小鞠「親だけには…」駄菓子屋「中学生が子供料金ってのはダメだろ」 (66)

小鞠「お願いします、何でもしますから許して下さい……。出来心だったんです……」

駄菓子屋「はぁ……。まあ、初めてだろうし、警察と学校と親には連絡しないでおいてやろうかな」

小鞠「ほんとですか!?」

駄菓子屋「だが、もちろんただで見逃してやるほど甘くはない。……わかるな?」

小鞠「えっ……どういう意味ですか……?」

駄菓子屋「さっき、何でもするっつったよな?」

小鞠「あ……」

駄菓子屋「こんな田舎じゃ悪い噂はすぐ広まる。何、頼むのは簡単な事さ。いいだろ?」

小鞠「……わかりました」

駄菓子屋「これが何かわかるよな?」

小鞠「……ビデオカメラとデジカメですか?」

駄菓子屋「ああ、そうだ。これを使う」

小鞠「……あ、あの、もしかして」

駄菓子屋「察しがいいな」

小鞠「そんな!こんなのって!?」

駄菓子屋「拒否権があると思ってるのか?」

小鞠「……」

駄菓子屋「そうそう、子供は聞き分けがよくなくちゃな」

翌日

蛍「わぁ、センパイ、そのカメラどうしたんですか?」

小鞠「ちょっとね……」

夏海「ちょっとって、姉ちゃん、こんな高そうな物どうしたんだよ!?っていうか、学校に持ってくんなよ」

れんげ「そう言いながらノリノリでポーズ決めてるなっつんなのであった」

小鞠「せっかくのカメラがあるんだし、みんなを撮ってあげよっか?」

蛍「な、何だか緊張しますね」

夏海「れんちょん、一緒に撮ってもらおうぜー」

れんげ「わかったのん!」

夏海「ま、待って!個別に!個別に撮るから!」

蛍(もしかして私だけを撮る口実だったりして……///)

蛍(えへへ……///)

夏海「早く撮ってよー」

れんげ「うちは撮影する方が好きなのん。あとで撮らせてー」

小鞠「うん……。それじゃ、夏海、蛍、れんげの順に撮らせてもらうね」

蛍「はい♪」

夏海「なあ、ほたるん……」

蛍「はい、何でしょう?」

夏海「姉ちゃんさあ、れんちょんばっか撮ってる気がするんだけど……。うちらは数枚なのに、れんちょんの事だけずっと撮ってるっておかしくない?」

蛍「奇遇ですね。私も同じ事を思っていました」

夏海「なーなー、姉ちゃん!何かおかしくない!?」

小鞠「し、仕方ないでしょ!まだ慣れてないから、れんげみたいにじっとしてくれない被写体だとブレるのよ!」

蛍「あの……、れんちゃん、センパイの要求するポーズにちゃんと答えてじっとしてますけど……」

夏海「どんだけ下手なんだよ」

小鞠「うっさいなー。静かにしててよ。はい、れんげ、次は雌豹のポーズお願いね」

れんげ「めひょう……?よくわからないけど、これでいいのん?」ノスッ

小鞠「あー、いいよいいよー」カシャカシャッ

小鞠(蛍と夏海には悪いけど、限られたメモリでしか撮影できないから既に二人の写真はメモリから削除させてもらったわ)

小鞠(あとは、駄菓子屋の要求通り、れんげの写真やムービーを撮れば……)

れんげ「はぁ……」

小鞠「どしたの?」

れんげ「もう飽きたのん。他の遊びがしたいのん」

小鞠「えっ、まだ撮りたいのに……」

れんげ「なっつん、ボール遊びするんな」

夏海「おー、やりますかー。ほたるんも一緒にやろうぜー」

蛍「は、はぁ……。センパイはどうしますか?」

小鞠(動き回るなら写真はもう無理か……。でも、れんげが遊んでるとこをムービーにおさめれば問題ないか)

小鞠「ううん、私はカメラでみんなを撮ってるよ」

蛍「そうですか。れんちゃん、夏海先輩、私も混ぜてくださーい」

れんげ「早く来るのん!」

夏海「よっしゃー、いくぜー」

小鞠「ごめんくださーい」

駄菓子屋「……来たか」

小鞠「頼まれてた写真、それに動画を撮ってきたよ」

駄菓子屋「結構。どれどれ……。おっ、よく撮れてるな」

小鞠「あ、あのさ……」

駄菓子屋「何だ?」

小鞠「その写真や動画、どうするの……?」

駄菓子屋「は?何を言っているんだお前は。見る以外に何に使うっていうんだよ?」

小鞠「その、ここはインターネット?とか置いてたりするんでしょ?その写真とか動画、インターネットで悪用してお金稼ごうとかしてたりするの……?」

駄菓子屋「何でそんな犯罪めいた事しなきゃなんないんだよ」

小鞠「私知ってるよ!?世の中にはれんげみたいなちっちゃい子が好きな変態がいるって!……もし、私が撮った写真とかを悪用されたりしたられんげに……」

駄菓子屋「そんな事しないさ」

小鞠「本当?」

駄菓子屋「ああ、本当だ」

小鞠「……じゃあ、何でれんげの写真を?」

駄菓子屋「お前に言う必要はない」

小鞠「……わかった。それじゃあ、これで私の事は許してくれるんですね?」

駄菓子屋「待て」

小鞠「えっ……?」

駄菓子屋「子供料金の件はこれでチャラにしてやる。だがな……」

小鞠「わ、私、他に悪い事なんて何も……」

駄菓子屋「この写真を撮ったのはお前だ」

小鞠「ええ、そうですけど……」

駄菓子屋「もしこの写真や動画が広まれば、撮影したお前が犯人という事になる」

小鞠「そんな!?さっき、悪用はしないって言ったじゃないですか!」

駄菓子屋「ああ、だから、そうならない為にも、これからも仕事を引き受けてくれるな?」

小鞠「……はい、わかりました」

駄菓子屋「ふふっ、素直で結構。それじゃあ今日はこれで帰ってくれ。私も忙しいからな」

小鞠「……はい」

別の日

小鞠「あ、あのさ、れんげ、お願いがあるんだけど」

れんげ「またなん?最近こまちゃんうちにばっかり変な事させるのん」

小鞠「そんな事ないって!で、でさ、今日はこれ持ってきたんだよね」

れんげ「見たことのない機械なん」

小鞠「これはICレコーダー?とかいって、音を記録できる機械みたいなんだよね」

れんげ「何でそんなハイテクな物持ってるん!?」

小鞠「えっと、ちょっと、色々あってね。それでさ、これに音を入れたいかられんげ、何か歌ったりしてみてよ」

れんげ「わかったのーん!それじゃあいきますのんな!」

れんげ「~~♪」

小鞠(今度はれんげに色んな事言わせたり、歌まで録音させて……。一体何が目的でこんな事……)

夏海「……最近、姉ちゃんがおかしい」

蛍「はい。私も同じ事を思っていました」

夏海「何だよ、れんちょんの事ばっかり!」

蛍「それはいいとして、最近はよく高価な機械を持っているのが気になります。あれを買うとなれば、一台数万円からはしますよ」

夏海「えぇっ!?……何だよ、姉ちゃん、どっからそんなお金を……」

蛍「最近、家の方で変わったことはないですか?何か手がかりになるかもしれません」

夏海「そういえば、最近よく学校が終わると一人でどっか行くな……」

蛍「それです!きっと、そこに何かヒントがあるはずです!」

夏海「姉ちゃん、まさか何か変なことしてお金稼いでたりしないよね……」

蛍「まさかそんな、センパイに限ってそんな事……」

夏海「……」

蛍「……」

夏海「と、とにかく、それを確かめる為にも姉ちゃんを尾行しよう」

蛍「……そうですね。万が一何かおかしな事があったらいけませんし」

夏海「それじゃ、今日の放課後に尾行だ!」

蛍「ええ、行動は早いに越したことはありませんしね」

小鞠(さて、今日も駄菓子屋に行ってれんげのデータを渡さないと……)

ガサガサッ

小鞠「!?」ビクッ

小鞠「だ、誰かいるの……?」

シーン……

小鞠(……気のせいか誰かにつけられてる気がする。田舎だけど、たまに不審者が出るって聞くし、怖い……)

小鞠(急いで駄菓子屋に向かおう!)タタッ…



蛍「危うく気付かれるところでしたね」

夏海「うんうん。でも、あんなに急いで姉ちゃんはどこに行く気なんだろう?」

蛍「バレない程度に距離を置いて、私達もセンパイを見失わないように急ぎましょう」

夏海「だね」

小鞠「はぁっ……はぁっ……」

駄菓子屋「どうしたんだ?別に急いで渡しに来いとまでは頼んでいないが?」

小鞠「な、何か、不審者について来られてる気がして……」

駄菓子屋「こんな田舎でか?まあ、最近は変な奴も多いからな」

小鞠「それじゃ、はいこれ」

駄菓子屋「おお、サンキューな」

小鞠「それじゃ私はこれで」

駄菓子屋「待て」

小鞠「な、何?」

駄菓子屋「もし本当に不審者がいて何かあったら大変だからな。家まで送っていくよ」

小鞠「ほ、ほんと?」

駄菓子屋「そっちの方に行くついでだ。別にお前が心配だからとかじゃないぞ」

小鞠(よかった……。駄菓子屋までの道、暗いトンネルあるから帰り、暗くなってるから不安だったんだよね……)

駄菓子屋「それじゃ行くぞ」

小鞠「は、はい」

蛍「センパイ、駄菓子屋に入っていきましたね」

夏海「はっ……!?まさか、高いカメラとか買うくらいだから駄菓子屋で豪遊してるんじゃ!?」

蛍「それはまだわかりませんけど……」

夏海「あっ、もう出てきた」

蛍「駄菓子屋のお姉さんも一緒ですね」

夏海「手ブラだ……。ってことは、駄菓子の買占めとかしてるわけじゃなかったのか」

蛍「でも、二人でどこか向かうみたいですよ?」

夏海「……追うしかないな」

蛍「ですね」

小鞠「ただいまー。って、あれ?お兄ちゃん何で玄関まで……。もしかして私の事待っててくれたの?」

駄菓子屋「おっ、眼鏡か。これ、頼まれてた物だ」

卓「……」コクリ

駄菓子屋「毎度ご贔屓に」

蛍「そこまでです!」

夏海「その中身、あらためさせてもらうよ、兄ちゃん!」バッ
卓「!?」

バサッ

小鞠「えっ……、何これ……?れんげの写真がいっぱい……」

蛍「謎は全て解けました!最近センパイが撮影したり録音したりしたデータは駄菓子屋さんを経由してセンパイのお兄さんに渡っていたんです!」

夏海「な、なんだってー!?」

蛍「おそらく、センパイのお兄さんは何でも屋である駄菓子屋さんに、小児性愛を満たす為のネタを依頼し、それでセンパイは駄菓子屋さんに利用されていたんです!違いますか!?」

駄菓子屋「……君のような察しのいいガキは嫌いだよ。その通り、私はそこの眼鏡から金を貰い、れんげのデータを売っていた。おかげでいい商売になったよ」

小鞠「そんな……」

卓「……」ダッ

夏海「あっ、兄ちゃんが逃げた!」

蛍「捕まえて下さい!」

こうして、一連の事件の首謀者、卓は蛍と夏海の手によって捕まり、卓の部屋にあったれんげのデータは処分され、小鞠は駄菓子屋から解放されたのだった

小鞠「ありがとね、二人とも」

蛍「そんな、お礼なんて照れてしまいます……///」

夏海「悪いのはあの変態兄貴だよ!これで懲りてくれればいいけど……」





駄菓子屋「ふへへ……、れんげ、可愛いな……。このボイスも着信音に使ってるお気に入りだし、何回聞いても飽きないな……」

駄菓子屋「ふひひ……れんげ、可愛くなってきたなぁ……///」

真の黒幕は未だ健在だった

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