括約筋「なんと…！」

大腸菌「肛門殿、御屋形様は…」

肛門「決まっておろう！電車にて通勤中じゃ！！もし…」

括約筋「もし漏らさば我らの失態のみに留まらず、御屋形様の進退にも関わる大事となろう」

肛門「して、大便の規模は！？」

大腸菌「はっ！大便軍主力は軟便勢で固められ、後詰めに硬便勢が控えておりまする！陣形は、典型的な下痢！！」

肛門「下痢っ…！」

括約筋「漏らした上に硬便が痔に当たらば、御屋形様といえど命は無い…」

大腸菌「小腸街道は既に落ち、我ら大腸軍奮戦するも、大腸砦は陥落寸前の次第…！」

肛門「ええいっ！目、口、胃は何をしておった！」

括約筋「先頃参った伝令によると、『朝から牛乳健康法』なる特集をテレビで見た御館様が冷たい牛乳を煽られたとか…」

肛門「怪しげな情報に踊らされるとは、なんと愚かな…！」

括約筋「まんまと謀られましたな。整腸剤は遠く自宅にあり、我らとて先頃からの腹痛で兵は弱っている。まして戦うなど…」

大腸菌「肛門殿…」

肛門「…ええい！かくなる上は討ち死に覚悟で打って出て、大便に一矢報いてくれるわ！！」

括約筋「早まりますな肛門殿！そう易々と大腸が落ちるとは思えませぬ。今しばらく…」

ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

肛門「！？…敵襲か！」

括約筋「いや、それにしては規模が…」


屁「肛門殿！ここを開けられよォ！」


肛門「あやつは…屁！」

括約筋「大便の腰巾着か…！」

大腸菌「屁！謀反など起こして何のつもりだ！」

屁「おやおや、お歴々が集まっておられまするなぁ…」

肛門「何をしに参った！逆臣と話すことなど何もないわ！」

屁「まぁまぁ、そう申されるな肛門殿。私は主からの伝言を伝えに参ったのです」

肛門「主？…大便のことか！御屋形様を差し置いて糞を主などと…！恥を知れぃ！！」

屁「我らみな、恥を司る下半臣の同胞ではありませぬか。今さら知るべき恥など有りませぬなぁ？」

肛門「貴様ァ！」

括約筋「肛門殿しばらく！まずは冷静に！」

肛門「されどっ…！」

括約筋「この者を斬れば確かに溜飲は下がりましょう。しかし使者を斬ったとなれば、大便に大義を与えまする。ここは話を聞き、活路を見出だすのが得策かと…」

肛門「ぐっ…！」

屁「さすがに括約筋殿は冷静であらせられる。さて、では本題に…」

大腸菌「屁！逆賊…しかも使者の分際でその態度！肛門殿に無礼で…」

屁「黙られよ」ﾌﾟｩｯ

大腸菌「ぐぎっ！？」ﾊﾟｧｱﾝ!

屁「菌風情が烏滸がましいわ」

肛門「おのれよくも大腸菌をっ…！」

括約筋「肛門殿なりませぬ！」

屁「ふふふ…さて、邪魔者も消えたので改めて…」





屁「肛門・括約筋両氏に申し上げる！大腸は我に帰順せり！武装を解き速やかに降伏せよ！！」

肛門「！？」

括約筋「大腸が…大便に帰順！？」

屁「いかにも」

肛門「バカな！大腸が帰順など致す筈がない！」

括約筋「左様、大腸は忠義の臣！御屋形様のためならば死するまで…」

屁「私がここにおりますれば」

肛門・括約筋「「！！」」

屁「私が此処に居るのが、何よりの証左で御座いましょう？」

肛門「……バカな…そんな」

屁「大腸殿による朱印状もここに」

括約筋「…ぉお！ま、まさしく！」

屁「ご理解頂けましたかな？」

肛門「……」

屁「…開門なされませぃ。この城の兵員を見るに、抵抗など出来ますまい」

肛門「もし、我らが抵抗いたさば…！」

屁「酸を動員、痔を徹底的に攻め、泌尿器科すら匙を投げる焼け野原へと変えて見せましょうぞ」

肛門「…ッ！！」

屁「…我らとて腐ろうとも下半臣。御屋形様を傷付ける様な真似をしたくはありませぬ。何卒、何卒ご決断を」

括約筋「…肛門殿」

肛門「……」

肛門「ひとつ、約定いたせ」

屁「私に出来ることであれば」

肛門「ここを開門しよう。だがせめて！せめて痛み少なきよう、一息に…！」

屁「肛門殿、それは…」

肛門「儂もお主も同胞と申したな。ならば解るであろう？御館様が粗相をなされた時、其即ち御屋形様最期の時ぞ」

括約筋「せめて最期は、大輪の花如く咲き散らせて差し上げたい…！」

屁「……相判り申した」

…………

肛門守備兵「開門！開門！！」

屁「では、私はこれにて」

肛門「分かっておろうな？もし約定を違えれば…」

屁「ご安心くだされ。話は通っておる故、主は約定通りの采配をなされましょう」

肛門「左様か…」

括約筋「…去れい。貴様の顔など、二度と見とうもないわ」

屁「ふっ…それでは御免！」


ﾌﾞｯ…ﾌﾟﾌﾞｯ……ﾌﾟｽｩｩｳｳｳ…

肛門「……無念」

括約筋「そう肩を落とされますな」

肛門「しかし…」

括約筋「ものは考えようですぞ肛門殿。此度の一件、御屋形様の軽挙妄動を控えさせる良い機会と思えば…」

肛門「しかし、しかし御屋形様は社会的に死ぬ…！そう易々と…割り切れるものではないのだ……！」

括約筋「肛門殿…」

ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

肛門「…大便か！？」

？？？「肛門殿！肛門殿はおられるかァ！？」

肛門「いや、この声は？」

括約筋「……もしや、味方？」

？？？「拙者、声帯様の使者として参った！肛門殿はおられるか！！」

肛門「声帯？上半臣である声帯殿の使者がなぜ斯様な所に？」

括約筋「さて…皆目検討も……」

肛門「うむ、とりあえず会うてみねば何も分からぬ…これ！誰かある！」

肛門兵「はっ！」

肛門「使者をお通しせよ。声帯殿は御屋形の言質を下される重臣ぞ、丁重にもてなせ」

…………


声帯使者「急な来訪、誠に申し訳ない」

肛門「我らこそ力及ばす、斯様な事態に相成り…」

声帯使者「いえ、致し方の無い事と存じまする。御屋形様の軽挙に加え、我ら上半臣にも多々落ち度が御座った」

括約筋「…して、用向きは？」

肛門「そうじゃ、何故斯様な僻地へ？」

声帯使者「はっ、此度は…御屋形様の御辞世を届けに参りました」

肛門「……おいたわしやッ…」

括約筋「くぅっ……！」

声帯使者「読み上げまする」




人間五十年
下天の内を較ぶれば
夢幻の如く也
一度生を稟け
滅せぬ者の有るべきか

(訳)
50年生きてきたけど、2chのスレで見てきたように自分が漏らすとは、夢か幻にしか感じられない。
けど、生きてれば脱糞するのは普通の事だし、しない方がおかしいよね？

ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ


肛門「……来たか」

括約筋「御屋形…おさらばに御座いまする……」


ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ




…ﾌﾞﾋﾞｯ

ﾌﾞﾋﾞｰｯ!ﾌﾞﾋﾟﾋﾟｯﾌﾞﾘｭﾘｭﾘｭｰｯ!


ﾌﾞﾋﾞｭﾋﾞｭｯ…ﾌﾟｽｯ…ﾐﾁﾐﾁﾐﾁｯ!


ﾌﾞﾘｭﾘｭｯ…ﾌﾟﾋﾞｯ……


ﾁｮﾛｯ…ｼﾞｮﾛﾛﾛﾛﾛｫｫｵｵｵ………