奴隷少女「……ちょうきょう、し?」(163)


商人「そうだ、これから調教師の方がここに来る」

商人「テメェらのような銀貨十枚にも満たない商品をまともな値で売るにはこれが一番だからな」

奴隷少女「……あの」

商人「うるせぇ、黙ってろ!」ぐっ

奴隷少女「ぃっ!」びくっ

商人「……こんなんでも金貨数枚相当にできるっていってたし」

商人「商品に傷つけるわけにもいけないし、殴れねぇのは面倒だな」ちっ

商人「でも出来なかったら、お前とあの新米調教師の内臓を売り払って元をとってやる」けけっ

……

男「やあ、こんにちは。調子はどうですか?」

商人「これは調教師さん、いらっしゃいませ」

男「本日お預かりさせていただく子は……」

商人「こいつだ」ぐいっ

奴隷少女「……っ」

男「彼女だけ、ですか?」

商人「そりゃそうだ。お前みたいな無名の新人に何体も預けられるか」

男「それもそうですね。では、彼女のお値段は幾らでしょうか」

男「一度買い取らせていただきます。その後、その1.5倍の価格であなたにお売りします」

商人「……ほぉ、俺に損は無いな。ただ、その分の価値がなきゃ買わんぞ」

男「かならず期待に沿って見せますよ」にっ

……

奴隷少女「……」じっ

男「やれやれ、最初は流石に信頼してもらえないよな」

男「さて、これから家に行くよ」

男「僕もそんなに余裕が無いから歩きだけど、いいかな」

奴隷少女「……」

奴隷少女(何言ってるんだろ、このひと)

奴隷少女(奴隷の足かせをつけられた私が何を言っても、無駄なのに)じゃらり

男「……うん、じゃあ行こうか」


男「君はどの国から来たんだい?」

奴隷少女(来た、じゃなくて、つれてこられたんだけど)

奴隷少女「……」

奴隷少女(答えなきゃ、叩かれるかな)

男「いや、答えたくないよね」

男「ごめん、余計なこと聞いたかな」

奴隷少女「……?」

奴隷少女(……へんな、ひと)

奴隷少女(私は、もう、物なのに)

奴隷少女(私にどんな酷いことをしても、誰も何も文句を言わないのに)

男「……ううむ、そうだ」

男「アレルギーとかあるかな。食べると具合がわるくなるものとか」

奴隷少女「……」

男「……それはだんまりだと困るんだけど」あはは

……

男「はい、ここが僕の家」

男「これから君が暫くの間過ごす、君の家でもある」

奴隷少女「……」

奴隷少女(おおきい。ここ、全部掃除とか、させられるのかな)

奴隷少女(出来なきゃ、叩かれたりするのかな)

奴隷少女(夜になったら、酷いことされるのかな)

奴隷少女(……あの軍人さんみたいに、ひどいことするのかな)

男「さて、色々案内しなきゃね」

奴隷少女「……」じゃらり

……

男「……で、ここが風呂」

奴隷少女「……」

奴隷少女(あんまり、高そうなものはなかった)

奴隷少女(いや、しっかりしたテーブルとか、椅子とか)

奴隷少女(水道が通ってるだけで十分なんだけど)

男「まず君に綺麗にしてもらいたいのは」

男「自分自身の身体だ」

奴隷少女「……っえ」

男「いや、暫く風呂に入ってないか、水浴びだけだろ?」

男「そのままだと衛生的に問題があるし」

奴隷少女(……ああ、家が汚れないように、ね)

男「それに、僕は平気だけど、人によっては見ただけで嫌な気になるかもしれないからね」

奴隷少女(……どうだか)


男「じゃあほら、脱いで」

奴隷少女「……」

男「……?」

奴隷少女「ぁ、の」

奴隷少女「ひとりで、できますから」

男「いや、僕が洗う」

奴隷少女「そん、な」

男「――僕が、洗う」ぐいっ

奴隷少女(……ああ、やっぱり、こうなる)

奴隷少女「……は、ぃ」

男「よし、いい子だ」


奴隷少女「……」パサッ

奴隷少女(……頭と腕を通せるだけの、ぬのきれ一枚)

奴隷少女(あるとないとじゃ、すごくちがう)ブルッ

男「……さて、と」

男「『熱上昇』、と」キィン

奴隷少女「……?」

男「魔法だよ。君の国では発達してなかったのかな」

奴隷少女(……あ、浴槽から、湯気が)

男「で、『効果停止』『保温』と」キィィッ

男「じゃあまず、湯船に入る前に身体を洗おうか」

奴隷少女「……っ」


男「じゃあ、背中から」すっ

奴隷少女「……」

奴隷少女(……布に、石鹸をつけて、こすられてる)

奴隷少女(柔らかい布。力は、あんまり強くない)

奴隷少女(でも、やっぱり)

奴隷少女「……ぃ、ゃ」ふるふる

男「絶えろ」

奴隷少女「……はい」ぎりっ

男「よし、そのままそのまま」ごし ごし


男「じゃあ次、前」

奴隷少女「……ひ、ぅ」

奴隷少女「……は、ぃ」すっ

男「よしよし、いいね」ごしっ

奴隷少女「……う、ぁ」

奴隷少女(肩、胸、おなか、股)

奴隷少女(やだ、やだやだやだやだ……!)かたかたかたかた

男「……む」ぴくっ

奴隷少女「ひっ!?」びくっ

男「……邪魔だな、足かせ」チャリッ

男「おりゃ」カチャッ カシャン

奴隷少女「……、え?」

奴隷少女(足かせ、はずれ、て)

男「こうしないと足首が洗えない」ごっしごっし


奴隷少女「な、なんで、あし」

男「え? ああ、君と一緒に鍵も買ったから」

男「奴隷を買うとついてくるもんだよ。最も、あくまで所有権を示すためのものらしいけど」ごっしごし

男「はい、足の裏まで終わり」ざばー

奴隷少女「わぷっ!」

男「次、頭ね」ざばー わしわし

奴隷少女「……」

奴隷少女(……たしかに、私じゃあ)

奴隷少女(この人を振り切って逃げるなんて、できないけど)

奴隷少女(こんなに、簡単に、外して)


奴隷少女「……」ちゃぷん

奴隷少女(一通り洗われて、湯船にいるように言われて)

奴隷少女(……足かせを、外したまま)

奴隷少女「……でも、すっきりは、した」

奴隷少女(身体、べたべただったし)

奴隷少女(くまなく触られたけど、……それ以上は、何にもなかったし)ちゃぷ

奴隷少女「なん、なのかな、あのひと」

男「おまたせー」がちゃり

奴隷少女「っひ!」びっくぅ

男「何だ、どうしたんだ」

……

男「よし、綺麗になった」

男「あとこれ、足かせ」

奴隷少女(……そう、だよね)

奴隷少女(やっぱり、つけなおすよね……、って)

男「鍵部分以外は皮と布製。鎖を引きずられても床に傷がつくし」

男「あと冷たいし、痛いだろ前の奴だと」かちゃり

奴隷少女(……そりゃ、そうだったけど)

奴隷少女(……やわら、かい)きゅ きゅ

男「……ふむ」

男「気に入ってくれたかな」にっこり


男「あと、今日からこれを着てね」

奴隷少女「……はい」

奴隷少女(ぬのきれじゃ、ない)

奴隷少女(白い、ワンピース)

奴隷少女(ちいさな、花の刺繍)

奴隷少女「あ、あの、こんな、いいもの」

男「いいもの、か。嬉しいね」

男「それ、僕が縫ったんだよ」

奴隷少女「……っえ」

男「これくらいはできるようになってもらうから、そのつもりでね」

調教師「車で言えばどのくらいだ?」

少女「100km/hくらいです…」

調教師「100km/hじゃねえ車種で言え車種ぅ!」


男「さて、早速だけど」

男「――調教を、はじめる」

奴隷少女「――、!?」ぞわぁっ

奴隷少女(何で、急に、空気が)

奴隷少女「……あ、っ、あ」がたがたがたがたがた

男「簡単だ。部屋の掃除の仕方を教える」

男「ついてこい」ごん ごん ごん

奴隷少女「……っ」ひた ひた ひた

男「……」

……

奴隷少女(っ、ほこり、凄い)

奴隷少女(蜘蛛の巣も張ってるし)

奴隷少女(……でも、商人さんのところよりは、ましかな)

男「掃除の基本は、上から順に行うことだ」

男「まず蜘蛛の巣を片付け、天井を掃く」

男「本来は天井も拭きたいところだが、埃以外の汚れは無いから省略しよう」ざっざっ

奴隷少女(……自分でやるんだ、それ)

男「……」ざっざっざっざっ

奴隷少女「……」じっ


男「次に壁と窓、最後に床、と行う」ばばばっ

男「壁と窓は、拭き掃除の前に必ず掃き掃除を行う」ざざざざっ

男「拭き掃除だけで済ませようとすると、埃が球になってしまうからな」

男「掃き掃除であらかた埃を除去する必要がある」さっさっ

奴隷少女「……」

男「無論、拭き掃除の際は角まできっちりと拭くこと」

男「角に向かって雑巾を突き出すより、角においた雑巾を引き寄せるように拭くといい」

男「角に埃を押し込んでしまっては掃除にはならない」ふきふき

奴隷少女(……しっかり、きかなきゃ、しかられるよね)

……

男「以上だ」

奴隷少女「……」

奴隷少女(結局、何も、しなかった)

奴隷少女(でも一人で、家具とかないけど、部屋をこんなに早く掃除できるんだ)

男「お前が掃除するのは隣の部屋だ」

男「この部屋と同様、家具は無い」

男「手順どおり、やってもらう」

男「完璧に掃除できるまで終わらんぞ」

奴隷少女「……はい」

……

奴隷少女「……」ふーっ

男「……」

奴隷少女(ちゃんと部屋の天井から壁、床の順にやった)

奴隷少女(やり方も教えてもらったとおりにできた)

奴隷少女(……天井にほうきが届きにくいところ以外は、あんまり難しいこともなかったから)

奴隷少女(ちょっと時間かかったけど、たぶん、できた)

男「……良し」

男「じゃあ今日から、ここが君の部屋だ」にっこり

奴隷少女「……っえ」

奴隷少女(部屋って、なにも、ない)


男「……何、どうかしたの?」

奴隷少女「あ、あの、どこで、ねれば」

男「床」

奴隷少女「……ぁ」

奴隷少女(そう、だよね)

奴隷少女(わたし、もう、ものだからね)

奴隷少女「は、い」

男「うん。じゃあご飯にしようか」

男「一仕事終わった後だからね。時間的におなかも減っているだろうし」

……

男「はい、どうぞ」

奴隷少女「……」

奴隷少女(コッペパン半分と、クズ野菜のスープ)

奴隷少女(対して、男さんは)

奴隷少女(パン、焼いたお肉、サラダ、スープ、ワイン)

奴隷少女(……ぜんぶ、きらきら、かがやいて、みえる)もそ もそ

男「……」

……

男「さて、今日はベッドを綺麗にしてもらおうか」

奴隷少女「……」

奴隷少女(ほこりっぽい納屋)

奴隷少女(目の前にはベッドがあるけど、その奥に、いすとか、机とか、見える)

男「広い桶の中で石鹸水を作り、ベッドパットを入れて踏み洗いを行う」

男「――やってみろ」ぞわぁっ

奴隷少女「――っ、はい」きゅっ

奴隷少女(ええと、案内してもらったときに井戸を見つけたから)

奴隷少女(そこで水を汲んで)

奴隷少女(石鹸水を作って――)ぶつぶつ

男「……」

……

奴隷少女「……ぅ」

奴隷少女(足、いたい)

奴隷少女(あの後、すすいで、さらに毛布もおなじようにやったから)

奴隷少女(すっかり、冷たくなってる)

男「――よし、干し終えたな」

男「ちなみに、誰かに見られているときは手で揉み洗いしろ」

男「雇い主の寝具を足蹴にするとは何様だ、と思われることもある」

奴隷少女「……はい」

男「では、乾くまでの間に骨組みも掃除してしまおう」

男「壁や床と同様、軽く埃を取ってから濡れ拭き、乾拭きだ」

奴隷少女「……はい」

……

奴隷少女「……」ぽん ぽん

男「乾いたベッドパットは十分に叩くこと」

男「それが足りていないと、その分お前の尻が叩かれることになる」

奴隷少女「……はい」ぼん ぼん

男「それが終わったらベッドとベッドパット、毛布を屋敷に――、あ」

奴隷少女「……?」

男「……、枕、わすれてた」

奴隷少女(……ああ、また水を汲んで洗うのか)

男「ええい面倒くさい。今日はおまけだ」

男「『妖精召喚』『使役』『自動翻訳』」キィィィン

奴隷少女「……っ!?」

奴隷少女(ひかりが、たくさん)

男「妖精たち、納屋から枕持ってきて洗え」

男「やり方はいつもどおりで構わん」

奴隷少女(……あ、とんでいった)

男「……手が止まってるぞ」

奴隷少女「っあ、はいっ!」ぼふぼふ

奴隷少女(……ちょっと、意外)

奴隷少女(この人も、ミスとか、するんだ)

男「そんなものかな。じゃあ運ぶぞ」

男「といっても、骨組みは流石に大きいから二人で運ぶが」

奴隷少女「……はいっ」

……

奴隷少女(運んで、きたは、いいものの)

奴隷少女「あ、あの、ここでいいんですか」

男「うん」

奴隷少女(……私の、部屋、なんだけど)

男「あとは自由に使っていいぞ」

奴隷少女「……!」

男「ほら、分かったらとっとと組み立てろ」

奴隷少女「はいっ!」

男「今日は他にも教えることがあるからな。さっさとやれ」


奴隷少女(ああ、今日から固い床じゃない)

奴隷少女(ちゃんと毛布もあるベッドで、寝られる)

男「それが終わったら料理を教えよう」

奴隷少女「はいっ」

奴隷少女(……もしかしたら)

奴隷少女(教えてもらった料理を作れれば、それを食べてもいいって言われるかも)

奴隷少女(がんばんなきゃ!)ぱたぱたぱた

男「……あまり焦るな。静かにやれ」

奴隷少女「っ、あ、ごめんなさい」

男「……」

……

男「さて」

男「一通りの食材は取り揃えてはいるが、知ってのとおり肉は高価だ」

男「海が近くにあれば魚介も使えるが、基本は穀類と野菜を使う」

奴隷少女「……」

男「肉は主に鶏肉か豚肉。牛は他に仕事があるから肉にはできない」

男「……たまに食卓に並んでも、使い物にならなくなった老牛だ」

男「固くて美味いものではないな」

奴隷少女「……」

奴隷少女(牛は、使い物にならなくなったら、食べられる)

奴隷少女(私は、使い物にならなくなったら、どうなるんだろう)

男「……」

男「さて、ポタージュでも作るか」

男「素材を煮込んでブイヨンを作る。本来であればコンソメまでやってしまいたいところだが」

奴隷少女「……」

――

わっしわっし

奴隷少女(それから、いろんなことを)

ごしごし

奴隷少女(掃除も、洗濯も、料理も、洋裁も)

あわあわ

奴隷少女(基本的なことは全部勉強して、いっぱい褒めてもらって)

奴隷少女(部屋にも物が増えてきて)

奴隷少女(……なんか、幸せかも、しれない)

男「流すぞ」ばしゃあ

奴隷少女「……」ぷるぷる

男「……慣れてきた?」

奴隷少女(そういえば、一緒にお風呂に入るのも、いやじゃなくなってきた)


男「……」

男「……なら、そろそろ、必要か」がたり

奴隷少女「……?」

男「――調教を始める」

奴隷少女「……っ!」ぞくっ

奴隷少女(この人は、わるいひとじゃない、のに)

奴隷少女(これだけは、すごく、こわい)

男「奴隷が使用人と大きく異なる点は」

男「何をされても、だれも守ってくれないところにある」

男「……だから、何をされても、いいようにしていなければならない」


奴隷少女「それ、って」

男「……ああ」

男「性的な、奉仕だ」

奴隷少女「――っ、ぅあ」

奴隷少女(あの、攻めてきた、軍人さんみたいに)

奴隷少女(いたいこと、いやなこと、いっぱい)

男「……すまない」

男「君がそれを嫌だと思うのは分かっている。ただ、必要なんだ」

男「雇い主に何をされてもいいように、ゆっくり慣らす必要があるんだ」

男「でなければ、君は、壊れてしまう」きゅっ


奴隷少女「――、ぁ」

奴隷少女(男さん、服、着てるのに)

奴隷少女(私を抱きしめたら、濡れちゃうのに)

奴隷少女(――あった、かい)

奴隷少女(……いやらしいことも、わたしのため)

奴隷少女(こんなに私のためにいろいろしてくれてるのに、私は何もできない)

奴隷少女「……は、い」

奴隷少女(なら、わがままなんか、いってられない)

奴隷少女「よろしく、おねがいします」

奴隷少女(せめて、言うことを、きかなきゃ)

……

奴隷少女「……」はーっ はーっ

男「我慢してくれて、ありがとう」

男「辛かったな、ごめんな」なで なで

奴隷少女「……」

奴隷少女(はじめは、つらくて、こわかったけど)

奴隷少女(さいごの、ほうは)

奴隷少女(――っ)かぁっ

男「……」

男「軽く流して、出ようか」

男「これからも、慣らすために、こういうことをしていく」

奴隷少女「……は、い」

奴隷少女(逆らえないから。私は奴隷だから、こうやって頷いてるのであって)

奴隷少女(してほしいとか、そういうわけじゃ、ない)

……

男「今日の調教は終わり」ことっ

男「コーンスープだよ。ちょっと暖まってから寝るといい」

奴隷少女「あ、りがとう、ございます」

奴隷少女(……あったかい)

奴隷少女(さっきも、その)

奴隷少女(ゆっくり、やさしく、してくれたし)

奴隷少女(普段から、調教のとき以外は凄く優しい人だし)こくっ

奴隷少女(……ずっと、この人の家で、暮らしたい)

男「……」

……

男「……うん。上手になったな」

奴隷少女「ぷぁ、ありがとう、ございます」

男「……なら、明日だな」

奴隷少女「……?」

男「君は十分に調教を受けた。求められる奉仕を完璧にこなせるだろう」

奴隷少女「……え、あ、え?」

男「君を商人に売りなおすよ。そういう契約だ」

奴隷少女「……ぅあ」

奴隷少女(ああ、でも)

奴隷少女(わたしは、そういういきものなんだ)

奴隷少女(どうなっても、どうにもできない)


奴隷少女「あ、あの、わたし」

奴隷少女(……でも)

奴隷少女(離れたくない、あそこには戻りたくない……!)

男「……分かってくれ」

男「君が、この国で、生きるには」

男「奴隷であるしか、無いんだ」

奴隷少女「……は、ぃ」ぽろっ

奴隷少女「……ぅ、ええええ」ぼろぼろ

男「……けど」

男「君の価値は、前と比べて格段に良くなっている」

男「品のない小銭持ちには買えない価値だ」

奴隷少女「……えっ、ぐっ」ぐすっ


男「……ものとして扱われるかもしれないけど」

男「それでも、酷くは扱わないだろう」

男「だから、安心して欲しい」

男「商人にも、君の価値はわかるだろうから、悪くはしないよ」

奴隷少女(……そっか)

奴隷少女(たしか、この人はあまり高くは私を売らない予定だった)

奴隷少女(それなのに、今までこんなに良くして、私を育ててくれたのは)

奴隷少女(私を立派にして、いいところに売られるようにするためだったんだ)

奴隷少女(……私のために、やってくれたんだ)

男「……明日の朝、市場に行くよ」

男「今日は調教は無し。自由にしてくれ。して欲しいことがあったら、言ってくれ」

奴隷少女「……あ、りがと、ござ、ます」ぐすっ


男「……それと、これを」すっ

奴隷少女「っ、ぇ、くびかざ、り?」

奴隷少女(緑色で、不思議な模様が、たくさんついてる)

男「……これだけは、商人のところに行っても、売られても」

男「できるだけ、手放さないでいてくれ」きゅっ

奴隷少女(……おまもり、かな)

奴隷少女「……ありがとうございます」

奴隷少女「大切に、します」きゅっ

奴隷少女(……はなれたく、ない、なぁ)


……ゴンゴン

奴隷少女(……ノック?)

男「僕が出る」ガチャリ

女「……」

奴隷少女(ローブのフードを被ってるけど)

奴隷少女(きれいな、女の人)

男「やあ、君か。久しぶりだな」

女「……相変わらずの減らず口ですね、貴方も」

男「……奴隷少女、部屋に戻っていてくれ」

男「ちょっと、この人と話があるから」

ーーーー

男「さて、お茶をいれよう」

女「お構いなく。話をしに来ただけですので」

男「連れないな。僕と君の仲だろうに」

男「共に過ごした数年間はもうなかったことになってしまったのかい?」

男「……それと、施しは受けるのが礼儀だと思うんだけど」

女「……仕方ありませんね。では、一杯だけ、紅茶を」

男「ありがとう。少し待っててくれ」にこっ

女「……」はぁ

女「……本当、つかみどころがない」ぼそり


男「はい、どうぞ」すっ

女「……」つつっ

女「いい香りですね。相変わらず、器用な様で」

男「うん。大抵のことはこなせるよ」

男「だからこそ、この仕事を始めたんだけど」

女「……貴方の様子を見ようと、こっそりこの国に来て」

女「街であなたを見つけた時、奴隷を連れていましたね」

男「おや、あの時かな」

男「声をかけてくれればよかったのに」

女「失望して声も出ませんでしたよ」

女「一体、何をしているんですか」


男「調教師だよ。金にならない商品を磨いて価値を出す仕事だ」

女「……商品?」

女「人を、なんだと思っているのですか!」ガタッ

男「彼女は今、人ではない」

男「人でない彼女が可能な限り人として扱われるためにも、大切なことだよ」

女「……理解できません」

女「奴隷制がいかに野蛮か訴え、国を変えるために尽くすべきです」

男「首をはねられて終わりだろうね」

女「……それほど、この国は腐敗しているのですか」


男「ああ。腐った国で生きるには腐ったふりをしなければいけないのさ」

女「……こちらに亡命する、というのはいかがでしょう」

女「今はどうあれ、貴方にはかつて残した功績があります。私も上には掛け合いますのでーー」

男「おや、君が救いたいのは僕なのか」

女「……」

男「君がしにきた話はこれじゃあ無いだろう?」

女「……ええ、そうでした」

女「じきに、この国は終わりを迎え」

女「同時に、奴隷制も終わりを迎えるでしょう」

男「神託かい?」

女「いいえ、予告です」

女「……早めに亡命するか、こんな仕事は辞めた方がいいかと」

男「悪いが、僕も色々考えてやっているのでね」

男「でも、わざわざ忠告にきてくれたのは感謝するよ」にっこり


女「……そうですか」ガタッ

男「もう帰るのかい?」

女「ええ。必要なことは済ませましたから」

女「……ああ、そうそう」

女「彼女も、貴女を心配していましたよ」

男「へぇ。君の報告次第で、あの子も僕に失望するのかな」

女「いえ、私は事実のみ報告します」

女「最も、多少脚色を加えようと、彼女は都合のいいように解釈するでしょうけど」

男「上に立つには向かない性格だな、相変わらず。いや、上に立つからこそ許される性格なのか」

女「……さて、どうだか」

女「それでは、ごきげんよう」

男「次に会う時は、君の国で会うことになるだろうね」

男「僕はここを離れる気はないけど。面倒だし」

女「……」ガチャ バタン

ーーーー

奴隷少女「あ、あの」

奴隷少女「先ほどの、方は?」

男「ああ、昔の友達だよ」

男「僕のことが嫌いだから、もう帰っちゃったけどね」

奴隷少女(……この人のことが、嫌いな人なんて、いるのかな)

奴隷少女「そう、でしたか」

男「……さて、何をしようか」

男「何でも答えるし、何でもするよ」

奴隷少女「いっ、いえいえ、そんな」

男「あはは、突然言われてもわかんないか」

男「……じゃ、僕なりに君をもてなそう」

……

男「はい、召し上がれ」

奴隷少女「……これ、って」

奴隷少女(懐かしい。すごく、懐かしい)

奴隷少女(間違いない、これって)

男「よかった。当たりみたいだ」

奴隷少女「ーーはい、私の、故郷の、料理」

奴隷少女「でも、どうして」

男「勝手に調べさせてもらったよ」

男「……君の国は滅んでも、君の心には、まだ故郷はある」

男「悲観せずに、懐かしみながら、生きて欲しい」

奴隷少女「……はいっ」ぐすっ

男「……」

……

男「何度かお使いには行かせていたけど、二人で街に出るのは初めてだね」

奴隷少女「はい。その、それに、こっちまで来るのも初めてです」

奴隷少女(いつもは市場ばかりだったけど、こんな、おしゃれなところには来たことなかったし)

男「……まあ、流石に服を買うとかは、後のことを考えると難しいけど」

男「一緒に見て歩いて、最後にちょっといいお菓子でも食べようか」

奴隷少女「……ありがとうございますっ!」

奴隷少女(……もう、この人とは、会えなくなってしまう)

奴隷少女(ちょっと、勇気がいるけど)

奴隷少女(最後くらい。……甘えても、いいよね)

……

奴隷少女(……もう、よる)

奴隷少女(今日が、終わって、しまう)

男「……楽しかったかい?」

奴隷少女「……はい」

奴隷少女(楽しかった。それは嘘じゃない)

奴隷少女(でも、足りない)

奴隷少女(もっと、男さんと、一緒にいたい)

奴隷少女(でも、それを言ってしまうと、男さんが、こまってしまう)

男「……」

奴隷少女「……今日は、本当に、ありがとうございました」ぺこり

奴隷少女(……っ、あ)

奴隷少女(顔、あげられなくなった)

奴隷少女(涙が、こみ上げてきてるのが、わかる)


男「……じゃあ、おやすみ」すっ

奴隷少女(……あ、ぅ)

奴隷少女(待って。待って)

奴隷少女(待って待ってまってまって……!)

奴隷少女「……っ!」ばっ

男「っ、と」

奴隷少女「……まだ、今日ですよね」

奴隷少女「まだ、お願い、聞いてくれますよね」

男「……」

男「もちろん。何をして欲しい」

奴隷少女「……わたし、と」

……

奴隷少女「……」

奴隷少女(ああ、やってしまった)

奴隷少女(一緒に寝て、なんて、こどものような)

男「……不安かい?」

奴隷少女「……少し」キュッ

奴隷少女(ああもういいや、最後なんだ)

奴隷少女(全部、さらけ出してしまえ)

奴隷少女「本当は、もっと、男さんと一緒に、いたいです」

男「……」

男「ありがとう。すごく嬉しいよ」ギュッ

奴隷少女(……あ)

奴隷少女(あったかい、なあ)

奴隷少女(この時が、永遠なら、いいのに)


男「……」とん とん

奴隷少女(あやすように、背中を叩いてくれている)

奴隷少女(……でも、足りない)

奴隷少女(もっと、触れたい)

奴隷少女(服越しなんかじゃなくて)

奴隷少女(肌だけでも足りなくて)

奴隷少女(もっと、奥で)

奴隷少女「男、さん」

男「うん?」

奴隷少女「……私と、寝てください」するり

男「……」

男「……うん」だきっ

……

奴隷少女「……ん、ぅ」

男「おはよう」

奴隷少女「っ、あ、おはよ、ございます」

奴隷少女(……そうだった。昨夜は、男さんと)

男「……日付け変わっちゃったな」にこっ

奴隷少女「!」さぁっ

男「でも、出るまでは一緒に居よう」ぎゅっ

奴隷少女「……はい」かぁっ

奴隷少女(やっぱり、この人のことは)

奴隷少女(ご主人様とか、先生だとは、それだけとは、思えない)きゅっ

奴隷少女(……でも、覚悟、きめなきゃ)


奴隷少女「男さん、私、売られても頑張ります」

奴隷少女「男さんに教えていただいた通り、精一杯仕えていきます」

男「……大丈夫か」

奴隷少女「はい。昨日も、今も、散々甘えさせていただいてますから」

奴隷少女「もう、不安はありません」

奴隷少女「だから、心配しないでくださいね」

奴隷少女(……最後のは、ちょっと、嘘だけど)

男「……」

男「よし。じゃあご飯にして、支度しようか」にこっ

奴隷少女「はいっ!」

……

男「おはようございます、商人さん」

商人「へいいらっしゃ、おお、あんたか」

商人「今日はえらくいい女連れてるじゃねえか」

奴隷少女「え、あ、その」

男「……素敵になったでしょう?」

商人「……! まさか、この前のガキか!?」

商人「そういやそんなツラしてたが、……驚いた!」

奴隷少女「あんまり、見た目は変わってないと思うのですが」

商人「仕事柄、目は利くほうだからわかるぞ。こいつはよく売れるぞ。金貨数枚で売ったらその場でオークションが始まっちまうぜ」

男「商人さんが良い目をしていて助かりました」

男「是非、高値をつけてください」にっこり

奴隷少女(……私を、いいところにいかせるため)


商人「もちろんだ。高値をつけた方が、それに見あった高級感が出る」

商人「……あんたから買い取る金額も弾ませてもらうぜ」

男「ありがとうございます。正直、教育に張り切りすぎて赤字になっちゃうところで」

商人「ははは! ……あん? その足枷と首飾りは?」

奴隷少女「っ!」びくっ

奴隷少女(売られる時、とられちゃう、かも)

男「足枷は信頼の証です。こんな足枷でも、逃げようとすることはないという証明でございます」

男「首飾りは、そうですね。私が調教した証ということに。問題があれば責任を取りますよ」

商人「アフターケアも万全ってことか。いいじゃねえか!」

商人「よし、金貨5枚でどうだ!」

男「ありがとうございます」

奴隷少女「……」

奴隷少女(銀貨十枚にもならなかった私が、こんな高値で売られる)

奴隷少女(認められたような気分で嬉しい、けど)


男「……」

男「すみません、最後に少し、時間をください」

商人「あん?」

男「仮とはいえ、先ほどまで僕のものでしたのでね」

男「愛着も湧きますよ」

商人「しょーがねーな。すぐ済ませろよ?」にまぁ

男「ありがとうございます」

男「……奴隷少女、ちょっとこっちへ」

奴隷少女「……はいっ」

奴隷少女(これが、ほんとに、最後)

奴隷少女(……愛着、持ってくれてるんだ)ふふっ

……

男「ここなら、人目もないね」

奴隷少女「……」

奴隷少女(ああ、また、ないてしまう)

奴隷少女(だめだ、まともに、かお、みれない)

男「……」

男「奴隷少女、こっちを向いて」

奴隷少女「……、?」ふっ

男「……」ちゅっ

奴隷少女「む、!?」

奴隷少女(あ、くちびる、きす)

奴隷少女(やわらかくて、やさしくて)

男「……ぷは」

男「いってらっしゃい」にこっ

奴隷少女「……はい」きゅっ

……

商人「うし、あいつは後ろに下げといたぜ」

商人「……いやあ、儲けだ!」げらげら

男「それは何よりでございます」

商人「よっしゃ、早速次のも頼むぞ」

商人「何体までやれるんだ?」

男「そうですね。あの子並みのクオリティであれば2人までですが」

男「多少品質が落ちても構わないのであれば、15人程度なら」

商人「なら、7体頼むぞ」

商人「亜人が数体入ったんでな、そいつも任せるぜ」

男「……おや、珍しい」


商人「いや、そうでもねえよ」

商人「魔王が滅んでからは、魔物共も弱っちくなったからな」

商人「亜人もそれ以外に生きる道はねえだろうし、本当、勇者様々だな!」げらげら

男「……」

男「亜人はそのままでも高く売れますからね。期待してください」

商人「おう、楽しみにしてるぜ」

商人「……これからも仲良くしていこうじゃねえか」

男「ありがとうございます」にっこり

商人「ああ、もうあんたにしか頼めねえ!」げらげらげらげら

ーーー

男(あれから)

男(たくさんの奴隷を育て、売ってきた)

男(どの子も立派に育てることができたし、みんな僕に懐いた)

男(……さて)

商人「おいあんた! やべえぞ!」バタン

男(……来た!)

商人「国王が殺されたらしい!」

商人「おまけに隣国も攻めてきてる! もうこの国は滅ぼされるぞ!」

男「……隣国って、神聖王国でしょう?」

男「何も心配いりませんよ、商人さん」


商人「……どういうことだよ」

男「いいですか、商人さん」

男「あの国は正義の国ですから、国民にまで酷いことはしません」

男「支配者を軒並み処刑して、穢れを浄化するだけですよ」

商人「でもよぉ、あの国は奴隷制禁止だろ?」

商人「こんな商売だし、俺たちも……」

男「商人さん、最近は高貴な方にしか売ってませんよね」

商人「……まあ、あんたに任せた奴しか売ってないからな」

商人「自然と高い奴隷しか売らなくなったが、それがどうした」

男「高い奴隷ですから、大切にしますよね?」

商人「……! まさか!」

男「全部、あの子たちのためだということにしてしまえばいいんですよ」にまぁ

男「何をしても、あの子たちは奴隷になるしかないんですから」

男「奴隷として最高の暮らしをさせるため、と言ってしまえば」


商人「なるほど、そうすれば」

商人「俺もお前も、処刑されずにすむかもしれん!」

男「それと、一応コネがありますので」

男「私は優遇されるでしょうし、似たような状況である商人さんに厳しくすると贔屓がばれますからね」

商人「……お前、すげえな!」

男「ははは、いろいろありまして」

男「口裏、合わせときましょうか」

商人「おう、準備は早い方がいいからな!」

ーーー

ゴンゴン

男「はいはい、どなたですか」ガチャ

女「……お久しぶりです」

男「久しぶり。……僧侶」

?「や、やあ」

男「それと、女騎士も」にこっ

女騎士「……!」ぱあっ

僧侶(女)「……相変わらずですね、魔法使い」

魔法使い(男)「あっはは! 僧侶も厳しいな」

魔法使い「こうして揃うのは……」

女騎士「ああ、魔王討伐後のパーティ以来だな!」にこにこ


魔法使い「しかし女騎士、君が国を治めるとは思わなかったよ」

女騎士「ああ。本来は勇者の仕事だと思うのだが」

魔法使い「神聖王国で魔族と戦った時は、勇者は毒で参ってたからな」

女騎士「うむ。それで英雄視されてしまったみたいで」はぁ

魔法使い「……それに、勇者は今、どこにいるかもわからないし」

僧侶「……」

魔法使い「全く、僧侶を置いて何をやっているのやら」

僧侶「……何でそこで私が出てくるのですか」

魔法使い「おや、心変わり?」

僧侶「私は神の使いですので、最初からそんな気はありません」しれっ

魔法使い「……それはそうと、裁判の時はありがとな、僧侶」

僧侶「……私は正しく情報を伝えただけですので」ふいっ


女騎士「ああ。私も感動したぞ!」

女騎士「最初、この腐った国で奴隷を調教していると聞いた時は何があったのかと思ったが」

女騎士「君なりの方法で、この国にあった方法で人々を救おうとしていたんだな!」

魔法使い「ああ。正義にも色々あるからね」

魔法使い「でも、君の国が正してくれなければ、奴隷たちの扱いは根本的には変わらなかっただろう」

魔法使い「本当に、感謝してる」

女騎士「いっ、いや、私は私にできることをしたまでであってな」てれてれ

魔法使い「僕は奴隷としての幸せしか与えられなかったけど、君はそこから解放できた」

魔法使い「奴隷制を禁止し、かつての奴隷たちを人間として認めることは」

魔法使い「僕にはできないことだからね」


僧侶「……魔法使い」

僧侶「本当に、あなたの言葉は真実ですか?」

魔法使い「……」

女騎士「何だ、僧侶。どういうことだ?」

僧侶「ただ高級奴隷を作って売って儲けようとしただけで、理由は後付けではないのか、と言っているのです」

女騎士「……な、何を言うんだ! いくら僧侶でも言っていいことと悪いことが」

ゴンゴン

魔法使い「……」

魔法使い「はい、どなたですか」たたっ

僧侶「話はまだ終わってな……」

ガチャリ

(奴隷)少女「……ぁ」

男「……やあ! 懐かしいな」

少女「おひさし、ぶりです」かぁっ

男「もう奴隷じゃなくなったんだよね。おめでとう!」

少女「……それ、なのですが」

少女「……どうしていいのか、分からないんです」

男「……」

男「どういうことかな?」

少女「私は、奴隷でしかなかったので」

少女「どうやって、いきれば、いいのか」

少女「……たすけて、ください」


少女「もう、頼れるひとが」

魔法使い「……いいよ。僕のところへおいで」

少女「……ありがとうございますっ」ぱあっ

少女「それで、あの」

少女「……外にも」

魔法使い「……」

ガチャリ

幼女「せん、せえ」

獣人「……あ、マスターっ」

エルフ「……ごしゅじん、さま」

ゾロゾロゾロ

魔法使い「……ははっ、皆いる」

魔法使い(思った以上に、うまく行ったな)


女騎士「これは、凄いな」ヒョイ

女騎士「魔法使いの人柄によるものとしか考えられない」

女騎士「そうは思わないかな、僧侶」

僧侶「……ええ」

魔法使い「どうしたもんかな、女騎士」

女騎士「うむ。……ちょうどいい」

女騎士「今日、こっそり君を訪ねたのはな、魔法使い」

女騎士「……君に、城に来て欲しかったからなんだ」

魔法使い「……」

女騎士「君と一緒に、国をより良くしていきたい」

女騎士「城なら、この子達の面倒も見られる」

女騎士「どう、だろうか?」


魔法使い「……コネでどうの、っていうのは好きじゃないんだけど」

魔法使い「この子達のこともあるから、甘えさせてもらうよ、女騎士」にこっ

女騎士「……そうか!」がしっ

女騎士「また君と、一緒にいられるんだな!」

魔法使い(……そう、女騎士は、そういうやつだ)

魔法使い(どうしようもなく、……一途に、僕を愛している)

魔法使い(そして上に立つには向いてない。政治をするにも情を絡めるだろう)

魔法使い(僕が何をやっても、僕を信じて、理由をつけてそばにおきたがる)

魔法使い(放っておけば僕も重役。……でも、それじゃたりない)

魔法使い(そこで、これだ)

魔法使い(奴隷制のある国で調教師をやる。奴隷を育てる)

魔法使い(……僕の、奴隷を作る)


魔法使い(奴隷としていい生活、とはいえ、俺のところよりは遥かに悪い環境だ)

魔法使い(奴隷たちは苦しい生活の中で度々、たのしいたのしい僕との生活を思い出すだろう)

魔法使い(そして、神聖王国の侵攻)

魔法使い(間違いなくこの国は支配下に収まり、奴隷たちは解放される)

魔法使い(だが、こいつらは奴隷としてしか生きられない)

魔法使い(そういう風に育てた!)

魔法使い(当然僕を頼ってくる奴も多くいるだろう)

魔法使い(めでたく、僕の奴隷となる!)

魔法使い(……最も、奴隷というよりは専属の使用人みたいなものだが)

魔法使い(それでも十分だ)

魔法使い(そばに仕えさせるもよし、他所で働かせて稼がせるもよし)

魔法使い(っははは! たまらない!)

魔法使い(金は女騎士に雇われるだけで十分だが、専属のしもべがいるのは気分がいい!)


女騎士「それで、だな」

魔法使い「ん、なんだい?」

女騎士「……その」もじもじ

女騎士「……っき、君さえよければ、だぞ?」

魔法使い(……おい、待て)

魔法使い(そう都合良く進んでたまるか)

女騎士「……国王に、なってくれないだろうか」ぽっ

僧侶「!?」

魔法使い「……」

魔法使い(……この、乙女が!)

魔法使い(今までよく女王やってこれたな!僧侶のおかげだろうけど!)

女騎士「つまりその、私は女王というより、王妃になって……」

魔法使い(わかってるから黙ってろ)


魔法使い(……しかしどうする!?)

魔法使い(いや王になればより地位が高まる。だが奴隷を作った意味もなくなる)

魔法使い(……性処理でも任せるか? 女騎士になんか言われたら君の負担を抑えたいからとか言えば丸め込めるし)

僧侶「……ち、ちょっと待ってください、女騎士」

女騎士「何だ僧侶。焦りすぎだろうか」

僧侶「……ええと」

僧侶「……戦争直後、敵国だったところに住んでいた男性とご婚姻なさると」

僧侶「そのために攻め込んだようにも見えるのでは」

魔法使い(ねーよ!)

女騎士「……なるほど。それはあるな」

魔法使い(あるのかよ!)

魔法使い(……相変わらず脳みそハッピーだなおい)


女騎士「……やむを得ん」

女騎士「婚姻はまたの機会にしようか」

魔法使い(ああ結婚はすること前提なのな?)

魔法使い(……まあ、いいか)

魔法使い(後々は、国民総奴隷化も考慮しよう)

魔法使い(……それに必要な法と、政治の姿勢について考えながら女騎士との結婚に備えようか)

魔法使い(ちょうど、これだけ奴隷がいるんだ)

魔法使い(既に奴隷化してるからあれだが、俺も勇者パーティの一員)

魔法使い(それの補正と、女王に認められたのとの補正でちょうどいいだろ)

魔法使い(……いろいろ、こいつらで試す)

魔法使い「ああ。僕も残念だけど、来るべき日が早く来るといいな」にこっ

女騎士「……っ!」きゅん

魔法使い(ちょろい)

僧侶「ちょろい」ぼそっ

魔法使い「なかなか言うな」ぼそっ

……

魔法使い「……で、あれよあれよという間に僕は参謀に」

僧侶「私は教会の管理に専念できるようになったわけですが」

魔法使い「……素直だよね、女騎士」

僧侶「貴方とは真逆の存在ですから」

魔法使い「うん。僕はどちらかというと、君と気が合うよ」

僧侶「……ふざけたことを」

魔法使い「人には裏があることを知っているからね」

魔法使い「皆が女騎士みたいな頭していない世界である限り、政治をするには君の方が向いている」

僧侶「……ですが、分かりやすいでしょう。彼女は」

僧侶「感情をすぐ顔と態度と声に出して、嘘はつかずに真っ直ぐ正義で」

僧侶「……上に立つべきではありませんが、先に立つべき人ですよ」


魔法使い「なるほど」

魔法使い「勇者が彼女に惹かれたのも頷けるね」

僧侶「……」

魔法使い「勇者がどこに行ったか、知ってるかい?」

僧侶「……いえ」

魔法使い「そう。僕は知ってる」

僧侶「っ!?」ガタッ

魔法使い「でも教えるのはちょっとね。……君のためにも」

僧侶「教えてください。どこにいるのか、何故あなたが知っているのか」

魔法使い「……決戦の前の晩、僕はこっそりみんなに妖精をつけていた」

魔法使い「魔王の城にもし罠があって、パーティが分断された時でも、スムーズに合流できるように」


魔法使い「そして魔王を倒した後も、暫く魔族の抵抗が続くだろうから」

魔法使い「妖精は付けっ放しにしておいた」

魔法使い「暗殺に備えてね」

僧侶「……あの、つかぬ事をお聞きしますが」

魔法使い「ああ、うん。生活筒抜け」

魔法使い「毎朝のお祈りから寝る前の自慰までしっかり」

僧侶「……! ……!」べしっ

魔法使い「はっはっは」

魔法使い「それで、勇者なんだけど」

魔法使い「……あいつ、一人で魔王の城に行ったんだ」

僧侶「……」ごくっ


魔法使い「……勇者は、魔王が倒れた辺りで、ただ佇んでいたよ」

魔法使い「何か、考えたいことがあったんだろうね」

魔法使い「……この続き、聞きたいか」

僧侶「……はい。どんなものでも、構いません」

魔法使い「……殺された」

僧侶「っ、え」

魔法使い「人間に、殺されたんだ」

僧侶「まもの、じゃ、なく?」

魔法使い「ああ。どこの国の者かは分からないけど」

魔法使い「後ろから、ざっくりと」

僧侶「……何で、そんな」


魔法使い「……勇者は確かに世界を救ったけど」

魔法使い「それをよく思わない人もいるからね」

魔法使い「救われた全体に含まれなかった人たちもいる」

魔法使い「その場合、自分を救ってくれなかった勇者が世界の英雄として扱われるのが憎かったのだろう」

魔法使い「争いから生まれる利益を吸っていた奴もいる」

魔法使い「武器屋、傭兵なんかがそれに当たるんじゃないかな」

僧侶「……でも、それで勇者を憎むのはおかしいじゃありませんか!」

僧侶「勇者は何一つ、悪いことをしていないし」

僧侶「世界の英雄として、魔王を滅ぼし」

僧侶「人類を魔族から救ったではありませんか!」

魔法使い「……正義は、いろいろあるんだよ」

魔法使い「今回の神聖王国による奴隷解放のための侵攻も、貴族にとっては良くない出来事だ」

僧侶「でも、でもっ」ぐすっ


僧侶「……そう、ですよ」

僧侶「なんで助けてくれなかったんですか」

僧侶「貴方の妖精は何をしていたんですか!」

魔法使い「即座に回復させようとしたが、駄目だった」

魔法使い「即死だったんだよ」

魔法使い「魔王を倒し、女神の加護が失われた勇者は、かなり脆くなっていたみたいなんだ」

魔法使い「……旅の時は、不死身めいた生命力だったけど」

僧侶「……なんで、勇者のこと、今まで、黙ってたんですか」

魔法使い「……魔物が殺したならまだしも、勇者を殺したのは人間だ」

魔法使い「折角救われた世界が混乱してしまうかもしれない」

僧侶「……ひっ、ぐぅ」

魔法使い「だから、できるだけ内密に処理したかったんだ」

魔法使い「……ごめん」


魔法使い(……まあ)

魔法使い(妖精で見張ってたのも、人間に殺されたのも、黙ってた理由も本当だけど)

魔法使い(殺したの僕なんだよねー)

魔法使い(魔王の城の前での一人で佇んでるから、これ幸いとさくっと)

魔法使い(妖精を変化させて黒騎士にして斬殺)

魔法使い(召喚したものを変化させるのは誰にも見せたことない)

魔法使い(だから僧侶が気付くわけがない)

魔法使い(……っけけけ)

魔法使い(いやしょーがないよね。僧侶は必要だから)

魔法使い(勇者がしないようなことすると反発してくるし。信仰なのか愛なのか)

魔法使い(……だから、勇者は邪魔なんだ)

魔法使い(僧侶を、具体的には教会を手に入れるために)


魔法使い(僧侶が勇者を心酔する理由として考えられるのは)

魔法使い(女神に選ばれた存在であること、正義感が強い性格であること)

魔法使い(そして旅の最中、前衛で大活躍したことと、世界を救ったこと)

魔法使い(とりあえずそれらが考えられた)

魔法使い(一番は女神に選ばれたことだな。僧侶、とんでもなく敬虔な信者だし)

魔法使い(――だから、女神の加護が既に失われていることを示し)

魔法使い(同時に、それ無しでは全くの無力であることを証明するために、死んでもらった)

魔法使い(人間に殺されたことになってるのも、そのため)

魔法使い(高位の魔族だったら、一対一でなら殺されても自然かもしれないからな)

魔法使い(で、世界を救ったこと。これも実質、世界を救ったのは女神の加護ということになり)

魔法使い(勇者の手柄ではなくなる)


魔法使い「……僧侶」

僧侶「……っく、ぇ、ぅ」ぐすっ

魔法使い(で、正義感)

魔法使い(これはさっき言ったとおり)

魔法使い「勇者が間違っていたとは言わないよ」

魔法使い「ただ、正しさは一つだけじゃないんだ」

魔法使い「必ず相容れないものがある。誰もが満足する世界なんて、今は無い」

僧侶「……」

魔法使い(正義は一つじゃない。ならば、僕のような人間でも)

魔法使い(正義を騙ることはたやすい)

魔法使い(僧侶だって、人間が皆勇者や女騎士みたいに分かりやすいわけじゃないことは分かっている)

魔法使い(……そして、俺も、彼女同様、人間に裏があることをよく理解できている)


魔法使い「……僧侶」

魔法使い「これから俺は、参謀として、この国をよりよいものにしていく」

魔法使い「いや、この世界を、より良い形にしていく」

魔法使い「勇者とは、違った方法だけど、目指すところは一緒だ」

僧侶「……世界の、平和」

魔法使い「ああ」

魔法使い「世界平和だ。相容れぬものに折り合いをつけながらだけれど」

魔法使い「それでも、今より理想的な世界にできるはずだ」

魔法使い「ゆっくり、ゆっくりと」

魔法使い「また僕と一緒に、進んではくれないだろうか」

僧侶「……」


僧侶「……魔法使い」

僧侶「私は、貴方を信じられません」

魔法使い「っ!」

魔法使い(やはり簡単にはいかないか。結構勘がいいほうだからな、こいつも)

僧侶「貴方は、言ったことはやり遂げます」

僧侶「真の目的が何かは別として」

魔法使い(……)

魔法使い「真の目的、って?」

僧侶「例えば」

僧侶「……規模の大きな話になりますが、国民をあの奴隷達のように私物化するとか」

魔法使い(……不味いか?)

魔法使い(……問題があるようなら、この場で始末しなければならないかもしれない)

魔法使い(だがこんな急場凌ぎで殺せば、間違いなくバレる)

魔法使い(……どうする)


僧侶「……しかし」

僧侶「貴方が作る世界は、今よりもいいものであるかもしれない」

魔法使い「……!」

僧侶「目的が何であれ、世界平和は実現されるでしょう」

僧侶「……ですから、分からないんです」

僧侶「貴方についていくべきなのか」

僧侶「……私の権限をもって、貴方を罰するべきか」

魔法使い(……驚いた!)

魔法使い(僧侶、僕を脅そうとしている!)

魔法使い(確かに、時によって教会は国王よりも強い力を持つ)

魔法使い(宗教国家であるこの国ではなおさらだ。異端であるとしてしまえば簡単に処刑できる)

魔法使い(……国王、女王はそう簡単に処刑されないが、今の僕くらいならなんとかなる)


魔法使い(畳み掛けて引きずり込むか?)

魔法使い(いや、無理だ。そんなことでごまかせるほど僧侶は馬鹿じゃない)

魔法使い(……なら)

魔法使い「それなら」

魔法使い「僕が間違わないように、見張っててくれないかな」

僧侶「……」

魔法使い(これなら、どうだろう)

魔法使い(下において支配するのではなく、上を譲る)

魔法使い(もちろん、一時的だけど)

僧侶「……そうですね」

僧侶「ひとまず、そうさせていただきます」

僧侶「貴方がその腹のうちに抱えているものが何なのか、分かるまでは」

……

魔法使い「……はーっ」どさっ

魔法使い(ああ疲れた。けれど、いい疲れだ)

魔法使い(話の通じない馬鹿を相手にしたときの疲れより数段いい)

魔法使い(やっぱり、女騎士よりも僧侶のほうが僕に合っている)

魔法使い(でも聖職者だしなー。メリットを考えるとやっぱり女騎士なんだよ)ごろごろ

魔法使い(……まあ冗談はともかく)ぴたっ

魔法使い(どうしようかな。僧侶と教会)

魔法使い(現状、目をつけられているのは確かだからあんまり派手なことはできない)

魔法使い(暫くはこの国の国民性、文化、歴史、現行法について勉強だな)

魔法使い(後々、政治に使えるし)

コンコン

魔法使い(……ん、こんな夜更けに、来客か)

ガチャリ

少女「……あ、えと、こんばんは」

魔法使い「やあ、少女。城にはなれたかい?」

魔法使い「と言っても、突然だったからそれどころじゃないか」ははっ

少女「い、いえ。仕えていたところも、こんなところでしたので」

魔法使い(……随分高値をつけられたんだな。そうしたの僕だけど)

魔法使い「それは良かった。それで、どうしたんだ。こんな夜更けに」

少女「……何か、お力に、なれないかと」

少女「先程、僧侶さんとお話していらっしゃったとき、その、お困りのようでしたし」

魔法使い「……見てたのか」

少女「……申し訳ございません」

魔法使い(……そういえば、こいつらの使い方も考えなきゃな)

魔法使い(各所の教会に潜入させて――も、気取られるな)

魔法使い(今のところは、教会とは関係ない場所で使うしかない)


魔法使い(……なら)

魔法使い「少女」

少女「はい」

魔法使い「……おいで」すっ

少女「っ、いえ、そんな」かぁっ

魔法使い「っはは、手を出そうってわけじゃないよ」

魔法使い「ただ、少しお話をしたかったんだ」

魔法使い「これまでの、お互いの事とか」

少女「……はい」とことこ

魔法使い(……交流でも、深めておくか)

魔法使い(そんなものは必要ないんだけど、ふりを見せたほうがいい)

魔法使い(もっとも、僧侶の前だけで、とか露骨な真似をすると怪しまれるから)

魔法使い(常にこいつらと親しくする必要があるけど)

……

魔法使い「……よぉし、待てよ」

獣人「……」ソワソワソワソワ

魔法使い「……取ってこぉい!」ブンッ

獣人「ハイッ!」バシィン

魔法使い「その場跳躍で取るのかよ! どんな反射神経だ!」

獣人「マスターの訓練のおかげです!」ハッハッハッハ

獣人「さあ次を!」

魔法使い(……くっ、肩がもうきつい)

魔法使い(自分の身体能力を過信していたか……)

女騎士「ほほう、楽しそうだな」ヒョイッ

女騎士「ほれ、とってこい」ズギュン

獣人「おおおおおお! 投げた瞬間が見えなかったぁぁぁぁあ」ダダダダダダ


魔法使い「……ああ、鍛錬は怠って無いんだな」

女騎士「うむ。国の代表として、だらしない姿は見せられないからな」ふんす

女騎士「……肉の硬い女は嫌だろうか?」うるっ

魔法使い「昼間から何言ってる」

魔法使い(……まあ、あまり邪険にするのも良くない)

魔法使い「……夜、確かめてみるか?」こそっ

女騎士「っ」かぁぁっ

女騎士「なっ、何を、しかたないなあ! これは説教が必要だな! 夜に!」

魔法使い(……ああ、面倒くせぇ)

魔法使い(好みじゃないんだよ。僕は身体も性格も僧侶が好みだ)

魔法使い(必要だからやるけどさ)


僧侶「……」ちらっ

魔法使い「……お。やぁ」

僧侶「……」ふいっ

魔法使い(……そう、二つの意味で必要だ)

魔法使い(無害を装い、善良を演じることで)

魔法使い(僕への不信感を減らす)

魔法使い(警戒も徐々に解かれるだろう)

魔法使い(どんなに説得力のある説明をしようと、僕そのものが信用ならないというなら)

魔法使い(僕そのものの印象をかえればいいだけの話)


魔法使い(……さて)

魔法使い(今後の方針は決まった。あとは焦らず、行動していくのみ)

魔法使い(結構時間はかかるだろうけれど、得るものは大きい)

魔法使い(だから失敗するわけにはいかない)

魔法使い「――さぁ」

魔法使い(たのしい、たのしい)

魔法使い(僕のための)

魔法使い「――世界平和をつくろうじゃないか、女騎士、僧侶」

魔法使い「皆が」

魔法使い(僕の奴隷としての)

魔法使い「最高の幸せを得られる世界を作ろう」

この魔法使い、いつからこんな性格になったんだろう…

おわり。

質問とかあったら受け付けます。




少女と魔法使いはヤったんですか?

>>143
生来こんなんです。

>>145
ヤってます。
処女なら処女のまま売るためにヤらなかったのですが、既に戦火の中で強姦されてるので

もしこのまま魔法使いの思い通りに進んだら魔法使いは誰かとくっつくの?

>>149
表面上は女騎士とくっつきます。


エロかと思いきやシリアスだった、期待とは違う意味で面白かった
過去作があれば教えてほしい

>>152
男「思い出消し屋……?」
から始まるシリーズや、
弟「家には姉と、妹と」
から始まるやつ。
あとは単発のが幾つかありますが、だいたいは酉で検索していただければ出ると思います。

面白かった、乙
魔法使いは元々こういう性格だったの?
あと、魔法使いは中身はどうあれ本当に平和な世界を作ろうとしてる?

>>155
元々こんな性格です。過去の出来事云々関係なく。
平和な世界を作ろうとしている、というより、全ての国民が魔法使いに対し一切不満を抱かず喜んで使役されるような世界を目指してます。結果的に平和。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月08日 (金) 09:57:57   ID: E1HZX2WB

これは面白い!!!!!

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