結衣『あかり、お腹空いてない?私の家でオムライス食べていきなよ』
結衣『口が汚れてるぞ。拭くからこっち向いて』
結衣『今日は暑いし汗かいたよね?着替え持ってきたから着替えなよ』
結衣『え?今日はあかねさんも帰らない?だったら私の家に泊まりに来なよ』
あかり「……みたいな感じでビックリだよぉ」
京子「スゴいな」
ちなつ「あかりちゃんばっかり……!」
京子「しばらく結衣の家で暮らせば良くね?そうすれば結衣も飽きるかもしれないし」
あかり「えぇ!?」
ほう
ほう
ほう
ふむ
事故で両足を失ったあかりちゃんの世話する結衣ちゃんはよ
良いね
ちなつ「だったら私も行きたいです」
京子「行ったら行ったで結衣はあんまりちなつちゃんに構ってくれないと思うよ」
ちなつ「う……」
あかり「でも一人だとちょっと怖いよぉ」
京子「大丈夫だって。別にあかりのことを取って食う訳じゃないだろうし」
あかり「京子ちゃんも来てほしいなあ」
京子「ごめん、今日はミラクるんのために早く帰りたいんだ」
あかり「だ、だったらあかりも京子ちゃんの家に行きたいなあ」
京子「今日は一人で観たいから無理だね」
あかり「じゃあやっぱりちなつちゃんも結衣ちゃん家に行こう?」
ちなつ「行きたいけど結衣先輩あかりちゃんばかり構うんでしょ?だったらちょっと……」
あかり「うぅ……」
京子「まあ、肝心の結衣がまだ来てないから何とも言えないけど」
ガラッ
結衣「遅れてごめん。もうみんな来てたんだ」
あかり「あわわ」
京子「結衣ー、あかりが結衣に話があるんだって」
あかり「な、何でもないよぉ」
京子「照れるなって。何でもあかりが結衣の家に泊まりたいんだって」
あかり「きょ、京子ちゃん!?」
結衣「本当か、あかり!?」
ほら、ネタは提供したから誰か
乗っ取り歓迎
あ
ワロタ
い
>>15
実はその事故は、結衣があかりを手に入れるために仕組んだものだったというところまで妄想した
で、はよ
ワロタ
う
あかり「あ、え、えぇと…」
結衣「じゃあ行こうかあかり!」
あかり「あ、ちょ、き、京子ちゃん助けてー!」
京子「達者でなー」
あかり「うええええええん」
ちなつ(殺したいぐらいに妬ましい)
京子「ち、ちなつちゃん…顔が般若みたいになってるよ…」
という感じで乗っ取らない
良いね
あかり(…どうして)
結衣「あかり、今日の晩御飯は何がいい?」
あかり(こんなことになっちゃったのかなぁ)
結衣「オムライスがいいかな?それともハンバーグとかの方がいい?」
あかり「あ、あかりは別に何でもいいよぉ」
結衣「じゃあ私を食べてくれないか」キリッ
あかり(キモいよぉ…)
あかり(…京子ちゃんの家に行きたかったなぁ)
道は作った後は誰か頑張れ
あかりちゃんはキモいなんて言わない!
>>46
じゃあ後は任せたぞ
良いね
結衣「…あかり、今京子の事考えてただろ」
あかり「え!?い、いや、考えてないよぉ」
結衣「……」
あかり(うう…何か怖いよぉ)
落とさせはしないが俺はイクサー1を見てくる
良いね
はよ
う
たまには与えられる方では無く、与える方になってみては如何かね…
結衣「それなら、京子のことを考えてなかったって証明してほしいな」
あかり「えっと……どうすればいいのかなぁ」
結衣「キスして」
あかり「そ、そんんなの無理だよぉ」
結衣「出来ないってことは、やっぱり京子のこと考えてたんだ……」
いいよいいよ
結衣「…………」ジー
あかり(うえ~ん、結衣ちゃん怖いよ~)
結衣「……もういいや、夕飯つくるから寛いでていいよ」
あかり「あっ……う、うん。そうさせてもらうね」
あかり(えーと、どうしよぉ、結衣ちゃん怒っちゃった)
あかり(でもでも、女の子どうしでキスなんてダメだよ~)
結衣「なんでもいんなら、つくるのも面倒だしカップ麺でいいよね」
あかり「あ、あかりも何か手伝いたいなぁ」
結衣「いいって、カップ麺ぐらい一人つくれるよ。馬鹿にしてるの?」
良いね
あかり「ち、ちがうよ! そんなことないってば!」
結衣「まぁ、どっちでもいいや。怒っちゃってごめんね」
あかり「ホントに違うんだよ~」
結衣「それじゃ、準備してくるから」
あかり(あっ、行っちゃった)
あかり(うう~、なんとかして結衣ちゃんの機嫌を治さないと)
あかり(でも、どうしたらいいのか分かんないよ)
あかり(……キスしてってことは、やっぱり結衣ちゃんはあかりのことが……///)
あかり(あかりにばっかり構ってくるのもそういうことだよね?)
トコトコ
あかり(足音、戻ってきたみたい)
ガチャ
結衣「はい、早く片づけしたいから急いで食べてね」コトッ
あかり「わ、わ~い、あかりカップ麺大好き~」
結衣「はぁ……、いままでごめんね、あかり」
あかり「え、どうしたの結衣ちゃん」
結衣「実はさ、今日の部室のみんなの話聞いちゃってたんだよね」
結衣「あかりが私に構われるのも迷惑に思ってることも、京子の家の方がいいって言ってたことも」
あかり「そ、それは……」
結衣「いいわけしなくていいよ、ホントは私自信ぜんぶ分かってたから」
あかり「……ごめんね」
結衣「あはは、いいって、悪いのはこっちなんだから」
結衣(失敗しちゃったなぁ、やっぱり必死になりすぎるのはダメだった)
良いよ
結衣「……」
あかり「……」
あかり(どうしよう、何か言わないと)
結衣(もう潮時かな……まぁ、駄目でもともとだったし)
あかりゆ、結衣ちゃ────」
結衣「あかり、今日のお泊りはなしにしよっか」
あかり「……!! ダメだよぉ、そんなの」
結衣「私に遠慮しなくていいよ、これ以上あかりに迷惑はかけれない」
結衣「ほら、カップ麺食べてからでいいから」
あかり「め、迷惑なんかじゃ……」
結衣「……あかり、そこで言い淀むのは迷惑だってことを肯定してるのと同じ」
結衣「あかりは優しいから自分の気持ちに嘘をついてでも私をかばおうとしてるんだ」
結衣「あかりが部室で京子たち言った言葉が本心なんだよ」
しえ
あかり「で、でも……」
あかり(どうしよう、結衣ちゃんのスキンシッが嫌だったのはホントだし、なにも言い返せないよ)
結衣「ほら、早く食べないとおそくなっちゃうよ」
あかり「そ…それなら結衣ちゃんが送ってくれれば」
結衣「……まぁ、罪滅ぼしとしてそれくらいはするよ」
結衣「なら、なおさら早く食べてくれないと。あんまり暗くなると私が帰るとき危ないし」
あかり(しまった、これじゃお泊りをやめるのに賛成してるのと同じだよ~)
5分後
あかり(どうしよう、何もできない間に食べ終わっちゃったよ)
結衣「ごちそうさま、ほらあかりも」
あかり「あ……ごちそうさまでした」
結衣「よくできました、あかりの荷物持ってくるね」
あかり「……うん、お願い」
玄関
結衣「それじゃ行こっか
あかり「…………そうだね」
あかり(うぅ……このままじゃ家についちゃうよぉ)
結衣「そういえば、こうやってあかりと二人でいるも最近じゃ珍しくなかったよね」
あかり「うん……結衣ちゃん昼休みにもあかりたちのクラスにいたもんね
ちなつちゃんなんて凄く恐かったよ」
結衣「あはは。まぁ、それも今日で終わりにするよ」
あかり「そう……なるんだね」
あかり(そうだよ、これで前の結衣ちゃんに戻ってくれるんだよね)
あかり(なら、そのほうがあかりにとって嬉しいことのはず)
あかり(「じゃあ私を食べてくれないか」なんて言っちゃう結衣ちゃんは嫌だけど
普通の結衣ちゃんとならお泊りも嫌じゃない)
あかり(そうだよ、また改めてお泊りすればいいんだ。今度はちなつちゃんや京子ちゃんの一緒に)
結衣「あれ、ここって確か……」
あかり「え?」
あかり「あっ、この公園は小さい頃によく遊んでた……」
結衣「うん、なんだか懐かしい」
あかり「よく結衣隊長ーって呼んでたよね」
結衣「それで、京子は子犬みたいにオドオドしながら私たちの後を着いてきてたっけ」
しえ
あかり「京子ちゃん、ブランコとかジャングルジムとか、遊具で遊ぶの恐がって砂遊びしばっかりしようとしてた」
結衣「まぁ、結局はそんな地味なのは嫌だーって私たちが無理やり別のことさせて」
結衣「……あの頃に比べたら、京子も変わったよなぁ」
結衣「随分ふてぶてしくなったし、自分のやりたいことには遠慮しないし」
あかりうーん……それはちょっと違うんじゃないかな」
結衣「違うって、何が?」
あかり「そうだねぇ、京子ちゃんはやっぱり根は昔のままなんだと思うよ」
あかり「今の京子ちゃんはちょっと無理しってるっていってもいいかも」
結衣「無理してる……だって?」
あかり「結衣ちゃん、部室のあかり達の話聞いてたんだよね」
あかり「それなら分かると思うけど、京子ちゃんこう言ってたよね
「しばらく結衣の家で暮らせば良くね?そうすれば結衣も飽きるかもしれないし」って
これ、よく考えてみるとちょっと変だよ」
結衣「それって、さっきまでの話と関係あるの?」
あかり「まぁまぁ、最後まで聞いてみてよ」
あかり「うーん、でも。ちょっと直球すぎたかな?」
あかり「おかしいのは京子ちゃんの部室での行動って言ったほうが正しい」
あかり「まず、あかりは部室にいたちなつちゃんと京子ちゃんに結衣ちゃんのことを相談した」
あかり「すると、京子ちゃんが
「しばらく結衣の家で暮らせば良くね?そうすれば結衣も飽きるかもしれないし」と言った」
あかり「ここまではいいよね?」
結衣「うん」
あかり「次にちなつちゃんが自分も結衣ちゃんの家に泊まりたいがったけど、京子ちゃんがそれを止める。」
あかり「それでも、結衣ちゃんの家に行くのが嫌だったあかりは、京子ちゃんに来てほしいってお願いした」
結衣(あらためて嫌だって言わると結構ショックだな)
あかり「京子ちゃんはこれも断った。それに加え、京子ちゃんの家に泊まるのも拒否してたね」
あかり「それで最後には、部室に来た結衣ちゃんにあかりを連れていくようにけしかけた」
あかり「あかりが、おかしいな、って思ったのはその時かな?」
あかり「これじゃあ、あかりを結衣ちゃんの家に止めさせたいみたいだなって」
も
あかり「そう思うと、そもそも京子ちゃんの態度がおかしいことに気付いたの」
あかり「結衣ちゃんの話を聞いた後の、京子ちゃんの言葉を思い出してみて。
「スゴいな」っていったんだよ」
結衣「別におかしくないって、私の行動に京子が驚いただけだろ」
あかり「ちがうよ、これもおかしい。結衣ちゃんが休み時間になったとたん自分の教室からいなくなるのは京子ちゃんも知ってたはずだよ」
あかり「一日だけならともかく、毎日、毎時間いなくなるなんて一緒にお昼を食べる京子ちゃんじゃなくても不審に思わないはずがない」
あかり「そしたら、結衣ちゃんの後をつけてみようと考えてもおかしくない」
あかり「まぁ、尾行まではいかなくても、何をしているのか聞いてみようと思っても不思議じゃない」
あかり「でも、結衣ちゃんはそんなことは一切身に覚えがない。そうだよね?」
結衣「うん、京子の様子はいつもとと変わりなかった」
結衣「でも、それはいつもみたいに京子の気まぐれじゃいの?」
あかり「うん、確かにそうかもしれない。でも、あかりはこう考えてる」
あかり「京子ちゃんは、私たちから距離をおこうとしてたんじゃないかって」
結衣「……な、なんだよそれ!」
風呂はいってくる
結衣「だいたいっ、あかりの言ってることは全部推測じゃないか、
おまけになんの証拠もない。論理が飛躍しすぎだ!」
あかり「うん、その通り、これはあくまで推測でしかない。
でも、やっぱりこう思わずにはいられない」
あかり「結衣ちゃん、あかりに構うようになってから京子ちゃんとも疎遠になってた。
隙があればあかりと一緒にいようとしてたし」
あかり「京子ちゃんと結衣ちゃん、すごく仲良しだったんだよ。
女の子のあかりからみても恋人どうしかってくらいに」
結衣「────なっ!」
あかり「結衣ちゃんの家に二人きりで泊まるのはいつの京子ちゃんだった」
あかり「結衣ちゃんの家には京子ちゃんがいつきてもいいようにラムレーズンが常備してある」
あかり「結衣ちゃんの家には京子ちゃんがおいていった漫画が本棚に並んでいる」
あかり「同人誌の締め切りが近付いた時、徹夜で作業する京子ちゃんのそばにいるのは、いつも結衣ちゃんだったでしょ?」
あかり「どうみても、二人の距離は友達と呼ぶには近すぎだよ」
あかり「ねぇ、結衣ちゃん……あかり、気付いちゃったよ」
あかり「京子ちゃんは結衣ちゃんのことが……一人の女の子として大好きだって」
「勝手なこというなよ、あかりぃ!!」
結衣「え……この声!?」
あかり「京子ちゃん!!」
京子「………………」
結衣「どうして、こんなところに」
あかり「そ、そうだよぉ。なんで京子ちゃんがいるの?」
京子「あかり、話しちゃったんだね私の気持ち」
あかり「……うん、そう」
京子「あーあ、ずっと隠しとくつもりだったのになぁ~」
結衣「京子、ホントなのか? 私のことが好きだって」
京子「ばれちゃったなら、しかたないか」
京子「うん、ホントのホント。私、歳納京子は船見結衣のことを愛しています」
京子「ずっとずっと昔から」
結衣「……そんなこと急に言われたって、どうすればいいんだよ」
結衣(あぁ、いったいどうなってるんだ、京子が私のこと好きだって)
結衣(そう、そうだよ! 私たちはただの幼なじみじゃなかったのか?)
京子「大丈夫だよ。結衣が私のこと好きじゃないって分かってるから」
京子「それに、私にとってもその方がいい」
結衣「わけわかんないよ! 好きって言った後に、そうじゃないほうがいいだって?」
京子「ははは……ホント、自分勝手だよね」
あかり「……ハッ、そうだよ~。なんで京子ちゃんはここにいるの?」
京子「……はぁ~、あかりぃ。大事なとこなんだから邪魔しないでよ」
京子「う~ん、そうだね。そこんとこ含めて説明しようかな」
京子「ねぇ、結衣、あかり。おかしな事ばっかだりと思うかもしれない」
京子「変な話かもしれない。それでも、私の気持ち聞いてくれるかな」
結衣「……わかった。正直、今の時点でも混乱してるけど、
ちゃんと聞くよ、最後の一言まで」
あかり「うん、わかった」
京子「ふぅ、それじゃあ、単刀直入に言っちゃいましょう!」
九月一日。新学期初日。
久しぶりの教室。短い夏を経て様変わりした級友たちの姿がある。
固まり合い、思い出を語り合う彼女らの姿を尻目に、
私は一人寂しく、自分の席に座り込んでいる。
そんな私に向かって、一人の見覚えある人物が近付いてきた。
肩で息をし、額に汗をかいた浮かべながら、必死の形相で群衆をかきわけ、
ついに、私のもとに辿りついた。
「やぁ、久しぶり綾乃」
「はぁ……、はぁ……船見さん、本当なの?」
「歳納京子が転校したって」
京子「まず、大事なお知らせを一つ」
京子「私、次の夏休みが終わったら転校します!」
すいませんが、展開を広げすぎてのでちょっと話をまとめてきます
今日は休みなので2:00ぐらいから再開します
○月×日 はれ いっしゅうかんのできごと くらげぐみ としのうきょうこ
きのうことです、あかりちゃんとゆいといっしょにあそびました
でも、ころんでてのひたをすりむいてとてもいたくてなきそうになりました
でも、あかりちゃんがはっぱかめんのおどりをしてくれてげんきがでました
そのあとにゆいがきずぐちをなめてなおるといってくれました
するとゆいのいったとおりにいたみがとんでいってしまいました
ゆいはすごいです じまんのともだちです
□月△日 はれのちくもり いっしゅうかんのできごと くらげぐみ としのうきょうこ
このまえのにちようびのことです。そのひは、あかりちゃんとゆいといっしょにこうえんにいきました。
そこにはとってもいじわるなちーというおんなのこがいていじわるをされました。
とってもこわかったけど、ゆいがまもってくれたのでだいじょうぶでした。
ゆいはとてもかっこよくて、てれびにでてくるはくばのおうじさまみたいです。
こうえんはみんなのばしょなので、ちゃんときまりをまもってなかよくしないとだめです。
京子の部屋
バタン
京子「……なつかしいな、お母さん私の幼稚園の時の日記なんて残してたんだ」
京子「傷口をなめるなんて、結衣も随分と大胆だったんだな」
京子「この時だったなぁ、結衣のこと意識しはじめたのは」
京子「それで、結衣にふさわしい女の子になりたくて、泣き虫な自分を変えようとした」
京子「でも……そのおかげで随分苦労することになった」
京子「今考えると、あんなことで悩んでた自分がばからしいや」
京子「ま、今となっちゃいい思い出かな」
京子「……もう、明日には出発か」
京子「家具もなんにもなくなっちゃうと、この部屋も広くかんじるもんだね」
京子「そろそろ寝ようかな、自分の部屋で寝袋ってのは変な気分だけど」
ガサゴソ
京子(……この天井も見上げて寝るのも今日で最後か)
京子(日記のせいかな? なんか、いろいろ思い出しちゃう)
京子(そうだ……昔の私はとても弱かった)
京子(そして、そんな自分が嫌だったんだ)
いつも、嫌なことや、恐いことがあったとき、守ってくれたのは結衣だった。
そんな結衣の存在は、いつも私を安心させてくれた。
かけがいのない友であり、どんなものからもまもってくれる王子様。
私は、次第に彼女に引かれていった。
しかし、結衣への気持ちが大きくなるにつれ、一つの不安が胸の中に生まれた始めた。
結衣は、自分に振り向いてくれないのではないか。
それどころか、こんな私に愛想をつかして別の友達のところにいってしまわないだろうか。
”そんなのは嫌だ。”
いつのまにか、私にとっての嫌なことや恐いことは、結衣との距離が広がることへと変わっていた。
この臆病さを治さないことにはどうにもならない。
いつかは、結衣を引っ張っていけるくらい強い人間になるんだ。
まず最初に、私は遠慮せず、自分の意見を述べることを覚えた。
はっきりと大きな声で人と話すこと。縮こまらずに、まっすぐ立って自分を大きく見せること。
自分の駄目なところを、思いつく限り潰した。
小学校に入るころには、自分でもそれなりに変われたと思っていた。
事実、結衣と肩を並べて歩くことに、抵抗も感じることもなくなり、優越感に浸っていた。
ちょうどその頃、結衣は長かった髪をばっさり切った。
私がその意味を知るのは、かなり未来のことになる。
中学生になった。
その時には、結衣との関係────私の奇抜な行動に結衣が文句をいいながらも着いてきてくれる。
そんな光景が、日常の一部となっていた。
京子「今日からここが娯楽部の部室だっ!」
結衣「堂々と無断占拠の宣言をするな」
結衣「だいたい娯楽部ってなんだよ」
京子「楽しいことっ」グッ
結衣「訳わかんないし」
京子「せっかく中学生になったんだからさ、おもしろおかしいこと一杯したいじゃん」
京子「ここは、そのための秘密基地だ」
結衣「秘密基地……」
京子「作ろうぜ、結衣。」
京子「私たちの娯楽部を!」
結衣「……たく、しょうがないな京子は」
私は心からの笑顔で答えた。
娯楽部。この部活動は私にとって大きな意味がある。
結衣との関係は盤石なもので、そう簡単になくならないだろうと信じていた。
けれど、心の奥底には不安があった。
新しい学友たち、その中に、私から結衣を奪う存在があるのではないかと。
幸運にも、結衣と同じクラスに配属された。これで、教室内での結衣の交友関係を把握できる。
とすると、新しい人間関係のうち、しかも結衣を束縛するもの。その最たるのは部活動である。
さっそく、外堀を埋めにかかった。
放課後の時間を結衣とともに過ごせる空間、娯楽部の創設。
そこに結衣を引きこむことに成功した。
私は、学校では常に結衣と居た。休み時間、放課後、片時も離れることなく。
プライベートでも二人で遊びに言った。一人の時間ほうが短かった。
入学から一年。懸念していたような"恐ろしい事態"もなく、満たされた日々を送っていた。
二年生に進級してしばらくしたある日のこと、ついに、恐れていた事態が起こってしまった。
安寧を脅かす存在が表れた。
そう、吉川ちなつ。彼女が娯楽部の門をたたいたのだ。
「よ、吉川ちなつです。入部希望ですっ」
まさしく奇跡だった。
愛と正義の魔女っ娘ミラクるん。アニメの住人だった憧れのヒーローが現実に飛び出してきた。
あんなにも興奮したのは、後にも先にも、この時だけだ。
だけど、そんな気分もすぐに打ち破られた。
「ちなつちゃん、なにかあったらすぐに言いなよ、私が守ってあげるから」
「ちなつちゃん、なにかあったらすぐに言いなよ、私が守ってあげるから」
私の心に、大きな波風が立った。
虚を突かれ、心の片隅に追いやっていた不安が、再び鎌首を擡げ始めた。
泣きだしてしまいたかった。今すぐにでも堰を切って。
「だいじょうぶ、京子はわたしが守ってやる」
私に、私だけにかけてくれた、どんな沈んだ気分でも、たちまち薔薇色にかえてくれる魔法の言葉。
それを、ついさっき出会ったばかりの少女に向かって言い放った。
たちまち気もそぞろになった。
しかし、長年積み上げてきた道化としての自分が、本心を押しとどめさせた。
我ながら、あれには無理があった。ミラクるん変身セットを買いにいくだなんて。
しかし、そんな常識はずれな理由でも、私を行動させるには十分だと思われていた。
”そう思われる自分”を演じてきたのは、他ならぬ自分だけども。
その日、私は自室にこもり考えた。
はたしてそれは、ほんとうに幸運なことだったのだろうか?
恐かった。遠くない日に、結衣が彼女に心を移してまうのではないかと。
他人に愛情を向けてほしければ、自分の方から愛情を向けなければならない。
そんな、使い古された説教が頭に浮かんだ。
ただ、結衣の隣にいれるだけで十分だった。
私はそこで止まっていたんだ。これでは次の段階に進むことなんてできない。
そう。そんな絡繰りを見て見ぬふりで逃げつづけていた。
胸襟を開いて弱い自分をみせる強さも必要だったんだ。
でも、結衣はどうなんだろう。結衣の気持ちは私と同じなのだろうか?
胸騒ぎがする。心臓が早鐘を打つ。
人目をはばかるように、隠し通してきた不安。その秘奥で芽生えていた懐疑。
私たちの関係は、ほんの些細はなきっかけで壊れてしまうのではないか。
私を守ると言った結衣。ちなつちゃんを守ると言った結衣。
どちらを信じればいいのか分からない。
もう、この迷いに背を向けることはできなくなった。
なんらかの覚悟を決め、節を全うしなければならない。
恋の始まり、傷口を舐めた舌の感触。私の王子様だった結衣。
あの記憶を辿っていくと、あのころ、心に点っていた熱が鮮明に蘇る。
溢れんばかりの陶酔感が私をつつみこむ。
今なら、どんなことだって出来る。
でも、今の結衣のことを考えても、それは得られない。
それどころか、自分でも分かるくらいに眉を曇らせるばかりだ。
おかしなことだ。同じ結衣なのに私に与える印象が180°異なっている。
どうしてこうなったのか? 思考は深みはまるばかりで、なんの解決ももたらしてくれない。
用事ができたのでしばらくはなれます
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