泉「お姉ちゃんになってください!」菫「…はっ!?」(152)

なんてな

泉「はぁ…控え室に戻るの気が重いわ…」

トボトボ

泉「(白糸台の弘世菫…なんちゅうやつや)」

泉「(心なしか胸が痛いし…ほんまになんも刺さってへんか確認したし)」

トボトボ

ドンッ

泉「…っ!!弘世菫!!」アイタタ

菫「おい、ぶつかって来たうえに3年生に向かって呼び捨てとはどういうことだ」キリッ

泉「え、えっとあの…スンマセン」アセアセ

菫「千里山か、なぜここに?千里山の控え室は1つ上の階だぞ」

泉「……」ウツムキ

菫「…まあ、そう落ち込むな…と、私が言っても逆効果か」

泉「(…この人、オーラは相変わらず凄まじいけど…対局中みたいな
殺気ちゅうか、鬼気迫る感じはないねんな…)」

泉「(よう見たらえらい美人さんやし髪長いし背も高いし…)」

菫「な、なんだ?じ、ジロジロ見るんじゃない」ドキドキ

泉「…いやあの、弘世さんって、あの」ミアゲル

菫「ん?」クビカシゲ

泉「むっちゃ、…美人ですね!」キッパリ

菫「…はっ!?」ポカーン

菫「な、何を言ってるんだ!///」カオマッカ

泉「えっ、なんでそんな顔赤いんですか?」

菫「き、君が変なことを言うからだろう!」

泉「…なんか、可愛い人ですね」

菫「か、からからうな!わ、私は3年生だぞ!」アセアセ

泉「アハハ、やっぱり可愛い人や」ニコニコ

菫「…やっと笑ったか、千里山」フゥ

泉「あっ…」

菫「君こそ、なんというか…まあ、笑っていたほうが可愛いよ」

アタマポンポン

泉「っ!///(な、なんやねんこの人!…は、恥ずかしい…)」

菫「少し、話をしよう。こっちへ来い」ウデツカミ

泉「へっ?あ、ちょ!」


泉「(なんかロビーみたいなとこ連れて来られてベンチに隣り合って座ってる…)」

泉「(……弘世菫、なんか対局中とはちゃう人みたいやな)」


菫「…コホン。いいか、君は今とても落ち込んでいる」

泉「まあ…(あんたのせいでな…とでも言わせたいんか)」

菫「気持ちはわかるつもりだ、私も初めての大会は痛い目にあったからな」

泉「…そうなんですか?意外ですね」

菫「チームを一時最下位に沈めてしまったよ、君と同じだ」


泉「(弘世さんは昔の話をしてくれた。ほんまに今のうちみたいな状況で…)」

菫「…まあだから、経験者として言わせて欲しいことがある」

泉「どうぞ」

菫「落ち込む暇があったら練習しろ」

泉「…っ!そんなんっ…!」

菫「いいか、練習しなければ結果はついてこない。
当然のことではあるが、何度でも言う。練習をたくさんしろ」キリッ

菫「私も先輩に言われたことだ、とにかく練習しなさい弘世、とね」

泉「……(そんなこと言うために連れてきたんかい)」

泉「そんなことは言われなくても…わかってます!」オオゴエ

菫「…まあ、そう反発するな。上級生の意見は素直に聞き入れたほうがいい」

泉「……」

泉「(くそう…悔しい悔しい…負けた相手に言われるなんて…!)」

菫「負けて、落ち込んでそこから立ち上がれなくなる人は多いんだ。
そういう相手を何人も見てきた。しかし君は、その、目がいい。」

菫「私にこういうことを言われても素直に納得せず睨み返してくるその度胸、
とても素晴らしいよ。その力を麻雀に生かせ。」

菫「そうしたら、君は絶対に強くなれる。その時には、お手合わせを願いたいよ。」

泉「…なんか、むっちゃ…むかつきます」

菫「その怒りを力に変えることができるなら、いくらでも怒らせてやろう」

泉「あはははっ…はぁ」

泉「(なんやこの人…むかつくのに……なんで…優しいって思うんやろう?)

菫「…まあ、私の言ったことなんか忘れていいさ。
大切なのは、君がこれからどうしたいか、だからな」

アタマポンポン

菫「ただ、私は頑張れ、と応援しておくよ」

泉「…あの、」

菫「ん?」

泉「うち、君って名前やないです」

泉「(は?うちなにを言うてんのや)」

菫「あぁ、すまない…えっと、二条泉さんでいいのかな」

泉「…泉、って呼んでください」

泉「(ま、待て、うちはなにを口走って…!)」

菫「へっ?///」テレ

菫「い、いいのか?ほぼ初対面だぞ?///」アセアセ

泉「いいんです!呼んで欲しいんです!」

泉「(待て待て、自分待て。どういうことやろ?
なんでこんな…弘世さんにグイグイいってしまうんやろ?)」

菫「そ、そうか…じゃあ、その、い、泉」

泉「はい」

菫「これからのことをしっかり考えて、強くなるんだぞ」

アタマガシガシ

泉「…はい」

菫「いい返事だ、いい子だ」

アタマナデナデ

泉「ちょっ///」デレ

菫「なんで撫でると照れるんだ、泉」キョトン

泉「し、知りません!///」ツン

泉「(…あぁ、うち、嬉しいんやな…こんな風に言ってくれる先輩って
正直千里山にはいーひんかったし…)」

泉「(弘世さんみたいに厳しいけど優しい先輩って憧れるなぁ…)」

泉「(ていうか、なんとなくお姉ちゃんみたいやな…)」

菫「泉、そろそろ、戻ったほうがいいぞ」

泉「は、はい!」

菫「ふふっ、きっと泉の先輩が泉の分も取り返してくれるさ」

菫「団体戦のいい所は、一人が失敗してもそこで試合は終わらないところにあるからな。」

菫「少し元気が出た泉がすべきことは?」

泉「先輩を信じて、応援すること…ですか?」

菫「そうだ、じゃあ戻りなさい…私のつまらない話を聞いてくれてありがとう」

泉「そんなっ…!お礼を言うんはうちです!」

菫「わかったわかった、ほら、早く行け…白糸台が勝つけどな」

泉「千里山です!先輩達が頑張ってくれます!」

泉「じゃあ…あの、ありがとうございました!」ペッコリン

菫「あぁ、またな。泉」

タッタッタッ

菫「ふふ、面白い子だ…あぁ、そんなに走って転ぶなよ…」

菫「さて、私も戻るとするか」



バタン

泉「はぁはぁ…!」

浩子「泉、遅いで」

泉「すいません…!あの、状況は?」

浩子「ちょっと信じられへんけど、江口先輩の5連続和了中や」

泉「すごい…!江口先輩頑張れー!」

インターハイAブロック準決勝終了後


泉「(先輩達はみんなすごかった。かっこよかった。
けど…結果は…3位で決勝進出を逃して、敗退が決まった)」

泉「(けどうちは弘世さんの言葉を思い出してた。
落ち込む暇があったら練習しろ、っていう言葉や。)」

泉「(言われたときは悔しかった、むかついた。
でも、敗退が決まった今、うちが先輩達にためにできることは…)」

泉「…うち、絶対、もっと強くなります!」

泉「絶対強くなって…全国制覇したいです!」

竜華「泉、ありがとう」

セーラ「…泉、もっと落ち込んでるかと思ってたわ」

浩子「うちも、…うちももっと頑張ります!」

竜華「怜もきっと、泉や浩子の言葉を喜ぶはずや」


泉「…言われたんです、落ち込む暇があったら練習しろって」

竜華セーラ浩子「「「誰に?」」」

泉「ないしょ、ヒミツです!」


泉「(先輩達の追及をかわして控え室を飛び出した)」

泉「(そしたら…)」

ドンッ!

菫「あいたた…お前、2回目だぞ」

泉「す、スイマセン…ってなんでここに?」

菫「あぁ、プレスルームでの取材があってな…この階なんだ」

照「菫、その子誰?」

菫「あぁ、千里山の1年生二条泉さんだ」

照「へぇ…なんか顔似てる」キョロキョロ

泉「へっ?う、うちと誰がですか?」ビクッ

照「菫と…あなた」ジー

菫「バカなこと言ってないで先に行け」

照「うん、じゃあね、二条さん」

泉「は、はぁ…(うわぁ、チャンピオンや…こんな近くで顔を見られるやなんて)」ドキドキ

菫「泉、顔が赤いぞ」ツン

泉「え!ほ、ほんまですか!?」アセアセ

菫「まあそれよりも…千里山は惜しかったな」

泉「はい…悔しいし、もどかしいし、やっぱり辛いです」

泉「けど、弘世さんに渇を入れてもらったから…そやから…
うちは頑張ります、来年は絶対にうちが全国制覇します!」

菫「その意気だよ、やっぱりいい目をしてるな、泉は」

泉「…ありがとうございます」

泉「(あぁ、やっぱり弘世さんはかっこいい。対局中のような
怖いっていう感じはないし、…何より、優しい人や)」

泉「(いくら落ち込んでたとはいえ敵のうちにあんなにビシっと言ってくれるやなんて。
…これが王者白糸台の余裕なんか、それとも、弘世さんの凄さなんか、どっちやろ?)」

菫「じゃあ、私は取材があるからそろそろ行くよ」

泉「…あのっ!」

泉「えっと、」

泉「その」

菫「ん?なんだ、早く言え」

泉「(弘世さん急いではるしはよなんか言わなあかんけど…
何を言えばいいんやろ?えっと、えっと…!!!)」

泉「(えっと、弘世さんはかっこよくて優しくてお姉ちゃんみたいで…!!!)」

泉「(お姉ちゃん?…お姉ちゃん!!!)」


泉「…えっと、その」

泉「お姉ちゃんになってください!」

菫「…はっ!?」アゼン

泉「…はっ!?」アゼン


泉「(う、うち何を言うてんの!!?お姉ちゃんってなんや!?)」

泉「(何を口走ってもうたんや!?あ、あかん!恥ずかしい恥ずかしい!!)」


泉「わ、忘れてください!全部綺麗さっぱり!」アセアセ

菫「……え、えーっと……」ボーゼン

照「えぇ、菫に妹?」

泉「わ、ちゃ、チャンピオン!」

照「なるほど、それで顔が似てたんだ」フムフム

菫「何戻ってきてるんだバカ、ていうか顔がどう関係してるんだ
それにそもそもあんまり似てないだろ」

泉「(あ、ボーゼンとしてたのにチャンピオンで戻った)」

泉「そ、そうですよ!顔は関係ないし、その、全部忘れてください!」ペッコリン

照「なんだ…妹はいいもんだぞと言おうと思ったのに」プイッ

菫「お前の妹話は聞き飽きた、ほら、早く行け」

照「菫が遅いから迎えに来たんだよ、行こう」ウデツカミ

菫「あ、ちょ…泉…、えっと本気か?」フリカエリ

泉「…忘れてください!ほな!」タッタッタッ

菫「泉!ちょ、待って!…行ってしまった」ションボリ

照「…ふられたの?」

菫「さぁな…はぁ(なんだこの気持ちは?なんでこんなに…胸が痛いんだ?)

さてこのあとどうしようかな

菫「(お姉ちゃんになってくださいって何なんだ、意味がわからん…)」

菫「(でも、…嬉しかったというか…忘れてと言われたら悲しかった…)」

菫「(一日でこんなに懐いてくれるとは思わなかったなぁ…
私はいつも口うるさいとか細かいとか言われるし…後輩に好かれるタイプじゃないから…)

菫「(泉…また、会えるんだろうか?…私らしくないな、寂しいなんてな)」


照「菫、菫っ」ユサユサ

菫「…はっ!///」カアァ

記者「弘世選手、よろしいでしょうか?」

菫「ど、どうぞ…」カオマッカ

照「珍しいね、なんか」ボソッ
菫「う、うるさい」

記者「それでは、今日の準決勝について………」

~~~~~~~~~~~~~~

照「何か考え事?」

菫「いや、なんでもない」キリッ

照「ならいいけど、記者の人、3回は呼びかけてた」

菫「へっ!?…恥ずかしい///」

照「千里山の子が気になるの?」

菫「…かもな」ポツリ

照「ふーん」

菫「…不本意だが聞かせろ、妹とはいいものか?」

照「当然!」ドヤァ

菫「お前のその顔ほんと腹立つな」

照「そうなるようにやってるからね」

菫「……妹、か」

菫「いや、待て待て!」

照「んー?」

菫「おかしい、血も繋がってないのに姉妹はおかしい」

照「何を今更…」アキレ

菫「…あの子の真意が見えん」

照「お姉ちゃんみたいに慕ってもいいですかってことじゃないの?」

菫「そ、そういうことか?」

照「…と、思うけど」

菫「うーむ」

照「何をそんなに悩むことがあるの?お姉ちゃんになってやるって
言ってあげれば終わる話じゃないの?」キョトン

菫「あのな、私はお前の頭ほど単純化されていないんだよ」

照「むっ…」イラッ

菫「だいたいもう会えないかもしれないし…連絡先も知らないし…」ブツブツ

照「じゃあ、聞きに行けば…あ」

菫「もう帰ってるだろ、あれから何時間経ってるんだよ」

菫「まあもういい…私達も早く帰ろう」

照「ん、わかった」

照「みんな先に帰っちゃったんだよね?」

菫「あぁ、帰らせたよ」

白糸台控え室ドア  バタン

泉「…!」

菫「い、泉…ここでなにを?」アセアセ

照「二条さんだ」ニコニコ

泉「えっと…話あって…ここへ来たら誰もいないし…
けど荷物置いたままやったから戻ってくるかなって…」

泉「ちゅうか、勝手に入ってスイマセン!!」ペッコリン

照「いいよーいいよ。気にしないで、じゃあ、お先~♪」

菫「ちょ、照!お前!」オイカケ

照「せっかく来てくれたんだから、ちゃんと話して」コソコソ

菫「で、でも」コソコソ

照「じゃあねー」

バタン

菫「(う、うぅ…もう会えないのは寂しいと思っていたのに
いざこう目の前にするとなんだか恥ずかしいのは何でだろう…)」

フタリキリ

菫「…えっと、どれくらい待った?」

泉「1時間くらい…かな」

菫「すまない」

泉「そんな、うちが勝手に待ってただけやし…」

菫「それで話って…?(ソファに座ろう)」ポフッ

泉「…単刀直入バージョンの遠まわしバージョンどっちがいいですか?」ミアゲル

菫「えっ…///(そこでそんな顔するなよ…か、可愛いなぁ)」

菫「じゃあ…単刀直入に頼む(んっ?可愛い…?)」

泉「わ、わかりましたっ」ドキドキ

菫「(なんでこんなに緊張するんだろう…泉も緊張してるみたいだし…
そんな、告白じゃあるまいし…んっ…!!?)」

泉「…もっかいになるんですけど、」

泉「うちのお姉ちゃんになってください!」ペッコリン

菫「…そ、そうか(は、早とちりして恥をかくところだった…危ない危ない)」

ね、眠い

泉「うち、さっきは思いつきであんなこと口走って…
弘世さんめっちゃ困ってたし、あの、なかったことにしようって思ったんやけど」

泉「けど、…そのときの気持ちを全部なかったことにするんは
ちょっと寂しいかなって…お姉ちゃんみたいやなって思ったんは事実やし…」

泉「そやから…その、やっぱり…」

菫「…そういうことか、はぁ」タメイキ

菫「一体なんでそんなことを言われたのかよくわからなかったんだ」

菫「でも、よくわかった・…嬉しいよ、泉」ダキヨセ

泉「え、ちょ、ちょっ///」

菫「いいさ、それでは泉の姉になろう。それまた、楽しそうだ」ダキシメ

泉「…お、お姉ちゃんって呼んでもええの?」腕の中でウワメヅカイ

菫「(うぅっ…か、可愛すぎる…こんなに可愛い妹ができるのか…)」

菫「(非常に悔しいが、照の言っていたことは正しかった…っ!!)」

菫「(…でもなんだか、チクリと胸が痛いのはなぜだろう?
まあいい…今それは考えなくていい…胸に仕舞っておくか…)」

菫「…好きに呼べばいい」

泉「ほ、ほな…お、お姉ちゃん?」

菫「こ、これは…(いいな、よすぎるだろ!照、お前を見直したよ!)」

泉「…お姉ちゃん、うちな、お姉ちゃんのこと怖いって思ってた。
鋭い目で見られると萎縮してしもうて、力が出せへんかった」

菫「…あぁ(泣きそうな顔してたな…)」

泉「けど、お姉ちゃんは優しくしてくれたし、怒ってくれた。
そのことがめちゃ嬉しかってん!ほんまやで?」

泉「前を向いて、頑張りたい、強くなりたいって思えた…
せやからほんま、ありがとうございます」

菫「いや…そんな大したことはしてないよ、けどそう思ってもらえたのなら
私も話をして良かったと思う、なにより、妹が出来たからな?」

泉「え、えへへ…」テレ

菫「(このあと私達は連絡先を交換し、それぞれのホテルへ戻った)」

菫「(照がしつこくどうなったと聞いてくるのが面倒だったが
妹は素晴らしいものだな、とだけ言ったらなにやら満足そうに頷いていた)」

菫「(…さて。可愛い妹もできたことだし、3連覇へ向け、準備をしなくては)」

菫「妹…か」

菫「(可愛い妹、と思っているのに、口に出すとなんとなく違和感がある)」

菫「(二条泉…妹…可愛い、妹……それでいいのか?)」

菫「いや、いいんだ…いいに決まってる。何を考えているんだ私は…」

菫「もう寝よう、余計なことを考える前に寝てしまおう」


菫「おやすみ、可愛い妹」




カン!

ね、眠いから…寝ようかなぁ的な?

ちゅーわけで支援ありがとうございました

書き上げてからの投下ばっかしてたから書きながら
リアルタイム投下すんのはドキドキしたー

続きも一応考えてはいるので明日にしようかな…

じゃあみんなおやすみ


京太郎「お姉ちゃんになってください!」

菫「ロン(物理)」

京太郎「ふぐぁっっ!!」

保守感謝

夕方には来られると思います!

では

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