キリト「飲み過ぎだぞ……」
ヒースクリフ「屈服するのか? かつて否定したシステムの力に」
キリト「システムっていうか、閉店時間だけどな」
ヒースクリフ「それは、この飲み会を汚す言葉だな。私に、システムを上回る人間の意思の力を知らしめ、未来の可能性を悟らせた、我々の飲み会を」
キリト「ほら、ちゃんと歩けって」
ヒースクリフ「――立ちたまえ、キリト君!!」
キリト「おぼつかない足取りでちゃんと立ててないのはお前だヒースクリフ!!」
キリト「ほら、肩貸せって」
ヒースクリフ「それには及ばないよ」
キリト「……なぜ?」
ヒースクリフ「君と私は無償の善意などが通用する仲ではなかろう」
キリト「そうだな、わかったから。とりあえず肩貸せ」
ヒースクリフ「強情だな、ならば代償が必要だ」
キリト「いらないから。……つーかどんどん顔色悪くなってるけど大丈夫か?」
ヒースクリフ「代償は――うっぷ、おろろろろろ……」
キリト「吐いてんじゃねぇよ!」
ヒースクリフ「これは、世界の種子……」
キリト「お前の嘔吐だよ!」
ヒースクリフ「――では、私は行くよ。いつかまた会おう、キリト君」
キリト「そっちは駅と反対方向だ」
ヒースクリフ「……なぜ気付いたのか参考までに教えてもらえるかな……?」
キリト「来た道を戻るだけだからな」
ヒースクリフ「なるほど」
キリト「わかったから行くぞって、おい、どこ行く気だ!」
ヒースクリフ「ここだ」
キリト「屋台、か。締めにラーメンでも食べるのか?」
ヒースクリフ「それはいい。そうしようか」
キリト「なんで俺の提案に乗るみたいな言い方なんだよ……ていうか、お前さっき吐いてたのに大丈夫なのか……?」
店内
ヒースクリフ「…………」ズズズッ
ヒースクリフ「……これは、ラーメンじゃないな、断じて違う」
キリト「ラーメンだよ。紛うことなくしょうゆラーメンだよ。味分からないほど酔ってるのか?」
ヒースクリフ「ではその質問については、この偽ラーメンの味のぶんだけ答えよう」
キリト「きっちりスープまで飲み干しながら失礼のこと言ってんじゃねぇよ。もう食ったら帰るぞ……」
翌日
キリト「はあ……昨日は大変だった。あのあとまた吐くし」
アスナ「ははっ、団長は酒癖悪いしね」
キリト「ホントだよ、たく……」
アスナ「あ、キリト君電話鳴ってるよ」
キリト「誰だ……ってヒースクリフかよ。何の用だろ」ピッ
キリト「もしもし」
ヒースクリフ『久しいな、キリト君。もっとも私にとっては――あの飲み会のこともつい昨日のようだが』
キリト「俺にとってもつい昨日だよ安心しろ。まだ酔ってんのか?」
ヒースクリフ『そうであるとも言えるし、そうでないとも云える。今は――アルコールという成分のエコー、残像だ』
キリト「解り難く言ってるけど、それただの二日酔いだからな」
ヒースクリフ『私はね、キリト君。まだ信じているのだよ――どこか別の世界には、本当にあの城が存在するのだと――……』
キリト「寝てろ」
完
SAO読みなおしてたらふと思いついた。誰かこんなほのぼろ世界線書いてー
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