Q吉良「…で、記憶が元に戻った訳だが」 (21)

Q吉良「何だ…このスーツは。胸元がこんなに開いて…まるで変態みたいじゃあないか」

Q吉良「それにしても…私は本当に幽霊になったんだな…」

Q吉良「このまま、永遠に…地獄にさえも行けないのか?」

Q吉良「………」

Q吉良「……それより」

Q吉良「しのぶはどうなった?」

Q吉良「私が死んでからどのくらい時間が経ったのかよく分からないが…」

Q吉良「幽霊になった私を…ずっと待っていたら?」

Q吉良「いや…そんな事は…早人が、私が本当の夫を殺したともう言ったんじゃないのか?」

Q吉良「…会いにいけない」

Q吉良「もし待っていたとしても、私はもう帰れない…」

Q吉良「…………」

Q吉良「いや、やはり会いにいこう…」

Q吉良「こんなことで悩むのは私には似合わないからな」

川尻宅

しのぶ「…………」

早人「ねえ、ママ!お腹空いたよ」

しのぶ「…………」

早人「ねえ!ママってば!」

しのぶ「………そこに、カップラーメンあるでしょ」

早人「……………うん」

Q吉良「……まだ、待っているとでもいうのか?」

Q吉良「私が死んだことが、そんなに悲しいことなのか?」

Q吉良「………どうしようもないな」

Q吉良「しのぶ…本当にすまなかった」

Q吉良「……………記憶なんて戻らなければ良かったのにな…」

Q吉良「……………………」

しのぶ「…………あなた」

しのぶ「どこ行っちゃったのよ…」

しのぶ「ねえ、私、もう食器割られたことなんて気にしてないわ」

しのぶ「冷たい人ね、なんてもう思わないわ」

しのぶ「だから、だから早く帰ってきてよ……私、あなたが居ないと駄目な女なのよ」

早人「ママ…もうパパは……」

早人「死んでるんだって言ってるじゃないか」

しのぶ「またそれ!!」

しのぶ「そんな訳ないでしょう!?あんな優しくて…器用で…あの人が死ぬ訳ない!」

しのぶ「また、何事も無かったかのように帰ってくるのよ!」

早人「ママ……………」

Q吉良「……帰ってきたよ、しのぶ」

Q吉良「だから、もうそんなに泣かないでくれ」

Q吉良「何でそんなに悲しい顔をするんだ…」

Q吉良「死んでしまった私が…酷くみじめじゃないか」

Q吉良「もう、行こう……これ以上ここに居るのは耐えられない」

次の日の朝

早人「ママ…行ってきます」

しのぶ「……………いってらっしゃい」

しのぶ(あれから冷静に考えてみたけど)

しのぶ(やっぱりあの人は死んだんだわ)

しのぶ(でも、私悲しくないわ)

しのぶ( 私もあなたの後を追いかければいいだけのことじゃない)

しのぶ(あの人は日課のホットミルクをちゃんと今でも飲んでいるのかしら?)

しのぶ(うふふ、今日からは私が淹れてあげるわ、あなた)

Q吉良「仕事も終わったし…本も読んだし…する事がないな」

Q吉良「………また家にいってみるか」

Q吉良「……しのぶは今頃何をしているんだろう」

Q吉良「…ちょっと、覗くだけならいいか」

Q吉良「よし、行こう」

しのぶ(ここから、屋根裏部屋から飛び降りれば死ねるわ)

しのぶ(ああ…やっとあの人と会えるのね)

しのぶ(うふふふふふふ)

Q吉良「あれ…どの部屋にも居ない」

Q吉良「外出中か?」

Q吉良「!あれ…屋根裏部屋の窓が…」

しのぶ「あなた…今逝くわ」

Q吉良「自殺!?やめろ、そんな事をしても私とは会えないんだ!」

Q吉良「しのぶ!やめろ!ああ!!私は愛する妻の命すら守れないのか!」

Q吉良「私が受け止めれば…でも人間に触れば身体が消滅してしまう!」

Q吉良「…どうする?」

Q吉良「いや…悩む必要はないな」

しのぶ「………」(足が宙に浮く)

Q吉良「しのぶ!死ぬなんて私が許さない!!」ガバッ

シュウウウウ……

Q吉良「くっ…か、身体が…ぜんぶ…きえて…く…」

Q吉良「し…のぶ…し…あわせに…なってくれ…」

Q吉良「あ………い…して……る」

吉良吉影は消滅した…
しのぶは吉良に受け止められ、死ななかった

しのぶは早人の事を思い、自殺を辞める事にしたが、いつまで経っても帰ってこない夫に絶望し、吉良が消滅したちょうど一年後、自宅のリビングにて早人を殺害した後に自分も死んだ。

強い悲しみからしのぶが幽霊になったことは誰も知らない

End

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom