俺「あー寒…」 れいむ「ゆ~ん、ふゆさんでもゆっくりできるね!」 (64)

俺「あ?」ギロ

れいむ「おちびちゃん、ごはんさんにしようね」

まりさ「きょうはにくまんさんをとってきたのぜ!」

れいみゅ「ゆわーい!にきゅまん!」

まりちゃ「はやきゅむーちゃむーちゃしちゃいんだじぇ!」

ふと耳を澄ますと植木の茂みの中が何やら騒がしい
よく見れば奥にゆっくりの一家が住みついているようだ

覗けばどこから手に入れたかは知らないが厚手のタオルも中に敷いてある
雨や雪や風なども茂みのおかげでどうにか防げており外からも目立たない
成程、野良にしては安心して過ごせる上出来な「おうち」だろう

だが

俺「オラ!」ガサア

一家「「「「ゆっ!?」」」」

植木を揺らして外部からの影響を受けてる事を知らせる
驚いた親まりさが顔を出し様子を見に来た

まりさ「ゆゆっ!?人間さん!!!」

俺「オラ!」ボロンッ

警察「「「!?」」」

早速入口の真正面に立っていた俺に気付いたようだ

まりさ「にんげんさんっ!まりさたちはゆっくりしていただけなんだぜ!
    いままでもにんげんさんにはめいわくをかけずにいたんだぜ!
    でも…なにかきにさわるようなことをしたとしたらあやまるんだぜ!
    だからどうかみのがしてほしいんだぜ!」

突然親まりさは説明と懇願をして来た
人間との実力差を理解出来る賢い野良だったようだ
だからこそこうして生き延びれたのだろうが

俺「んー迷惑か悪い事かは知らんが気に障る事は確かにしたなぁ」

まりさ「うっ!ご、ごべんなざい!きづきまぜんでじだ!」

れいむ「まりさ…」

まりちゃ「おとーしゃん…」

騒ぎを聞きつけ番と子供も集まって来た
家族も力関係を察しているのだろう
下手に出る親まりさを炊きつけたり罵る事はしない

まりさ「まりざはばがなのでっにんげんざんがおごるりゆうがばがりまぜんっ!
    でずがぜっだいになおずのでがぞぐにはでをだざないでくださいっ!」

れいみゅ「おにぇがいしましゅ!れいみゅたちをみにょがしちぇください!」

親の必死の願いに赤れいむも加わって来た
それなりに分を弁えた善良な一家の様だな

俺「そうかー直してくれるかーそりゃ良かった、それなら文句ねえや」

まりさ「あっありがどうございまずっ!!!」

被ってる帽子が破れんばかりに頭を地面に擦りつけて感謝している
人間に目をつけられる=死だと餡子に刻み込んでいるのがよく分かる
決して対等以上に振る舞ってはいけない、謙るべきだと感じているのだ

れいみゅ「ありがちょうごじゃいまちゅ!」

俺「いや良いよ良いよ、聞き分けが良くて俺も嬉しい さーてと…」

俺は持っていた長めの傘を掲げ

奴らのお家に向かって突き刺した

一家「「「「ゆわっ!?」」」」

傘を動かしお家の中にある物を掻きだしていく
寝床に使っていたタオル、先程食卓に挙がっていた肉まん
チビ共の物だろうか ビー玉や瓶の蓋、小さなぬいぐるみなどもある

一家「「「「なにじでるのおおおおおおおおおおおお!?」」」」

流石に一家もあまりの暴挙に絶叫している

俺「え?君達が不愉快な点を改善してくれるっていうからしてるんだけど?」

れいむ「だがらっでどぼじでごんなごどするのおおおおおおおお?
     ゆるじでぐれるっでいっだじゃないいいいいいいいいい!!」

まりちゃ「ゆっ…まりちゃのたからものしゃん…」ずりずり

赤まりさが私物に近寄ろうとしている、させるか!

俺「そおいっ!」ペキ

体重をかけ宝物()という名のゴミを盛大に踏み潰していく

俺「それそれ」グシャグシャ

まりちゃ「ゆんやああああああまりちゃにょびーだましゃんんんんんん」

れいみゅ「れいみゅにょにゅいぐるみがあああああああああああ」

凄惨な事態に子供がそれぞれ悲惨な声を上げて泣き叫んでいる

まりさ「ゆわああああやめてあげでぐだざい!おぢびちゃんのだいじなものなんでず!」

俺「だーめ」

次に俺はタオルを入念に靴で踏みつけた

俺「今日は大分汚れちゃったからさぁ、丁度拭いときたかったんだよねえ」グシグシ

れいむ「いやあああああああみんなでねるあったかいおふとんさんがあああああ」

瞬く間に白かったタオルは泥や砂埃に塗れ薄汚れ固くなっていく
これではもう寝具として機能しないだろう

まりさ「あ…ああ…どぼ…じで…」

あまりのショックに放心状態となる親まりさ
少し前まで家族に囲まれこの上ない幸せを享受していただけに悲しいだろう

しかし止める気は全くない

俺「よっこいしょっと」ブチュ

極めつけに肉まんを踏み潰した

れいみゅ「ああああああれいみゅたちのごちしょうしゃんんんんんん」

まりちゃ「まじゃひちょくちもちゃべてにゃいのにいいいいいいいいいいい」

肉まんなんて人間の食う食べ物が早々いつも都合良く手に入る訳は無い
おそらくとんでもない奇跡の様な偶然で殆ど手付かずの物を丸ごと1つ見つけたのだろう
少し前の喜び方を見ればどれだけ貴重なのかが分かる

俺「そりゃ良かったね♪そりゃ良かったね♪」グシャグシャ

それを俺は人欠片すら余すことなく道路のシミにしていく
正直生ごみを散らかしてるみたいで抵抗があるな、近隣の皆様スマソ

まりちゃ・れいみゅ「「ゆんやああああああああああああああ」」

俺「最後はこいつだな」

俺は傘を構え茂みの中を荒らしていく

まりさ「ああああああぞごだけはゆるじでぐださい!
    まりざだぢのどっでもゆっぐりじだゆっぐりぶれいずなんでず!
    ぞれがないどばりざだぢはいぎでいげまぜん!」

俺「へーそりゃなおさらだ」ガシュガシュ

親まりさの悲痛な願いに手を緩めることなく茂みを蹂躙する
その結果、住居となる空間は完全に塞がれゆっくりプレイス()は消滅した

まりさ「あ…あぁ…」

れいむ「どぼぢ…ごんな…」

れいみゅ「れいみゅたちの…おうちしゃん…」

まりちゃ「まりちゃたちの…ゆっぐぢぶれいずが…」

幸せな団欒から一転、食べ物も住処も失い地獄に叩き落とされた一家がむせび泣いている
この時期に家がないと言う事は洒落にならない 待っているのはそう遠くない死だけだろう

まりさ「にんげんざん…どうじで…どうじでごんなごどじだたのおおおおおおお!?
     まりざぢゃんどいうごどきぐっでいっだのにいいいいいいいいいいい!!!
     ぜっだいなおじでみんなどゆっぐりじだのにいいいいいいいいいいい!!!」

強烈な疑問と怒りをぶつけ、理不尽に対して訴え始める親まりさ

俺「だからだよ」

俺は今までの行動に対する理由を答えた

俺「お前らがゆっくりしてたからだ
  俺はどんなゆっくりでも人間の手も借りず勝手に幸せそうにしてるのが許せん
  別にゆっくりが特別嫌いなわけじゃない、だがゆっくりに相応しくないゆっくりには手を下す
  ゲスだろうと善良だろうと関係ねぇ、お前らゆっくりは貧窮し哀れで何時死ぬかも分からん
  先の見えない状態でいろよな、お前らゆっくりが安定した生活なんておこがましいんだよ」

それを聞いた一家は茫然として俺を見据える

俺「じゃあな!良いお年を!」

そういって俺はその場を去った
あの一家は果たして後1日生きて年を迎えられるだろうか?

多分無理だろうな
今夜中に雪が降るみたいだし身を隠せる場所も無ければ捕食者の餌食
食料の蓄えも全部捨てたから食い盛りのチビ共が助かる可能性は絶望的だ

だがそれこそゆっくりの真の姿だと俺は思う
人の加護なしには生きられない管理されるだけのナマモノ

自活なんて分不相応な真似はおこがましい
常に誰かからの助けを求め、現状に悲観し人間を羨む

それでこそ愛でたくもなるってもんだ

終わり

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