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鷹富士茄子「お花見に行きましょう♪」
鷹富士茄子「お花見に行きましょう♪」 - SSまとめ速報
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§ある日§
P「おはよう。朝早くに呼び出して悪いな」
茄子「プロデューサー、おはようございます」
紗南「来たね、Pさん! きょうはどんな企画を持ってきてくれたの?」
P「ふたりには今回、ミュージカル公演に出てもらうことになった。企画名は――『戦記公演・暗黒竜と光の剣』」
紗南「『暗黒竜』って、もしかして……?」
P「そうだ。紗南の想像通り、ゲームの設定を借りた脚本らしい。といっても、俺はやったことないんだけど」
茄子「公演でしたら、いつもより大人数になりそうですね」
P「うちのユニットを含めて、アイドル部門から6人が出演するぞ。配役の表が、確か……ああ、これだ」
§公演の配役§
三好紗南:アリティアの王女サナ。カコのアリティア襲撃を受けて、神剣ファルシオンの奪還とドルーア帝国打倒のために決起。兵種は【ロード】。
相葉夕美:アリティア宮廷騎士団の団長、ユミ。サナに同行し、戦略・精神の両面で支える。飛竜「マリーゴールド」と心通わす歴戦の【ドラゴンナイト】。
早坂美玲:【ガルー】のミレイ。ドルーア兵のアリティア襲撃に参加するも、サナの説得で同盟軍入りする。義に厚く、納得できないことはしない。
神崎蘭子:カダインの魔道使いランコ。戦争には中立・傍観の立場だったが、スターライトの使い手としてスカウトされる。兵種は【ダークマージ】。
鷹富士茄子:闇の司祭カコ。暗黒地竜ニナの封印を解く。マムクートを人間にけしかけ、漁夫の利を狙っているようだが……? 兵種は【ソーサラー】。
市原仁奈:地竜族の王女・ニナ。カコによっておよそ100年ぶりに目覚める。人間への復讐と竜族の地位向上のため、今回の戦争を起こした。兵種は【マムクート】。
茄子・紗南「「おおーっ!」」
紗南「今回はこの6人で、同じ舞台に立つのかあ……楽しみだね!」
茄子「はい! 今からワクワクしますね……」
茄子「わあ、紗南ちゃんは王女様の役なんですね♪ これは主役かな?」
紗南「あたしが、ファルシオンを? 恐れ多くて、なんだか手が震えてきたよ……!」
茄子「私は……『闇の司祭』? いったいどんな役なんでしょう」
紗南「茄子さんの役はね、確か……」
P「ふたりともー。盛り上がるのもいいが、この後は共演者さんとの顔合わせがあるからな。詳しい話は集まってからでもいいんじゃないか」
紗南「顔合わせ!? それを先に言ってよ!」
茄子「善は急げ、ですね~。さっそく行きましょう♪」
§公演初日 楽屋§
美玲「みんな、おはようッ……ございます」
紗南「あっ、美玲! お疲れさま!」
夕美「これで、第一幕のメンバーが揃ったね」
茄子「仁奈ちゃんと蘭子ちゃんは、少し入りが遅れるんでしたね」
美玲「二人のためにも、ウチらがしっかり盛り上げておかないとなッ!」
夕美「私たち、これから茄子さんと戦うんですよね。もちろん、何度も稽古はしてきたけど……なんだか、不思議な感じ」
茄子「夕美ちゃん、負けませんよ~。お芝居ならではの、普段とは違う姿……私、ずっと楽しみにしてましたから♪」
紗南「茄子さん、やる気充分だね! いい舞台になるように、あたし達も全力を尽くそう!」
夕美「うん! ――それじゃ、準備もできたし……」
美玲「行くか!」
LIVEツアーカーニバル「戦記公演 暗黒竜と光の剣」
§アリティア城 サナの居室§
ユミ「サナ様、お休みのところを失礼します」
サナ「ユミじゃない。どうしたの?」
ユミ「その……落ち着いて聞いてください。このアリティア城は、敵の襲撃を受けています」
サナ「ま、待って……? もう一回言ってくれる?」
ユミ「敵襲です。ドルーア帝国の一団が突然、城内に現れ、火を放ったようです」
サナ「ドルーア? 100年前に滅びたっていう、あの……? とにかく外に出て、様子を見てみようか」
#1「アリティア襲撃」
サナ「こ、これは……」
サナ「こんな光景、信じたくないけど……信じるしかないみたいだね」
ユミ「騎士団の皆が消火と迎撃にあたっていますが、如何せん完全に不意を衝かれた格好です。状況を把握したのも、つい今しがたで」
サナ「この《ファルシオン》を狙って来たのかな。そもそもどうやって……ううん、そんなことより、今はこの場をなんとかしないと!」
ユミ「そのことですが、サナ様にはふたつの道があります。ひとつは、御身を優先して亡命を――」
サナ「亡命はしないよ。皆が必死で戦ってるのに、王女であるあたしが国を捨てて逃げ出すだなんて……そんなこと、できるはずがない」
ユミ「……サナ様なら、きっとそう仰ると思いました。であれば、速やかに戦闘の準備をいたしましょう」
ユミ「サナ様、よろしいですか。私たちは少数……全ての敵兵を相手にしている余裕はとてもありません。勝機があるとすれば――襲撃の指揮を執っている者。敵将を討てば、部隊は統制を失い、鎮圧できるでしょう」
サナ「厳しい戦況だけど、地の利はあたし達にあるし……うん、それなら何とかなるかも」
ユミ「私たちはサナ様の剣も同じ。きっとお役に立ってみせますよ! ねっ?」
飛竜「グルルル……!」
サナ「マ、マリーゴールドちゃんは相変わらずの迫力だね……本当に頼もしいよ。それじゃあ、行こうか。あたし達のお城を取り戻しに!」
ユミ「こちらにも、ドルーアの兵がいるようです」
サナ「騒ぎになる前に距離を詰めておきたかったけど、そうも言ってられないか。突破するなら、できるだけ手薄なところを探さないと」
サナ「ここなら!」
ドルーア兵「いたぞ、サナ王女だ! 捕らえるか討ち取れば、褒美は思いのままだぞ!」
サナ「道を……あけてっ!」
ドルーア兵「ぐわああ……」
ユミ「サナ様、お見事です」
サナ「あたしだって、剣の訓練はしてきたんだから! さあ、先を急ごう!」
§一方その頃§
*「サナ王女だって? 今回のターゲットらしいし、ウチもそっちに向かうかッ」
*「アリティアのサナ王女だなッ。オマエに恨みはないけど――」
サナ「あなた、もしかして【ガルー】?」
*「そうだッ。ウチは誇り高き狼、ミレイ! オマエをこのツメでひっか――」
サナ「ガルーのあなたが、どうしてドルーアの部隊にいるの? お金で雇われたとか?」
ミレイ「んむ……この前、カコとかいう司祭が訪ねてきてさ。人間がガルーやマムクートに戦争を仕掛けようとしてるから、先に叩いておかないと危ないぞって……」
サナ「!? そんな……あたし達には、攻めこむつもりなんてないのに! 今だっていきなり攻撃されて、何がなんだか……」
ミレイ「本当か? あっ、もしかしてウチを騙そうとしてるとか?」
サナ「違うったら! 疑うなら、あたし達と一緒に来てよ。本当かどうか近くで見極めればいいでしょ?」
ミレイ「騙すつもりなら、そんなこと言わないか……。わかったよ、カコに用があるんだろ? ウチも気になるし、とりあえず、そこまではついていく。でも、まだ仲間になるって決めた訳じゃないからなッ」
ドルーア兵「ぐわああ……」
ミレイ「ふんッ、ドルーアってのも大したことないな」
ユミ「ミレイちゃんの身のこなしは凄いですね……。うちの騎士団に来てもらいたいぐらい」
サナ「万年人手不足だからね。こっちについてくれるかどうかはミレイ次第だけど」
ミレイ「邪魔が多いから仕方なく掃除してるだけだモン! まったく、途中で倒れたら許さないぞッ!」
ユミ「あの娘の言うとおりです。サナ様の身に何かあったら、私は……」
サナ「大丈夫だよ。こうしてユミがいてくれるし、ファルシオンだってあるんだから」
ミレイ「口じゃなくて、脚を動かせーッ!」
§城門§
ミレイ「サナ、あいつだッ」
サナ「あなたが、司祭カコ……!」
カコ「サナ王女ですね。ここまで来られるとは……噂どおり、なかなかの武勇みたい。ファルシオンは焼け跡の中からゆっくり探すつもりでしたけど、手間が省けました」くすくす
サナ「やっぱり、ファルシオンが狙いなんだね」
カコ「ええ。実は先日、地竜族の王女……ニナちゃんの封印を解くことに成功したんです。ところが、あまりの力に私もちょっとだけ不安を覚えまして」
ユミ「地竜の王女、ニナ……! あの、伝説の……」
サナ「ファルシオンがあれば安心だから、奪いに来たってわけ?」
カコ「その通りです♪ 私にはこの《マフー》の書もありますけど、念の為にね。だから、その立派な剣を頂戴?」
サナ「そうはいかないよ、あたしにはこれを持つ義務と責任があるの。ニナが復活したっていうなら、なおさら!」
カコ「強情なお姫様には、少しおしおきが必要かしら……」
ユミ「サナ様、危ないっ!」
サナ「ユミっ!」
ユミ「これは……か、体が動きません。あの魔道書の力、でしょうか……。サナ様、今からでも脱出を――」
サナ「ユミを置いて!? できるわけないじゃない!」
カコ「美しい絆ですね。どのみち、逃がしはしませんけど」
ミレイ「なあ、話聞いてるとさ、なんかオマエの方が戦争始めそうな感じだよな。ウチに嘘ついたってことか?」
カコ「ああ、あなたはガルーの……。考えてもみてください、人間はかつてのドルーアを滅ぼしたんですよ? 他の種族とわかりあうことなんて、到底できっこありません」
カコ「それなら早いうちに叩いておくに限りますよね? ですからあれは嘘というより、むしろ方便です」
ミレイ「要するにウチらを利用したかったんだな。ガルーを騙すとは、いけないんだぞッ! ひっかいてやるッ」
カコ「あら危ない。えいっ♪」
サナ「うわっ!」
ミレイ「わああッ!?」
カコ「はじめからこうしておけば良かったですね。少しおしゃべりが過ぎました……」
サナ「く……! や、やめ……」
【ファルシオンを奪われた】
カコ「ファルシオンさえ手に入れば、もう用はありません。命までは取らないから、せいぜいおとなしくしていてくださいね」
カコ「では♪」ヒュンッ
§翌朝§
ユミ「サナ様、残党の鎮圧が完了しました」
サナ「うん……ありがとう」
ユミ「ドルーアの部隊が昨夜いきなり現れたのは、カコが去っていった時と同様、強力なワープの魔法によるものでしょう。普通なら、再度の襲撃を警戒するところですけど……」
サナ「……ファルシオンのないアリティアなんて、どうとでもなるって感じだったね」
ミレイ「あの部隊は最初から捨て駒にするつもりだったんだな。ウチも含めて……ッ」
ユミ「そうまでして、あの剣が欲しかったんですね……」
サナ「…………」
サナ「あたし、ファルシオンを取り戻しに行く」
ユミ「! サナ様、それは!」
ユミ「しかし……この状況では、他に手がないのも確かです……」
サナ「ファルシオンを失った時点で、あたしにとってはアリティアにいる資格がなくなったのと同じ。王女として、きっと責任を取らなきゃいけない……だけど、それは今じゃないの。今回のことに決着をつけてから」
サナ「奪われておいて、責任だなんてね……。でも、それでも、あたしは……」
ミレイ「『ファルシオンはアリティア建国の象徴』ってやつか。話には聞いてたけど、本当に大事なものなんだな」
ユミ「せめて、私もお供します! 御身をお守りすることもできなかった私ですが……だからこそ、このままでは終われません!」
サナ「……ユミ、ありがとう。あたしも同じ気持ちだよ」
サナ「ミレイはどうするの? カコの話を聞いて決めるって言ってたけど」
ミレイ「ウチはとにかく、カコのヤツを一発ひっかいてやらないと気がすまないからな。だから、まあ……ついてってやるッ(それに、今のサナを放ってはおけないし……べ、別に心配なわけじゃないぞッ)」
サナ「そっか……わかったよ。準備ができたら、すぐに出発しよう!」
ミレイ「むー、ホントにわかってるのか……?」
#1「アリティア襲撃」終わり。#2へ続く
#2「スターライト・エクスプロージョン」
§出発前§
ミレイ「さっきはああ言ったけど、カコに会った時さあ……ウチら、全然動けなかったよね。あれをどうにかしないと、ひっかくも何もないぞッ」
サナ「うん、そのことはあたしも考えてた。あの魔道書……《マフー》には、きっと何か特別な力があるんだと思う」
ユミ「残念ながら、私たちには魔道の才能がありません。情報を集めるには……やっぱり、【魔道の学院都市】カダインに向かうのがいいですよ」
サナ「決まりだね。まずはカダインを目指そう」
§カダイン§
サナ「こういうときは、やっぱり聞き込みだよね! 手頃な『村』とか『民家』とかで……あっ、あの人はどうかな!」
おばさん「おや、旅の人かい? ……ふうん、アリティアから? 珍しいねえ」
サナ「うん、カコっていう司祭が使う魔道書、マフーについて――」
おばさん「カ、カコだって!? お嬢ちゃん、悪いことは言わない。この街でその忌々しい名を口にしない方がいいよ……どこであの魔王の手先が聞いてるか、わかりゃしないんだから」そそくさ
サナ「知りたいことが……って、行っちゃったね」
ユミ「サナ様……そのまっすぐな心は、あなたの美徳です。私の尊敬するところでもありますけど、今のはあまりにも……率直すぎます」
サナ「うう……それとなく切り出すのって、実際にやってみると難しいねえ……」
ミレイ「ここって魔道士の国なんだろ? そういう力には皆慣れっこだと思ったけど……あんなに怖がられるなんて、よっぽどだなッ」
ユミ「魔道に親しんでいるからこそ、その恐ろしさがよく分かるのかも……。手がかりはたくさんありそうですから、慎重に聞き込みを続けましょう」
§しばらくの後§
ユミ「サナ様。首尾はいかがですか」
サナ「気を遣って話すと緊張するね……。何人かには同じように逃げられちゃったけど、参考になりそうな話も聞けたよ」
サナ「まず、カコはここカダインの出身で、ずっと闇魔法を研究していたんだって」
ユミ「闇の魔法……ですか。私が聞いたところでは、カダインでも何かと白い目で見られがちな分野だそうですよ。研究もあまり進んでいないとか」
ミレイ「魔道士サマも結局はウチらと同じか。そういうのは、正体がわかれば案外怖くなかったりしそうだけどな」
サナ「でも、マフーが恐ろしい武器なのは本当だよ。悪霊の加護があって……やっぱり、使い手には傷ひとつつけられないみたい」
ユミ「そんなものをひとりで作ってしまうなんて、きっと優秀な学生だったんですね。……カコの事情は、私たちのあずかり知るところではありませんけど」
サナ「そうだね。今はとにかく、マフーの守りを破る方法を見つけないと。それで、カコとは別に闇魔法を研究してるっていう『変わった魔道士』のことも聞いたんだけど……」
ミレイ「二人とも、おしゃべりはそこまでだッ」
ユミ「あの人、こちらに近づいてきますね……」
屈強な魔道士「お前ら、カコ様のことをコソコソと嗅ぎ回っているらしいな」
サナ「あの人にはずいぶんお世話になったからね。ちょっと興味が出てきちゃってさ」
屈強な魔道士「好奇心は猫を殺す……世の中には知らない方が良いこともあるのだ。これから俺たちが、それを教えてやろう。たっぷりとな」
ユミ「ということは、やっぱりここにカコの秘密が?」
ミレイ「この気配……まだ遠いけど、けっこうな数だぞ。さっき聞いた、カコの手先ってやつかッ」
サナ「話の続きはここを切り抜けてからだね。みんな、戦闘の準備を!」
サナ「案の定、敵の主力は【魔道士】みたい。軽装だから守備は薄いけど……魔道の攻撃は強烈だよ。立て続けにもらわないように、布陣を工夫しなくちゃ」
ユミ「一度に大勢を相手にしないことが重要ですね。私たちはサナ様の采配に従います。どうぞご指示を」
ミレイ「ウ、ウチもか? まあいいケド……危ない目に遭わせるなよなッ」
サナ「もちろん! 行くよーっ!」
サナ「うーん、魔道士は1マス……じゃなくて、ちょっと離れたところから撃ってくるのが厄介だなあ。あたしの剣やミレイのツメよりも射程が長いから、引きつける時に反撃できないよ」
ユミ「ここは私の出番ですね! 《てやり》を投げれば、離れた敵にも攻撃が届きますからっ」
サナ「大変な役目だけど、頑張ってね! 《きずぐすり》は持った?」
ミレイ「近づいてきた敵は、ウチらに任せてくれ! ひっかいてやるぞッ」
§こうして……§
サナ「これで、残るはあなたひとりだよ! いい加減に諦めたらどう?」びしっ
屈強な魔道士「バカな……兵どもは何をやってる! カコ様への忠誠はどうした!」
ユミ「『命あっての物種だ』って言って、みんな逃げちゃったよ。頼もしいね♪」
屈強な魔道士「ぐぐ、使えんやつらめ……。仕方がない、俺の《エルファイアー》を食らえ!」
ミレイ「遅いッ!」
屈強な魔道士「ぐわああ……」
屈強な魔道士「た、助けてくれーっ!」そそくさ
サナ「さて、と。話のつづきだけど……」
ユミ「今でも闇魔法を研究しているという魔道士、ですか」
ミレイ「さっきのヤツらじゃないのか? あっ、でも闇っぽい魔法は使ってなかったよな」
サナ「あはは。カコに憧れてただけの、普通の魔道士だったね」
ユミ「それで、件の彼……彼女? は、どのあたりにいるんでしょう」
サナ「街のはずれに小屋を建てて、ひとりで暮らしてるんだって。さっそく行ってみよう」
§カダイン 郊外の小屋§
サナ「ここだね。こ、こんにちは……」
*「っ!?」がしゃーんっ
サナ「…………」
*「…………」
サナ「えっと……」
*「…………」キィ…
サナ「あっ、はじめまして! あたしはアリティアの王女、サナ。この二人はあたしの仲間で、ユミとミレイって言うんだ」
*「我が名は……ランコ。異邦の王族が、私に何用か?」
サナ「あなたが闇魔法の研究をしてるって聞いて、少し話を訊きたいと思ったんだ」
ランコ「昏き秘法に、自ら触れたいというの……? これは僥倖! 予期せぬところで同好の士とめぐり逢えたものよ!」
サナ「話って言っても、入門に来たわけじゃなくて……いや、ある意味ではそうなのかな……? とにかくね、あたしが知りたいのは――」
ランコ「ささ、早く中へ! 研究の成果を存分に見てもらうわ。話はそれからぞ!」グイグイ
ランコ「成る程、闇の司祭カコ……」
サナ「その、ごめんなさい。誤解させるつもりはなかったんだけど……」
ランコ「構わぬ。私も非礼を詫びよう……闇魔法に興味を持ってくれる人って少ないから、嬉しくなっちゃって」
ランコ「ええ。カコとマフーのことは、もちろん識っているわ。なにしろ、私が研究を始めた契機だから」
ミレイ「! 本当かッ? それなら――」
ランコ「彼の呪縛を破る方法、ね。これは……運命の悪戯が形をとった落胤(まどうしょ)。名を《スターライト・エクスプロージョン》」
ユミ「《スターライト》……」
ランコ「この呪文を唱えれば、星々の光が闇の帳を切り裂き、世を照らすであろう……。理論上は」
サナ「す、すごい! あたし達が探していたのは、まさにそれだよ!」
ランコ「星の煌めきも堕天使には眩しすぎるわ。ゆえに、より相応しい……欲する者に与えよう。しかし王女の同胞には、これを扱うに足る……『瞳』持つ者がいないのでは?」
サナ「魔道の才能ってこと? それは確かに……まさかランコに来てもらうわけにもいかないしね」
ランコ「ふん、お断りね。人と竜族が相争おうが、関わりのないこと。私は深淵の底で研究を続けるだけ……これまでも、これからも。それが私の望みだから」
サナ「そうだよね……。うーん、研究か……あっ!」
サナ「さっき『理論上は』って言ったよね。あなたのスターライトが本当にマフーに効くかどうか、確かめたくはない?」
ランコ「む……私と盟約を結ぶつもり?」
サナ「うん! あたしが支払う代償は、ランコの探究心を満たす手助けをすること! どうかな?」
ランコ「その見返りに、私は王女の戦に加わり……カコと対峙する……か。フフフ……ハーッハッハッ! 面白い。こんなに愉快な気持ち、久しく忘れていたわ」
サナ「それじゃあ!」
ランコ「うむ。私は盟約に従い、この智慧と魔力を王女に捧げよう。共に征くぞ、我らが魂の――」
サナ「赴くままにっ!」
#2「スターライト・エクスプロージョン」終わり。
§楽屋§
夕美「ふう……みんな、前半戦お疲れさまっ!」
美玲「蘭子も加わって、これでこっちのメンバーが揃ったぞ!」
蘭子「この時を待ちわびたわ……今こそ上げよ、反撃の狼煙を!」
紗南「後半は、上級職へのクラスチェンジも見どころのひとつだよね。衣装も豪華になるし」
美玲「狼のリーダー、【マーナガルム】だな。ますますカッコいいウチを見せてやるぞッ!」
蘭子「私は【闇と語らう者】の装束ね。ふふ、抑えきれぬ魔力の昂ぶりを感じる……!」
茄子「蘭子ちゃんは、私とお揃いの【ソーサラー】なんですね。同じ兵種の激突なんて、ちょっと燃えちゃいます♪」
仁奈「ここからは、仁奈も参戦しやがりますよ! もう準備ばっちりでごぜーます!」
夕美「仁奈ちゃんは、【マムクート】の衣装なんだね。背中の翼がよく似合ってるよ!」
仁奈「こんどのキグルミはすげーですからね。甘く見てやがると、パクっといっちまいますよ!」
茄子「私たちも、これで出揃いましたね。後半は戦いも更に激しくなりますから、気を引き締めていきましょう!」
一同「おーっ♪」
#3に続く
(休憩時間)
#3「魔王再び」
§カダイン 郊外の小屋§
ユミ「ランコちゃん。ワープの魔法が使えるって、本当?」
ランコ「ふっ、造作もない。だがそれは、選ばれし者に限っての話……」
ミレイ「人数の制限があるのか。でもカコは確か、一部隊を丸ごと飛ばしてたな……ウチもその中のひとりだったし」
ランコ「いかにカコといえど、そのような行いは天に届く塔を建てるようなもの。魔力の枯渇は避けられぬはず」
サナ「もしかして、何かの助けを借りたのかな? 人が遠くへ行く時、馬に乗るみたいに」
ランコ「そう考えるのが妥当であろう。『瞳』持つ者にとっての馬とは、やはり……」
§砂漠の古代都市 テーベ§
ランコ「ここテーベの魔道器械をおいて、他にはあるまい!」
サナ「ワープって、本当にあっという間なんだねえ」
ミレイ「この感覚、ウチはあんまり好きじゃないな……」
ユミ「ここは……カダインの前身となった都、テーベですね。今は廃墟……というより、遺跡のようですけど」
*「せっかく見逃してあげたのに、こんなところまで来てしまって……相変わらず、おてんばなお姫様ですね」
ユミ「その、声は!」
*「はーい、カコですよ~♪」
サナ「やっと会えたね! 今、《ファルシオン》を返してもらうからっ」
カコ「うふふ、サナちゃんったら。私の《マフー》に手も足も出なかったこと、もう忘れちゃったんですか?」
サナ「あの時と同じようにはいかないよ。 ランコ、お願い!」
ランコ「心得た! 《スターライト・エクスプロージョン》!」カッ
Miss!
ミレイ「ああ、惜しいッ! さすがに素早いな!」
カコ「今の輝きは、まさか? ……どうやら違うというのは本当みたいですね。それなら私も、本気で相手をしてあげます……!」
ユミ「これは……カコの分身? こんなにたくさん……!」
カコ「新しいかくし芸の味はどうですか? ここの魔道器械を使えば、こんなこともできちゃうんですよ~。マフーを持ってるのは本体(わたし)だけですけど、甘く見ない方がいいかも……♪」
カコ「みんなが消耗した頃に、改めてトドメを刺させてもらいますね」ヒュンッ
『ふふ♪』
『くすくす…』
ランコ「実体はなくとも、偽らざる魔力を帯びた影か! これが……これが闇魔法の真髄……! すごい……」
ミレイ「ワクワクしてる場合じゃないぞッ! これ、倒してもキリがなさそうだけど……どうするんだ?」
サナ「やっぱり魔道器械が鍵みたいだね。なんとか探して、止めるか壊しちゃえば……分身を消すことができるかも! ランコ、場所は分かる?」
ランコ「はっ!……コホン。この都はかつて塔と神殿を中心に栄えたと聞くわ。魔道器械も、おそらくはそこに」
サナ「塔っていうと……あそこに見えるのがそうかな。囲まれる前に急ごう!」
ユミ「はい、分身の相手をする必要はありませんね。駆け抜けていきましょう……って、ランコちゃん!」
ランコ「むうう、せっかくの機会なのに……」
サナ「そうは言っても、やすやすと通してくれるワケないよね。ある程度は退けないと」
『ここは行かせませんよ。《リザイア》!』
ミレイ「マフーさえなければ、カコなんて怖くないぞッ! がおーッ!」
『…………』シュウウ…
ミレイ「仕留めた? けど、ぜんぜん手応えがない……なんかヘンな感じだ」
ユミ「目の前の敵に向かうだけの、単純な動きだね。守備力も持ちあわせてなさそう……。でも火力は本物だから、みんな注意して!」
サナ「足並みを揃えていくよ! はぐれないように!」
§テーベの神殿§
サナ「塔の根本に神殿が建ってるんだね。まずはここを探して……空振りだったら、次は塔を登ろう!」
ユミ「サナ様。地下までくまなく探しましたが、それらしい器械は見当たりませんでした」
ミレイ「それじゃあ、塔の方か。けっこう高いし、登るの大変そうだな――」
『……《トロン》ッ!』
ミレイ「ぐあ…ッ」
サナ「ミレイ! このっ!」
『…………』シュウウ…
ランコ「気高き狼よ、大事ないか?」
ミレイ「ランコ……これ、治療の杖か……。その、ありがと……」
サナ「早く器械を止めないと、また今みたいなことが起こるかもしれないね……。ミレイ、歩ける?」
ミレイ「ウン、もう平気。アイツら数が違うもんな……このままじゃジリ貧だぞッ」
ユミ「急ぎましょう!」
§テーベの塔§
サナ「もしかして、これかな?」
ランコ「いかにも。ああ、心を震わす未知の果実……」
ユミ「ランコちゃんも、触ったことないんだねっ。使い方がわからないなら、やっぱり壊してみる……?」
ミレイ「すごい勢いで首を振ってるぞ……きっと、この場が収まったらじっくり見てみたいんだな」
サナ「それが盟約の条件だからね。なんとか、壊さないで止める方法は……っと」ポチッ
サナ「あっ」
ランコ「!!」
ユミ「サナ様! 今の音は……あれ? カコの分身が……」
サナ「……スイッチを切ったら、止まったみたい」
ミレイ「サナ、頭いいなッ」
ランコ「ほっ」
サナ「さあ! 魔道器械も止めたし、あとは――」
カコ「――あとは私を倒すだけですね? 本当に……ここまで来られるなんて、あの時には考えもしませんでした」
サナ「ここにいるみんなが、あたしを助けてくれたからね」
カコ「信頼と、成長……ですか。羨ましい……私にもそうやって認め合える仲間がいたら、あるいは、他の一切を忘れるくらい研究に打ち込むことができたら良かったのに。そう思わずにはいられません」
サナ「そういえば、カダインにいた頃はずっとひとりだったって……」
カコ「あなた達を見ていると、眩しくてたまらない気持ちになります。眩しくて、たまらなくて……」
カコ「憎い……!」ゴウ
ユミ「サナ様、話はここまでです! ランコちゃん!」
ランコ「うむ! スターライト!」カッ
ピシ……パキィィン!
カコ「きゃああっ!」
ミレイ「やったッ! マフーの守りが……」
ランコ「解けた!」
カコ「……王女の勝ちですね。魔道器械を抑えられ、マフーも砕かれた……もはや、私に打つ手はありません」
サナ「カコ、ファルシオンを返してくれる?」
カコ「ええ……今の私が持っていても、仕方がないものですから」
【ファルシオンを手に入れた】
ユミ「サナ様、カコの処遇はどうされますか」
サナ「うーん、そうだなあ……。幸いお城の被害も軽微だったし、ファルシオンも返してくれたし……あたしは『ここではカコに会わなかった』ってことにしてもいいと思う」
ランコ「…………」
カコ「見逃すというんですか? 私を……」
ミレイ「サナは甘っちょろいなーッ。ウチだったら絶対ひっかいてやる……つもりだったけど。それも、もういいや」
ユミ「そうですか……。サナ様がそう仰るなら」
サナ「心配しなくても、もうカコが力を持つことはないよ」
サナ「ねえ、ミレイとランコはこの後、どうする? もともとは、ここまでっていう話だったけど……」
ランコ「サナ王女。やはり、貴女は面白いわ……。先人の功績に興味は尽きないけれど、今は……今はただ、王女の辿る路を見届けたい。その果てに在るモノを」
ミレイ「狼は約束を守るからな。ついていくって決めたら、最後まで……す、スジを通すためだぞッ! サナのためじゃないモン!」
サナ「そ、そう? こっちとしてはありがたいけど……いいのかな?」
ユミ「ふふ……さっき言ってた『眩しい』って気持ち、私わかるよ。まるで、アリティアに咲く雪片花みたい……」
カコ「……我ながら、恐ろしい国に襲撃をかけたものです」
ユミ「次はいよいよ、ドルーアに向かうんですね」
サナ「当然。もうアリティアに向けての侵攻が始まってる頃だし、のんびりはできないよ」
カコ「では、私は行きますね。二度と会うことはないでしょう」
ユミ「ランコちゃん、やっぱり残念?」
ランコ「うん……」
§ドルーア城§
*「この感じは……。まさか、カコおねーさんが……やられちまったですか?」
*「ニナをじゃまする人間どもは、やっぱり滅ぼさなきゃいけねーです……!」
#3「魔王再び」終わり。#4に続く
§ドルーア城 門前§
ユミ「ついに来ましたね……」
サナ「主力が出払った隙を突いて、ワープで飛び込む……これなら、手薄な本丸を叩けるはず!」
ミレイ「この城、門が四つもあって不用心だな。どこからでもかかってこいってことかッ!」
サナ「大部隊で来たら、取り囲んで一斉に突入できたかもね。いや、こんなにあからさまだし……むしろ分断を誘うワナだったりして?」
ランコ「ふっ。選ばれし我らには、考える必要のないことよ。このまま入りましょう」
*『サナ王女でごぜーますね……』
サナ「今の声は……? お城の中から?」
*『はやく中に入ってきてくだせー。竜族のほんとうの力を見せてやるですよ……!』
サナ「直々のお招きか……。望むところ! みんな、行こう!」
§城内 玉座§
ドルーア兵「ニナ様、アリティアの者どもが攻めて参りました。やはり少人数ですね……」
ニナ「わかったです。ニナもそろそろ――」
ドルーア兵「いえ、あんな奴らのためにニナ様がお手を煩わせることはありません。ここは我らが」
ニナ「むう、そうでごぜーますか……? じゃあ、みんなを持ち場につけてくだせー」
ドルーア兵「は!」
ニナ「ニナもはやく大暴れしてーです……。パパは《ファルシオン》に負けちまったみてーですけど、ニナは違うですよ! こんどこそ、ドルーアを建て直してやります!」
§一方その頃§
サナ「戦車兵の【シューター】がいるね。射程の長い攻撃がやっかいだけど、懐に飛び込んでしまえば……」
ミレイ「そうしたいけど、作りが入り組んでてなかなか近寄れないぞッ!」
ユミ「ある程度の被弾は織り込んでいくしかないですね。特に、ランコちゃんは気をつけて!」
ランコ「羽ばたけど、今は翼及ばぬ。口惜しい……然る後、報復の一撃を受けることになろう!」
ドルーア兵「威勢のよいことだが……果たして、砲台まで近づけるかな?」
ミレイ「新手かッ! ……ん? アイツ、武器を持ってないのか?」
ユミ「【マムクート】だよ。石の力で変身する、ドルーアの民……そういえば、あの時にはいなかったね」
ドルーア兵「貴様らを通すことはできん。この《火竜石》で、ひねり潰してくれる!」カッ
火竜「ゴアアアッ!」
ミレイ「で、出たッ! ユミの飛竜より大きいぞッ」
ランコ「竜族の力とは、これほどのものか……」
サナ「ここはあたしに任せて。 やあっ!」
火竜「ゴアアア……」
サナ「残念だけど、ファルシオンの敵じゃないよ!」
ミレイ「疑ってたワケじゃないけど、ホントに竜退治ができるんだなッ。さすが伝説の剣だ」
サナ「マムクートにはあたしが出ていくとして……他の兵種もけっこういるみたい。っていうか、数が多い!」
ユミ「これが最後の戦いですから、向こうも死に物狂いでしょうね」
ミレイ「狼の毛皮は丈夫だからな! 槍とか弓矢なんて、どうってことないモン!」
ランコ「『瞳』持つ者は、私が相手になろう。どちらが勝るか、魔力比べとゆこうぞ!」
サナ「いよいよ玉座が見えてきたね。そして、あそこにいるのは……!」
ニナ「来やがったですね! もう、待ちくたびれたでごぜーますよ」
サナ「地竜族の王女、ニナ!」
ニナ「アリティアのサナ王女……評判は聞いていたですけど、こうやって会うのははじめてでやがりますね」
サナ「えっ? う、うん。はじめまして……?」
ニナ「カコおねーさんにファルシオンを取られてから、ここまでの活躍……すげーです! ニナは、そんなサナ王女……ううん、サナおねーさんが来るのを、ずっと楽しみにしてたですよ!」
サナ「な、なんだか調子狂うな……。この娘が、本当にドルーアの王女……?」
ユミ「サナ様、彼女もマムクートです。ひとたび竜石の力を解放すれば……!」
ニナ「そう! ニナがこの《ちりゅうせき》を使ったら、世界中のだれも敵わねーです! でも……それじゃあ、ニナが活躍できなくってつまんねーですよ」
サナ「まさか、あたし達が来るのを楽しみにしてたのは……」
ニナ「正解でごぜーます! サナおねーさんと戦って、勝つのが楽しみなんだー。ニナはパパもファルシオンも乗り越えて、ドルーアをりっぱな国にしなきゃいけねーですからね!」
サナ「あたし達の間には、思った以上に深い因縁があるんだね……。でも、人間(あたし)も負けられないよ! ファルシオンの力を見せてあげる!」
ニナ「それでこそ、サナおねーさんです! 行くですよ……!」カッ
#4「マムクートの王国」
ミレイ「こ、これはッ!」
ランコ「巨きい……! 先の火竜よりも、ずっと……」
サナ「はぁっ! エイッ!」
地竜ニナ『サナおねーさんの剣さばきは、さすがでごぜーます。だけど、そんなんじゃニナは……倒せねーですよ!』
サナ「うわああっ!? 地竜のブレスか。効くなあ……」
ランコ「王女っ! いま、回復を!」
サナ「ありがと、ランコ。……ねえ、みんな。さっきはああ言ったけど、やっぱりあたしひとりで勝つのは難しいみたい……力を貸してくれる?」
ユミ「もちろんです。私たちは、そのためにここまで来たんですから!」
ミレイ「さっきはどうなるかと思ったぞ……これに懲りたら、あんまりひとりで突っ走るなよッ」
ランコ「地竜の鱗に魔道が通じるか否か……興味深いわ。いでよ、雷の槍(トロン)!」
ミレイ「よそ見してたら、ひっかいてやるぞッ!」
ユミ「ほらほら、頭上がお留守だよ。《ぎんの斧》を受けてみる?」
サナ「みんながニナの意識を引きつけてくれてる……。あたしも、今度こそしっかりしなきゃ!」
地竜ニナ『この、ちょこまかと……うっとうしーですよ……!』
サナ「ここだっ! ――“必殺の一撃”!」
地竜ニナ『バカな……で、ごぜーます……』
地竜ニナ『くやしーなー。やっぱり、ファルシオンには勝てねーですか……。サナおねーさんに……いまの人間になら、それも仕方ねーですかね……』
サナ「なんとか、勝てたのかな……? あたし達も、もうギリギリだけど……」
地竜ニナ『でも、ニナは諦めねーですよ……。いつか復活して……こんどこそ、世界を飲み込んでやります……』
地竜ニナ『ふふふ……それが、次の目標でごぜーます。覚悟しやがってくだせー……』
サナ「まったく、しぶといんだから……! その時は、また今みたいに封印してあげるよ。でも……きょうはもう勘弁して……」
ユミ「サナ様っ!」
サナ「ずっと気を張ってたから、反動で力が抜けちゃったみたい……。帰ろっか、あたし達のアリティアに」
ユミ「はい……!」
#4「マムクートの王国」終わり
§楽屋§
蘭子「英雄の軌跡は、今ここにその幕を降ろしたわ……。闇に飲まれよ!」
茄子「お疲れさまでした~! 戦いの緊張感が、ここまで伝わってきましたよ」
夕美「仁奈ちゃんの演技のおかげだねっ。キグルミのできばえもあって、向かい合うとすごい迫力だったよ」
仁奈「ドラゴンキグルミは、やっぱりつよいですね! 夕美おねーさんも凛々しくて、かっこよかったでごぜーます!」
夕美「えへへ、今回は『騎士の気持ち』で頑張ったからね! お客さんにも喜んでもらえたらいいなあ……」
紗南「茄子さんの役も、いつものイメージとはちょっと違ったよね」
茄子「そうですね~。普段はおめでたいお仕事が多いですから、悪役は新鮮で……とっても楽しかったです♪」
美玲「茄子ってば、ノリノリだったなッ! 特に最後のマフーなんか、鬼気迫るっていうかさ」
蘭子「同じ装いの衣を纏う、堕天使と女神の演舞……まさに、記憶に刻まれるべき瞬間ね」
紗南「公演もこれで終わりか~。なんだかあっという間だったね……この続きがないのはちょっと残念かも」
仁奈「紗南おねーさん、肝心の打ち上げを忘れてやがりますね?」
美玲「仁奈の言う通りだな。なんたって今日は――」
夕美「美玲ちゃん……!(紗南ちゃんの誕生日のことは……)」
美玲「(おっと、そうだったッ!)なんたって……ウチらアイドルは、打ち上げまでが仕事だからなッ!」
紗南「……? まあ、それもそっか。スタッフさんにもお礼を言わなきゃだし、そろそろ出発する?」
蘭子「うむ! いざ歓喜の宴へ!」
茄子「ふふ、大人数でのお仕事もいいですね。アイドル活動……魔道と同じくらい、研究のしがいがありそうです♪」
三好紗南「あたしと茄子さんに、LIVEツアーのお仕事?」 終わり
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