「……俺達が怖くなったか?」

戦士「強制するつもりはねーよ。今から抜けるか?」

ハピ娘「馬鹿を仰らないでいただけません事? 過去がどうあれ、お二人とは四六時中共に過ごしたのですよ」

リザ娘「正直驚いてはいるが、二人を軽蔑したりはしないさ」

ゴレ娘「……んー。ありがとう」

勇者「え?」

ゴレ娘「あたし達の事で怒ってくれて。守ってくれて、ありがとう」

勇者「礼を言われるような事は……」

戦士「人殺しは人殺しだもんな」

リザ娘「この者達を生かして捕らえる事が難しかっただからだろ?」

ハピ娘「正直……私達は本気で人間相手となると及び腰になってしまいますわ。私達とて人を殺すのは……」

ゴレ娘「三人だけだったら、多分誰か捕まってた」

リザ娘「汚れ役を押し付けてしまって……すまない」

戦士「お前らが守れんならこんなの大した事ぁねーよ」

……
戦士「さって……砦の魔物もなんとかなったなぁ」

リザ娘「雪水晶の剣の力があまりにも大きいな」

ハピ娘「町が見えてきましたわね」

勇者「少しゆっくり休むか」

ゴレ娘「……二人とも大丈夫?」

戦士「何がよ?」

ゴレ娘「無理してない?」

勇者「初犯じゃないしなぁ」

戦士「待て、それだと今回も前回も俺達が全面的に悪い事になるぞ」

ゴレ娘「くつろぎ~」ボッフンギッシギシ

ハピ娘「ベッドにも慣れてきてしまいましたわね……」

リザ娘「中々あの生活には戻れないだろうなぁ」

戦士「いいじゃねえの。魔王を倒せば俺達は英雄だぜ。そりゃあもう遊んで暮らせるだろうなぁ」

リザ娘「英雄となるのであれば英雄としての義務もあるだろう。決して遊んでは暮らせないだろ」

ハピ娘「それでもサクセスストーリーですわね」

ゴレ娘「贅沢できる?」

勇者「……」

勇者「ちょっと皆に話しておくか」

戦士「何だよ改まって」

勇者「機密に触れるから全ては話せないんだが、一応の着地は魔王討伐じゃないんだ」

戦士「そうなのか?」

ハピ娘「戦士さんでも驚くのですね」

リザ娘「何処見ても魔王は討伐して然るべき、とした触れ込みだしな」

ゴレ娘「なんで討伐じゃないのー?」

勇者「一応、国王達は今までのような魔物の襲撃が無い世であればいいとしている」

戦士「それだって魔王が現れた所為じゃねーのかよ」

勇者「あー……うーん」

勇者「魔王城が突如現れた訳じゃないんだ。魔物の襲撃が始まったその時に魔王城が出来上がった訳じゃないというか」

リザ娘「……機密だから深くは聞かないが、どれほど前からかは定かでないが魔王達は以前から存在していたと」

ハピ娘「何が要因でこちらを攻撃し始めたのか、そこの解決が勇者達に与えられた任務である、と?」

勇者「そんな所だ」

戦士「しっかし、話し合いが通じんのかねぇ」

ゴレ娘「いきなり襲い掛かってきそー」

勇者「その時は戦うしかないなぁ……」

リザ娘「一先ずは和解という線で考えておけばいいのだな」

勇者「そういう事で」

勇者「とりあえず今日はゆっくり休んで買い物は明日にするか」

戦士「報酬もたんまりもらったしな」

ゴレ娘「あたし観光してくるー」

勇者「俺も着いていくよ。こんな所まで来る事なんてそうそうないしなぁ」

ハピ娘「私は羽の手入れをしていようかしら……」

リザ娘「特にやる事無いな……」

戦士「俺はゆっくり宿で休んでるよ」

ゴレ娘「お店ー」

勇者「何か食べるか?」

ゴレ娘「いいのー?」

勇者「これでも結構懐が暖かいからな。何食べるか?」


ゴレ娘「……美味しい!」

勇者「はは、そりゃ良かった」

ゴレ娘「……勇者」

勇者「どうした?」

ゴレ娘「大好き」スリ

勇者「ありがとう、俺も大好きだよ」

ゴレ娘「大好きだよ?」

勇者「んん?」

ゴレ娘「勇者の事が……好きだよ」

勇者「……」

勇者「……え? え?」カァァ

ゴレ娘「イヤ?」

勇者「そんな訳無いだろ……あーくそ」ガシガシ

勇者「先に言われたら格好がつかないじゃないか」

勇者「愛してるよゴレ娘。俺と付き合ってくれ」

ゴレ娘「うん、勇者。愛してる」ギュ

勇者「……ああ、俺もだよ」ギュ

リザ娘「にしても……」

戦士「どうした?」

リザ娘「なんだかんだでこんな所まで来たんだな」

戦士「だな」

リザ娘「……お前達はこの旅が終わったらどうするつもりだ」

戦士「そうだなぁのんびり暮らしてーよなぁ」

リザ娘「お前は本当に何時でもそんな感じだな」

戦士「何時も気張ってたって良い事ねーしな」

リザ娘「あたし達は……どうするかなぁ」

戦士「立場的な事か」

リザ娘「結構重たい話なんだよ……こうして人前にも出てしまった以上はな」

戦士「んじゃあハーフの権利でも勝ち取りにいくか?」

リザ娘「生憎、そうした難しい事は苦手なんだよ」

戦士「だろうな」

戦士「んじゃあさくっと地位向上を目指すか?」

リザ娘「それが出来れば苦労はしないさ」

戦士「いやいや、勿論俺達が魔王をどうにか出来ればだが、結構簡単にできるんだぜ?」

リザ娘「そりゃあいい。お前にどんな案があるんだ?」

戦士「リザ娘、俺はお前の事が好きだ。付き合ってくれ」

リザ娘「……は?」

リザ娘「……」

リザ娘「……はぁ?!」カァァ

戦士「冗談でも何でもねーからな。お前に惚れてんだからな」

リザ娘「ちょ、ちょっと待て! 落ち着かせてくれ!」

リザ娘「……ほ、本気で言っているのか?」

戦士「冗談じゃねーって言ってるだろ」ズイ

リザ娘「う……待て待て、近い近い!」

戦士「お前は俺の事をどう思っているんだ?」

リザ娘「そ、それは……あ、あたしは見ての通りの体だぞ! こんなだぞ!」

戦士「んな事を一々気にしてたら告白なんかしねーよ」サラ

リザ娘「っ! や、止めてくれ……右顔はその、本当に見られるのが嫌なんだ」

戦士「俺はお前のこの顔も手足も、愛せる自信があるぞ……つーか全部ひっくるめて好きだ」

リザ娘「……馬鹿」カァァ

リザ娘「あたしなんかで……本当にいいんだな」

戦士「お前じゃなきゃ嫌なんだよ」

リザ娘「……全く、そんな真面目な顔が出来るなら普段からすればいいものを」

戦士「俺が真面目になんのは特別な事だけって決めてんの」

リザ娘「……」

リザ娘「その……嬉しいよ、戦士。正直、告白されるだなんて思っていなかった」

リザ娘「好きだよ、戦士」ギュ

ハピ娘「ふんふーん♪」バサァ

ハピ娘「うーん、羽が綺麗になると気持ちも清々しくなりますわぁ」ノビー

ハピ娘「さて、と……手入れはこれぐらいにして宿に戻りましょうかしら?」


勇者「お。おかえりー」

ゴレ娘「おかえりー」

戦士「結構遅かったな」

リザ娘「羽の手入れは何時も時間がかかるからな」

ハピ娘「な、何なんですの……二人ずつその距離間は何なんですの?!」

……
ハピ娘「酷いですわ……」メソメソ

ゴレ娘「ごめんね」

リザ娘「正直すまないが」

ゴレ娘「勇者渡せない」

リザ娘「あたしも譲れないなぁ」

ハピ娘「むきぃぃぃ!!」

勇者「意外だな……お前はハピ娘に告白すると思ったよ」

戦士「んな事言われても俺はリザ娘に惚れちまったんだから仕方ないだろ」

ハピ娘「うっ……うっ……」シクシク

勇者「あーなんだ、ハピ娘にはハピ娘の魅力があるからさ」

戦士「そ、そーそー、別にお前が何か悪いって話じゃないんだしさ」

ハピ娘「でもお二人はリザ娘とゴレ娘がいいんでしょ?!」

勇者「ああ」

戦士「おう」

ハピ娘「うぇーーん!」

リザ娘「もうちょっとオブラートに包む気は無いのか?」

戦士「いや、だってここは覆しようがないしな」

勇者「圧倒的な事実を前にしてどう言っても変わらないだろ」

ゴレ娘「勇者好きー」ギュ

戦士「まあなんだ、ハピ娘だって美人だし器量良いしすぐに良い人見つかるって」

ハピ娘「なら私も貰って下さってもよろしいのですよ」キッ

勇者「いやー重婚は認められてないし」

ハピ娘「なら魔王討伐による褒賞として法律の改定をして下さるのですね」キッ

勇者(不味い)

戦士(目が本気だ)

ハピ娘「お二人も酷いですわ……親友だと信じていたのに」ブツブツ

リザ娘「別に裏切るつもりはなかったんだが……まあ誰か一人はあぶれる人数だったわけだしな」

ゴレ娘「うんうん」

リザ娘「因みにハピ娘は勇者と戦士、どっちが好きだったんだ?」

ハピ娘「どちらとも魅力的ですわよ! いっその事、お二人から告白されたいぐらいでしたわよ!」

リザ娘「お前……それはそれでどうなんだ」

ゴレ娘「ハピ娘ちゃん、浮気者ー」

ハピ娘「ち、違いますわ!」

勇者「まあなんだ。旅の仲間である事には変わりは無いんだ」

戦士「これからも一緒に頼むぜ」

ハピ娘「分っていますわよ……うぅ、何なんですの、この疎外感」

ハピ娘「っは! まだチャンスはありますわ! であるならば既成事実をっ」

リザ娘「まあ流石にそれは許さないけどな」

ゴレ娘「はっ倒すー」

勇者「二人も結構ドライだな」

翌日
ハピ娘「……」ドンヨリ

戦士「何とか元気付けられねーかな?」

リザ娘「無理だろう」

勇者「俺達も二人も原因だからなぁ」

ゴレ娘「ハピ娘ちゃんハピ娘ちゃん」

ハピ娘「何よ……」

ゴレ娘「勇者、戦士、ハピ娘ちゃん好き?」

勇者「え? ああ」

戦士「そりゃあな」

ゴレ娘「褒賞で重婚許可で皆ハッピー?」

リザ娘「あ、こら、そういい加減な事を言」

ハピ娘「……」ギラッ

ハピ娘「おーっほっほっほ! 見てなさい魔王! 首を洗っているといいですわ!」

勇者「え」

戦士「なんて事を……」

ゴレ娘「……ダメ?」

勇者「え? いや、例えでも何でもなく、俺がハピ娘と抱き合っていたら嫌じゃないか?」

ゴレ娘「んー……あたしは」

ゴレ娘「あたしは皆と一緒がいいな」

リザ娘「……そうだな、何だかんだであたし達三人はもう家族みたいなものだからな」

戦士「五人で一緒に暮らそうってか?」

勇者「常にお前と顔を合わせるのか……」

戦士「それはそれでなぁ」

リザ娘「え……お前達はそんな感じなのか」

勇者「親友ではあるがそこまではなぁ」

戦士「一つ屋根の下で暮らしている訳でもねーし」

リザ娘「ああ……そういうものか」

ゴレ娘「ふーん?」

ハピ娘「おーっほっほっほ! おーーーほっほっほっほ!!」

勇者「というかハピ娘は大丈夫なのかあれ」

リザ娘「深い落ち込みの反動だ。貴族の所から帰ってきた時もそうだったからそっとしてやってくれ」

勇者「……」ガチャガチャ

勇者「なんだこの鎧、すげー軽いのに頑丈だ」ガンガン

リザ娘「最前線ともなる国だと違うな」

戦士「へっへ、全装備換装だぜ……なんだお前ら、フルプレートにしなかったのか」

リザ娘「お前と違ってパワータイプじゃないからな」

勇者「ある程度体が動かしやすくないと逆にウィークポイントになるだろ」

ハピ娘「はー……まさか私が鎧を着る日が来るだなんて思っても見ませんでしたわ」

戦士「羽がある分、童話のヴァルキリーそのものだな」

ハピ娘「ふふん、私になびいてもよろしくてよ?」

ゴレ娘「着れたー」ガシャガシャ

リザ娘「ゴレ娘はフルプレ……」

戦士「全身甲冑にすっごいごつい岩の左腕が……」

ゴレ娘「似合ってる?」クルッ

勇者「似合ってる似合ってる。というか凄い格好良いなそれ」

ハピ娘「ま、まさかの調和ですわね」

翌日
勇者「ここから先は敵も強いし慎重に行くか」

ゴレ娘「悪い勇者もいっぱいー?」

戦士「確認してきたが何とか鉢合わせせずに済みそうだ」

リザ娘「なんで分……ペンダントか。何気に優秀だな、これ」

ハピ娘「魔物も人も避けて行かないと、というのは面倒ですわね」

勇者「あと、魔王城に向かう的な発言も控えるように」

リザ娘「不味い事があるのか?」

戦士「そらなー」

勇者「金稼ぎしている連中は勇者だから稼げんのさ」

ハピ娘「あ……前提が崩れさって」

勇者「見つかったら袋叩きにされるだろうな」

リザ娘「恐ろしい話だな」

戦士「もっと恐ろしいのはそういうの危惧して、常に全勇者の位置を追っているやつだ」

ゴレ娘「あたし達の進路バレバレー」

勇者「だから迅速に慎重かつ隠密に進まないとなんだ」

戦士「ある程度魔王城の領域に入っちまえば追ってこないだろうがな。連中も死にたくねーだろうし」

三週間後
勇者「あれが魔王城だ」

戦士「夜をまって侵入するのか?」

リザ娘「それが無難だろうな」

ハピ娘「それにしてもなんて強い魔力なんでしょう……」

ゴレ娘「魔力に呑まれそう……」

勇者「皆、気を張って行くぞ」

戦士「おうよ」


勇者「……」ザッザッ

勇者「……」ザッザッ

勇者「」クラッ

勇者「っは」ビク

勇者「やばい、呑まれかけた……皆大丈夫か」

戦士「え……」ボー

リザ娘「……なに」ボー

勇者「皆っ」

ゴレ娘「!」ビクン

ハピ娘「っは!」ビク

戦士「えっあ?!」

リザ娘「ぐ……魔力に呑まれていた、のか」クラ

勇者「! ここは、城門か」

戦士「う! お! や、やべぇ、どうす」ギギ ギギギギ

リザ娘「城門が開く……」

ハピ娘「!!」バッ

ゴレ娘「……誰もいないー?」

勇者「いや……」

側近「……」

側近「お待ちしておりました、魔王様がお待ちです。どうぞこちらへ」ペコ

勇者「戦う意思は無い、という事か」

側近「少なくとも我々には」

戦士「じゃああの魔物達は何なんだよ!」

側近「それも含めて魔王様は貴方方人間と話をしたいと思ってらっしゃいます」

リザ娘「信じていいのか、これ」

ハピ娘「臨戦態勢で臨みますわよ」

ゴレ娘「奇襲ー……」

魔王「よく来てくれた、君達人間と話ができて嬉しいよ」

ハピ娘「王にしては若いですわね」

ゴレ娘「王子様ー?」

戦士「魔王ってんだし寿命が長いんだろ」

リザ娘「あたし達の姿を見ても人間だと……」

魔王「我からして見れば人間よ」

勇者「……」

魔王「まずは魔物達の事だ。我々による統制が取り切れなかった事を謝罪しよう」

リザ娘「暴徒化している、というのか?」

魔王「今現在、あの魔物達は我々にも攻撃をしかけてきている」

魔王「お陰でこちらの居住区に防衛線を敷くだけで手一杯なのだよ」

ハピ娘「人間側に支援をする余裕は無かった、と?」

魔王「その通りだ……本当にすまなかった」

勇者「……」

魔王「可能であれば我々と人間、双方の調和の為にも手を貸して欲しい」

魔王「無論、今すぐに信頼して貰えるとは思っていない」

魔王「城内の一部区画を自由に使っていい。すぐに答えも求めないし自由にしてくれたまえ」


勇者「と言われたが」

戦士「不安だしな」

リザ娘「ああ、孤立した所で各個撃破されては堪ったもんじゃないから」

ハピ娘「とは言え、五人で過ごせる部屋が八人部屋だけというのも落ち着かないですわ」

ゴレ娘「広ーい」

勇者「……」

戦士「つーかマジでこれからどうすんだ」

リザ娘「飽くまで魔物の襲撃を止めなくちゃならないとなると……」

ハピ娘「協力以前に騒動を治める方向に動く他ありませんわね」

ゴレ娘「どーするの?」

戦士「そこら辺は明日、話し合う感じか?」

リザ娘「そもそも何故暴走しているのか、というのもあるしな」

勇者「……」

戦士「んじゃまあ明日に備えてとっとと寝るか?」

リザ娘「野営時のように見張りを立てるか」

ハピ娘「う……確かに危険ですわね」

ゴレ娘「勇者どーしたの?」

勇者「何か引っかかるんだよ……だけどそれが何なのかさっぱり思い出せないんだ」

リザ娘「違和感か? しかし初めて来たのだろう?」

ハピ娘「そういえばあの魔力、感じられなくなりましたわね」

戦士「それなんじゃね?」

勇者「うーん……」

翌朝
側近「申し訳ありません。魔王様は急務ができてしまい、謁見の方はお控え頂きたく」

勇者「タイミングが悪いな……」

側近「城内の案内でしたら私めが承り致します」

戦士「んじゃあ見させてもらおうか。ま、不都合なもんはとっくに隠してるんだろうがよ」

リザ娘「戦士」ゲシ

側近「皆さんからすれば我々は諸悪の根源。であるにも関わらず、こうして理解をしようとして下さっている」

側近「それだけで私どもは嬉しいのですよ」

ハピ娘「……あら? あれは?」

側近「兵士の宿舎を新しく建てているところです」

ゴレ娘「なんでー?」

側近「この状況ですからね。入隊希望者を受け入れている所なのです」

リザ娘「なるほど、な……ん?」

戦士「どうかしたか?」

リザ娘「あ、あ……あれ、嘘……なんで?」

ハピ娘「……? え? 人間?!」

戦士「奴隷って雰囲気でもないな」

側近「あの中にも我々同様魔族もいますが、彼らは保護した者達です」

勇者「保護?」

側近「魔物の襲撃で行き場を失った者や、一方的な差別を受けて追われる者等……」

リザ娘「そうじゃない! あれは……あれはあたしの父さんだ!」

ハピ娘「なんですって!?」

側近「なんと……そうですか、貴女達はあの時魔女狩りで追われていた……」

リザ娘「生きて……いたんだ……」ホロ

戦士「良かったな」

側近「申し訳ありません……」

勇者「何がだ?」

側近「あの中で一命を取り止めたのは、その男性とハーピーだけなのです」

ハピ娘「お、お母様?! ほ、本当に生きているの?!」

側近「彼女は近隣の町の対空部隊として働いておりますので、こちらにはいませんが」

ハピ娘「うっく……いいんです、生きている事が分かっただけでも……」グズ

ゴレ娘「良かったね」ナデナデ

ハピ娘「ご、ごめんなさい、ゴレ娘さんは……ぐす」

ゴレ娘「謝らないでよー」

戦士「今、あの人に会えないか?」

側近「申し訳ありませんが他の者との直接の接触は禁止しておりまして」

戦士「なんだ? なんかやましい事があるのか?」

側近「申し訳ありません……ですが、中には人間に追われた者もいます」

側近「同じ追われた者同士だからこそ共存できている面もあります」

戦士「なら一人だけ連れて……」

ハピ娘「人間を警戒している以上、角が立つかもしれない、と」

……
リザ娘「……」

ハピ娘「……」

戦士「一先ず、協力するという方向性を伝えないか?」

ゴレ娘「さんせー」

勇者「うーん……」

戦士「なんだよ、お前反対なのか?」

勇者「どうしても気にかかってさぁ……」ボリボリ

戦士「お前らしくもねーな。何がそんなに引っかかるんだ?」

勇者「分からないから困っているんだ……もういい、寝る」

リザ娘「……勇者、どうしたんだろうな」

ハピ娘「さあ……」

ゴレ娘「大丈夫かなー……」

『魔王は我々人間に比べると非常に長い寿命だと言う。未だに世代交代をしていないそうだ』

『とは言え、そろそろ老人と言う年頃のはずだが……よもや呆けによるものではないと信じたい』


勇者「!」ガバッ

ゴレ娘「んー……どーしたの?」ムク

勇者「……着いて来てくれないか?」

ゴレ娘「いいよー」

勇者「……建物の構造とかって把握できるのか?」ソロリ

ゴレ娘「大雑把にならー」ノソリ

勇者「何か幽閉場所のようなものを探してくれ……後は居住区のような場所とか、最悪召使でも接触できれば……」

ゴレ娘「ヤイヤイサー」ピト

勇者「……」

ゴレ娘「地下室に壁が足りない部屋がいっぱいー」

勇者「……? 壁が三枚だけか?」

ゴレ娘「うん、通路に面して壁がないよ」

勇者「牢屋……案内してくれ」

ゴレ娘「バレたらすっごい怒られそー」コソ

勇者「だろうな。でも行かないと不味いんだ」

ゴレ娘「なんでー?」

勇者「あの魔王、偽者かもしれない」

ゴレ娘「本物幽閉?」

勇者「だといいな。クーデターだとしたら……生きているといいんだがなぁ」

地下室
「なんじゃ……人間が何故このような……いよいよわしも天に召されるのが近いのかのう」

勇者「! 当たりか……? 貴方は本物の魔王でしょうか?」

「さあてのう……ほれ、この通りだからのう」

勇者「それでも構いません! 貴方には人間との和平の意思があるんですよね」

「当然じゃ。その為に人間側の国王と契りを交わしたのだ」

ゴレ娘「偽者悪者? だまし討ち?」

勇者「ああ……俺達が協力に乗り出したら何かしらの策に嵌めるつもりだったんだろう」

勇者「……ここは魔物や人間に追われた者達を保護しているのですか?」

「保護? ある訳なかろう。殆どの魔物魔族は侵略に向かっておるのだぞ」

ゴレ娘「え……?」

勇者「側近、は?」

「おらんよ……いや、今魔王を名乗っておるのが側近だ」

勇者「……」

ゴレ娘「どういう事?」

勇者「ハピ娘って幻術破る魔法とか使える?」

ゴレ娘「ハピ娘ちゃん、魔法のエキスパートだよ」

勇者「よし」

翌日
魔王「先日はすまないな」

勇者「いえ……ハピ娘」

ハピ娘「ほ、本気なのですの?」

戦士「あんま無意味に波風立てんのもよー」

リザ娘「いや、あたしは勇者を信じよう」

魔王「何かあったのか?」

側近「勇者様方?」

ハピ娘「覚醒魔法!」カッ

城内 ボロ  ボロ ボロ
側近「」シュン

魔王「……」

戦士「おいおい内装がボロボロじゃねーか」

ハピ娘「そんな……何? これは?」

魔王「やれやれ……幻に現を抜かしておけば良かったものを」

リザ娘「……なあ。あれはなんだったんだ。兵士の宿舎は……そこで働く人々は」

魔王「まやかしに決まっているだろう……体よくハーフがいたものだからな」

勇者「……ゴレ娘、俺はあの時7人くらいいたんだが、君にはどう見えた?」

ゴレ娘「え……15人くらいはいた」

戦士「……俺、きっかり10人だったから班なんだと思った……」

リザ娘「これがまやかしの正体か……」

ハピ娘「じゃあ……じゃあ私達の両親は……」

魔王「さあてな。私が知る訳なかろう」

リザ娘「っ!!」ギリ

お仕事行って来る

勇者「たあああ!」ギィィン

魔王「ふんっ!」ギィン

戦士「てんめぇぇぇぇ!!!」ヒュン

魔王「はっ!」ガギィン

リザ娘「お前だけは……お前だけは!!」カッ

勇者「離れろ!」バッ

戦士「おう!」ダッ

リザ娘「はぁっ!」ビュァン

魔王「ぐ……雪水晶の剣か」ピキピキ

ゴレ娘「止まった! くっらえー!」ブォン

魔王「ぐぅ!」ドゴン

ハピ娘「雷撃魔法!!」ズガァン

魔王「ぐあああ!」

戦士「やったぜ!」

勇者「まだだ! 畳み掛けろ!」

ゴレ娘「ガンガンいくよー!」ブォ

魔王「……ふざけるな、人間如きがぁ!!」ブァ

勇者「ぐ!」ドゴゴゴ

戦士「なんだこの衝撃!」

リザ娘「魔力を放出させて衝撃波を……」

ハピ娘「あれだけ大々的な幻術をかけてきただけの事はありますわね」

ゴレ娘「強いー」

魔王「滅べ! 人間などという害虫は滅び去るべきなのだ!」ゴァァ

戦士「ちぃ!」バッ

戦士「ぐあああああ!」ドガガガガ

リザ娘「戦士!」

ハピ娘「治癒魔法! 治癒魔法!」

魔王「盾になったか!」

勇者「この隙を逃すな!」

ゴレ娘「たああ!」ドゴォン

魔王「ぐぅ!」

勇者「はあ!」ザンッ

魔王「ぐぬぅっ! 紫電魔法!!」

戦士「まだまだぁ! ぐあああ!」バヂヂヂィ

勇者「戦士……くそ!」バッ

魔王「返り討ちにしてくれる!」

リザ娘「……」バッ

魔王「しまっ」

リザ娘「たあああああ!!」ザザン

魔王「く……」ヨロ

ゴレ娘「とぉ!」ドゴン

魔王「がっ!」

勇者「はぁっ!」ザン

魔王「ぐぅ! くそ!」バッ

戦士「どりゃあ!」ザン

魔王「がぁっ!」ヨロ

ハピ娘「狙い撃ちですわ……光線魔法!」カッ

魔王「ぐぅ!」ジュッ

魔王「お前達如きに! 人間如きにぃ!!」

勇者「たあああ!!」

魔王「がっ!」ドッ

魔王首「」ゴロンゴロン

勇者「はぁっ! はぁっ! はぁっ!」

戦士「やった……のか」

リザ娘「ああ……あたし達の勝ちだ」

勇者「早く本物の魔王を救出して魔物達を戻してもらわないと……」

戦士「つーかそんな簡単にいくものなのか?」

勇者「他に方法がある訳じゃないし、真魔王頼みなんだよ」


真魔王「ふぉっふぉっふぉ、よもやまたお天道様を拝めるとはのう……」

リザ娘「このご老人が魔王……?」

戦士「よくよく考えたらどうして生きていたんだ? 何年も幽閉しておく必要なくないか?」

魔王「仮死魔法でしばらく眠っておったんじゃ。側近の奴め、わしが死んだと思って牢屋に放置しよるからに」

魔王「目覚めてからは全ての魔力を生命維持に割り当てたんじゃよ」

戦士「それにしたって粉々にして生き返らないようにしてやるぜーとかさ」

魔王「恐らくじゃが、わしが魔力を溜め込んだ」

魔王「爆弾の状態になっていると勘違いしたのやもしれんなぁ」

魔王「よく物に魔力を込めて触れたら爆発するもので、側近とコミュニケーションをじゃな」

戦士(おい、クーデターの理由って)

勇者(い、いや、人間を恨むような発言していたし、違うと信じたいな)

ハピ娘「その所為で貴方が支持する人間をも嫌いになったんじゃないかしら……?」

魔王「そんな短気な奴じゃないと思ったんじゃがなぁ……」

勇者「今回の騒動によって、各国は貴方に疑心を抱いています。ですが必ずや我々がそれを払拭致します」

勇者「なので可能でしたら今すぐに各地の魔物を引き揚げて頂きたい」

魔王「分っておる分っておる……わしとて無闇に波風立てたくは無いからのう」

魔王「どれ」キィィン

リザ娘「ぐ……」ピリ

ハピ娘「う……」ピリ

ゴレ娘「……?」ピリ

勇者「どうした?」

ゴレ娘「多分、魔物の血が反応したんだと思うー」

戦士「え? あ……だ、大丈夫か?!」

リザ娘「ああ、大丈夫だよ」

魔王「魔物達は直にここへ集まる。なに、人への攻撃は禁止しておいたから気にせんでいいぞぉ」

戦士「つってもこれ以上、俺らがする事ってねえしな」

勇者「一度、話し合いの場も設けるべきでしょうか?」

魔王「そうじゃのう……直接謝罪もしたいところだし、可能であればそう働きかけてくれんかの」

リザ娘「日取りは何時頃でよろしいのでしょうか?」

魔王「そちらで自由に決めておくれ。連絡手段は何時もの通りと伝えれば、向こうも理解するじゃろう」

ゴレ娘「了解でーす」ピシ

ハピ娘「それじゃあ行きますわよ。早く報告する必要があるのでしょう?」

勇者「やっと着いたか」

リザ娘「しかも結局隠密するハメになったし……」

戦士「事後でも襲われる可能性あるしなぁ」

ゴレ娘「暗殺ー」

ハピ娘「本当に人間というのは……」

勇者「まあこれが終われば、俺達の事を公表しないよう取り付ければ一先ずはな」

戦士「ペンダントもなくなるし判断もつきにくいだろ」

リザ娘「しかし噂はされるだろ。ただでさえあたし達は一目を引くのだし」

勇者「そこはまあ仕方が無いかな」

戦士「ま、なんだかんだで王宮は出入りしているから、人目につかない入り口知ってるしそこ使おうぜ」

リザ娘「……出入り?」

ハピ娘「なんで……?」

ゴレ娘「ドロボー?」

戦士「ち、ちげーよ! 一時は兵士になろうとしたりしてたんだよ!」

勇者「結局ならなかったけども、城内で務めている人と仲良くなってさ。時々その人の所に会いに行ってたんだ」

リザ娘「それはそれで凄い話だな」

ハピ娘「ですわね……」

戦士「ま、そんな訳だしこっそり行こうぜ」

国王「何とそのような事が……」

勇者「はい、今後の魔王側の体制をどうするか、という所まで分りませんが」

勇者「以前同様、不可侵条約を結びたいとの事です」

国王「ふむ……」

勇者「確かにこの戦いで多くの者が犠牲になりました」

勇者「その原因であるクーデターを起こした側近は既に討ち取りました」

勇者「私としては何卒ご理解と穏便なご判断を頂きたく思います」

国王「我々とて穏便に済むのならそれに乗らずにはおれんよ。ただでさえ消費も酷いのだしなぁ」

勇者(勇者のシステム作った奴と賛同者吊るし上げろよ……)

戦士「どうだったよ」

勇者「一先ずは何とか円く収まりそう」

リザ娘「しかし……表に立たないとなるとこの先どうするんだ?」

ゴレ娘「ハーフの地位に同棲重婚ー」

ハピ娘「……ああ?!」

勇者「ハーフの問題は前々から検討されていたらしい。魔物との戦いが終わったら」

勇者「各国で大々的に保護する動きなんだと」

リザ娘「少し釈然としないな」

戦士「まあしゃーないんじゃないの」

勇者「重婚は……まあ俗な話過ぎてできなかった」

ハピ娘「ちょ!」

勇者「とりあえず俺達の現状と狙われる可能性を伝えて、軍事施設近辺に五人で生活できる家を貰う事はできたよ」

戦士「お、治安バッチリだな」

勇者「しばらくは物資も送ってもらえるってさ」

リザ娘「ほとぼり冷めるまでは日中の出歩きは危険、か?」

勇者「いや、保護の動きが始まれば大丈夫かな。城下町の一角に空きスペースが彼ら彼女らの居住区になるって」

戦士「ああ、あそこ……何の為かと思ったらそういう事だったのか」

勇者「兵士を常勤させるから治安問題もなさそうだ」

勇者「で、ここが俺達の家な訳だ」

ゴレ娘「広ーい」キラキラ

リザ娘「ここがあたし達の家……」

戦士「ま、何時かはそれぞれ家を持ったりするんだろーがしばらくは、て事だ」

ハピ娘「あら? そういえばお二人の家は?」

勇者「俺ら実家は別だからな」

戦士「貸家は引き払っちまった。生きて帰れる保障はねーし、生活するだけなら遠くで稼いでそこで暮らすし」

リザ娘「なるほどな」

戦士「部屋割りどうすんのさ」

勇者「俺ゴレ娘戦士リザ娘ハピ娘、とか?」

リザ娘「なるほど……防音か」

ハピ娘「腫れ物のように扱わないで下さらない!?」

ゴレ娘「そー言われても」

ハピ娘「ゴレ娘さんでさえ!?」

勇者「陛下は一応、こちらを気にかけてくれて保護を即時行うって事だからさ」

戦士「すぐ町に出られるようになんだろ」

ハピ娘「他の男性を見つけて来いと?!」

二週間後
ハピ娘「うわーーん!!」バタン

勇者「またか……」

ゴレ娘「ハピ娘ちゃん、大丈夫?」

ハピ娘「嫌ですわ嫌ですわ! 何なんですの?! 貴族には食用に見られ、一般市民は私の胸しか見ていないなんてー!!」

戦士「ああ……確かに大きいしな」

リザ娘「……」ゲシ

勇者「ま、まあまあ……それも魅力の一つというか」

戦士「何時かきっと良い人見つかるって」

ハピ娘「……」グズグズ

ハピ娘「私、一つ分りましたの……リザ娘さん達と共に暮らせて、勇者さんと戦士さんがいればもういいと」

勇戦「えっ」

ハピ娘「例え結婚できなくても体だけの関係でもっ!」グッ

勇戦「えっ?!」

ゴレ娘「ハピ娘ちゃんがそう言うのならいいかなぁ」

リザ娘「流石に居た堪れなくなってきたしなぁ」

勇戦「えぇっ?!」

ハピ娘「お二人とも慰めてーー!!」バッ

勇戦「えーーー!!」


勇者の役目を果たしたのは何者なのか、それが分からぬまま平穏の日々は戻った所為か、
一風変わった伴侶を持つ者達が王都において噂の的となったと言う。
が、世間の目や偏見をものともせずに、五人は大層幸せに暮らしたそうだ。

      勇者「魔王を倒しに行こうぜ」 終

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom