千早「ヘェイ~ヤレ……ヘェイ~ヤレ~……」
P「どうだ千早。上手く歌えそうか」
千早「どうにも難しいです。歌詞じゃなくてスキャットのみで歌いあげるなんて……」
高木「どうしたのかね?」
P「千早に、スィオノギ製薬からCMのオファーが来まして、そのCMソングの練習を」
千早「……もうちょっとで行けそう……へ……ヘェイ……」
高木「はっはっは。如月君も徐々にだが人気が出てきたようだね。うれしい限りだよ」
P「そうですね……」
高木「はっはっは。しかしあれだな。如月君がk
千早「ヘェイ~ヤレ~ラタティ~イヤ!」
タンタンタンタン!!
高木「うっ!」バタリ
P「社長!?」
千早「えっ?」
小鳥「どうです?社長の様子は?」
P「幸い、命に別条はないみたいです」
千早「良かった……」
P「しかし、怖いもんですね……」
小鳥「ええ……」
千早「一体どうして社長が……」
P「動脈硬化らしい。それにしても急だが……」
千早「えっ……」
P「ん?どうしたんだ千早」
千早「い、いえ……。なんでもありません」
千早(確か……スィオノギ製薬からのCMって)
千早「動脈硬化の警告CM……」
千早(まさか、ね。そんなのただの偶然よ)
数日後
千早「ヘェイ……ヘェっ……」
貴音「どうしたのです如月千早」
千早「四条さん……」
貴音「なにやら浮かれない顔をしていますが」
千早「ええ。社長のこと、どうしても気になってしまって……それで……」
貴音「それで?」
千早「仕事に集中しようかと」
貴音「そうでしたか。それにしても高木殿も急に倒れるとは」
千早「ヘェイ~ヤレ……ヘ……」
貴音「どうでしょう千早。私と一緒にらぁめんでも食べn
千早「ヘェイ~ヤレ~ラタティ~イヤ!」
タンタンタン!
貴音「うっ!」バタリ
千早「!?」
千早「……」
P「社長に続いて、貴音まで……」
千早「あの……」
P「ああ、心配しなくていいよ。幸い命に別条はないみたいだ」
千早「ホッ」
P「まぁ、貴音も最近は二十郎づけの偏った食生活を送っていたらしいし……」
千早「そうですか……」
P「俺もプロデューサー失格だな。アイドルをこんな目に合わせるだなんて」
千早「……」
千早「私の……」
P「ん?」
千早「私のせいかもしれません」
P「……は?」
千早「実は……」
P「ぶははははは!」
千早「わ!笑わないでください!」
P「い、いや……だって……ウィヒヒヒ……」
千早「……」
P「あ、まぁ、そんな怒るな」
千早「だって、二人とも私があの歌を歌ったときに限って……」
P「それきっと悪い偶然が重なったんだよ。流石に歌で動脈硬化を起こせるなんてな」
P「千早のせいじゃない。それは俺が保証するよ」
千早「……でも」
P「ほら、千早がそんなに気負っても仕方がない」
P「今日はもう帰れ。ゆっくり休んで、また明日から張り切っていこう」
千早「分かりました」
千早(……)
電車内
千早「……」
千早(偶然とは思えないわ。二人とも)
千早(やっぱり、あの歌と関係が……)
乗客A「おい……見ろよ……」
乗客B「ん?」
乗客A「あれってもしかしてさ」
乗客B「!」
乗客A「あの、すみません」
千早「はい?」
乗客A「もしかして、如月千早さんですか?」
千早「はい、そうですけど……」
乗客B「マジかよ!」
乗客A「だから言っただろ?あの貧乳は如月千早だって」
千早「……!!」イラッ
千早「……あの」
乗客A「はい?」
千早「もしよかったら、私の歌、生で聴きたくありませんか?」
乗客A「うぇっ!マジで!?」
千早「ええ、よかったらそちらの方も一緒に」
乗客B「えっ!俺もいいの?」
千早「ええ、二人ともまとめて」
千早(まとめて……ね)
千早「次の駅で降りましょうか。そこで」
乗客A「ラッキー!今日の俺はついてる!」
乗客B「楽しみだなぁ……」
千早(……)
乗客A「ここ人影なくね?」
千早「せっかくですから、二人には静かに聞いてもらいたいんです」
乗客B「へぇ」
千早「というより、二人以外には聞いてほしくないんです」
千早「それじゃあ……ヘェイ……ヘェ」
乗客B「なんかキモい歌い出しだな……」
乗客A「黙ってろって。集中してるんだよ」
千早「ヘェイ……」
乗客AB「……」
千早「ヘェイ~ヤレ~ラタティ~イヤ!」
乗客AB「うっ!」バタン
千早「……!!」
千早「うふ……ふふふ……うふふふふふ!!」
千早「やっぱり私の歌の力は本物だったわ!」
千早「今に見てなさい!」
千早「私のことを貧乳だのまな板だの72だのとバカにしてきた奴ら!」
千早「皆残らず皆殺しにしてやるわ!!」
千早「あははははははははははははははは!!!!!!!!!!!」
乗客AB「」ビクンビクン
千早「おらぁっ!」ゲシッ
乗客AB「」ビクンビクン
千早「ふーっふーっ!」
千早「ふぅ……すっきりしたわ」
千早「やだ、もうこんな時間。早く帰らなきゃ」
タタタッ
P「ん?」
P(あれは……千早か……?)
P「あんな路地裏から出てきて、何やってたんだ千早」
千早「おはようございます」
P「ん、おはよう千早」
千早「今日は早いんですね」
P「ああ、ちょっと訳があってな。寝れなかったんだよ」
千早「そうですか、大変ですね」
P「そういう千早はえらく機嫌が良さげじゃないか」
千早「ええ。いいことがありましたから」
P「うん。そうか。それはいいことだな」
千早「ふぅ……さてと、お茶でも淹れて一息」
P「あのな、千早」
千早「なんです?プロデューサー」コポポ
P「千早、昨日あの路地裏で何やってたんだ?」
千早「!!」ガシャーン
P「大丈夫か?」
千早「え、ええ……」
P「話を戻すけどさ、昨日あの路地裏で何やってたんだよ」
千早「……何の話ですか」
P「いや、実は昨日、千早っぽい人影をあそこで見かけてな」
P「そこの路地裏を覗いてみたらさ……」
千早「……」
P「死んでたんだよ。男が二人」
千早「そうですか」
P「うん。俺が見つけた時はもう手遅れだった」
P「警察から事情聴取受けててさ、そのせいで寝れなかったんだよ」
P「もしかしたら、アレが千早だったとしたら……」
千早「違います」
P「え?」
千早「私は昨日、すぐ家に帰りましたから」
P「そうか……」
千早「はい。プロデューサーの見間違いです」
P「うん、そうならいいんだけど」
あずさ「おはようございます~」
P「お、あずささんおはようございます」
あずさ「おはようございますプロデューサーさん」
P「今日は迷わず来られたんですね」
あずさ「もう、いつも迷ってる訳じゃないんですよ」
P「あはは、そうでした」
P「でもあずささん、疲れた顔してますよ」
あずさ「ええ、最近肩こりが酷くて~」ドタプーン
千早「!!」
P「揉んであげましょうか?胸を」
あずさ「もう!何言ってるんですかプロデューサーさん」ドタプーン
あずさ「あら、どうしたの、千早ちゃん」ドタプーン
千早「い、いえ。なんでも」イライラ
あずさ「そういらいらしてちゃいけないわ~。あ!そうだ!」
あずさ「こういうときには牛乳を飲めばいいんじゃないかしら~」
千早「!!」クワッ
P「あはは、そうだ。カルシウムは大事だぞ千早」
P「もしかしたらその胸も少しは大きくなるかもな!」
千早「……」
千早「ヘェイ~ヤレ~……」
あずさ「あらどうしたの千早ちゃん。そんなに思いつめた顔s
千早「ラタティ~イヤ!!」カッ
あずさ「うっ!」バタリ
P「あずささん!?」
千早「ふふ」ニヤリ
P「は、早く救急車を!!」
P「……」
P「社長、貴音に続いて、あずささんまで……」
千早「……」ニタニタ
P「どうなってんだよ……」
千早「さぁ」
P「さあって……3人とも動脈硬化だなんて」
千早「きっと悪い偶然が重なっただけ。そうですよ」
P「……」
千早「ですよねぇ。プロデューサー」
P「……そうだな。うん」
千早「そうですよ」
P「……」
千早「そんなに暗い顔しないでくださいよ。ほら、また明日から元気にやっていきましょうよ」
P「ああ……」
翌日
律子「……あずささん。峠は越えたみたいです」
P「そうか……」
千早(チッ)ギリギリ
律子「それにしても……不審ですねえ」
P「ええ。でもこればっかりは病気ですから」
律子「竜宮小町のライブ、どうしよう……」
亜美「りっちゃんがでちゃいなYO」
真美「そうだよ。また前みたいにヘルプで出ればいいじゃん」
律子「でも……流石に恥ずかしい……」
P「大丈夫じゃないか?律子は可愛いし、スタイルもいいし」
千早「!!」ギリッ
真美「真美も早くダイナマイトバデーになりたいよ!」
千早(そうよね……律子も……巨乳だわ)
千早(私よりも巨乳は……死すべし)
千早「律子」
律子「なに?」
千早「ちょっと相談が……」
律子「なによ、そんなに改まっちゃって」
千早「出来れば二人きりで話がしたいの」
律子「……そんなに、大事な話なの?」
千早「ええ」
律子「分かったわ。屋上に行くわよ」
千早「……」ニタニタ
P「……?」
亜美「暇だしさっきのゲームの続きしよー」
真美「あ、ちょっと待って。今用意するから」
千早「……クフッ」ニタァ
ピーポーピーポー
P「……律子まで……」
千早「……」ニタニタ
P「なぁ、千早」
千早「はい」
P「お前、何か知ってるのか?」
千早「何がですか?」
P「お前と二人きりになった途端だろ、律子が倒れたのは」
千早「……私のせいだって言うんですか」
P「……」
千早「『千早のせいじゃない。それは俺が保証するよ』」
P「!!」
千早「言いましたよね、プロデューサー」
P(いや、俺の考えすぎか?)
P「……どうなってやがる」
千早「……」
響「な、なんだよ千早。そんなにじっと見て」
千早「我那覇さん……いいわね……」
響「な、なにがだよ……」
響(なんか、千早がすごく怖い……)
千早「私より身長が低いのに……」
響「チビだってバカにするのか!」
千早「バカにしたのは手前ぇらだろうがよおおおおおおお!!!!」クワッ
響「ひぇっ!」
千早「あら、私としたことが、取り乱してしまったわ。ごめんなさい我那覇さん」
響「……」
千早「仲直りのしるしに、私の歌を聴いてほしいの……」
響「う、うん。いいぞ!それで仲直りなんだな!」
千早「ええ、これで、全部まっさらになるわ……!」ニヤリ
ドサッ
美希「どうしたの?なんかさっき叫び声が聞こえたような気が……」
千早「ビクッ!」
響「」
美希「千早さん!?響どうしたの!?」
千早「……」イライライラ
美希「響!?響!?どうしちゃったの!?」
千早「……!」
美希「千早さん!早く救急車呼ばないと!」
千早「そうよ」
美希「え?」
千早「手間が省けたわ。美希」
美希「ち、千早さん……」
千早「うふふふ……ふふふふふ!」
美希「ひっ!!」
P「……」
千早「……」
P「……もう、疲れたよ」
千早「そうでしょうね。偶然765プロのアイドルたちが偶然同じような時期に偶然動脈硬化で倒れたんですから」
千早「偶然って、怖いですね」
P「偶然……なんだよ偶然って」
千早「偶然は偶然ですよ」
P「……知るかよ」
千早「そうです。誰も知らないんです。知らなくていいんです」
P「……しばらく休むよ。小鳥さんにもそう伝えておいてくれ」
千早「なんで私に言うんですか?」
P「さあ、なんでだろうな」
千早「……ふふ」
数日後
春香「プロデューサーさん、まだ出てこないね」
千早「……」カリカリ
真「千早、何書いてるの……?」
千早「……んふ」カリカリ
真「ねぇ、千早ってば」
千早「……」カリカリ
真「千早!無視するなよ!」ガシッ
千早「……」ピタッ
千早「ナニ?」
真「!!」
真「い、いや……ついイライラしちゃって……」
春香「真も落ち着いて、ほら、千早ちゃんも」
春香「……でも、仕方ないよね。こんなことになってるんだから……」
千早「……」カリカリカリカリ
真「ねぇ春香、ちょっとこっち来てよ」
春香「何?」
真「最近の千早、何かおかしくない?」ボソッ
春香「え?千早ちゃんが?」
真「声が大きい」ボソッ
春香「あ、ごめん」
春香「でも、おかしいって何が?」
真「あれ見ても分からないの?」
千早「……ふふふ」カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
春香「……まぁ、最近色々とあったし」
真「そうじゃなくて」
春香「?」
真「さっきの千早が書いてた紙の内容がさ」
春香「うん」
真「765プロのアイドルの名簿になってたんだ」
春香「うん。それで?」
真「貴音さん、あずささん、響、美希、それに律子」
真「この5人のところには斜線が入ってた」
春香「律子さんって今もアイドル扱いなんだ」
真「そうじゃなくて!」
春香「?」
真「鈍いなぁ春香は!まだ気付かないの?」
春香「……あ」
真「みんな倒れた人の名前なんだよ」
春香「……」
真「それで、今何を書いてるか分かる?」
春香「……」
真「小鳥さんのところに、何度も何度も斜線を引いてる」
春香「……!」ゾクッ
千早「まだかしら、まだかしら」カリカリカリカリカリカリカリ
小鳥「ただいまもどりました……」
千早「!!!」
真「お、おかえりなさい」
春香「……小鳥さん」
小鳥「……雨がすごいわね!ビシャビシャになっちゃった」
春香「どうでした?病院の方は」
小鳥「うん、幸い、みんな快方に向かってるみたい。社長なんてもうピンピン!」
春香「そうですか」
千早「……」ブツブツ
真「……?」
千早「……た……た」ブツブツ
真(何言ってるんだ?)
千早「やっときたやっときたやっときた」ブツブツ
真「!!」
千早「……」
小鳥「どうしたの千早ちゃん」
千早「あの、小鳥さん」
小鳥「はい」
千早「プロデューサーさんから、大事な話を預かっているんです」
小鳥「プロデューサーさんから?」
千早「ええ、とてもとても大事な話なので、出来れば二人きりで」
千早「いや、絶対二人きりでお話を」
小鳥「ええ、じゃあ社長室に」
千早「ありがとうございます」
千早「ずっと待っていたんです。小鳥さんを」
小鳥「あら、待たせちゃってごめんね千早ちゃん」
千早「そんな礼はいらないですから、早く」ニタニタ
真「……」
春香「……」
小鳥「じゃあこっちに」
千早「……」コクリ
千早「春香、真」
春香「……」
真「!!」
千早「絶対に、何があっても、私のことは気にしないで」
千早「中も覗かないで」
春香「うん」
真「わ、わかったよ……」
千早「それでよろしい」ニヤリ
春香「……」
真「……」
真「ねぇ、春香」
春香「うん」
真「もう2時間も経ったよ」
春香「結構、長い話なのかも……」
真「でも、いくらなんでも長いよ」
真「こんなに長い話なら、プロデューサーから直接言うのが普通じゃない?」
春香「そう言われれば……」
真「ちょっと見てくる」
春香「でも千早ちゃんは見るなって」
真「隙間から覗くだけだよ」
春香「やめなって真!」
真「春香はそこにいてよ。僕だけで見てくる」
春香「……」
真(絶対なにかあるはずなんだ……絶対……!!)
真「……」ガチャッ
真「……」ソー
真(だれも……居ない?)
真(この角度じゃよく見えないや。もうちょっと低く……)
真(ん?アレは……)
真「小鳥さん……?」
真(横たわってるみたいだけど……もしかしたら!)
千早「真」
真「ひっ!」
千早「見るなっていったでしょおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
真「うわあああああああああ!!!」
春香「どうしたの!?」
真「は、春香!!ドアおさえて!」
春香「ええ!?」
真「いいから早く!!」
千早「開けろおおおおおおおおおおお!!開けろ開けろ開けろ!!!!!」ガチャガチャガチャガチャガチャ
5分後
真「はぁっ……はぁっ……」
春香「治まった……?」
真「ひっ……ひぅぅ……」
春香「ちょっと……急に泣きだしてどうしたの……?」
真「中で……社長室の中で小鳥さんが……」
春香「!!」
真「下の隙間から……中……の、覗いてたら……」
真「いきなり、いきなり……ふぅぅっ……」ブルブル
春香「……」
真「隙間越しに、ち、千早と、目が合って……」
真「に、人間の、人間の目じゃなかった……」
春香「?」
真「あんなの、人間の目じゃない……」
春香「あ!救急車!救急車呼ばないと!!」
千早「春香、真」
春香「!!」
真「ひぃっ!!」
千早「取り乱してごめんなさい。ちょっと音無さんと悪ふざけをしてただけなの」
真「え?」
千早「私と音無さんで、二人にドッキリを仕掛けようと思って」
千早「ふふふ……ごめんなさい。ビックリさせすぎちゃったわね」
真「……」
千早「だからお願い。救急車は呼ばないで。おおごとになるわ」
千早「絶対に救急車だけは呼ばないで、それにこのドアを開けて?」
千早「お願いだから、早くドアを開けて?ね?ね?」カリカリカリカリカリカリ
真「で……でも」
春香「ち、千早ちゃん……」
千早「なぁに?春香。早く開けて?お願い」ガチャガチャガチャガチャ
春香「ご、ごめん。千早ちゃん……」
千早「謝罪なんていらないわ。このドアを開けて、私の歌を聴いてくれるだけでいいの」ドンドンドンドンドン
春香「いや、そうじゃなくて……」
真「春香……?」
春香「救急車、……もう呼んじゃった……」
真「!!」
千早「」ピタッ
春香「ご、ごめんね千早ちゃん。今電話して」
千早「ふざけんじゃないわよおおおおおおおおおおおおお!!!!!」ドゴンドゴンドゴンドゴン
真「うわっ!」
春香「!!」ビクッ
千早「私の言うことは聞かないうえに私の歌まで聴かないつもりなの!!!あああっ!!!」
真「もう……ダメだ……!!抑えてられない!!」
春香「千早ちゃん!!」
バタンッ!!
プルルル プルルル
P「ん……?なんだ……?電話?」
P「!!」
P「病院からだ!!」
P「もしもし!!」
P「……」
P「……!!」
P「そんな……そんな……」
ゴトッ
ツー ツー ツー
病院
P「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」
P「春香!真!小鳥さん!」
医者「ちょっと落ち着いてください!他に患者さんも居るんですよ」
P「容体は!?」
医者「大丈夫です、3人とも無事ですから!!」
P「!!」
P「良かった……」
医者「それとですね、一つ気になることが……」
P「気になること、ですか」
医者「ええ、実はもう一人病院に搬送されたんですが……」
千早「プロデューサー」
P「千早……!!」
医者「彼女だけは、救急隊員が到着したときに意識があったんです」
P「……」
医者「手には酷い打撲を負っていました。小指も骨折しています」
P「……」
医者「彼女の話によると、3人が急に倒れ、混乱した拍子に暴れてしまったということですが……」
P「嘘だ」
医者「……はい?」
P「千早、ちょっとこっちに来い」
千早「なんですかプロデューサー。私は今疲れているんです」ニタニタ
P「ふざけるなよ!ああ!?」ドン
千早「キャッ」
医者「何をするんですか!」
P「こいつが元凶だ!間違いない!!」
P「お前が!お前が皆を!!」
千早「ヒッ」
医者「彼を取り押さえろ!」
看護師「はい!」
医者「鎮静剤も持ってくるんだ!!」
P「千早っ!千早ぁぁ!!」
看護師「先生、準備出来ました」
医者「よし、やれ」
P「千早!ち……ちはや……お前は……」ガクリ
千早「……」
医者「彼を運べ!全く、どうなってるんだ……」
看護師「千早ちゃん、大丈夫?」
千早「ええ、私は大丈夫です」
医者「どこか悪いところは?」
千早「大丈夫です。私は、まだまだやらなければならないことがありますから」ニタァ
2時間後 病院
雪歩「真ちゃん……真ちゃん……!」
雪歩(嘘だよね……?真ちゃんが倒れたなんて、嘘だよね……)
雪歩「真ちゃんの病室……ここだ!」
雪歩「真ちゃん!」バンッ
千早「……」
雪歩「ち、千早ちゃん……?」
千早「待ってたわ……萩原さん」
雪歩「ち、千早ちゃん、その怪我、どうしたの……?」
千早「萩原さん……ひどいわ」
雪歩「え?」
千早「ひんそーでちんちくりんとか言いながら、バストはちゃっかり80を超えてしまって……」
千早「バカにしてるわねええバカにしてるわそうよ」
雪歩「こ、怖いよ千早ちゃん」
千早「私って、実はすごく優しいのよ」
雪歩「……」
千早「真、今はこうして眠っているけど、そのうち死んでしまうわ」
雪歩「何言ってるの!?千早ちゃん!」
千早「萩原さんも、同じところへ送ってあげる」
雪歩「冗談でもそういうことは言わないでよ!」
千早「スゥー……」
雪歩「真ちゃんから離れて!!」
千早「ヘェイ~ヤレ~ラタティ~イヤ!」
雪歩「うっ」バタリ
雪歩(ま、真ちゃん……)
千早「あらいやだわ。まだ意識がある」
雪歩「真……ちゃん……!」
千早「ヘェイ~ヤレ~ラタティ~イヤ!」クワッ
P「う……うう」
亜美「あ!兄ちゃんが目を覚ました」
真美「兄ちゃん!真美だよ!分かる?」
P「あ、ああ……分かるよ」
やよい「プロデューサー。大丈夫ですかぁ?」
伊織「全く、プロデューサーのあんたが取り乱してどうするのよ」
P「やよい、伊織……?」
P「はっ!皆は!他の皆は!?」
伊織「安心しなさい。皆病院に居るわ」
P「皆……」
P(社長、貴音、律子、響、美希、真、春香。それとここにいる皆……)
P「雪歩は!?」
伊織「だから居るじゃない。隣に」
P「!!」
P(畜生!雪歩まで!!)
P「残ったのは見事にロリ属性……」
伊織「なによロリ属性って」
やよい「伊織ちゃん、ロリ属性ってなに?」
亜美「んっふっふー。やよいっちはそんなことも知らないのかい?」
真美「ある意味絶大な支持を受けてる属性なんだぜぇ?」
伊織「あんたたち余計なこと吹き込まないで」
P(千早が皆を順番に襲っているとしたら……)
P「多分、お前たちは優先順位が低かったんだろうなぁ」
真美「優先順位?」
P「ああ」
P「……」
P「お前たち、驚かないで聞いてくれよ」
一同「?」
P「千早が、巨乳狩りを始めた」
伊織「……かわいそう。未だ鎮静剤が効いてるのね」
P「まぁ落ち着いて聞いてくれ」
P「多分、今夜あたり、千早がみんなにとどめを刺しに来ると思う」
P「だから、お前たちは千早から逃げろ」
亜美「兄ちゃん何言ってるの?」
真美「ちょっと訳が分かんないかな」
やよい「プロデューサー、嫌なことがあったらちゃんと皆に言ってください」
P「いや、だから俺はまじめだって」
伊織「さ、バカの安否も確認したし、みんな帰りましょ」
P「あ、ちょっと待て!」
真美「真美、もうちょっとその話し聞きたいかな」
亜美「亜美も」
伊織「あんたたちも何言ってるのよ」
亜美「だって面白そうじゃん!」
伊織「……いいわ。やよい。帰りましょ」
やよい「私も、もうちょっとプロデューサーに付き添おうかな―っと」
伊織「やよいまで……なんなのよ一体!」
伊織「もういいわ!あんたたちに付き合ってられない。先に帰るわ」
P「伊織!千早にだけは気をつけろ!」
伊織「はいはい。それじゃあお疲れ様」
P「……」
真美「で、巨乳狩りの鬼と化した千早お姉ちゃんをどうするの?」
P「さて……どうしようか」
亜美「てか亜美たちも千早お姉ちゃんより胸大きくね?」
P「そうなんだよ……救いがないな」
P「やよいは……どうなんだ?」
やよい「何がですか?」
P「バスト」
やよい「えっ!たた確かこの前の身体測定で74だったような」
P「やよいもアウトか……」
P「よし、亜美、真美、ちょっと紙に書いたものを用意して来てくれ」
亜美「うん、オッケー」
真美「そんじゃいきますか」
P「やよい」
やよい「ふぇ!?なんですか?」
P「やよいにはそばにいてほしい」
やよい「いいですけど……」
P「やよいには最終兵器になってもらう……かもしれん」
亜美「あー!亜美も最終兵器やりたい!」
真美「真美もー!」
P「お前らは早く準備しろ!時間がない」
P(とりあえず作戦は考えた……だが心配なのは伊織だ)
P(帰すべきじゃなかったか……)
P「しまったな……無事でいてくれたらいいんだが」
伊織「全く……何なのよ」
伊織(人がせっかく心配して駆け付けてやったっていうのに)
伊織「千早がどうとか……馬鹿馬鹿しいわ」
千早「呼んだかしら」
伊織「!!」ビクッ
伊織「なによ。そばにいるなら言いなさいよ」
千早「ごめんなさい。急いでたから」
伊織「あんた、その手は大丈夫なの?」
千早「ええ。もう気にしなくていいわ」
千早「これから皆の様子を見に病院に行こうと思ってたのよ」
伊織「ならちょうどいいわ。多分皆病院にいるはずよ」
千早「……」ニタァ
千早「本当に、ちょうどいいわ」
伊織「早くいきなさい。皆が帰る前に」
千早「ええ。そうするわ。でもその前に……ね」
P「道具は揃った……」
やよい「なんか、病室の外が騒がしいですねぇ」
P「そうだな……」
P(嫌な予感がする……)
看護師「あの!すみません!」
P「あ、はい」
看護師「水瀬伊織さんのお知り合いでしたよね?先ほど面会に来ていた」
P「ええ」
看護師「今、急患で運ばれてきたんです!何か持病を持ってたりしませんか」
P「そんな!伊織が!」
やよい「伊織ちゃん!?」
P(畜生!やっぱり伊織まで……!!)
30分後
千早「皆の病室は……」
P「千早」
千早「あ、プロデューサー。居たんですか」
P「来ると思ってたよ」
千早「あたりまえじゃないですか。私には使命があるんです」
P「何が使命だコラ。あんまり調子乗ってると……」
千早「どうなるって言うんです?私を殺すとでも?」
P「いや、お前には手を出さない。殺されたら困るからな」
千早「じゃあ、そこをどいてください。今なら見逃してあげます」
P「それも出来ない」
千早「はぁ!?」
P「お前は放っておいたら皆を殺して回るだろう」
P「そのうち、他の巨乳達も殺して回るようになるはずだ」
千早「あたりまえじゃないですか。私より巨乳は皆殺しです」
P「俺はそれを止めなきゃならないんだ」
千早「どうするっていうんです。私に手出しも出来ない癖に」
P「ああ。お前には手出しはしないが……」スッ
千早「ナイフですか。でも私の歌にそんなもの……」
P「いや、これで刺すのは千早じゃない」
P「やよいだ」
千早「!?」
やよい「……プロデューサー。千早さん……」
千早「高槻さんに手を出すというの?」
P「ああ。お前が皆を殺すことをやめなければ、俺はやよいを殺す」
千早「ダメよ!そんなこと!」
P「残念ながら俺は臆病でなぁ……多少卑怯だがやらせてもらう」
やよい「う……うう……死にたくない……です」
千早「高槻さんからそのナイフを離しなさい!」
P「ならお前も誓え!皆殺しはやめろ!」
千早「……」ギリギリ
P「……」
やよい「……」
千早「……」スッ
P「……」
やよい「……」
千早「スゥー」
P「!!」
やよい「も、もやし(裏声)」
千早「……」
千早「ブッフォオ!!」
P「……!」
千早「アヒャヒャヒャハヒャヒャヒャ!!!」
P(今ならいけるか!?)
千早「ゲラゲラゲラゲラゲラ………」
千早「なーんちゃって」
P「!?」
千早「そんなネタで私が笑うと思ってるんですか?」
やよい「ちはやさん……」
千早「プロデューサーなんかに高槻さんを殺させはしない」
千早「だって、高槻さんは私が最後に、じっくり痛めつけて殺すもの」
やよい「どうして……!!」
千早「てめぇが裏切ったからだろうがぁ!!!!!!」
やよい「ひっ」
千早「去年まで同じバストサイズでずっと盟友だと思ってたのによおおおおおお!!!!」
千早「ひとりだけ抜け駆けしてんじゃねえよこのもやしっこが!!」
千早「あんただけは殺す。絶対に絶対に痛めつけて散々苦しめてから殺す」
P「……」
P「なあ、千早」
千早「すぅー」
P「取引しないか」
千早「……」
P「これ、何だと思う?」スッ
千早「ヘェイ~ヤレ~ラt」
P「これ、スィオノギ製薬が開発した巨乳に出来る薬なんだけど」
千早「」ピタッ
P「いる?」
千早「はっ!そんな下手な嘘、いまどき小学生だってだまされまs」
P「パクッ」ゴクン
千早「なに勝手に飲んでんだよてめぇぇぇぇええええ!!!」
P「いらないんじゃねぇの?」
千早「誰がいらないっつたよおおおおお!!!!」
P「なんだただのツンデレかよ」
千早「はっ!」
千早「まったく。こんなくだらない茶番に付き合わされて」
千早「時間の無駄です。さ、大人しく死んじゃってください」
P「それは出来んな」
千早「本当に聞き分けのない人です……ねって。え?」
P「お?」
やよい「プロデューサー!胸が」
P「いてて、いきなり膨らんできた」
千早「!!」
P「あーこれが巨乳の悩みか。こりゃあ肩がこって仕方ないわー」
千早「あ……ああ……」
P「ところでさ。さっきの薬もう一個あるんだよね」
千早「よこせ!!」
P「いいのかよ。お前の大嫌いな巨乳になる薬だぞ」
千早「いや、巨乳は殺したいけど巨乳にはなりたいじゃん?」
P「ものの頼み方ってものがあるだろう」
千早「私めにその巨乳薬を譲ってはいただけないでしょうか?」
P「従順だな。犬かお前は」
千早「はい。私めは犬でございます。どうかこの哀れな犬にお恵みを」
P「そこまで言うなら仕方ない」
P「ほら」ポイ
千早「は?」
P「足元に置いてあるから、舐めろ。犬のように口で拾え」
千早「ふざけんなよ畜生が!!!てめえもあとで八つ裂きにしt」
P「薬踏みつぶすぞコラ」
千早「畜生……畜生……」
千早「薬さえ手に入れたらてめえなんか……」
P「はよ」
千早「……」
千早「……」ヒタヒタ
P「いいねぇ。その四つん這い。セクシーだわ」
千早「……」ギリギリギリ
P「おっとストップ」
千早「!?」
P「そこで三回廻ってワンと鳴け」
千早「くっ」
クルクルクル
千早「ワン!」
P「よし、ご褒美だ、舐めとっていいぞ」
千早「……フヒュッ」
P「ついでにこいつはオマケだっ!!」ケシッ
千早「ごほっ!!」
やよい(うわぁ……蹴りが顔面にヒットしてますぅ……)
ピクッピクッ
P「すまんな、千早」
千早「」
P「もうお前は手遅れなんだ。救いようがない」
千早「」
P「最後に、お前の素直な歌声が聴きたかったよ」
千早「」カッ
千早「ヘェイ~ヤレ~ラタティ~イ……」
P「死んでくれ」ザクッ
千早「!!」ゴボッ
P「……どうだ、千早。苦しいか」
千早「プロ……デューサー……」
P「本当にすまない……」
千早「私……どうしてこうなっちゃったんだろう……ねぇ……優……」
千早「まっててね。こんなお姉ちゃんだけど、今そばに行ってあげるね……」
監督「はいカットォ!!」
スタッフ「オッケーでーす!!」
P「千早、よかったぞ」
春香「千早ちゃんすごい迫真の演技だったね!」
千早「そう言われるとてれるわね……」
P役「いやぁ、千早ちゃんほんと演技はだねぇ」
千早「そんな……」
P「それにしてもこの小道具すごいな。本当に刺さってるみたいだ」
千早「ええ。けっこう衝撃来ましたよ」
P役「まぁ、僕も本気でしたし」
高木「うんうん。765プロ総出演映画第三弾も、無事に撮影終了したわけだね」
監督「いやあ、高木社長、これだけ演技派の娘がそろってていいですねぇ」
高木「なんてったって、私がティンときたアイドルたちだからね」
監督「また次もよろしくお願いしますよ!」
P「お疲れ様、千早」
真「千早の演技、本当にすごかったよ!」
雪歩「迫力が違いましたぁ」
伊織「なんで私があんな端役なのよ!」
律子「伊織はまだいい方じゃない。私なんてあっという間に退場しちゃったわ」
響「それを言うなら自分も」
美希「美希なんか響の巻き添えで殺されちゃったんだからね」
あずさ「あらあら~。でも千早ちゃん、カルシウムは本当に大事よ?」
貴音「牛乳らぁめん……面妖な」
亜美「お姫チンは少しラーメンから離れようよ」
真美「そうだよ。本当に動脈硬化になっちゃうかもよ」
やよい「もやし(裏声)」
春香「それ気にいったの?」
千早「笑いこらえるの本当に大変だったんだから……ププッ」
千早「あは……あはははははあははははあははははははあっはあああああ!!」
病院
P「どうだ?千早の具合は」
春香「相変わらず、眠り続けてます」
P「そうか……」
春香「千早ちゃん……もう3年になるんですね」
P「ああ、交通事故で昏睡に陥ってから、ずっとこの様子だな……」
春香「……」
千早「ふふ……」
春香「千早ちゃん……笑ってる……」
P「本当だ」
春香「毎年、この時期になると笑うんですよ、千早ちゃん」
P「そうなのか」
春香「きっと、いい夢見てるはずですよ。毎年毎年、新しい夢を……」
終わり
お付き合いいただいてありがとうございました
おやすみなさい
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