奉太郎「貸出プレイ・・・・・・だと・・・・・?」(149)

志「どうだい?奉太郎?」

奉太郎「どうもこうも…お前がなぜそんなことを言うのか、俺にはさっぱり理解できないんだが」

里志「ふうん。まあ普通の人なら嫌悪感を抱くかもしれない」

奉太郎「現に俺もそうだ」

里志「そうかな?僕は奉太郎ならわかってくれると思うんだけどな」



里志「自分の女が他の男に抱かれる、この快感にさ」

奉太郎「っ!!この俗物がっ!」

里志「まあまあ、落ち着けよ奉太郎」

里志「君は最近、千反田さんとどうだい?」

奉太郎「どうって…。いたって普通に交際させてもらっているが」

里志「果たして、本当にそうかなあ」

奉太郎「どういう意味だ」

里志「千反田さんに聞いたよ。君達最近、してないんだろ?」

奉太郎「!!なにをっ」

里志「正確に言えば、できなくなった…かな?君のEDが原因で」

奉太郎「……っ」

里志「君の愚息は千反田さんの裸体を見ても反応しなくなった。そこには奉太郎のコンプレックスが根底にあると踏んでいるんだが、違うかい?」

奉太郎「…言ってみろ」

里志「簡単さ。きみは千反田さんと自分が釣り合わないんじゃないかと思っている」

奉太郎「うるさいっ!」グイッ

里志「……本当の事だろ?奉太郎。離してくれよ」

奉太郎「チッ」

里志「なにも君を責めてるわけじゃないんだ。君達二人のお手伝いになればな、ってね」

奉太郎「…」

里志「さっきの話に戻るよ。君は千反田さんに気後れしている」

里志「省エネ主義な君の事だ。どうせ消極的、非活動的な自分は、快活な千反田さんを満足させられないだろう、とでも考えてんじゃないかな」

里志「それが千反田さんとのセックスに反映した」

奉太郎「……」

里志「満足させられないかもしれないというプレッシャーが、君を不能にしたんだ」

奉太郎「…だからどうしたっていうだ」

里志「千反田さんが摩耶花に相談していてね。自分は奉太郎に嫌われてしまったんじゃないか、ってさ」

奉太郎「そんなことはない!」

里志「そんなはずないよね。君は千反田さんにゾッコンだもの。その辺は僕もよく分かってるさ」

里志「でもね、奉太郎。女の子にとって、彼氏が自分とのセックスで勃たないっていうのはね、それはそれはショックな事なんだ」

里志「それはイコール、自分に魅力がないってことなんだからね」

奉太郎「……」

里志「わかってる。千反田さんはなにも悪くない。悪いのは奉太郎、君だ」

里志「そこで僕がお手伝いしてあげようと思ってさ」

奉太郎「それとさっきの話がつながる訳か?さっぱり意図がわからん」

里志「あれ?もう気付いてるんじゃないかな」

里志「奉太郎、君は千反田さんが自分以外の男と寝たとしたら、どう感じる?」

奉太郎「凄まじい嫌悪感で、胸が張り裂けそうになる」

里志「それだけかい?」

奉太郎「……?」

里志「興 奮 す る ん じ ゃ な い か?」

奉太郎「そ、そんなわけあるかっ!!!!!」

里志「おやおや、奉太郎。省エネ主義の君らしくない。声を荒げるなんてね」

奉太郎「お、お前が変なことをいうからだ!」

里志「なにも不思議なことじゃないよ奉太郎。男というのはね、自分の女が奪われそうになる時にはある本能が働くのさ」

奉太郎「……」



里志「すばり、子孫を残そうとする強い意志だ。性欲ともよばれるね。興奮はそれに不随するに過ぎない」

奉太郎「狂ってる」

里志「君は相手の男を殺したいと思うよね?それと同時に、女に対してはもう二度と離すものか、とも思うよね」

里志「それら二つの感情はね、根本的には同じなんだよ」

奉太郎「おい」

里志「子孫を残す。実に単純な欲望さ」

奉太郎「おい」

里志「興奮。激情。焦燥感、これらのリビドーはさ、性欲に起因するんだ」

里志「女が奪われる。その事実は時にね、最高の抗癌剤さ。とりわけ君にとってはね」

脱いでいいのか?

奉太郎「どういうことだ」

里志「はやる焦燥感。深い絶望。それとは別に自らの中に渦巻く激情。これに気付いた時、君の問題はすでに解決している」

奉太郎「…もったいぶるんじゃねえっ!」

里志「気付いてないのかい?君の愚息は…」

里志「もうすでに勃っているじゃないか」

奉太郎「な、なにを馬鹿なっ」

里志「確認するのが怖いのかい。まあそれでもいいさ。まあ僕には」

里志「君の股間の膨らみが偽りだとはおもわないけれどね」

奉太郎「………っ!!」

>>12当然エロはある

里志「千反田さんとのセックスでは勃たないのに、彼女が抱かれる想像をしたら勃つなんてね。やっぱり君も、変態だ」

奉太郎「う、嘘だっ!!これは何かの間違いだっ!」

里志「僕はね、決して千反田さんとセックスしたいわけじゃない。あくまでも、君達のためなんだ。もう一度言うよ奉太郎」


里志「千反田さんを抱かせてくれないか」

奉太郎「断るっ!!」

里志「……ここまで言ってもわからないのかい?」

奉太郎「お前が言っていることは無茶苦茶だ!だいたい、お前が俺の立場だったら了承するのか?たとえば伊原を……」

里志「愚問だね。了承するに決まってるよ」

奉太郎「っ!?馬鹿な!?」

里志「こんなに興奮するシチュエーションはないよ。自分の親友に自分の女を抱かれる?最高じゃないか!なんだったらこっちからお願いしたいくらいだよ」

奉太郎「お、お前」

里志「それにさ、僕が既にやっている…とは思わないのかい?」

奉太郎「……なんだと」

里志「遠垣内先輩。羽場先輩。尾道先生に山内」

奉太郎(…?)

里志「僕が摩耶花を抱かせた相手だよ」

奉太郎「ば、馬鹿かっ!!お前は……自分に惚れてる女になんてことをっ!!!」

里志「遠垣内先輩と羽場先輩で3Pさせたこともあったっけな。宿泊研修では山内に一晩貸し出し。尾道先生には温泉旅行に連れて行かせ、僕のいないのところで一日中抱いてもらった」

奉太郎「い、伊原は……あいつはどう思ってるんだ」

里志「最初はいい気はしてないみたいだったね。僕の言うことをよく聞いてくれたものさ。でも今は病みつきだね。この頃は自分から身体を差し出してるよ。もちろん、行為の際は撮影をお願いしているけれど」

奉太郎「お前はっ…なんともおもわないのか…」

里志「さっきも言ったろう?僕は寝取られることへの快感に病みつきさ」

里志「だからこそ言える。君はこちら側にくる素質がある。そして」

里志「これだけが君を、不能から救い出す方法さ」

奉太郎「……」

里志「まあ、騙されたと思って。僕に全てを預けてみてよ」

奉太郎「里志」

里志「いい返事…期待してるよ」

奉太郎(…あいつの言うことは本当だ)

奉太郎(えるが他人に抱かれる。想像しただけで興奮してしまう)

奉太郎(……なんて男だ俺は。自分の女の痴態で勃ってしまうとは……)

奉太郎「なあ、える」

える「なんでしょう奉太郎さん」

奉太郎「俺のこと……好きか?」

える「な、なにを言っているんですか///いまさらですっ」

奉太郎「答えてくれ」

える「……好きですよ///決まってるじゃないですか」

奉太郎「ああ、俺も好きだ」

奉太郎「愛している」ギュッ

える「わっ、わ、わ私もです///」キュー

える「どうしたんですか奉太郎さん///今日は変ですよ?」

奉太郎「いや、お前が可愛くてな」

える「…もうっ…」ポスッ


奉太郎(える…俺は…お前に…最低な事をさせるかもしれない)

里志「やあ、奉太郎」


奉太郎「……」


里志「その様子だと…答えは決まったみたいだね」

奉太郎「ああ」

里志「聞かせてもらおうか」

奉太郎「……




えるを頼む」

里志「請け負うよ」ニヤッ

里志「ところで、千反田さんには了解はとってあるのかい?流石に嫌がる相手を無理やりにするのは主義に反するんだ」

奉太郎「ああ、えるには了解をもらった」

里志「どんな顔してたんだい?彼女」

奉太郎「信じられないって風だったな。普段からでかい瞳がより見開いていたよ」

里志「よく了承してもらえたね」

奉太郎「おれの不能を治すためだと言ったら、快くオッケーしてもらえたよ」

奉太郎「正直、罪悪感が凄まじいがな」

里志「はは、今に病みつきになるさ」

里志「それにね、いわゆる貸し出しプレイ、スワッピングといったものを経験すると、マンネリを解消するカップルも多いんだ」

奉太郎「俺とえるもそうなれたらいいな」

里志「なるのさ。保証するよ」

里志「それじゃあ日程は追って連絡するよ」

奉太郎「える…本当にいいのか?」

える「何を言うんですか。私、奉太郎さんのためなら、どんな事だってできます」

奉太郎「……すまない、俺は」

える「気にしちゃだめです。私、奉太郎さんがどういう思いでこの決断をしたか、手に取るようにわかります」

える「私をもう一度、抱く為ですよね。満足させるためですよね」

える「奉太郎さん。私は嬉しいんですよ?」

奉太郎「える……俺は、自分がわからないっ!」

奉太郎「お前が他の男の腕で果てる、想像しただけで、苦しい、激しい動悸がするんだ!」

奉太郎「でもな、今の俺は、そうする事でしか勃てないんだよ!勃起しないんだ!」

奉太郎「最低な男だよ……」

える「っ!」パンッ

奉太郎「っ……え、える?」ヒリヒリ

える「貴方がそういう姿勢でどうするんですか」

える「私だって嫌です。奉太郎さん以外の男の人に抱かれるなんて」

える「それでも、貴方の為だからするんです」

える「貴方はどっしり構えていればいいんですよ。そうでないと、私が了承した意味がありません」

える「長い目で見ましょう。たった一度、私が身を切るだけで、問題は解決するんです」

奉太郎「える…お前」

える「それに私、これが終わった時、奉太郎さんがどう回復するのか、真に気になります」ニコッ

える「いい夢を見れるようになると良いですね」

奉太郎「えるうううううう!!」

える「よしよし」ナデナデ

里志「概要を説明するよ」

奉太郎「ああ」

里志「まず、ホテルを二部屋予約する。両隣になるようにね。片方は僕と千反田さんの、もう片方は君が入るんだ」

奉太郎「俺も部屋に入るのか」

里志「その方が興奮するのさ。隣の部屋で情事が行われているという状況にね」

奉太郎「そういうものか」

里志「それできみにはある機械を渡す」

奉太郎「なんだ?」

里志「無線機みたいなものさ。君に渡した子機から、僕と千反田さんの部屋に設置する本機に電話がかけられるようになっている。ちなみに僕がとらずとも、自動で受信するんだ。僕たちの部屋で何が行われているか、聞きたくなったらかけるといい」

奉太郎「…一体なぜこんなものを」

里志「当日になったらわかるよ。ただし、一回の電話で通じる時間は三分に設定してある」

奉太郎「制限時間をつけるのか?」

里志「うん。といっても、かけたければ何回かけてもいいからね」

奉太郎「……」

里志「先に聞いて置きたいんだけど、行為に関して、これだけは守って欲しいってのはあるかな」

奉太郎「……そうだな。ゴムを付けてくれればそれでいい」

里志「本当にそれだけ?」

奉太郎「何が言いたい」

里志「普通なら、キスは辞めてくれとか、アナルプレイは駄目だとか、いろいろあるんだけどね」

奉太郎「…さすがにアナルは…」

里志「ふふ。了解。どうせ開発してないんだろ?」

奉太郎「余計なお世話だ。そんなこと、えるにはさせられない」

里志「大事にしてるね」

里志「それとホテルのお金は僕が払うよ」

奉太郎「いいのか?」

里志「これぐらいさせてもらわないとね。君達ばかりに身を切らせるわけにもいかない」

奉太郎「わかった。よろしく頼む」

里志「お安い御用さ」

当日

える「奉太郎さん、時間までまだあるので、少し散歩しませんか?」

奉太郎「ああ、いいぞ」

える「…」テクテク

奉太郎「…」テクテク

える「奉太郎さん。覚えていますか?私達が付き合い始めたころ」

奉太郎「忘れるわけないさ。お前が俺に「氷菓」の件で相談してくれた、あの喫茶店だったな。俺たちの馴れ初めは」

える「ふふ、あの時私、上がっちゃって……告白なんて初めてだったから」

奉太郎「俺から告白しようと思ったのに、先を越されるとはな」

える「恋は先手必勝ですよ」

奉太郎「尻に敷かれないようにしないとな」

える「奉太郎さん。これが終わったら……旅行に行きませんか」

奉太郎「いいな。二人で?」

える「ええ。前に行った、温泉旅館へ」

奉太郎「ああ、行こう」

える「約束ですよ」

1.

奉太郎「…」

える「…」

里志「そう硬くならずにね」

俺、える、里志はホテルの一室に居る。俺の部屋として予約した部屋だ
えるはシャワーを浴びて、バスタオルを身に包んでいる。俺と里志二人の前で、素肌をさらしていた。
艶めかしい、綺麗な柔肌。
髪はいつも俺とする時のように、後ろで纏めていた。露出したうなじが、男を狂わせる色香を醸し出す。幾度となく、この首筋に舌を這わせてきた事を思い起こす。
タオルに隠れて見えないが、普段のえるからは想像も出来ない大きさの乳房が伺えた。意外に着痩せするタイプなのだとわかったのは、始めて体を重ねた時だ。
ギリギリ手に収まるほどの大きさ。あの制服の何処にこんな物を隠し持っていたのかと疑いたくなる。どんな男よりも先にその頂きを手に収めた時は、感動で手が震えたほどだ。
そして、自己主張してやまない下半身。ふくよかとまではいかないが、十分張りのある太腿。肉感があり、突けばそれだけ帰ってくる弾力があるのだ。
手を這わせたい。舐め回したい。孕ませたい。様様な衝動に駆られる

しかし、里志には、これからえるの全てを見せることになるのだ。況や、彼女の肌にも触れさせることになる。俺だけが知っているえる 。もう、えるの裸は、俺だけのものではなくなってしまうのだろう。

里志「それじゃあ奉太郎、いってくるよ。手はず通りにね。行こうか、千反田さん」

える「ええ……あの、奉太郎さん」

奉太郎「……どうした?える」

える「あの……キスしてもらえませんか」

奉太郎「ああ」スッ

える「…んっ、ちゅっ、はぁ……ん…」

奉太郎「んっ、…これで……いいだろうか……」

える「はい。有難うございます。あの…」

里志「千反田さん。そろそろ」

える「あ……すいません福部さん」

える「奉太郎さん……私……頑張りますから」

奉太郎「あ……待っ」

ガチャ……バタン

最後にえるの見せた儚げな表情が、俺の心をどうしようもなく揺さぶった。

太郎(これから…えるが…里志に抱かれる……)

奉太郎(……なんてことをしてしまったんだ俺は……こんなときになって後悔するなんて)

しかし、こう思いながらも俺は、自分の陰茎が抑えきれぬ興奮のあまり勃起している事に気付いていた。

奉太郎「…」

手には里志から渡された無線機。あの二人の部屋に繋がるらしい。今になって思えば、音声だけでよかったのかもしれない。映像まで見せられたら発狂してしまうだろう。

周りを見渡す。テレビ、テーブル。申し訳程度置いてあるランプ。普通の部屋の一室だ。おそらく同じ光景のなか、あの二人はセックスに勤しむのだろう。

頭がぼうっとする。こうした状況ならなければ感じられない。無気力感、焦燥感。

二人がでていってまだ五分と経たず、俺は無線機の通話ボタンを押した。湧き上がる様々な感情に蓋をしめて。

える「ん、ちゅ、はむっ……はぁ…」

える「里……んっ…はぁ、ちゅ」

既に行為は始まっていた。えるの声が聞こえた瞬間。俺は胸が締め付けられるのを感じた。

奉太郎「……ああ……えるぅっ」

もう取り返しがつかない。既にえるは、里志の腕に抱かれている。

える「はぁっ!だっ…んんっ、ちゅっ、やっ」

えるが強く嬌声を上げる。キス以外の事をされているということを、俺はようやく理解した。

える「あっ、だっ…んんっっ!ちゅっ、はぁ…ん…」

えるがの声が、時折り何かで塞がれたようにくぐもる。甘い吐息が途切れ途切れに漏れて聴こえる。
俺と寝るとき、果たしてえるはこんなに早く感じ始めていただろうか……深く考えれば、二度と這い上がれない絶望の谷へ落とされるような気がする。

里志「んっ…ちゅっ、ぷはっ…綺麗だよ千反田さん」

える「ぁ…んっ」


里志の呼び掛けの後、えるは抑えきれずに出してしまったかのような吐息を吐いた。本格的に感じ始めている証拠だ。

える「ぁ………っ……あっ」

里志「ちゅっ、じゅっ……んっ」

える「っ………っあっ」

かすかに聞こえる水音。里志が何かを強く啜る音。えるの乳首を、里志のその口で含み、舌で転がしているのだ。

奉太郎「があああっっ!!えるぅぅ」

えるの乳首を吸っていいのは俺だけのはずだった。しかしすでにえるの乳首は、里志の唾液で濡れている。想像するだけでなんと最悪な光景なのだろう。

える「んっ………はぁ……ぁ…っ」ピチャピチャ

える「はぁっ……っ…ぉ…ああッ」

乳を揉まれ、形を変えられ、指で乳首を転がされる。里志は、えるの胸をまるで自分の物であるかのように扱っているのだろうか。舌先で乳首の周りをなぞり、えるの興奮を誘う。外堀を埋めつつ、頂きを円を描くように目指し、ついにはその中心を口に含む。

える「あ……っ……あんっ!!」

突然の口による乳首の抱擁に快楽を感じるえる。愛おしむように舌先で愛撫する里志。勿論、空いている腕は、余す事なく胸をもみしだく。悩ましい吐息が漏れ始める。

える「いやっ…も、あっ!もっと…やさしくッッ、うんあッ!!」

これらは音を判断材料にした俺の想像でしかない。しかし、想像するしかないのだ。実際にどういう愛撫をしているかは見てみない事にはわからない。

里志「今日はさ…こんなものを持ってきたんだ…喜んでくれるといいな。

える「えっ」

驚くえる。なんだ?一体なにを持ってきたんだ?

える「どうして……はぁ…はぁ…こんなものを?」

里志「僕は…が好きでね」

糞ったれ!!聞き取り辛いっ……

える「これ……」

ガチャ、ツーツー

奉太郎「・・・・・・!!お、おい」

制限時間がきてしまったらしい。最後までえるの言葉が聞き取れなかった。

奉太郎「なんなんだよ一体!なにを持ってきたんだ!!」ガタッ

思わず腰掛けていたベッドから立ち上がる。

糞ったれ!里志のやつ…一体えるに何をする気なのだ。

奉太郎「はぁ、はぁ・・・・・・」

どっと疲れが押し寄せる。こめかみに流れる汗を感じる。

奉太郎「こんなにエネルギーがいるものなのか」

こうしたプレイははじめてだが、ただ聞くだけの立ち位置ですら、これほどの気力の消費を伴う物だとは想像していなかった。

しかし俺はこの拷問のような時間が終わった事にほっとしていたらしい。胸のざわめきが、時間とともに幾分か和らいで行く。

奉太郎「こいつはたしかに、制限時間があってよかった。永遠と聞かせ続けられたら、おれは本当に壊れてしまう」

しかし、里志は一体何を持ってきたんだろう。気になる俺は、反射的に無線機のボタンを押そうとする。

奉太郎「いや…まて…」

もう一度えるの喘ぎ声を聞くのか俺は…耐えられるのか俺は。自分自身に問いかける。

奉太郎「ええい、悩んでも始まらん。どうせする事もない。えるにばかりこんな事させているんだ、俺は受け止めなければならない」

滴り落ちる汗。蝕んでいく焦燥感。苦しいのは俺だけではない。壁の向こうで身を切っている彼女を思い浮かべる。

果たして、俺はしばしの黙考の後、右手のボタンを押した。

える「んぐっ、んじゅっ…ん」

里志「ぷはっ、んぐっ」

える「んっ、んんっ。ごくっ。んっ」

なんだこれは。キス…のようだが…先程とは違い、動きがない。かわりに、喉を鳴らすような音が頻繁に聴こえる。恐らく、全てえるのものだ。

える「んぐっ、んんっ、や…んぐっ」

里志「んっ、ーーー」

唾でも飲ませているのだろうか。それにしては飲み込む音が大きすぎる気がする。

える「ぷはっ…はぁ…はあぁ。もうお腹いっぱいですよぉ…」

里志「まだ半分位残ってるよ。全部飲んでもらうからね。ほらっ、んぐっ」

そう言って里志は何かを飲み込む。


える「はぁっ…まだ飲ませるんですか、やっ…んんっんぐっ…んんっ」

える「がっ、んっ!げほっ!げほっ」

里志「ちゅっ、はぁ…気道に入っちゃったかな。ごめんね」

える「はぁ、はぁ……もういいでしょぅ……里志さん」

今里志といったか?いつから名前でよぶようになったんだ。里志に言われたのか?

える「やぁ…んっ……おなかたぷたぷですぅ……やぁ…っ」

里志「お腹触らせてご覧」サワサワ

える「……くすぐったい」

里志「ここに僕が流し込んだ……が入ってるんだね」ペロッ

える「ぁん……」

里志「かわいいよ」

える「そんなこといわないで……」



ガチャ ツーツー


奉太郎「ああああああああああああああああ!!」

甘い…雰囲気が甘すぎる。里志のペースにえるが完全に載せられていた。

膝が無意識に震えている。目眩がする。俺のえる……おれだけのえる…

ベッドに倒れる。天井を仰ぐ。不思議だ。ありもしない自分を錯覚する。ショーウィンドーの中をを羨ましそうに見ている自分・・・・・・

里志「ちゅ…ズズっ…じゅっ」

える「んふぅ…ふっ…んっ、んっ」ジュポッジュポッ

える「んっ…んむ…んあああっ!あむぅっ。んん」ビクビク

える「はぁ…はあぁ…あむっ…んっ、んっ」ジュッポジュッポ

里志「じゅるっ、ずずっっ、ぷはぁ」

気づくと、俺は無意識的にボタンを押していたらしい。無線機から淫靡な声が聞こえる。

大きな水音と、えるが何かに口を塞がれているような声が聴こえる。おそらく69だ。えるの秘部を里志が弄び、指を出し入れしながら口を押し付けているのだろう。
そしてえるも、里志のペニスをその小さな口に加えている。えるの口の粘膜が里志のそれと直に触れているということだ。
何回も何回も頭を上げ下げし、一生懸命に。俺はえるにフェラをさせた事は数回しかなかったから、なれないやり方で健気に奉仕しているのだろう。
じゅっぽ、ずっぽという音が時折聞こえる。

える「ぶっ、じゅっ、んんっ、んじゅ」ジュッジュルジュル

里志「じゅるるるるるる」ずずずずっっ

それにしても、ペースが早い。セックスを始めてからまだ十五分かそこらしかたっていないのに、もう下半身を攻めているのか?えるが痛がっているんじゃないかと心配になる。

える「んっ」ヌポンッ

える「はぁ……あああっ!!あはぁっ……」ピチャピチャ

里志「大分潤ってきたね。いい具合だよ」

える「あっ、あっ、あんっ」ビチャビチャ

水音が鳴る。わざと音を立てているのだろう。えるの膣内をその手で擦り、掻き回し、思い切り口で吸引する。身を震わせるえる。
もはや、里志の欲望を素直に受け容れ、その甘美に慣れ始めている。その証拠に、普段俺との行為の時のように、高い嬌声を上げている。
しかしながら、普段より声を押し殺そうとしているのがうかがえた。この異常な状況下のせいか?俺に聞かれないようにするため?それとも、他の男の手であえがされているのが恥ずかしいから?

える「はぁ…あふ……もう駄目…はぁ、はぁ」

その言葉の後で、体がシーツをこするような音が聞こえる。えるが身体をくねらせ、熱を持て余しているのだ。衣擦れの音がたまらなく官能的だと知った。
おそらく、えるの肌は自らの汗でびっしょり濡れ、さらに里志の汗までもがその肌に染み込んでいるのだろう。早く洗い流してやりたい。えるは俺のなんだ。その肌に、他の男の体物質を絡ませたくない。

里志「それじゃあそろそろ」

える「はぁ…んぅ…え?……きゃっ」

誰かがシーツの上で引きずられるような音がする。えるがその両足を里志に抱えられ、または程良い肉付きの腰を両手で掴まれ、自身の腰へと引き寄せたのだ。

里志「いいよね?える」グイッ

続く衣擦れの音。恐らく、里志は屹立るする陰茎を、えるの眼前へとさらけ出したのだ。凶暴で、今か今かと、えるの膣内へ侵略しようと待ち構えるその陰茎を。

える「!!お、おっきい……」

里志「興奮させてくれるねぇ。その言葉って本当に僕の大好物さ」グッ

える「あ……ちょっとまっ」

ガチャ ツーツー

奉太郎「里志いいいいいいいいい!!」

里志のあの言葉。間違いなく、挿入の時間だ。えるのセカンドバージンは里志の手によってうばわれる。その瞬間が、ついに来てしまった。

奉太郎「える………」

おそらく。右手の無線機のボタンを押せば、えるは膣内をかき回す肉棒で喘がされている最中なはずだ。肉と肉がぶつかり合い、粘膜と粘膜が混じり合う。
何度もその肉棒にえるは突きこまれるのだろう。その度に漏れるえるの甘い声。突き込む里志の背中と、それに手を回すえるを想像する。
足を里志に絡ませ、淫靡な声を里志の耳元で漏らすえる。嫌だ……聞きたくない……。



奉太郎「ああ……がああああああ!里志いいいいいいいいい!!」

嫌だ。嫌だ。助けてくれ!!えるを、どうか救ってくれ…

奉太郎「……ああああああああ!」

だんっ。と、机を強く叩く。しかし、ふと感じる痛みに、現実に引き戻される

奉太郎「はぁ・・・・・・・はぁ」

拳を見つめる。じんとくる痛み。ふと忘れていた事実を思い出す。この部屋にいるのは自分で、起こっている現実は決して目の前では展開されていないのだ。落ち着くための時間は十分にあるのだ。

奉太郎「はぁっ・・・あああ!!」

もう一度、拳を机に振り下ろす。しかし、この一突きはただの自棄ではない。

奉太郎「ああ!!・・・はぁ・・・・・・はぁ、あああ!」

何度も手を振り下ろす。この痛みで、我に返る自分を感じる。

この音で自分に言い聞かせる様に、この手の痛みで自分に諭させる様に。

奉太郎「・・・・・・・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」

拳を止める。すでに心の中は先ほどの自分とは違っていた。

奉太郎「…俺は聞き届けなければならない」

何のためのこの決断だ。忘れたのか俺は。全てはえるをもう一度抱くためだ。そのために、俺はここに居る。そのために、えるは里志に抱かれている。

奉太郎「刻みつけなければ」

えるのその声を。二度と忘れないように。

苦悶の中、俺は、もう一度、ボタンを、押した。

える「あっ、あっ、あっ、んっ」パンパンパン

里志「はぁっ…はぁ、気持ち良いよえる…」パンパン

える「だっ、あっ、めぇっ!ああっ!あっ!」ズンズン

える「おっ、あっ、んあっ、ああああああっっ!!」タンタンタン

里志「はぁっ、はぁっっっ!」

奉太郎「ああ・・・・・・」

無線機を取りこぼしそうになる。握力が手から抜けていく。予想通り、えるは里志の肉棒を、すでに受け入れていた。

える「あんっ!!あっ、すごっ、いっ、っ」パン!パン!パン!

里志「お気に召されたようでっ、光栄っ、だよっ!ふっ」ピタン!ピタン!


脳が、強制的に想像へと思考を導く、えるの足を其の肩にかけ、里志は思い切りえるの股に向かって腰を打ち込む。其の勢いはさながら獣のようだ。
里志は、えるの腰をしっかりつかみ、激しいピストンの一助とする。腰と腰とがぶつかり合う。跳ね回る愛液。えるの膣内分泌液で白く濡れる里志の肉棒が思い起こされる。
それはえるの中に深く挿入されたり、勢いよく膣肉を引きずりながら出し入れされる光景が目に浮かぶ。



吐き気がする。悪寒が全身を駆け抜ける。たまらず、無線機置いて、トイレへと駆け出した。

アンアン!ダメっ!サトシサン!

バタン

奉太郎「ヴぇ…おえっ…はぁ…はぁ…」

出せる限り、俺は吐いた。動悸が収まらない。今たっている場所が現実ではないかのように感じる。そうだったらどんなにいいか。

トイレのドア越しから、まだえるの喘ぎ声が聞こえる。胸が…張り裂けそうだ……。助けてくれ……助けてくれ。


数分後、無線機の声が止んだ。嘘のような静けさ。先程までの出来事が夢だったのではないかと錯覚する。

奉太郎「もうたくさんだ……もう聞きたくない……」

トイレから戻るのがためらわれる。二度と聞きたくない。えるの肌、声。
その心までもが、いまや里志の手中にある。その柔肌に深く手を食い込ませ、乳房を強く吸い、自身の肉棒でえるの粘膜を掻き回しているのだろう。
それに対して、えるは里志の肩を強く抱き、爪を食い込ませ、快感から足をピンと張り、深く里志を受け入れているのだ。
冗談じゃない。この件を承諾した頃の俺はどうかしていた。里志を狂っていると罵ったが、狂っていたのはまさしく俺の方でもあったのだ。

奉太郎「狂ってる……狂ってる」

頭が如何にかなりそうだ。あらゆる憎悪が頭の中をかけめぐる。憤怒が、嫉妬が、色欲が、一斉に混じり合った混沌の中にいるようだ。


「奉太郎さん」

声が聞こえた。はっとする。俺は顔を上げた。無論、まわりには誰もいない。しかし、確かに聞こえた。誰だ。俺を呼ぶ声は。

「負けちゃだめです」

俺ははっとした。この優しい、包み込むような声は

「ファイトです」

える以外にいない。

幻聴。居るはずのないえるの声。隣の部屋で里志に貫かれているはずのえるの声だ。……どうかしちまったかな。

「折木!!あんたしっかりしなさい!!」

伊原まで……。

「あんたがしっかりしないでどうすんの!」

確かに其の通りだが、生憎、俺はもう疲れたよ…伊原、こんな時までお前の幻聴が聞こえるのが何よりの証拠さ。

「このバカ!うすらトンカチ!こんなときぐらい……」

なんだよ……俺にかまわないでくれよ。

「エネルギー使わないでどうすんの!!」


奉太郎「…………っ」

奉太郎「………」

奉太郎「……ふぅーっ」

其の通りだ。

奉太郎「…お前にまで気を使わせるとはな。なぁ伊原」

確かにな、こんな時までエネルギー節約じゃあさ。

奉太郎「省エネ主義も考えもんだなぁおい」

ほんとうに、俺はクソッタレだ……。

奉太郎「……」スクッ


ゆっくり、俺は、其の足で、立ち上がった。

奉太郎「……」

心は決まった。皮肉にも、俺の主義信条を最も毛嫌いしていた奴のお陰で。


奉太郎「えるを……取り戻す」

かくして、俺はえると里志の蜜月を中止させる事を決めた。
足取りは強い。もう迷いはない。ただ、もう一度えるを抱いている未来の自分を想像し、絶望から這い上がる自分を感じる。

ホテルの自室から出る。右手には、里志とえるの部屋がある。

この部屋の向こうでは…里志とえるが激しくまぐわっているのだ。

奉太郎「……いくぞ」

自分に言い聞かせる。折れない心を持つのだ。

そうしておれは…とびらを…あけた

ガチャ

奉太郎「える!!……」

奉太郎「…って……あれ?」

部屋は、開けた扉から全体を見渡せるようになっていた。それ故に一目でわかった。

奉太郎「…二人がいない?」

おかしい、そんなはずはない。たしかにこの部屋のはずだ。まさか、部屋を間違えたか?

奉太郎「いや、違う。部屋はここであっているはずだ。なにせ、この部屋には鍵がかかっていない」



音がする。なにかもやもやと、俺の心の側面を削ぐような音。

構わず、俺は歩を進めた。すると、見つけた。

智の着ていた衣服。そして

えるの脱ぎ散らかされた下着。

ずしんと。俺の腹に何かが落ちる。腰から崩れ落ちそうになるのを必死にこらえる。確かにここで、あの二人はまぐわっていたのだ。


音が大きくなる。耳障りな水音。俺の中に飛び込んでくる焦燥感。

二行目 智→里志

視線を移す。テーブルの下には、転がっている酒瓶。それが、2,3本ほど。
なるほど、通りでえるの行為中の様子がおかしかったわけだ。要するに、えるが里志に口移しで飲まされたのはこの酒だったのだ。
さらに、沈黙し、それでもなお、圧倒的な何かを語りかけるシングルベッド。俺はたまらず近付いた。シーツに手を進める。

奉太郎「・・・ッ!!」

生暖かいぬくもり。淫靡な香り。汗と汗が染み付いて、このベッドの周りだけ異様なまでにこもった甘ったるい空気が漂っている。先程までここで何かが行われていたかのような痕跡。肉と肉がぶつかり合い、互の体液を交換する激しいセックスの痕。

奉太郎「やはりここで・・・」

行為は行われていた。二人の肌はこのベッドの上で重ねっていた。物言わぬ痕跡がなによりの証拠だ。



音が聞こえる。漏れる女性の声。肉をぶつけ合う音。断続的に聞こえる水の滴り落ちる音


意識的に遠ざけていた音。そうであるはずがない。そうあってはならないという、半ば諦めと期待の篭った無意識下での抑圧。

目を背けてはならない。耳を塞いではならない。

奉太郎「・・・ぁ・・・はぁ・・・」

手が震える。呼吸が乱れる。

足に力が入らない。正常な思考ができない。

奉太郎「・・・・・・ぅ・・・ぁ・・・」

俺はゆっくり視線を動かす。


あのシャワールームから、音が聞こえる。

恐る恐る近づく。無意識的に、音を立ててまいとする自分に気付く。

「…ぁっ………さ……さん……はぁ」

歩を進める度に大きくなって行く声。同時に膨らんで行く焦燥感。

「…………ぁっはぁ…。ぁ…だ…め」

鼓動が高まる。脳髄にまで響くほどに。

「あっ…あっ…うんっ……はぁっ」

反響して聞こえる肉音。隠微な声。

ドアノブに手をかける。手が震えた。
それでもいかなければならない。

かちり

ドアを、開けた。

こもる湿気がシャワールームから流れ込む。ひどく甘い匂いが全身を包む。

予想通り。


「さとしさぁん!ああっっ!あんっ」

流しっぱなしのシャワーに濡れながら、一組の男女が絡み合っていた。

「っ・・・はぁ・・・っうんっ・・・ぁあっ」

ばちんばちんと音が鳴る。迸る水。ぶつかり合って弾けた水が俺の顔にまで飛んでくる。ひどく頭痛がした。

「もうっ、だめえぇ、早くいってっくだあ、あん!ああっ!いっ、っくう」

既に呂律が回っていないえるの声。懇願する、早く達してくれと。

一心に腰を叩き込む里志。もう俺はこの男が以前から知っている福部里志と同一人物とは思えなかった。
俺の知らない男の顔。女を、えるを貪り食う獣の顔。俺はおそらく一生この顔を忘れないのだろう。
「おおっ、いっ!っくよっ!えるぅ!」

「早くっおっおねぇ、がっいしまぁっ、ああん!」

里志が輸送を激しくする。射精の瞬間だ。それを今か今かと待ち受けるえるの膣。
子宮はさがり、里志のそれを待ちわびている。
ひどく卑猥だ。淫靡だ。俺にはこんな事言わなかったのに。俺にはこんな姿、みせてくれなかったのに。

奉太郎「・・・・・・まってくれ」

声を必死に絞り出す。切実な懇願。

奉太郎「・・・・・・お願いだ」

やめてくれと、これ以上俺の前で交わらないでくれと。しかし、それは本当にか細い声で、二人の耳には最後まで届かなかった。

「おおおおお!!」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、んん!!」

パンパンパン!・・・・・・パンッ!

不意に、里志の腰が、えるに向かって深く打ち込まれたまま止まった、尻が幾度となくすぼみだす、小刻みに震える腰、その度収縮する尻の筋肉。射精だ。

奉太郎「・・・・・・まってくれ」

声を必死に絞り出す。切実な懇願。

奉太郎「・・・・・・お願いだ」

やめてくれと、これ以上俺の前で交わらないでくれと。しかし、それは本当にか細い声で、二人の耳には最後まで届かなかった。

「おおおおお!!」

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、んん!!」

パンパンパン!・・・・・・パンッ!

不意に、里志の腰が、えるに向かって深く打ち込まれたまま止まった、尻が幾度となくすぼみだす、小刻みに震える腰、その度収縮する尻の筋肉。射精だ。

すまん二回同じの貼ったわ・・・

「ああっ・・・・・・はぁ、ああ・・・」

そしてえるの恍惚の表情。里志の射精の一突きを受けるたびに、幸せそうな表情を浮かべる。足は爪先立ちでたっていたが、我慢しきれなくなって崩れ落ちる。それを許すまいと腰を持って壁に押し付ける里志。

「はぁ・・・はぁ・・・ん・・・はぁ・・・」

無機質なシャワーの音だけが行為の残滓を残す。ぬるっと、えるのヴァギナから肉棒を引く抜く里志。薄く白い体液にまみれている里志のペニス。
えるの秘所からは、行為によってひどく薄汚れた愛液と・・・・・・


滴り落ちる・・・・・・里志の、

奉太郎「ぁ・・あぁ・・・・里志・・・・お前」

精液。

奉太郎「ははは・・・・・・」

自然と笑みがこぼれ落ちた。

シャワールームの光で照り映える里志のそれは、確かにゴムをつけておらず、妖しく、えるの体液で光っていた。

奉太郎「・・・・・・ああ」

直にえるの粘膜を引きずり回したのか。

直にえるの子宮口を突き倒したのか。

直に精液をえるの子宮に注ぎ込んだのか。

直に精子をえるの卵子めがけて送り込んだのか。



えるを孕ませてしまう可能性すら考えないで、自分の欲望を満たすまま射精したのか。

止めていればよかったんだ。どうして早く止めなかったんだ。

惚けて二人の痴態を見ている時、どうしてゴムをつけているかどうか、頭にすらよぎらなかったのか。

絶望が俺の体をまさぐる。

俺がシャワールームの音を、意識するのを避けていたとき、既にこの二人は、生で直接交わっていたのだ。

先走り汁ですらえるは妊娠してしまうかもしれないのに、かわまず突き込む里志、そしてそれを嬉々として受け入れるえる。

奉太郎「狂っている」

想像する。えるの子宮を蹂躙し、駆けずり回る里志の精子。

奉太郎「なんでなんだ」

排卵した卵子に襲いかかる数多の里志の精子。
卵子を奪い取り、我がものとするそれ。作られる受精卵。背徳的な生命の営み

奉太郎「なんでなんだあああああああああああああああああああああああああああ!!!」



そこで俺は理性を失った。

覚えているのは、手に感じる痛み。里志を思い切り殴り倒した際の痛みと。



忘れることのできない、泣き叫ぶえるの声だった。

あれから、二人からいくつかのことを聞いた。

あれほど乱れていたのは、お酒が入っていたからということ。

中に出したのは、大丈夫な日であったからだということ。

それをえるが了承したのは、決して快楽を求めてからではなく、里志に説得されたからとのこと。

そのほうが俺の不能を治すのに効果的なのだという説得。

しかしながら、ゴムをしてくれと頼んだ俺を無視し、欲望のおもむくままに精を放出した里志を、俺は到底許すことはできなかった。

しばらくして俺はえると温泉旅館に来ていた。


える「わあ・・・前来た時と変わっていませんね」

奉太郎「そう・・・だな」

貸出プレイのあと、俺とえるの間には気まずい雰囲気が漂っている。

えるはどう思っているのか。あの行為について。聞き出せないまま現在に至る、

セックスもしていない。なんとなく、そういう雰囲気にならないだけでは、おそらくないのだろう

仲良し姉妹「ごっゆっくり~♪」

える「ありがとうございます」ペコッ

奉太郎「ああ、世話になる」

仲良し姉妹「にしし♪」


ふとえるの横顔を見た。

愛おしく、柔らかな笑顔だ。

ふと胸が締め付けられる。罪悪感という名の感情。押しつぶされそうになる。

える「どうしました?奉太郎さん」

奉太郎「い、いや別に」

あわてて目をそらす。

える「・・・・・・」

どんな目で俺を見ているのだろう。気になりはするが、直視できない自分がいた。

あのプレイのあと、俺がえるを見つめることが増えたように、えるも俺をじっと見つめていることがあると気づいた。しかし、それはぼんやりとしていて、本当に俺を見つめているのだろうかと不安にさせる。


える「ねえ奉太郎さん?」

奉太郎「・・・なんだ?」

える「・・・少し散歩しませんか?」


散歩。いつしか、おれとえるがまだ付き合っていなかった頃、家族というもの、兄妹というものについて話したあの道だ。

える「私、あれから考えたことがあるんです」

奉太郎「・・・・・・」

無言で先を促す。あれとはおそらく、あの行為のことだろう。

える「お付き合いするというものがなんなのか」

思わず足を止めてしまう。それに倣って、えるも歩を止める。しかし、えるは俺の方を振り向かずに続けた。

える「男女の交際の上での性行為の役割」

喉を鳴らす。

える「愛を確かめ合うもの、お互いのぬくもりを感じ合うためのもの、自らの空虚感を埋め合わせるためのもの」

風が髪をなでつける。

える「はたして、私たちのそれは、どんな意味合いを持っていたのでしょうか」


ああ、える。その質問は・・・・・・俺が目を背けていたもの、そのものだ。

奉太郎「俺たちのは、その、あ、愛を確かめ合うものじゃ、ないのか?」

える「本当にそうだったのでしょうか」

鼓動が早まる。

える「本当に愛を確かめ合うだけのものであったなら。私たちにとって、性行為は、必ずしも必要なものではありません」

奉太郎「・・・・・・」

える「なぜなら、そんなことをしなくても、愛を確かめ合うことはできるのですから」

夕暮れ時。紅く映える太陽。目の前を羽虫が飛んでいく.

える「それでも、私たちがセックスにこだわった訳、あんなことまでして、セックスをもう一度したいと願った理由はなんなのでしょうか」

奉太郎「・・・・・・それは・・・・・・」

える「あの行為を私たちが承諾したのは、一時の気の迷いだったのでしょうか」

奉太郎「そんなことは・・・・・・」

かろうじて搾り出す声。しかし、いつかの時と同じように、弱々しい声だった。

える「私は思うのです・・・・・・奉太郎さん・・・・・・あなたは・・・・・・」

奉太郎「その先は言うな!!!!」

える「っ・・・」

息を呑むえる。ひっと漏れる怯えの声。違うんだ。それを言ってしまったら俺は立ち直れなくなる。お前に二度と顔向けできなくなるんだ。

奉太郎「うう・・・・・・」

崩れ落ちる足。わかっていた。えるが言おうとしていること。俺が里志の申し出を承諾した理由。

える「奉太郎さん・・・あの・・・」

奉太郎「お前が言おうとしていることはわかってるんだ!そのとおりなんだよ!!」

またしても叫ぶ。その度に歪むえるの顔。違う、俺はお前にそんな顔をして欲しいんじゃない。

奉太郎「俺は・・・ただお前が・・・お前の痴態が・・・・・・見たかっただけなんだ・・・」

不能を治すというのはただのお仕着せの理由。本当の俺はそんなものが理由ではなく、ただただ、他の男の手で果てる、えるを見たかっただけなのだ。

奉太郎「お前を言いように利用しただけなんだ・・・・・・」

ただの性欲。ただのリビドー。

到底許容できない動機。

一生かけても理解され得ないであろう異常性癖。

里志に憎しみを抱いた。あいつにいいようにされるえるに激しく嫉妬した。死ぬほど叫んだ。しかしそれでも、

奉太郎「許してくれ・・・」

本当に憎むべきは己の腐った性根だったのだ。

里志と同じだ。結局俺もそちら側の人間であっただけのこと。

奉太郎「うう・・・・・・える・・・・うぁ・・・」

俺は泣いていた。はしたない理由で、はしたない自分を見下して、はたしたなくえるの前で膝まずいて。

里志に提案された時に、はっきり断るべきだったのだ。狂っていたの本当に自分の方だったのだ。愛する彼女を他人に抱かせ、興奮を得る。自らの欲望を満たしたいがための狂宴。自分のしたことに吐きそうになる。

許してくれるとは到底思えない。

それが自分の過ちなのだから。

一生残る咎なのだから。

「・・・・・・」

そんな俺を、優しく包み込んでくれる手など、あってはならない。

「奉太郎さん・・・・・・」

こんな最低な男を、抱きしめる両手など、あっては、ならない。

「奉太郎さん」

自分のことしか考えていない、欲望の塊を、強く、抱いてくれる手など、あっては、ならない。

「許します」

こんな暖かい手など、あっては、ならない。

「うぁ・・・うっ・・・・・・うぅ・・・」

「そんなあなたを、許します」

こんな、俺を抱きしめている、千反田えるの手など、あっては、ならないのだ。

「それでも好きです。奉太郎さん」

季節は秋。

響く虫達の残響と、揺れる木の葉の落ちる音。

嗤う木々のざわめきと。

一人の男の慟哭が、ただ、いつまでも、虚しく響いていた―――。



了.

インポは解消されたんか?

拙くてすまぬ。

NTRに主眼をおいたssって少ないから、俺が書けばきっと誰かが「俺の方がうまく書ける!!」つってもっと書いてくれるんじゃないかと期待して書いた。

NTR好きでサーセン

>>144 解消されたけれど、なんかそれどころじゃなくなった的な脳内補完で

やはりNTR好きか
自分の大切な人が自分以外の男から快楽を与えられ乱れる姿に
色々な感情が入り乱れながら興奮し絶望する奉太郎の心情が上手く書けてたよ

>>147thx。かきやーで死ぬほど抜いた。

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