カナヲ(――ごめんなさい姉さん)
カナヲ(ごめんなさい)
カナヲ(私あの時、笑えなくてごめんなさい)
カナヲ(しのぶ姉さんがオナラをした時――)
カナヲ(笑えなくてごめんなさい)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1585401921
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――ぶびっ!!
しのぶ『ひぅっ!!??』
あの時――――――
産屋敷『おや……?』
実弥『ちょ、オイオイしのぶさんよォ!? 柱合会議中だぜェ! はしたないんじゃねぇのかィ!』
天元『ド派手にかましやがる』
杏寿郎『うむ……天晴!』
蜜璃(ええ~~! しのぶちゃん、ええ~~~!?)
時透様も、悲鳴嶼様も、伊黒様も、富岡様までも……みんな、笑っていたのに――
――私だけ笑えなかった
とても、動揺していたけど
しのぶ『ちがっ! 違うの! 今日は朝からお腹の調子が悪くてっ、だからっ……!! ねぇ、カナヲは知っていたわよね!?』
カナヲ『……っ』
私は体中、汗をかくばかりで――
悲鳴嶼『あぁ……今朝から腹の調子が悪かったのか。だからつい屁が出てしまったのだ。可哀想だ』
時透『……。でも、親方様のお話を遮ったら、駄目だよ』
しのぶ『ちがっ、ちがっ、あああ、ちがうの……』
伊黒『何が違うんだ。腹が痛かった。だから屁がでた。今自分でそう言ったろう。ではいったい何が違うのだ。俺には理解できないんだが?』
富岡『もういいやめろ』
しのぶ『~~~~~~~~ッ!!!』
――――――みんな、笑っていたのに
産屋敷『ふふふ』
体中、汗をかくばかりで
私は笑う事ができなかった
だけど姉さんは――
しのぶ『ああ、みんなを、切り殺してやりたい』
しのぶ『ハァ』
しのぶ『……。』
しのぶ『ねぇ、カナヲ』
カナヲ『?』
だけど姉さんは、私を責めなかった
しのぶ『――笑っていいのよ。貴方もおかしければ、笑って、いいのだから』
カナヲ『っ…………。』
姉さんは優しかった
だからいっぱい
心の中で言い訳してた
笑うと蹴飛ばされるの
噛まれるの
引き摺り回されて水に浸けられるの
動きをよくみてないと、悪いところに当たって――
――……。
ずっとそうしてきたから
笑わないようにしてきたから
急に笑えなかったの
ごめんなさい――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。
しのぶ「――だから、今度こそ笑ってみせるから、もう一度私に、その」
しほぶ「してほしい、と?」
カナヲ「はい、師範」
しのぶ「……。」
カナヲ「……。」
しのぶ「変ったわねカナヲ。――姉さんもきっと、喜んでる」
カナヲ「……! では……!」
しのぶ「でも、だめよ」
カナヲ「え……。」
しのぶ「現在私の体は、血液・内臓・爪の先に至るまで、高濃度の藤の花の毒が回っている状態です」
カナヲ「……!!」
カナヲ(――ごめんなさい姉さん)
カナヲ(ごめんなさい)
カナヲ(私あの時、笑えなくてごめんなさい)
カナヲ(しのぶ姉さんがオナラをした時)
カナヲ(笑えなくてごめんなさい――――――――――)
全集中・屁の呼吸 ~完~
未熟者の書く推敲不足なSSです。
そんなものをお読みくださった方、本当にありがとうございました。
19巻、本当に泣けました……。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません