シャロ「ハロウィン」 (51)

「探偵オペラ ミルキィホームズ」と映画「ハロウィン」のコラボSSです。
登場人物は主に「ふたりはミルキィホームズ」、
設定の一部や場面はジョン・カーペンター原作の映画「ハロウィン」(主に1、2、4作目)
を基にしたオリジナルストーリーです。
一応グロ注意、殺害描写があります。

ハロウィンに間に合わないどころか、もうクリスマスになってしまった。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387809668

○○年10月31日のハロウィンの夜。
ごく普通の平和な町で殺人事件が起こった。
とある一家の息子である少年が、実の姉を殺害してしまったのだ。
少年の名前は「明神川シオン」。
当時まだ6歳だったシオンは責任無能力の異常者として、
精神病院に措置入院となる。
担当医のルーミス医師は、
シオンに秘められた危険性に気付き、彼に対する警備体制の強化を求めた。
しかし、他の医師達は相手にしようとしなかった。

事件から15年後。
21歳になり、それまで病院でおとなしくしていたシオンは突如脱走。
ルーミス医師はシオンを追うため、名探偵小林オペラに協力を求めた。

ルーミス「小林オペラさん、お願いします!あなたの力を貸して下さい!」

小林「…分かりました、引き受けましょう」

ルーミス「ありがとうございます、では…」

小林「とりあえず、このことを探偵学院の生徒会長に報告させて下さい」

ルーミス「分かりました」

小林(なんだかよく分からないが、嫌な予感がする)

小林(この事件はミルキィのみんなに捜査させる訳にはいかないな…)

アンリエット『はい、アンリエットです』

小林「小林です、実は…」

~~


~探偵学院生徒会室~

アンリエット「分かりました…」ガチャ

アンリエット「…」

アンリエット(大変なことになりましたわ)

アンリエット(とりあえず、まずは生徒の安全を)ガチャ

ネロ「…」

アンリエット「!?」

ネロ「生徒会長…何か大変なことが起こってるんでしょ?」

アンリエット「…」

ネロ「ねぇ…」

アンリエット「あなたには黙っていても無駄でしょうね…」

ネロ「まぁね」

アンリエット「いいですわ、中へ…」

ネロ「はいはい」

ガチャン

アリス「おはようございます」

コーデリア「おはようアリス、時間は大丈夫なの?」」

アリス「いけない!今日は日直だったんだ!」

アリス「いってきまーす!」

コーデリア「いってらっしゃい、気をつけてね」

アリス「はーい!」

コーデリア「…」

コーデリア「元気ね」

カズミ「おーい!アリスー!」

アリス「あ、カズミちゃん!わざわざ来てくれたの?」

カズミ「もちろん!アリスに会わなきゃ一日が始まらないもん」

アリス「ありがとう、嬉しいなぁ」

???「」ジー

アリス「?」

カズミ「どうしたの?」

アリス「今そこで誰かが見てた気が…」

カズミ「そこに?誰もいないよ」

アリス「でもさっきは確かに…」

カズミ「気のせいだってー、さ早く早く」

アリス「あ、待ってー」

???「」

~ホームズ探偵学院 資料館~

ネロ「…」カタカタ

アンリエット『明神川シオンについて調べて下さい』

アンリエット『くれぐれもミルキィホームズの皆さんや、他の生徒に知られることがないように…』

ネロ「…」カタカタ

ネロ(他のみんなには知られないように…か)

ネロ(結局生徒会長も詳しくは教えてくれなかったし、ほとんど何も分からないじゃないか…)

ネロ(とりあえず、15年前の事件が鍵みたいだけど)

ネロ「…」カタッ

ネロ(時間がかかりそうだ…)

~ヨコハマ市街 小林車内にて~

小林「生徒会長にから警察にも連絡してもらったので、市民の安全はなんとか確保できたかと…」

ルーミス「いいや、そうとは言いきれませんぞ」

ルーミス「奴の狙いが分からない以上、油断してはなりません」

小林「狙いが分からない…ですか」

小林「確かにその通りです。そこはやっかいですね…」

ルーミス「えぇ、まったくです」

ルーミス「ところで、どこに向かっているのですか?」

小林「どこという訳ではありませんが、情報が皆無なので手当たり次第、辺りを探してみましょう」

小林「逃走中も何か証拠を残しているかもしれません」

ルーミス「なるほど…」

小林「では行きましょう」

~ヨコハマ警察署~

『本日未明、ヨコハマ郊外で殺人事件が起きました』

『殺害されたのは近くの工場で働く作業員で、犯人は作業着と車を奪い逃走』

『また、近くのおもちゃ屋では作業着を着た犯人と思わしき男が、ゴム製のマスクを盗難しました』

『尚、犯人は現在も逃走中…』

小衣「作業着を盗んだって…それまで裸だったってことかしら?」

平乃「さぁ…でもあまり目立たないように作業着を着たのでは?」

次子「マスクは顔を隠すためだよな?」

咲「でも作業着にハロウィンマスクって逆に目立っちゃうんじゃない?」

平乃「確かにそうですね」

G4「うーん…」

小衣「ってそんな話してる場合じゃないでしょ!小衣たちはヨコハマ市街の警備を任されてるんだから」

次子「明神川シオンだっけか?」

平乃「一体何の目的があって脱走したのでしょう?」

咲「外に出たいからじゃない?」

次子「それはそうだろ」

咲「外に出たい理由、まだ何かやり残したことがあるから、それをやり遂げるため…」

G4「」シーン

平乃「た、確か自分の姉を殺害して措置入院されたんでしたよね…」

小衣「嫌な予感がしてきたわ…」

~ヨコハマ市街~

シャロ「わーい!いろいろ買っちゃいましたー」

エリー「久しぶりのお買い物…欲しい本も買えた」

シャロ「ネロとコーデリアさんも来られたら良かったですねー」

エリー「うん、でも…シャロと二人でも楽しかったよ」ニコッ

シャロ「はい、あたしも楽しかったですー!」ニコニコ

エリー「ふふっ…?」

そのときエリーは、作業着にマスクをかぶった男が乗った車が走り去るのを見た。

エリー「今の車…」

シャロ「へ?何かありました?」

エリー「何かがおかしかった…運転してた男の人と目が合った…」

シャロ「何かが…ですか?」

エリー「うん、はっきりとは分からないけど違和感を感じた…」

エリー「嫌な予感がする…」

~~

アリス「ただいまー」

コーデリア「おかえりなさい」

アリス「コーデリアさん、今からお買い物に付き合ってよ」

コーデリア「買い物?」

アリス「今日はみんなでハロウィンパーティーをする約束だったでしょ?」

コーデリア「あ、パーティーって今日だったのね!いけない、忘れてたわ」

アリス「もー、コーデリアさんったら」

コーデリア「ごめんなさい、じゃあすぐに支度するわね」

アリス「うん」

~探偵学院~

ネロ「うーん…」カタカタ

ネロ(調べろったって、数少ない情報の中から何を探せば…)

ネロ「!?」

明神川家はまだ幼い次女を養子として引き渡した。
次女の名前は「明神川アリス」。
現在はヨコハマ在住。

ネロ「大変だ!」

ネロ「コーデリアに教えなきゃ…」

ピリリリリ…

ネロ「出ない!?あぁ、もう!大事なときに…」

~その頃コーデリア~

コーデリア「いけない、PDAを忘れてきちゃったわ」

アリス「お買い物が終わったらすぐに帰るし、大丈夫だよ」

コーデリア「そうね、さっと済ませちゃいましょ」

ネロ「まさかもう襲われたんじゃ…」ハッ

ネロ「急がなきゃ!」ダッ

ガチャ

???「」ガシッ

ネロ「うぐっ…うっ」ジタバタ

侵入した謎の男に首元を掴まれるネロ。

ネロ(な、なんだこいつ!?どこから入って…)

???「」スッ

ネロ「!?」

グサッ

ネロ「」

男は持っていた包丁をネロに突き刺した。

アンリエット「ネロ、物音がしましたが何か分かりまし…」ガチャ

資料室には腹部から出血し、壁にもたれかかるネロの遺体があった。

アンリエット「!?」

アンリエット「ネロ!」

アンリエット「…」

アンリエット(一体なにが…)

アンリエット(は、はやく小林さんに報告を…)

ピリリリリ…

???「」ガバッ

アンリエット「ぐっ…!?」

後ろからパソコンのケーブルで首を締められ、PDAを床に落としてしまう。

カチャン

小林『はい、小林です…』

小林『もしもーし』

アンリエット(この男は誰ですの!?)ジタバタ

???「」ギリギリ

アンリエット「くっ…」ガッ

男のマスクが外れる。

シオン「」ギリギリ

アンリエット「」クター

シオン「」パッ

ドサッ

シオンはアンリエット生徒会長も殺害。
マスクを被り直し再び逃走した。


小林「…?」

小林(無言電話?)

ルーミス「どうかされましたかな?」

小林「いえ…何も…」


神津「…」

咲「…」

次子「マジか…」

平乃「そんな…」

小衣「嘘でしょ…」

アンリエットと連絡がとれなかったので学院へ来た神津とG4は、アンリエットとネロの遺体を発見する。

小衣「ちょっとアンタ!なんでこんなところで寝てるのよ!小衣たちが来たのよ!いつもみたいにムカつくこととかなんか言ってみなさいよ!」ガクガク

ネロの身体を激しく揺さぶる小衣。

平乃「小衣さん、ダメです。もう…」

次子「会長さんももうダメだ…」

小衣「うわぁぁぁぁぁん!」

小衣はネロの傍らで泣き崩れた。

咲「…」

咲「!」

神津(ここに奴が来たのか!?だとしてもなぜ譲崎ネロとアンリエット生徒会長を…)

咲「みんな、ちょっと…」

神津「どうした?」

次子「犯人の証拠か!?」

小衣「うえぇぇぇん!」グスッ

平乃「…小衣さんは、私が外へ連れて行きます」

咲「犯人の証拠って訳じゃないけど、ほらこれ…」

ネロが調べていたパソコンの画面には、国家機密の資料が載っていた。
そこには明神川シオンのことと、養子として引き取られていった妹、アリスのことが書かれている。

神津「これは…」

次子「マジかよ!?」

咲「明神川シオンの目的ってもしかして…」

一同「…」

~コーデリア宅~

コーデリア「あら?」

アリス「パトカーがいっぱい」

神津「コーデリア・グラウカ、そして明神川アリス、一刻を争う状況だ。早く中へ入れ!」

コーデリア「神津さん?いいですけど、一体何事ですか?」

神津「説明は後だ、さぁ早く!」

コーデリア「わ、分かりました」

ガチャ

神津は、シオンが脱走してからこれまでのことを全てコーデリアとアリスに話した。
コーデリアはネロが死んだことを最初は信じなかったが、やがて事実を受け入れ泣きだした。
アリスもコーデリアと一緒に泣いた。
見てられなかったのか、次子は外に出ていた。
二人があまりに泣き止まないので神津は話を中断した。



エリー「あ、銭形さん…」

次子「ん?エルキュール!?こんなところで何して…」

エリー「え…あの…コーデリアさんたちを呼びに…」

次子「…大事な話がある…」

~コーデリア宅~

コーデリア「あら?」

アリス「パトカーがいっぱい」

神津「コーデリア・グラウカ、そして明神川アリス、一刻を争う状況だ。早く中へ入れ!」

コーデリア「神津さん?いいですけど、一体何事ですか?」

神津「説明は後だ、さぁ早く!」

コーデリア「わ、分かりました」

ガチャ

神津は、シオンが脱走してからこれまでのことを全てコーデリアとアリスに話した。
コーデリアはネロが死んだことを最初は信じなかったが、やがて事実を受け入れ泣きだした。
アリスもコーデリアと一緒に泣いた。
見てられなかったのか、次子は外に出ていた。
二人があまりに泣き止まないので神津は話を中断した。



エリー「あ、銭形さん…」

次子「ん?エルキュール!?こんなところで何して…」

エリー「え…あの…コーデリアさんたちを迎えに…」

次子「…大事な話がある…」

次子「お客さんだよ」ガチャ

エリー「ううっ…」

コーデリア「エリー…どうして…」

次子「二人を呼びに来たんだと」

次子「帰すわけにもいかないし、事情を話して中に入れることにしたよ」

神津「次子…これ以上一般人を危険にさらすわけには…」

次子「分かってるって」

次子「お客さんだよ」ガチャ

エリー「ううっ…」

コーデリア「エリー…どうして…」

次子「二人を呼びに来たんだと」

次子「帰すわけにもいかないし、事情を話して中に入れることにしたよ」

神津「次子…これ以上一般人を危険にさらすわけには…」

次子「分かってるって」

次子「お客さんだよ」ガチャ

エリー「ううっ…」

コーデリア「エリー…どうして…」

次子「二人を呼びに来たんだと」

次子「帰すわけにもいかないし、事情を話して中に入れることにしたよ」

神津「次子…これ以上一般人を危険にさらすわけには…」

次子「分かってるって」

~電力管理センター~

作業員「そこで何してる」

シオン「…」

作業員「ここは立ち入り禁止だ、場合によっては警察を呼ぶぞ」

シオン「」ガシッ

作業員「な、何をす」

シオン「」ポーイ

バリバリバリ

作業員「ぎゃあああああああ!!」

シオンは作業員を発電機に投げ込んだ。
発電機は壊れ、町中が停電になった。

~常磐家~

シャロ「わ、停電ですー!」

カズミ「真っ暗でよく見えません!」

小衣「しゃ、しゃーろっく、怖くない?小衣が側にいるから大丈夫よ」ガタガタ

シャロ「小衣ちゃんタスカテー!」

十津川(どう見ても明智先輩の方が怖がってる…)


コーデリア「て、停電!?」

神津「なんだこんなときに!」

次子「旦那、大変!電話が通じない!」

咲「パソコンもダメっぽいよ」

神津「一体どうなっているんだ!」

神津「…まさか、奴の仕業か…」

次子「マジかよ、そんなことまで…」

神津「次子、一旦署に戻って武器弾薬を持てるだけ持ってこい」

神津「念のため咲も一緒に行動だ」

次子・咲「はい!」


平乃「何事ですか!?ここだけでなく町中が停電に…」

神津「平乃、家中の雨戸を閉めて外から釘を打つんだ」

神津「他の警備の者たちにも伝えろ!」

平乃「は、はい!」

少し経って次子と咲は署に到着した。
ところが署内は何者かの襲撃にあったらしく、壊滅していた。
シオンの脱走と突然の停電で、署員の多くが外に出ていたためか、生存者はゼロ。
所々に死体が無造作に転がっている。

次子「嘘…だろ…」

咲「う…何これ…」

次子(これもシオンの仕業なのか!?たった一人で警察署を壊滅させるなんて…)

次子(騒ぎで署員が何人も外に出てる。まさかそこを狙ったのか!?)

咲「うぅ…」ゼェハァ

次子「咲!大丈夫か!?」

次子(こんな状況に慣れてるわけないもんな、いやあたしだって初めてだよ!)

次子(でもここはあたしがしっかりしなきゃ…)

~~

咲「…ちょっと…落ち着いたかも…」

次子「歩けるか?」

咲「なんとか…」ヨロッ

次子「咲、何があってもあたしから離れるなよ」ギュッ

咲「うん…」

次子は右手にピストルを構え、左手で咲の手を握り弾薬庫へ急ぐ。
幸い銃器類には全く手がつけられておらず、持てるだけの物をパトカーに積んだ。
そして再びコーデリアたちのもとへと急いだ。

~車内~

次子「よし、これだけ持っていけば心強いだろ」

咲「だといいね…」ブルブル

次子「咲、大丈夫だ。旦那がいるし、あたしもいる。みんながついてるから心配すんな!」

咲「…うん」

次子「うっしゃ、じゃあちょっと飛ばしていくか!」

咲「事故は嫌だよ」

次子「分かってるって」ハハッ

シオン「…」

ブォォォォン

このとき二人は、後部座席にシオンが隠れていることに気づいていなかった。

~常磐家~

カズミ「アリスたちは大丈夫かな?」

十津川「向こうには残りのG4のメンバーと神津警視、他にもヨコハマ市警の方がいるから大丈夫ですよ」

シャロ「ーーーっ」ガタガタ

小衣「ーーーっ」ガタガタ

十津川「カズミさんは怖くないの?」

カズミ「…怖いですよ、でもこんなときにそんなこと言ってられませんよ」

十津川「頼もしいね」

次子「旦那!ありったけの弾薬を持ってきたよ!」

神津「無事に帰ってきたか、よくやったぞ」

神津「こちらは今のところ異常はない、そっちは何かあったか?」

咲「それが…」

次子たちは警察署で見てきたことを話した。

神津「なんてことだ…」

次子「シオンは恐らく今も逃走中、どこにいるのか全く見当もつかないね」

咲「来る途中もそれらしき人物は見当たらなかったよ、本当にこっちに向かってるのかな?」

神津「それは分からん、あくまでも推測だ。とりあえず、持ってきた武器をみんなに配ってくれ」

次子「はいよ!」

咲「はーい!」

咲「あれ、後部座席って…開けっぱだったっけ?」

次子「さぁ?外を警備してる誰かが開けたんじゃない?」

咲「うーん…」

咲(何、この悪寒は…)

平乃「次子さん!咲さん!」

次子「おぉ平乃、ちょうどよかった」

咲「これをみんなに配るのを手伝って」

平乃「はい、分かりました!」

アリス「すぅ…すぅ…」

コーデリア「寝ちゃったわね」

コーデリア(みっともないところを見られちゃったな。この子だってきっと辛いし、怖いはずだわ。それなのに、泣くのを我慢して…結局泣いちゃったけど、私程泣いてないもの)

コーデリア(私がこの子をまもらなきゃ)

ガチャッ

寝室を出るコーデリア。

平乃「配り終えましたよ」

神津「よくやった。じゃあ咲、たのんだぞ」

咲「…」

次子は市警本部でのことから咲がこれ以上は精神的にキツいだろうと思い、神津に話した。
神津は電話等の連絡手段がない今、県警への伝達係として咲を任命した。
咲はこれから次子のとは別のパトカーに乗り、県警本部へと行くところである。

咲「次子…」ギュッ

次子「大丈夫…大丈夫だから…」ナデナデ

咲「でも…」

次子「しっかりお嬢さんを護って、あたしもそっちに行くから…咲もしっかり役目を果たしてこいよ」

咲「…分かった」

次子「じゃあ、気をつけて」

神津「では咲をお願いします」

警官A「はい、任せて下さい。では」

ブォォォォン


走るパトカーの中からは、心配そうな目をした咲が、次子の方を見えなくなるまでずっと見ていた。

神津「先に中へ戻ってるぞ」

次子「これで良かったんだ…」

次子(本当は側にいてやりたいけど、あたしがここを離れるわけにはいかない)

次子(しっかりやるんだぞ、咲)

平乃「次子さん、中へ戻ったら、私が玄関の扉に釘を打ちます」

平乃「この扉は頑丈なので、ここを塞げばまず中へは入って来られないでしょう」

次子「え、でも平乃は…」

平乃「市警の方も何人かいらっしゃいますし、大丈夫ですよ」

次子「そうか…気をつけてな」

平乃「はい」

バタン

平乃「では」

トンテンカン…

神津「玄関は俺が見張る、次子はなるべく明神川アリスたちの近くにいてやれ」

次子「あいよ!」

神津「…」

神津は玄関の側にあった椅子揺りに座った。

神津(静かだな…このまま奴が来ないといいのだが)

シオン「…」

エリー「神津さん、コーヒーを淹れました」

「…」

椅子に座っている人影は反応しない。

エリー「?」

エリー「神津…さん?」トッ

エリーは何かにつまづいた。
足元を見ると、神津遺体があった。

エリー「!?」

シオン「」スクッ

エリー「きゃあああああああ!!」

ドスッ

椅子に座っていたのはシオンだった。
シオンは持っていたライフルをエリーに突き刺した。
ライフルはエリーの腹部を貫き壁に突き刺さる。

コーデリア「何、今の声は?エリー!?」

次子「一体何事だ!?」

コーデリア「エリー…神津さん…」

次子「嘘…だろ…警視!!」

コーデリア「エリー…いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

次子「…この中は危ない!外に出るんだ!」

ガチャガチャ

次子「くそっ!扉が開かない!」

ドオーン

次子「マジかよ、平乃ー!!」

頑丈な木の扉は、外から釘と板で打ち付けられているためびくともしない。
次子は持っていたショットガンを発砲するも効果はなし。
外にいるであろう平乃に呼び掛けるが、反応はない。

コーデリア「そんな…エリーまで…嘘よ…」ポロポロ

二階から
アリス「コーデリアさん、どうかしたの?」

コーデリア「アリス!」

コーデリア「アリス、無事で良かった…」ダキッ

次子「安心するのは早いぞ、犯人は今この家の中にいる。そしてこの家は密室だ」

アリス「ねぇ…どういうことなの?」

コーデリア「聞いて、アリス。神津さんから聞いた…」

一階広間に音もなくシオンが現れる。
そして吹き抜けの通路にいるアリスをついに見つけてしまう。

シオン「」ジー

アリス「何…誰!?」

コーデリア「きゃあああああああ!!」

次子(黒い作業着に白いマスク…そういうことか!)

次子「シオン!!覚悟しな!」

カチッ

次子「しまった!弾が…」ゴソゴソ

シオン「」トン…トン…

玄関の扉に発砲したあと弾を込めていなかったので、大急ぎで弾を込める次子。
シオンはゆっくり階段を上がってくる。

次子「行け!早く上へ逃げるんだ!」

コーデリア「でもそれじゃあ」

次子「奴の狙いは明神川アリス、お前さんなんだよ!」ゴソゴソ

アリス「!?」

コーデリア「どうして!?なんでアリスが見ず知らずの男に狙われなきゃ」

次子「説明してる暇はない!早く!」ガチャガチャ

コーデリア「でもあなたが…」

シオン「」トン…トン…

アリス「銭形さん…」

次子「行くんだ!!」ガチャガチャ

コーデリア「…っ!」ダッ

アリス「あ、コーデリアさ…」ダッ

コーデリアに手を引かれ、さらに上の階へと走るアリス。

ガチャン

次子「!」

シオン「」ヌッ

ドオーン

次子が弾を込め終わったところで、シオンに目の前までたどり着かれてしまった。
銃口は逸らされ、弾は明後日の方向へ。

次子「くそっ…この…」ググ

シオン「」ドンッ

次子「うわっ!」ドサッ

シオンの腕力は相当らしく、次子は簡単に突飛ばされてしまう。
今度はショットガンで殴りかかるが、受け止められ、またも突飛ばされる次子。

シオン「」ポーイ

カシャン

次子「ってぇ…この!」バキッ

シオン「」ガシッ

次子「いでで…あぁ…」ギリギリ

シオン「」ガッ

次子「あっ…ぐっ…」

最後の手段と次子は素手でシオンに殴りかかった。
次子のパンチはシオンの顔面にヒットするも、手を取られねじ伏せられる。
シオンは次子の首と顎あたりを掴み軽々と持ち上げてしまう。

次子「うあああ…ペッ」

次子(咲…ごめんよ…)

シオン「」ググ

ミシミシッゴリッバキボキ…

次子「ああああああああああ!!」

コーデリア「クローゼットに隠れるわよ!私の後ろにいてね!」

アリス「うん」

ガチャッ


二人がクローゼットに入ると、それほど時間が経つ前にシオンが現れる。
シオンは部屋を見回すと真っ直ぐにクローゼットへ向かい、扉を破壊しだした。


ガチャガチャ

コーデリア「きゃあ!」

アリス「コーデリアさん!」ガタガタ

コーデリア(何か…何か…!?)

針金のハンガーを発見

コーデリア「来なさい…」

シオン「」ガチャッ

コーデリア「やぁ!」ガリッ

シオン「っ…」ポロッ

コーデリア(包丁を落としたわ!これで!)

コーデリア「うああああ!」

グサッ

シオン「」ドサッ


コーデリアはハンガーのフックでシオンの手を引っ掻くと、シオンは包丁を落とした。
コーデリアは包丁を拾い、シオンの胸に突き刺す。
シオンは倒れて動かなくなった。

コーデリア「はぁ…はぁ…はぁ…」ガクガク

コーデリア(殺した…殺してしまったわ…人を…)ハァハァ

コーデリア(殺人犯とは言っても…いや…)ガクガク

アリス「コーデリアさん…コーデリアさん!しっかりして!」

コーデリア「」ハッ

コーデリア(そうよ…今はこの子をまもらなきゃ…)

コーデリア「はぁ…はぁ…はぁ…」ガクガク

コーデリア(殺した…殺してしまったわ…人を…)ハァハァ

コーデリア(殺人犯とは言っても…いや…)ガクガク

アリス「コーデリアさん…コーデリアさん!しっかりして!」

コーデリア「」ハッ

コーデリア(そうよ…今はこの子をまもらなきゃ…)

コーデリアは物置からロープを持ってきて、二階のベランダからアリスを庭まで降ろした。

アリス「降りたよー!」

コーデリア「分かったわー!」

トン…トン…

コーデリア(あとはこのロープをどこかに結んで私が…)

コーデリア「!?」

シオン「」ザクッ

コーデリア「きゃああ!」

間一髪でシオンの包丁を避けた。

アリス「コーデリアさん!?」

?「ハニー、無事で良かったよ」

アリス「あ、あなたは…」

ついさっき殺害したはずのシオンに襲われ、訳も分からず逃げまどうコーデリア。
しかし狭い部屋で逃げるのは難しく、すぐに捕まってしまった。
シオンは包丁を振りかざす。
コーデリアはそれを押さえるが、腕力でシオンに勝てるわけがない。

シオン「」グググ

コーデリア「いや…なんで」

パァン!

コーデリア「!?」

石流「下がっていろ!」

コーデリア「は、はい!」

シオン「…」

パァン! パァン! パァン!

部屋に石流が入ってきて、シオンに発砲。
シオンは銃弾を受けコーデリアから離れた。
石流はさらに発砲し、シオンには全弾命中。
そのままベランダから転落するシオン。



根津「やったか!?」

シオンは庭に横たわっている。

石流「コーデリア・グラウカ、大丈夫か!?」

コーデリア「私は大丈夫です…アリスは!?」

石流「明神川アリスなら下で警備の者たちと一緒にいる、大丈夫だ」

コーデリア「…良かった…」

コーデリアたちが下に降りてみると玄関が空いており、外の警備をしていた警官たちが中に入っていた。

平乃「次子さん…」

コーデリア「っ!」

平乃がへたり込んでいる傍らには次子が横たわっている。
もう動かない。

コーデリア(そんな…銭形さんまで…)

アリス「コーデリアさん!」

コーデリア「アリス!」

アリス「無事で良かった…悲鳴が聞こえたときはもうダメかと思って…うぐ…」

コーデリア「ごめんね、心配かけて…」

アリス「銭形さんは?」

コーデリア「…」

コーデリアの顔を見ると、安心したのかアリスは泣きそうになる。
アリスの問いに、コーデリアは無言で首をふる。
コーデリアの反応を見て、声を出して泣くアリス。

平乃「アリスさん、明神川シオンの狙いはあなただったんですよ…」

コーデリア「そうだったわ、私はその理由が知りたくて…」

平乃「落ち着いて聞いて下さい、明神川シオンはアリスさんの実の兄だったんです」

コーデリア「…それは本当なの?」

平乃「ええ、ネロさんがやられる直前に見つけ出した極秘の情報でした」

コーデリア「ネロが…」

コーデリア(だからネロは私たちに知らせようとしてPDAにかけてきたのね…)

コーデリア(あのとき、家に忘れずに出かけていれば…)

平乃「なので、明神川シオンにとって、今回の事件は15年前の事件の続きだったのではないかと…」

コーデリア「…」

根津「おい、大変だ!アイツの死体が消えちまった!」

二十里「What!? そんなことがあるわけが…」

警官B「死体がなくなる訳がない、探せ探せー!」

警官C「誰かが移動させたとしても、そう遠くまでは運べないはずだ!」

石流「ここは警察に任せて、安全なところへ移動するぞ。私が車を出す」

コーデリア「は、はい!」

石流は用務員用の軽トラックで来ていたらしい。
コーデリアとアリスは助手席に乗り、二十里と根津は荷台に乗って出発した。

石流「カナガワ県警本部に向かうぞ」

コーデリア「はい、お願いします」

石流「怪盗が相手だと警察は頼りないが、今回ばかりはそうでもないだろう」

コーデリア「そんなことは…」

アリス「…」

石流「アンリエット様もやられた、だからせめて」

石流「アンリエット様が大切に想っていたお前たちを、我々が護りたい」

コーデリア「石流さん…」


根津「おい、なんか音がしなかったか!?」

二十里「さぁ、聞こえなかったけど」

ガッ

根津「ほら、今の聞こえたろ!」

二十里「車体の下に何かひっかかってるだけじゃないのかい?」

根津「だといいけどよ、壊れてたら最悪だぜ」

シオン「」ガッ

根津「!?」

グサッ

根津「あぁっ!」ドサッ

二十里「ん?」

シオン「」グサッ

二十里「うぐっ」ドサッ

シオンはこのトラックの下に隠れていた。
トラックの荷台のよじ登っシオンは、根津と二十里を包丁で刺し道へ投げ捨てた。

ドタンバタン

アリス「何の音?」

石流「騒がしいな」

バリン

シオン「」ザクッ

石流「ぐあぁ!くそっ!」

コーデリア・アリス「きゃあああああ!!」

シオンは運転席の窓ガラスを破壊。
石流を刺し車外へ放り出す。
運転手をなくしたトラックは右へ左へ暴れ出す。

ドタンバタン

アリス「何の音?」

石流「騒がしいな」

バリン

シオン「」ザクッ

石流「ぐあぁ!くそっ!」

コーデリア・アリス「きゃあああああ!!」

シオンは運転席の窓ガラスを破壊。
石流を刺し車外へ放り出す。
運転手をなくしたトラックは右へ左へ暴れ出す。

アリス「危なーい!」

コーデリア「あ、あ、もう!」

コーデリアは運転席に座るとアクセルを力いっぱい踏み込む。
途中でシオンが何度か包丁を持った手を伸ばしてきたが、急ハンドルをきりなんとかやり過ごした。

アリス「こ、コーデリアさん、こんなにスピード出してどうするの!?」

コーデリア「アリス、シートベルトをしめてしっかり掴まってなさい」

アリス「え?」

コーデリア「早く!」

アリス「は、はい!」ガシッ

コーデリア「行くわよ!!」

キキィーーーーッ!!!

シオン「」ポーン

ドサッゴロゴロ

コーデリアは急ブレーキをかけた。
トラックは急停止し、上に掴まっていたシオンは吹っ飛ばされ前方に落ちた。

コーデリア「はぁ…アリス…はぁ…大丈夫?」

アリス「大丈夫…ちょっと、びっくりしただけだから…」

シオン「」スクッ

アリス「コーデリアさん!」

コーデリア「しぶといわね」

アリス「え?」

コーデリア「よくもネロとエリーを…」

コーデリア「会長や銭形さん、神津さんを…許さない」

アリス「コーデリアさん、ダメ…」

コーデリア「殺してやる…殺してやる…殺してやるぅ!!」ギュッ

ブゥンブォォォ!!

アリス「きゃあああ!」

ドンッ

シオン「」ドサッ

シオンはかなり前方まで飛んでいき、坂を転がり落ちていった。
そこへパトカーが数台到着。
警備をしていた平乃たちと、咲が呼んだ県警本部、そして小林とルーミス医師だ。

小林「コーデリア!アリスくん!大丈夫か!?」

平乃「コーデリアさん!アリスさん!」

アリス「長谷川さん、それとあなたは…」

コーデリア「長谷川さん…教官!?」

コーデリア「教官!!」ダキッ

小林「うわっ!」

コーデリア「うぅ…みんなが…みんながぁ…」

小林「みんな?」


平乃はシオンが転がっていった方へと走っていく。

平乃「…」

平乃(脈はありませんね)

ルーミス「!?」

ルーミス「いかん!そいつに近づくな!」

シオン「」スクッ

平乃「!?」

平乃「きゃあああああ!!」

グサッ

警官B「長谷川警部補!!」

ルーミス「くそっ!」

警官C「なんだ!?アイツ生きてるぞ!」

アリス「いやあああ!」

コーデリア「ダメよ!アイツは死なないの!」

小林「どういうことなんだ!?」

シオン「」トン…トン…

ルーミス「やるしかない!」

警官D「打てー!奴の息の根を止めろー!」

ドォーン!!パン!パン!ドォーン!!ガッガッ…

ルーミス、警官隊、自警団合計30人前後がピストルやショットガンなどで一斉射撃した。
シオンはありったけの銃弾を浴び、吹き飛ばされるように倒れ込んだ。
シオンが穴に落ち、その上から瓦礫の山が落ちてきだ。
それからシオンが出てくることはなかった。

ルーミス「終わったか…」

~数日後~

トン…トン…

コーデリア「すぅ…すぅ…」

トン…トン…

コーデリア「…っ、いけない…居眠りしてしまったわ…」

トン…トン…

コーデリア「アリスー、どこにいるのー?」

コーデリア「アリ」クルッ

コーデリアが振り返ると、アリスは後ろに立っていた。
アリスはマスクをかぶり、手には包丁を持っていた。
目は濁っており、瞳孔が開いている。

アリス「…」

コーデリア「アリス?」

アリス「…」スッ

アリスは包丁を振りかざす。

コーデリア「!?」

キャアアアアアアアアアアアア!!



END

以上になります。
お粗末さまでした。

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