比企谷八幡 「やはり俺と雪ノ下雪乃は友達にはなれない」 (302)



【ネタバレ注意】

このSSは原作ラノベに準拠しています。
そのためアニメでは放送されていない描写についても言及があります。
よって少しのネタバレも許せないと言う方は閲覧を控えて下さい。

それでは、次から書いていきたいと思います。

よろしくお願いします。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387136625



学校が冬休みに入り、俺は有意義な時間を過ごしていた。

まずは撮り溜めていたアニメを全て見た。その上でリアルタイムでの視聴もかかさない。
12月末には1クールが終るため、俺は一気に1話から視聴をし、記憶が新鮮なうちに最終話を見ることができた。
自分の計画性の高さに末恐ろしさを感じる。


後は積まれていた本を片っ端から読んだ。
まとまった時間があると読書も進むし、またストーリーを忘れることもなくて効率がよろしい。


他にも受験勉強をしている小町を構ってみたり、ゲームをポチポチやってみたり、昼まで寝てみたりと冬休みを満喫していた。
つまりだらけていた。


クリスマスは特につつがなく終わり、大晦日には紅白や特番を見て「あ~もう今年も終わるのか」と実感し、
新年へのカウントダウンを小町として、新年を迎えた瞬間にどっちが先に年越しそばを食切るかという勝負をして、俺は勝者となった。

新年早々勝つとは今年はいい年になりそうだ。




そして今日、1月1日は新しい年の1日目であり、つまりはスタートであり、
1年の計は元旦にあるといわれるほど重要視されている特別な日。

俺は午前11時に起きてきて、もそもそと朝ごはんを食べて、午後1時には家族皆でおせちを食べて、
その後は小町とこたつに入りながらTVを見ていた。


やばい、スタートダッシュが良すぎてやばい。
こんなにスタートがよく切れたら後は歩いててもゴールできそうだし明日からもうちょっとゆとりある生活送ろ。


しかしそんなものは単なる願望であり、妄想であり、空想科学であり、空虚な絵空事だ。
そういうものは一瞬で崩れ去る、そう1本の連絡で。


こたつの上に置いていた携帯が震える。
新年早々どこだよ、アマゾンか?それとも他のメルマガだろうか。どっちにしようと新年早々商売をするとは商魂逞しいことだ。
ここで「誰だ」とか思わない辺り俺の携帯の存在意義がうかがい知れる。

着信はメールだったらしく、数秒後に携帯が鳴りやんだ。
モソモソとこたつから出て携帯を取り、メールを確認する。

するとメールにはこう書かれていた。




『From ☆★ゆい★☆
ヒッキー!あけおめことよろ!
そう言うわけだから今から皆で初詣に行こう?』


なんだスパムメールかよ。メルマガより無価値じゃねえか。ってか最近のスパムも正月を祝うのか。


まあそんなわけはなくてメールの差出人は由比ヶ浜からだった。
さすがリア充、俺にも新年のメールを送るとか抜かりない。

けどこのメールはあまりにリア充過ぎてボッチニストの俺にはよくわからなかった。

まず、「そう言うわけだから」となっているがどういうわけか分からない。
それに「皆」とは誰のことか。皆とは複数人を指す言葉であり、俺とは縁遠い言葉だった。

俺はこのダイイングメッセージ並みに情報不足甚だしいメールの推理を始める。

ふむ……………


そして俺は解を見つけだし、それをメールに認める。




『遠慮するわ』


送信っと。


由比ヶ浜が何をしたくて、どこで、誰と初詣に行くのかは手がかりがなさ過ぎて分からん。
しかし俺の答えが「断る」ことである以上、そんな推理は不要なのである。

俺は自らの勝ち取った平和を貪るために再度こたつの中に引き籠……ろうとしたところで携帯が鳴る。

なんだよ、由比ヶ浜の奴まだこの俺に刃向うのかよ。無駄、無理、無謀。俺の性格を知ってるだろ。


『さいちゃん来るよ?』

「馬っ鹿!それを先に言えよな!」


俺はこたつから跳ね起き、歩きながらパジャマを脱ぎ始める。




「ちょっとお兄ちゃん、レディーがいる前で脱がないでよ」

「お前こそいつも俺の前で脱ぐのやめろ」

「んで、なんで着替えてるの?パジャマからパジャマへのトランスフォームは小町、意味ないと思うな」

「ふ、聞いて驚け。   俺は今から初詣に行く」

「………………………………」


小町があんぐり口を開けて絶句している。


「お、おおおおおお兄ちゃんが新年早々、外出?」

「おう」

「せ、世界の終りが来たんだ~~!!」

「来てねえよ、むしろ今から世界を作るんだよ」

「あ、あああ頭までおかしくなって」

「なってねえ。俺は今から戸塚との世界、もとい家庭を作りに行く」




「戸塚さん?」


俺は由比ヶ浜からのメールを小町に説明する。


「あ、なら小町も行きたい!」


まあ由比ヶ浜とも戸塚とも面識あるしいっか。


「わかった、ならとっとと用意しろ」

「らじゃーー!!」


そう言って小町が目の前で服を脱ぎ始める。


「だから俺の前で脱ぐなよ」


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小町と二人で家を出て、由比ヶ浜が指定した神社へと向かう。
新年早々、妹とお出かけできるなんて俺勝ち組すぎ。

由比ヶ浜が指定したのは、別に有名どころじゃない地元密着型のひっそりとした神社だ。


けど神社に着くとそれなりの人出で俺は早くも戸塚という罠にはめられたことを恨んだ、激怒した。

けど俺はメロスじゃないから走ったりはしなかった。むしろグロッキーになって鳥居に寄りかかってた。


しばらくすると天使が舞い降りた。やばい、もう迎えが来たのか……短かったな、俺の人生。

「八幡!新年明けましておめでとう!小町ちゃんも、おめでとう」

ああ、天使も暦の概念あるんだ。


「戸塚さん、明けましておめでとうございます。ほら、お兄ちゃんもちゃんと挨拶してよね」

小町に首元をぐいぐいやられて意識がはっきりする。
俺の目の前にいたのは天使なんかじゃなかった。愛する人だった。




「戸塚、明けましておめでとう」

「うん!正月に八幡と会えるなんて嬉しいな」


馬鹿言え、今日からは365日24時間一緒だろ?


「っつうか戸塚は着物じゃないんだな」

「え?うん。着物持ってないし、それにあんまり着ないんじゃない?」


俺はちょっぴり戸塚の振袖姿を想像していたからショックだった。


「けど小町ちゃんは着物着てるんだね。綺麗で似合ってるよ」

「ほんとですか?ありがとうございます」


愛する人(妻的な意味で)と愛する人(シスコン的な意味)の会話を見れるなんて正月早々目出度いな。
1富士2鷹3なすびなんかよりも万倍意味がある。




二人の会話で耳を休めながら待っていると、俺を罠にかけ、かつ俺に幸せを届けてくれた人が現れる。


「ごっめーん!着物着るのに手間取っちゃった!」


由比ヶ浜がパカパカと下駄を鳴らしながらこちらにやってくる。


「いえいえ、小町達も今来たところですから。ね?戸塚さん」

「うん、大丈夫だよ」

「ほっ、よかったぁ。あ!言うの忘れてた。
 ヒッキー。さいちゃん、小町ちゃん、明けましておめでとうございます」


由比ヶ浜の新年の挨拶に対して各々が挨拶を返す。


すると隣にいた小町がエルボーを食らわしてきた。
なんで的確に横腹を打ち抜くんだよ……痛すぎて涙出てきた。


「ちょっとお兄ちゃん、服服」


小町が小声で囁く。

え?服?
俺は自分の服を検める。ふむ、いつも通りダサくていつも通り無難だ。汚れも特にない。




「違う、結衣さんの」


そう言われて由比ヶ浜を見る。


「ふむ、着物だな」

「種類を聞いてるんじゃないの。感想」


感想?感想とか言われても………


「お前の方が似合ってんな」

「ちょっ!さらっと小町のポイント稼がないでよ!そうじゃなくて誉めてあげるの!」


誉めてあげる。もうそれ誉めるとかじゃないじゃん。単なるこじ付けじゃん。

けど妹が言うからには人付き合い上必要なことなんだろう。




「由比ヶ浜」

「ん?なにヒッキー」

「お前のその着物」

「え?う、うん」

「赤が鮮やかでいいな」

「へ!?あ、あああああ……ありがと」


ふむ、こんなもんでいいのかね。なんか仕事をやり終えたって感じだ。

俺は由比ヶ浜に気になることを聞いてみる。


「ところで、後は他に誰が来るんだ?」

「え?今日はこんだけだよ?」

「あん?雪ノ下は誘わなかったのかよ。やっぱり女の友情なんて裏ありまくりだな」

「そんなんじゃないもん!ゆきのんは誘ったけど今日は来れないって言われたの!」




「来れないとか、お前もしかして雪ノ下に……あ、いや何でもない」

「ちーがーう!ゆきのんはお家の方に戻ってて出てこられないの!」


ああ、そうか。そういやあいつは名家のお嬢様だった。
パンさんとかカマクラを愛ですぎてたり口が悪くて忘れてた。


「そっか、なら揃ったんならさっさとやることやっちまおうぜ」

「うん。じゃあ行こっか」


4人揃って参道を歩く。ってか美少女3人侍らせるとか俺はどこの大名だよ。

絵馬やおみくじや出店に惹かれてフラフラどっか行きそうな由比ヶ浜に
そういうのは後だと8回ほど説明して、なんとか賽銭箱の前へ。




皆がそれぞれ小銭を投げ入れて神様に願い事をする。

あれ?初詣の作法ってどうだったっけ?二礼二拍手一礼?二拍手一礼?三々七拍子?
まあ神様も順序が違うくらいで怒ったりしないだろう。

だから俺は適当に拍手して適当に礼をして願いごとをする。


家族全員が無病息災でありますように、小町が合格しますように、世界が俺に優しくなりますように、
他人が俺に無関心でありますように、戸塚と幸せな家庭が築けますように。


よし、こんだけお願いしてたら神様もやりやすいの1個くらい叶えてくれるだろ。
選択肢を与えてあげた俺に感謝してほしい。


その後は皆で出店を回ったりおみくじを引いたりして初詣を楽しんだ。

俺が高校の奴らと初詣に行くなんて誰が想像できたであろうか。


ふむ、良くも悪くも去年は変化に富んだ1年だったな。

だから今年は無変化で停滞した1年を過ごしたいもんだ。


けど、願いどおりにならないのが人生である。



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読んで下さった方がいれば感謝です。

今日はここまでにします



レス下さった方、ありがとうございます

期待の沿えるかどうか不安ではありますが、とりあえず今日も書いていきたいと思います。



冬休みも終わって学生である俺達は再び戦場へと戻って来た。

だが正月気分が抜けきらない餅で太ったソルジャー達が多く、教室の中は弛緩していた。

教師の方も一応注意はするが、まあ仕方ないかとあまり小言を言わず、結局冬休み明け1日目は皆がだらけた感じのまま授業が進んだ。


かく言う俺も冬休みでバグった生活リズムのせいで寝不足だったから起きたら放課後になっていた。

こういう時、ボッチなら起こしてくれる人がいないからぐっすり眠れるよね!


教室の中は人も疎らになっており、それぞれが次のアクションを起こしているようだった。
ふむ、なら俺も部室に向かいますかね。




トコトコと廊下を歩いて特別棟にある部室へ行くと、扉の前には由比ヶ浜がいた。


「何してんだ?」

「あ、ヒッキー起きたんだ」

「おう、で?」

「うん、なんか扉が開かないの」

「開かない?なら今日は部活中止だな」

「あきらめるの早すぎ!」

「けど部室入れなきゃ相談乗れねえし」

「いいから!開けて!」


自分で開けろよと思いながら扉に手を掛ける。が、扉は一向にスライドしなかった。


「いや、ってか鍵かかってんじゃん」

「だから言ったじゃん」


だから言ってないじゃん。




「んじゃ鍵借りて来るしかねえだろ」

「そだね」

お前は何してたんだ。


そういうわけで由比ヶ浜と一緒に職員室に。

扉をノックして入室する。平塚先生の席を見ると先生が座っていたからそちらの方へと向かう。


「先生、部室の鍵を貸してください」

「おお、比企谷か。なんだ?パシリか?」

「は?いやいや、別に誰にもパシられたりしてませんが」

「そうなのか?いつもは雪ノ下が取りに来るからてっきり服従したのかと思ったぞ」

「俺は寄生はしますが服従はしません。それより鍵を」

「ああ……ほら。なら部活終わりに返しに来るように」

「わかりました」


失礼しましたと心にも思ってない言葉を吐いて職員室を後にする。




部室へと戻る際中、由比ヶ浜が声を掛けてきた。


「ゆきのん、どうしたんだろうね」

「学校休んでんじゃねえか?」

「病気とかかな」

「さあな。気になるんだったら連絡してみろよ」

「うん、そうしてみる」


部室の前に辿り着き、先生から預かった鍵で扉を開ける。

中にはやはり誰もいなかった。当然か。

いつもは雪ノ下が先にいるから、誰もいない部室に入室するのは新鮮、というか違和感を感じた。
部屋の主がいないだけでこんなにも雰囲気が変わるものなのか。


「ってか部長いなくても部活していいのか?」


俺は気になって由比ヶ浜に聞いてみる。


「さあ?平塚先生は特に何も言わなかったしいいんじゃない?」

「そうだな」


ならいつも通り読書に勤しみますか。




定位置に着いて鞄から本を取り出す。


「………なにしてんの?」

「え?ゆきのんがいないしあたしが代わりに紅茶いれ…

「よし待て両手を上げろ、無駄な抵抗はするな。俺がするからお前はどうか座っててください」

「は?なんでし」

「俺は紅茶には一家言をもっている人間だからな」

「イッカゴン?なにそれ」

「気になるなら携帯で調べてみろよ」

「うん、そうする」


そう言って由比ヶ浜が席に座って鞄から携帯を取り出している瞬間を見計らって
電気ケトルで水を沸かしてティーポット内で茶葉を躍らせる。

由比ヶ浜が淹れたらイソジンとかになってしまいそうだ。




俺は紅茶を由比ヶ浜のマグカップと紙コップに入れて机に置く。


「あ、ありがと」

「こちらこそ」

命拾いさせていただきありがとう。

「?」

由比ヶ浜が頭に?を浮かべていたが素直に白状するとまた怒られるから話を逸らす。
人は学習能力があるんです。


「それで?雪ノ下は病気だったのか?」

「あ、忘れてた」


そう言って由比ヶ浜が馬鹿に似つかわしくない速度で携帯を操作する。

なら返信が来るまでは特にやることがないな。
俺はいつも通り読書を、由比ヶ浜は携帯をピコピコしてそれぞれの時間を過ごす。




しばらくして由比ヶ浜が声を掛けて来る。


「ねえヒッキー」

「なんだ?」


由比ヶ浜の方に目を向けると彼女が自分の携帯を差し出してきた。
携帯を見ろってことかね。

俺は彼女から携帯を受け取って画面を覗き込む。
すると雪ノ下からのメールが表示されていた。

それによると、雪ノ下は学校自体には出席したらしい。
しかし、家の用事で当分は部活に出られないそうだ。

メールを読み終えて携帯を由比ヶ浜に返す。


「ねえヒッキー、大丈夫かな」

「何が」


俺は分かってて……いや分かってるわけじゃないな。
だが、恐らく同じ考えを持ったであろうにもかかわらず知らないふりをする。




「ゆきのん………家の用事だって」

「ああ」

「しかもしばらく来られないって」

「そう書いてあったな」

「なんか……失礼かもしんないけど、心配だな」

「…………………………………………」


俺は何て言えばいいか分からず、結果沈黙と言う返答をしてしまった。


雪ノ下の家庭は問題があるように見える。
真実、問題があるのかは部外者である俺らには分からない。

けれど、雪ノ下が一人暮らしをしていること、陽乃さんという怪物な姉がいること、
その姉をもってしても「母はわたしより怖い」と言わしめる母親の存在、その母が一人暮らしに反対していること……


それら諸々を鑑みると雪ノ下の家庭は円満とは到底推測できない。




今回の欠席も家庭のしがらみによるものではないかと想像するのは難しくない。

だが


「お遣いでも頼まれてんじゃねえの?」


可能性は否定しきれない。

仲が悪くたって家族だ。例えば家族の誰かが病気になってて看病が必要なことだってありえる。


「それだったらお手伝いさんに言うんじゃないかな」

「家政婦とかいんの?」

「いや、分かんないけど……」


そう、結局は想像にすぎない。

雪ノ下がお遣いを頼まれたのか、はたまた別の用事なのか、
それとも家族のしがらみに雁字搦めにされているのかは、結局俺達には分かるはずもないことなのだ。




そんなものは家族の誰かか、はたまた関係者しか知り得ない。
この総武高で言えば一人を除いて知る由もない。

そう、あいつならもしかしたら……

その時、扉をノックする音が部屋に反響した。

いつもなら部長である雪ノ下の涼やかで凛とした声が入室が促す。
しかし今日はいない。

俺はボッチだ。

そうなれば残りは一人しかいない。

「ど、どうぞ!」

由比ヶ浜が入室を促す。


すると扉を開けて入って来たのは意外な……いや、ある意味当然の人物だった。


「………お前は正義のヒーローかよ」

「何か言ったかな、ヒキタニくん」


そう言って爽やかに、いつも通りの甘い笑顔を俺にくれたのは葉山隼人だった。


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由比ヶ浜がティーポットに残っていた紅茶を紙コップに入れて葉山の前に出す。


「ありがと、結衣」

「ううん。それより隼人君どうしたの?もしかして相談?」

「ああ、ちょっとお願いがあってね」


またかよ。こいつ材木座並みに奉仕部を活用してやがる。
俺らのこと何でも屋とでも思っているのだろうか。


「お願い?どうしたの?」

由比ヶ浜の問いかけに葉山は少し言い淀み、視線を下へ向ける。

言い出しにくいこと、か。

「俺がこれを言ってもいいものか悩むんだが………これは俺自身の悩みということで一つ目をつむってもらいたい」

何が言いたいのかは今のところはっきりしない。




「俺の相談は、雪ノ下さんについてだ」

「ゆき、のん?」


由比ヶ浜は葉山の口から雪ノ下の名が出ることを想定してなかったらしい。

俺は、なんとく想像していた。
この、完璧主義で世界平和を本気で願っている理想主義者なら、と。


「ああ、実は……彼女は今少し家のことで問題を抱えていてね」

「隼人君、理由知ってるの?」


「ああ、正月の3が日の席で会ってね。
 いや、彼女自身にも会ったけどこれを聞いたのは陽乃さんからなんだけど」

「陽乃さん?何て言ってたの?」

「……………雪ノ下さんがお見合いをする、そうだ」


お見合い?
お見合いって「御趣味は」とか言って探り探り会話して相手の地雷を踏まないようにするマインスイーパーに似てるあれのこと?




「へ!?お見合い!?ゆきのんが!?」

「……ああ」


まああんまりお目にかかれるもんじゃないけど今だってお見合いは一種の男女の出会いなんだし、
それに雪ノ下ほどのハイソサエティになればそう言ったものも不思議ではないだろう。


「え?え?なんで?なんでお見合い?」


だが由比ヶ浜は混乱していた。
なんでお見合いか、なんてのは今はどうでもいい。


「で、お前の相談ってのは?」

そう、これは葉山の相談であり、葉山は自分自身の悩みだと言っていた。
ならばこの問題に関して葉山は何らかの利害関係を有していることになる。


「俺の願いは雪ノ下さんのお見合いの中止、または破談かな」


こいつマジかよ、テロリストかよ。
そんなことやって生きて帰れんのセガールかランボーくらいだろ。




「お前の相談ということはこれはお前の動機に基づくってことだよな」

「ああ、そうだね」

「動機、目的は」

「彼女を助けたい」

「助けたい?雪ノ下が助けてくれって言ったのかよ」

「いや、彼女からは何も」

「ならお前の独善か」

「独善、か。そう言われればそうなのかもしれないね。けど、陽乃さんの依頼でもある」

「雪ノ下姉の?」

「彼女がなぜ俺にお見合いのことをリークしたと思う?」

「知るかよ。単に報告したかっただけなんじゃねえの?」

「俺はそう思わない」

「ならなんだよ」

「試されてるんだよ」

「試す?お前、雪ノ下姉に弟子入りでも申し出たのかよ」



「俺じゃない、君だよ。比企谷君」




一瞬思考が止まった。

俺?何で俺なんだよ?
俺全然関係ないじゃん。


「ちょっと!二人だけで会話しないで!あたし全然意味わかんないんだけど」

俺が沈黙した隙を突いて由比ヶ浜が怒りの声を上げる。

お前、この程度の言葉遊びについて来れないとかビッチのくせにどんだけ遊び慣れてないんだよ。

俺なんてボッチで人と遊んだことないのに言葉遊びとか超余裕。
なんなら一人でだって楽しめる。なにそれ悲しい。


「結衣。つまりこれは陽乃さんからの依頼でもあるってことだ」

「陽乃さんから?」

「ああ」

「待て葉山。その点に関してはお前の思い込みに過ぎない可能性だってあるだろ」

「そうかな、俺は君たちより陽乃さんとの付き合いが長いからね。
 陽乃さんが何を考えているのかは大体想像がつくよ」

「じゃあ幼馴染であるところのお前の推理を教えてくれよ」

「君たちが、というより比企谷君、それに雪ノ下さんがどう動くのかに興味がある、と言ったところか」


なんじゃそりゃ。研究対象を観察してるつもりか。




「そもそも雪ノ下姉の虚言と言う可能性は」

「それはない。俺も伝手を使って調べてみたら確かにそう言う話があるそうだ」


一介の高校生にある伝手ってなんだよ、google先生かyahoo知恵袋か?


「そんな伝手あるならそれ使って中止させればいいだろ」

「それはできないよ。僕にも葉山家の一員としての責任がある」


言ってることは格好いいが要は責任取りたくないから代わりにお前らがしろとしか言ってない。
なにそれ鉄砲玉?


「つまり、この相談はお前自身が雪ノ下を助けたいってのと、雪ノ下姉の思惑の2つの意味を持つってことか?」

「後者に関しては俺はそう思ってるよ」

「そうか、なら却下だ」

「な!?」

「ヒッキー!?」


俺が相談を受けないことに葉山は驚き、由比ヶ浜は非難の目を向ける。




「待て、俺は奉仕部の単なる部員の一人に過ぎない。だから奉仕部全体の意思は決定できない。
 だから、俺が相談を受けないってのはあくまで俺個人の見解だ。
 由比ヶ浜が受けたいなら受ければいいし、奉仕部全体でやるってなればそれには従う」

「奉仕部全体って……」

「それは部長であるあいつが決めることだろ」


そう言って俺は今は誰も座ってない席を見る。


「ヒッキー!!ゆきのんのこと心配じゃないの!?」


心配?心配ってのは一定程度親密な間柄にある人間間で生ずる感情であって、
部長と部員でしかない雪ノ下と俺との間にそんな感情が発露するはずもない。


「雪ノ下ならうまいことやるだろ。出来ないなら俺達ではどうしようもない」

「けど!ゆきのん1人では無理でも皆でやれば!」

「それを雪ノ下が望んでいるとでも?」

「それは……」




「由比ヶ浜。ここは、あくまで部活だ。何でもかんでも解決できる裁判所とかじゃねえんだよ。
 人様の家庭にずけずけ入って行っていい道理がない」

「……………」

俺の反論に由比ヶ浜が黙り込む。


「比企谷君」


葉山が俺に声を掛ける。
どうでもいいけど、お前「比企谷」と「ヒキタニ」使い分けんのやめてくんね?それって卑怯だろ。


「……なんだよ」

「僕も部外者だけど、身内である陽乃さんの相談でもあるんだ。どうか頼む」


そう言って葉山が頭を下げる。
陽乃さん曰く、こいつはプライドが高く、頭を下げることはあまりないらしい。

けど俺にはもう2度も頭を下げている。
頭下げたらなんでもやってくれる人型ロボットとでも思っているのか。




「お前はなぜそこまで必死なんだ?もしかして…」


言おうとしたことを寸前で止める。

危ない、これは他人の領分に土足で踏み入る行為だ。
俺には関係のないことだ。


「…そんなんじゃないよ」

けれど葉山は俺の言うべき言葉を推測して返事をする。

「これは……懺悔だ」

懺悔、ねえ。なら教会にでも行ってやってくれよ。


そもそも全員を救おうだなんて神様じゃなきゃ出来ねえよ。
それができなかったからって罪悪感感じるなんて謙虚通り越して傲慢だよ。

まあそんなことこいつに言っても意味ないし、言う義理もない。




「なんにせよ俺はこの件は受けない。例えこれが雪ノ下姉の依頼か思惑であったとしてもだ。
 本人である雪ノ下の意思が分からない以上、俺はどうもしない」

「比企谷!……いや、そういう君だからこそ彼女を救うことができるのかもしれないな」


おい、俺を買いかぶりすぎるな。俺は他人に期待されたくないし、なんなら無視しててほしい。


「ヒキタニ君、いきなりやって来て無理を言って済まなかった。
 だけどもし、雪ノ下さんが助けを求めてきたときにはどうか彼女の力になってあげて欲しい」


そういうと葉山は立ち上がって部室から出て行った。


「ヒッキー……」

「なんだよ。俺に幻滅したか?」

「あたしはゆきのんが助けを求めてなくてもゆきのんのために動くから」


それは奉仕部じゃないだろ。

そう、由比ヶ浜は奉仕部としてではなく雪ノ下の友達として動くということだろう。




それに引き替え俺は……俺は雪ノ下の友達では、ない。2度も友達申請が却下されてるくらいだし。


「けどもし、ゆきのんが困ってたら力になってあげるよね?」

「……それが奉仕部だろ」

「わかった。じゃあそれでいいや、うん」


由比ヶ浜は何に納得したのかうんうん頷く。


葉山が去った後は特にこれと言ってすることもなくいつも通りの奉仕部の姿に戻った。

読書の合間に口を付けた紅茶は、冷めてから飲んでみるとひどい味がした。




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とりあえず一旦ここで中断します。

読んで下さった方には感謝です

お見合いは安直だと思ったんですけど、もう書いちゃったもんは仕方ない

読みたい人だけ読んで下さい。

では再開してみます



部活が終って家に帰って来てから、俺は落ち着かない気分でいた。

雪ノ下がお見合い、ねぇ。

やっぱり企業の社長で県議会議員の親なら、早い目から娘の将来の伴侶を決めておいたりするもんなのかね。
それが単なる親心なら別に悪かない。

けど、雪ノ下姉妹の口ぶりからするにそういうのではなくて………


やめだやめ。

俺が他人の家庭の問題に自ら取り組むだなんてらしくもない。

そりゃ由比ヶ浜達の生徒会長選挙に関しては、少しズルを使って「小町のお願い」ってので俺に動機付けを行った。

けど今回はレベルが違う。

例え今回も、可愛い可愛い小町が「お兄ちゃん、おねがい❤」とか言ったとしても俺は動くことが出来ない。




ことはあまりに繊細で重大な問題だ。
一介の学生でボッチな俺が干渉する問題でもない。

だが、雪ノ下自身が助けを求めたのなら俺は


「お兄ちゃん、晩ごはん美味しくない?」

テーブルの向いに座ってる小町が聞いてくる。


「は?そんなことねえけど」

「だって、お箸ずっと止まってるから」

「ああ、美味すぎて失神してた」

「それ逆にやばいよ!」

「大丈夫、もう免疫できたから」


そう言って俺は事務的に箸を動かして食事を再開する。


再開すると言いながら全然書かずにすいません。寝落ちしてしまいました
では、気を取り直して再開してみます



「また心配事?」

またって何だよ。俺が心配してるのは自分の就職先、つまりは将来の寄生先くらいだ。

「別になんでもねえよ」

「そっか」

そう言って小町も食事を再開する。

結婚、ねえ。
するかどうかも分からんし、するとしてもずっと先のことだろう。
だから俺にとって結婚だお見合いだなんてのは縁遠い問題だ。

小町の顔をじっとみる。

「ん?なに?お兄ちゃん」

「何でもねえよ」

こいつもいつか結婚すんのかねえ。




そうなったら相手の奴ぶっ殺すけどな。


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葉山が相談に来た翌日、今日は寝過ごしたりしてないから放課後になった瞬間に誰よりも早く教室から脱獄をする。

部室に歩を進めていると雪ノ下が今日もいない可能性を思い出した。
あいつは当分休むって言ってたから今日もいない可能性が高い。

だが俺は職員室には行かず直接部室へと向かい、扉に手を掛けた。
しかし鍵がかかっていて開けることはできなかった。

仕方なく俺は職員室へと向かう。効率重視の俺がこんな2度手間を取らされるなんて屈辱だ。

職員室に入り平塚先生から鍵を預かる。
2日連続で俺が行ったことで先生も不審に思ったらしい。

だから俺は、無関係な俺が言える範囲で雪ノ下は用事があって当分部活には出られないことを伝えておいた。

職員室を出て部室の鍵を開けて入室する。




昨日も中には誰もいなかったが、それでも由比ヶ浜と一緒だった。
今日は完璧一人きりだった。

部室は昨日よりも広く、寒々とした印象だった。

雪ノ下は俺が入部するまでの1年間、ここで一人時間を過ごしていたんだな。

クラスでも嫌われているわけではないが特定の親しい友達もいない。
部活でも一人。
家も一人暮らし。

そんな孤独な彼女を、俺は寂しい奴だなんて、悲しい奴だなんて同情したり憐れんだりしない。

むしろその孤高さが、自我の強さが俺は好ましいと感じていた。

俺と彼女はどこか似ているのかもしれない。
いや、似ているのではなく彼女は俺の憧れだ。

俺が欲していたものを備えている存在だった。




だがカリスマボッチとも言える雪ノ下は今日もいない。

俺はいつも通り定位置に着いて読書を始める。


しばらくすると由比ヶ浜もやって来た。

「ヒッキーやっはろー」

「教室一緒だったけどな」

「けど挨拶してないじゃん」

「まあそうだな」


由比ヶ浜はいつも通り俺の向かい側に、雪ノ下がいつも座ってる席の隣に腰を下ろした。


また由比ヶ浜が紅茶を淹れるとか言い始める前に俺はお湯を沸かし始める。




「今日もゆきのん来ないって」

「そうか」


まあ俺より早く部室に来てない時点で予想はしていたが。


「昨日ゆきのんとメールしたんだ」

「そうか」

「それでね……」


そこで由比ヶ浜が言い淀む。


「……ゆきのん、自分の問題だから自分で何とかするって」

「………そうか」


ボッチは一人で問題を解決する。いや、そうせざるを得ない。
周りに助けを求めることができないからだ。

自分だけで世界は完結しており、世界の出来事は全部自分の責任であり、自分の問題である。
だからどうするかは自分次第であってそれを他人のせいにしたり共有したりはしない、できない。




雪ノ下もボッチじゃないかもしれんが孤独で孤高だ。

自分の、しかも結婚とか個人的な問題で、家族が絡んでるってなると自分一人でどうにかしようとするのが自然な流れだ。


「ゆきのん、あたし達を頼ってくれないのかな」

「………あいつの性格を考えたら難しいだろうな」


雪ノ下の性格だなんて俺も偉くなったものである。
以前も勝手に雪ノ下に期待して、勝手に失望して失敗したのに。

けど雪ノ下とも半年以上一緒の時を過ごした。

彼女の全部を知ったわけではないが、さりとて彼女のことを全く知らないとも言えない程度には彼女と関係を持った。

今以てこの関係を俺は的確に表現できずにはいるが。
やはり部長と部員が一番近い気がするがそうじゃない気もする。




「ヒッキー、あたし達ができることってないのかな」

「ないだろ、高が高校生に何ができんだよ。しかもお節介以外の何物でもない」

「そうだけど……このままゆきのんが嫌々結婚するとか、嫌だな」

「雪ノ下は嫌だって言ってんのかよ」

「それは………とりあえず今すぐ結婚する気はないし、
 相手は自分で探すって言ってたからお見合いは嫌なんじゃないかな」

「そうか。けどお前、前に雪ノ下が頼ってくれるまで待つって言ってたじゃねえか」


文化祭の日に由比ヶ浜はそう言ってたはずだ。


「それは……あのことに関してだよ。それに他のことでもゆきのんのこと待っててあげたいけど、
 今回は期限だってあるんだし待つなんてのんびりしてらんないよ」

「期限はいつだ」

「今週末」


はやっ!もう4日しかねえじゃねえか。
正月明けて早々お見合いだなんて金持ちが考えることはよく分からんな。




「ねえヒッキー、ゆきのんの家に行ってみない?」

「雪ノ下の家ってどっちだよ。一人暮らししてる方か?」

「ううん、今は実家から学校に来てるって」

「無理、金持ちの家とか緊張するじゃん」

「そんな理由で!?」

「どっちにしても行ってどうすんだよ。相談してくれって説得しに行くのか?」

「そうじゃないとゆきのん、絶対1人で抱え込むもん」

「やめとけ、あいつがそんな言葉一つでほいほい自分のやり方を変えたりするかよ」

「ヒッキー冷たくない?」

「お前がそう感じるのなら俺は冷たいんだろうな」

結局世界は主観でしかねえんだからお前が冷たいと言えば俺は冷たい人間だと言うことになる。



[ピーーー]た



「この前は、あたし達のために頑張ってくれてたじゃん」

生徒会選挙のことを言ってるんだろうか。

「あれは一色からの依頼に応えたまでだ」

後は小町からのお願いでもあったし。


俺はこれ以上は平行線だと感じて本を取り出す。

由比ヶ浜も俺の意思を感じ取ってそれ以上の追及はしてこなかった。


1人は読書をして、一人は携帯をポチポチする。

1人足りないだけで何ともまとまりのない空間のように感じられた。


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>>1
糞ssを書くな

うあぁぁぁぁっっ!!激しすぎよ比企谷クうぅぅぅぅうンっ!!
子宮の奥の壁まで突かれてるうぅぅぅぅう!?!?
もう駄目えぇぇぇえっ!!抜いてえぇぇぇえっ!!
膣内の隙間がぴったりと閉じちゃってるうぅぅぅぅうう!!!
比企谷クンのおちんちん大きすぎよおぉぉぉお!!いやあぁぁぁんっ!!
このままじゃ比企谷クン専用のおまんこになっちゃうぅぅぅう!!
抜いてよおぉぉぉ!!早く抜いてってばあぁぁぁあ!!
ちょっ比企谷クン!?どうして加速してるのよおぉぉぉっ!?
ひゃあぁぁぁぁあ!!あんあんあんあーーん!!!
あはーーっ!!壊れちゃう!!戻らなくなっちゃうぅぅぅう!!!
比企谷クンだけのおまんこに改造されちゃうぅぅぅうう!!
ああぁぁぁーーーーっっ!!膣内でビクンビクンしてるうぅぅぅう!!
膣内で出して良いなんて言ってないのにいぃぃぃい!!
んくうぅぅぅぅうっっ!!いっぱい注入されてりゅうぅぅぅぅう!!
比企谷クンのおちんぽミルクで子宮が満たされちゃうぅぅぅうう!!
まだドクドク脈打ってるぅぅぅぅ!!もうこれ以上は入らないわよぉぉぉ!!
ひゃおぉぉぉ!?尿道を遡ってきてるうぅぅぅぅう!?!?
子宮には収まりきらずに尿道へ流れてりゅうぅぅぅぅう!!!
んはあぁぁぁあ!!もうどうにでもなっちゃえぇぇぇ!!
アへ顔ダブルピース!!お願い由比ヶ浜さん!!あたしを見てぇぇぇ!!
あんあんあああぁぁぁーーーーん!!!もう止まれないのぉ!!!!
うあぁぁぁぁっっ!!激しすぎよ比企谷クうぅぅぅぅうンっ!!
子宮の奥の壁まで突かれてるうぅぅぅぅう!?!?
もう駄目えぇぇぇえっ!!抜いてえぇぇぇえっ!!
膣内の隙間がぴったりと閉じちゃってるうぅぅぅぅうう!!!
比企谷クンのおちんちん大きすぎよおぉぉぉお!!いやあぁぁぁんっ!!
このままじゃ比企谷クン専用のおまんこになっちゃうぅぅぅう!!
抜いてよおぉぉぉ!!早く抜いてってばあぁぁぁあ!!
ちょっ比企谷クン!?どうして加速してるのよおぉぉぉっ!?
ひゃあぁぁぁぁあ!!あんあんあんあーーん!!!
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んはあぁぁぁあ!!もうどうにでもなっちゃえぇぇぇ!!
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あんあんあああぁぁぁーーーーん!!!もう止まれないのぉ!!!!



翌日、つまりは雪ノ下のお見合いの3日前も雪ノ下は部活には現れなかった。

これがあいつの意思ならばそれを尊重するしかない。

あいつのいない二人だけの部活はいつも通り読書をして終わった。

家に帰って来てからもいつも通りダラダラして過ごし、小町が用意してくれた夕飯を食べて風呂に入った。


結局、俺の世界には誰もいない。
由比ヶ浜も雪ノ下も、葉山も雪ノ下姉も誰も俺の世界には存在しない、干渉させない。

雪ノ下が部活に来ようが来まいが、お見合いしようが結婚しようが俺には関係ない。

だから俺はどうなろうといつも通りの生活を続けている。それが意識的なものであろうとも。


うあぁぁぁぁっっ!!激しすぎよ比企谷クうぅぅぅぅうンっ!!
子宮の奥の壁まで突かれてるうぅぅぅぅう!?!?
もう駄目えぇぇぇえっ!!抜いてえぇぇぇえっ!!
膣内の隙間がぴったりと閉じちゃってるうぅぅぅぅうう!!!
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風呂に入ってやることもなく、自室でダラダラしていると携帯が鳴り始めた。

どこだ?あんまり鳴らないから意識してどこかに置くと言うことをしない。
ベッド……の布団を捲ってもないし、机の上にもない。もちろんポケットにも。

もう探すのが面倒になって来たが、携帯は着信を知らせ続けている。
ならメールじゃなくて電話だな。

無視するわけにも行かず部屋を探し回ってると、ふと思い出す。
そういや俺、家に帰って来てから携帯触ってないや。

そう思って制服のポケットを探ると探し求めてた携帯を見つけ出すことができた。

画面を見ると電話番号のみが表示されていた。名前はなし。なら知らない奴からだな。

こんな夜にかけて来るなんて常識のない奴だな、説教の一つでもかましてやろうか。




「もしもし」

『あっ!おっそ~い!』


携帯からは雪ノ下にどこか似ている、だがどこか甘えたような声が聞こえてきた。
この人に説教とかどうやってすんの?俺まだ死にたくないんですけど。


「………雪ノ下さん、なんで俺の携帯知ってんですか」

『妹ちゃんに聞いたんだよ~』


俺の個人情報を勝手に悪魔に渡すなんて教育が必要だな。


「そうですか。それで何の用事なんですか?」

『何でなにもしないの~?』

「………何のことでしょうか」

『雪乃ちゃんのことだよ。隼人から話は行ってるでしょ?』

「はい、葉山から聞きました」

『ならなんで何もしないの?』




「逆に何で俺が何かすると思っているのか聞きたいところですね」

『だって雪乃ちゃんと付き合ってるんでしょ?』

「付き合ってません」

『またまた~』

「いや本当ですから」

『比企谷くんは雪乃ちゃんのこと好きじゃないの?』


俺は雪ノ下のことを好きか―。そんなこと考えたこともなかった。
俺はボッチだし、俺の中に誰かを招くなんて発想そのものがなかった。


「今はそんなこと関係ないと思うんですが」


だから俺は考えずに済む返答をする。


『関係あるよ、だって仮に好きになったとしても雪乃ちゃんはお見合いしちゃうからもう手遅れなんだよ?』




『なるよ』

「……え?」

『なるよ。普通のお見合いだったなら相性だなんだが合わないなら話が流れることはあるだろうけれど。
 それはうちの場合…お母さんの場合にはならない、あり得ないよ』


つまりはなんだ、今度の雪ノ下のお見合いは単なる顔見せであって結婚までのサクセスストーリーは決まってるって言うのか?


『だから、早くしないと手遅れになっちゃうよ』

俺の中にじわりとほの暗い感情が染みだしてきた。

これはおそらく、怒りだ。


だがここで陽乃さんにぶつけても意味はない。
俺は深呼吸を一つして自分を落ち着かせる。

「雪ノ下さんは………」

『ん?』


>>88 一文抜けたし訂正



「手遅れって……お見合いだっつってもそのまま結婚になんて…」

『なるよ』

「……え?」

『なるよ。普通のお見合いだったなら相性だなんだが合わないなら話が流れることはあるだろうけれど。
 それはうちの場合…お母さんの場合にはならない、あり得ないよ』


つまりはなんだ、今度の雪ノ下のお見合いは単なる顔見せであって結婚までのサクセスストーリーは決まってるって言うのか?


『だから、早くしないと手遅れになっちゃうよ』

俺の中にじわりとほの暗い感情が染みだしてきた。

これはおそらく、怒りだ。


だがここで陽乃さんにぶつけても意味はない。
俺は深呼吸を一つして自分を落ち着かせる。

「雪ノ下さんは………」

『ん?』



「雪ノ下さんの目的はなんですか?」

『ひっみつ~~❤女の子は秘密が多い方が魅力的だからね』

「雪ノ下のためですか?」

『もっちろん!雪乃ちゃんはなんてったってわたしの可愛い妹だからね』

「あなたは……本当は他人に興味がないんじゃないですか?」

『……へえ、なんでそう思うの?』

「何でも一人でできるからです」

『ぷっ……あははは!正解だよ』

当たってたか。

俺の場合は他人に興味がないわけじゃない、単に他人と関わるのが嫌になったから一人でいるだけだ。
けれど一人で何でもしていく内にはたと思う、他人なんてのは不要なんじゃないかと。

メリットとデメリット、必要性と無用性、それらで考えていくと一人で何でもできる場合、他人は必要ではなくなる。

1人でいても寂しくない奴は他人を必要としない。
1人で何でもできる奴は他人の助力を必要としない。

つまり雪ノ下陽乃は、何でもできるが故に、世界を一人で回せるが故に他人を必要としない。




『よく分かったね』

「始まりは違いますが俺も一人ですから、そうじゃないかと」

『うん……そうだよ、わたしは他人に興味がないんだ』


そう、他人に興味がない。

葉山は陽乃さんを指して「好きなものを構いすぎて殺すか、嫌いなものを徹底的に潰すことしかしない」と言っていた、
そして「興味がないものには何もしない」とも。

そして他人は自分を楽しませる存在、言うなれば玩具のようなものでしかないのだ。

それが構うと言う好意的な行為になるか、潰すという敵対的行為に出るかの違いはあっても、
彼女の中では等しく無価値で、等しく享楽的なものにすぎない。

だが、俺と陽乃さんは徹底的に違うところがある。


家族だ。




俺は自衛のために他人との干渉を避けているに過ぎない。
その点、家族は何があっても「家族」だ。

だから俺は家族相手にミスをするし喧嘩するし怒鳴るし愛せる。

しかし雪ノ下陽乃は違う。

「家族」ですら彼女にとっては無価値なんだろう。

ではなぜ彼女は妹である雪ノ下を「構う」のか。


「雪ノ下さんはなぜ妹をああいう風に構うのですか?」

『それも推理してみてよ』

「………結局は雪ノ下さん自身が楽しいからじゃないですか?」

『楽しい?』

「そうです、雪ノ下が過敏に意識し、過敏に反応することで自分の存在が他人にあることを満足している。
 それに雪ノ下が成長して自分の対抗馬になりうれば自分の成長にもつながる。
 違いますか?」

『ん~ほぼ正解かな』

「ほぼ、とは?」

『理由を今わたしが言って、それを信じられるの?』

「……いいえ」

『ふふ、ならわたしが何言っても意味ないね。まあそこも推理してみてよ』




「そうですか。ではそこも追々考えておきます。
ですが今は話を元に戻させてもらいます。なぜ今回の件に俺を関与させようとしているのですか?」

『もう分かってるでしょ?』

「……雪ノ下の反応を見て楽しむため、とかですか?」

『ごめいと~、いやーやっぱり比企谷くんは面白いね。君と雪乃ちゃんは構ってて面白いから好きだよ❤
 ここまで分かってるならもう大丈夫だよね、後は比企谷くんにお任せするよ~』

「……一応確認します、この茶番から辞退することは」

『むっふっふ~~できるならしていいよ❤』

「………分かりました」

『ではでは~そう言うことで頑張ってね~』


そう言うと陽乃さんが電話を切った。


携帯を机に置き、ベッドに横になると自分がいかに疲れたかがよく分かった。

俺は本当に自分の自由意思で喋っていたのだろうか。
それとも雪ノ下陽乃に操られていたのだろうか。

しかも、わざと俺が辿り着けるように今までヒントを散りばめていたのではないか……


こうやってグダグダ悩んでるのも彼女の思うつぼかも知れない。

俺は考えるのを放棄し、意識も放り出した。


――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――




雪ノ下のお見合い2日前、つまり今日は金曜で今週の学校はこれが最後だ。

これを逃せば明日からは学校で会えないし、彼女の連絡先を知らない俺はもはや打つ手なしということになる。

俺はどうしたいのか。
今日1日考えた。

奉仕部の部長と部員で、半年間部活を一緒に過ごし、彼女を見てきた。


その雪ノ下雪乃は俺にとってどういう存在か。

他人というには近づきすぎた。

友達と言うには程遠い。

そんな微妙な距離をどうしたいのか。


俺は、変えたいと思った。

傷つきすぎて、傷つくのに慣れ、他人に何も求めなくなった俺は彼女に求める。

本物を。




これは葉山や陽乃さんの依頼なんかじゃない。

小町のお願いでもない。

俺自身が考え、俺自身が望んだことだ。



そうと決まればまずは彼女に会わねばならない。

雪ノ下は放課後早々に帰る可能性が高い。だから確実に捕まえるには放課後になった瞬間しかない。

だがどちらのクラスのホームルームが先に終わるのかは分からないし、
急いで雪ノ下のクラスに行っても先に彼女が出てしまっている危険もある。

俺は最後の授業が終わって荷物を置いてトイレに引き籠った。
荷物を置いておくことでまだ学校にはいる、つまりは勝手に帰ったわけじゃないという事実をアピール。

その上でトイレにいるなら別に怒られることもない。

偏差値は低くなかったはずなんですが……

自分でも修正できない程に無茶苦茶になったと思ったのでやめようかとも思ったのですが、
読んで下さる方もおられるようですので続けようかと思います。

読んでくださってる方、レス下さった方には本当に感謝です

では再開します


HRが始まるであろう時間になり、それから5分ほどして外に出てみた。

廊下に喧噪はまだ広がってない。

俺はできるだけ目立たないよう、つまりはいつも通りに歩いて雪ノ下のJ組の方へと向かう。
普段から隠密行動とか何それ火影?

J組の前には階段がある。俺はその階段の踊り場に身を潜めた。


しばらくするとJ組から生徒が出て来る。ホームルームが終ったようだ。

少しの間待っていると、アウターを着込んだ雪ノ下雪乃が出てきた。
彼女の顔を見るのはいつ以来だろうか。

彼女はいつも通りに背筋を伸ばし、近付き難い凛とした雰囲気を纏って廊下を進む。

顔には少し疲れが見えた。文化祭のときにも見た顔だ。

疲れを他人には一切悟らせない、いつも通りに見える雪ノ下が階段を下りてきた。

「……よう」

「…………」



そして雪ノ下はそのまま階段を下りて行った。




え?無視ってひどくない!?


俺は慌てて雪ノ下の後を追う。


「おい雪ノ下、無視するとかお前は小学生かよ」


名前を呼ばれて彼女が振り返る。

俺の顔を見て彼女は少し驚いているようだった。


「よう、久しぶりだな」

「……ええ、久しぶりね。それで何か用かしら」

「今日も部活には来ないのか?」

「ええ、家の用事で実家の方に帰らないといけないから」

「そうか、だがすまんがお前を今すぐ帰すわけにも行かん」

「それはなぜかしら」

「お前と話さないといけないからだ」

「話?」




「今週末のことだ」

こんな人が行きかう廊下で「お見合い」だなんて言うと一発でお祭り騒ぎになっちまう。


「………あなたには関係のないことよ」

「ああ関係ねえ。関係ねえけど関係あるんだよ」

「激しく自己矛盾してるわよ」

「大丈夫だ、俺の中では間違ってねえから」

「………どうやっても引き下がってはくれないの?」

「このままお前が帰ったら陽乃さんにお願いしてお前の家に行かしてもらう」

「なぜ姉さんと……」

「あっちが連絡取って来たんだ。俺からじゃねえよ」

「……ふう、家に帰ってからもあなたの濁った目と姉さんの姦しさを相手するなんてこれ以上の拷問はないわね」


やばい、俺の邪眼が拷問レベルにまで達してしまっている。

昔あれだけ邪王炎殺黒龍波の練習しても出なかったけど今なら出せるかもしれない、憎しみとか憎悪で。




雪ノ下は携帯を取り出してどこかに電話していた。

会話を聞くなんて悪趣味な真似はしたくないが、
「都築」と聞こえたからあのハイヤーの運転手にでも連絡してんのかね。


「お待たせ、では行きましょうか」

そう言って雪ノ下が歩き出す。


「待て待て、お前はどこに行こうとしてんだよ」

「どこって、部室だけれど」

「部室に行ったら由比ヶ浜が来るだろ」

「何か問題が?」

「問題しかねえよ。あいつが来たら話合いになると思うか?」


あいつのことだ。泣きわめいてお見合いをやめろ、あたし達を頼れなどと喚き立てるのだろう。


「………確かにそうね」

雪ノ下も納得してくれた。あいつどんだけ毎日電話とかしてんだよ。




「ならばどこに行きましょうか」

「人がいなくて静かでかつ会話OKな場所……屋上くらいか?」

「屋上?鍵がかかっているでしょ」

「いや、一箇所壊れてるところがあるからそこから上がれる」

「友達がいないのに詳しいわね」

「ボッチにもボッチなりの情報網があんだよ」

ってか女子の間では有名だとか聞いたけど、お前女子じゃないの?


「そう、なら屋上に行きましょうか」


そう言って雪ノ下が先に歩き出す。
だがあいつに中央階段だと言っても通じる気がしない、確実に迷子。学校で遭難しかねない。

だから俺は早歩きで彼女を追い越して先導する。
その道すがら、由比ヶ浜に今日は部活を休むとメールを入れる。




中央階段を上って屋上に続く扉の前へ。
扉には以前来たとき同様に壊れた南京錠がぶら下がっており、俺は力を入れてそれを引っ張って開錠した。


雪ノ下と二人、屋上へと進む。


「それで、あなたの用件は?」

着いて早々、雪ノ下が切り出した。
そういう無駄のないところがいい。こっちも時候の話とかしなくて済むし。


「単刀直入に聞く。お前はお見合いをしたいのか?」

「………あなたには関係ないわ」

「すまんが奉仕部に依頼が届いている」

「…………葉山君ね」

「後はお前の姉から」

「姉さんから?……なんでまた」


今ここで陽乃さんの考えを披露する必要性は乏しい。


「さあな。だが二人から依頼が来ている以上、一応の活動はせねばならん」


こんなもんは嘘っぱちだ。

俺は由比ヶ浜や葉山に言ったように、単なる奉仕部の活動としてならこの問題に首を突っ込まなかった。
だが俺はそれに反している。

まあその理由を言う必要もないし今はどうでもいい。




「……お見合いについては私の方で何とかするわ」

「何とかするってことは乗り気じゃないってことか?」

「当然でしょう。高校2年生でお見合いだなんて馬鹿げているわ」


そうか、由比ヶ浜の言うように雪ノ下はお見合いに積極的なわけじゃないと。
ならお見合いを邪魔してもこいつの意思には反しない。


「ならなぜ由比ヶ浜や奉仕部に助けを求めない」

「なぜって、こんな個人的なことで由比ヶ浜さん達に頼る訳にはいかないでしょ」


達ってのは俺も含まれてるのかね。


「由比ヶ浜も言ってるだろうけど、頼られないというのも辛いぞ」

頼るってことは信頼の表れだ。つまり、俺達は雪ノ下の信頼を勝ち得てないことになる。普通なら。


「そういうわけではないわ……彼女にもそう言っているのだけれど」


そう、雪ノ下は頼らないんじゃない。頼り方を知らないのだ。
今まで何にだって一人で挑戦し、一人で対処してきた彼女は人に頼る術を知らない。


文化祭のときには由比ヶ浜と俺に少しのお願いをしたが、それ以来彼女から頼られることはなかった。



「そうか、なら俺を使えばいい」


だから俺は彼女に逃げ道を作る。




「使う?」

「そうだ、道具のように使えばいい。頼るんじゃなくてな」

「それは言葉遊びでしかないわ」

「本質的に違うだろ。頼るってのは相手に委ねる行為だ。使うのならそこに俺の意思はない。
 どう使うかはお前次第だ」

「けど、由比ヶ浜さんを道具のように」

「だから言っただろ、俺を使えって。由比ヶ浜や奉仕部は関係ない。俺個人だけだ」

「なぜ……」


雪ノ下の目が俺の瞳を覗き込む。

俺はその綺麗な瞳から目が逸らせなかった。



「なぜ、あなたがそこまでするの?」

「……依頼があったからだ」




「そう……けど、使うといってもこんなゴミ」

「おい、人をゴミ呼ばわりとはどういう了見だ」

「ごめんなさい、失礼だったわよね。ゴミにも利用価値はあるものね」

ゴミに対して失礼であって、俺には失礼とこれっぽっちも思ってない。
つまりは再利用の価値もないゴミにも劣る存在、それが俺、比企谷八幡だ。

ならゴミ以下の俺は使い捨ててもらいましょうかね。


「そんな俺にだったら何しても良心の呵責は起こらんだろ」

「………あなたが傷ついて問題を解決または解消するってのは却下よ」


そういや修学旅行でも、なんて言えばいいかわからんがお前のやり方は嫌いだと子供の駄々のようなことを言われたな。




「なら問題ない。そう言う方法はもう辞めたからな」

「………そう。なら、今回はどうやって解決してくれるのかしら」

「それは今から考える」


そう言うと雪ノ下がこめかみに手をやって溜息を吐く。

いや、だってお前が断ったら考えるだけカロリーの無駄じゃん。


「で?結局お前は俺を使うの?使い捨てるの?」

「人聞きが悪いこと言わないで頂戴。でもそうね、今回はあなたを利用させてもらうわ」


そう言った雪ノ下はいつもより柔らかい、だが少し疲れの色が見える笑顔を俺に見せてくれた。

よかった、手遅れにならなくて。


――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――


とりあえずここで中断します
可能なら今日の夜にでもまた再開します

出会いとは悲劇の始まりである。
リアルが充実している者たちは出会いに希望を見いだし、そしてその出会いで失ったものから目を背け手に入れた物を誇示する。
まるで自分たちの出会いが後世に語り継がれるべき素晴らしいものであるかのように取り繕う。
その姿は欺瞞に満ちあふれていて滑稽ですらある

誰かと出会えば必ず何かを失う。
例えば、自分と合わない人間と出会ったとしよう。
その人と過ごす時間は苦にしかならないだろう。その人と過ごすためにいやでも自分の貴重な時間をどぶに捨てることになる。あと多分ストレスとかで髪も失う。
例えば自分と合う人間と出会ったとしよう。
その人と過ごす時間はきっと楽しいものになるだろう。忘れたくない大切な思い出へと変わっていく。
しかし、人生の終着点が死である以上は必ず別れは来てしまう。
それが死による別れなのか、それとも他の他愛ないすれ違いなどによる別れなのかは分からない。
それでも、大切な人との別れは辛く悲しいものである。だからきっとそのショックで色々と失うのだ。

つまり、出会いを拒むぼっちとはこの世で最も悲劇からかけ離れた存在であり、同時にこの世で最も髪の毛に優しい存在なのだ。

だがそれでも、一時の迷いから人との繋がりを求めたくなるときもある。

だからまあ……たまには誰かと出会うってのも悪くないのかもしれない

]
由比ヶ浜の誕生日パーティーが終わってから約一ヶ月。柔道部とのなんやかんやも終わり、夏休みまで残すところあと一週間だ。

もーういーくつねーるーとー!なーつーやーすーみー!ということで最近の俺はテンションが高い。どれくらい高いかと言えば、今朝小町に気持ち悪がられたくらいだ。死にたい。

俺が死にたがっていようとなかろうと、奉仕部でやることは変わらない。

俺と雪ノ下は本を読み、由比ヶ浜はケータイを弄るか雪ノ下に絡むかとどちらかだ。

変わったことと言えば今日はいつもの髪型だが、たまに由比ヶ浜が雪ノ下の髪をセットするようになったことくらいか。

仲が良いですねお二人とも。残された俺は二人が仲良くなればなるほど孤独感が増していく。まあ元からメーター振り切ってるからたいして気になるわけでもないが。

それにしても、孤独感なんてのは慣れてしまったからいいが、この暑さは看過できん。さっきからシャツが張り付いて不快だ

↑これなんだ?

>>125
私じゃないですよ
荒らしが他のssをコピペしてるので無視して下さい

八幡「『さ』とうを吐くような甘い恋がしたいけれど、『し』んらつな言葉しか浴びせられません。『す』こしでいいから、『せ』けん一般程度にやさしくしてもらう。『そ』れが目標」

雪乃「・・・悲しいわね、戸塚くん、座布団一枚あげてちょうだい。」

デレタ!ヤッタ!

陽乃「はい!」ノ

雪乃「姉さん」

陽乃「『さ』くら田門を通り、『し』ょうらいは安泰だけど。『す』てきな出会いはなく、『せ』っかくのキャンパスライフが味気ないので、『そ』この比企谷君を彼氏にします!」///

チラシの裏にでも書いてろ


時間空いたので再開します
八幡の解決法をwktkされてる方は……そっ閉じするか寛容な心で許してくだされればと思います

では再開します



屋上で話し合った後、雪ノ下はハイヤーに乗って帰って行った。
俺としてはもう少し話し合いたかったが、どうやら帰りが遅いと色々と面倒らしい。

雪ノ下は今や軟禁状態なんだろう。


そう言うわけで家に帰ってから電話で話すこととなった。

俺の携帯の電話帳には『雪ノ下雪乃』の文字が新しく追加された。


食事を終えて風呂にも入り、やるべきことがなくなった状態で雪ノ下にメールする。

すると電話がかかって来た。


『も、もしもし』




「ああ」

『もう大丈夫なのよね』

「ああ、こっちはな。そっちは?」

『ええ、こちらも大丈夫よ』

「じゃあ作戦会議と行きますか。まずは、差し支えなければ現状把握がしたい」

『ええ、そうね。特に黙秘事項があるわけでもないし何でも聞いてもらって構わないわ』

「そうか、ならまずは……なんでお見合いなんだ?」

『なぜ……そうね。私が次女で、もうすぐ高校3年生になるからかしら』


次女だから。3年になるから。

だがこの2つの事実からどうやってお見合いまで論理飛躍できるのだろうか。


「すまん、俺にはよく分からん。なぜ次女で3年ならお見合いなんだ?」




『……私の家は別に名家でも由緒正しい家でもないわ。祖父の土建業が当たって新興隆起したレベルの家でしかないの。
 だから別にエリート思考が強いわけでもないし、なんて言えばいいのかしら………家の人達も考え方が古臭いのよ』

「古臭い、ねえ。つまりは女は家庭に入れってことか?」

『はぁ………そういうことよ。変に学を持ってるのも男性に敬遠される理由になるから大学進学は必要ないだろうって考えなのよ、あの人は』


雪ノ下の溜息が彼女の心労の深さを物語っていた。
あの人……複数形じゃないってことは父親は別に賛成してないのかねえ。


「けどお前の姉ちゃんは大学行ってるじゃねえか」

『あれは………姉は特別なのよ。雪ノ下の家を継ぐんだから専門的な知識も必要になるわ』

「婿養子とっちまえば済みそうな話だがな」

『婿養子はあくまで姉さんの補佐よ。会社を切り盛りするのも、父の地盤を継ぐのも姉になるでしょうね』


陽乃さんがそう言えばそんなこと言ってたな。

パーティーとかに出席するのは基本自分で、雪ノ下は代役で出席するにすぎないのであって、
それは対外的に知らしめるため、とかなんとか。

なら雪ノ下の早すぎる結婚もそう言う意味があるのかもしれん。




「そうか。で、お前は当然親と話し合ったんだよな」

『ええ………全くと言って意味はなかったけれどね』

「なんて言って説得したんだ?」

『普通によ。大学には進学したいし、お見合いも今するつもりはない、と』

「で?親は何て言ってんだ?」

『………我が儘を言わないで、と』


我が儘、ねえ。
そりゃ金もねえのに大学行かせろってのは我が儘と言えるだろうが、金余ってんじゃん、お宅ん家。

つまりは自分の言うことを聞かなければ『我が儘』なのか。すげえな雪ノ下母。


「一応確認だが、相手のことは知っているのか?」

『ええ、何度かお会いしたことはあるわ』

「そうか、ならお前的に結婚してもいいと思える相手じゃないのか?」

『冗談を、相手はもう30半ばよ』


おう………滅茶苦茶政略結婚の匂いがしますね。




「父親は何て言ってんだ」

『父は、何も。母には意見出来ないでしょうし』


陽乃さんも父親は母親のフォロー役だとか言ってたな。なら父親からどうのこうのってのは難しいか。

なんかこう………狡い手はないものかねえ。




「なあ、つまりお前の親は雪ノ下家にとってプラスとなる良縁でありゃいいんだろ?」

『まあ端的に言えばそうなるわね』

「なら葉山なんてどうだ」

『葉山君?』

「ああ、お前ん家にも関係があって親も弁護士と医者だ、葉山自身も文武両道、容姿端麗おまけに性格もいい。
 こんなハイスペック野郎が彼氏ならお前の親も何も言わねえんじゃねえか?
 だったら葉山と付き合ってるふりして……」

『そうね、彼はうちの親にも気に入られているし。けど駄目ね、彼は姉さんの許婚ですもの』


いいなずけ?らんまくらいでしか聞いたことねえよ。
ってかあいつ、行く行くは陽乃さんと結婚すんのかよ、まじぱねえな。



―雪乃ちゃんはまた選ばれないんだね


花火大会の日に雪乃さんがそんなこと言ってたな。

胸がずきりと痛む。


今はそんなこと、関係ない。


『それで、何か方法はあるのかしら』


まず考えられるのは相手を落とす方法だな、ゴシップか何か作り出せばいい。

俺は知らん奴だしこいつがどうなろうと知ったこっちゃない、しかも現に高校2年生の女に手を出そうとしてんだからロリコンだろ。

ただ今回のお見合いを回避できても次のお見合いが設定されるだけで堂々巡りになっちまう。


後はいい男と雪ノ下が付き合ってることにする。

別にそれは本当に付き合ってなくてもいいし、しかも実在してなくてもいい。
母親にお見合いのメリットがないと思わせれば十分だ。

なんなら俺がどっかの大企業の御曹司で有名大学在学とかそんなホラでもいい。
後はバレないように色々補強して行けば明後日のお見合いくらいは回避できる。


>>136 ミスった!!


―雪乃ちゃんはまた選ばれないんだね


花火大会の日に陽乃さんがそんなこと言ってたな。

胸がずきりと痛む。


今はそんなこと、関係ない。


『それで、何か方法はあるのかしら』


まず考えられるのは相手を落とす方法だな、ゴシップか何か作り出せばいい。

俺は知らん奴だしこいつがどうなろうと知ったこっちゃない、しかも現に高校2年生の女に手を出そうとしてんだからロリコンだろ。

ただ今回のお見合いを回避できても次のお見合いが設定されるだけで堂々巡りになっちまう。


後はいい男と雪ノ下が付き合ってることにする。

別にそれは本当に付き合ってなくてもいいし、しかも実在してなくてもいい。
母親にお見合いのメリットがないと思わせれば十分だ。

なんなら俺がどっかの大企業の御曹司で有名大学在学とかそんなホラでもいい。
後はバレないように色々補強して行けば明後日のお見合いくらいは回避できる。



『比企谷くん、放課後にも言ったけどあなたが傷つく方法はなしよ。
 それに私はその場限りの問題の解決を望んでないの。 
 できるならこの問題が永久に出てこないようにしたいし、それに出来るなら家族との関係も一緒に何とかしたいの』


「そんなこと言ったら……縁を切るとか」

『私は家族を苦手としているけれど嫌いなわけではないの。だからそこまでの手段には出たくないわね』

「じゃあ話し合いくらいしか思いつかねえよ」

『やっぱりそうなるわよね』

「けど母親と話し合ってもどうにもならなかったんだろ?」

『ええ、結局あの人にとって私は所有物の一つなんでしょうね』


そりゃ母ちゃんってのは多くの家庭で口うるさい存在だろ。

やれ勉強しろとか、やれ服を裏返して脱ぐなとか、やれ目が濁ってるから遠くの緑でも見てろとか。


けどそれは所有欲の表れじゃない。親としての責務と愛情からの行動だ。

だが雪ノ下の家は違うらしい。支配し、管理下に置き、所有物の如く振る舞う。




こっちは養ってもらってる身だから親の言うこと聞けってのは分かるが、
だからと言って俺達は道具でもおもちゃでもない。

一人の人格を持った人間だ。


俺からしたら勝手に産んだんだから独り立ちできるまで面倒見るのが親の責務だと思ってる。


成績優秀で、体力はないが運動もできて、あらゆる芸術や文化に精通していて、容姿も秀でてる。

そんな雪ノ下の何が不満なのかねえ。


「お前は………親に反抗したことがないんだろうな」

『え?あるわよ、現に今も反抗しているじゃない』

「それは反抗じゃねえよ、応戦してるだけだ」

『何が違うのかしら』

「子供の反抗なんてのは理不尽で意味不明で自分勝手なもんなんだよ。
 その点、お前がやってるのは親の用意した土俵に上がって勝負してるだけだろ」

『……意味がよく分からないわ』




こいつは今まで、母親に所有物のごとく支配されているだけで「雪ノ下雪乃」個人として見られてこなかったのかもしれない。

だからより優秀であろうと、より所有物として価値があらんと頑張って来たのではないだろうか。


その結果、姉に憧れを抱き、羨望し、嫉妬し、敵対してきた。
より所有物として意味があるために。


だが陽乃さんは雪ノ下の3つも上だ。
早生まれでさえ能力差が出るのに3つも違うと勝ち目なんかない。

それなのにこいつは愚直なまでに努力し、勝負し、敗北し続けてきた。


こいつこそ、今の自分を認めてやるべきだ。
俺の甘えなんかではなくて。

それは逃げなんかじゃない、敗北でもない。

今ある自分を認識し、認め、現状を把握しているだけだ。

努力するならすればいい。
高見を目指すなら目指せばいい。

だが、だからと言って今の自分をなかったことにはできない、すべきでもない。




「俺は………今のお前でも十分だと思うぞ」

『……………いきなりなにかしら気持ち悪い』

「お前の目標は親に認めてもらうことか?」

『目標………』

「そうだよ、お前は何のために努力してんだ?何のために姉に張り合ってるんだ?」

『それは………自分を高めるためよ』

「自分磨きか?やってることは崇高でも動機はスイーツと同じじゃねえか」

『スイーツ?』

「頭の中お花畑ってことだよ」

『馬鹿にしているの?』


おいやめろ、恐い声だすなよ漏らすだろ。


「何が言いたいってぇとだな、雪ノ下。もっと我が儘でもいいと思うぞ」

『わがまま……』




「お前、親に我が儘言ったことねえだろ。いつもいい子ちゃんだっただろ」

『別に、そうではなかったと思うのだけれど』

「じゃあ意味もなく親の言うことに刃向ったり、逆のことしたり、無視したりしたことあるか?」

『幼いころはあったかもしれないわね。けど大きくなってからは……ないわね』

「そうだろな。だからお前の親も所有物のごとくお前を好き勝手するんだろうよ」

『どういうことかしら』

「まず言うことを聞かない奴はどう動くか予想できないから支配したり管理下に置いたりしにくい。
 それに、そんな好き勝手やってる奴を利用するメリットがない。
 例えばパーティーでお前を他人にひけらかしてる最中にお前が突拍子もないことなんかすれば雪ノ下母の評判が落ちるからな。
 自分の評判を落とすものを支配しようだなんて思わんだろう」

『確かにそうね』



「つまり、何が言いたいかっつうとだな……
 もっと我が儘でもっと自分のしたい様にしてもいいと思うんだよ、俺は。
 親の言うことは聞かなきゃならん場合もあるだろうがそれだってケースバイケースだろ。
 結婚なんてのは当事者の自由意思で決めるもんで親が勝手に決めていいもんじゃねえよ。
 それと」


『それと?』


「親は勝手に俺らを生んだんだから大人になるまで俺らを育てる義務があんだよ。
 ちょっとくらいの我儘も許さないなんて親の責務を放棄してるだけだ」

『………親の、責務なんてあるのかしら』

「あるよ、俺ら子供にだって子供の責務があるんだ。なら親にだって同様に権利と義務がある」

『………今まで、そんなこと考えたことなかったわ』


だろうよ、物扱いされてたら嫌われないよう、捨てられないよう必死になるのが普通だ。

ネグレクトとかDVがあっても子供が親を嫌いにならない理由はそれだ。

子供にとって親は神で、世界で、全てだ。

だから、どんな理不尽な仕打ちを受けても嫌ったりしない。
むしろ好かれるよう、捨てられないよう必死になる。




「で、反抗したらお前の親はどうなるのかね。これで縁切られるとかならそんな手段はとれっこないんだが」

『今までそんなことしたことないから分からないけれど………
 さすがにそこまでのことはされないのじゃないかしら。
 1人暮らしもなんだかんだで認めてもらっているし、それに父は私達に甘いから』


ふむ、ならば資金的援助がなくなるとか縁が切られるって心配はなさそうだな。


「どうする、俺としては反抗して思い通りに行かないってのを母親に認識させるだけでも意味があると思うんだが」

『………そうね、今まで母親の呈示する条件下でずっと結果を求められてた気がするけど、
 これを続けても結局は母親の支配下からは逃れられないものね。
 
 反抗………してみようかしら』


「どうするのかはお前次第だ」


無責任かもしれないが、こればっかりは俺が決定するわけにはいかない。

雪ノ下と親との関係が拗れる危険だってあるし、そうなった場合に俺は責任がとれない。

だから、雪ノ下が自分で決めて、自分で責任をとってもらうしかない。





『決めたわ、私家出する』

「ああ、そうか。それもいいと………家出?」

『ええ、私一度してみたかったのよ』


やばい、雪ノ下さんが何かふっきれた。


「いやいやいや、ちょっと待て。家出はさすがにやりすぎじゃないでしょうか」

『そうかしら、だって家にこのままいたら日曜にはお見合いに連れて行かれるだけだし、一人暮らしの家も場所が割れてるから結局は同じよ。
 だから、とりあえずお見合いを無視するには家出するしかないわ』

「家出するしかないって……お前は話合いで何とかしたいって話じゃなかったのかよ」

『あら、最終的にはそのつもりよ。けど、今この状態で私がどんな要求しようとも一緒でしょうね。
 だから一度家出をして、私の意思が固いことや要求をのまなければまた家出することを示しておく必要があるわ』


言ってることは間違ってないのかもしれないがやってることは幼稚極まりない。




「家出するっつってもどうすんだよ、ホテルを転々とするのか?金は?
 宿泊の記帳は偽名か?雪ノ下家がお前を見つけ出す可能性は?学校は?」

『お金は……どうかしら。カードが止められるかもしれないわね。
 あと学校に通ってたら家の者がおそらく迎えに来るでしょうね』

「ずっと学校サボるわけにも行かんだろ」

『なら連れ戻されるまででもいいわ。
 とりあえず今週末を乗り切ればまたお見合いの日取りを決めるのにも時間がかかるでしょうから、その間に交渉の機会が作れるはずよ』

「んじゃとりあえず今週末一杯をやり過ごす場所が必要だな」

『ええそうね、なら今からあなたの家に行くわ』



………………………へ?


「いやいやいや、何をご冗談を」

『冗談なんかじゃないわ』




「女友達の家に行けよ」

『いないわ』


そういやこいつもボッチだった。


「あ、由比ヶ浜いんじゃん」

『彼女に迷惑を掛けられないわ』

「え、俺は?俺には迷惑かけてもいいの?」

『これはあなたが言い出したことなのだから責任をとるべきだわ』

「いや、俺一言も家出しろとは言ってないんですけど…」

『あなた言ったわよね、俺を利用しろって』

「……………はぁ、分かった」

本当は何一つ分かってない。

あいつが来たら家族がどう反応すんのかとか、本当にあいつ泊めていいのかとか。


だがもう考えるのは疲れた。

柄にもなく人の厄介事に首を突っ込んだんだ。
もう後は野となれ山となれ、だ。


欲をいえば、もう少し説得力が欲しかったな・・・。



『私は小町さんの友達と言うことの方がいいわよね。比企谷くん、小町さんに協力要請を』

「はいはい……」

何だよ協力要請って、なんでノリノリなんだよ。


『では今から用意してそちらに行くから』

そう言って彼女は一方的に電話を切る。


俺は携帯と自分の身をベッドに投げて大きくため息を吐く。

ほんの10分ほど前までこんなことになるなんて思いもしなかったのに。

とりあえず小町にお願いしに行くか。



本当、雪ノ下姉妹には今後関わるの止めようかな。


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なんか今日は頑張った気がする

>>148
説得力無いですよね~……

正直、このssは書きたい落ちがあってそこに突き進んでるだけですので
未だかつてないくらいロークオリティーなものになってると思います

ですがそこは読者様の寛容な心で許して下されればと思います

今日はとりあえずここまでにします。

読んで下さった方、レス下さった方、本当にありがとうございます

それではまた書きに来ます

こんなにレスが付いて嬉しいです
読んでくださっている方がいるというのが分かるとやる気が出ますね

では今日も再開してみます



電話を切って1時間後、キャリーバッグを転がして雪ノ下が我が家にやって来た。
玄関で小町と二人で雪ノ下を出迎える。

マジで来やがりましたよこの人。


挨拶もそこそこにリビングに通す。

そこにはうちの両親が。

細かい事情は話してない。
一応、家庭の事情で数日間泊まらせてあげて欲しいとお願いした、小町が。

すると小町LOVEの両親からは二言目どころか一言目からよしの返事が頂けた。
甘すぎませんかねえ。


だから雪ノ下から丁寧な挨拶をもらった両親は特に追及することもなく、面談はすぐに終った。

とりあえず雪ノ下は数日間小町の部屋で生活することとなった。




小町と雪ノ下が小町の部屋に引っ込んだ後、自室に戻っていた俺の部屋の扉がノックされた。


「どうぞ」

「失礼するわ」


入室してきたのは雪ノ下だった。


「本当に来たんだな、お前」

「ええ………それよりも」

「ああ、すまんかった。男の部屋とか慣れないよな、リビングに」

「カマクラはどこにいるのかしら」


………お前何しに来たんだよ。何普通に俺ん家エンジョイしてんだよ。


「カマクラはこの部屋にはいない。いるとしたらリビングだ」

「そう、なら連れてきてくれないかしら」


目が本気だった。はいかyesしか受け付けそうにない。

俺は仕方なくリビングへと行き、うなーと嫌がるカマクラを抱っこして部屋に戻った。




「ほら」


そういってカマクラを雪ノ下に渡す。

彼女はそれまでの仏頂面から一気にデレノ下になった。
もうお前ずっと猫抱いて日常生活送ってくれよ。


「で?お前はカマクラが欲しかっただけか?ならもう小町の部屋に戻れよ」

「いえ、少し話し合うべきかと思って」

「まあそうだな、突っ立っててもなんだしどっか適当に座ってくれ」


雪ノ下は部屋の中をキョロキョロと見回した後にベッドにポスリと腰かけた。
………へ、変に意識したりなんてしてないんだからね!?


「で?何か飲み物とかいるか?」

「いえ、大丈夫よ」

「そうか、ってかちゃんと置手紙なりなんなりはして来たんだろうな」

「大丈夫よ、しばらく家を出るから探さないでくれって置手紙をしてきたわ」

「それでも明日になったら電話がバンバン鳴るんだろうけどな。ってかよく出てこられたな」

「別に四六時中監視されているわけでもないし、守衛が立っているわけでもないし出て来るのは簡単よ」


まあそれだけ雪ノ下が反抗するとは思ってなかったってことかも知れん。




「で、マジでどうするつもりだ?」

「どうする、とは?」


「日曜のお見合いは?」

「すっぽかすわ」


「学校は?」

「ここから通うわ、制服も持ってきてるもの」


「……いつまでこの生活を続けるつもりだ」

「さあ?日曜が終ったら一人暮らしの家に帰ってもいいかもしれないわね。
 連れ戻されたところでお見合いは終わってるわけだし」


おい、会話するときはちゃんと相手の顔を見なさい。
カマクラしか見てねえじゃねえか。




なんか雪ノ下の雰囲気が変わったように感じるな。

今までは誰も寄せ付けない凛とした雰囲気を纏っていて、糸がピンピンに張っているような感じで、
ともすればいつ切れてもおかしくないような緊張感、危なっかしさがあった。

だが今はその緊張の糸が解けてしまったかのようなだらけ具合である。


これがカマクラの魔力によるものなのか、母親との関係に疲れたのかは分からない。


雪ノ下は今やベッドに寝そべりカマクラとおしゃべりするのに忙しいらしい。
ニャンニャンいってカマクラに相談していた。俺要らねえじゃん。


「お前、一人の方がいいか?」

「え?」

「よく考えたら小町の部屋でもしんどいだろ、お前ボッチだし」

「ボッチと言われるのは少し抵抗があるけれど。そうね、やはり一人の方が気が楽だわ」

「そうか、なら俺が小町の部屋で寝るわ」




「それは駄目よ」

「なんでだよ。この部屋をお前に貸してやるんだから、俺が小町の部屋に行くしかねえだろ」

「そうなると小町さんの身が危ないわ」

「危なくねえよ。両親がいる家で妹襲うとかどんだけチャレンジャーなんだよ。ってかいなくても襲わねえよ」

「あなたの常日頃のシスコンぶりを見ているととてもじゃないけど信用できないわ」

「シスコンであることは認める。だがあくまでも妹だからな。妹は庇護の対象ではあってもそう言う対象にはならねえよ」

「……わた…もあなたの妹だ……かったのに」

「は?聞こえねえよ」

「なんでもないわ。ならこの部屋を借りてもいいのかしら」

「ああ、俺の着替えだなんだがあるから俺もちょくちょく入ることになるが」

「ノックしてくれれば別に構わないわ」

「そうか、ならお前のキャリーもこっちに移しちまうか」

「そうね、そっちの方がいいかしら」




というわけでキャリーを取りに行きますか。雪ノ下さんはカマクラ抱いてて両手ふさがってるし。


小町の部屋をノックして入室の許可を貰う。


「あれ?お兄ちゃんじゃん。どうしたの?」

「俺の部屋はたった今、雪ノ下に占拠された。だから今日から俺をここに泊めてくれ」

「え~?せっかく雪乃さんとお話一杯できると思ったのに」

「それは明日にでもすればいいだろ、今日はあいつも慣れない家に来て疲れてるだろうし」

「ん~そっか~なら今日はお兄ちゃんと久しぶりに寝よっか」


小町が純粋なまま育っててお兄ちゃんは感動です。
けどその内、一緒に寝たくないとか一緒にお風呂入りたくないとか言われんだろうな~
風呂は今でも言われるだろうけど。


小町の了解も得られたから雪ノ下のキャリーをもって自分の部屋に。

「ほい、持って来たぞ」

「ええ、ありがとう」




「なんか必要なものとかあるか?」

「いえ、特には」

「そうか、トイレは1階降りて廊下の左手にある。あ、風呂どうすんだ」

「もう入って来たわ」

「そうか、一応言っておくと廊下の突き当たりが風呂と洗面所だ。まあまた明日小町にでも聞いてくれ」

「ええ」

「なんか必要なものがあったらメールなり直接小町の部屋に来てくれ」

「ええ………あ、ありがと」


照れるな。俺まで照れちまうだろ。


「じゃあ俺は行くからな」

「ええ、おやすみなさい」

「……おやすみ」


雪ノ下に対して自分ん家の中でおやすみなどと言う日が来るとは思わなかったな。



小町の部屋に戻ったら雪ノ下と何かあったのかとか色々聞かれた。

けど別になにもないし、お見合いの件についても小町には説明済みだ。

話し足りない可愛い小町を構ってあげたい気持ちは山々だが、いかんせん今日は疲れた。

だから小町の話し声を子守唄に俺は布団に入ってすぐに夢の中へと落ちて行った。



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次の日、目が覚めて時計を見ると昼12時を少し回っていた。
昨日は精神的に疲れてたから少し寝過ぎたようだ。

モソモソと布団から出て、パジャマのままリビングへ。とりあえずコーヒー飲みたい……


「あら、やっと起きたの」

リビングの扉を開けると雪ノ下雪乃が立っていた。

なんでこいつがここにいる!?


俺はびっくりしすぎて尻餅をついてしまった。

ああ、そういやこいつ、なんでか知らんが家出先を俺ん家にして泊まってたんだったな。


「なに腰を抜かしてるの?」

「朝の日課だ、ほっとけ」

「変な日課ね」


立ち上がってコーヒーメーカーの方へ。水を入れてコーヒー豆をセットして電源を入れる。




すると小町がぱたぱたスリッパを鳴らしてやって来た。

「お兄ちゃんお兄ちゃん見て見て!」


そう言って小町が携帯を俺の方へズビシと向けて来る。

画面を覗き込むと美味しそうな朝食が。


「なんだこれ?」

「雪乃さんと一緒に作ったの!」

「へぇ~~。で、俺のは?」

「美味しかったから食べ過ぎちゃった☆」


小町が舌をペロリと出す。よし、可愛いから許す。


けどお腹が空いていることは事実。現にお腹グーグー鳴ってるし。


「小町さん、このお家はお昼はどうするのかしら」

「時間的にはそろそろですね」

「外食をするのかしら」

「たまにしますけど基本はお家です」

「そう……なら昼食を作りはじめましょうか」




「え?雪乃さんが手伝ってくれるんですか?」

「ええ、お邪魔でなければ」

「ぜんぜん!なら一緒に作りましょ!」

「ええ」


小町が雪ノ下に抱き付く。

こうして見てみると2人は姉妹に見えないこともない気がする。
まあ似てるの髪色くらいだが。


けど可愛い女子が二人でキャッキャしてるのは目の保養になる。
俺は出来上がったコーヒーを啜りながら二人の料理を眺める。


「比企谷くん、何か食べたい物はあるかしら」

「キャビア」

「この家にある物にして」

「なら任せる」


俺のあてにならない返答に雪ノ下がブツブツ文句をいい、小町が「いつものことですから」とフォロー。




小町と雪ノ下が会話をしながら料理を続ける。

二人とも、料理の腕は相当なものだからテキパキと進むのを見ているだけでも楽しい。


そうこうしている内に料理が出来上がったようだ。

テーブルの上を見ると様々な具が挟まれているサンドイッチに、
バジルが効いていていい匂いがするトマトソースのパスタ、
あとはコーンポタージュとシーザーサラダが並べられていた。


昼に洋食って何かリッチな気分。

皆で頂きますをして食事を開始する。


「それよりご両親は起きてこられないのかしら」

「親はいつも昼過ぎまで寝てるからな」

「あら、そうなの」


雪ノ下の家は休日でも朝早くから起きて仕事なりしてそうだな。
普通の家庭の親なんてそんなもんだろ。え?そんなもんだよね?




「お兄ちゃん、このパスタはどう?」

「ん?美味いんじゃねえの?」

「だそうですよ、雪乃さん」

「あん?これ雪ノ下が作ったの?」

「ええそうよ」

「道理で小町っぽくないと思った」

「お口に合わなかったかしら」

「いや、そんな上等な味覚してないから食べられたら満足だ」

「もう!もっと素直に『おいしかったよ、雪乃』って言えばいいのに」

「そのダンディーな声はどっから出してんだ」

「いいわよ小町さん、比企谷くんに人とのコミュニケーションを期待するなんて酷だもの」


気遣うならもうちょっと完璧にやってくれませんかね。




子供たちだけの食事も終わってリビングでのんびり。

雪ノ下の膝の上にはカマクラが寝ており、雪ノ下は何かに取りつかれたようにずっとカマクラを撫でていた。


「で、寛いでるとこ悪いんだがお前どうすんの?」

「どうする、とは?」

「今日は何かしないのか」

「そうね……とりあえずはカー君の写真を100枚ほど」

「いやカマクラのことじゃなくてよ」


ってカー君ってえらい仲良くなったんですね。で写真100枚もどうすんだよ。


「親のことだよ」

「ああ、そちらのことね」

「ああ、じゃなくて。連絡とかは来てないのか?」

「来てるわよ、朝からずっと」




「で?」

「無視してるわ」

やばい、勧めたのは俺だが雪ノ下の幼児退行っぷりが半端ない。


「捜索願いとか出されなければいいがな」

「返信はしたし、それにあの人がそんな大事にはしないと思うわ」

世間体を気にして、か。


「なら今日は特に何もしないのか?」

「外に出たら見つかる危険もあるし今日はここでゆっくりさせてもらうわ」

「まあ別にいいけどよ」


すると小町がパタパタとスリッパを鳴らして雪ノ下の方へやって来た。

「雪乃さん雪乃さん!」

「なに?小町さん」

「なら一緒に遊びませんか?」

「遊ぶ?何をするの?」

「wiiです!」

「wii?テレビゲームのことかしら」


テレビゲームて……おばあちゃんか。



小町がメタルラックに収納されているWiiを取り出す。

「雪乃さん、これがwiiです」

「これは……どうやって使うのかしら」

雪ノ下がwiiリモコンを興味深そうに見る。


「これはこういう風に持ってですね……まあやっていけば分かると思います」


小町がゲームを起動させて、雪ノ下にレクチャーしながらゲームを進める。


二人はテニスしたり卓球したりカートレースしたりと忙しそうだったが、
慣れないゲームに悪戦苦闘している雪ノ下は後ろから見ていてかなり面白かった。


俺はぎこちなく動く雪ノ下を見ながら、コーヒー片手に読書をする。


他人がこの家にいるなんて落ち着かないだろうと思っていたが、どうやら思っているほどでもなかったようだ。


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昼過ぎから休憩を挟みつつも続いたゲーム大会は夕食によって中断された。


夕食も雪ノ下と小町が一緒に作ってくれた。

親父は「バカ息子じゃなくてこんな綺麗な娘だったらな~」とか言うし、お袋も「娘2人のほうが華やかでいいな~」とかいうし
俺の肩身が狭いどころか居所がなかった。
だから俺は部屋の隅っこで体育座りしてた。ここで無理に手伝おうとして他人の邪魔をしない慎ましさに好感が持てるな、俺には。


食事中も庶民丸出しのうちの親は雪ノ下にズケズケ言いたいこと言うから俺が恥ずかしかった。

なんで親ってのはこんなに恥ずかしいんだろう。もうちょっと子の目線に立って考えろ下さい。


そんな心休まらない食事も終わり、次のイベントは風呂だ。

家族の使った後を雪ノ下に使わせるのは気が引ける。
やっぱりここは雪ノ下が一番だろ。


「というわけで雪ノ下、風呂入ってこい」

「どういうわけかわからないけれど、分かったわ」

「あ、はいはーい!なら小町と一緒に入りませんか?」

「え?小町さんと?」

「どこに何があるか分からないじゃないですか、だから小町と入りませんか?」

「いえ、前もって言ってくれれば場所は分かるのだけれど」




「雪乃さんは、小町と入りたくないですか…?」

そう言って小町は潤んだ瞳で雪ノ下を上目遣いに見やる。
これに勝てる奴は同じぶりっ子で同族嫌悪引き起こす奴くらいだろう。


「……分かったわ、なら今日は一緒に入りましょう」

雪ノ下ですら落ちた。小町、恐ろしい子!


「やった~!ではでは~お風呂に行きましょ~」


小町が雪ノ下に抱き付きながらお風呂場へ。

小町もお姉ちゃんみたいなのができてうれしいのかもな。
雪ノ下は……妹ができたと思って楽しんでたらいいんだがな。




しばらくすると雪ノ下達が風呂から上がって来た。

そういや昨日は俺が部屋出る時まで私服だったし、今日も起きたら私服だった。
けど今目の前にいる雪ノ下はパジャマを着ていた。

なんか同級生のパジャマを自宅で見るとかドキドキするな。

風呂上りで頬が桜色に染まってる雪ノ下が言う。

「お風呂上がったわ」

「あ、ああ」

髪の毛が濡れていつもと雰囲気が違う雪ノ下にドギマギする。

じゃあ次は誰だ?両親か?
そう思ってテーブルを見ると未だ夫婦仲良く晩酌していた。

俺が風呂に入るのか聞くとそんなもんは後だ、とのこと。
じゃあ次は俺だな。


八幡「じゃあ俺の口を塞ぐしかないよな?」

雪ノ下「……」

肩越しに恨めしそうな視線を突き刺してくる彼女が愛らしくて仕方ない。

八幡「陽乃さんの方がいいとかいう奴はホント分かってねえな……」

思わず言葉が漏れた。

雪ノ下「……ッ」

まあ言っても害のないフレーズだったので、八幡は言及しない。

一人暮らしをする彼女の家で雪ノ下陽乃と鉢合わせし、初対面で彼女を完全に撃破して以来、陽乃にとって八幡は不倶戴天の仇敵となっている。

八幡「どうした?そんなにキスマークを増やしてほしいのか」

雪ノ下「……んっ」

八幡「んむっ」

自分から彼の唇を吸うしか、雪ノ下には残されていない。

八幡の舌が雪ノ下の口内を陵辱する。歯茎を丁寧に舐め、雪ノ下の舌を絡め取る。

ボタリと唾液の塊が八幡のワイシャツに落ちる。

どちらの唾液かの判別もつかない。飢えた獣のように相手の口内に舌を伸ばし、唇を吸う。


(ダンボールに隠れてガハマさんと小町が見ています)



雪ノ下に断りを入れて、自分の部屋から着替えをとって来て風呂場へ。
脱衣所で素っ裸になって風呂場へ突入。

風呂蓋を取って桶を手に持ったところでふと動きを停める。

あれ?これ下手したら雪ノ下が浸かったお湯じゃないのか?


…………………………今日はシャワーで済まそ。




風呂も済ませて小町の部屋へ。

明日はとうとうお見合い当日か。
どうなんのかね。

まあ雪ノ下家の人がここを割り当てることは難しいだろうし結局は雪ノ下がブッチして終わりかな。

そうなったら雪ノ下は…どうなるんだろうか。

親との関係が今以上に拗れてしまわないだろうか。
ちゃんと関係を結び直すことができるのだろうか。


関係のない俺でさえ不安になっているんだ。
当の本人はもっと不安に思っているかも知れない。

……少し様子を見に行くか。



アバババーッ!誤爆してしました
すいません



小町の部屋を抜けて自分の部屋をノックする。

すると中からいつも聞きなれた凛とした声が聞こえてきた。

「どうぞ」


俺は扉を開けて部屋の中へと入る。


「どうしたのかしら」

「ああ、いや………その、大丈夫か?」

「何がかしら」

「いや、明日って当日だろ?だから……お前が不安に思ってないかと思って」

「あら、比企谷くんにも人を思いやる感情があったのね。驚きだわ」

「茶化すな」

「そうね……不安、というよりもドキドキしているわ」

「ドキドキ?」




「ええ、多分母はカンカンに怒るでしょうけど」

おぅ……陽乃さんが、母は自分よりも怖いと仰っていたんですけど大丈夫ですか?


「けれどもこれで何かが変わるかもしれない。そう思うとどちらかと言うと楽しみという方が強いかしら」

「そうか、まあ…なんだ。言いだしたのは俺だ。何かできるってわけでもないが何かあれば言ってほしい」

「ええ、ありがとう………ねえ比企谷くん」

「なんだ?」

「なぜ、ここまでしてくれるの?」

「……依頼があったからだ」


雪ノ下が下を向く。

「そう……依頼ね。依頼がなかったら……いえ、何でもないわ」

「そうか、なら俺は小町の部屋に戻るわ」

「ええ、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」


扉を静かに閉めて小町の部屋に。

小町は今日1日雪ノ下がいたことで興奮しすぎたのか、早くも夢の世界に飛び立っていた。

俺も早く寝よう、明日は何かあるかもしれない。


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何もなかった。


何一つ、変化のない日曜が終った。



さっき皆でサザエさん見たし、夕食も終わった。

え?なにこれ。あっさりしすぎじゃね。

なんかもっとこう……黒服の男達がやってきて雪ノ下を迎えに来たり
そこで俺が「雪ノ下は渡すか!」って言って今まで覚醒してなかった力で倒したり、
お母さんが乗り込んできて直接対決があったりとかあっても良かったんじゃね?


雪ノ下はリビングのソファでカマクラ抱いてるし、親父達もいつも通り晩酌してるし小町は雪ノ下にべったり。

もしかして雪ノ下って俺の妹か姉ちゃんなんじゃないか、そう思い込んでしまいそうなほど雪ノ下は俺の家に馴染んでいた。




「雪乃さん!今日も一緒にお風呂入りましょ!」

「昨日でどこに何があるか分かったから一人でもう大丈夫なのだけれど」

「小町は一緒がいいです」

「ふぅ……わかったわ、なら一緒に入りましょう」

「やった~!」

小町は今日も雪ノ下とお風呂か。
う、羨ましくなんかないんだからね!?


マジでか。俺が社会的抹殺の恐怖におびえていた今日1日はなんだったんだよ……


その後は両親、俺が風呂に入って日曜日が終ろうとしていた。


けど俺は気になって自分の部屋の扉を叩く。
昨日と同じく雪ノ下から入室の許可をもらって扉を開けた。


「おう」

「ええ」




「なんか……終わっちまったな」

「ええ、そうね」

「で?携帯とかに連絡あったのか?」

「ええ、朝に1本だけ」

「1本だけ?」

「ええ」

「差し支えなければ教えてくれ」

「父から、お見合いはなしになった、と」

「……それは、どうなんだ?」

「どう、とは?」

「そりゃ……両親は怒ってんのか?」

「さあ、母は怒ってるでしょうね。自分の面子が潰されたのだから。父は……内心喜んでるでしょうね」

「喜んでんの?」

「ええ、母にも早すぎないかと意見していたから。娘を嫁に出すのが寂しいのよ」

「そっか、なら父親は味方でいてくれるんだな」

「ええ、形ばかりの説教はされるでしょうけど。本心から怒ったりはしないでしょうね」




「なら後は……母親か」

「ええ、正直どうなってるか想像もつかないわ」

「お前の母親ってどんな人なんだ?陽乃さん曰く、陽乃さんより恐いって言ってたけど」

「恐い……確かにそうかもしれないわね」


マジか。あんなモビルスーツみたいな強固な装備してる陽乃さんより恐いとか何者だよ。
もうそれって素顔そのものを整形しちまって素の自分見せねえレベルなんじゃねえのか?


「けど母は姉とはまた違った人よ」

「というと?」

「……感情的な人、かしら」

「感情的?」

「ええ、自分の思い通りに行かないことにはヒステリックに叫ぶわ」

「それは……恐い、のか?」

「ええ、まるで人じゃない何かを相手にしているようよ」


ああ…………雪ノ下も陽乃さんも理性的で頭いいもんな。
会話が通じない人とか確かに怖くなるし、自分とは異質なものと対峙してる気分になるのかも知れん。




「姉はあの作りこまれた外面で人を意のままに操ろうとするけれど、母はそう言ったことはあまりしないわ。
 その代わり、直接的な力をもって支配しようとするから厄介は厄介よ」


なるほど、陽乃さんはテクニックタイプで母親はパワータイプか。
パワータイプはあしらうことができたら簡単だが、一度嵌ればその純粋な力で圧倒されるからな。

雪ノ下は母親ってのと持前の実直さでいなすわけにも行かず、ただただごり押しされてたのかもしれん。


「けど、何だかすっきりしたわ」

雪ノ下が微笑をたたえる。まるで憑き物が取れたようだ。


「今まであの人の言うことをどうやって論駁しようかとばかり考えていたけれど……なんてことはないのね。無視してしまえばよかったのよ」

「まあ、全部無視するわけにもいかんがな」

「ええ。当然、対話が必要な場合には母と話をするわ。でも今回みたいに話も聞いてもらえないならまた家出をするわ」

「おいおい」


雪ノ下がクスクス笑う。
なんか……いつもの大人びた、落ち着いた雪ノ下じゃないみたいだ。


八幡「『さ』とうを吐くような甘い恋がしたいけれど、『し』んらつな言葉しか浴びせられません。『す』こしでいいから、『せ』けん一般程度にやさしくしてもらう。『そ』れが目標」

雪乃「・・・悲しいわね、戸塚くん、座布団一枚あげてちょうだい。」

デレタ!ヤッタ!

陽乃「はい!」ノ

雪乃「姉さん」

陽乃「『さ』くら田門を通り、『し』ょうらいは安泰だけど。『す』てきな出会いはなく、『せ』っかくのキャンパスライフが味気ないので、『そ』この比企谷君を彼氏にします!」///


八幡「まあ雪ノ下が割とラノベに寛容で良かったわ。絵だけで無理っていうヤツもたくさんいるしな」

雪ノ下「イラストなんてどうでもいいわ」

八幡「……期間限定パンさんパッケージアイス」

雪ノ下「ホッチキスで口を閉じて差し上げるわよ?」

八幡「早速影響されてんじゃねーよ」

雪ノ下「何を隠そう、私は流され体質の達人よ」

八幡「あーそれも貸したなー」

雪ノ下「通信空手を始めようかと思ったわ」

八幡「俺は」

雪ノ下「挫折?」

八幡「はい」

雪ノ下「私はもう合気道を習得済みだもの。ふふん」

八幡「ドヤ顔やめろ」

雪ノ下「ふふん」

八幡「ドヤ顔やめろ!可愛いじゃねえか!」


【糞スレ注意】

このSSは原作ラノベに準拠しています。
しかし>>1が低脳なために原作とは比べ物にならないほど残念なssです。
よって糞ssは許せないと言う方は閲覧を控えて下さい。

それでは、次から書いていきたいと思います。


雪ノ下「つまり先日の設定集を頼りにストーリーを組めばライトノベルになると」

八幡「いやあれはレベル低すぎだけどな」

雪ノ下「涼しい顔をして怖い事を言うのね」

八幡「誰かさんにうつされたんでな」

雪ノ下「……誰かしらね、私も最近視力が落ちてきた気がするわ」

八幡「俺の事を視神経に作用するウイルスみたいに扱うのはやめろ」

雪ノ下「でもそうでしょ?ほら、あれだって」

八幡「あれは偶然だっつの」

由比ヶ浜(アルフォート美味しい)


風呂場に備え付けられたボディソープを、胸につけていく。トロッとしたものが胸に付くというのは、なかなかにそそるものがある。

沙希「つ…冷たい」///

八幡「我慢しろ」

沙希「が、我慢しろたって…んあ」///

一通り塗り終わるとこっちに来る。こちらは座った状態で、あそこを突き出すように構えている。

沙希「んっ」ギューー

自分のを相手の胸が押し付けてくる。それだけ考えてもなかなかに気持ちよかったが、いかんせん刺激が甘い。

八幡「押し付けるだけじゃなく上下に動かせ」

沙希「わ…わかった」クイックイッ

初めてだからしょうがないがぎこちない、刺激が断裂的にしか来ないせいで快感はあるが射精感はのぼらない。

八幡「もっと押し付けるようにしろ。押すんじゃなくて左右で」

沙希「でも、ん…手は、使うなっ、て」クチュックチュッ

ボディソープも十分泡だったからか、いやらしい音が風呂場に響き渡る。

八幡「手はな、でも、腕は使うななんて言ってないだろ?」

沙希「こ…こうか?」ブチュッグチュッ

手首から、肘までのところを使ってパイズリする様は、刺激も高く、見てるだけで高揚する。

八幡「くっ…気持ちいいぞ、沙希。もっと激しくしてくれ」ナデナデ

沙希「え?あ…うん」///

慣れないことで緊張してたのか、肩の力がスーッと抜けていくのがわかる。

それのおかげか、動きが随分なめらかになってくる。

八幡「く…」ビクッビクッ


雪乃「あなたこそこの幸運に感謝するといいわ」

   「多くの男子が私と手を繋ぐことを切望しているというのに」

   「あなた如きがはじm…」

八幡「あぁ?」

雪乃「…なんでもないわ」

八幡「(なんか手を握ったらそのまま握りつぶされそうな感じだな)」

   「(しかしいくら雪ノ下でもそこまでの握力はないだろう)」

   「(平塚先生だったら必死すぎて有り得るが)」

三浦「つーかさ、はやくすれば?」

八幡「(女王さまはせっかちだな。アクセレータの異名を贈呈しよう)」

   「(そのうち言語野とか支配する)」

雪乃「そ、そうね。早く終わらせてしまいましょう」

   「ち、ちなみに…由比ヶ浜さん」

結衣「(ヒッキーとゆきのんが…うぅ)」

雪乃「由比ヶ浜さん?」



「私の世界は親が無くても成立するのね」

「ああ、そりゃ親の助力なしじゃまだまだやってけねえけどさ」

「ええ、私の全てが親ではなかった」

「そりゃそうだ」


こんなことはいい年になったら気が付く。

学校で友達ができたとき、習い事を始めたとき、中学に上がったとき……
世界が広がるにつれて親の影響力は下がっていく。

だが雪ノ下の中では母親の存在が未だに大きかった。

それは親の支配欲が強かったせいか、はたまた家が特殊だったせいか分からんが。


「まあまだ終わったわけじゃねえんだ。とりあえず帰ってからどうなるか、だな」

「ええ、少し楽しみだわ」


おいおいマジかよ。やっぱり雪ノ下さんは大物だな。




「とりあえず、明日は学校に行くのか?」

「ええ、恐らく迎えの者が来るでしょうけど」

「来てたらどうすんだ?」

「とりあえず帰ることにするわ、引き伸ばしてもいいことはないでしょうし」

「そっか」

「荷物は多分、家の者が取りに来るから置いて行ってもいいかしら」

「ああ、すぐに持って帰らないと困る物とかないか?」

「ええ大丈夫よ」


もう心配することもないだろう。
雪ノ下は前向きに捉えている。心配もしていない。
なら後は雪ノ下に委ねるしかない。


「母親との対決、頑張れよ」

「ええ、なんとかするわ」

「じゃあ俺は寝るわ」

「ええ、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」


雪ノ下におやすみをしてから小町の部屋へと戻る。


ちょっと中途半端ですけど今日はここまでにします。
途中、無断で中断して申し訳ありませんでした。

荒らしに反応せずにスレの平和を守りつつ読んで下さった方、レス下さった方には本当に感謝です

それではまた書きに来ます

誤爆すいませんでした
乙です

>>219
誤爆は気にしてないですから大丈夫ですよ

なんだったら読んでくださっていたのが分かって嬉しかったですからw


雪乃「あなたこそこの幸運に感謝するといいわ」

   「多くの男子が私と手を繋ぐことを切望しているというのに」

   「あなた如きがはじm…」

八幡「あぁ?」

雪乃「…なんでもないわ」

八幡「(なんか手を握ったらそのまま握りつぶされそうな感じだな)」

   「(しかしいくら雪ノ下でもそこまでの握力はないだろう)」

   「(平塚先生だったら必死すぎて有り得るが)」

三浦「つーかさ、はやくすれば?」

八幡「(女王さまはせっかちだな。アクセレータの異名を贈呈しよう)」

   「(そのうち言語野とか支配する)」

雪乃「そ、そうね。早く終わらせてしまいましょう」

   「ち、ちなみに…由比ヶ浜さん」

結衣「(ヒッキーとゆきのんが…うぅ)」

雪乃「由比ヶ浜さん?」

修学旅行後

雪ノ下「あのやり方は(アカン)」

八幡「せやろか」

雪ノ下「そらそう(自分の気持ちを捏造して割り込み告白とか)なれば、そう(あなたをそれなりに信頼してた私たちの怒りが有頂天に)なるわよ」

由比ヶ浜「(もっと自分を大切にして)ええんやで」

ガラッ

いろは「すいませーん生徒会長選挙助けて下さーい」

めぐり「心配でついて来ちゃった」

八幡(なんや!あのクッソ可愛い子は……!)

雪ノ下(【悲報】八幡ニキ、年下好きを露呈)

八幡(いかんのか?)


どれだけ行けるか分かりませんが、眠くなるまでやってみようと思います。
では再開します



すると部屋に置いておいた携帯が光ってる。

小町は……もう寝ちゃってるか。


俺は部屋から出てリビングのソファに腰掛ける。
両親は明日からの社畜生活に備えて早くも寝室に籠ったらしい。

携帯を操作して確認すると着信が着ていた。

番号だけの表示で名前はなし。けどその2つ下にも同じ番号が表示されていた。
なら相手はあの人か。

呼吸を一つして着信のあった携帯に折り返す。



『もしもーし』

「もしもし、すいません。さっきは出れなくて」

『いいよいいよー。そ・れ・よ・り』

「……なんですか」

『お姉ちゃんに報告することはなんかない?』

「雪ノ下さんに報告すべきことは特にありません」

『え~?もうお姉ちゃんって呼んでもいいんだよ?』

「他人をお姉ちゃんと呼ぶ習慣はないので遠慮します」

『そっか~なら楽しみは後にとっておくね』


この人はどこまで知ってるんだろうか。本当底知れない。




『それより、雪乃ちゃんお見合いブッチしたんだって?』

「話が伝わるの早いですね」

『わたしの方にも雪乃ちゃんの捜索網が来てたからね。で?今回はどんなトリック使ったの?』

「トリックとかそんな大袈裟なもんじゃないですよ」

『けどあの雪乃ちゃんがお母さんに刃向うなんてありえないよ。きっと比企谷くんの差し金なんでしょ?』

「差し金とか俺を主犯に仕立て上げるの辞めて下さい。俺は単に雪ノ下に思うことを言っただけですよ」

『何て言ったの?』

「もうちょっと我が儘でもいいんじゃないか、って」

『それで雪乃ちゃん、家出しちゃったの?』

「はい」


『…ぷ、っあははははっ!』

「ちょっ、いきなり大声出さないで下いよ」

『ごめんごめん、けど……ぷふ、駄目だ…笑いが止めらんない』






「何がそんなにツボにはまったのか分かりませんが用がないなら切ってもいいですか」

『まだダメだよ。けどそっかーそんな簡単なことで雪乃ちゃんを変えられたんだね。
 やっぱり比企谷くんはすごいね』

「いや、俺は別に。雪ノ下も思うところがあったから俺の言葉に乗ったんだと思いますし」

『まあそりゃ、自分の共感できない言葉に触発されたわけじゃないだろうけど。
 けどわたしだって散々言ったんだよ?お母さんに真っ向から勝負挑んでも意味ないよって』

「そりゃ雪ノ下さんから言ったところであいつは対抗心燃やすだけでしょうし」

『そうかもね。けど他の人が言ったところで一緒だったと思う。比企谷くんだったから意味があったんだよ』


果たしてそうだろうか。
俺の言葉に特別な意味があったのだろうか。

雪ノ下は俺のことを腐った目をしてるとかゴミ以下だとかシスコンだとか散々貶してきた。

そんな俺の言葉が特別、あいつに響いたとは考えにくい。




『雪乃ちゃんは比企谷くんを認めてるんだね』

「それは……分かりません」

『まあそれならそれでいいや』

「用件は以上ですか」

『うん、そうだよ~。あ、あと1個あった』

「なんですか?」



『避妊はちゃんとしないとダメだよ』


俺は電話を切った。

何考えてんだあの人。ってかやっぱり俺ん家にいるの知ってるのか?



日曜最後に無駄に疲れて俺は小町の部屋へと戻る。

明日には自分の部屋に戻れるのか。それは……それで少し寂しいのかもしれない。



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朝起きると既に雪ノ下は制服に身を包んで凛としたいつもの彼女に戻っていた。

小町と一緒にバタバタ朝の用意をしていると、気を遣って雪ノ下が朝食を用意してくれた。

こいつ家事万能だし比企谷家に嫁入りしてくれないかな。
でも娶る男が誰もいないから養子の方がいいか。


いつもは小町と二人だが今日は雪ノ下も加えて家を出る。

途中までは小町も一緒だったが分かれ道が来たので小町を中学に送り出す。


「ってかお前まで俺らに合わせることなかったんじゃねえか?」

「……最後の朝くらい小町さんを送りたかったのよ」

「ああ、そういやお前って方向音痴

「そんなわけないじゃない。私にかかればどんな場所からでも学校に辿り着くことができるわ」

なにそれ、帰巣本能?




「ってかやべえ。お前が徒歩のせいで始業時間に間に合わん」

「私のせいだと言うの?私は余裕を持って起きたのだからあなたのせいでしょう」

「もうどっちでもいい。とりあえずほら、乗れ」

そう言って俺は自分のチャリの荷台をバシバシ叩く。


「……二人乗りはさすがに怒られるのじゃないかしら」

「学校直前で下せば問題ねえよ。ってか乗らねえなら俺は先に行くぞ」

「なんで遅刻の原因を作ったあなたが間に合って、私が遅刻しないといけないのよ」


そう言いながら雪ノ下が荷台に横乗りする。


「じゃあ行くぞ」

「ええ」


雪ノ下は羽のように軽かった。
小町を乗せているときと変わらない重みしかなかった。

腰に添えられた雪のように白い彼女の手を意識しないように必死で自転車を漕ぐ。




人目に付かないように細い路地を選んで自転車は進む。

無心で自転車を漕ぎ、徒歩でも余裕で間に合うだろう所まで来て自転車を停める。


「ほれ、そろそろ降りた方がいいだろ。ここからは他の生徒とエンカウントしかねん」

「ええ、そうね」


彼女が荷台から軽やかに降りる。

その時広がった髪の匂いはシャンプーの香りだろうか。
だがこんな甘い花の香りのようなシャンプーは家にはなかったと思うが。


「じゃあ俺は先に行かせてもらうからな。一緒にいたらなんだかんだ邪推されかねん」

「それは確かにそうね」

「じゃあな」

「ええ」


彼女を置いて自転車を漕ぎ進める。


なんとなく気になって後ろを振り返る。


すると彼女が胸の辺りで小さく右手を振っていた。

俺は恥ずかしくて左手を軽く上げて応えるだけに留めた。


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全然進まないですねorz

テンポ悪くて申し訳ないです
終わりまでもうちょっとなので、次に再開するときは一気に終わりまで行きたいと思います


眠くなったので今日はここまで

読んで下さった方、レス下さった方には感謝②

ではまた書きに来ます

再開します



放課後になって俺は久しぶりに部室に行ってみた。まあ金曜サボっただけだけど。

今日は先に平塚先生の下へ向かう。雪ノ下は実家に強制送還されているだろう。


部室の鍵を開けて紅茶を淹れて、本を取り出す。
さすがボッチニスト、早くも一人きりの部室に慣れてきた。


しばらくすると由比ヶ浜がやって来た。

「ヒッキー!」

「いや、お前はまずやっはろーって言えよ。キャラ付けの意味なくなんだろ」

「そんなことより!昨日どうなったの!?」

「あん?お前、雪ノ下から何も聞いてねえの?」

「ゆきのんから結果は聞いたよ?」

「じゃあ俺から言うことは何もない」

「ゆきのん、ヒッキーの家に泊まってたんでしょ!?」


何故それを言う。

雪ノ下さん、別に言う必要なかったですよね。




「ちがう、あいつは小町の家に泊まったんだ」

「一緒じゃん!」

「ちげーよ、小町の友達が止まりに来ただけで俺は関係ない」

「けどヒッキーも一緒に家にいたんでしょ?」

「まあヒッキーだしな」

「最悪!もう最悪!」

「何がだよ」

「だって……う~~ヒッキーのバカ!」

「なんで罵倒されなきゃいけねえんだよ…」

「あ!なら今度、あたしが小町ちゃんの友達として泊まってもいい?」

「小町の友達にこんな馬鹿な子はいませんいりません」

「バカじゃないし!」

「まあ落ち着け、今回は色々イレギュラーだったんだよ」


とりあえず俺は由比ヶ浜に経緯を教える。

これ聞きゃなんで雪ノ下が俺ん家来たのか分かんだろ。




「へぇ~そんなことがあったんだ」

「ああ、あったんだよ」

「なら……あたしも家出しようかな…」

「え?お前も親と仲悪いのかよ」

「いや、いいけど」

「なら家出なんかすんな。親が悲しむぞ」

「……うぅ、けどさ~」


何をグダグダ言ってんだこいつ。

その後も雪ノ下と何をした、どうなったと延々聞いてくる由比ヶ浜にうんざりしながらその日の部活は終了した。

結局雪ノ下は来なかったな。家に帰ったんだろう。


雪ノ下と母親との対話が穏便に済んでることを期待しながら俺はその日1日を過ごした。


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翌日、授業時間を全て寝て過ごすという学校の存在意義を根底から覆す偉業を成し遂げて放課後となった。

今日は雪ノ下は来るのか?

昨日の今日で部活に来られるとは思えない。


だから俺は今日も今日とて独身の下へ。

ってか部長いないんだしサボっても良かったんじゃないのか?
けどサボると三十路に体罰を加えられるからなー。

職員室に行って平塚先生に鍵をくれと手を差し出す。

すると平塚先生が意外な顔をしながらこう言った。

「おや?先程雪ノ下がもう鍵を取りに来たぞ」

あん?あいつもう部活復帰か?

俺は無駄足を踏まされたことにイラっとしながら、早歩きで部室へと向かう。
別に早く会いたいとかそんなんじゃない。


部室の扉に手を掛けて引くと扉は抗うことなく横へスライドした。




「……よう」

「ええ」


扉を開けるとこの部室の主がいつもの席にいつも通り凛とした姿で座っていた。

こいつを前にここで見たのは冬休み前だったな。随分懐かしい気がする。


「早かったな」

「そう?いつも通りだけれど」

「時間じゃねえよ、時期的にもうちょっと長引くかと思ったんだよ」

「その件は由比ヶ浜さんが来てからにしましょう。彼女にも報告したいし」

「そうか」


そう言うわけで俺は落ち着かない気分で本を読んでいたが、全くと言っていいほど内容が頭に入ってこなかった。




文字を追うだけの読書をしていたらやっと由比ヶ浜がやって来た。


「やっは…ゆきのん!?」

「いやだからキャラ付けを忘れるなよ」

「こんにちは、由比ヶ浜さん。久しぶりね」

「ゆ、ゆきの~~ん!!!」


由比ヶ浜が鞄を放り出して雪ノ下に抱き付いた。
雪ノ下も始めはオロオロしていたが、由比ヶ浜の頭を優しく撫でる。

雪ノ下には小町といい由比ヶ浜といい妹キャラがたくさんいるな。


由比ヶ浜が落ち着いてから、雪乃下はとりあえず紅茶を淹れてくれた。

雪ノ下の淹れてくれた、いつも通り美味しい紅茶を飲んだら何か俺までほっとしてしまった。

日常が帰って来た、と実感した。


皆が落ち着いたのを見計らって、雪ノ下が話し始めた。




まず、自分のゴタゴタで心配をかけて申し訳なかったこと。
お見合いは日曜日のは中止になったし、これから先もとりあえずは全くの未定だと言うこと。
父親からは特にお咎めがなかったこと。
そして、母親とは絶賛喧嘩中とのこと。


「喧嘩って、ゆきのん………」

「あら、これはいい変化だと私は思っているわ。なにせ喧嘩なんて同レベルの者の間でしかできないのだから」


つまりは一方的な支配関係は解消されたということか。


「……あの人も、人間だったのよね」


ポツリと雪ノ下が呟く。

そう、親は全知全能の神様なんかじゃない。
1人の、不完全な人間だ。


雪ノ下もそれに気づいたから、単に恐怖や憎悪の対象としてではなく、
1人の人間として親と向かい合うことができるようになったのだろう。

まあ最終的に仲直りなり適度な距離間を保てるようになればいいんだろうが、それはもっと先の話だな。




雪ノ下は一応の報告は終えて、後はひたすら由比ヶ浜に謝ってた。

だが雪ノ下の話が終っても謝罪を受けても由比ヶ浜は雪ノ下の傍から離れようとしなかったし、ずっとブレザーの裾を掴んでた。
恋人かお前ら。


その後はいつも通りの奉仕部の姿が戻って来た。
二人は読書をして、一人は携帯をいじくるだけの無為な……だが俺にとっては心地いい時間が流れた。

部活は今日も今日とて相談者が来ないままタイムアップとなった。


皆で部室を出て、雪ノ下が鍵を閉める。うん、やっぱり鍵の管理は雪ノ下がすべきだな。
俺なんかがやるとちゃんとできてるか不安でみんな夜も眠れなくなるだろう。


「じゃあね、ゆきのん!また明日ね」

そう言って由比ヶ浜が手を振る。

「ええ、さようなら」

雪ノ下も控えめながら手を振りかえす。



じゃあ俺も部長様に帰りの挨拶をするか。

「じゃあな」

「待ちなさい」

「………なんですか」

「あなたは私と来なさい」


え~……もう終わったしいいでしょ?早く帰りてえよ。
お前が来てる間に溜まったアニメとか早めに消化したいんだけど。

「じゃあヒッキー、あたしは先に帰るね」

そう言って由比ヶ浜が俺に手を振って廊下を歩いて行った。
俺を見捨てないで……

「では行くわよ」

行くとか言ってないのに雪ノ下が歩きはじめる。
俺は自由に行先も決められないのか。

雪ノ下の後をついて行くと職員室に着いた。

まあ一緒に入っても仕方ないからここで待ってるか。




雪ノ下が先生に鍵を返しに行き、職員室から出てきた。

「では行きましょうか」

そう言ってまたも俺を無視して雪ノ下が歩き出す。

「行きましょうかってどこに行くんだよ」

俺は後について行きながら彼女の背中に声を掛ける。

「そうね……歩いて帰りましょうか」

帰りましょうかって。俺とお前の家、方向違うんですけど。


けど言った所で聞き入れてもらえるわけがない。
トコトコ歩いて行く雪ノ下の後について行き、昇降口で靴に履き替える。

校舎を出て駐輪場との分かれ道で雪ノ下がクルリと振り掛ける。
なるほど、チャリンコを取ってこいと……俺は自転車を取って来て雪ノ下の下まで戻ってくる。


昨日は寝落ちしてしまいました、すいません

終わりまであと少しですので頑張って今日中に終わらせようと思います。

それでは再開します



「どうする、また2ケツで帰るのか?」

「いいえ、少し歩きたい気分だから付き合ってくれないかしら」

「へいへい」


雪ノ下が歩き出し、俺は後を追って自転車を引いて歩く。
二人無言で夕日もすでに落ちてしまった道を歩く。


今日は冷えると思ったら雪がちらほら舞っていた。


「おい雪ノ下、雪が降って来てるけどどうすんだ?」

「……私はこのまま歩いて帰りたいのだけれど。駄目かしら」

「……いや、いいんじゃねえの」


雪ノ下は「そう」と言って再び前を見て歩き出す。

一緒に来いと言ったわりには何も話しかけてこない。

これは何か?長時間雪の降る中、外にいさせて俺に風邪をひかせようとしているのか?
挙句に肺炎を患わせてそれが拗れて俺を殺そうとしているのか?完全犯罪じゃん。




雪ノ下が路上にある自販機の方へと向かった。
寒いしホットの飲み物でも買うか?俺にはアクエリとかか?

雪ノ下は2つ飲み物を買って、それを両方顔の横の高さまで掲げる。


「コーヒーとココア、どちらがいいかしら」

「……俺はどっちでもいいが」

「ならコーヒーを上げるわ」


ありがとう、けれど俺はココアの方がよかったです。
始めから俺の意見を聞いてくれたらよかったのに。


「この先に小さな公園があるから、そこに寄りましょう」


こんな雪の降る中、公園に行くなんて正気の沙汰じゃないな。
行くならスタバとかミスドとか色々あるだろうに。




雪ノ下が再び歩き始めたため、俺も後を追う。
すると雪ノ下が言っていた公園が見えてきた。

雪ノ下は公園の中へと入って行き、ブランコに腰掛ける。スカート汚れますよ。
俺も入口脇に自転車を停めて公園へと入っていく。

俺は濡れるのを嫌って東屋の中へ入った。



「………ブランコに乗るのなんて久しぶりだわ」

そういや俺も何年も乗ってないな。
まあ今更、前後に揺れたところで昔のようには楽しめないだろう。

俺の公園に連れてきたのはブランコの話をするためだろうか。
俺は千葉には詳しいが、さすがに千葉にあるからってだけでブランコのことまで詳しくないぞ。


雪の降る中、ブランコに座っている雪ノ下はまるで1枚の絵画のようだった。
これは初めて彼女を見たときにも思ったことだ。

題名はそうだな、世界の終りに一人ブランコに座る少女。

少しでも長いとラノベのタイトルっぽく思えるのは編集者が無能なせいだな、長文タイトルもうやめろよ。




「あなたに……比企谷くんにお礼を言わなければならないわね」

本題はそれか。


「別に。今回俺は何もしてない。やったことと言えば我が儘を言えばいいとか無責任なこと言っただけだ」

後は雪ノ下自身が決意して、決行して、その後母親と話し合ったんだから本当俺はなにもしてない。


「そうね。あなたは言葉をかけただけね。けれど私にとってはそれだけで十分だった。
 あなたの言葉じゃなければ変わろうだなんて思わなかった。
 だからやはり比企谷くん。私はあなたに感謝しなければいけないわ」

「そうか、俺も誰かのためになれたんならよかったよ」

「あなたは今まで誰かのために頑張って来たじゃない」

「誰かのためじゃない。あくまで俺のためだ」

「そうね、あなたはそう言う人だったわね」




葉山は確かこう言っていた。
「君が誰かを助けるのは、誰かに助けられたいと願っているからじゃないのか」―と。


だが雪ノ下雪乃はそう捉えなかった。
今までの俺の行動を自己犠牲だとしなかった。

そのことが嬉しかった。


「けれど、あなたの行動原理がどうであれ人が救われてきたことは事実よ。私は傍でそれを見てきたわ。
 それに、現に私もあなたに救われたわ。だから」


そこで雪ノ下が立ち上がり、こちらに向かってくる。

俺の5歩手前で彼女が立ち止まる。

これが俺と彼女の距離か。


「ありがとう、比企谷くん」

そう言ってほほ笑んだ彼女の笑顔は、とてもじゃないが氷の女王などと形容できるものではなかった。




「……どういたしまして」



「………ふふ」

不意に雪ノ下が笑う。


「なんだよ」

「初めて会ったとき、あなたは変わるのは逃げだと言っていたわね。
 それに引き替え、私は今の自分を認めるだけで努力も変化もしないことを逃げだと言ったわ」

「そういやそんな会話したっけか」

「ええ、したわ。今でも忘れないわ。 あの時、私はなんて自堕落で自分に甘いんだろうと思ったわ」

「それは否定しない」

「思ったけれど……そうね、変わることが必ずしもいいとは限らないものね」

「まあマイナスの方向への変化もありえるからな」




「私は……必死だったのね。親に認められたくて、姉に勝ちたくて。
 そんなことのために自分を変えないと、頑張らないと、なんて思い込んでたなんて……馬鹿みたいだわ」

「まあ成長できたんならいいんじゃねえの?理由がなんであれ」

「そうね、今までが頑張ってきたことが全部無駄だったとは思わないわ。
 けどこれからは母に認めてもらうため、姉に勝つために頑張ろうとは思わないわ」


そういや文化祭の陽乃さんのライブで、雪ノ下は陽乃さんに憧れていると独白していたな。
俺はそれに対して「ならなくていい」と言ったが、多分届いていなかったんだな。

ならばもう一度言おう。

「お前は、雪ノ下雪乃は今のままでいい。
 雪ノ下陽乃になんてならなくてもいい。
 母親にとって利用価値のある娘になんてならなくてもいい。
 勉強もスポーツもできて、言いたいことズバズバいって、友達付き合いが下手で、
 パンさんと猫が大好きで、方向音痴で、はにかんだ笑顔が可愛くて、優しくて、弱いお前でいいんだ」




「……そう。 なぜかしらね、あなたが言うとそれが本当のことのように感じるわ」

雪が解けたら水になるのは自然の摂理であって、
だから雪ノ下の瞳から水が流れ落ちるのは自然なことだった。

それが空から降って来た雪が解けたのか、
雪ノ下の心を閉ざしている氷壁が解けたものなのかは分からない。

けれど、俺はそれを見て美しいと思った。

「ねえ、比企谷くん」

「…なんだ?」

「なんでお見合いの邪魔をしようと思ったのかしら。普段のあなただったらそんなことしないわよね」

俺が半年かけてこいつを知ったように、こいつも俺のことを理解していた。

単なる気まぐれだと言って逃げることもできる。
だが、俺はそうしたくない。




俺は、本物が欲しい。


「俺が、雪ノ下のことを好きだからだ」


「……え?」


難聴系主人公かよ。
なら伝わるまで言ってやる。


「お前のことが好きだ。だから俺と付き合ってほしい」


彼女は俺の憧れだった。
だが、いつしか憧れているだけでは足りなくなった。
手に入れたい、自分のものだけにしたい。

そんなちっぽけで子供染みた独占欲がいつの間にか俺に芽生えていた。




「返事を、貰ってもいいか」



「……比企谷くん」



「はい」




「……………ごめんなさい」


マジか。




いや、そりゃ俺みたいな目が腐ってて捻くれてて自堕落な奴が雪ノ下に釣り合うわけ

「恋人なんていつか変わってしまうかもしれないじゃない。
 それにお見合いを破談させた責任を取ってと言ったのだから……
そうね。
婚約者、というのはどうかしら」


そう言って、照れながらも上目遣いに俺を見る彼女。


「婚約………何か急過ぎねえ?」

「そうかしら、付き合うと言うことは結婚を前提にするものでしょ?
 だから婚約をしても不自然ではないし、むしろ婚約しない方が不自然よ」


いや、付き合ってる奴みんながみんな結婚前提にはしてないだろ。

まあでもいいか。俺だって遊びでこいつと付き合いたいわけじゃない。
願わくばこのまま永久就職したいし。




「なら、俺と結婚を前提に付き合ってください」

「……はい」


彼女が1歩近づく。
俺が3歩近づく。

間に空いた距離は1歩分。


それでもその空間がもどかしく、邪魔に感じた。

俺は腕を伸ばして彼女を抱き寄せた。


「………案外積極的なのね」

「……俺は独占欲が強いからな。自分のものは他人に触られたくない」




「……自分のものだなんて偉そうね」

「……お前は俺のもんだし、俺はお前のもんだ。違うのか?」

「………いいえ、違わないわ」


雪ノ下が俺に回した腕に力を入れる。

「……雪、強くなってきたな」

「……そうね」

「……そろそろ帰るか」

「……なら離しなさい」

「……お前も腕解けよ」

「……あなたが先に解きなさい」




いつまでもやりあってるわけにも行かん。洒落じゃなくてマジで肺炎になりかねん。

俺は雪ノ下に回していた腕を解く。
彼女も俺の背中に回していた腕を解く。

俺が彼女の右手に触れると、彼女がそれをぎゅっと握りしめる。


「帰りましょうか」

「……俺が送ってくの?」

「あら。こんな雪の中、彼女を一人で帰らせるなんて比企谷くんは本当にグズでどうしようもない人ね」

「わかった。送って行くから罵倒しないでくれ」


彼女の手を引いて公園脇に停めてあった自転車を取りに行く。

自転車のハンドルをとろうとして彼女の手を放す。

「あ……」

彼女の口から音が漏れる。

そんな寂しげな顔しないでください。




ハンドルを片手だけで掴み、左手を彼女に差し出す。
すると、彼女がそろそろと手を握って来た。

彼女の手をひいて新雪の上を進んでいく。


俺と彼女は上辺だけのものを嫌い、本物を互いに求めた。

けど、この関係がいつまで続くかは分からない。
性格とか価値観が合わないかもしれないし、喧嘩するかもしれないし、もっと他の理由で別れることだってありえる。

そのとき、俺はこの関係が本物ではなかったと嘆くのだろうか。

いや、そんなことはない。

確かに二人の関係が失われれば、俺はその喪失感から悲しみに暮れるだろう。

だが、だからと言ってこれからの二人の時間が、関係が全て偽物だったことにはならないはずだ。

それに、これから先は俺達次第だ。何とでもなる。

俺が、彼女が、二人で求め合い、許し合い、頑張っていけば、きっとこの本物の関係は何時までも続いていくんじゃないだろうか。

いや、なんとかしよう。




雪ノ下の手は手袋をしていても冷えているようだった。

「お前の手、冷たいな」

「冷え症なのよ」

「そうか」

彼女の手をさきほどよりも少しだけ強く握る。


俺はなんとなく彼女の口から聞きたいと思って言葉を吐きだす。


「なあ、雪ノ下。俺と友」

「ごめんなさい。それは無理。」



彼女がギュッと俺の左手を強く握りしめる。



「だって、もう婚約者ですもの」


そう言って笑った彼女の顔を俺は一生忘れないだろう。

やはり、俺と雪ノ下雪乃は友達にはなれない。






このssを読んで下さった方には本当に謝りたいです。

こんなグダグダなssを読ませてしまい済みませんでした。

あーーー色々言い訳がしたい………

後日談は無いの?

ははのんとの壮絶なバトルは?

>>281
後日談、というか雪ノ下と恋人になった状態のお話は書きたいですね

けど以前に「お前のssなげえよ!」とお叱りを受けたので、それはまた別のスレを立てて書こうかと思ってます

>>282

ははのんVS八幡ですか?

ははのんが「家の子を誑かして!!」とか言っていちゃもん付けてくるのは現実的ではないな~と

やっぱり普通に考えたらゆきのんと話し合うのが自然かなと。
そこでゆきのんが困るようなら八幡も彼氏として助けるんじゃないでしょうか


次も期待して下さるのはとてもうれしいです。

けど今回、けっこう無理矢理話を作り上げて歪だったので、今度はネタが降ってくるまでちょっとゆっくりしようかなと

書くとしたら雪ノ下との恋人生活や、平塚先生による拉致監禁(同居)話、サキサキとの恋愛も書いて見たいので
次が何になるかはちょっと不明です

ゆきのん、アラサー、さきさきと来て何故ガハマさんはないんだ!(憤怒)

乙!面白かったです!

>>290
ガハマは前に書いたですよ

比企谷八幡 「やはり俺は手作りバレンタインに弱い」
http://matomeruu.doorblog.jp/archives/34719134.html

>>291
すいません、見てました。それも面白かったです。
次回作も期待してます。

>>292
前のも見て下さってありがとうございます。
次は多分ずっと書いてたとらドラになっちゃいそうですが……
また近々はちま関係のss書きますので、その時はどうか寛容な心で駄作を受けて入れてくれれば幸いです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月21日 (土) 23:35:40   ID: ePtpirJI

面白いWAッ!

2 :  SS好きの774さん   2013年12月22日 (日) 03:19:49   ID: 3KjpXVVV

楽しみにしてるぞ!!

3 :  SS好きの774さん   2013年12月24日 (火) 15:24:56   ID: o9F4eEG9

期待

4 :  SS好きの774さん   2013年12月25日 (水) 11:10:28   ID: LciU2oue

荒らしウザッ!!

5 :  SS好きの774さん   2013年12月28日 (土) 00:24:59   ID: zl5uF5qk

がんばー

6 :  SS好きの774さん   2013年12月29日 (日) 00:32:30   ID: jeJTPUCx

次回作楽しみにしてます!!!

7 :  SS好きの774さん   2014年07月28日 (月) 03:14:54   ID: PV4iYkh1



8 :  SS好きの774さん   2014年08月11日 (月) 19:12:18   ID: dojZpDrt

おもしろい

9 :  SS好きの774さん   2014年09月19日 (金) 00:39:40   ID: 2d2Lovk0

淡々と進む感じが好きだ

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