弟「え」
姉「弟くん、この頃学校行くときに寒いってよく言ってるでしょ?だからマフラー編んであげたんだ」
弟「あ、うん。ありがとう……」
姉「どうしたの?あんまり嬉しくない?上手く編めたと思うんだけど……」
弟「気持ちは嬉しいんだけどさ……その、高校生になっても家族の手編みのマフラーしていくのはちょっと……」
姉「あっ。……ごめん」
弟「姉ちゃんが謝る必要ないよ!でも、やっぱりそれをしていくのは……」
姉「恥ずかしい?」
弟「うん」
姉「このマフラー、どうしようかな。弟くんの為に作ったのに受け取ってくれなかったし……」
姉「弟くんの好みに合わせて作ったから地味めな色だし私のファッションには合わないしなぁ……」
姉「でもせっかく上手く編めたのに使わないのはもったいない」
父「ただいまー。あー、寒い!寒い!」
姉「あ、おかえり」
父「うん、ただいま。いやぁ、この頃は本当に寒くて困るよ」
姉「……あっ、そうだ」
部下「あれ、課長?マフラー買ったんですか?」
父「いや、違うよ。手編み」
部下「奥さんですか?」
父「いいや、娘から」
部下「へぇー…娘さんから。仲いいんですね」
父「いや、そんなでもなかったと思うんだがな。どういうわけか私にくれたんだ」
部下「普段態度に出さないだけで実は好きだったんだと思いますよ。私の娘も今年中学生になったんですけど」
部下「『パパが入ったあとのお風呂には入りたくない』とか言っててこの頃は休日も一番風呂に入れなくなりましてね」
部下「いやー、課長が羨ましいです!私の娘もマフラーぐらい編んでくれればいいのに」
父「はっはっ。まぁ、そのぐらいの年頃の娘はそんなもんでしょう」
部下「私の娘は高校生になっても今のままの気がしますがね」
父「まぁ、君の娘も成人すれば頼めばマフラーぐらい編んでくれるさ」
部下「そうなればいいですがねぇ」
完!
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