〔FFT〕 ラムザ10周目 (398)

書き溜めナシでぼちぼち書いていきますよー

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1388412565

FFTか
期待

モンクと算術士とシド無双

期待

ぼちぼち待とう

あ、ID同じなの忘れてた…

〔ガリランド王立アカデミー〕



「昨夜もイグーロス行きの荷馬車がやられたんだとさ」


戻ってきた


「それも骸旅団の仕業なのかしら・・・?」


僕はまたこの場所に帰ってきた

戦乱続くイヴァリース、そのはじまりの場所だ

「なんでいきなり召集なんだろうな、ま、あらかた想像はつくが・・・」

ディリータが話しかけてくる
この頃のディリータは険のない、カワイイ顔をしている
できればずっとこうであってほしいと思う

『ラーグ公とエルムドアが来るんだっけ?』

ディリータ「エルムドア公爵がおいでになる、だろ?」

しまった、つい敵意が

ディリータ「オレだからいいものの、そんな言葉ほかのヤツに聴かれたら
      異端審問官呼ばれるぞ?」

『気をつけるよ』

少しして、ホールの扉が開く
北天騎士様のご入場だ

もったいぶった仕種で壇上に上がると、咳払いをひとつして
「仕官候補生の諸君!任務である!」

このへんはあまり変わらないな
このあと僕らは町に入り込んだ骸旅団を始末しに行くんだっけか

彼が任務を説明しているあいだ、状況の整理でもしておこう
なにせイヴァリースに来るのは40年ぶりだからね


まず今回で僕の転生、、、いや〔やりなおし〕とよぶべきかーーーは
10回目を数えた

道半ばで倒れたこともある
天寿をまっとうしたこともある
自ら命も断ったし
そうそう、一度は王様もやったな、もうやりたくないけど

そうして、生き様死に様に違いはあれど
心臓が止まったと思ったら、なぜかこうしてここにいる

たぶん、神はいるのだろう
ゲルモニーク聖典を読んで信仰は捨てたが、あんなもので語られる者とはまったく異質の何者かが

ーーーーそしてそいつはぼくになにかをさせたがっているーーーー

ここ100年分くらいはそう考えて行動してきた
前回で、それなりに糸口はつかめた
今度こそ、今度こそ、この不毛な戦いを終わらせてやる!

決意をあらたにした所で、ちょうど説明が終わったらしい
何人かの班に分かれて街はずれの捜索だ


ディリータ「聞いてたか?オレたちは西側の捜索だ」

ラムザ『ああ、うんそうだったね、行こう』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ラムザ『真面目に働いていれば、こんな風に命を落とすこともないだろうに・・・』

たしか、最初僕はこんなことを言っていた
なにも知らなかったから、言えた。
彼らは真面目に働いても、その日の食すらままならないから、盗賊になったというのに

剣についた血を拭う

ディリータ「いつのまにか、けっこうやるようになってたんだな」

ラムザ『そう?』

ディリータ「・・・ま、オレの方が強いけど。」

ラムザ『はは、そうだね』

しばらくは目立たない方がいい
親友を騙すようで気がひけるけど

ディリータ「次はイグーロス城の警護か」

ラムザ『出発は明日でいいんじゃない?もう昼すぎだよ、今から行っても着く前に日が落ちる』

ディリータ「ダメだって、もう他のやつら出発してるぞ?
      せっかく手柄を立てるチャンスなのに、他より出遅れたら」

ラムザ『でもただの警護だよ?骸旅団だってあんなところまで来ないさ』

ディリータ「イヤにしぶるなぁ・・・」

だって、今行ったらアイツが・・・

ディリータ「いいさ、オレ一人でも行く!」

やっぱりこうなるか

ラムザ『わかった、わかったよ!行くよ!』


また家畜神アルガスを助けるハメになった
もう10回全部コレだ。

彼はよほど強い星の下に生まれたらしく、マンダリア平原で死んだことは今まで一度もない
偶然を装ってチャージ+20の投石で殺害を試みたこともあるが、クシャミした拍子にかわされた
迂回しても、他のアカデミー生が助けてしまう
戦略的にも、心情的にも、ここで殺しておきたい男NO1なのだが、やはり無理か

ラムザ『じゃ、2時間後に城門前に集合ってことで。いろいろ準備もあるだろうからさ』

ディリータ「わかった、遅れるなよ」


ー2時間後ー

ゼーハーゼーハー

ディリータ「遅かったな」

ラムザ『ごめん、かん・・準備に手間取った』ゼーハーゼーハー

ディリータ「荷物それだけか?というかなんだそれ」

ラムザ『モーグリのぬいぐるみさ』

ディリータ「そんなことはわかってる、なんでそれを持っていくか聞いたんだ」

ラムザ『これがないと寝られない』

ディリータ「マジで」

ラムザ『マジで』

なにせ僕の人生はいつもこいつと共にあった
合計何百年かのつきあいだ、いまさら離せるものか

ディリータ「・・・ま、いいか、趣味は人それぞれだしな
      そろそろ出発するか」 

ーマンダリア平原ー


ディリータ「骸旅団の連中か?誰か襲われてるようだが・・・」

ラムザ『気のせい気のせい、きっとマイムマイムでも踊ってるんだろう』

アルガス「助けてくれッ!」

ディリータ「助けてくれって言ってるが」

ラムザ『わぁーチョコボふっさふさ、もっふもふ』

ディリータ「ラムザェ・・・」

ラムザ『わかったよ、そう怖い顔するなよ
    でもあくまで骸旅団殲滅が僕らの任務、彼は生き残ったらラッキーくらいでね』

ディリータ「彼を見殺しにしろと?」


ラムザ『君は、見殺しにするような戦い方をするつもりなのかい?」
    (僕は、見殺しにするような戦い方をするつもりですが?)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

結局生き残った、運の強いヤツだ

ひとしきり礼を述べた後、僕がベオルブ家のものだとわかると
エルムドア侯爵が誘拐されたこと、自分以外は全員戦死したことを明かし、助力を求めてきた
無論相手にせず、イグーロス城に報告に向かう



道中でなんとか行方不明にでもできないものか・・・

家畜王に対するヘイトがマックスな鬼畜王が面白い、いいぞもっとやれ

ラムザがスゴいな。
確かにここでアルガスとエルムドア死んでたら、話大分変わるからなぁ。
……俺も周回ラムザの続き考えるかな。

〔イグーロス城〕

ラムザ(結局チャンスなしか)

ダイスダーグ「初陣を勝利で飾ったそうだな、兄としてうれしいぞ」

長男が上から目線でほめてくる
コイツは父に毒を盛って殺した外道だ、許せない。


とずっと思っていたが最近は考えが変わってきた
要するにこの男は徹底的な権威主義者で現実主義者なのだ

父は立派な人物だった、それは間違いない
しかし、いわゆる貴族らしからぬ振る舞いも多く
中でも平民の子を養子に取る、というのは貴族社会では異例のことだ
その風当たりは強く、教会内では異端審問にかけるかけないの話にまで発展していた

その話を聞いたダイスダーグは、全権が早く欲しいのもあり
また、ベオルブ家から異端者を出す前に、とも思い、毒殺を決行した。というのが今の僕の考えだ。

無論、家名のためだとしても許さないのには変わりはないが、少しばかり態度を緩めて
ここ5周ほどは思い切り彼を利用してやっている


アルガス「お願いしますッ!やつらに殺された仲間の仇を私に!」

アルガスの小芝居が佳境に入った、下級貴族の教育には泣き落としの項目でもあるのだろうか?

レスいくわ

>>4>>5>>6信じるか知らんがこれ同居人のレス、応援のつもりだったらしい

>>2>>13センキューがんばるわ

>>3ラムザ無双がそのうちはじまるよー

>>14エルムドアはだいぶ変わるがアルガスは大体フォローできる
  だからラムザ君もどうせなら殺そうとしてる、FFTトップクラスのウザキャラだしな!

ーイグーロス城ー

兵を借りたいという申し出を取り付く島もなく断られ、肩を落とすアルガスがいきなり身の上話を始める
だからもうこれ10回目だって。

聞き流しつつ、その時を待つ

ティータ「兄さーん」

このタイミングだ!

ディリータ「ティー」

ラムザ『アルマー!』バッ ガシィ

アルマ「ちょ、にいさ」

アルマ!アルマ!アルマ!ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!アルマアルマアルマ!!ぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!アルマ・ベオルブたんの栗色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!

ひととおり愛で終わって、ぐったりしたアルマをマントを敷いてそっと芝の上に寝かせたあと
周りの視線がまるでルカヴィを見るようなものに変わっていたが、気にしたら負けだ、兄の愛とは、かくも強きものなのだ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ザルバッグ「城の警護なんぞ退屈だろう?そうだろう?退屈だって言えラムザ、今すぐドーターに行きたいって言うんだ
      ラムザ、さあ早く、素早く、今すぐにだ!」

僕とアルマの絆の深さを見て、兄さんにも思うところあったらしく、草の話やら誘拐犯の話をすっとばして露骨に命令違反を促してきた。

兄をなんとかなだめながら、さっき気がついたアルマも加えて近況を話し合う

ザルバッグ兄さんもいくらか落ち着いたらしく、オーボンヌでの一件を褒めてくれた
この人は頑固で融通もきかない根っからの武人だが、基本、僕の味方だ
最初こそ殺しあうハメになったが、ほとんどの人生では公私にわたり、僕を支えてくれた
やりかたさえ間違えなければ、今回もそうなってくれるだろう。

ディリータ「学校はどうだ?いじめられたりしてないか?なにかあったら、すぐおにいちゃんに言うんだぞ?」

ティータ「え、ええ・・・」

僕に触発されたのか、ディリータが妹愛を炸裂させているが・・・
このしばらく後ティータは誘拐されてしまう
何度かここに残って誘拐を未然に防いだが、事態はかえって悪化してしまった
ウィーグラフが捕獲されたり、エルムドアが行方不明になったり、アルマやディリータが
死んだりしてしまった


よって、ティータを助けるのはジークデン砦か、風車小屋になる。今回の山場のひとつだ。


ラムザ『じゃ、そろそろ行くよアルマ』

もっと妹分を補給しておきたいが、あまりグズグズしてもいられない

アルマ「兄さん・・・気をつけて」

こころなしか頬が赤い、僕の遠まわしな妹愛が多少なりとも伝わったのだろう

アルマ「でもあの、ああゆうことはもっと時と場所をえらんで…」

ラムザ『時と場所?どんなふうに?』

アルマ「…ふ、ふたりだけの時とか…」


アルマ!アルマ!アルマ!ぅぅうううわぁ(ry

ー貿易都市ドーター


ディリータ「へぇ、いい宿とったな」

ラムザ『兄さんの手配さ』

ベッドに荷を降ろしながら言う

ドーターはガリランド有数の貿易都市だ
様々な人々、商品が入り乱れ、活気あふれるひとつの国のような体を成している
美しい海に面した石灰岩のドーター風建築は観光客からの人気も高い
遠い異国の瀟洒な銀細工だって、有名職人の一点ものの首飾りだってここに来れば買える


けど今用があるのはその裏側だ、重い税金と、高すぎる公共費用
寄付金の名を借りた協会からの徴収金、根強い移民への差別


そういった諸々に負けた人々は、街外れのスラムに住んでいる


ラムザ『今日はさすがに疲れたし、警護と捜索は明日からでいいだろ?』

ディリータ「そうだな、もう日も落ちる」

アルガス「オ、オレは聞き込みをしてくる!なにか知ってるヤツがいるかもしれない!」

ラムザ『じゃ、僕はアルマの土産でもみつくろってくるよ』

ディリータ「元気だな、あ、じゃあ帰りに糸も買ってきてくれ、もう予備が切れた」

意外なことにディリータの趣味は裁縫だったりする
英雄王、なんて呼ばれる前は僕のシャツなんかをよく縫ってくれた


ラムザ『わかった、帰りに店が開いてたらね』

しばし休憩、見てくれてる人いたら返事してくれー

見てるぞ

楽しみにしてる

お出かけいってきまー

これは面白い
ぜひ続けて欲しい

でも>>24みたいなレスはやめろ
同居人が本当ならそういうのはリアルでやれ

楽しみにしてる
密猟やらクリスタル化やら勧誘剥ぎ取りやらのシステム的な黒い部分も出てくるのかな

戻った、歴史が大きく変わりだすとこまでは駆け足で進めてく
プレイ者じゃないとわかりにくいと思うが暖かく見守っておくれ

>>23応えられるようがんばる
>>25すまん、多分もう大丈夫
>>26システム部分はあんまりない、ジョブとアビくらいか
  描写する機会があったらチャレンジしてみる

おかえりー。
歴史変わるタイミングか……、どの辺りかね?

ードーターのスラムー


ラムザ『ウィーグラフ、だな』

ウィーグラフ「何者だキサマ…!」

旅団員の胸倉をつかんでいた手を離し、抜剣。
気配を消して近づいた僕に対し、完全な戦闘体制をとるウィーグラフ


ラムザ『名乗るほどのものじゃないさ、ところで、お探しのギュスタブなら砂ネズミのあなぐらにいるよ』
絶句するウィーグラフ
何故ギュスタブの居場所を、自分がさがしていることを知っている。そんな顔だ。

倒れた団員の顔をちらり、と見た
とりみだしながらも激しくうなずく彼の仕種は、僕の言葉の肯定だ


ウィーグラフ「そうか、本当なのか
       ならばもう一度聞くぞ、貴様、何者だ?
       出で立ちからして、どこかの騎士団の者だろうが」

名を聞かれて答えないのは騎士道に反するらしいが、ここで名乗ると面倒がおこる

ラムザ『こっちにも事情があってね、明かせない』

ウィーグラフ「どうあってもか」

ラムザ『どうあってもさ』


ややもして、フンと鼻をひとつ鳴らすと
ウィーグラフは剣を納めた


ウィーグラフ「時間が無い、オレは行く
       ソイツを捕らえておけ、そうすれば今回の件は忘れてやる」

言い残すが早いか足早に立ち去るウィーグラフ


僕はしばらく残された団員とみつめあっていたが、我に返った彼は
「や、野郎ども敵だぁ!!」
と、独創性に欠けたセリフで仲間を呼んだ


奥の路地から、5人。
どうやらことの行方を見守っていたようだ


「さぁて、おとなしく捕まればよし、抵抗すると命の保障はないぜぇ?」
ウィーグラフにボコられて涙目だった旅団員A君だが、仲間と合流すると急に強気に出てきた



ここなら仲間の目はない


・・・・・・・・・・・・・
思い切りやってもいいだろう

トンッ

と、言っても彼らにはやってもらうことがあるので

トンッ

首に手刀を入れて

トンッ

気絶してもらうことにする

トンッ

残り二人
どちらも何が起こったか分からないようだ

「なななな何者だテメェーーー!」

ラムザ『だから言えないって』

「いいいい今何したテメェーーー!」

ラムザ『首筋に手刀をこう、トンッと』
残り一人、さきほどのA君だ


顔面蒼白、小刻みに震えながら剣を構える姿は少し気の毒に思える
無理も無い、完全武装の6人が、平服、空手の青二才に5秒で無力化されるなんて
僕以外はだれも考えないだろうし



とりあえず落ち着かせるために後ろから四肢と首を拘束する
8回目の人生で覚えた、はるか東方の柔術だ。

耳元で囁く、なるべく、やさしく




『ちょっと話があるんだけど…いいかな?』

ー砂ねずみのあなぐらー





アルガス「エルムドア侯爵ッ!」

ディリータ「大丈夫、息はある!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


侯爵の身柄を捜索隊に預けたあと、僕たちはアジト内を再び探索していた

アルガス「しかし、いったいどういうことなんだろうな?」

足元の小石を蹴りつつアルガスが言う

アルガス「オレのみつけた情報屋からここまで着いたはいいが
     見張りもいない、首謀者は死んでる、そのクセ侯爵サマは無傷で放置ってのは」

ディリータ「仲間割れ…かな」

ラムザ『まあ侯爵も無事だったし、いいんじゃない?」

アルガス「たしかに、平民どもの都合なんか考えてもしょうがないしな!」

ディリータ「…」

あ、ディリータが怒ってる。こわい。


無論アルガスが見つけた情報屋は僕が雇った6人のうちのひとりだ
全力でふっかけさせたから今、彼のサイフはカラだ
餓死!これなら完璧!




グゥーキュルルー








ディリータ「…食うか?」


アルガス「…すまん」

君のそういうところは好きだけど
君を貴族だと思ってるから受け取ってるんだぜ、ソイツは。

俺の中ではラムザスレは完結しない法則が出来つつあるから頑張ってくれ

ーイグーロス城ー


ダイスダーグ「…で、なにか釈明はあるか?」

ラムザ『別に無いよ』

ディリータ「オレがラムザをそそのかしました!」

アルガス「私の手柄です!」

ダイスダーグが命令違反を咎め、法がどうとか青クサイ事を言い出したあたりで
ラーグ公が諌めに入ってきた

ここは何回聞いても腹がたつなぁ
父の暗殺の立役者二人に法を説かれるというのは

次の作戦への参加の許しももらえたし

今日はもう休もう

ー盗賊の砦ー



ラムザ『剣を捨てろッ!ミルウーダ!』


ミルウーダ「!どうして私の名を!」


ディリータ「投降すれば命は助ける!」


ミルウーダ「貴族の言うことなどッ!
      祖国のために戦った私たちに貴方たちは何をしたッ!
      名ばかりの騎士の称号とひとかけらのパンのために
      そんなもののために私たちは命をかけたワケじゃないッ!
      貴族がなんだというんだ!
      私たちは貴族の家畜じゃない!
      私たちは人間だわ!
      貴方たちと同じ人間よッ!
私たちと貴方たちの間に
      どんな差があるっていうの!?
      生まれた家が違うだけじゃないの!
      ひもじい思いをしたことがある?
      数ヶ月も豆だけのスープで暮らしたことがあるの?
      なぜ私たちが飢えなければならない?
      それは貴方たち貴族が奪うからだ!
      生きる権利のすべてを奪うからだッ!」


ディリータ「オレは平民だッ!」


ミルウーダ「!」


ラムザ  「!」


ディリータ「運よくベオルブ家に拾われただけの農家のせがれだッ!
      ひもじい思いもしたし、家畜扱いされたことだってあるッ!
      お前の言っていることは間違っていないが
      それを通すだけの力がなければ
      
      それを通すだけの力がなければ犬死にするだけだッ!」


ミルウーダ「…ッ!そんなことはない!貴族どもに一矢報いて…」



ディリータ「それを犬死にっていうんだッ!
      本気で革命を志すなら、本当に民を救いたいなら
      なにがなんでも生きて戦い抜かなければならない!
      投降しろッ!ミルウーダ!」


ミルウーダ「…後は剣で語れッ!農家騎士!」



ディリータの演説が効いたのか、あっさりとミルウーダ以下5名を捕縛できた
アルガスを置いて来たのが功を奏したな。話がこじれない。


ミルウーダ「フン、殺せ…」


ラムザ『だから殺さないって』


ミルウーダ「なぜだ?どうせ旅団は捕まれば断頭台行きだ。
      早いか遅いかの違いだろう?」


ラムザ『まぁ本隊に引き渡せばそうなるだろうけど
    君には役割があるからね、渡さない。」


ミルウーダ「…まさか!」


後ろ手に縛られたミルウーダが足を閉じる


ミルウーダ「は、辱めを受けるくらいならこの場で舌噛み切って死ぬ!」
      
      ポクッ

ディリータ「しねぇっての」


ラムザ『や、見回りごくろうさん、農家騎士どの』


ディリータ「やめろってもうそれ何回目だよ…」


個人的にツボに入った、農家王ディリータ。いいじゃん。


ミルウーダ「では何を…ハッ!人質!」


ディリータ「ご名答」


ラムザ『君を人質にしてウィーグラフを捕縛する
    その後に…』


ミルウーダ「まとめて断頭台行き、か
      いかにも貴族の考えそうな事だ」


ディリータ「これが違うらしい
      我らがラムザ・ベオルブくんの言う役割ってのは
      その先にあるらしいぜ、教えてくれないけどな」


ラムザ『今はまだ、ね。』


ーイグーロス城ー


イグーロス城に戻った僕たちは、ティータ誘拐、ダイスダーグ負傷の報を受け
長兄の部屋へと集まっていた


ディリータ「なんでティータが…」


ダイスダーグ「心配するな、手は打ってある…
       実の妹のように思っているティータを見殺しになど…」


ラムザ『ジークデン砦ですね?』


ディリータ「!」


ダイスダーグ「!なぜそれを…」


ラムザ『盗賊の砦で捕らえた捕虜を尋問したら吐きました
    僕たちも行きます、行ってティータを助けます!」


ダイスダーグ「フム…しかし…まあよかろう、ザルバッグの軍への同行を許す
       だが指揮官はザルバッグだ、あいつの命令には服従
       決定は絶対だ
       これが守れぬなら、行かせぬ」


ラムザ『…わかりました』


ダイスダーグ「では、行け…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ディリータ「おい、いつ尋問なんか…」


ラムザ『いいからはやく準備しろ!』


ここからは時間との勝負だ、風車小屋でウィーグラフを捕らえて
ティータを救い出す!
ジークデン砦までもつれこむと、ティータを救うのは格段に難しくなる。
万が一に備えていくつか布石を打ってあるが、それでも上手くいくかは5分だ
急がねばならない

強くてニューゲームは俺TUEEEE感があっていい

ー風車小屋ー


ラムザ『出て来いッ!ウィーグラフ!ゴラグロス!
    いるのはわかっているんだッ!』


ウィーグラフ「騒々しいな…そう怒鳴らずともいい」


ラムザ『ゴラグロスとティータはどうしたッ!?』


ウィーグラフ「中にいる…
       
       !!!!!
   
       そうか、キサマはあの時の…
       士官候補生だったとはな」


ウィーグラフ「キサマらごときにミルウーダが敗れるとは信じがたいが
       妹の仇、討たせてもらうぞッ!」


ミルウーダ「兄さんッ!」


ウィーグラフ「ミルウーダ!生きていたか!」


ラムザ『ティータと交換だ!』


ウィーグラフ「よかろう、元々解放するつもりだったのだ、是非も無い
       ゴラグロスッ!娘を連れて来い!」




良い展開だ



ウィーグラフ「…ゴラグロス!どうしたッ!?」


ラムザ『…しまった!!』


油断していた!追いついた事に安堵していた!
同じ歴史の繰り返しだと思って安心していた!
僕が同じ行動をしても、同じ結果が常にあるとは限らないことを失念していた!


ミルウーダをディリータに預け、最速の動きで小屋の裏手に回ると
はるか遠くに黒いチョコボの影


魔法は届かない
走っても追いつけない
こちらもチョコボで…いやダメだ、黒チョコボは通常種の1.5倍のスピード
3倍のスタミナを誇る


ラムザ『…ッ!シルフ!』

せめて見張りだけでも付けておこう
いっそどこか他の所に潜伏してくれたほうがありがたい

ラムザ『…どうした、来いよ。』

ウィーグラフ「背中から斬りかかるなど騎士の名折れ」

ラムザ『お前くらいこのままでも十分だ、いいから来い。遊んでやる。」

ウィーグラフ「…青二才がッ!!」

激昂し、袈裟斬りに斬りかかるウィーグラフ


ラムザ『ふッ!!』


振り向きざまに打ち出した素拳は
僕の首筋に振り下ろされる剣を砕き
薄汚れた鎧を貫通し
みぞおちに深々と突き刺さった



ウィーグラフ「ア…カッ…ハッ……!」


ラムザ『気絶する前に聞いておけ
    理想を考えるのも、行動するのも、好きにしていい
    でもな
    語るには資格がいるんだ
    他人を巻き込むからには、それを叶えるだけの力が要るんだ
    お前はそれを持ってなかった
    持たぬまま語って、戦って、みんな死なせてしまったんだ
    自分自身すら、死なせてしまったんだ
    そんな事をしたくないなら
    もう二度と、そんな思いをしたくないなら
    

    …僕が力になってやるよ』

ドサッ


ラムザ『ふぅ…』

久々に熱くなってしまった


ディリータ「…」

ミルウーダ「…」


あ、しまった、見られてた。

おー見てくれてる人がいるってのは励みになるわ
多分お待ちかねのアグ姐とのカラミはだいぶ先になるけど

>>28このへんから
>>32多分完結まで一年くらいかかる、がんばる
>>37一応、経験と記憶は引継ぎだけど筋力なんかは初期値設定
>>39硬すぎる感がしないでもないけどね
  もすこし遊び入れていかんともたんかも

乙、面白いです。
しかし、ティータはやはり救われないか…

ミルウーダ>アグリアスなので生存は嬉しい

あれはなんだ、なんだあれはとディリータがうるさかったので
我が家に伝わる一子相伝の奥義、ベオルブ神拳だと適当なことを教えてやったら納得していた

ちなみにミルウーダも納得していた、こいつらけっこうチョロい。


ディリータ「しかしティータが…」


ラムザ『見張りは付けたけど、向かった方角的にやはりジークデン砦だろうね』


ラムザ『ここでティータを抑えられなかったのは痛いが…
    仕方ない、一度兄さんの部隊に合流しよう』


ディリータ「そんな悠長なことを!」


ラムザ『ディリータ、僕が考えてることがわかるかい?
    ティータを助けることを第一に考えてる
    それを最も安全、確実に行うために
    まずは兄さんの部隊に合流する必要があるんだ!』

そう、必須と言ってもいい
ジークデンに居る旅団員は多いときで80、少なくて50ほど
僕一人で皆殺しにするのは容易い
が、一切気づかれずにとなると至難。
なにせジークデンには火薬が至る所に積まれており
全員が火種を持っている
実際、一度試したが
そこで4度目の人生が終わった
あまりにもリスクが高すぎる。


ディリータ「…わかったよ!
      でももしこれでティータが死んだら…!」



言わなくてもわかるさ、僕を許さないんだろう?
そして、自分自身をもっと許さない。
不器用なディリータ、やさしいディリータ
君はやはり、そのまま王になるのが相応しいよ。


ラムザ『-やっぱダメかぁ』

戻ってきたシルフからの報告を受けて、天を仰ぐ
やはりティータはジークデンに居る
他の所ならばまだよかったのだが、そううまくはいかないものだ。


ジークデン砦、正確には砦跡ーーーーは
天然石を石灰と漆喰で塗り固めただけの簡素なつくりだが
その外壁ときたら、薄い所でも3メートル以上
厚い所になると5メートルにもなる言わば巨大な一個の岩だ


出入り口は一つしかなく、矢窓は多い
食料さえあれば少数で篭るにはうってつけの場所

普通に戦闘になれば、火薬に火を付けずとも
まず間違いなくティータは殺される


つまりその前段階、降伏勧告の時点で助けねばならない
それには邪魔な人物が、二人


ドーターで仕入れた小瓶をいくつか机の上に並べる
毒々しい色をした液体が、ゆらゆらと硝子のなかで震えた。

ラムザ『フフ…兄上、家畜神、僕の邪魔をするのがいけないんですよ…!』

ザル兄もう退場なのかな
ティータ射殺を避けるためにはしゃーないか、ディリがグレる原因だし

>>46
ザル兄は利用価値あるから簡単には殺さないと思うぞ

家畜神は利用価値ないけど簡単には殺さないと思うぞ


「ラムザ様ー!ザルバッグ将軍がお呼びです!」

そそくさと小瓶を懐にしまう

ラムザ『あっ、はーい』


ジークデンにほど近いくぼ地ーーーにある
北天騎士団の野営地にぼくらが着いたのが2時間ほど前
兄上に取り次ぐように言って、お目通り叶ったのが、今しがた。
日もとっぷり暮れて、炊事の煙が香ばしい匂いを上げている
たぶん中身は豆と人参、ワイルドボーの肉をたっぷり入れたシチューだろう


ラムザ『…忙しいみたいだね』

ザルバッグ「まあな、兄上の使いから話は聞いている
      明朝から移動開始、斥候を片付けつつ包囲後、総攻撃だ。
      お前は兵20と共に、砦から出てきたヤツらの掃討にあたってもらう」

ラムザ『それは命令?』

ザルバッグ「命令だ。」

ラムザ『ティータの事は?』

ザルバッグ「…可能であれば助けたい」

ラムザ『それだけ聞ければ十分さ』

ザルバッグ「そうか…大人になったな
      飯はもう食ったか?
      まだならここで食っていけ
      お前の活躍を、お前の口から聞きたい」

ラムザ『兄さん…ありがとう』

      


ザルバッグ「なんと!あの二人と戦ったのか!」

ラムザ『逃げられたけどね』

ザルバッグ「いや、驚いたぞラムザ、お前の命があることに
      ウィーグラフとミルウーダといえば、旅団随一の使い手だ
      北天騎士でも手こずる相手だというのに…」

ラムザ『そう?普通だったけど』

ザルバッグ「…プッ、クック、ハァーーーーハッハーーーーーー!
      言うなラムザ!流石は武門の誉れ!ベオルブの一員だけのことはあるッ!

      …これを開ける日がこんなに早く来ようとはなぁ…」


そう言うと古い化粧箱の中から、一本の小さなビンを取り出した
手つきが心もとない、だいぶ酔ってるな。よしよし

ザルバッグ「これはな、ベオルブ家の初代様が生誕の折に作られたワインだ
      代々、男子が一人前になった時に家長より贈られ、飲まれてきたのだ
      100本作られたが、最後の一本になり、以後数十年、保管されてきたが…
      親父殿は死に際して、オレに託し言ったのだ
      ラムザが一人前になったら、贈るようにと!
      最初オレは思った、平民の血が混じるオマエにそんな時が来るものかと
      だがどうだ、学生の身でありながらもオマエは前線で勇敢に戦っている
      平民騎士ながらも、剣技の達人である二人をしりぞけた!
      貴族の、ベオルブの血はいささかも衰えてはいないッ!」

そこまで一息でまくしたてると、ビンを突き出してくる

ザルバッグ「さあ、飲め。」

ラムザ『じゃ、少しだけ』

ザルバッグ「そんなことでベオルブ家の男子が…」

ラムザ『僕の弱さ知ってるでしょ?』

ザルバッグ「ムゥ…そうだったな」

ラムザ『後は兄さんが飲んでよ』

ザルバッグ「ならんならん」

ラムザ『僕が一人前になれたのは兄さんのおかげだ
    なら兄さんも飲んでくれなきゃあ』

ザルバッグ「そう…だな」

ラムザ『じゃ、返杯。』

ザルバッグ「ウム」このタイミング ポトポトッ

         
さよなら、ザルバッグ…      

一瞬ルカ・ブライトが頭をよぎったが気のせいか

にいちゃん退場か…

ー翌日ー

陣内は騒然としていた、それもそのはず
平時であれば誰よりも早く起き、颯爽と指揮を執る英雄ザルバッグ
その英雄が日が上っても、天幕から出てこないのだ


側近「ザルバッグ様そろそろ…」

ザルバッグ「うるさいッ!」


正確には便所から出てこないのだ


ラムザ『兄さん、言いたくないけどあのワインさぁ…』

ザルバッグ「…言うなッ!」

そう、腐ってるんだよねアレ
質のいいのから取られていって、最後に残った、みそっかすさ
前一回飲んだ時は一週間くらい便所が我が家でした
味はいいから気づかないんだよね、ご先祖さまの遠大な罠だ。
ちなみに入れたのは腹薬。よく効いたヤツだから多分2,3日で治る。


ザルバッグ・ベオルブは便所の中で考えるーーー


このまま前線に出て指揮ーーー不可能だ、この痛み、便意、歩く事さえ困難ーー

作戦延期ーーー無理だ、次の任務もあるし、よその連中があつまってしまい、逃げられるーーー

アルガスに任せるーーーない、下級貴族が指揮すべき作戦ではないーーー

ラムザに任せるーーー厳しい、ティータを切り捨てる選択ができぬやもしれぬーーー



瞬間、ひらめく!


ザルバッグ「ラムザ・ベオルブを臨時指揮官!
      アルガス・サダルファスを臨時副官に戦時任命し
      これよりジークデン砦攻略作戦を開始するッ!」

今回はここまで、よんでくれたみなさんありがとう
細かいとこ考えながら書いてるからダラダラしてしまうので
次からはまとめて投稿するさー

>>42ふふ、さあどうかな?
>>43豆スープさんはまだ活躍するよー
>>46>>51ザルバッグ兄にはお世話になるよー
>>47アルガスだけ末路がまだ決めきれてなかったりする
>>50誰なんそれー

おつ

同居人か、兄貴かな?

ルカ・ブライドは幻想水滸伝2というゲームに出てきた敵キャラみたいなもん

乙です。
アイツは根が悪い奴なだけだからな、それ以外は以外と有能だった。
ミルウーダ!しかもウィーグラフまで!いいねぇこの展開!俺もこんなの書きたいもんだ。

>>54それはもう勘弁してくれ、もうないからww

>>55-57そっか、今度見てみる

>>58強引なとこもあるとおもうけどやっぱいいよね戦記は。
  書きたければ書いたらいい、俺もss書いたのは10年ぶりだぜ!

続き書きあがった、次レス後、投下開始しまうす


ラムザ『…ん、大体わかった』

ジークデン砦に向かう道すがら、文官たちから状況と作戦の説明を受ける

さすがはザルバッグ兄さんといったところか
すでに主要な街道には厳重な警戒網が敷かれている
このあたり一帯は入ることも出ることも難しい状態だ

そうしておいて、網の中を探る
篭城するからには、必ず外部と連絡をとるための陣地を配置するからだ

北西と、東に一箇所ずつ発見された連絡基地を殲滅したうえで
ジークデン砦に集まった骸旅団を一掃する

というのが今回の作戦、僕らが任された部分になる


ラムザ『でも、この殲滅、ってのはいらないかな』

文官「なぜでしょうか?」

ラムザ『手傷を負わせば、必ず砦に逃げ込む
    むこうだって、街道の封鎖には気づいているだろうし
    …第一、こちらは新兵ばかりだろう?
    深追いして、兵の数を減らしたくない』

文官「さすがはベオルブ様ですな、そこまで見抜いておられるとは」

そう今、網の中にいる北天騎士はほとんど実戦経験のない者ばかりだ
この新兵たちに大規模な実戦を経験させるべく、この作戦はデザインされている


最初、アルガスが指揮の一部を任された理由もそこにある
新兵たちは階級的には下級貴族の年若の次男、三男あたりで目立った功もない
同じく下級貴族でも、長子であるアルガスのほうがやや格上
加えて、エルムドア侯爵を救出した実績もある


なお、見習い騎士であることは大した問題にはならない
彼が正式な客将である以上、ベオルブの下にあるものは
彼に対し礼儀を払わなければならないからだ。


ちなみに手練の者たちは街道の封鎖にあたっている
広く薄く守っている以上、一箇所あたりの数は少なくなる
敵の襲撃があれば、即座に他の拠点と連携をとり
応援が来るまで持ちこたえる
これは熟練にしか出来ない芸当だ。


ラムザ『でもあまり追い詰めないほうがいいかもね
    追い詰められたネズミは、猫だって食い[ピーーー]こともあるんだ』

文官「はは、なにを弱気なことを
   平民の寄せ集めどもになにが出来ましょうか」

ラムザ『僕がミルウーダと戦ったとき、かなりの手練の術者が居たんだ
    幸い、ミルウーダが負傷するとすぐに退却してくれたけど…』

文官「…なるほど、合流していたとしたら厄介ですな」

ラムザ『そういうこと、注意だけはしておいて
    早馬で伝える内容としては、そんなものかな
    各位、指令が届き次第作戦開始でいいよ』

文官「ハッ!了解致しました!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アルガス「ワタクシめはのけ者ですか、ラムザ指揮官サマ?」

アルガスが足をひきずりながら寄ってくる

ラムザ『…いや、そうではないよアルガス副官クン
    難しい話は傷に障るかと思ってね、部下に対する気遣いさ。』


コイツには象でも眠らす薬と、痺れ薬を盛ったはずなのだが
副官に任命された事を聞くとやおら飛び起きて、自分の足を5回も6回も刺し
痛みと血抜きで毒を克服した。今回のアルガス、ガッツだけは認めてやる。

アルガス「しかしまだ痺れやがる
     ワイルドボーの肉、まれに中毒を起こす者がいるらしいが
     オレがそうだったなんて、ツイてねぇや」

ラムザ『たいてい一回かぎりのものさ、もう動けるんだから幸運なほうだろう
    普通なら死ぬことはなくとも2、3日は動けないんだから』

僕にとっては不運だ、面倒が増えた。


ー夕刻ー

ゴラグロス「さっさとここを立ち去るんだ!
      この娘がどうなってもいいのかッ!」


なんてことだ


ゴラグロス「おかしなマネはするなよ!
      この砦には火薬がごまんと積まれているんだッ!」


なぜこうなってしまうんだ


ゴラグロス「おまえたち全員を吹き飛ばすだけの量はたっぷりあるんだぞ!
      わかったらさっさと行けッ!!」


この展開は






あまりに上手くいきすぎた
見返りはあるが、僕のリスクも大きい展開。

ラムザ『…よぉしッ!わかった!』

アルガス「な、何してるラムザッ!?」

ラムザ『甲冑を脱いでる』

アルガス「そんなことは見ればわかるッ!
     なぜそんなことをしてるんだッ!」

見てればわかるよ

あらかた脱ぎ終わり、ゴラグロスの方へと歩き出す



ラムザ『…人質の交換だッ!!』


ティータまで30メートル

ラムザ『聞けッ!ゴラグロス!』

喋りながらも足は止めない

ラムザ『その娘は平民だッ!』

アルガスが組み伏せようとしてきたので

ラムザ『ベオルブ家とは関係ないッ!』

軽くいなして投げ飛ばす

ラムザ『そんなのを人質にしたって』

側近たちは予想外の事態にうろたえている

ラムザ『もろともに殺されるだけだッ!』

あと15メートル

ラムザ『…こんなふうになッ!』

虚空に伸ばした手は、アルガスの放った矢を掴んでいた

ゴラグロス「…ッ!貴様は!」

ラムザ『イグーロス砦攻略作戦臨時指揮官、ラムザ・ベオルブだッ!』


アルガス「指揮官は乱心した!ここからは俺が指揮を執るッ!」

アルガスが叫び、騎士団の一部は応えた
おそらくヤツが親しくしていた連中なんだろう、抜け目ないヤツだ

アルガス「右翼!ゴラグロスを射殺せッ!
     娘に当たっても…いや娘ごとでいいッ!射てッ!」

だが矢は一本も飛ばない


ラムザ『聞いたかゴラグロス!』

あと10メートル

ゴラグロス「何を企んでいる貴様!」

まだダメか、もっと脱ごう。

ラムザ『だから交換だ!
    平民の娘と貴族の指揮官、どちらが効果的かくらいわかるだろッ!』

アルガス「どうしたッ!?射て!」

無駄だアルガス、僕は勿論、ティータだってここの連中には射てない
騎士道の最大のタブー、主家殺しは、例えそれが平民の養子であっても
主家の家長の命令がなければ誰もできない

あのときお前が連れてこられたのは、ただ一人、お前だけが北天騎士ではなく
お前だけがティータを殺害しうる人間だったからだ

ラムザ『さあ、返答を聞こう!』

あと5メートル、立ち止まる

ゴラグロス「…わかった、応じよう!」


ゴラグロス「手を頭の上で組んで、ゆっくりと、後ろ向きにこちらに来い!」

言われたとおりにする

アルガス「クソッ!腰抜けどもめ!」

あと4メートル

迂回して射つ気だな、もう時間がない
ディリータがものすごく心配しつつ怒った顔をしている
『何があっても僕を信頼して、黙って待ってろ』
と言っておいたが、これは予想の範囲を超えていたらしいね。

ゴラグロス「何か武器でも…いや隠しようもないか」

すでに全裸に靴だけだしね
あと3メートル


ラムザ『一応言っておくけど』

あと2メートル

ゴラグロス「なんだ、命乞いなら聞かぬぞ」

1メートル

ラムザ『ティータを解放しなくても』

ゼロ

ラムザ『解放した後、危害を加えても』

ゴラグロスの手が、僕をつかんだ

ラムザ『君のはらわたを引きずり出して吊るすからそのつもりで』


ゴラグロス「…ッ!ふざけたことを!」

声が裏返っている
命を惜しむヤツにはこういう単純な脅しが効く


ゴラグロス「娘ッ!貴様はもういい!行け!
      弓手、射たんでいいぞッ!」


よろめきながらも走るティータ
途中、こちらを振り返ったので、すかさず笑顔でウインク
少しだけ笑った
守ったぞディリータ、お前の半身。


ディリータがティータを抱きしめるのと
ゴラグロスが僕を砦に引っ張り込むの
アルガスの放った矢が、閉じた扉に刺さるのは
ほとんど同時だった

某妄想オヴェリア様を思い出すな

全裸なのにこの貫禄である

以上だッ!ご意見ご感想などあれば聞こうッ!

乙だッ!!
素晴らしかったぞ!!
あとは、ティータとにゃんにゃんするシーンがあれば言うこと無しだッ!!

カッコいいけどカッコよくないwwwwww

乙です。
いいなぁラムザ!俺はカッコいいと思うぜ、まあ危ないのは確かだし、風邪ひきそうだけど。
しかしアルガスよ……いくら何でもラムザが居るのに撃つなよ。
……今俺もラムザ書いてるが、出だしとラストしか考えてないから、こんな風に綺麗には書けないんだよなぁ。

アルマに対して純粋に妹愛なのか性愛を含むのか
10周目って数字に意味はあるのか

面白いよ

>>69ググったけどなにこれすごい、ハンパない
  あとでゆっくり見る
  でもここまでふざけないよ、わりとシリアスにもなるよ

>>70全裸でマジメな展開だ
  ちなみにイチモツを妄想で膨らませてから脱いだ
  下の聖剣がお粗末では格好がつかンからな!

>>72すまンがしばし先になる
  ここからだいぶ動きが変わるが
  うまく整合性がとれるようがンばるッ!
  
>>73-74カッコイイって!全裸は武器をもってない事を示すための
    最終和平形態なんだぜ!

全レスはスレ主の義務ッ!
今日は寝るまでは語るぜッ!

>>75いいとこつくね!今家畜神は頭に血が上ってる
  後々この行動も意味を持つかもね
  出だしとラストが決まれば書けるというか書いてよ
  ラノベ萌えアニも好きだけど、スレがそればっかになってて
  食傷気味なんだ
  ちなみに文章は一人称視点ならキレイに書くのは難しくないよ
  たくさん本を読むのをすすめる

>>76思い切り含むよ!あと10週目ってのにも一応意味はある
  1-9週目のラムザ君の足跡は物語の中で明かすよ
  

とか言ったらレス止まったか…
寝るわおやすみ

2-3日中には次回分出す予定

この時間は大半が寝る時間なんだよ

このラムザ大物すぎる
この自信と度胸は幾多の経験からか…ついでにLv99かつ全ジョブマスターしてそう

あと全裸になっても周りの反応がないのが笑えるわ

というか全裸で頭の後ろに手を組んで歩くとかどこのストリップショーだよww

最近、おとしだまで買ったけど難すぎてやめた…

10回も同じような流れの人生を繰り返すって、ラムザみたいに救えなかった人達を救うって目的があるならやっていけそうだけど、特に目的のない人間だったら発狂しちゃいそうだよな。

大したことではないけど、『』をつけて喋るラムザさんはめだかボックスの球磨川さんを彷彿とさせるな。

こんばんはスレ主だ、今日で休み終了ェ…
今日からは週一ペースでの更新になるから気長に待っててくれ

今回はちょっと強引な展開に見えるかも
>>110で投下開始

>>81
休みだったから感覚なかった

>>82>>83
当然マスター、チート性能だが
協会、王家相手に一人じゃ押し切れないのはもうわかってはるねん

あとこの人脱ぎたがりやねん

>>84-102
ここまでゲームの話かよ!いや別にいいけど
もっとこうツッコミ要望ご意見ご感想をお願いします!

>>103
いろいろ伏線に触れてくれるね、嬉しいぜ。

あいあい。
待ってたよ。

乙です。仕事頑張ってください
序盤にFFTスレは完結しないって言われてたが、雑談スレ化するのが原因じゃないのかと最近の流れをみて思った

ラムザはメインキャラ何人とヤったんですか?


ディリータ「大丈夫かティータ!
      ヤツらになにもされなかったか!?」

ティータ「………いを」



ティータ「おっぱいを、揉まれたわ…」

ディリータ「ヤツらを皆殺しにしろォッ!!!!!!」


ティータ「ため息を、つかれたわ…」

ディリータ「どういう意味だ貴様らッ!!!!」


ディリータ「!ッぐあ…!」

ティータのこめかみに突き立つはずだった一本の矢は
咄嗟に庇ったディリータの掌を貫通し
彼女の髪をくすぐるにとどまった


ディリータ「…アルガス!なんのつもりだッ!?」


アルガス「その娘は死ぬべきだッ!」          
弓を投げ捨て、抜剣しながら叫ぶ

貴族と平民が交換!?
貴族と平民が等価!?
貴族と平民が同等!?

冗談じゃない!おまえたちは生まれながらの家畜!道具!
ただただ搾取されるため、オレたちのために生きているモノだッ!


アルガス「ラムザはもう助からん、なら、オマエが生きてていいワケがないッ!
     貴族が死んで、かわりに平民が生き残るなんてそんなことは
     そんなことは、神がお許しにならないッ!」

痛む足をものともせず駆け寄り
上段に構えた剣をディリータもろとも斬り捨てるべく振り下ろーーー







されない、駆けつけた北天騎士の剣が
振り上げたアルガスの両腕を手首から切断していた

剣無き腕が、虚しく空を切る。

「…副官、アルガス・サダルファス、乱心
 貴君の身柄を拘束し、これより代わって私が指揮を執る」


駆けつけた騎士は、参加している者の中では二人しかいない古参の一人だ
二つの連絡基地を襲撃するにあたって、それぞれ一人ずつ割り振った


片付き次第、合流する手はずになっていたがーーーー
ちょっと早すぎだ。

もうちょっと遅れてくれたら、ディリータがアルガスを殺してくれたのに



ゴラグロス「終わりだッ!」

ティータの安全を確認するまで、と言って開けさせた矢窓が閉じられる
まぁいいか、ここからは見なくてもわかる

混乱を鎮めた後、早馬を出し、兄にお伺いをたてる
内容はこうだ
「貴方の弟さんを、旅団ごとブチ殺しても構いませんでしょうか?」

返答はこうだ
「構わん、やれ」

誇り高き北天騎士は脅しには屈しない
いかなる理由があろうともだ。



「ならその小僧の耳でも鼻でも削いでやればいいッ!」
「いや、刺激するのはマズい」
「このまま待っててもラチが開かん!いっそ打って出ようッ!」
「あちらも混乱している、しばらく待つべきだ」
「その混乱に乗じて手を打つべきだ!」


砦の中、暖炉のしつらえられた会議室
そこに車座に集まった団員たちが、わずかばかりの食事をとりつつ不毛な議論を交わしていた


すでに再三にわたり、兵を引くよう要求したが全て黙殺されている
当然だろう、今は兄からの返事を待ちつつ総攻撃の準備をしている頃だ


ゴラグロス「お目覚めかね、臨時指揮官クン?」

いやずっと起きてたけどね

ラムザ『やぁ、おはようゴラグロス
    モーニング・ティーは出ないのかい?」

無言で顔を殴りつけられた

今、僕の顔は元よりひとまわりほど膨れ上がっている
鎖で吊られたぼくを、彼らは殴りつづけた
見張りや弓手までわざわざ交代しながら全員で、だ。

おかげで人数は把握できたし、目当てのヤツも見つかった

ーーそろそろ動くかーーー


手首と指の関節を外して手枷を抜きーーー
そのまま鶴頭をゴラグロスの鼻面に叩き込む

ゴラグロス「ぶべあッ!」

その場にいた15人が一瞬で戦闘体制に入った、けっこうやり手の連中らしい

ラムザ『あー、まずは落ち着いて聞いて欲しい』

言い終わる前に手前の5人が斬りかかってきた
そりゃそうですよね。

ラムザ『心無となり、うつろう風の真相 不変なる律を聞け! 不変不動!』

振り上げた剣もそのままに、5人全員が動きを止めた

「…コイツ術士かッ!?」
「気をつけろ!かなり使う!」
「囲め!囲んで一斉にかかるぞッ!」

遅いよ

ラムザ『落ち着けってのに!地列斬ッ!』

地を這う衝撃が散開しようとした6人を吹き飛ばす

「も…モンク……?」

残りはーーーー戦意ナシ、か。

ラムザ『--よし、こんなもんだろう』
ゴラグロスの懐からスリ盗った葉巻をくわえて魔法で火を点けながら言う

「シ、シーフ!?導師!?」

ラムザ『にしても君たち』

モーグリを呼び出し、イスを引かせる

「召喚士……?」

ラムザ『…このままじゃ喋りにくいな』
顔に手を当ててひとなですると、腫れも引いてスッキリした

「聖職者?」

ラムザ『にしても君たち久しぶりだね、元気してた?』


「アンタ一体何者なんだよッ!?」


ラムザ『ただの見習い騎士さ』

ラムザ『僕は君らを…







    助けにきたんだ』


ラムザ『以上で作戦の説明は終わりだけど、何か質問ある?』


全員の目が「なに言ってるんだコイツ」と言っていた


ゴラグロス「デタラメだ!命惜しさにでまかせを言うなッ!」

今度はその目がゴラグロスに向かう
騒ぎを聞きつけて集まったものも含め、すでに40人全員が縛り上げられていた

ゴラグロス「…仮にそれが可能だとしてもッ!」

失言に気づいたのか言い直した

ゴラグロス「貴族の言うことなど信じられん!
      50年戦争のときも、甘い話を囁き
      我々を使い捨てにしたことを忘れたと思ったかッ!」


ラムザ『今君らをーーー』

ラムザ『殺していないことは、証拠にならないかな?』


ゴラグロス「利用価値があるからだろう!
      いいように操り、搾り取り、用が済めば始末する!
      それがキサマらのやり方だ
      1000年変わらぬ、貴族の流儀だッ!」

「あの、大将ー」

ゴラグロス「なんだ雑兵!」

「すいませんが、意地ならひとりで張ってください」
「ラムザさん、この縄解いてください」
「わたしたち、協力します」
「それで命が助かるなら、何だってします」

ゴラグロス「貴ッッ様らぁぁぁぁl!!!」


      


無論、協力すると言ったのは僕の雇った連中だ
あの時彼らにはいくつかの買い物と、アルガスへの情報操作を頼んだあと
いくばくかの金と、舞台衣装を渡しこう言った

『この依頼が終わったら、もう好きにしていい』
『旅団として活動するも、市井に戻るも自由だ』
『だがーーー』
『もしも君たちが絶体絶命の窮地にいたとして』
『その時ぼくが近くに居たら』
『助けを求めてくれ』
『必ず、応えるーーーーー』


たぶんその時は何を言ってるかわからなかっただろうが
今になって思い出したのだろう
4人の縄を解く


「ハイ、じゃあ大将にゃ猿轡をかませて、と。」
「みなさん協力しましょう、このひとがこんな嘘つく必要ありませんよ」
「意地張っても犬死にするだけだぞ、第一、北天騎士に人質なんか…」
「どうせなら生き残るほうに賭けよう、生きていてこそ革命も成るというもの」


このあたりはアドリブだ、偽らざる本心でもあるのだろうが
一人か二人、たどり着ければいいほうだと思っていたが、4人もいたとはありがたい
一人もいなければ、諦めて全員の身柄を引き渡すつもりだっただけに特に。


さすがに仲間の説得には弱いらしく、一人、また一人と折れていく
こうなると早いもの、10分もしないうちに全員の縄が解かれた


ゴラグロスの猿轡を外すと、こちらが何も言わないうちに
「全体の意思なら、仕方あるまい」
と言って、不服そうな顔で大仰にうなずいた



嘘つけ、最初からやる気だったクセに。


ラムザ『大体終わったかな?』

ゴラグロス「これで最後だ」

兜に火薬を詰めて、スリバチ状にならし
それを壁に向かって並べて、後ろには重石として
古テーブルや石、朽ちた武具なんかを積んでおく


返事の早馬が来るまで、もう一時間もないだろうというところで準備は終わった


ゴラグロス「本当に我々を助けるつもりか?
      なぜそんなことをする?
      お前の目的はなんだ?」

ラムザ『最初の質問は、イエス
    残りのは後で…
    ウィーグラフとミルウーダと合流してから話すよ」


ゴラグロス「…生きていたとはな」


見捨てて逃げた方としてはいささか複雑か
それとも作戦に不安があるのか
ゴラグロスの表情は硬い


ラムザ『ま、心配するな
    お前たちも助けてやるさッ!』

そう言って、背中をバンバンと叩く

ゴラグロス「…気安く触るな、貴族のクセに…」

少しは和らいだようだ、案外話のわかるヤツなのかもしれない



さてーーーー

すでに整列している団員たちに向き直り、叫ぶ




ラムザ『骸騎士団、臨時指揮官ラムザ・ベオルブ!
    これよりイグーロス砦脱出作戦を開始するッ!!』

しゅーりょー

展開遅いかな?


いよいよチート能力を隠さず本筋から逸れてきたな
1年の逃亡生活と2章の内容がどうなるか楽しみだわ

>>106
待たせてスマン
次回からはもっと待たせる

>>107-108
別にそれが原因ってこともないと思うけど
ssそのものについても言及してほしいとは思うな
あそこがオカシイとか、これ不自然じゃね?とか
言ってくれれば直したり説明したりできるんだがねぇ。

>>109
3週目であらかた…設定。

乙ー
これ詠唱キャンセルのノンチャージだっけ?も習得してないか
まさかダテレポも……

>>118
いいんじゃないかな
10周目でも甘さを失ってないあたりすごくいい

>>110
揉みたいし色々したい
いい意味のため息だよきっと

鳥つけた方がいいんじゃなかろうか

>>119
かなり違う形になる
こっから完璧オリジナル部分になるから
進行遅くなるよー

>>121
ショートチャージはもちろん持ってる
テレポダテレポは無い

ついでに設定ぶちまけとくと

FFTにおける魔法、特技はゲームバランス上みんな使えるが
このSSじゃ使い手はかなり希少
戦闘に使えるレベルの熟練ともなれば齢80のジイサンとかばかり
当然体力的にはつかいものにならない
そうでなきゃ騎士団なんていらないワケで。
ゲームに忠実にすると
どんな城でも召喚獣とかメテオ連発でカタがついてしまう

だからこそ齢500を数えるラムザ君のチート性能が輝くワケさ!

ファイラ当たりまでは使い手いてもいいんじゃないの?
メテオあたりはともかくとして

久しぶりだからなーこうだったか

ゲーム準拠ならどんな攻撃方法も城落としに使えるようなモンじゃないでしょ
上級職複数マスターも神殿騎士団の精鋭とかごく一部のユニットだったろうしそんな抑えなくてもいいんじゃない?

>>122
一周まわって優しくなったのさ
時代的に子供いっぱい産める
ふくよかな女性がヨシとされてる
バリンテンならいろいろされてたな

>>123
つけてみたよー
今後ともヨロシクー

>>125
そのへんまでは使い手はワリといるんだよ
ただ戦闘に、となると爆薬やら火矢のが
数もそろうし誰でも使えるから軽視されてるんだ。
騎士の威厳とかの都合もあったりする

エターならなければそれでいい。いつでも続き待ってるよー。

>>127
いいよいいよそういう語らい、嬉しくなるね
でもゲーム準拠だと隕石が直撃しても、至近で爆発くらっても
数万ボルトの電撃浴びても生き残ったりするからね

心配しなくても強キャラたちはゲーム並みかそれ以上になるから
楽しみにしててくれ

>>129
気長に付き合ってくれ、読み手さえいれば
完結まではなんとかもってくから

なんでゴラグロスは生かしたの?
強姦とか略奪したよね?
いや展開を責めるつもりはないんだけれども、少なくともアルガスは殺したがってたのに不思議だなぁと。

強姦したりなんだりのゴラグロスを生かしたのが分からん。
少なくともアルガスのことは殺したがってたのに。
別に展開を責めてるわけではないが。

>>132>>133
そ り ゃ ギ ュ ス タ ブ だ ッ !

エルムドア侯爵誘拐の実行犯だ、もう死んだよ

個人毎に受けるべき裁きを与えるんじゃない?
全員まとめてじゃなくて

>>135-136
普通忘れてるよなぁ
自分もwiki見ながら書いてる、気にしなくていいさ。

>>134
連載中から気になってたけど、ギュスタヴだよあいつ
あいつだけは元北天騎士なんだよね、略奪で左遷されたけど

>>138
一瞬なに言ってるかわかんなかった
ブとヴが違うのね、りょーかい

そーそー、そもそもそんなヤツ入れるなって話だよね
きっと人手不足の時に入ったんだろうな。

>>139
細かいこと指摘してすまんね、でもずっと間違え続けられてたら気になるもんで
これからギュスタヴが名前だけでも出てくるとは思えないけどね

ギュスタヴが入ったのは戦争中の骸騎士団だった時代のはずだよ
北天騎士団の下部組織だったから、受けざるを得なかったんじゃないかな
で、平民の中で腐っても貴族だから権力があって副団長の地位にいたんじゃないかと

乙です。
このラムザ下手すりゃ全剣技持ってね?今素手だから使えないだけで。
まあゲームなら暗黒有れば十分だけど。

>>140
いいさどんどん指摘してくれ

同じく素行の悪い、結構な数の部下と一緒に来たと思ってる
その連中とつるんで悪さしてたんだろうな

>>141
全剣技は…期待してて。










びゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
休みぉゎっちゃぅょぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!


さて、ねるか。しばらくさらばー

算術士・・・、自分を中心として距離や高さのような座標を指定する感じとか?

ラムザ「もういっそ皆モルボルになってしまえば平和になるんじゃないか」

後の沙耶の唄である

レベル→強さの目安
ハイト→場所の高さ
EXP→更に細かい目安
CT→……?

言葉に直すとこんな感じか?やはりゲームの設定ありきだな算術士。

>>153
算術士の目には世界が数値化されてデジタル的に映る
俺の好きなラノベでそういう特異体質のキャラがいたけどアレはまさに算術士だと今気付いた

>>148-150 >>153 >>154

うーん、どっちにしてもメインキャラはデフォ職で出るから
モブにやらせる事になるなぁ

ただでさえ登場人物多いからオリジナルのキャラはあんまり出したくないんよね


>>151
モルボルEDか、失踪するときはそれでいくかww

>>152
エロゲにした意味がわからんよなぁアレ
残酷描写でもX18っぽいが
全年齢で出せばもっと売れたのにね



さて続き書けた、今回はちょっとハンパな所で終わる

>>160から投下するよん


古参の騎士は、命令を忠実に実行していた


ザルバッグからの返書は、予想を裏切らぬものであったが
字体に震えが見て取れたのは、彼にとっては複雑なものを感じさせた


とはいえ正式な命令であれば、これを忠実に実行するのが部下の役目


西側の尾根より、油壺を投擲
十分に行き渡ったところで火矢を放った


爆薬云々が本当であれば、ここで引火してもよしーーー
嘘であれば、オーブンよろしく焼け死ぬであろう


たまらず出てきたものは遠間より一斉射で仕留める
こちらの松明は全て消してある、そしてこの月もない闇では
こちらは見えず、あちらは燃える砦に照らされて丸見えだ


指揮官どのが拷問され、作戦内容が露見している可能性もあるが
わかったところで手の打ちようもあるまい

彼らはすでに詰んでいる

今この時からか

あるいは、骸旅団と呼ばれ、我ら北天騎士団に追われた時からかーーー




この作戦が終わったら、全軍でラムザ指揮官に黙祷を捧げよう

彼の行動は愚かではある

しかし、その勇気と献身は、けして否定されるべきものではない


そう考え、老齢の騎士は涙をこらえてうつむいた


その時であるーーーー


「ヒュー、すっげぇ……」

扉を開けた若手が感嘆の声をあげる


轟音と共に、自然石で出来た堅牢な壁に大穴が開いていた
隣の部屋で待機していた僕らには傷ひとつない


爆薬を堅固な容器に入れ、スリバチ状に成型する
こうすると爆発の衝撃はその中央部に収束され
高い貫通力と、指向性を持つ

機工都市ゴーグ、ベスロディオ仕込みの発破術
人生何がどこで役に立つかわからないものだ


ラムザ『驚いているヒマはないぞ、全軍、全速で離脱だッ!』


「「「「「「了解ッ!!」」」」」」


目指すは北東、鬱屈と茂る雑木林、通称チョコボの森
そこまで行ければーーーーーーーー


凄まじい轟音と共に大気が震えた

ーーー自爆したか、被害を確認し、ザルバッグ様に訃報を打たねば

そう老騎士は考え、しばしの感慨にふけった


少しして、前線から慌しい空気が伝わってくる

老騎士「騒ぐなッ!主家筋のお方が戦死された時くら」


「で、伝令ーッ!」


「骸旅団数十名!砦の北東側を爆破し、逃走しましたッ!!!
 騎乗の者数名が追跡中!ご指示をッ!!」


これは寝耳に水の話であった

現在、兵は砦の唯一の出入り口、つまり南側に扇状に布陣している

北側に広がる森林地帯は馬も入れぬほどに密集しており
ここから騎乗での脱出は不可能であるし
万が一こちらに逃げ込めば森ごと焼き払えばよしと考え

他方で討ちもらした敵が徒歩で超えてきた場合への警戒として
わずかな見張りを配置したのみである


老騎士「…我が乗騎を、黒天号を引け」


時を知る精霊よ、因果司る神の手から 我を隠したまえ・・・ ストップ!」

いち早く脱出に気づいたチョコボに乗った騎士、これで最後の一人だ


ラムザ『…なかなかうまいじゃないか』


「あ、どうも、えへへ…」


唱えたのは僕、彼女はフリだけだ


ラムザ『衣装も似合ってる、本職の魔導師かと思うよ』


「実は目指してた事もあるんですよ、まあ学費払えなくなって…」


なにせ僕は人質だ、矢面に立って戦ってたんじゃ後々面倒なことになる
彼女らに渡したのは導師の衣装
帽子を目深にかぶらせてあるから顔はわからないはずだ


ラムザ『…そりゃ悪かったね、補助金でも出すように兄さんに言っとくよ』


「! そんなつもりじゃ…」


ラムザ『冗談、そろそろ森に着く、もう一芝居頼むよ』


「さっきので最後…あッ!」


爆発する砦に照らされて、後方から近づく一団が浮かび上がる


こっちはチョコボ16、馬が三頭に41人も乗っている
一人一頭のあちらとはスピードが違う


ラムザ『でもこのまま行けば、ギリギリ間に合うかな』





その時、逆行に照らされた一団からひときわ黒い影が飛び出してきた

ーーー黒チョコボ!さっきの騎士かッ!!!
あのとき間に合ったのはこのせいかッ!!!


ゴラグロス「ここは私に任せてもらおうかッ!」


先頭を走っていたはずのゴラグロスが
いつのまにか中団まで下がってきていた


ゴラグロス「あのような老いぼれ相手に背中を見せたとあっては
      ウィーグラフに笑われる!」


どう見ても先ほど見せた失態の回復を図っているようにしか見えない


ゴラグロス「来い死にぞこない!このゴラグロス・ラヴェインが
      引導を渡してくれるッ!!」


老騎士「小童が!尻のカラが取れてからものを言えッ!」


最後方に下がったゴラグロスが騎士めがけて剣を振り下ろす


ゴラグロス「なッ!!」


騎士はその斬撃を手甲で無造作に払いのけーー


老騎士「10年早いわ!」


不可避の突きをゴラグロスの胸に刺し込む



しかしその切っ先は


老騎士「ゴーレムッ!? 件の術士かッ!?」


硬質の肌を持つ、岩の巨人によって受け止められていた



ラムザ『面倒を増やすな!』

ゴラグロス「す、済まぬ…」


さきほどの騎士は、突きを防がれた反動で落馬した
まあ死んではいないだろう多分。

もう森は眼前に迫っている、集中だ集中。


『「創世の火を胸に抱く灼熱の王 灰塵に化せ! イフリート!」』


疾走する炎の魔神の巨躯が、木々をへし折り焼き尽くす
深い森を東西に分かつ、黒焦げた脱出経路だ


ラムザ『全軍、全速で離脱!遅れるなよッ!』



ゴラグロス「蔦地獄…風水まで使うのか」


今まで走ってきた道を、複雑に絡む蔦が塞いでいく

こうすれば追撃手は引き返して森を東西に大きく迂回するしかない
かなりの時間が稼げるだろう


ウィーグラフ「…ここからどうする、どこに逃げても無駄だろうに」

ミルウーダ「兄さん、弱気にならないで」


合流した二人が口を挟む

近場の洞窟に、兄の陣営からちょろまかした馬車や荷車
チョコボ数頭とともに待たせておいたのだがーーー


ラムザ『目指すは北東、ゴルターナ公のお膝元さ』

ミルウーダ「ゼルテニア!?無理よ、何日かかると思ってるのッ!?」

ウィーグラフ「我々は顔が割れている、途中で捕まるな」


知ってるさ、そのための道具も積んである




ラムザ『じゃ、ちょっとそこらへんを説明しようか』


ゴラグロス「ほ、本当にやるのかッ!?」

ウィーグラフ「見苦しいぞゴラグロス!おとなしくしろッ!」

ゴラグロス「他人事だと思ってッ!!」


ウィーグラフに羽交い絞めにされたゴラグロスがじたばたと暴れている


ラムザ『うるさいなぁ、暴れるなってのに』

これは力加減が難しいんだ、手元が狂うと危ない


ラムザ『じゃあいくぞー、セイッ!』


「ぐふッ!」「がッ!」「ぎッ!」

ゴラグロスの顔面を殴りつける

ラムザ『…ん、まだまだだな』

「ぬッ!」「っぶあ!」「」「」「」「」「」「」「」

ミルウーダ「…うわぁ…」

22発殴ったあたりで気絶した、こっちのがやりやすい
仕上げにもう20回ほど殴り、満足のいく仕上がりになったが
なんかキリが悪かったのでもう8回、都合50発。

ラムザ『えーここをこう引っ張って…
    よわいケアル!よわいケアル!』※

鴎国のスパイが使う整形術、回復と手先の加減を間違うと二目と見られぬ顔になるので慎重に行う

10分ほど繰り返すと、ゴラグロスの人相は全くの別人になっていた
…これを全員分かぁ、骨が折れそうだ

ミルウーダ「」

あ、固まってる。そりゃそうか痛そうだし

ラムザ『君は…』

ミルウーダ「…ハイ」

ラムザ『…髪を染め粉で染めて、化粧で誤魔化そうか?』



ゴラグロス「…なら私もそうしろッ!!」

いつのまにか気付いていたゴラグロスが叫ぶ

ヤだよ、だってお前僕を殴ったじゃん。

※よわいケアル

まんま弱いケアル
FF5にてクルルが放ったよわいサンダーと用法は同じ

今回はここまで

ちょっとカタいカンジだけど
次回くらいから楽しくなる予定ー

乙です。
十分楽しいと思う。
殴ってから弱いケアル……そりゃミルウーダもビビるわな。
算術士はディープダンジョンの8に出る事があるらしい、黒本によるとだけど。

乙ですよ
ウィなんとかさん達ゲームで使いたかったな

あのラムザがゴラグロス相手に延々殴ってる光景って相当シュールだろうな


ディープダンジョンか敵だとバカそうだな

トードかけて持ち歩くのかと思った
人のままでよかったなゴラグロス

ぶっちゃけ幹部級意外は顔割れてない気がするけど
どうなんだろうか

>>170
楽しんでくれてるなら嬉しい
はやくイチャ2パートも書きたいよ

>>171
不思議なデータディスクにすら居なかったからなー
リオファネスで好きになったヤツも多いだろうに

>>172
どーしてもゴラグロスの役割がこうなるんよね
三枚目というかなんというか

>>173
敵でみたことないぞー
ハイト3ホーリーで自滅しそうだなw

>>174
トードは一応禁呪扱いにしてるのよ、ストーリー中で説明するわ

砦戦の前の時点で敗色濃厚だから面が割れてないヤツは市民に戻ってて
残ってるのは引き返せない連中ばっかりだと思ってる


>>175
トードは詠唱が恥ずかしいから禁呪でも仕方ないと思います
説明も無理やりになるなら入れる必要はないかと
そういうものだと割り切ってしまえばいいのだし

今居るのは戻れない連中か、今後の展開が気になる

タクティクスオウガでわたしも書こうかな

>>176
あっと驚かせるよー
トンデモ方向かもだけど

>>177
書いて書いてよ見るから
エロ萌え安価、勇者魔王もいいけど
古きよき名作をSSにするのは楽しいぞー

乙 楽しかった
次の投下はまた一週間ぐらいか?

算術無双と真言(笑)・裏真言(笑)を真っ先に思い出してしまった

>>180
だいたいそんなもんと思っておいて
ゆっくり進めていくつもりだから気長にねー

>>181
PSPでは兄も妹も強化されてる
だからって使うこともないがww


さて今日はもう終了だ、また来週ー

算術って面倒くさくなかったっけ?装備品整えたりなんだりで。
普通に精神統一で投げたりジャンプしたり
風水師で引き出し(魔法攻撃翌力UP)たりした方が早かったような。
まぁFFT自体面倒だけど。

おつー
ラムザやディリータがDQNなSSも連載中だし、FFTのSSが増えてくれるのは嬉しいもんだね。
こっちのラムザは人格的にまともだから読んでて安心できるわw

>>184-188
極論するとオルランドゥ一人でおk
縛りなら算術ホーリー聖属性吸収装備だったな僕は

>>189
みてきた、超タノシイwwwwww
こっちも負けずにがんばるよー

今度こそ、おやすみなさいまた来週ー

続き書けたぞー、今回はキリよくいけた

次レスで投下開始ッ!

「「「「「「「「「「これが…私……?」」」」」」」」」」

団員たちの反応はおおむねこんなものだったが

その中でもミルウーダの変貌は群を抜いていた
普段、戦禍のなかで土と埃と血にまみれていた姿しか知らない者たちには
まるっきり別人にしか見えないだろう


ミルウーダ「…ラムザ、もう着くと言ってたわね?」

ラムザ『うん、もう見えてるよ』


二人のドレスが海風にたなびく、僕と彼女の


ミルウーダ「…本当にその格好はあなたの趣味ではないの?」

ラムザ『何回も言ってるじゃないか!追っ手の目をくらますにはこれが一番なんだって!』

ミルウーダ「…まぁ実際10日間も逃げ切れたワケだからそういうことにしておいてあげるわ」

ミルウーダ「それにけっこう似合ってる、士官学校では化粧やドレスの着こなしまで学ぶのかしら?」

ラムザ『必修科目さ、これ着てワルツを踊れないと卒業できない』

ミルウーダ「フフ、冗談は下手ね」


そう言って笑うと、御者台に座る僕の隣に腰掛けた


ミルウーダ「ね、また何か話をしてくれない?」

同性?の気安さからか、はたまた僕に気がーーーーーいやなんでもない
この旅路についてから彼女はずいぶん僕に馴れたようで、たまにこんなことを言う


ラムザ『そうだね、じゃあ僕が昔王様だったころの話をしようか』

ミルウーダ「海賊、商人、学者ときて今度は王様?ずいぶんと忙しい人なのね、あなた」

あきれた顔で言われた
…だいたいホントのことなんだけどね

ラムザ『そう、あれはーーーーーーーーーーーーーー』


ウィーグラフ「着いたかッ!」

ゴラグロス「待ちわびたぞッ!」


…ホントこの二人は空気が読めない、これだから男は。







ウィーグラフ「しかし、ずいぶんと寂れた街だな」

ゴラグロス「大きいのは大きいが…活気がまるで無い」

ミルウーダ「身を潜めるにはいいのかもしれないけれど」

ラムザ『ここはね』

ラムザ『かつてはオルダーリアとの交易で栄えていたんだけど、50年戦争の折に戦禍に巻き込まれた』

ラムザ『その後国交は断絶、交易も下火になりーーー』

ラムザ『つい先日、最後に残っていた商会も撤退したばかりさ』

ゴラグロス「ッ!ザーギドスか!」

ミルウーダ「知っているの?」

ゴラグロス「ああ、昔任務で来たことがあるが、ここまで荒れ果てていたとは…」


ラムザ『当たり。さぁとりあえず今夜の宿をとろうか、いいかげん野宿もーーー』


ウィーグラフ「ーーーお前はーーー」

ウィーグラフ「ーーー我々にここで生きろと」

ウィーグラフ「この辺境で、貴族どもへの恨みを忘れただ命が助かったことに安堵し
       草を食み、泥をすすって生きろとでも言うのか!
       ふざけるなッ!我々は豚ではない、狼だ!革命に生きる戦士だ!
       たとえ命尽きようとも我らの戦いをーーーー」

ラムザ『君は





















    僕を聖人かなんかと勘違いしてないか?」


続きは宿でやることにした

熱い風呂に入り食事を済ませると、ウィーグラフもいくぶん落ち着いたようだ

なにせ隊商に偽装して旅をしている間はまともに街にも入れなかったし
食事も粗末なものだったからまた格別だ

せっかくなので団員も全員集めて話すことにした


ラムザ『さっきの続きだけどさ』

ラムザ『僕は、君たちをここでのうのうと生かすつもりで助けたワケじゃないんだ』

ウィーグラフ「…どういう意味だ」

憮然とした調子でウィーグラフがたずねる

ラムザ『君たちにはここで戦ってもらうーーーー
    ただし、使うのは剣じゃなくてコレだ』

ミルウーダ「そ、そろばん…?」

ラムザ『そう、算盤
    君らはここ、ザーギドスを拠点に貿易商をやってもらう』


ざわ…ざわ…


ラムザ『あー、いろいろ言いたいこともあるだろうけどこれはすでに決定事項だ
    それを踏まえたうえでの質問ならなんでも受け付ける』


ミルウーダ「…資金はどうするの?」

ラムザ『乗り気だね、そうこなくちゃ
    初期費用についてはすべて僕が用立てる、何も心配いらない』

ゴラグロス「何を扱う?我々は商売に関しては素人だぞ?」

ラムザ『主には小麦なんかの農作物、軌道に乗ったら手を広げていく
    人員に関しては助っ人に心あたりがあるし、ミルウーダもいるだろ?』


実はミルウーダはかなりの商才の持ち主だ
旅団の頭目はウィーグラフだが、実質的に運営していたのは彼女と言っても過言ではない
食い詰め集団に過ぎなかった旅団が今までやってこれたのも彼女が各地からの援助を取り付けていたからだ


団員A「商売相手はドコですかー?」

僕の影武者をやっていた娘だ

ラムザ『鴎国、オルダーリアとの海上貿易をメインにする
    現状、陸路は使えないが海路なら海賊どもさえなんとかすれば使えるからね』


50年戦争が終結して以来、鴎国と畏国の国境はあいまいになり
両国の間には百数十キロにおよぶ空白地帯が出来、そこはモンスターと賊の巣窟になっている
国交のみならず貿易まで途絶えたのは主にこれが理由だ

うかつに討伐などしようものなら国境侵犯として戦争の引き金ともなりかねないため
どちらの国も手出しが出来ず、増えるままになりーーー今に至る

団員A「なんとかするって…」


ラムザ『船に砲ーーー火薬で弾を撃ちだす筒を搭載して撃退する』

あと50年もすれば一般的になるが、商船で砲を搭載したのはこれが初になるだろう
海賊も数は多いが、わざわざ手ごわい敵を相手にするほど馬鹿じゃない


ラムザ『…ほかになにか質問は?』

皆まだ半信半疑といった様子だが、僕の自信満々の物言いに気圧されているようだ

ウィーグラフ「…それが」

今まで黙っていたウィーグラフが口を開く

ウィーグラフ「それが我々の戦いにどうつながるというのだッ!」


ラムザ『いい質問だ。今までで、一番。』


ウィーグラフ「茶化すなッ!我々は民衆を貴族の支配から開放するために戦ってーーーー」

ラムザ『違うぞウィーグラフ、それは違うッ!
    民はそんなもの望んでいない、彼らを苦しめているのは飢餓と貧困だ!
    お前たちはその原因を貴族支配に求めた
    恩賞が出ない苛立ちまぎれに、剣で斃せるわかりやすい敵を求めたッ!』


ウィーグラフ「---そうではないッ!私はただーーー」


ラムザ『ただ、なんだ!民のためを思ってとでも言うのかッ!    
    ならなぜ勝ち目の無い戦いに彼らを巻き込んだ!
    お前は自分が死んでもかまわないと思っているかもしれないが
    革命を信じて死んだヤツらにどう言い訳するッ!』


ウィーグラフ「ーーー私、は」


ラムザ『君らの、僕らの本当の敵は剣で倒せるような易しいものじゃないんだ
    あの戦争で骸騎士団が一番ワリを食ったとは思う、それは認めるけどさーーー』



ウィーグラフ「…」







ラムザ『…お前が剣を振って、誰か一人でも幸せにできたのかーーーー』

    


ミルウーダ「…言いすぎよ」

ラムザ『ゴメン、つい熱くなった』

やっぱりあいつは僕だ、昔の自分を見ているようで加減が効かなくなる

ウィーグラフ「…私は、私は…」

幽鬼の形相で、とぼとぼと僕らの後をついてくる

ミルウーダ「そういえば資金の調達に行くって言ってたけど、どうするの?爆薬でも売るの?」

ラムザ『そんなんじゃ足りないよ、第一ゴーグかゴルランドあたりじゃないとーーーあぁここだ』

ミルウーダ「…ずいぶん立派な建物ね」

ラムザ『まぁね、っと、ごめんくださーい、ガリランドから来ました、ディリータでーす』

「「「「「「「!!!!!!!」」」」」」」

算術士「あッ!連絡は聞いております、ディリータ様ですね?
    証文とザーギドス用の割符をこちらに…ハイ結構でございます、確認いたしますので少々お待ちくださいッ」


ミルウーダ「あなた名前…」

ラムザ『しッ!いろいろ事情があるの!』

ミルウーダ「ここは何の店なのかしら?商品は置いてないみたいだけど」

ラムザ『銀行っていうんだけど…貴族と商会以外にはなじみが薄い所だね
    平たく言うと、お金を預かってくれる所さ』

どこかの街で金を預けると、他の支店に割符の片割れと証文の写しが送られる
こちらも割符と証文を持っていけば、いくらかの手数料と引き換えに金を受け取れるシステムだ

銀行側は預かった金を利子つきで貸し出すから2重の利益
支店間の金の移動は騎士団の演習や、軍事行動の際に同行して行われる

50年戦争の折、イヴァリース全土の治安が悪化した
商人たちが多額の現金を持ち歩くと、盗賊に狙われる危険が跳ね上がるため生まれた商売だ

算術士「たいへんお待たせ致しました、確認とれましたー」


算術士A「あ、商談に入る前にお礼を述べさせてください。どうも、ありがとうございました」

算術士B「私たち数字には強いんですけどそれ以外はからっきしでして
     再就職もこのご時勢だし難しいなーって話してたところだったんです」

算術士C「最後の商館が潰れて、もうここも閉めることになってたんですよ
     でも、そこで大口のお客様がザーギドス支店を利用されるという話が出て、閉鎖を免れました」

ラムザ『どういたしまして、ちょうどここらに用があったもんでね』

算術士「用、と申されますと?」

ラムザ『潰れた商会に金を貸してたのはキミたちだろ?
    担保として引き上げたものはあるかい?』

算術士「あー、えー、ありますあります。目録読み上げますね
    商館がひとつ、古いですが200人は収容できる規模です
    貨物用船舶4隻、これも古いですが手直しすれば遠洋にも出られます
    荷車20台、チョコボ20頭、馬6頭
    家具300点、こちらまだ商館の中に置いてます、そのまま住めるくらいには揃ってます
    
    大きいものはこれくらいですね、詳細は見てみないとーーー』

ラムザ『よし、じゃあそれぜんぶ買うよ、いくらになる?』

算術士「わからないですねってえッ!?買っていただけるんですかッ!?」

ミルウーダ「!」

ウィーグラフ「!」

算術士「えーそうですねー、価格のほうとしては精一杯勉強させていただきまして
    120万ギルでいかがでしょうか?」

ミルウーダ「!?」

ウィーグラフ「!?」

ラムザ『安いね、赤字じゃないのか?』

算術士「ギリギリですよ、そのかわりと言ってはなんですが今後ともひとつよろしくお願いします」

ラムザ『うん、わかった。じゃあ今日の所はこれで引き上げるよ
    当座の分として、5万ギルほど用意してもらえる?商館のほうはーーーー』

算術士「今日からお使いになってもらって結構です、掃除はゆきとどいてますので快適ですよ
    お金のほうは、あとでそちらにお届けでよろしいですか?」

ラムザ『それでかまわない、じゃあまた後で』

算術士「ありがとうございました、今後ともごひいきにーーー」    


ウィーグラフ「貴族というのは、学生の身でもそんなに金持ちなのかーーーー勝てぬワケだ」

銀行を出てすぐにウィーグラフが口を開く

ラムザ『んなワケない、どこも今は火の車だよ。チョコボレースで荒稼ぎした金さ』

ガリランドで盛んに行われている賭けレース
僕はイヴァリースに戻ってきた日にはそいつに有り金を全部ブチこんで、その後の軍資金にしている
今回稼げたのは3レースで250万ギルほど、いささか心もとないな

ちなみに細かいところは簡単に変わってしまうので戻ってきた日限定の荒業だ。惜しいね。

ミルウーダ「…ッ!そんなに儲かるの…?」

なんかゲスい顔になってる、こわい。

ラムザ『やめときなって、すぐにこんなの問題じゃないくらい利益を出せるさ』

ミルウーダ「そう…なの?きっとそうなのね、貴方が言うなら。」

ラムザ『ま、とりあえず宿のみんなを移動させよう、ここじゃ落ち着いて話もできない』

「でっけぇ…俺の故郷の領主の館よりデカイぞこれ」
「わたしたち、ここに住めるの…?」
「ベッドふかふかー」
「裏に井戸まであるぞ、水汲みにいかなくて済む」
「キッチン見たか?元コックの腕がうずくぜ!」
「それより風呂だよ風呂!ぜんぶ大理石で出来てやがる」


ラムザ『…気に入ってもらえたようでなにより』

めいめいにはしゃぐ団員たちを4階、執務室の窓から眺める
よほど放浪生活が苦しかったのか涙するものまでいた

ラムザ『さて三人とも、これから大事な話をしよう』

ラムザ『商売をする、というのは了承してもらえたみたいだけど
    それにはもちろん商会の名前を決めなきゃならない』

ゴラグロス「ゴラグロス商会でいいだろう」

ラムザ『なに言ってんのお前、頭取はウィーグラフだろう
    ああ、もちろんウィーグラフ商会もだめ、速攻で騎士団が監査に来る』

ウィーグラフ「骸商会…」

ラムザ『…一応、商会の名前はそこの最高権力者の名前にするのがルールだ、お前が骸さんていう名前でいいならいいけど』

ミルウーダ「ランスロット、っていうのはどう?」

ラムザ『いいね、由来を聞かせてよ』

ミルウーダ「同僚から聞いたおとぎ話の主人公の一人よ
      はるか異国の地で圧政を敷く悪い魔術師を、数多の仲間と共に打ち破り
      民衆を解放した、誇り高き聖騎士ーーーーー」

ミルウーダ「兄さんにピッタリの名前だわ」


ウィーグラフ「ランスロット…聖騎士…









       フ、フフフ
       決めたぞラムザ、私は決めたッ!」


ウィーグラフ「私は間違っていた!ただ闇雲に剣を振るうだけでは貴族どもは斃せぬ
       腹いっぱい食ってこそ、民衆の中に戦う力も生まれようというものだッ!
       まずは飢えと貧困をこれでーーーー」

算盤がじゃらじゃらと鳴る


ウィーグラフ「これで打ち倒しッ!しかる後に貴族ではなく、貴族制度そのものを
       今度はすべての民と一丸となって叩き潰してくれようッ!」

ミルウーダ「兄さんステキッ!」

ゴラグロス「もう私はただの商人でいいのだが…」


ラムザ『よし決まりッ!さ、名乗りを上げろ!』

ウィーグラフ「ウムーーーー
       







       
       
       貿易都市ザーギドスより新たな革命を目指し

       ランスロット商会の結成をここに宣言するッ!!!」



今回はここまで
骸旅団編はもうちょっとだけ続くんじゃよ

乙です。
最初にラムザが時間に遅れたの、何だったのかと思ってたが、レースに行ってたんだな納得。

まあボチボチ書いてみるよ。

おつつ。楽しくなってきた

過去の結果をしってれば全掛け連打出来るからね

顔芸を披露してくださらないラムザさんか・・・それはそれでさみしいな

ディリータ以外の士官候補生はいないの?

面白いや

fftとかサガフロとか昔のRPGでSS書いてくれる人好きだな

アグ姉さんが気になって仕方ないぜ
PSアーカイブやりながら気長に更新待つよ

続きはッ!!!続きはまだかッ!!!!

まおゆう的になってきた

ティータを殺させないってだけだったら砦で暗殺阻止だけすりゃ骸旅団がどうなっても構わないんだろうけど、骸旅団にも救済策を与えたってことは骸旅団にも後々役に立ってもらう場面があるってことなんだろうなぁ。

商会を上手く回すのに人手が必要だろうから砦の奴らが都合が良かったんだろうな
[ピーーー]こと自体にためらいは無いみたいだし

これはいい

>>1だぞー

>>212 >>214
まあチョコボレース自体がオリジナル設定だから
伏線とは言いがたいんだけどね


>>215
顔芸?AAとかも使うのがいいんかね?

>>216
一応いたが、話の都合で空気化してる
モブに人格と名前与えるとオリキャラ50人とかになるしなぁ

>>217
実はこれ書いてるのも触発されてなんだよ
自分で書くと思ったよりムズカシイよね

>>218
今回はまだだ、次か次の次で出るょ!

>>219
待たせたなッ!来たぞッ!

>>220
ちょっと僕も思った
別に意識してるワケじゃないんだがねぇ

>>221 >>222
活躍しまくる予定でーす
むしろラムザ本人より動くかもしらん

>>210>>213>>223
週一くらいで気長に付き合っておくれー



さーて次レス後投下開始だッ!


それから2週間ほど忙しい日々が続いた

商売の準備、役所への登録、砲の製作依頼ーーー図面は僕が書いた
団員の教育はミルウーダがやってくれた、やはりこういうのは彼女に向いている、教師になってもいいんじゃないか
ちょうど諸々の準備がひと段落したところで


ゴラグロス「来たッ!本当に来たぞッ!!」

「マジかよ、ぜってぇ嘘だと思ってたのに」
「いや、私は信じてましたけど…」
「なんにせよ、あいつらを助ければいいんだろ?」
「でもまだオルダーリアの船と決まったワケじゃないぜ?」
「とりあえず行こうや、もう沈みかけてる」


ミルウーダ「…貴方、預言者なの?」

ラムザ『ただの見習い騎士さ』

港の東側の岬に、一隻の船が座礁していた

鴎国にも海上貿易をしている組織が存在する、あれはその商船団のなかの一隻だ
嵐に遭い、船団から離れたところを海賊に追い回され、ここに座礁したらしい

以前の歴史ではそのまま現地住民に略奪され、全員が命を落としていた
かなりの偉いさんが乗っていたらしく、そのせいで後々外交問題にまで発展するのだがーーーー

ここで救助すれば貿易ルートの建設はぐっと近づく、あとは彼らだけでもやれるだろう


ラムザ『ふぅ…』

やっと人心地つけた、どうもああいう空気は苦手だ
商館の屋上で夜風に吹かれているほうがよほど心地がいい

救助した船はやはりオルダーリアのものだった
彼らは介抱してくれた事への感謝と、この出会いの記念、と称して
船の積荷をかき集めて盛大なパーティーを開いてくれたのだが

ミルウーダ「…底なしすぎるわよね」

すでに樽を40杯も空けていた

ラムザ『君も来てたのか』

ミルウーダ「海の男ってみんなああなのかしら、馴れ馴れしいっていうかなんていうか」

ラムザ『悪気はないんだよ、許してやってくれ』

ミルウーダ「お尻が擦り切れるんじゃないかってくらい撫で回してくるし」

ラムザ『…挨拶みたいなものさ、多分』

ミルウーダ「ま、上得意さまになってくれるっていうから我慢するけどね」

そう言ってクスクスと笑う
よかった、別に不機嫌ではないらしい

ミルウーダ「思えば不思議なものよねーーーーー」

ミルウーダ「私たち、ほんの2ヶ月前まで血と泥にまみれて、殺し合いに明け暮れていたのに
今はこんな豪邸で酒盛りして、笑って、一生懸命働いて、おなか一杯食べてーーーー

こんな暮らしがあって、私たちにそれが出来るなんて考えたことも無かったわ」


そこで言葉を切り、僕に向かって一礼する
飲んだ酒のぶんより顔が赤い、こりゃマズいかもーーー

ミルウーダ「ぜんぶあな、貴方のおかげよ、ありがとう
…なにかお礼がしたいのだけれど、いっ今私があげられるものといったら」

ミルウーダ「こ、このからd」
ゴラグロス「おおッッとォォォーーーーーーー!?主賓がこんなところでボムオイルを売っていますよ社長!?」

ウィーグラフ「フム!それはいかん!いかんなぁ部長!」

二人ともだいぶ酒が回ってるな
こんなに陽気なこの二人はいまだかつて見たことがない

ゴラグロス「さあさあ我々と共に」

ウィーグラフ「飲み明かそうではないかッ!」

二人がかりで引っ張ってくる

ラムザ『わかったよ!自分で歩くよッ!』

ウィーグラフ「ミルウーダも来い、夜は長いぞ、酒は美味いぞ、チョコボは黄色いぞ?」










ミルウーダ「……黒いのとか、赤いのも、いるわよッ!」




ゴラグロス「本当に行ってしまうのか、我々だけでは不安なのだが」

ラムザ『こっちもいろいろやる事があるし…
だいたい、いつまでも誘拐されっぱなしってワケにもいかないさ』

ウィーグラフ「護衛を出そう、いくらお前が強くても、一人では手の回らぬこともあろう」

ラムザ『遠慮しとくよ、ガリランドまではそんなに遠くもないしさ
ああ、経営のほうは銀行に話をつけておいたから、なにかわからない事があったら彼らに聞いてくれ』

ミルウーダ「…気をつけてね、貴方はどうも危険に飛び込むクセがあるみたいだから」


ラムザ『はは、そんなワケないじゃないか』



ラムザ『危ないことなんて、しないよーーーーーーーー』











雷神!








剣聖!







畏国の剣!







死神!








英雄!








シドルファス・オルランドゥ!









いずれの異名も、当人を前にすれば霞んで見える

振り下ろせば大陸を割り、薙げば天地を分かつ裂帛の斬撃

防ぐだけで手一杯だ

なぜ僕はこんな死線上の戦いをしていたんだったか

話は数時間ほど遡るーーーーーーーーーーーーーーーー



オルランドゥ「…話はわかった」

近くの農村に逗留していた伯と会えたのは本当に偶然だった
なんでも狐狩りの下見中らしく、わずかな供を連れてこのあたりを回っている最中とのことだ

オルランドゥ「だが断る」

ラムザ『そこをなんとかお願いしたいのですが…』

オルランドゥ「だめだ、私の行動はその一挙手一投足に至るまで我が領地、領民、ひいては我が主たるゴルターナ公のためのものでなくてはならぬ」

オルランドゥ「ラムザ君といったか、君の頼みはそれらのどれにもならぬ、よって聞けぬ」

この男に懐柔は効かない、金も、権力も、彼を縛ることは出来ない

ならばーーーーー

ラムザ『…ひとつだけ、あなた個人に見返りがあります』

オルランドゥ「ほう、言ってみたまえ」




 



提案したのは、一対一の決闘

最初は笑って聞き流していた伯も、僕が少しばかり技前を披露すると態度を変えた

彼は餓えていた

未だ見ぬ強者との戦いに

彼は飽いていた

品行方正な領主であることに

彼は求めていた

ただ一振りの剣となる機会を







オルランドゥ「よかろう、ひとまずこのシドルファス・オルランドゥに斬られる資格は有ると見たッ!」





オルランドゥ「どうしたラムザ!来ぬならこちらから行くぞッ!」


すでに戦いが始まって30分

打ち込まれること数十合、打ち込むことは数合ーーーー

手数の差は、そのまま実力の差

僕が、500年の経験を持つこの僕が防戦一方とは


ラムザ『…化け物めッ!』

オルランドゥ「褒め言葉と取っておこうッ!」

繰り出される斬撃ときたら、発した言葉がこちらの耳に届くよりも速いのではないか

ラムザ『ふッ!』

刀の峰を使って受け流す

エクスカリバーの一撃、まともに受ければ武器ごと頭蓋を叩き割られるだろう


オルランドゥ「ははッ!楽しいなラムザ!」


床に打ち付けた反動を使っての横なぎ


ラムザ『同意しかねるッ!』


体をひねってかわすーーーと同時に距離をとる


オルランドゥ「フフ、そう言うな
       私とここまで渡り合えた者など今までいなかった
       だがそろそろ出立の時間だ、名残り惜しいがーーーー」


オルランドゥ「これで決めさせてもらうッ!」       


これまでで最も疾い踏み込みから

頭部を狙った振り下ろしの一撃


回避ーーーー間に合わない

受けーーーーられない

ーーーーならばッ!





オルランドゥ「前に出るだとッ!?ぐッ!」

相手の踏み込みに合わせ、さらに一歩を踏み出し突き出した刀は
オルランドゥの肩口に深く突き刺さった

しかし

ラムザ『…がッ!あぁぁぁぁぁぁ!』

剣聖の刃は、僕の左腕を根元から切断していた




意識が遠のく




ダメだーーーー



ここで死んだらまたーーーー



またあそこからーーーーー



イヤだ、もうイヤだーーーーー



もう、僕はーーーーーー



僕はーーーーー








目を覚ましたのは、宿の粗末なベッドの上だった


オルランドゥ「…気がついたかね」

ラムザ『…はい』

オルランドゥ「手当てはしておいた、とりあえずつくにはついたがその腕
       …二度と元のようには動くまい」

僕の左腕には包帯が巻かれていた
感覚はあるが、ぴくりとも動かせない

ラムザ『このぐらいなら自分でなんとかなります
    波動に揺れる大気、その風の腕で傷つける命を癒せ! ケアルジャ!』


焼けた鉛を流し込むような痛みとともに肉が骨が神経が、構築されていく感覚


オルランドゥ「やはり術も使うか、しかも凄まじい使い手だ」

オルランドゥ「なぜ戦いで使わなかった?」

ラムザ『あなただって聖剣技を使わなかったし…大体、そんな隙を見逃すような人ではないでしょう?』

オルランドゥ「ハハ、確かにそうだ」

ラムザ『ところで、もう出立の時間なのでは?」

オルランドゥ「なに、一日二日遅らせたところで大した問題ではない
       それより君と話がしたかったのでな」

ラムザ『…話せないことは、話せませんよ』

オルランドゥ「それでいいさ
       ああ、君の頼みの件だが手配しておいた」

ラムザ『本当ですかッ!?』

オルランドゥ「無論だ、あれは勝敗云々ではなく、決闘の代償として約束したことだからね」

ラムザ『ありがとうございますッ!』

オルランドゥ「なに、礼はいらんよ、この老骨に昔の滾りを思い出させてくれたことへの感謝さ」

ラムザ『…それで、話とは?』

オルランドゥ「君の目的は、あえて問わぬ
       それよりもーーーーーーーーーー」



オルランドゥ「君、私の養子にならんかね?」


オルランドゥ「…いやなに」

あっけにとられる僕を見て、コホンと咳払いをひとつして続ける

オルランドゥ「私には子が無い、オーランという養子が一人おるが
       アレは素晴らしい男ではあるのだが、術士の才がありすぎてなーーー
       いまさら術を捨てて剣を取れ、というのも酷な話だ

オルランドゥ「我がオルランドゥ家は代々、ラーグ家に剣を以って仕えている
       故に、当主は稀代の使い手でなくてはならぬ」

オルランドゥ「君のような若き獅子を迎えることが出来れば、心強いことこの上ないのだがーーーー」


ラムザ『…そういえば、まだ家名を名乗っていませんでしたね
    僕はラムザ・ベオルブ、バルバネス・ベオルブの嫡男です』

オルランドゥ「なんと、バルバネスの息子か!道理で太刀筋が似ていたワケだ」

ラムザ『…申し訳ありませんが、その話、受けられません」

オルランドゥ「…そう言うであろうな、ヤツの息子であれば
       気にするなラムザ君、君が家名になみなみならぬ誇りを持っておることはわかっておる」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


オルランドゥ「さて、私はそろそろ行くよ」


ラムザ『見送りをーーーー』


オルランドゥ「要らぬよ、君はまだ寝ていなさい
       ああ、困ったことがあればいつでも言いたまえ
       私で出来ることであれば、力になろう」


ラムザ『ありがとう、ございます…』


オルランドゥ「ハハ、このシドルファス・オルランドゥと戦い 
       手傷まで負わせた男が、そんな顔をするものではないよ」









オルランドゥ「ではさらばだ若き獅子よッ!いずれまたまみえようぞッ!」




遠ざかる蹄の音を聞きながら、僕はまたひとつ成功に近づいた手ごたえを、傷の痛みとともに感じていたーーー


今回はここまで
次はアグさん登場まで書けるといいな

おつ
どういう形で遭遇するんかね

おっ、自演さんのここまであがってたんだ。見よっと


ミルウーダルートには行ったらアカンな
女性関連で死んだ事もあるっぽいし

>>239
ミルウーダは安全な方だと思う
平民出だしいろいろ耐性あるんじゃないかな、ウィーグラフはリスクあるけど
メンタル弱いやつとか真面目な奴がやばい

乙です。
さすがにカリバー付きの爺さんには勝てないか。
女性関係は色々な可能性があるなぁ……、個人的にはアグリアスかミルウーダが好きだな。

メリアドールあたりはものっそ依存してきそうだな…
しかも一度誤解されたらなかなか信じてくれなさそう

何言ってんだメリアドールはリアリストで有名だろ

ラムザの年齢を知ったら身体が出来上がる何年か後の再戦をこれ以上なく楽しみにしそうだなー
とりあえずレベルとかのメタな数値とかは置いておいて

>>244
楽しみではあるだろうけど自分は老化するばかりだから悔しがるんじゃないか

続きキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!

ここはミルウーダルートスレなのかと思ってた
珍しい展開だからその分期待してたんだけどなあ

>>237
次で出すよ、本格化は次の次くらい
この時期だと普通に修道院にいるからね…

>>238
だからそれはもうやめれw
Braveが下がるだろうがw

>>239>>240
のちのち説明が入るよ
ハーレムパートも用意してあるから
そこはいっそ安価進行にするかも

>>241
原作リスペクトでな、ジジイは最強でないと納得いかん
ガリランドに戻ったらイチャイチャタイムを予定してる

>>242>>243
浮気したら男性器を剛剣で破壊されそうだw

>>244>>245
再戦はなきにしもあらず
プロットも書かずに進めてるから流れ次第だな

>>246
すでにフラグは立った
あとは…わかるな?


>>237
次で出すよ、本格化は次の次くらい
この時期だと普通に修道院にいるからね…

>>238
だからそれはもうやめれw
Braveが下がるだろうがw

>>239>>240
のちのち説明が入るよ
ハーレムパートも用意してあるから
そこはいっそ安価進行にするかも

>>241
原作リスペクトでな、ジジイは最強でないと納得いかん
ガリランドに戻ったらイチャイチャタイムを予定してる

>>242>>243
浮気したら男性器を剛剣で破壊されそうだw

>>244>>245
再戦はなきにしもあらず
プロットも書かずに進めてるから流れ次第だな

>>246
すでにフラグは立った
あとは…わかるな?


[雷神シド、またも大活躍!]

狐狩りの下見に出ていたオルランドゥ伯がまたも活躍!

伯のもとに、一人の少年が助けを求めてきた

この少年、骸旅団に囚われていたところを自力で脱出してきたらしい

少年の証言をもとに、付近を捜索したところ

古砦に隠れる旅団どもを発見した!

ここで我らが雷神シド、数人の従者と少年を従えて

勇猛果敢に砦内に突撃!

60余名を数える旅団を、わずか数名で殲滅した!


よって、今回の狐狩りは大成功したといえるだろう!






酒場や役場、軍施設に掲げられた高札

領主からの公式発表はしばしばこんな形で行われるがーーー

見入る者はおろか、足を止めるものさえほとんどいなかった

なにせ雷神シドのこと

猪狩りに行けば山賊を壊滅

散歩に出れば盗賊を殲滅

海水浴に赴けば海賊を撃滅するのが日常茶飯事

稀にしげしげと眺めるものもいたが

「何故いまさらこんなことをいちいち発表するのか?」

といぶかしむ者ばかりであった

ーオーボンヌ修道院ー

オヴェリア「我ら罪深きイヴァリースの子らが、神々の御力により救われんことを…」

アグリアス「ここに居られたのですか、オヴェリア王女様」

オヴェリア「あら、神に祈るのはいけないことなのかしら?」

アグリアス「そうではなく、時間のことを言っているのです」

オヴェリア「だって、今の私にはこれぐらいしか出来ないわ」

アグリアス「…」

オヴェリア「ね、一体私ってなんなのかしらね?
      王女と呼ばれていても、何の力もない…
      まるで人形。飾りならば、私でなくてもいいでしょうに」

アグリアス「お答え、いたしかねます…」

オヴェリア「アルマに会いたいわ、あの子なら答えてくれたはずよ」

アグリアス「アルマ…以前仰っていた
      !!誰だッ!?」


ラムザ『夜分に恐れ入ります、ラムザといいます
    教会の一晩の庇護をいただきたく、門を叩きました』



オヴェリア「まあ、アルマのお兄様でいらっしゃるのッ!?」

一夜明けての朝食中、王女らしからぬ大声で驚かれた

修道院の中では身分立場関係なく、全員が寝食をともにする

食堂にいた全員からの注目を浴びるのは、いささかバツが悪い

オヴェリア「話はよく聞いていましたわ
      武家の方だから、もっとゴツゴツした人だと思っていましたけれど」

いささか声を落として続ける

ラムザ『まだ士官候補生の身でしてね
    まあ、将来的にはそうなるかもしれませんが』

オヴェリア「ダメよダメダメ、今のほうがずっといいわ
      肌も白くて、女の子みたいなお顔だしーーーイヤだ私ったら失礼な事を」

ラムザ『構いませんよ、なれてますし』

オヴェリア「アルマは今どうしていますの?」

ラムザ『元気にしてますよ、今はアカデミーに通ってます』

オヴェリア「アルマは…」

言いかけたところでチャイムが鳴る
礼拝の時間だ

オヴェリア「もっとゆっくりお話したいのですけどー」

礼拝が済んだら構内の掃除、礼儀作法のおさらい、書庫の整理にまた礼拝
修道女もなかなかに忙しいものだ

ラムザ『それじゃあ、昼食のときにでも』

オヴェリア「フフ、朝食をたべたところなのに、もうお昼の話をするっていうのも
      なんだがおかしな話ですわね?」

その笑顔は花がほころぶようでーーー
あのカタブツのディリータがほれ込むのも、無理はないなと思った






食堂を出ると、厳しい顔つきのアグリアスが待ち構えていた


アグリアス「全く、食事くらい黙って食え。男のクセに軟弱な」

ラムザ『ああ、うるさかったかい?すまないね』

アグリアス「な、なんだ人の顔を見てニヤニヤと…軟弱なッ!」

明るい所で見ると

ああ、やっぱり若い頃のアグリアスはカワイイなぁ…
歳をとっても上品で、凛として魅力的だったけどね

つややかな髪も、怒ってつり上がった目じりも、眉間に寄った皺さえ愛しく見える

ラムザ『うッ……』

懐かしさに思わず涙が出る

アグリアス「なッ…何故泣く!?私が何をしたッ!?」

アリシア「あー隊長がオトコを泣かせてるー」

ラヴィアン「ツミツクリなひとねー」


アグリアス「お前らうるさいぞッ!
      貴様も男のくせに人前で泣くんじゃない!軟弱なッ!」

ラムザ『…ふぁい』

アグリアス「ええいだからそれをやめろと…もういい!
      今日は大雨だから滞在を許すが、明日の朝には出て行ってもらうからなッ!
      それだけだッ!」


踵を返して大股で遠ざかっていく後姿すら懐かしくてーーーーしばらく動けなかった


シモン「…それで、私に話とはなんでしょうか?」

ラムザ『なに、簡単なことなんですがね』

ラムザ『貴方が隠している[ゲルモニーク聖典]を渡していただきたいのですよ』

シモン「!!…何故それをッ!?
    ダメだ!君が何者かは知らぬがアレは渡せん!」

ラムザ『貴方は、アレを隠していることで苦しんでいる
    民を、信徒を裏切っていると、そう考えているのではありませんか?』

シモン「…」

ラムザ『僕にはわかる、貴方は探求者だ
    ただ知識を求めて、知恵を欲している
    そのためにはこの書庫が必要だ、故に、誰にも言えないでいる』

彼のメモに書いてあったことそのままだ

シモン「…そうだ、それのなにが悪いというのかね」

ラムザ『我々の住むこの大地
    ---これが球体だというのは知っていますか?』

シモン「な、なにを馬鹿なことをッ!
    教会の教えにそのようなものはない!」

ラムザ『そう、教会は大地は丸盆に乗り、象が支えていると教えている
    ではなぜ、ゲルモニーク聖典を見て、信仰を失った貴方がそれを信じているのか?』

シモン「そ、それは…」

ラムザ『貴方の知識はすべてこの書庫から得たものだ
    所詮ここは教会の管理下、教会が検閲した情報しか得ることは出来ない』

シモン「…」

ラムザ『僕なら、貴方に新しい世界を用意できます
    オルダーリアの中央書庫は一般に公開されて、誰でも閲覧が可能ーーー
    それでいて、蔵書量はここの数十倍はあります』

シモン「君は、鴎国のスパイかーーーいや、それならこんなまわりくどいやり方はすまい」

ラムザ『ただの見習い騎士ですよ』

シモン「悪用はしないと誓うか?」

ラムザ『神に誓って』

シモン「私がここにいる間は、世に出さないか?」

ラムザ『もちろん、そんなことをしたら貴方が危険だ』

シモン「…これまでの言葉、嘘はないか?」

ラムザ『最愛の妹に誓って、ベオルブの名にかけて』

ふう、と大きくため息をつく
ゲルモニーク聖典そのものは、もはや彼にとっては重荷でしかないのだ
誰でもいい、誰かに投げてしまえたらどんなに楽かと毎日考えていたろう


シモン「いいでしょう、持っていきなさい、ただしーーー」




オヴェリア「ふふ、貴方ってとても面白い方ね」

ラムザ『よく言われます』

昼食を取りながら色んな話をした

アルマのこと、ディリータのこと、最近の流行りのファッションやチョコボの生態について
とりわけ僕が商人をやっていた時、海の悪魔クラーケンを包丁でぶつ切りにして
船の墓場を燃やして焼いて食べた話は彼女のお気に召したようだ

オヴェリア「そういう、自分の過去みたいに話すのも最近の流行りなのかしら?」

全部ホントのことですよっと

ラムザ『ま、そんなとこです』

オヴェリア「…あ、そうだわ」

中庭の遊歩道にはみ出した枝から葉を取る


フスー 


オヴェリア「せっかくアルマに教えてもらったのに、うまく出来ませんわ」

ラムザ『…こうするんですよ』

ピー プー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



オヴェリア「教えるのがお上手ね」

ラムザ『ちなみにこんなのも出来ます』

がさっと葉をむしって手の中でこねまわす

オヴェリア「…これは?」

ラムザ『草サックスです、父がよく作ってくれました』

オヴェリア「ステキなお父様ね」

ラムザ『せっかくですし合奏しましょうか、僕はこのーーーー
    草ヴァイオリンで
    あ、これもよく父が作ってくれました』

オヴェリア「…多芸でいらっしゃったのね」

ラムザ『アグリアスさーん、いるんでしょー』

アグリアス「…居るが、そう気安く呼ぶな、あと私は楽器の類は出来ないからな?」

ラムザ『大丈夫さ、父がよく作ってくれたこれならーーーー』

アグリアス「 草 シ ン バ ル ッ ! ?」

オヴェリア「3,2,1、GO!」



プピー  ギコー  ジャーンジャーン



僕らのセッションは夕焼けの空に、どこまでもどこまでも吸い込まれていったーーー






ラムザ『ーーーーとまあそんな事があったワケさ』

ディリータ「何をしてるんだお前はッ!!」

魔法都市ガリランドの貧民街近くで営業する[竜の髭亭]
ナイショ話をするときはここに限る

ラムザ『んー、良いこと?』

ディリータ「クッソ、昼間から酔っ払いやがって…」

ここの麦酒は美味い
大麦だけでなく、安い燕麦、粟や稗なんかの雑穀、とうもろこしや芋まで混ざった安酒のはずなのだが
その比率と醸造法の見事なことといったらもはや芸術の域だ

ラムザ『やーやっぱり故郷の酒がイチバンだねー』

ディリータ「…ったく!心配して損したぜッ!」

ラムザ『そういえばティータはどうしてる?』

ディリータ「学校はやめたよ、俺は卒業までなんとかなりそうだけど」

ラムザ『…辞めさせられた?』

ディリータ「本人の意思だ」

ラムザ『そっか、それならいいんだけど』

ディリータ「ちなみに今はウチでメイドやってる」

ラムザ『まじか』

ディリータ「しかも超有能、先週引退したメイド長の代わりを努めてる」

ラムザ『良い嫁さんになりそうだな』

ディリータ「誰にもやらんけどな」


二人して笑う


ディリータ「あッ!!!!!!」

ラムザ『どうした?』

ディリータ「うっわ、気が動転して忘れてた!お前飲んでる場合じゃないぞッ!」

ディリータ「今日は、お前のーーーーーーー」





ここまで書けたから今回の更新は大成功したといえるだろう!


オルランドゥ「あっ」

オーラン「どうしました父上?」

オルランドゥ「しまったぁー、私としたことが、ベオルブ家に使いを出すの忘れとった」

オーラン「ベオルブと言いますと、ガリランドの?」

オルランドゥ「そう、おーい誰か…いやオーランがいいか、お前の腕なら2,3日で着くだろう」

オーラン「使いですか、内容はどのような?」

オルランドゥ「かくかくしかじかでな、連絡が遅れた侘びと…特にラムザ君にはよく挨拶しておくように
なにせお前の弟になったかも、いやなるかも知れぬ男だからな」


群集の面持ちは、一様に沈痛なものであった

小雨の降る中にあって、傘をさす者すら一人もおらずーー

ただ、その死を悼んでいた


司祭「…ラムザ・ベオルブの魂に主の加護のあらんことを!」


司祭が文言を唱え終わると、全員が黙祷した

遺体の無い葬儀は珍しいことではない

戦時下であればどこでも行われていたことだ


司祭「それではご遺族の皆様、棺を墓穴にお納めください」


3人が歩み出る

長兄ダイスダーグは毅然としていた

次兄ザルバッグにはわずかに憔悴の色が見て取れる

長女のアルマは溢れる涙を隠そうともしなかった


4人で担ぐには、少々軽い棺を持ち上げる

ここから十数メートル、故人を思いながら棺を運ぶのだ


ダイスダーグ「…」

ざっざっ

ザルバッグ「…ッ」

ざっざっ

アルマ「うっ、うっ」

ざっざっ

ラムザ『…』

ざっざっ








一同「「「「「「ラムザッッッッ!!??」」」」」」




ラムザ『…ハァイ』





ダイスダーグ「自分の葬儀に出るヤツなど聞いたことがないわ!」


さすがの僕も自分の棺を担いだのは初めてだ、貴重な経験をした


ダイスダーグ「全く、お前というヤツは…」


オーラン「まあまあ、こちらの手違いもあったのですからそのあたりで」


説教が始まってもう2時間にもなる、ずっと正座してるから足がしびれてきた


ダイスダーグ「使者どのがそう言われるなら、もう2時間ほどで切り上げようか」

冗談じゃないや


ラムザ『兄さん、これ…』


オーランには見えぬようにソレを見せる


ダイスダーグ「!!どこで見つけたこんなものッ!」


兄の顔色がみるみる青ざめていく


ラムザ『父さんの墓の裏に生えてたんだけど…』


ダイスダーグ「…い、いいかラムザ、これはモス…いやヒトヨタケといってな、大変縁起の悪いものだ
これが生えていたこと、他の誰かに話したか?」


ラムザ『誰にも話してないよ』


ダイスダーグ「そうか、ならよい…家中の者が動揺するといかんから話さぬようにな
こ、これは私が処分しておこう、なにせ縁起が悪いからな」


ラムザ『んー、わかったよ兄さん』


ダイスダーグ「きょ、今日はもう休む、お前も下がっていい、処分はおってザルバッグがする」


オーラン「連絡が遅れてすまなかったね」

ラムザ『構わないさ、おかげで貴重な経験ができた』

オーラン「しかしこの細腕で父と渡り合ったとはね、驚きだ」

ラムザ『あ、知ってたのか』

オーラン「フフ、そちらの家の方には稽古ということにしておいたがね
あまり聞こえのいい話ではないから君も話さないでくれよ?」

ラムザ『了承した、しばらくはここに?』

オーラン「そうしようかと思ったが、なにせ仕事が山のように残っていてね。父上はあまり書類仕事が好きではないから…」

はあ、とため息をつく

オーラン「っと、そうだ、せっかくだから君を占わせてもらえないか?」

ラムザ『もちろんさ、全土に名高き占星術師オーランの占いを断るヤツなんてイヴァリース中探してもいないだろう?』

オーラン「ハハ、そう持ち上げられるとこそばゆいな」

本当に照れくさそうに言うと、雑嚢から水晶玉を取り出して手をかざす

オーラン「フム…崇高な目的、鋼の意志、強い力、長き戦い…」

オーラン「なるほど、君は何か大きな目的のために孤独な戦いをしているようだね
いつもはもっと具体的な結果が出るんだが…これは、君の背負った運命がとても過酷なものということかな」


やはり以前と同じ結果か、なにか変わったことでもあればと思ったが


オーラン「だが、その戦いもそう長く続くものでもなさそうだ」

ラムザ『!』

オーラン「お、顔色が変わったね
君は自分を孤独だと思っているかもしれないが、そうじゃない
星の運びが告げているよ
君の周りには信頼すべき仲間が、愛すべき友がいるーーーーーー」

ラムザ『…』





オーラン「きっと、僕もその中の一人さ」



ザルバッグ「まあ、座れ」

言われた通りにする

ザルバッグ「さて、いろいろ言いたいことはあるがまずはーーー」




ザルバッグ「よく、帰ってきた」

がしり、と背中に腕をまわされた



ザルバッグ「行動そのものは指揮官失格もいいところだが、ともあれティータは無事、お前もこうして戻ったし、
兵の損失もほとんどなし、旅団どもも伯の助けを借りたとはいえ殲滅ーーー結果だけみれば、完璧と言ってもいい」


ラムザ『可能であれば助けたいと言ったのは兄さんでしょう?』


ザルバッグ「あの言質はそのためか、なかなかの策士だ
だがなラムザ、家族にーーー俺たちに心配をかけた罪は重いぞ?
アルマなぞは昨日は一晩中泣き通しでな、家人たちも往生したようだ」


ラムザ『反省はしてます、でも次また同じことがあったら同じことをします』


ザルバッグ「ハッ、よく言った!それでこそベオルブ!それでこそ武門の子よッ!」


ザルバッグ「では、北天騎士団長ザルバッグ・ベオルブより
臨時指揮官ラムザ・ベオルブに対する処分を申し渡すーーーーー」




ラムザ『ーーーーーー謹慎3ヶ月、か。』


思ったより軽かったのは、兄の温情によるものか
勘当くらいまでは覚悟していたのだが


ラムザ『…ところでそろそろ離してくれないかなアルマ?』


アルマ「イヤよ、離したらまたどこかへ行ってしまうんでしょう?」


ラムザ『どこにも行かないさ、謹慎中の身だしね』

しぶしぶといった体で離れる


アルマ「わたし、兄さんのお葬式をやるって聞かされて、泣いて、泣いて、一晩中泣いていたのよ?
やっと心の整理がついたと思ったのに」


ラムザ『死んでいたほうが?』


アルマ「…冗談でもやめて、そういうのは」


ラムザ『そういえば、オヴェリア王女に会ってきたよ』


アルマ「ほんとにッ!?ねえ、オヴェリアは元気にしていた?わたしのこと、なにか話していた?」


ラムザ『たくさん話したよ、たとえばーーーー』







ひとしきり話を聞いてはしゃいだ後
アルマはひどく落ち込んだ顔になった


ラムザ『どうしたんだい急に、おなかでも痛いのかい?』


アルマ「違うの、わたし、ティータにひどいことを言ってしまったわ
兄さんが死んだのはあなたのせいだ、とか
二度と顔も見たくない、とか」


ラムザ『…いっしょに謝りにいこうか?どうも僕にも責任がありそうだし』



ティータ「いいのよアルマ、きっと私でも同じことを言ったわ」

あっさりと許してもらえた

ティータ「それよりラムザーーー坊ちゃま、私がザルバッグ様より坊ちゃまのお世話を言いつかっておりますので
御用があればなんなりとお申し付けください」


ラムザ『そういえば学校やめたんだってね、何故なんだい?何かイヤなことでも?』

ティータ「いろいろありますけど…女にとっては、アカデミーって貴婦人になるための場所なんです
ダンスやお化粧、社交界のマナー、失礼のない求婚の断り方…」



ティータ「でも、それってつまりお相手が居てこその内容なので…
平民の養子が、いくら学んでも仕方の無いことだとは思いませんか?」

アルマ「ティータくらい素敵な娘ならきっと」

ラムザ『確かにね、貴族の血が一滴も入ってない人間を嫁にしようなんて、なかなかそんな酔狂な貴族は居ないか』

アルマ「兄さんッ!」

ティータ「いいのよアルマ、本当のことだもの

うまくいってせいぜい地方領主の妾、でも私はそんなのにはなりたくない
父も母も、暮らしは貧しかったけれど、自分の仕事に誇りを持っていました
わたしもそうありたい、小さくてもいい、自分の居場所も、誇りも、自分で手に入れたいんです」


ラムザ『…僕の思っていたよりもずっとしっかりした娘だったんだね、君は』

アルマ「ティータ…」


ティータ「というわけで、その第一歩としてベオルブ家に勤めさせていただいていますティータ・ハイラルです
先ほども申しましたが、お部屋のお掃除、お夜食、お着替え、ご入浴、アレ取って来いコレやっとけ等々なんでもお申し付けくださいネッ☆」

ラムザ『ハハッ、頼りにしてるよ!』

ティータ「あっ、でもそのゴニョゴニョ」

ラムザ『えっ、なんだって?』

ティータ「夜の…お相手とかは、その、まだ…心の準備の方がですね」

ラムザ『言わないよそんなことッ!』

ティータ「えっ、でもアルマから貰った薄い本にはそういったこともメイドがいたすモノだと」

アルマ「わっ!ばかティータ!」



二人の罵り合いを聞きながら、外の風景を見やる
晴天の空が、僕のこれからを暗示しているものだといいのだが


本日分ここまでッ!

生存報告がてらカキコ
あ、トリ忘れたから変えました
1レス分だけさっき書いたから投下しときます


魔法都市ガリランドの貧民街近くで営業する[竜の髭亭]
すねに傷のあるヤツと話すときもここに限る


ラムザ『…で、なんだって君たちがここに来たんだ?あっちはうまくいってないのか?』


ウィーグラフ「そう急かすな、こちらもろくに食事もせずに駆けどおしだったのだ。しかしこのチョコボの照り焼きは実に旨いな」


ミルウーダ「兄さんはしたないわよ…ええそうね、私から説明するわ」


ミルウーダ「貴方が去ったあと、アドバイス通りに香辛料や干し果実、銀製品、ゴーグ製のガラクタなんかを詰めて船を出したの」


ラムザ『船が難破でもしたのかい?』


ミルウーダ「まさか、そうだったら今頃夜逃げでもしてるわよ
で、あちらで積荷をさばいて…結構な額になったわ、特にガラクタ、あんなものに高値を付ける好事家ってどんなヤツなのかしらね
それから小麦を中心に農作物を買い集めたわ、こっちじゃ考えられないくらいの安値で買えた」
                                                                                                                          

ラムザ『オルダリアじゃあここ数年豊作が続いてるからね、おかげで農民は麦はあっても金はないのさ』


ミルウーダ「そうらしいわね、ただ買っただけなのにずいぶんと感謝されたわ。で、帰りがけに海賊の襲撃にあって」


ウィーグラフ「そこからは私が話そう。二度襲撃を受けたがなんなく撃退できた、あの砲というヤツのおかげだよ」  


ラムザ『…いまのところ君らがここに来るような事は無かったようだけど?』


ウィーグラフ「今から言う所だ、その砲が壊れた、12門中10門もだ」


ラムザ『…あぁー、やっぱそうか、やっぱり無理があったか』


艦船に載せるための軽量化と防火処理は町鍛冶には荷が重かったのだろう、軽く2,30年は先の技術だし


ウィーグラフ「で、このままでは次の船は出せんとなったワケだ」


ミルウーダ「もちろんそのままにはしておかなかったけれどね
でもどこに相談してもサジを投げられたわ、あそこで無理ならウチも無理って具合にね
で、思い切ってゴーグに人を送ってみたの」


ウィーグラフ「どこもふっかけてくるばかりだったそうだが、一件だけ大層安く受けてくれた所があってな」


ラムザ『へぇ、ひとまず良かったじゃないか、解決したんじゃないの?』


ウィーグラフ「だがひとつ条件を出されてな、それがここに来た理由だ」


ラムザ『…ふぅん、大体察しが付いたけど、どんな条件?』




ウィーグラフ「設計者に会わせろ、だ。」




来たよ、仕事いそがしくてあんまかけてないけどね
次レス後投下開始ッ!


ムスタディオ「イヤあの砲の設計はマジスゲェヤバかったッスよアネさんッ!しかもスゲェ美人さんだしマジ尊敬しちゃいますって!」

ミルウーダ「…私じゃないわ、あっちよ」

黙って手を上げる

ムスタディオ「あ、そうなんスか、イヤあの砲の設計はマジスゲェヤバかったッスよ兄さんッ!しかもスゲェアホ毛だしマジ尊敬しちゃいますって!」

ムスタはホントぶれないヤツだ、ちなみにさきほどのセリフは彼にとっては最大級の賛辞のつもりである


ラムザ『僕はラムザ・ベオルブ、15歳で君より年下だから敬語はいらないしラムザって呼んでくれていいよ』

ムスタディオ「あ、そうかい?堅苦しいのは疲れるから助かるよ、俺はムスタディオ、ムスタでいいよ」

ウィーグラフ「今のが敬語…だ…と…?」

ラムザ『ハイハイ細かいことは気にしないの、とりあえず座って、食べながら話そう』



ウィーグラフ「で、モノはいつ届くのだ?」

ムスタディオ「ギルドのキャラバンに預けたから…大体あと2週間ってところかな、ここを中継するからその時に半金もらうよ、いいかい?」

ミルウーダ「構わないわ、もともとそういう話だし」

ムスタディオ「で、さあラムザ?」

ラムザ『うん?なに?』

ムスタディオ「あの砲の構造、見事なもんだったよ
鍛鉄を心金に巻きつける加工法といい、石綿と鋼板の防火構造も、火蓋と火口の安全装置もどれも画期的だった
いったいどこで習ったんだよあんなの」


ラムザ『僕が考えたワケじゃないよ、ぜんぶ師匠の受け売りさ、今はもういないけどね』


ムスタディオ「…そっか、なんか悪いこと聞いちまったな」


君なんだけどね、一介の機工士から身を起こし、ロマンダの南半分を切り取る活躍をする[火と鉄の]ムスタディオ
自ら設計した銃を手に、戦場を駆けるその姿は見ていて胸のすくものだったが…まあそれはまた別のお話か。


ラムザ『んー、ところで三人ともしばらくはこっちに滞在するんだよね、宿はあるの?』

ムスタディオ「いや、金もあんまりないしそこらへんで野宿でもするよ」

ミルウーダ「どこもいっぱいだったわ、困ったわね、昔のツテを使うのも後が怖いし」

ウィーグラフ「別に野宿でもかまわんが」

ミルウーダ「イヤよ、さすがに体中チョコボ臭いしこう汚れてちゃ人目を引くわ」

ウィーグラフ「…ム、たしかにそうだな」

ラムザ『あのさぁ』

振り返る一同





ラムザ『ウチ、来る?』






ムスタディオ「へぇ、いい部屋じゃないか♪まさか貴族の坊ちゃんとは思わなかったよ」

ラムザ『言ってなかったっけ?まぁいいや、これさっき言ってた設計図ね』

ドサッと紙束を渡す


ムスタディオ「…ホントにいいのかよ?返せって言ってもムリだぞ?」

ラムザ『もちろんさ、好きに使ってくれていいよ』

謹慎期間中のヒマな時に思い出せる限り書き溜めたものだ
ムスタの登場は予定外だったが、もうここで渡してしまうのがいいだろう


ムスタディオ「…なら遠慮なく。ああ、なんか礼をしなくちゃな、俺で出来ることならなんでもするよ」

ラムザ『それなr』


ザルバッグ「ラムザ!貴様ろくに素性も知れぬものを家に上げるとは何事だッ!」


思ったよりバレるのが早いな、使用人たちが漏らしたか


ラムザ『知れなくはないよ、彼はゴーグの機工士のムスタディオ、あっちの離れの二人はザーギドスの商人さ』


ザルバッグ「だからなんだと…いや待て、侍女からは[浮浪者のような身なりをした汚いのを三人も連れてきた]と聞いているが」


ラムザ『えらい言われようだね、三人とも今日着いたところさ、急ぎの旅だったから汚れてるのは仕方ないよ』


ザルバッグ「フム…そうか、そういうことならまぁよい」


ラムザ『ついでにしばらく泊めてあげても?』


ザルバッグ「構わん、[奇貨置くべし]と言うしな、学校では作れぬ人脈もある
別館と離れ、使用人の小屋なら好きに使っていいぞ」



ザルバッグ「執務に戻る、お前は臭いから風呂に入れ」

とだけ言い残すと兄は足早に去っていった



ムスタディオ「うへぇ、怖い兄ちゃんだな」

ラムザ『そうかい?あれで結構やさしい人さ』

ムスタディオ「あれでかよ…あ、そうだ、さっきなに言いかけたんだ?」

ラムザ『うん、[恩返し]のことなんだけれどねムスタ、君はなんでもするって言ったよね?』

ムスタディオ「…なんかコワイ聞き方だな、確かに言った」

ラムザ『たとえそれが命をかけるようなことでもいいのかい?』


ムスタは一瞬驚いたような表情を見せーーーにやりと笑った


そしてなぜかテーブルの上に仁王立ちになって言った


ムスタディオ「くどいぜ!このムスタディオ・ブナンザ、受けた恩には必ず報いるッ!
命がけだろうとなんだろうとやってやるさッ!」






数日後

ーリオファネス城ー


バリンテン「さぁラファ、もうどこにも逃げられないぞ?」

ラファ「このケダモノッ!悪魔ッ!」

リオファネス城では全ての階段と廊下の要所に扉が設えられている
戦時において、城内での戦闘になった際にこれらを閉じ、内部の安全を確保するためであるが
平時の今となっては専ら獲物となる婦女子を閉じ込めたうえで狩り立てるという城主の猟奇的趣味に使われていた


バリンテン「ハハ、いつ聞いても心地いいものだな、追い詰められた獲物の悪あがきというのは」

ラファ「…兄さん…助けて…ッ!」

バリンテン「ムダだムダムダ、知っているんだろう?あいつも納得済みのことだ
それより気がつかなかったか?お前がここに逃げ込むように誘導していたことに」

ベッドと鍵付きの棚しかない殺風景な部屋には、ところどころどす黒い染みがあった

バリンテン「お前で何人目だろうなァ…もう忘れてしまったよ」
そう言うと城主は満面の笑みでその棚を開け放った

中にあったのは鎖、手錠、トゲのついたムチ、ゴムの棍棒…
おおよそ人体に苦痛と屈辱を与えるためのあらゆるモノがそろっていた

バリンテン「そら、もう諦めて服を脱げ、なぁに殺しはせん」

ラファ「うっ、うっ」

バリンテン「ハハ、いいぞ、やっと素直になったな
そうそうそうやって全部…


いや待て!脱ぐな!着ろ!それで服のすそをくわえて…そうだ!いいぞ!
靴下もちゃんと履いて!あっ違う、なんか違う!そこにニーソックスあるからそれ履いて!んでちゃんと上まで…そうそういいよ!
ぱんつは太ももで…違う違うそうじゃない!片足にひっかけるカンジで…そう!それ!GOOD!








さて、では朝までじっくりとかわいがってやろう…」


ラファ「ひひゃあ(嫌ぁ)、ひひゃあ…(嫌ぁ…)」

バリンテン「ハハ、そう言うな、すぐにお前も気持ちよくなりべらぁ」








ラファは混乱していた

獲物を前に舌なめずりしていた大公が突然体をくの字に曲げて「りべらぁ」とか言いながら水平に吹っ飛び
壁に強かに体を打ちつけ、頭から床に倒れこんだ

ここまでは目で見て理解できた、しかし、何故そうなったのか?


?「よっ、危ないとこだったなお嬢ちゃん」

ラファ「ふぁへ!(誰ッ!)ふぁへふぁほ!?(誰なのッ!?)」

?「せい…っとと、このままじゃしまらないか」


何も無い虚空からその男は現れた
ひっつめ髪に麻の服、精悍…というにはどこか抜けた風貌であったが


ムスタディオ「正義の機工士、ムスタディオ見参ッ!俺が来たからにはもう大丈夫だぜッ!つうかいい加減その服口から離せよ!」





とりあえずここまでッ!GW中にもっかい来るよ!

いやきたよ、3レスくれえしか書いてないが投下するわさ


ムスタディオ「…なんてキマりすぎたかな、ハハ
あ、なんでいきなり現れたのかって顔してるな、その答えはコレ、消えるマント
いやーラムザに「ちょっと城に忍び込んで城主をブッ飛ばして囚われの美女を助け出してくれない?」なんて頼まれた時には目玉が飛び出すくらいビビッたけどさ
こんな便利なモンがあるなら楽勝ってモンさ
でも美女って聞いてたのにイザ見てみたらどっちかっつーとお嬢チャンってカンジでちょっとテンション下がったけど…ホラ俺年上の女騎士属性だからさ
あ、ハラへってないか?厨房からチョロまかしてきた干し肉あるけど食う?」



ラファ「…あなた、ナイフ持ってない?」



ムスタディオ「ナイフ?こんなのしかないけど何につか」


言い終わる前に差し出されたナイフを奪い取り、バリンテンに飛びかかるラファ


ムスタディオ「うっわやめろって!コラ暴れんなッ!それだけはさせるなって言われてんだよッ!」


ムスタがすんでのところで羽交い絞めにして阻止した


ラファ「離してッ!コイツだけは!コイツだけは殺してやるッ!」


ムスタディオ「ダメだこいつぜんぜん話聞いてねぇ!
ラムザ!おーいラムザ聞こえてるんだろッ!?なんとかしてくれ!」

ムスタの雑嚢から小さな影が飛び出し、組み伏せられたラファの眼前に落ちた


カエル「やぁラファ、元気かい?」





ラファ「…え、なんで私の名前…じゃなくてこの術、わたしたちの…」

暴れていたラファが抵抗をやめた、その目には涙があふれている


ラファ「よかった…わたしと兄さん以外にも生き残りがいたのね
ね、貴方の名前は?わたしの知っている人かしら?」


ラムザ『…残念だけど、そうじゃないんだ、遠縁みたいなものだよ』


ラファ「そう…なの」


ラムザ『ああ、そんなに落ち込まないで。
ちゃんと君たちの他にも生き残りはいるさ、無事にそこを出られたら案内してあげるよ』


ラファ「…信じていいのね、その言葉」


ラムザ『もちろんさ』


ガルテナーハの秘術は数あるが、中でもこの操作術は権力者にとってはとても便利であると同時に、とてつもない脅威になる
対象の小動物を操り、耳目を同調させ、最後には爆発する
これほど諜報と暗殺に向いた術は他にはない

時の権力者たちは彼らを利用し、用済みのなれば口封じのため滅ぼす
だが事前に少しずつ人を逃がす、逃げた人々は別の土地で新たな村を作り、また利用される

これを連綿と繰り返してきたのがガルテナーハの歴史だ、生き残ったこの二人がイレギュラーなのだ


ラファ「どうしても、コイツを殺してはいけないの?」


ラムザ『うん、もし彼を殺すだろう?そうすると、新しい領主…まあ息子になるか
さて、その新領主の初仕事はなんになるだろうね?』


ムスタディオ「仇討ち…だよな?」


ラムザ「正解ッ!まず総力をあげての捜索になるし、恩を売りたい他の領主たちも協力は惜しまないだろうね
[平民の孤児が拾ってもらった恩も忘れて主を殺した]なんて醜聞は貴族社会への反乱に等しい』


ラファ「殺さなければ?」


ラムザ『捜索は領内だけで済む、まさか
[慰みものにしようとしていた少女に返り討ちにあった挙句逃げられたので協力してください]
なんて他の領主に言えるワケないしね』


ラファ「…わかったわ、今は我慢する
    …兄さんはどうなるの?」


ラムザ『うーん、そこなんだよなぁ…』

アイツはバリンテンに心酔すらしている
直接、事の真相を聞いたラファはともかく、あの頑固者が素直に一緒に来てくれるかというと…


ラムザ『ま、一応説得だけはしてみてもいいけどね』


置いていってもまず殺されることはないだろう、[操作]を使えるのはマラークしかいないからね

少ないがここまでッ!やっとまともに書く時間がとれるようになったからしばらくは早めに更新するよ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月23日 (木) 07:14:41   ID: irdNpj8U

話は面白いけど、雑談が半分近く占めててアレだわ

2 :  SS好きの774さん   2016年10月10日 (月) 23:08:06   ID: 9TBt2yTr

とても面白い
完結を今でも望んでいます

3 :  SS好きの774さん   2017年04月22日 (土) 20:42:07   ID: UckY5_XU

ちょっとまとめが雑かなって

4 :  SS好きの774さん   2019年11月13日 (水) 17:55:19   ID: Ey2z4fgB

もう更新しないのかなぁ

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