優希「はぁ・・・」
咲「どしたの?」
優希「今月も赤字だじぇ」
和「またですか。そもそも一個数百円するタコスを毎日食べてるんですから当たり前です」
咲「一個300円だとして一日5個。それを一週間に五日で一ヶ月だと考えると・・・」
咲「嘘!?一ヶ月に30000円!?」
優希「休日にも食べるし300円より高いのだって食べるからもっといくじぇ」
和「いばらないで下さい」
優希「でも困ったじぇ・・・。このままじゃ借金が膨れ上がって体を売る破目になるかもしれないじょ・・・」
咲「えっ・・・優希ちゃん借金してるの!?」
和「バカなんじゃないですか。繰り返しますけど、優希はバカなんじゃないですか」
優希「てへ☆」
和「お茶目に舌を出してる場合じゃないでしょうに」
咲「アルバイトしたらどうかな、優希ちゃん」
優希「全国大会を控えたこの時期にバイトなんてできるわけないじぇ。常識で考えてよ咲ちゃん」
咲「ごめん・・・」
和「バカ優希。タコスで借金作ってる貴女が咲さんをどうこう言う資格はありません」
優希「はぁ・・・」
優希「おい京太郎。さっきから黙ってるけど、何してるんだじょ?」
京太郎「ああ。俺は県予選でも敗退しちゃったからな。バイトでも始めようと思って求人見てたんだよ」
優希「ほう、見上げた犬だじぇ」
京太郎「そうか?高校生なんだし別に普通だと思うけどな」
優希「京太郎に命じる。バイトをして私の借金を返済するんだじょ」
京太郎「は?やだよ。そんなのお前がなんとかしろよ」
和「優希は甘え過ぎなんですよ。この際、少し痛い目見た方がいいです」
咲「でも京ちゃん、借金が返せなかったら優希ちゃんは体を売らなきゃなんないんだって。ねぇ、なんとかならないかなぁ・・・」ウルウル
優希「私が風俗で働いて変な病気で死ぬことになったら京太郎のせいだじぇ。お前は一生後悔するからな」
京太郎「咲・・・」
和「咲さんがそこまで言うのなら私が立て替えても・・・」ゴニョゴニョ
京太郎「わかったよ。優希がそんな目に遭うのを見過ごしても寝覚めが悪いもんな。でも今回だけだぞ。あと、ちゃんと後で返してくれよな」
優希「やった~。お前はできる犬だと思ってたんだじぇ」
咲「よかったね、優希ちゃん」
和「死ねばいいのにこのタコス・・・」ボソッ
染谷「話は聞かせてもらったぞ、京太郎」
京太郎「染谷先輩!?」
染谷「優希の借金を返済するためにバイトするんじゃろ?よかったらわしの家でやっとる麻雀喫茶で働かんか?」
京太郎「いいんですか?」
染谷「おう、もちろんじゃ。その頭じゃバイト探すんも難儀するじゃろ」
咲「確かに金髪だとどこも雇ってくれるのためらっちゃうよね」
和「田舎ですしね」
京太郎「すみません染谷先輩」
染谷「何、困ったときはお互い様じゃあ」
優希「ねえねえ染谷先輩・・・」
染谷「なんじゃ?」
優希「先輩のお店になんだけど、京太郎のツケってことにしてタコス食いに行ってもいいか?」
京太郎「お前はまた借金を増やすつもりか!?」
咲「あ、あはは・・・」
和「ほんと、死ねばいいのに」ボソッ
京太郎(こうして俺は染谷先輩の麻雀メイド喫茶、Roof-topで働くこととなった)
染谷「こん店じゃあ広島弁ができんと話にならんけぇね」
京太郎「はぁ・・・」
染谷「まあおいおい慣れるじゃろ」
蒲原『すみませーん』
染谷「お客さんじゃ。よし、京太郎。注文をとってくるんじゃ」
京太郎「わかりました」
蒲原「ワハハー、メニューをもらおうか」
京太郎「はい、こちらになります」
衣「おい」
京太郎「はい、何でしょうか?」
衣「見ない顔だな。新顔か?」
京太郎「ええ。数日前から見習いという形でこの店に
衣「そうか。智美、もう決まったか?」
蒲原「うん。衣はメニュー見ないでいいのか?」
衣「衣の頼むメニューは決まってるからな」
蒲原「それじゃあ私は、このライトニングサンダータルタルエビフライ定食ランチをお願いしようかな」
衣「衣もそれで」
京太郎「えっ・・・」
京太郎(どうしよう・・・。マズイぞ・・・。ランチタイムはもう終わってるから、このランチタイム限定メニューは断らないと・・・)
京太郎「お、お客様・・・。失礼ですが当店のランチタイムは既に過ぎておりますのでそのメニューはちょっと・・・」
蒲原「ワハハ、そうなのか・・・。せっかく楽しみにしてたのにな・・・」
衣「なんとかならないのか?金ならあるぞ」
ドン!
京太郎(すごい札束だ!!ど、どうしたらいいんだ・・・!?染谷先輩・・・、俺は・・・)
京太郎(ざっと見て数十万以上はあるだろうな・・・。優希は月に数万単位でタコスを食ってる。清澄に入学した4月からだからあれだけあれば優希の借金を払っておつりが出る・・・)
京太郎(まだこの店でお世話になって数日だから、知らないふりしてオーダー取っちまうか?作るのは厨房だしな・・・)
京太郎(で、でも俺にはそんなこと・・・)
京太郎「私の一存では・・・。上の者に聞いてきますので少々お待ち下さい」
蒲原「そうかー、わかったぞー」
衣「色よい返事を期待している」
京太郎「染谷先輩、あの・・・」
染谷「あー、わかっとるわかっとる」
京太郎「えっ?」
染谷「よう頑張ったのう。たまに来るんじゃよ。ああいうの0が」
京太郎「そうなんですか?」
染谷「ああ。ランチタイム限定メニューをランチタイム外に出せっちゅうたり、ディナー限定メニューを昼間に出せっちゅうばかたれがな」
京太郎「俺、どうしたらいいかわからなくて・・・」
染谷「今回はわしの対応をよく見て、次からはそれを見習った対応をするんじゃ」
京太郎「はい、わかりました!」
京太郎「すごいです先輩!まさかあんな強気な対応で断るなんて!」
染谷「ああいう客にいちいち付き合っとったらいくら時間があっても足りんけぇね。ああいうんをくれーまーいうんよ」
京太郎「でも、俺、自信ないっす・・・。もし変な接客してこの店の評判を落としたらって思うと・・・」
染谷「ふむ・・・。そんじゃあキッチンで働いてみるか?」
京太郎「俺がキッチンで!?」
蒲原「食べれなかったな・・・」
衣「うん・・・。衣、Roof-topのあの有名なライトニングサンダータルタルエビフライ定食ランチを楽しみにしてたのに・・・」
蒲原「学校終わってすぐ来たんだけど、ランチタイムには間に合わなかったからなー・・・」
衣「悔しくて衣は・・・衣は・・・」
蒲原「そういえば衣はなんでエビフライが好きなんだー?」
衣「話せば長くなるがいいか?」
蒲原「ワハハー、それじゃあ手短に頼む」
衣「あれは衣が中学に通っていたときのことだ・・・」
蒲原(何だか長くなりそうな気がするぞー)
衣「その頃、透華の父上も母上もお盛んで、衣は龍門渕の家に邪魔だったから東京の蒼山☆学院☆中等部に通ってたんだ」
蒲原「この長野からかー?」
衣「いや、衣は東京で独りで過ごさせられた」
衣「そこで衣は最初は普通の学校生活を送っていたのだが、ある一人の生徒に目をつけられたことから生活は一変する・・・」
蒲原「ある一人の生徒?」
衣「芸能人の黒鬼瞳の娘、伊知地萌子というんだ」
蒲原「黒鬼瞳っていったら超有名女優じゃないか!そんな大女優の娘に目をかけてもらったなんてすごいじゃないか!」
衣「・・・・・・・・・」
衣「その伊知地萌子は大女優の娘というだけあって親が学校にたくさんの寄付をしていたんだ。だから、どんな勝手も許された・・・」
蒲原「まあ大金持ちだし、名前も売れてるしな。学校も特別扱いしたくもなるさー」
衣「そうだな・・・。それで、その伊知地萌子なんだが、女優の娘というわりにはパッとしない容姿だった」
蒲原「地味なのか?」
衣「いや、こういうとき純ならなんというだろう・・・?ぶっちゃけ醜女だ、とでもいえばいいのだろうか?」
蒲原「つまりブスなのか・・・」
衣「うむ・・・。母に似ず、伊知地萌子は父に似たのかもしれない。とにかく外見にコンプレックスを持っていたのか、衣を目の仇にし出したのだ・・・」
蒲原「そうだったのか・・・」
衣「伊知地萌子は卑劣な女だった・・・。小さくて抵抗できない衣をいいことに、暴虐の限りを尽くした・・・」
蒲原「酷い女だな、そのゴリラ」
衣「影ではそのあまりの傍若無人なわがままっぷりから、伊知地萌子を暴王の月(メルゼズ・ドア)と呼ぶ生徒もいたらしい」
蒲原「まあ、逆らえないなら陰でそう言う子が出るのもわからなくもないなー」
衣「最初はまだ可愛い方だった・・・。授業中にケシゴムの破片やカスを飛ばしてきたり、メカニカルペンシルで刺してきたり」
蒲原「いやいや、刺すのは可愛いなんてものじゃないだろ」
衣「いや、それ以上のことを衣はされてきたからな。列挙すると一時間では語り尽くせぬ」
蒲原「そんなに酷い奴なのか、その黒鬼瞳の娘の伊知地萌子って女は・・・」
衣「体育の授業の際、体操着への着替えは男女別々なのだが、衣は伊知地萌子とその取り巻きに押さえつけられて男子の前で着替えさせられたことだって何度もある・・・」
蒲原「酷いな・・・」
衣「それだけじゃない・・・。立場の弱い男子生徒に無理矢理射精させて、衣にその体液をかけさせたこともあるんだ・・・。伊知地萌子は笑ってたよ・・・。いい笑顔だった・・・。母親である大女優、黒鬼瞳顔負けのな・・・」
蒲原「衣・・・」
衣「学校になんか通いたくないと衣はいつも思っていた・・・。でも、不登校なんてしたら龍門渕の家の名前に傷をつけることになる・・・」
衣「そうなれば衣は龍門渕から追放されて行き場をなくすかもしれない・・・。それに透華にも迷惑をかけたくなかったしな・・・。衣には逃げ場なんてなかったんだ・・・」
蒲原「・・・・・・・・・」
衣「それでも、衣は頑張って学校に通った。でも、伊知地萌子はそれを許さなかった・・・」
衣「小さくて可愛いって言われる衣が、あのゴリラみたいな顔のゴリラみたいな娘には気に入らなかったんだ・・・」
衣「親の金や権力でバレエの発表会の主役をしたり、劇団したりしているあのゴリラには、小さくて可愛い衣が何よりも憎い存在に見えていたんだ・・・」
衣「そして大事となる事態が・・・起きたんだ・・・」
蒲原「衣、辛いなら無理に話さなくたっていいんbんだぞ?」
衣「いや、智美に隠し事はしたくない・・・。だから話させてくれ・・・」
蒲原「うん・・・わかったよ・・・」
衣「あろうことか、あの大女優である黒鬼瞳(くろきひとみ)の娘、伊知地萌子はクラスメイトの男子に金を握らせて教室で公開レイプショーなどということを始めようとしたのだ・・・」
蒲原「何だって!?」
衣「教室にはたくさんの男子が詰めかけ、伊知地萌子はその男子たちから見物料としてたくさんのお金を巻き上げていた・・・」
蒲原「最低だな、黒鬼瞳(くろきひとみ)が38歳で高齢出産してできた娘、伊知地萌子っていう父親似のゴリラ女は・・・」
衣「伊知地萌子はその公開レイプシーンを撮影して、それを元にさらにお金を儲けようとしていた・・・」
衣「今までにも無理矢理脱がされて携帯で撮影されたりしたことは日常茶飯事だった・・・。しかし、強姦されてるところを撮影しようだなんて常軌を逸している・・・。衣は逃げた・・・」
蒲原「でも、逃げ切れるものなのか・・・?」
衣「いや、衣は小さくて非力だ・・・。体力もない・・・。だから、女子トイレに逃げ込んだんだ・・・」
蒲原「なるほど、頭を使ったな。女子トイレになら男子は入ってこられない」
衣「その考えは甘かった・・・。逆に、密室は逃げ場がないということでもあったんだ・・・」
蒲原「そんな・・・まさか・・・」
衣「衣はトイレの中に鍵をかけて閉じこもった・・・。だけど、伊知地萌子とその取り巻きはお金を握らせた男子共々入ってきたんだ・・・」
衣「鍵をかけたトイレなんて役に立たなかった・・・。あいつらは上からよじ登って衣の入るトイレに来て、中から鍵を開け衣を引き摺り出した・・・」
蒲原「衣・・・」
衣「そんなとき、トイレに間に合わない上級生が衣の学年のトイレに来たんだ・・・」
小走『おっと、そこのここは女性用トイレだぞ。何故男子がここにいるんだ?』
衣「上級生がトイレに来て、衣は一瞬助かることを期待した・・・。だが、現実は衣に厳しかった・・・。衣は伊知地萌子とその仲間たちに、人も来なくて逃げられないように別な階のトイレに連れ込まれたんだ・・・」
蒲原「・・・・・・・・・」
衣「抵抗は許されなかった・・・。衣は何度も泣いて許して欲しいと嘆願した・・・。だが、大女優でる黒鬼瞳(黒木瞳)の娘である伊知地萌子はニヤニヤしながらずっと衣にカメラのレンズを向けていたんだ・・・」
衣「男子生徒に何度も乱暴に犯され、射精され、衣は死にたいとずっと思ってた・・・。逃げることも、抵抗することもできず、衣はただずっと犯されつづけた・・・」
蒲原「・・・・・・・・・」
衣「そして、伊知地萌子とその取り巻きはそれをニヤニヤしながら眺め、男子生徒にもっと激しくするよう言い、衣は悪魔のようだと思った・・・」
衣「その事件は当然学校にも発覚した・・・。だけど、黒鬼瞳(くろきひとみ)の娘が首謀者ということで隠蔽されることになったんだ・・・。学校も見てみぬふりなんだ・・・」
蒲原「そんな・・・」
衣「だけど、黒鬼瞳(くろきひとみ)に反感を持つ者たちが各所にリークしたんだ・・・。衣が犯されたその事件を・・・」
衣「衣はそんなのは無駄だと思って諦めてたし、衣が犯されて撮影され、その動画を伊知地萌子に公開されたなんて知られるのは嫌だった・・・」
衣「龍門渕の名前に泥を塗ることにもなるし、衣は・・・衣は・・・」
蒲原「もういい、もういいんだ、衣・・・」
衣「結局、衣は停学処分を受けた・・・」
蒲原「えっ・・・!?なんで被害者の衣が停学になるんだ・・・!?」
衣「加害者である伊知地萌子とその取り巻きも、名目上停学処分となった・・・。でも、親バカで知られる黒鬼瞳(くろきひとみ)は、学校への莫大な寄付金や知名度を盾に、うちの子だけ処分されるのはおかしい!される方が悪いんだって口を出して・・・」
蒲原「あの娘あってあの親あり・・・か・・・」
衣「それで、学校は衣に厳しい処分を下したんだ・・・」
蒲原「そっか・・・」
衣「衣はもらわれた子だからな・・・。龍門渕が助けてくれるなんてことはなかった・・・」
衣「そんな事件があったことで、衣はもう蒼山☆学院☆中等部にはいられなくなって、透華に連れられて長野にまた戻ってきたんだ・・・」
蒲原「学校の上層部ももみ消しに協力してるんじゃな・・・。そして、黒鬼瞳(くろきひとみ)親娘に媚を売って被害者に停学処分を下すくらいだし・・・」
衣「傷付いた衣を優しく慰めてくれたのが透華だった・・・。透華は衣が東京を去るとき、エビフライをご馳走してくれたんだ・・・」
衣「その時衣は久しぶりに人の心の優しさに触れたような、そんな安堵感を感じたんだ・・・」
衣「衣はレストランの中だというのに泣いた・・・。泣きながら透華がご馳走してくれたエビフライを食べた・・・」
衣「正直、泣いていて味はよくわからなかったかもすれない・・・。でも、間違いなくあれは天上たる美味であったと断言できる・・・。透華の優しさの味だったのだから・・・」
蒲原「それで衣はエビフライが好きになったのか・・・」
蒲原と衣がライトニングサンダータルタルエビフライ定食ランチを食べられることはなかった・・・
京太郎はその後、Roof-topで頑張って一人前と認められるようになり、片岡優希の借金を完済した・・・
そして伊知地萌子は中学時代の恨みを晴らすべく、衣と共に居た蒲原もろとも衣を始末する・・・
しかし、黒鬼瞳(くろきひとみ)が各所に手を回し表沙汰になることもなく、伊知地萌子が罪に問われることもなかった・・・
大女優でる黒鬼瞳(黒木瞳)とその娘である伊知地萌子は今日も笑っている・・・
我々特権階級は何をしても許されるのだと・・・
完
君たち人間はいつだってそうだ
何を望んでいるのかボクにはわからないよ
お望み通り小走先輩だって登場させたじゃないか
わけがわからないよ
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