タケシ「えっ?ジムリーダー解雇ですか?」(197)

タケシ「またまた御冗談を」

「……」

タケシ「……」

タケシ「本気…ですか?」

「今まで御苦労だった」

タケシ「ちょ、待ってください!自分にはまだ幼いチビ達が!」

「君はまだ若い。いくらでも働き口はあるだろう」

タケシ「いきなりそんな事言われましても納得できませんよ!」

「なにしろ実力がモノを言う世界だ。ここ一週間でキミが勝利をあげた回数は?」

タケシ「一回ヒトカゲ倒しました」

「ジムでの挑戦者は何百人といたんだろう?」

タケシ「まぁはい…でもっ」

「とにかく今日中にこのジム内を綺麗にしておいてくれ。それが君の最後の仕事だ」

タケシ「……」

……

タケシ「あっ、ニビシティ博物館ですか?あっ、そちらの求人内容をみさせてもらったんですけど…」

タケシ「えっ?月の知識ですか?いや…まったく……」

タケシ「あっはい。そうですかはい…」

タケシ「……」

タケシ「わかりました。ありがとうございました…」

タケシ「……」

「兄ちゃん最近家にいる事多いねー」

タケシ「そ、そうか?気のせいだろ」

「まぁあたしたちは嬉しいよ!兄ちゃんの手料理おいしいし」

タケシ「あぁ。そうか!それなら良かった」

「でも最近少しごはんの量が少なくなったなって思うよ!」

タケシ「……」

「もっといっぱい食べたい」

タケシ「わ、分かった!兄ちゃんに任せとけ!」

タケシ「……」

タケシ「(どうすれば…俺は今までポケモン一筋でやってきたからいまさら普通の仕事なんて…)」

タケシ「……」

タケシ「(あいつのとこ行ってみるか…)」

タケシ「ふぅ…おつきみやま超えるのにも一苦労だな」

カスミ「あれ?タケシ?」

タケシ「元気か?」

カスミ「来るならそう行ってよ!珍しいね。どうしたの?」

タケシ「クビになった」

カスミ「えっ?」

タケシ「ジムリーダークビになった」

カスミ「マジで?!」

タケシ「ニビシティじゃ良い求人がなくてハナダまでやってきたんだ」

カスミ「それは大変だったわね…」

タケシ「それで…カスミにお願いがあるんだが…」

カスミ「う、うん…聞ける事なら…」

タケシ「雇ってくれ」

カスミ「……」

タケシ「ジムトレーナーでも雑用でもなんでもする!頼む!」

カスミ「……」

カスミ「正直あたしのとこも人は足りてて…」

タケシ「そうだよな…俺も同じ立場だったんだ。気持ちはよくわかる」

カスミ「ジムトレーナーにしてもなぁ…水ポケモンは?」

タケシ「いない」

カスミ「だと思った」

タケシ「イワークとイシツブテだけだ」

カスミ「うーん…」

タケシ「頼む…」

カスミ「……」

カスミ「わかった。じゃあ水ポケモン捕まえてきたら雇ってあげるよ」

タケシ「本当か?!」

カスミ「とりあえず水で統一しないと協会がうるさいしね」

タケシ「よし!そうと決まったら早速捕まえてくるぞ!」

カスミ「頑張って。あたしはデート行ってくるから」

タケシ「…ん?」

タケシ「ポケモン釣り堀…午前中3000円か…昼メシはぬきだな」

タケシ「ここで強い水ポケを捕まえるか」

やせいのトサキントをつりあげた!

タケシ「よし。いけっイワーク」

イワークは倒れた

タケシ「……」

タケシ「すいません。ちょっとポケモンセンター行ってもいいですか?」

タケシ「よし。今度こそ…」

タケシ「きたっ!」

やせいのヒトデマンをつりあげた!

タケシ「いけっ!イワーク!」

イワークは倒れた

タケシ「なんでや!」

「お兄さん。そろそろ時間だよ」

タケシ「……」

「お兄さん」

タケシ「まだ一匹も捕まえてないんです」

「それは残念だったねぇ」

タケシ「延長でお願いします」

「また明日来てください」

タケシ「ハイ」

タケシ「……」

タケシ「これはマズイな…どうするか…」

「兄ちゃん!兄ちゃん!」

タケシ「ん?」

「一部始終見てたよ。残念だったね」

タケシ「憐れむのなら好きににしてください」

「そんなつもりで話しかけたんじゃないよ!実はとっても良い話があるんだ」

タケシ「聞くだけ聞きましょうか」

「とっても強い水ポケモン…今ならなんと5000円で兄ちゃんに譲るよ」

タケシ「本当ですか?」

カスミ「遅かったね。成果はどう?」

タケシ「もちろん捕まえてきたぞ」

カスミ「おぉ!おめでとう!じゃあこれで晴れてジムトレーナーだね!」

タケシ「あぁ。カスミには感謝してる」

カスミ「早速だけど挑戦者来てるみたい。相手してくれる?」

タケシ「まかせてくれ」

カスミ「頼もしいじゃん!お願いね?あたし相手すんのめんどくさいから返り討ちにしてあげて」

「水ポケとか楽勝っすよwwww」

タケシ「アイツが相手だな…よし…」

「いけっwwwwサンダースwwwww」

タケシ「大丈夫だ。相性が悪くてもこのポケモンなら……」

タケシ「いけっ!おまえの初陣だ!」

カスミ「はっ?」

「マジすかwwww」

おしょう「クェー!!」

カスミ「あのバカ!!」

バトルヲチュウダンシテクダサイ バトルヲチュウダンシテクダサイ バトルヲチュウダンシテクダサイ

「なんか警報機鳴ってますけどwwwwwww」

カスミ「ちょっとアンタ!!」

タケシ「いや…あの……」

カスミ「水ポケ使えって言ったでしょ?!カモネギ捕まえてきてどーすんのよ!」

タケシ「す、すまん…」

カスミ「これで協会に呼び出し食らうわー。明日もデートあるんですけど」

タケシ「すまん…すまん…」

…翌日…

カスミ「……」

タケシ「カ、カスミさん!お疲れ様です!」

カスミ「……」

タケシ「それで…協会の方はなんと…?」

カスミ「言いにくいんだけど…タケシはもう解雇にしろってさ」

タケシ「またまた御冗談を」

カスミ「……」

タケシ「……」

カスミ「これ、私の自転車。返さなくていいから。あと餞別のお金」

タケシ「あの…これは…?」

カスミ「元気でね。私応援してるから」

タケシ「……」

タケシ「えっ」

タケシ「~~~~♪♪」

タケシ「いやー自転車だと移動が楽になって助かるなー」

タケシ「なんて悠長にしてる場合じゃないな…」

タケシ「また解雇されてしまうとは…」

タケシ「……」

タケシ「ん?目から水滴が…」

「お兄さんお兄さん」

タケシ「はい?別に泣いてないですよ」

「わしは育て屋をやっとるんだが…あんたのポケモンわしに預けてみんか?」

タケシ「育て屋…ですか?」

「わしに預けてもらえればあんたのポケモン…強くなるかもしれん
 もっともその必要がなければ無理強いはせんが…」

タケシ「お願いします」

「ほう。イワークとイシツブテか」

タケシ「大事なポケモンなんです!優しくしてやってください」

「ほほっ。わかっとるよ」

タケシ「これで俺のポケモンはカモネギだけか」

タケシ「さて…どうするか…」

タケシ「やはり雇ってもらうのならジムトレーナーか…ポケモン一筋の俺にはこれしか…」

タケシ「ひこうタイプのジムなんてカントーには存在しないからな…またどこかでポケモンを捕まえるか…」

タケシ「ん?あのポケモンは…」

タケシ「いけっカモネギ!」

おしょう「クェー!!」

タケシ「よし、ここでモンスターボールを…!」

タケシ「やったか?!」

タケシ「……」

タケシ「シャァァァァ!!めっちゃ強そうなポケモン捕まえた!スゲェ!」

タケシ「よしこれで早速あのジムに…!」チャリンチャリン

「ちょ、ちょっとあなた!自転車で強行突破はやめてください!」

タケシ「……」

「ここは通れません!イワヤマトンネルを…うわぁぁぁぁ!!!!」

グチャァァァァ!!

タケシ「……」チャリンチャリン

タケシ「ナツメに会うには確かこの床でテレポートして…」

サイキッカー「おいそこのお前!目があったな!俺とポケモンバトr」

タケシ「あっ、いえ…実は面接希望で…」

サイキッカー「あっ、そうでしたか。でしたらこちらの専用通路で…ナツメさんの部屋まで一本道です」

タケシ「わざわざすみません」

サイキッカー「いえいえ。頑張ってください」

ナツメ「来るわよ…来るわよ……」

ナツメ「あと10秒後…4・3・2・1」

ドガンッッ!!

タケシ「久しぶりだなナツメ」チャリンチャリン

ナツメ「あなたが自転車でドアを破壊して乗り込んでくる姿…予知していたわ」

タケシ「だったら話が早くていいな!俺がなぜここに来たかわかるだろう?」

ナツメ「ジムリーダーを解雇されたから私のジムで雇って欲しいという事でしょう?」

タケシ「流石超能力者で引きこもりで根暗だな」

ナツメ「面接官が私じゃなかったら既に2、3発殴られてるわね」

タケシ「俺が何をしたんだ?」

ナツメ「あぁ恐ろしい…」

タケシ「で、雇ってくれないか?」

ナツメ「まずは力を見せてもらわないとなんとも言えないわね」

タケシ「いけっ。ケーシィ」

ナツメ「へぇ」

タケシ「驚いたか?さっき捕まえたんだ」

ナツメ「じゃあ私のユンゲラーに力を見せてみて」

タケシ「よしっ!いけケーシィ!やってやれ!!」

ケーシィ「ゴゴゴ…」

シュン

ナツメ「…」

ナツメ「……」

サイキッカー「あれ?さっきの人いない…もう面接終わったんですか?」

ケーシィ「……」

ナツメ「(テレポート…行き先はケーシィのみぞ知る…あぁ恐ろしい…)」

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