カルム「セレナー!今日はポケモンを貰いにいくんだよ!」
隣のカルムはカロス地方に越してきたばかりの私に、優しく接してくれる。
セレナ「うん、今行くよ」
私をポケモンへの道に案内してくれたのもカルムだった。
元々はプラターヌという博士に、友達を誘うように言われたとかなんとか。
カルム「紹介するよ、友達のサナ、ティエルノ、トロバだよ」
サナ「宜しくね!」
真っ先に挨拶をしてきたのは彼女だ。
この中でムードメーカーはこの子なのだとすぐに分かった。
ティエルノ「よろしくー!」
トロバ「よろしくです」
セレナ「セレナです。みんな宜しくね」
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初書き込みです。宜しくお願いします。
サナ「さあ、カルム!ポケモンは?」
カルム「ああ、プラターヌ博士から預かってきたポケモンだよ、ほら」
カルムはモンスターボールを三つ差し出してきた。
一応、家に母のペットのヤヤコマと、父の商売道具のサイホーンがいるので、扱いはだいたい分かっている。
カルム「サナと一緒に好きなポケモンを選ぶんだ」
ケロマツ、フォッコ、ハリマロン。
どのポケモンも個性のあるポケモンだ。
私はなんとなくだが、ケロマツを選んだ。
一番外に出たそうにしている、と思っただけだった。
サナ「あたしはフォッコー!」
ティエルノ「いいな、僕も欲しいな」
トロバ「ですね!」
カルム「ティエルノもトロバも、既にポケモンを持っているだろー」
ティエルノ「ちぇー!」
やはり、仲間と一緒というのは心地がいい。
引越しをしてひとりぼっちになってしまうという心配は、どうやら取り越し苦労だった。
サナ「セレナ!バトルしようよ!」
早速のバトルを提案してきたのはは、意外にもサナだった。
セレナ「いいよ!いけ、ゲコちゃん!」
サナ「ふぉっぴー、ごー!」
バトルの勝敗はあっさりと決まった。
サナ「まけちゃった・・・」
セレナ「私はお父さんがトレーナーだから・・・」
その言葉を聞いたサナは、少し寂しそうな顔をした。
サナ「パパ・・・か・・・」
セレナ「サナ?」
サナは少し、表情を曇らせて、ぼつりと呟いた。
この時、なぜ私はもっと気にしてあげられなかったのだろうと何度も悔やんだ。
サナ「あ、ううん!なんでもない!さあ、いこう!ポケモンの旅へ出発!」
これから、あんなことになるなんて・・・。
それから、私は各地のジムを回った。
私にはどうやら才能があったようだった。
ケロマツとの相性はバッチリで、私の思い通りに動いてくれる。
セレナ「ゲコちゃん、お疲れ!コマちゃんも!」
ケロマツ「げこげこ!」
ヤヤコマ「コマコマ!」
ビオラ「いやー、君たち相性バッチリだね!負けちゃったよ!一日で2人に負けちゃったのは初めてかも」
セレナ「2人ですか」
私の他にもジムめぐりをしている人がいるようだ。
ああ、そういえば、カルムはチャンピオンが夢だとか言っていたか。
ピオラ「はい、バッジ!頑張ってね!」
セレナ「はい!」
サナ「あ、セレナ!」
セレナ「サナ!」
サナ「あ、セレナもジムリーダーに勝ったんだ!やったね!」
も、というと?
サナ「私もふぉっぴーが頑張ってくれたよ!」
フォッコ「きゅーん」
ビオラが言っていた、私より先に勝った人は、どうやらサナらしい。
なかなか意外だった。
サナ「私ね、みんなよりもおっちょこちょいだし、のろまだからね。頑張るんだ!」
何のために?
それを聞いて、よいものか。
私にはこの時分からなかった。
ティエルノはダンス、トロバはポケモンあつめ、カルムはスポーツ感覚でポケモンバトルを楽しんでいるように見える。
でも、サナは?何のためにポケモンをするのか?
サナ「セレナ?」
セレナ「っ!あ、ちょっとぼーっとしてた」
サナ「あはは!どうしたの?」
サナ「メガシンカって知ってる?」
セレナ「メガシンカ?知らない」
カルム「おや、サナはなかなか情報通だね。メガシンカは最近発見されたポケモンの新しい進化だよ」
その話から、メガシンカを探すこととなった。
そして、メガシンカはメガリングを装備し、尚且つポケモンとの意思が合った者だけが使える事が分かった。
メガおやじ「メガリングはひとつだけじゃ、さあ、だれが付ける?」
ティエルノとトロバは、カルムと私を推薦した。
カルム「よーし、申し訳ないけど、バトルで・・・」
サナ「待って」
セレナ「サナ?」
サナ「私もメガリングが欲しいな。立候補もありだよね?」
メガおやじ「勿論じゃ」
サナ「じゃあ、3人ね。どうしようか」
サナは意気揚々とメガリング争奪戦に立候補した。
カルム「サナにもこんな一面があったんだね!いいね。そうだ、セレナが一番この中で強いと思・・・」
サナ「そうかな?」
カルム「サナ?」
サナはにんやりと、私を睨み付けるような視線を放った。
そして、暫くしてから、またいつものサナの顔に戻る。
サナ「うふ、うそうそ!じゃあ、カルムとあたしでバトルしようよ。勝った方がセレナとバトル!いい?」
誤魔化したように行ったサナの顔は、少し気味が悪かった。
カルム「う、うん」
勝負はカルムの勝ちだった。
と言っても、サナはかなり健闘した。
カルムの手持ちは4匹だったが、ハリボーグ1匹になっている。
カルム「あぶなかった!サナ、すごいね!こんなに強くなってたなんて」
サナ「・・・なさい・・・」
サナは俯きながら、そう呟いた。
カルム「サナ?」
サナは、はっと顔を上げて言う。
サナ「あ、ううん、ちょっと悔しくて!やっぱりカルムは強いね!」
カルム「う、うん。ごめんね」
サナ「ううん!いいんだよ。あ、あたしちょっと用事があるからまたね!」だっ
そのあと、私はカルムとのバトルに勝ち、メガリングを手に入れた。
それから、ジムにいけば行くたびに、サナの背中が見えた。
ジムリーダーは口を揃えてこう言う。
2回連続で負けたのは初めてだよ。
そして、いつも前にはサナがいる。
ジムリーダーは連続で3連敗したらリーダー交代となる。
月に1人か2人勝利できればいい方だというのに、2連敗は珍しいことだ。
シトロン「はい、バッジです!」
セレナ「ありがとうごさいます」
シトロン「いやー、これで2回連続敗北です!まずいなあ」
ここもか。
ジムから出ると、サナがやはり待っていた。
サナ「セレナやっほー!」
セレナ「サナ・・・サナは早いね」
サナ「でしょー?もうクノエシエィに行く?」
セレナ「あ、うーん、もうちょっとミアレを見たいかも」
サナ「そうだよね!私は先にクノエに行くね!」
セレナ「うん。分かった」
なぜ、そんなに急ぐの?
それを、聞けなかった。
私は、聞けなかったんだ。
何度悔やんだか、分からない。
サナ「あ、そうだ!」
セレナ「サナ?」
サナ「このポケモンあげる!あんまり強くないから、いらないの!じゃあね!」
サナから渡されたモンスターボールは、使い込んでいるようだった。
フラダリ「君、プラターヌ博士が見込んだセレナくんかね?」
ミアレを一通り回ったところで、私は声をかけられた。
セレナ「はい、そうですが・・・?」
私は、この人を知っている。
フラダリ「どうかな、この先に私のカフェがあるのだが、お話しさせてくれないかな?」
気が進まない。
だが、なぜか聞いておかなくてはと思う。
その男には、何か吸い寄せられるものがあった。
フラダリ「ようこそ。フラダリカフェへ」
セレナ「・・・」
フラダリ「どうかな、セレナくん。聞いてくれないかな?まあ、そんなに身構えなくても」
フラダリ。テレビにも出演している有名な平和活動家だ。
そして、私は彼の思想を知っている。
ポケモンの消滅。
いま、戦争には沢山のポケモンが兵器として使われている。
それを食い止める、根本的解決方法。
それがポケモンの消滅。
セレナ「フラダリさん、申し訳ないんですが、貴方の考えは知っています。知った上で、同意できません」
フラダリ「うーん、君もそちら側か」
セレナ「なぜ、ポケモンの消滅なのですか?ポケモンと共存しながらの平和も・・・」
フラダリ「いいかな、人間とはとても臆病だ。臆病さでいったら、多分他の動物やポケモン達にもひけをとらないだろう。
だから、剣や銃というものを作った。臆病だから故さ」
セレナ「だから、なんですか?」
フラダリ「人間は、殺意など元々無いのだよ。刺されるかも、撃たれるかもという心だけで、
人を殺せる生物なんだ。わかるかい?君の言うポケモンと共存しつつの平和が理想だろう。だが、私は大変現実主義者だ」
フラダリ「絵本やファンタジーで戦争がなくなるのなら、もうとっくになくなっているさ」
セレナ「・・・」
違う。間違っている。だが、この人は間違っていることをよしとしている。
間違いこそが正解だと行き着いてしまった。
それが、フラダリという人物だ。
私自身も、間違いという言葉は気に入らなく、受け入れ難いことに対して使う言葉であることは知っている。
だが、それでも。
このフラダリという人物は、間違っていて正しすぎる。
不愉快で、かつ不快だった。
セレナ「フラダリさん、あなたは正しいと思います。でも、正しいだけです。失礼します」
フラダリ「そうかね、残念だ。まあ、無理に・・・とはこちらも考えていないからね」
フラダリ「次に会うときは・・・」
フラダリ「世界の終わりだ」
クノエシエィに到着する頃には、既にクノエジムのバッジを胸につけたサナが待っていた。
サナ「また勝っちゃったね」
セレナ「サナはどうして、そんなに急いで強くなろうとしているの?」
サナ「うふ!どうしてだろう?」
サナは笑って茶化す。
それがとても、不快だった。
セレナ「サナ、教えて!」
サナ「・・・それよりも、早くボール工場に行こうよ。あそこは面白いって評判だよ」
ボール工場はこのカロス地方のモンスターボールの供給のすべてを担っている。
ボール工場見学は、一種のエンターテイメントとして人気がある。
フレア団「このボール工場は乗っ取った!」
私とサナがボール工場に到着したとき、真っ赤な服に身を包んだ集団がボール工場を占拠していた。
彼らは最近ニュースで名が上がってきている犯罪者の集団、フレア団であることがすぐに分かった。
サナ「な、何よ!あなた達!」
フレア団「我々はフレア団!ガキどもは去れ!」
セレナ「どうしてこんなことを?」
フレア団「さあな!お前らに話す義理などない!」
セレナ「うーん・・・」
カルム「セレナ!下がって!ゆけ、ブリガロン!」
ブリガロン「ぐがー!」
カルムがすぐに騒ぎを聞きつけてやってきてくれた。
フレア団「あら、反抗的ね!ゆけ、ガーディ!」
ガーディ「わおん!」
カルム「よし、勝った!」
ブリガロン「がおん!」エヘン
フレア団「ああ、ガーディ!」
ガーディ「きゅーん」ばったり
カルム「セレナ、いこう!サナも!ボール工場を取り返すんだ!」
セレナ「う、うん!」
サナ「・・・私は、いいかな。怖い、し・・・」ブルブル
カルム「そうか・・・わかった!サナはポケモンセンターに戻って、ポリス隊に連絡するんだ!」
サナ「うん!わかった!」
ボール工場は、主導者であるフレア団幹部を私とカルムが倒し、取り返すことに成功した。
しかし、フレア団はポリス隊の到着前に逃亡してしまった。
それから、フレア団という言葉が各地で聞かれるようになった。
ポケモンを奪い、悪事を企てる組織だと、皆が噂する。
ポリス隊もフレア団への警戒を引き上げることを決定した。
ゴジカ「あら、強いわねえ。今日一日で2人に負けるなんて・・・」
また、か。
私は既に七つ目のジムを攻略していた。
もう、ポケモンリーグが見えてきた。
ジムを出ると、そこにはサナが・・・。
カルム「た、たいへんだ、セレナ!」
セレナ「カルム?」
カルム「さ、サナが!フレア団に攫われた!」
セレナ「な!?」
カルム「プラターヌ博士のところに、脅迫電話がかかってきたんだ!下手なことをしたら、サナを[ピーーー]って!」
セレナ「な、なぜ、サナを・・・」
カルム「わからない!とにかく、助けに行かなきゃ!」
どうしたらいいのか、なぜなのか。
そんな疑問が頭の中でぐっちゃぐちゃに入り混じる。
とにかく、サナの無事を祈りながら探すしかない。
暫くして、カロスのテレビが全てフレア団にジャックされた。
フラダリ「みなさん、ごきげんよう」
フラダリ「私は平和活動団体、フレア団のボス、フラダリだ」
フラダリは私への口説き文句と一緒の事をべたべたと貼り付けていく。
不愉快・・・不愉快だ。
フラダリ「もうすぐ、古代ポケモンが復活する。この力で、皆さんとポケモンは消し去られるでしょう」
フラダリ「それでは、フレア団以外の皆様。さようなら」
そこで、テレビは終わった。
私とカルムは、フラダリのアジトである、ミアレのフラダリカフェにいた。
カルム「どこだ!フラダリはどこだ!」
フラダリカフェはどうやらフレア団のアジトになっているようだった。
幹部「せ、セキタイタウンだ・・・」
バトルに負けたフレア団幹部は、力なく情報を吐き出した。
カルム「いこう!セレナ!」
セレナ「うん!」
セキタイタウンには、禍々しい巨大な花が咲いていた。
これが、古代ポケモンの力なのだろうか。
フレア団のアジトには、幾重にもフレア団幹部による監視があった。
セレナ「げこちゃん、ハイドロポンプ!」
カルム「ブリガロン、アームハンマーだ!」
ゲッコウガ「げこー!」
ブリガロン「がおー!」
幹部「くそー!」
幹部「うわー!」
そして、アジトの最深部へ到着した。
カルム「フラダリさん、もう観念してください。ポリス隊もじき到着します」
フラダリ「観念?それは君らの方ではないかな?」
そこには、張り付けにされたサナの姿があった。
意識もどうやら失っているらしい。
セレナ「サナ!どうして、サナを!関係ないじゃない!」
フラダリ「関係か。人類すべてに対して行う所業に、無関係な者などいるものか」
フラダリ「この世界は病気なのだ。完治不能な病気だ。もはや、治すことなどできん。ならば、リセットだ。ゲームのように、リセットするのだ」
カルム「くっ、サナを離せ!」
フラダリ「それはできんな。この少女は、最後の最後の盾だ。しかし、君らは私にねじ伏せられる。使用するこのは無いだろう」
フラダリは、そう言うと妙なマシンを体に取り付けた。
それは禍々しく、不気味な機械だった。
セレナ「な、なにそれ・・・」
フラダリ「さあ。なんだろうね。さ、どっちから来るかね?カルムくんか、それともセレナくんか」
カルム「僕からいくよ!ゆけ、ブリガロン!」
ブリガロン「がおー!」
フラダリ「ゆけっ、ギャラドス!メガシンカだ!」
メガギャラ「ぎゅおー!!」
カルム「な、メガシンカ!?メガリングも無しに!?」
フラダリ「この機械はポケモンを強制的にメガシンカさせる機械だ。しかも、通常のメガシンカよりも強力にだ」
カルム「そ、そんな」
フラダリ「メガギャラドス、氷の牙だ」
メガギャラ「ぎゃおー!」がぶっ!
ブリガロン「が、があ!」ばたり
カルム「ぶ、ブリガロン!!」
カルム「ぶ、ブリガロン!も、戻れ!」
フラダリ「はっはっはっ」
カルム「ぼ、僕の手持ちじゃ、メガギャラドスは・・・」
セレナ「私がいく」
フラダリ「次はセレナくんか。さあ、メガギャラドスの餌になるといい」
セレナ「バナちゃん!ごー!」
フシギバナ「ばなばな!」
フラダリ「何を出すかと思えば、フシギバナか。氷の牙で一撃だ。やってしまえ、メガギャラドス!」
セレナ「バナちゃん、いくよ・・・慣れてないけど、力を貸して!メガシンカ!」しゅぴーん
メガバナ「ばなー!!」
フラダリ「なっ!メガシンカか!しかし、結局は草タイプ!氷の牙はこうかばつぐんだ!」
メガギャラ「ぎゃおー!」がぶ!
メガバナ「ばなばな!」へっちゃら
フラダリ「なに!?」
セレナ「メガフシギバナの特性はあついしぼうよ!氷の牙はこうかばつぐんだけど、威力がさがるの!さらに、メガギャラドスは飛行タイプでなくなる!バナちゃん、はなふぶき!」
メガバナ「ばな!」びゅー!
メガギャラ「ぎゃおー!」ぐったり
フラダリ「くそっ、くそ!あと、あとすこしで、伝説のポケモンが!」
カルム「すごい!流石セレナだ!フラダリ!もう観念しろ!」
フラダリ「ち、近づくな!この少女の命がどうなってもいいのか!」
セレナ「ひきょうもの!」
フラダリ「な、なんとでもいえ!」
フラダリは、断末魔のような、声でないような声をあげた。
息を切らし、ふらつき。
立っているのもやっとなようだった。
どうやら、あの機械はメガリングの力をの代わりに、自分の力を消費するようだった。
フラダリ「こ、この世界は、この世界は!誰かが治さねば、なら、ならんのだああ!」ゼエゼエ
??「もうやめて!お父さん!」
セレナ「・・・!」
カルム「・・・!?」
その声は、聞き慣れた。
サナ「もういい、もういいよ、お父さん」
親友の声だった。
サナが寂しそうに。
悲しそうに。
私達にそんな笑顔を向けてきた。
サナ「もういいよ、お父さん」
サナは拘束具を自ら外し、フラダリの前に立った。
フラダリ「さ、サナ・・・」
サナ「もう、諦めよう。無理だったんだよ。二人で、逃げようよ。逃げて、ひっそりと暮らそうよ、お父さん」
フラダリ「さ、サナ・・・しかし、しかしだ・・・こんな世界で、生きて、なんになる!サナも分かっているだろう!?
両親を理不尽な理由で殺され、その殺した張本人はのうのうと生きている。自分と少しでも意見が食い違えば排除してしまう!そんな世界で・・・」
フラダリのその言葉は、恐らくサナに言っているわけではない。
私達、そして世界の人々に向けて言っている。
確かに、フラダリの考える思想は少数派だ。
人間は、あそこまで正しくは生きられない。
それでも、フラダリはそれを分かりながら。
正しく生きたいと訴えた。
サナ「そっか」
サナが、フラダリの訴えを遮るように、そう言った。
私には、もういいよ分かったよ、と聞こえた。
サナ「セレナ、カルム。ごめんね。黙っててごめんね」
カルム「サナ!こっちへ!一緒に逃げよう!」
サナ「ちょっと、お父さんとあたしの話をするね」
セレナ「サナ・・・」
サナ「お父さんは戦争で奥さんを殺されたの。戦争用に改造されたポケモンに、ぺしゃんこにされちゃったんだって。
それで、戦争用ポケモンの使用の禁止を訴える団体に入ったんだ。でも、政府の粛清にあってね。お父さんだけ、生き延びちゃったんだ」
フラダリ「サナ、もう、やめろ」
サナ「あたしのお母さんと本当のお父さんはね、その粛清の対象だったの。
あたしは一人ぼっちになっちゃったんだ。でも、お父さんを引き取ってくれたんだ。
一人ぼっちにだったけど、お父さんに救われたんだ。あたしには、あたしの正義はお父さんだけなんだ」
サナ「お父さんは私を学校に行かせてくれた。私にポケモンを教えてくれた。
私に、生きていいと言ってくれた。あたしは、お父さんがどんな人でも、どんな人であろうとも関係ない」
そこまで言うと、サナは意を決したように息を吸い込んで。
言った。
サナ「あたしは・・・やるよ」
サナはもう体力のないフラダリから、強制メガシンカマシンを奪い取った。
フラダリ「だ、だめだ!サナ!サナの体力ではそれを使ってはいけない!大人でも、鍛えていないといけない代物だ!」
サナ「ごめんね、おとうさん」
セレナ「サナ!やめて!」
そして、サナはそれを自分に取り付けた。
サナ「私が、あなたたちを止める。お父さん、そこで見ていて」
フラダリ「やめろ!サナ!」
カルム「やめるんだ!」
サナ「さあ、セレナ。バトルだよ。今度は、負けないよ、セレナ」
カルム「やめろ、サナ!セレナ、サナをとめよう!」
セレナ「・・・カルム」
カルム「セレナ?」
セレナ「女の子ってね。男の子より頑固なんだ」
できるだけ、明るく言った。
サナも、ふふっと頬を緩めた。
サナ「そうだね!フレア団、第一幹部サナ!行くよ!ふかっち!」
ガブ「シャー!」
セレナ「が、ガブリアス!?」
サナ「メガシンカ!」
メガガブ「ジユアアアア!」
サナ「っく・・・思ったより、くる・・・」
フラダリ「さ、サナ・・・も、もうやm」
サナ「ふかっち!げきりん!」
メガガブ「ぐきゅあああ!」ドカーン
メガバナ「ばなー!」ばったり
セレナ「バナちゃん!」
サナ「一匹・・・つぎ!」
セレナ「うっ・・・げこちゃん!」
ゲッコウガ「げこー!」
サナ「・・・げきりん」
セレナ「ハイドロポンプ!」
ゲッコウガ「げっこー!」ドバババ!
メガガブ「ぎゅああああ」
セレナ「よし!げこちゃんの方が速い!」
サナ「ふかっち?」
メガガブ「ぎゅあ!」
サナ「まだ、いけるよね?」
メガガブ「ぎゅあーん!」ドカーン
ゲッコウガ「げろーん!」
セレナ「げこちゃん!ごめんね、ごめんね!」
ゲッコウガ「げこっ、げこっ」フラフラ
サナ「きあいのタスキか・・・ふかちゃん?」
メガガブ「ぎゅーん」フラフラ
サナ「こっちは混乱ね」
セレナ「ううっ、げこちゃん、いける?大丈夫?」
ゲッコウガ「げ、こっ!げこっ!」コクコクコクコク!
セレナ「げこちゃん、ハイドロポンプ!がんばって!」
ゲッコウガ「げこー!」ドババババ
げこちゃんは、もう満身創痍だった。
それでも、力一杯放ったハイドロポンプは。
メガガブ「ぎゅーん」フラフラ
サナ「あはははは!はずしちゃったね!ざんねーん!」
メガガブリアスの頭上を通過してしまった。
サナ「ふかっち、動いて」
メガガブ「ぎゅーん」フラフラ
サナ「ふかっち?動けるよね?じしん!」
メガガブ「ぎああああん!」ゴゴゴゴゴ
ゲッコウガ「げこおおお」バタッ
セレナ「げ、げこちゃん!も、もどって!」
ゲッコウガ「げっこお・・・」
サナ「二匹目・・・つぎ!」
セレナ「うう・・・お願い、耐えて!ごんすけ!」
カビゴン「ごんっ」
サナ「・・・ふかっち、げきりん」
メガガブ「ぎゅー・・・」フラフラ
サナ「・・・ふかっち」
メガガブリアスも満身創痍だった。
ハイドロポンプを喰らい、げきりんによる混乱を無理矢理振りほどき、じしんを繰り出した。
それでも、メガガブリアスは。
メガガブ「・・・がぶ!」ドガーン
サナ「ふかっち!やっちゃえ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
サナ「あー、なにやってんの!もーあんたー」
フカマル「ふっかあ・・・」ベトベト
サナ「なんでドブに落ちてるのよー、ほら、ポケモンセンターにいって洗うよ」
フカマル「ふか!!」バッ
フカマル「がぶがふ・・・」プルプル
サナ「・・・そっか。あなた、ひとりぼっちで生きてきたんだね」
フカマル「がぶがぶ・・・」
サナ「どう?一緒に来ない?ひとりぼっち同士、仲良くしようよ」
フカマル「ふか・・・?」
サナ「ほらっ」だっこ
フカマル「ふか・・・」ぐすっ
サナ「えへへー」なでなで
サナ「よし、あんたはふかっちだ!よろしくね」
フカマル「ふか!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
メガガブ「ぎゅああああ!」ドッカーン
カビゴン「ごーん!」
セレナ「ごんすけ!」
カビゴン「ごん・・・」
サナ「三匹目・・・」
セレナ「・・・サナ!ごんすけを舐めるな!」
サナ「ッ・・・!」
カビゴン「ごんっ・・・」フラフラ
メガガブ「ぎゅー・・・」
セレナ「ごんすけ!おんがえし!」
カビゴン「ごーん!」バゴーン
メガガブ「がぶう!」ばたっ
サナ「ふ、ふかっち!!」
セレナ「ごんすけ、ありがとう」
カビゴン「ごんっ」
カルム「・・・勝負ありましたね」
サナ「ふかっち・・・あっ」がくんっ
サナは倒れたガブリアスに寄り添おうとしたが、その前に膝が折れてしまった。
フラダリ「サナ、すまん。辛いことをさせた・・・。君達に頼みがある」
カルム「なんですか?」
フラダリ「私は素直に捕まる。どうしてくれてもいい。だが、サナは何もやっていない。
私が無理矢理にサナを巻き込んだだけだ。幸い、サナと私は正式な親子でない。
無関係だと言えば、きっとポリス隊も信じるだろう。頼む」
セレナ「・・・わ、わかりm」
サナ「ま、まだ!!」
セレナ「サナ!?」
サナは、そこに息を切れ切れ、なんとか立ち上がっていた。
そして、見たことのないような恐ろしい目で私たちを見た。
その目は、もう何も言わなくても、何を言わんとしているのが分かった。
「私はお父さんの娘だ。お父さんをいじめる奴は、許さない!」
そう、目は語っていた。
本日はここまでです。
書き溜めですので、明日夕方ぐらいに完結させます。
もうちょい読み直しと修正をして、再度投下します。
再開です。
本日完結予定です。
まったり自己満足で続けます。
サナ「セレナ!まだ・・・まだ参ったって言ってない!」
サナの身体は限界だった。
足を震わせ、油汗をひたいにうかべ、目を血走らせ。
それでも、立つ。
なんのためか?
そんな愚問は、もう出てこなかった。
フラダリ「や、やめろ、サナ!せ、セレナくん!カルムくん!サナを止めてくれ!頼む!」
サナは再び、強制メガシンカマシンの電源を入れた。
不気味に蠢くその機械は、サナを地獄に引きずり込もうとしている。
フラダリ「やめてくれ!二回連続で使ったら、死んでしまう!」
カルム「セレナ、止めさせて!」
セレナ「うるさい!黙ってて!サナの覚悟を踏みにじるな!!!」
サナ「・・・セレナは、親友だよ」
私が、正直一番止めたかった。
できることなら、サナに飛びついて、マシンを引き剥がしたかった。
でも、でも。
それをされたサナは、一体どうなるの?
愛する者のために戦えなかったサナは一体どうなるの?
そんな残酷な、残酷な。
そんな現実を、サナに突きつけるのか。
そんなの、そんなのは、ないよ。
サナ「ゆけ!がるっち!これで最後の最後の最後の最後だ!!」
親ガル「がるー!!」
子ガル「かるー!」
サナの最後のポケモン、メガガルーラが地響きのような叫び声を上げながら。
そこに光臨した。
その姿は、まるでサナの最後の希望や勇気や絶望を敷き詰めたような。
そんな化身の姿だった。
セレナ「普通のメガリングじゃ、一回が限度のメガシンカも、あのマシンは使い手の体力があれば何回でも可能なのね・・・」
サナ「・・・」ゼエゼエ、フラフラ
セレナ「・・・立っているのが、やっとじゃない・・・あっ」
カルム「・・・」スタスタ
セレナ「っ!カルム!サナに近づか・・・」
カルム「・・・よっ」がしっ
サナ「か、カルム・・・」
カルム「バトル中だよ。支えててあげるから、バトルに集中しな」
サナ「・・・うん」
カルムは、そう言いながらも、歯を食いしばっていた。
さて、サナの心配だけではだめだ。
今は目の前のあの化け物に集中しなくては。
メガガルーラ。
最近メガシンカが明らかになった強力なポケモン。
特性おやこあいによって二回行動が可能になった化け物。
親ガルーラ一匹でも高いポテンシャルを秘めているというのに、それに子ガルーラまで加わるのだ。
サナ「がるっち!おんがえし!」
親ガル「がるー!!」どかーん!
子ガル「かるー!」どかっ!
カビゴン「ごーん!」ばたっ
セレナ「ごんすけ!も、もどって!」
サナ「へへ、お、お返しだよ!さあ、セレナの手持ちはあと二匹だよね・・・勝てるかな?」
セレナ「・・・っ!こんな、こと、したくないけど。ごめんね、コマちゃん!」
ファイアロー「きゅえー!」
セレナ「パワフルハーブ!ゴッドバード!」
ファイアロー「きゅえー!」びゅーーー!!
親ガル「がるっ!」
セレナ「く、なんとか半分ぐらいかな・・・ごめんねコマちゃん」
ファイアロー「きゅえ!」フルフル
セレナ「全然、いいって?コマちゃんはいい子だね」
サナ「・・・おんがえし」
親ガル「がるー!!」どかーん!
子ガル「かるー!」どかっ!
ファイアロー「ぎゅえ!」ばたっ
セレナ「も、もどって!」
サナ「さあ、最後は・・・なにかな・・・?」
最後のポケモン。
それは、確かに私の手の中に、それはある。
でも、相手はサナだ。
サナ。
ごめん。
あなたの、思いを叶えられない。
セレナ「サナ、これが私の最後のポケモンだよ」
サナ「早くだしなよ」
セレナ「ごめん、サナ」
私は、意を決した。
多分、このポケモンは、この場に出たいと思っているから。
セレナ「ゆけ!ふぉっぴー!」
そこに現れたのは、悲しくて寂しくて仕方がないという顔をした。
サナのマフォクシーだった。
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サナ「このポケモンあげる!あんまり強くないから、いらないの!じゃあね!」
セレナ「あ、サナ!行っちゃった・・・」
サナから貰った、そのモンスターボールは、とてもいらないポケモン用には見えなかった。
使い込まれ、何度か磨かれたあとがある。
セレナ「とりあえず、でておいで」
マフォク「きゅーん」
セレナ「マフォクシー!?サナのふぉっぴーだ・・・。1番大事にしてたのになんで・・・」
マフォク「きゅーん・・・」
セレナ「うーん、とりあえず、パソコンに預けようかな・・・サナには、今度返そう・・・」
マフォク「!」がしっ、フルフル
セレナ「ふぉっぴー?」
マフォク「きゅーん!きゅんきゅん、きゅーん!」
セレナ「・・・分かった。一緒にサナを追いたいんだね。いいよ、いこう」
マフォク「きゅーん!」
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サナ「なっ、なっ、なっ、なんで、なんでなんでなんでなんで!なんで、ふぉっぴーが!?なんで?」
マフォク「きゅーん!きゅーん!」
マフォクシーはサナの姿を見ると、ひたすら自分だと訴えかけるように声を上げた。
サナ「・・・っ!お、置いてくって言ったでしょ!?あなたは弱いの!役立たずなの!」
サナ「足手まといなの!あなたなんか来たって、邪魔なだけなの!」
サナ「だからす、す、捨てたの!だから、だから!」ポロポロ
セレナ「ふぉっぴーから聞いたよ。全部」
サナ「な、何をよ!そんな役立たずなポケモン、はやくパソコンに預けて・・・」
セレナ「あのとき、サナはもう自分の運命がわかってたんだよね。こうなっちゃうことが」
サナ「な、な、そんな、わけ」
セレナ「だから、サナは、せめて」
マフォク「きゅーん・・・」
セレナ「1番大好きなこの子だけでも、巻き込まないように、私に託したんだよね」
サナ「・・・っ!!!」
セレナ「サナが優しくて、誰よりもポケモンの事を思ってることは、みんな知ってるよ」
サナ「・・・さいっ!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!」
マフォク「きゅーん・・・」
サナ「だまれ!ばか!あんたは役立たずだって、何度も言ったでしょ!ついてこないでって言ったでしょ!?」
サナ「逃がそうとしても、私にしがみつきやがって!」
マフォク「きゅーん・・・」
サナ「だま、だまって・・・なんでよお、なんで、なんで・・・」ガクッ
カルム「サナ!」
サナ「・・・来ないでって、言ったのに・・・ふぉっぴーに、こんなあたしを見られたくないのに・・・」
セレナ「・・・サナ」
サナ「うっ・・・うっ、ぐすっ」
セレナ「バトル、終わってないよ」
セレナ「やめる?あきらめる?降参する?それでいい?」
サナ「・・・!・・・っ!」
カルム「サナ・・・」
フラダリ「・・・サナ・・・」
サナ「――る。やるっ!がるちゃん、おんがえし!」
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サナ「ふぉっぴー!やった、初バトル勝利!」
フォッコ「きゅっきゅっ!」
サナ「ふぉっぴー、ごはんだよ!って、ふかっちのごはん食べるな!」
フォッコ「きゅーん・・・」
フカマル「がうがう!」
サナ「ふぉっぴー!すごい、進化!?」
テールナー「きゅーん!」えへん
サナ「やった!ここのジムも勝ち!さすがふぉっぴー!」
テールナー「きゅっ!」
サナ「あ、こら!ふぉっぴー!がるちゃんのポケットに入っちゃダメ!」
テールナー「きゅっ!きゅっ」ぬくぬく
親ガル「がる!がる!」アセアセ
子ガル「かる!!」プンプン
サナ「ふぉっぴー!ごめんね、ごめんね、すぐ、ポケモンセンター、すぐそこだから!」
テールナー「・・・きゅ」
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サナ「ふぉっぴーは打たれ弱いもんね。ほら、これ。ふぉっぴーのために作ったよ」
マフォク「きゅーん!」
サナ「・・・ごめんね、ふぉっぴー、よく聞いて」
マフォク「きゅ?」
サナ「だめだって!ついてこないで!」
マフォク「きゅー!きゅー!」
サナ「だめだって!いうこと聞けないの!?あなたは自然に帰るの!」
マフォク「きゅー!きゅー!」
サナ「」スタスタ
マフォク「きゅー!きゅー!」ポロポロ
サナ「」スタスタ
マフォク「きゅー!きゅー!」
サナ「」スタスタ
マフォク「きゅー・・・きゅー・・・」ズルズル
サナ「・・・ほら、ふぉっぴー、おいで」
マフォク「きゅー」ぐすっぐすっ
サナ「・・・ごめんね。でも、だめだからね」
サナ「ふぉっぴー、信用できる人だからね。セレナはすごく優しいから大丈夫。ほら、これ。あなたのために作ったから」
マフォク「きゅーん・・・」ぐすぐす
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親ガル「がるー!」どかっ!
マフォク「きゅーん!」
サナ「・・・っ!や、やめ、やめて!!」
子ガル「がる?がる?」チラチラ
セレナ「・・・」
サナ「うっ、うっ」
セレナ「サナ」
サナ「なによ!そうよ、あたしはふぉっぴーが大好きなの!巻き込みたくないの!」
セレナ「サナ!!!」
サナ「なっ、な、なによ・・・」
セレナ「子ガルーラの攻撃が残ってるよ」
サナ「た、耐えられないもん!ふぉっぴーの体力じゃ・・・もう」
セレナ「耐えるよ。ふぉっぴーはそう言ってる」
マフォク「ふお、ふぉく!きゅーん!」ふらふら
サナ「あ、ああ・・・」
ポケモンは、主人の命令には逆らわない。
親ガルーラがこちらを睨め付け、そして、全てを悟ったように目を閉じた。
親ガル「・・・がる」こくっ
子ガル「がるっ!」
ふぉっぴーは、親ガルーラの攻撃でも、もう限界だった。
それでも、私は信じた。
だって、だってそうでしょう?
この一撃に耐えないと。
サナを勝たせてしまう。
それは、本当のサナの幸せじゃないことは、このふぉっぴーが1番わかってる。
最初からずっと一緒にいた仲間だから。
子ガル「がるっ!」どかっ!
マフォク「ぎゅーん!!」
サナ「ふぉっぴー!!」
耐える。
だって。
マフォク「・・・きゅーん」ぐっ
サナお手製の、きあいのハチマキをつけた、マフォクシーだもの。
10パーセントなど、大した壁ではない。
奇跡なんて、起こす必要はない。
だって、サナのマフォクシーだもん。
セレナ「ふぉっぴー、火炎放射!」
マフォク「きゅーん!!!」ぼわーん!
親子ガル「が、がるーん」ばたっ
サナ「あ、あ、あ、あれ?」がくがく
サナはメガガルーラが倒れると同時に。
カルム「さ、サナ!」
サナ「・・・」ばたっ
その場に、崩れ落ちた。
それが、この戦いの終焉だった。
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あ、お父さん。お母さん。
久しぶりだね!
どこにいくの?ピクニック?
あたしも連れてってよ!
え?
だめなの?なんで?
お父さん、お母さん、行かないで!
え?
お友達がいるだろって?
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そんなの、いないよ!
いるって?
だから、そっちに行けって?
ま、待ってよ、待ってよ!!
サナ「お父さん!」ガバッ
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セレナ「あ、気がついた!!」
マフォク「きゅーん!!!」
ガブ「が、がぶ!がぶ!」
ガルーラ「がるーん!がるがる!」
カルム「サナ!」
ティエルノ「わー!よかったあー」
トロバ「よかったですー!」
サナ「み、みんな・・・」
サナはあの後、すぐにミアレシティの総合病院に搬送された。
体力の消耗が激しく、一時期は本当に生死の境にいたそうだ。
それでも、驚異的な精神力でなんとか乗り越えたのだった。
セレナ「サナ」
サナ「セレナ・・・」
セレナ「」パンッ!
サナ「!」
カルム「セレナ!」
セレナ「どんなけ、みんなが心配したと思ってるの!」ポロポロ
サナ「・・・」
セレナ「あなたが死んじゃったら、私たちはどうしたらいいのよ!フラダリさんはどうなるの!」
サナ「お、おとうさん?」
サナ「そ、そんな・・・あ、あたしも行く!」
セレナ「サナはお父さんに助けられたの。私達はサナをつれてあそこをすぐに脱出したの」
サナ「やだ!やだ!」
セレナ「・・・これ、お父さんからの手紙。昨日届いたよ」
サナ「手紙?」かさっ
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サナへ
色々と迷惑をかけた。
謝ることなどいくらでも出てくる。
だが、今はやめよう。
サナ、君は私の生きがいだ。
何もかも失った私に、一筋光をともしてくれた天使だ。
だから、私のわがままを聞いてくれ。
サナは、私のために。
好きに生きて、好きに友を作り、そして笑っていてくれ。
それが、私の生きがいだ。
まあ、それに。
フレア団の皆も私と共に来てくれている。
そう鉄格子の向こうも寒いものではなさそうだ。
フラダリ
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サナ「・・・お、お父さん」
セレナ「さっ!あとはおせっきょーだよ」
カルム「サナは僕達に悩みを黙っていた!重大な罪だ!」
ティエルノ「そうだぞー!相談してくれたら、力になってやるのにー!」
トロバ「そうですよー!つめたいじゃないですか!僕たちも一緒に悩ませてくださいよ!」
サナ「み、みんな・・・・・・ごめんなさい・・・」
セレナ「はいつぎ!ふぉっぴー!」
マフォク「ふぉく!」ふんぬ
サナ「ふぉっぴー・・・」
マフォク「ふぉ、ふぉくううう」だきっ!ぺろぺろ
サナ「ちょ、ちょっと、ふぉっぴー!くすぐったいよ!」
セレナ「ふぉっぴーはずっとサナが寝ているところのそばに、ずっといたんだよ」
サナ「ふぉっぴー・・・」
セレナ「はい!ふぉっぴーに言うことがあるよね?それを言うまで返してあげない」
サナ「う、うう・・・ふぉっぴー、ごめんね。こんな、こんな・・・えぐっ」
サナ「こ、こ、こんなあたしだけど、ずっとそばにいてくれますか!?」ポロポロ
マフォク「ふぉくー!!」だきっ!
サナ「うわあーーーーん!!」だきっ
セレナ「あらら。こら泣き止まないわ」
結局、ずっとセレナのいいようにされてしまった。
まあ、やってしまったことがそれなりのことだから、しょうがない。
結局、お父さんの計画は失敗に終わったそうだ。
伝説の古代ポケモンは、復活する前に機械を破壊されてしまった。
悔しいと言えば悔しい。
お父さんの夢を叶えてあげられなかったのだから。
それでも、あたしはもう一人で無理をしないと誓った。
昔のあたしなら、ここで突っ走って、もう一度機械を作動さえようと考えるだろう。
だけど、あたしはもう辞めた。
私は、もう。一人で生きていくことを辞めると決めたんだ。
そして、お父さんのためにも。
友達のためにも。
この命を大切にして、生きていこうと思ったんだ。
カルム「はいこれも、フラダリさんから」
サナ「え?モンスターボール?あっ、これ・・・」ぽしゅん
ギャラ「ぎゃおー!」
サナ「わっ、こいすけ!」
カルム「フラダリさんのギャラドスか・・・サナに託すってことかな」
サナ「・・・お父さんみたいに上手じゃないけど、よろしくね。こいすけ」
ギャラ「ぎゃお!」こくこく
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コイキング「」ピチピチ
フラダリ「またコイキングだ。なかなか釣れないな」
サナ「えー!コイキングかわいいよ!育てようよ!」
フラダリ「育てると言ってもだ、コイキングじゃ・・・」
サナ「えー?お父さん、ポケモン名人なんでしょー?コイキング強くできないの?」
フラダリ「む・・・。できる」
サナ「やった!きまり!じゃあ名前はこいすけね!」
フラダリ「とりあえず、学習装置買ってくるか・・・」]
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3ヶ月の安静期間が終わった。
あの強制メガシンカマシンが、脳にどういう影響を及ぼすか調べられたみたいだ。
診断結果は幸いにも異常なしとなった。
退院の日、友達皆が集まってくれた。
セレナ「サナ、もう大丈夫なの?」
カルム「無理はしないでよ」
トロバ「元気になってよかったですー」
ティエルノ「また一緒に旅ができるね!」
サナ「うん!セレナ、みんなありがとう!」
マフォク「きゅーん」スリスリ
セレナ「サナ、これからどうする?」
サナ「私は、お父さんの言いつけ通り、一番好きなポケモンを続けるよ。
サナ「そして、強くなるんだ。強くなって、お父さんのいる場所まで名前を轟かせるの!」
セレナ「うん。そっか!」
サナ「だから、セレナも!私と一緒に強くなってね!」
セレナ「うん。分った!」
サナ「うん。セレナは親友だけど、今日からライバルだね」
セレナ「そうだね」
サナ「そうだ、バトルしようよ」
セレナ「やった、勝った!」
サナ「負けちゃった・・・ごめんねふぉっぴー」
マフォク「きゅーん」ショボン
サナ「・・・さて、バッジは残り一個だね。もう、決まってるね」
セレナ「うん」
サナ「次に戦うときは、カロスのてっぺんだよ。カロスのてっぺんなら、お父さんにも見えよね」
セレナ「うん。きっと」
サナ「うふ!あははは!セレナ、覚えてろよー!」だっ!
そのサナの後ろ姿には、一片の陰りは無かった。
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私はポケモンリーグにいる。
数々のトレーナーが挑み、そして敗れてゆく地。
夢の到達点であり、破滅点であるこの地は、なんとも言えぬ緊張感がある。
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半年に1人。
四天王を倒し、チャンピオンに到達する平均人数だ。
2年に1人。
チャンピオンを撃破する平均人数だ。
そして、私は四人目の四天王を倒した。
カルネ「強いわね」
最後の四天王はそう言った。
カルネ「先月、私を倒した現チャンピオンは、こんなものじゃなかったかもね?」
どうやら、カルネは性格がよろしくないようだった。
でも、彼女はそんなに不愉快ではない。
カルネ「さっ、あのエレベータを上がればチャンピオンよ」
カルネはとても嬉しそうだった。
カルネ「紛れもない、カロスの頂上よ。思う存分、やってきなさい」
セレナ「はい」
あ、そういえば。
セレナ「あ、あの!」
カルネ「何かしら?」
セレナ「カルムって男の子が先に来ませんでしたか?」
カルネ「うふふ。私程度を越えられない子に、あのチャンピオンには勝てないわ」
カルネはやはり嫌味っぽいが、清々しさがある。
エレベータをあがると、やけにファンシーに作られた部屋がお目見えした。
まあ、チャンピオン様のお好きそうな好みだ。
まるでおもちゃ箱をぶちまけたような部屋。
その中に、同じくおもちゃの人形のようなドレスを着た者が1人。
なんとも、チャンピオンの特権をフルに活用したようだ。
ピカピカのラメ入りのメイド服を着せられた女性のレフェリーには、ちょっと同情してしまったが・・・。
サナ「ようこそ!セレナ!」
セレナ「まったく、何よ、この部屋」
サナ「可愛いでしょ?」
セレナ「それは認めるけどね・・・」
サナ「えへへ!さあっ!約束通り!カロスのてっぺんだ」
セレナ「うん!・・・あっ」
サナの腕に目が行く。
まさしく、それはメガリングだった。
サナ「ああ、これ?カルネさんが、あなたに相応しいって!」
セレナ「そっか」
あの人は、なかなか粋なことをふるようだ。
サナ「私はあのあと、気づいたんだ」
セレナ「なに?」
サナ「守るなんて口で言うのは簡単だって。本当に誰かを守るためには、やっぱり強さがいるんだ」
セレナ「そうだね」
サナ「強く、ないと。なにも守れない」
セレナ「うん」
サナ「だから、私は強くなった。強くなって、きっと、お父さんを守れるぐらいの力を手に入れた」
セレナ「・・・」
サナ「だから、あたしはこの場所にいる。この高さにいる。その意味が、分かるかな?」
セレナ「・・・うん」
サナ「そうだよ!この、あたしが!せかいでいちばん!つよいってことなんだよ!」
レフェリー「チャンピオンサナの意向により、ダブルのフルバトルとなります。よろしいですね?」
セレナ「ダブルね。わかりました」
レフェリー「それでは、チャンピオンサナ!チャレンジャーセレナ!バトル、レディーゴー!」
サナ「お父さん、見ていてね」
サナ「お願い!ふぉっぴー!こいすけ!」
セレナ「げこちゃん!ごんすけ!ごー!」
その戦いは、カロスの歴戦にものこる名勝負だと、今も語り継がれている。
END
これで終わりです。
ポケモンXYをプレイして、サナが好きになりすぎて書き始めました。
完全に自己満足で終わっています。
チャンピオンはできればライバルポジションのキャラがいいな。
ポケモンZには期待。
それではまた。
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