幸村「あにきのうではたくましいです」(59)

小鷹「うーん……」

ぴとっ

幸村「あにき、ここに三がはいるかと」

小鷹「え、ああ、本当だ、ありがとうな」

幸村「……いえ」

すっ

小鷹「じゃあここには入らないから、こっちか、で、こうしてこうして、それと……んー……」

ぴとっ

幸村「あにき、ここに一がはいるかと」

小鷹「あ、ありがとう」

幸村「いえ」

すっ

小鷹(夏休みに入ってしばらく経った)

小鷹(今日は小鳩は暑くて休むと言っていた)

小鷹(夜空は用事があるそうだ)

小鷹(星奈は十字周波数帯ってエロゲーだそうだ)

小鷹(理科は企業への手助けだそうだ)

小鷹(そう、今日は幸村しか来ないみたいだった)

小鷹(たまには幸村も休みが良いだろうと幸村に休む旨を伝えて、幸村一人にした、これで幸村は休むと思った)

小鷹(そして俺は気まぐれに数独なんかを買って部室に来たんだが)

小鷹「ういーっす」

幸村「おはようございます、あにきっ!」

小鷹「えっ、幸村!? 今日は全員休みって言わなかったか?」

幸村「マリアどのへのおしょくじをよういして、ぶしつのそうじをしておりました」

小鷹「ああ、そうか……でもマリアは?」

幸村「さあ?」

小鷹「さあって……まあいいか。いつもマリアの飯に、部室の掃除、ありがとうな」

幸村「もののふのつとめですゆえ」

小鷹「よっこらしょっと」

幸村「……」

小鷹「幸村、今日くらいは誰もいないんだから休んでも良いんだぞ?」

幸村「あにきがいらっしゃるのにやすむわけにはいきません」

小鷹「そっか、まあ適当な所で帰ろうな」

幸村「はい、かしこまりました」

小鷹「さてと」

ぱらっ

幸村「……すうどく」

小鷹「ああ、ちょうど目に留まってな」

幸村「あにき、ごぶうんを」

小鷹「そんな大袈裟な」

小鷹(そうして冒頭へ)

小鷹(……)

小鷹「うーん……」

ぴとっ

幸村「あにき、ここは九がはいるかと」

小鷹「さんきゅ」

幸村「いえ」

すっ

小鷹(……)

小鷹(集中出来ん)

ぴとっ

小鷹(幸村が近付くと良い匂いがして、触れると柔らかく、暖かい)

すっ

小鷹(冷房の利いた部室は少し寒くて、離れる温もりが恋しくなる、柔らかさが、匂いがないと寂しい)

ぴとっ

小鷹(この匂いも、柔らかさも、暖かさも、全部離れてほしくない)

すっ

小鷹(温もりが消えるのが嫌だ、柔らかさが消えるのが嫌だ、匂いが薄れるのが嫌だ)

ぴとっ

すっ

ぴとっ

すっ

ぴとっ

小鷹「……」

ぐいっ

幸村「っ!?」

ぎゅっ

小鷹「……」

幸村「……?」

小鷹「……」

ぎゅうう

幸村「……」

小鷹「えっと、幸村?」

幸村「はい」

小鷹「……なにも言わないのか?」

幸村「あにきのうではたくましいです」

小鷹「そ、そうか?」

幸村「いつしか、わたくしもあにきのようなごうけつになれるでしょうか?」

小鷹「豪傑って、お前なあ」

幸村「なんでしょうか、あにき?」

ジーッ

小鷹「そ、そんな真っ直ぐ見なくても」

幸村「……?」

小鷹「……」

小鷹(幸村の真っ直ぐな瞳)

小鷹(全てを見透かすような純粋な瞳)

小鷹(目が話せない、吸い寄せられる)

小鷹「……」

幸村「?」

小鷹「その、ごめんな?」

幸村「いえ」

ふにゃっ

小鷹(──)

小鷹(幸村の柔らかい微笑みは可愛い過ぎて、幸村が例え男だとしても)

小鷹「んっ」

幸村「んぅっ!?」

ちゅっ

小鷹「……はあ」

幸村「ぷはっ……」

小鷹「ゆ、幸村?」

幸村「……」

ぼーっ

小鷹「幸村、その……えっと」

幸村「あにき」

小鷹「な、なんだ?」

幸村「あにきのせっぷんはわたくしなどには勿体なかったかと」

小鷹「……幸村っ!」

幸村「んむぅ!?」

ちゅううう

幸村「ん、ふぅ……あにき」

小鷹「あ、ああ」

幸村「さきほどからわたくしのしんのぞうがはげしくみゃくうつのですが、なぜでしょう?」

小鷹「……幸村は男、幸村は男、幸村は」

幸村「あにき、おかしいです、むねが、からだがうずいているのです」

小鷹「幸村は……幸村だ!」

ぼふっ

幸村「あに、き?」

小鷹「……幸村、脱がして良いか?」

幸村「あにきがおのぞみならば」

小鷹「それじゃあ遠慮なく」

プチッ、プチッ、プチッ

小鷹「……お前は本当に男なのか?」

幸村「ええ、わたくしはにほんだんじです」

小鷹「そんな可愛い顔して、こんな華奢な体して、こんな少し膨らんだ胸で男なんて……ん?」

小鷹「……幸村、お前の性別は?」

幸村「おとこですが?」

小鷹「……」

ふにっ

幸村「んっ」

小鷹「……」

ふにふにっ

幸村「んっ、んんっ」

小鷹「……幸村、全部脱がすぞ」

幸村「はい、あにき」

プチッ、プチッ、しゅるっ、しゅるしゅる

小鷹「」

幸村「あにき?」

小鷹「幸村、ここの正式名称は?」

幸村「にょうどうです」

小鷹「そっちじゃなくてもう片方」

幸村「さあ?」

小鷹「……こんなに濡らしながらわかってないのか?」

幸村「はい」

小鷹「指入れるぞ」

幸村「あにき、そこはきたないかt~~ッ!! あ、あにき!」

小鷹「なんだ?」

ぐちっ、ぐちゅっ

幸村「あ、くっ……かはんしんが、きゅんきゅんします、あにきぃ……」

小鷹「幸村、良く聞け」

ジィィ、ぼろん

幸村「なんとご立派な……聞きます」

小鷹「幸村、お前は……」

すりゅっすりゅっ。

幸村「わたくしは?」

小鷹「女だっ!」

ズンッ!

幸村「っっっ!!!!!!」

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