剣崎「魔法少女……?」(206)
ザァァァァァァァァァ……
「アンデッドはすべて封印した……お前が最後だ……ジョーカー!」
ザアアァァァァァァァァァァ……
「俺とお前は……戦う事でしかわかりあえない!」
ザアアアァァァァァァァァァァァァァァ……
―――8年後
剣崎「……んあっ、寝てた……のか?」
剣崎「いっけね……早く日本から出ないといけないのに」
剣崎「まったく橘さんはドジだよなぁ、変わってなくてよかったけど」
剣崎「でも実験失敗してアンデッド解放だなんて……」
剣崎「……始……」
剣崎「感傷にひたってちゃダメだな。そろそろ海沿いに……」
剣崎「……どこだここ!?」
剣崎「バス乗り間違えたのか……」
剣崎「はぁ……最初から歩けばよかった……」
剣崎「未練がましいこと考えたりするから……」
剣崎「海……海……向こうかな?」
剣崎「適当に歩いていけば大丈夫だろ、たぶん! うん!」
剣崎「……はぁ」
剣崎「でも、日本はいいなぁ。みんな平和に暮らしてて……」
剣崎「……おっといけない」
剣崎「さっさと海外へいくことにしよう」
剣崎「ちょっと日本に未練が無いわけじゃないけど……」
剣崎「このとおり、奇抜な色合いにおおわれた変な道が」
剣崎「……ウェッ?」
剣崎「あ、あれ!? 道に迷ったのか?」
剣崎「おっかしいな、今まで普通の道だったはずなんだけど……」
剣崎「……まぁいいや、さっさと抜けて元の場所に……っ!?」
使い魔「ギュルルルルッ ギュルルッ」
剣崎「な、なんだコイツら……アンデッド、いやトライアル……?」
使い魔「ギュルルルルルルルッ!」バッ
剣崎「うわっ!」
使い魔「ギュルルルッ ギュルルルルルルルッ」
剣崎「あ、危なかった……くそっ、変身……」ゴソゴソ
剣崎「……って、ベルトは返してきたんだったよな」
剣崎「まったく、8年ぶりに変身なんかするからこんなこと思ったりするんだ」
剣崎「……今の俺は……」グッ…
使い魔「ギュルルルルルァッ ギュルッ!?」
パァンパァン!
剣崎「な、なんだ!?」
マミ「大丈夫ですか? 危ないところでしたね」
剣崎「お、女の子? 君こそこんなところにいちゃ危ない! 逃げないと」
マミ「私のことなら心配いりません。下がっていてください……私は専門家ですから」
剣崎「専門家……って、まさか君も仮面ライダーなのか?」
マミ「かめん……? よくわかないですけど、逃げてください!」
剣崎「いや、君みたいな女の子一人じゃ危ない! 君こそ逃げろ!」
マミ「私は大丈夫ですってば、もうっ……えい!」シュルルルルッ
剣崎「うわっ、なんだこれ!? し、しばられ……」
真美「このまま結界をはります。しばらく動かないで待っていてください!」
剣崎「結界ってなんだ? アイツらは? どうして君みたいな女の子が!」
マミ「話はあとです。はぁっ!」バババッ
剣崎「じゅ、銃? どこから……」
マミ「やぁっ!」バンバンバンッ
使い魔「ギュルルルルルッ……」
マミ「たあぁぁっ!」ピョンッ
剣崎「と、跳んだ!?」
マミ「一気に……片付けるわよ!」ブワッ
使い魔「ギュルルルルルル!」
マミ「無限の魔弾!」ドドドドドッ!
剣崎「す、すごい……なんなんだ、あれ……」
マミ「トドメよ! ティロ・フィナーレッ!」 ギュオッ…
ドォン!
剣崎「仮面ライダーじゃないのに、あんな……」
マミ「ふぅ……危ないところでしたね。今回のことは……」
剣崎「待ってくれ! 君はやっぱり仮面ライダーじゃないんだよな?」
マミ「かめんらいだぁ……さっきも聞きましたけれど、まったくわかりません。今回の記憶を」
剣崎「そしてあいつらはなんなんだ!? アンデッドじゃない! そして君も普通の人間じゃないみたいに」
マミ「だ、だから……」
剣崎「だいたいなんなんだ、さっきの格好は? 一瞬で変わったけどそれは」
マミ「も、もうっ! 忘れて!」キィィィン!
剣崎「うっ……!?」
マミ「……ふぅ。大丈夫ですか? あなたはさっきここで倒れてたので……」
剣崎「……っく、ごまかさないでくれ! なんだったんだ、さっきの君は。そしてあいつらはなんだ!」
マミ「えっ……!? き、記憶が消えない?」
剣崎「ウェッ?」
剣崎「……魔法少女?」
マミ「えぇ、そうです。私たちは願いを叶えてもらった代わりに戦い続けないといけないんです」
剣崎「なんで、そんなことに?」
マミ「……私は……そ、それより剣崎さん?」
剣崎「ん、どうした?」
マミ「仮面ライダーって……本当ですか?」
剣崎「……元、だけどね。アンデッドと戦ってたんだ」
マミ「へぇ……仲間とか、いたんですか?」
剣崎「あぁ、いたよ! 不安定だけどがんばりやの後輩、睦月。科学者としても一流の頼れる先輩、橘さん」
剣崎「それと……俺の、最高の友達……始」スッ
マミ(……なんだか、せつなそうな目……どうしてかしら……?)
マミ「……その人たちとは、今どうしてるんですか?」
剣崎「え? あぁ……俺、旅しててさ。ずっとあってない……かな」
マミ「そう、ですか……さびしくないんですか?」
剣崎「さびしくなんてない! ……っていうと嘘になるかな」
マミ「じゃあ、なんで会いにいかないんですか?」
剣崎「……それは」
マミ「……? キュゥべぇ? どうしたの? キュゥべぇ!?」
剣崎「ど、どうしたんだ!?」
マミ「す、すいません剣崎さん! その、私の友達が、助けを……」
剣崎「わかった、俺もついていく!」
マミ「え、えぇっ!?」
剣崎「大丈夫、こう見えても結構丈夫なんだ。危なくなったらちゃんと逃げるから」
マミ「そ、それなら……」
タッタッタッタッタ……
マミ「ここです」
剣崎「そうか……ここに魔女の結界っていうのがあるんだな? パっと見は普通だけど……」
マミ「大丈夫ですか、剣崎さん? 私から離れないでくださいね!」パァッ
剣崎「わかってる! いくぞ!」
マミ「えぇ!」ダダッ
スゥッ
使い魔「ゲゲッゲッゲッゲッゲ」ワラワラ
マミ「……どうやら、私と同じ学校の女の子も閉じ込められてるみたいですね、急がないといけないのに数が……」
剣崎「じゃあ、俺はその子達の保護にいくよ。どっちだ?」
マミ「一人でですか!? 危ないですよ!」
剣崎「大丈夫大丈夫、頑丈だっていっただろ? その子たちは?」
マミ「……あっちに。でも……」
剣崎「わかった、大丈夫だから……まかせといてって」ポンポン
マミ「あぅ……わ、わかりました。せめてこれを」スッ
剣崎「銃?」
マミ「ごめんなさい、1発しか撃てないんですけれど……でもこれぐらいの使い魔なら叩くだけでも倒せるので」
剣崎「優しいんだな、マミちゃんは」ナデナデ
マミ「あ、そんな……ことは……お、お守りぐらいにしかなりませんけれど」
剣崎「いいや、心強いよ! その女の子達を助けないと」
マミ「えぇ……本当に、気をつけてくださいね?」
剣崎「あぁ、まかせろ! マミちゃんこそ気をつけろよ!」
マミ「だ、大丈夫です!」
剣崎「じゃあ、あとで。がんばれ!」
マミ「は、はい!」
剣崎「ウェイッ!」ガンッ
使い魔「ギュェッ!」
剣崎「ウェイッ! ウェイ! ウェェェイ!」バキッ ドカッ ガンッ!
使い魔「ギュェェッ……」シュウゥゥ
剣崎「……ふぅ、どうにか突破できてるけど……あ、ひょっとしてあれって!」
使い魔「ギュ、ギュギュギュッ!」
まどか「きゃ、きゃぁぁぁっ!」
剣崎「ウェーイ!」ドォン!
使い魔「ギュルルルルッ……!」
まどか「……? あ、あれ?」
剣崎「間に合ったみたいだな、大丈夫?」
さやか「だ、大丈夫です……あなたは?」
剣崎「俺は……いや、話はあとだ。こっちへ!」
まどか「わ、わかりました!」
剣崎「……ウェェェィイッ! っく、さすがに数が多すぎる……!」
まどか「さ、さやかちゃん……」
さやか「まどか、あきらめちゃダメだよ!」
まどか「で、でもこの子も、もう!」
剣崎「……この子? 君たち2人以外にも誰かいたのか!?」
まどか「え?」
さやか「……この、白い猫みたいなの……見えてないんですか?」
剣崎「いや、まったく……っく、ウェイッ! どういうことなんだ……?」
まどか「あ、あぶないっ!」
使い魔「ギュルルルルッ!」
剣崎「え? あっ……」
ドンッ
マミ「……どうやら、ギリギリセーフってところかしら」
剣崎「マミちゃん!」
さやか「なにあれ……コスプレ……?」
マミ「話はあと、一気に片づけちゃいましょう!」ババババッ
剣崎「わかった、俺も!」
マミ「間違えて撃ってしまうとまずいので下がってください!」
剣崎「……わかった……」
マミ「改めて自己紹介させてもらうわ。 私の名前は巴マミ。魔法少女よ」
まどか「魔法……少女……?」
マミ「うん、そして今あなたが抱いているのが私の友達のキュゥべぇ」
さやか「こいつ、そんな名前なんですか?」
剣崎「……?」
マミ「どうしたんですか、剣崎さん?」
剣崎「やっぱり……そこに、いるんだよな?」
さやか「え、おじさんこの子見えてないの!?」
剣崎「お、おじさん!? ……あ、でももうそんな年なのか……?」
マミ「……キュゥべぇ、大丈夫?」
QB「……うん、どうにか落ち着いてきたよ」
さやか「しゃべったぁ!?」
剣崎「ウェ? しゃべるのか!?」
QB「改めてお礼を言わせてもらうよ。 僕の名前はキュゥべぇ!」
剣崎「……」
QB「キミたち、僕の姿が見えるっていうことは魔法少女になる素質があるんだよ!」
まどか「そ、素質……?」
QB「うん、だから……」
QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
剣崎「その……マミちゃん?」
マミ「なんですか?」
剣崎「えーっと……その、キュゥべぇっていう子は俺には見えないみたいなんだ」
マミ「あぁ、キュゥべぇは魔法少女の素質のある子にしか見えないんです」
剣崎「なるほど、どうりで……っ!」
さやか「どうしたの、おじさん?」
剣崎「誰だッ!」ギロッ
スゥッ……
ほむら「……あなたこそ、なにものなのかしら?」
まどか「ほむらちゃん……!?」
さやか「転校生……! アンタ、よく顔見せれたね!」
マミ「……あなたも、魔法少女みたいね。話を詳しく聞かせてもらえるかしら?」
ほむら「……」
ほむら「……あなたと話す気はないわ」
マミ「そう。 それなら……」スチャッ
剣崎「ま、待て! なにしようとしてるんだ!」ガシッ
マミ「へひゃっ!? け、剣崎さんこそどこ触ってるんですか!」
剣崎「あっ、いやっ、違う! 違うんだ! 今のは事故で!」
さやか「ほほぅ、マミさんとその男の人はそういう」
剣崎「ご、誤解だ! 違う! 本当に!」
マミ「あわっ、あわわわっ……わた、わたしは……」
ほむら「……くだらない。 鹿目まどか」
まどか「えっ、私……?」
ほむら「……そいつの話に耳を傾けないことね。きっと後悔するわ」カチッ
剣崎「消えた!?」
さやか「くっそー、なんだよアイツ!」
マミ「……転校生っていったわよね、あの子」
さやか「えぇ、今日転校してきたやつなんです! 怪しいとは思ってたけどまさかあんな……」
剣崎「ちょ、ちょっと待ってくれ! 本当にあの子は悪い子なのか?」
さやか「おじさんは黙っててよ! この子……見えてないんだっけ? ひどいケガしてる。いじめたのもアイツなんだよ!?」
剣崎「うっ……そう、なのか?」
まどか「えっ、あっ……はい。この子が、助けてって……」
剣崎「……そう、か……君も?」
さやか「えっ? 私は聞こえなかったんだけどまどかが急に走り出したから」
QB「どうやら鹿目まどか、キミの素質は素晴らしいものみたいだね。魔法少女でもないのに僕のテレパシーを受け取るだなんて」
マミ「剣崎さん、どうやら鹿目さんの素質がすごいから受信してしまったようですよ?」
剣崎「そう。……そうか……」
まどか「そんな、私なんて……」
QB「誇ってもいいよ、キミの素質は本当に素晴らしいものだ。どんな願いだって叶えられる!」
さやか「願いを叶える?」
マミ「まぁまぁ、今日はもう遅いし……詳しい話はまた明日にしましょう?」
さやか「あ、はい……わかりました」
マミ「うんうん、素直でよろしい! 剣崎さん……あとでお話したいのですけれど」
剣崎「わかった……俺も、少し聞きたいことがあるんだ」
マミ「それじゃあ、明日……またね。鹿目さん、美樹さん」
まどか「……はい。それじゃあ……」
さやか「マミさん、また明日詳しく聞かせてくださいね!」
マミ「えぇ、約束よ」
剣崎「……それで、マミちゃん。話って?」
マミ「人に聞かれるとまずい内容なので……その……」
剣崎「うん?」
マミ「わ、私の家に……来てもらえますか?」
剣崎「ウェェッ!?」
マミ「あ、そ、そういう意味ではなくて! その!」
剣崎「わ、わかってる!でも、知らない男を家にあげるなんて、親御さんが!」
マミ「お、親は……いませんから……」
剣崎「留守ならなおさら、戸締りに気をつけないといけないんじゃないのか?」
マミ「違います、そうじゃなくて……」
剣崎「……?」
マミ「私の両親は……死んでるんです……」
剣崎「……マミ、ちゃん……」
マミ「……私は……」
剣崎「ごめん……」
マミ「いえ、大丈夫ですから……歩きながら、話してもいいですか?」
剣崎「……あぁ、大丈夫」
スタスタスタスタスタスタ……
マミ「……魔法少女については話をしましたよね」
剣崎「うん、願いを叶えてもらう代わりに戦うって……」
マミ「どんな願いだって叶うんです、なんでも……どんな、ことでも」
剣崎「……」
マミ「……私の、願いは」
マミ「……」
剣崎「……マミちゃん?」
マミ「私の願いは……助けて、って」
剣崎「助けて……?」
マミ「みんなをって、いわなかったんです。パパも、ママも!」
剣崎「……」
マミ「私が、私だけが助かっちゃんたんです! 事故にあって、パパとママも一緒で!」
マミ「ぐちゃぐちゃで、死んじゃいそうで、苦しくって!」
マミ「そこにキュゥべぇがきて、それで願い事を聞かれて、そしたら! 私が!」
剣崎「マミちゃん……」
マミ「私が助けなかったんです! 助けられなかったんです!」
剣崎「マミちゃん」ギュッ
マミ「あっ……け、剣崎……さん……!?」
剣崎「大丈夫、大丈夫だよ」
剣崎「俺も……ちっちゃいころに両親が死んでるんだ」
マミ「えっ?」
剣崎「それから、みんなを……助けたいって思ってた」
マミ「で、でも私は……」
剣崎「だけど、でも……辛いこととかうまくいかないことも多くて……」
マミ「……」
剣崎「俺には、先輩や仲間がいたから……がんばれたけどさ」
マミ「っ……」
剣崎「マミちゃんは一人でがんばってたんだろ? 不安にもなるだろうけど……でもさ……その」
剣崎「……ああもう! 思ったようにいいこと言えないけど!」
剣崎「マミちゃんは、悪くない!」
マミ「で、でも……わたし……が……っ」ポロポロ
剣崎「大丈夫だよ、認めてくれてる人はいる……いないのなら俺が、がんばったっていってあげる」
剣崎「だから、泣かないでいいんだ。生き残ったからって自分をせめちゃだめだ」
剣崎「だって、マミちゃんは……魔法少女として、みんなを守ってるんだろ?」
マミ「私……私は……」
剣崎「ほら、泣いてちゃかわいい顔が台無しだぞ?」
マミ「……ふふっ、剣崎さんのセンスって……ふるいんですね」
剣崎「うぇっ!? お、俺なりに頑張って励ましたつもりなんだけどなぁ……」
マミ「……そう、ですよね。パパや、ママのぶんまで、がんばらないと」
剣崎「だからって、抱え込みすぎてもダメだからな? 友達にも相談しないと」
マミ「……友達……」
剣崎「うぇっ……あれ? まさか」
マミ「……その……魔法少女が、いそがしくて……」
マミ「クラスのみんなとも距離をおかないといけなくて……その……」
剣崎「まいったなぁ、友達の作り方かぁ……」
マミ「……剣崎さんみたいな人なら、いっぱい友達もいたんでしょうね」
剣崎「いや、ぜんぜん!」
マミ「えっ?」
剣崎「俺、初めて友達できたの22歳だぞ?」
マミ「えぇぇっ!?」
剣崎「だから友達の作り方はわかんないんだよなー……あっ」
マミ「ど、どうしたんですか?」
剣崎「そうだ、俺達友達になろう!」
マミ「えええええぇぇぇぇっ!?」
マミ「と、友達ってそんな」
剣崎「俺のこと、本気で思ってくれる大切な友達! できたときすっごい嬉しくて!」
マミ「え、えぇ」
剣崎「だからさ、俺でよかったらマミちゃんのこと心配させてよ!」
マミ「……本当に?」
剣崎「あぁ、手伝えることなら手伝うしさ」
マミ「わ、私と……一緒に……?」
剣崎「身体だって頑丈だからさ、盾にしてくれたっていいんだぜ!」
マミ「もう、そんなことしませんよ……本当に」ギュッ
剣崎「……マミちゃん」ナデナデ
マミ「ありがとう、ございます……」
剣崎「……あっ」
マミ「どうしたんですか、剣崎さん?」
剣崎「あの、さ……マミちゃん。ちょっと離れてもらってもいい?」
マミ「な、なんでですか!? 私、なにか……だって、一緒にって!」ギュッ
剣崎「いや、その……周りの、視線が……」
ヒソヒソ オイアレ ヤダー フケツ… ヒソヒソ
マミ「あ……あぁっ!?」
剣崎「そういえば道端だったよなぁ、って……マミちゃん?」
マミ「うわああああぁぁん!」ダダダダダッ
剣崎「ちょ、ちょっと待って! 速い……!」
剣崎「はぁっはぁっ……追いついた。マミ、ちゃん?」
マミ「うぅぅ……もうあのあたりのお店いけない……!」
剣崎「ご、ごめんな?」
マミ「い、いいんです……私が嬉しくてつい抱きついちゃったから……」
剣崎「いや、俺が……」
マミ「いやいや、私が……」
剣崎「……」
マミ「け、剣崎さん?」
剣崎「っく、あはは!」
マミ「な、なんですか?」
剣崎「いや、なんだかさ……今のほうが自然な感じがするよ」
マミ「もうっ、からかわないでくださいよ!」
剣崎「あぁ、ごめんごめん。それで……俺の話なんだけどさ」
剣崎「今……キュゥべぇって子はここにいるのか?」
マミ「いえ、さっきの話の時に鹿目さんのことが気になるって……」
剣崎「そうか、それなら……あのさ」
マミ「どうしたんですか?」
剣崎「……その子は、本当にいい子なんだよな?」
マミ「……え?」
剣崎「いや、いきなりこんなこと聞くのもなんなんだけど……」
マミ「キュゥべぇは私の友達です! それを疑うなんて、剣崎さん……」
剣崎「違う、違うんだ……なにかひっかかってて」
マミ「友達になってくれるっていってくれて嬉しかったです。でもキュゥべぇはずっといてくれた、私の大切な友達なんです!」
剣崎「……そう、だよな。 ごめんな。友達を疑われたら怒りたくなるよな」
マミ「……ちゃんとキュゥべぇに謝ってくださいね」
剣崎「俺、見えないんだけど……こっちの声は聞こえてるんだよな?」
マミ「はい。だから今度いる時に教えてあげますから」
剣崎「わかった……」
剣崎「……それじゃあ、今日はここらへんで」
マミ「あっ……あの、剣崎さん」
剣崎「ん、どうした?」
マミ「私の家……そこのマンションなんです。今度紅茶をごちそうしますから、来てくださいね?」
剣崎「……あぁ! 絶対いくよ。本当にごめんな?」
マミ「ちゃんと謝ればキュゥべぇも許してくれますよ、たぶん……だから、また」
剣崎「うん、わかった。……それじゃな?」ピッ
マミ「はい。絶対ですからね!」フリフリ
マミ「……友達、かぁ……あんな年上で、しかも男の人だなんて……」
QB「マミ?」
マミ「きゃっ、キュゥべぇ!?」
QB「どうしたんだい、マミ?」
マミ「な、なんでもないわよ。キュゥべぇこそどうしたの?」
QB「いや、鹿目まどかに接触したかったんだけど……邪魔をされてしまってね」
マミ「邪魔……あの、転校生の子?」
QB「うん、名前は暁美ほむら……どうやら魔法少女が増えるのに反対しているみたいだ」
マミ「そう……それで?」
QB「しかも怪しいね。ボクには彼女と契約した覚えはないんだ」
マミ「……キュゥべぇと契約せずに魔法少女に? そんなことできるの?」
QB「まったくもってありえないことさ。だから怪しいんだ」
マミ「そう……」
QB「ごめんね、マミ。キミと一緒に戦う仲間ができればよかったのだけど」
マミ「あら、気をつかってくれたの? ありがとう」ナデナデ
QB「まぁ、効率的にも複数で当たったほうが負担は減るだろうからね」
マミ「……でも、いいわ」
QB「……?」
マミ「幸せな子達を、わざわざ戦わせる必要はないもの」
QB「でもマミ、いつも一人で戦っていて辛いんじゃないのかい? 前だって溜息をついていたじゃないか」
マミ「それは……まぁ、そういうこともあったけれど」
QB「なら、仲間はいるに越したことは」
マミ「いいの、いいのよ……ほら。とりあえず紅茶にでもしましょう」
QB「……佐倉杏子のことなら、今回はケースが」
マミ「キュゥべぇ! ……そういう意味じゃないわ。本当にいいのよ。ありがとう」
QB「……わかったよ。そこまでいうのなら積極的には関わらないでおこう」
マミ「ふふっ、ありがとう……やっぱり優しいのね」ギュッ
QB「やれやれ、マミひとりで本当に大丈夫なのかも心配だったからね」
マミ「ちょっとキュゥべぇ、どういう意味?」
QB(……あの男、何者だろう?)
QB(マミと一緒に来たのは、何故だ? 通りすがり? 違う)
QB(なんで行動を共にしていたんだ? ……もし、変身しているところを見ても記憶は消すはずだ)
QB(それに、このマミの安定した状態……怪しいね。なにかある気がする……調べてみないと)
剣崎「……マミちゃん、かぁ」
剣崎「あんなに、まだ子供なのに……皆のために戦うだなんて……すごいな」
剣崎「ところで……」
クルッ
剣崎「ほむらちゃん……だったっけ? でてきなよ」
ほむら「……気付いていたのね」
剣崎「まぁ一応俺も……元仮面ライダーだから」
ほむら「……仮面ライダー?」
剣崎「あぁ、だからさ」
ほむら「驚いたわね……あんな都市伝説、本気にしてるの?」
剣崎「ウェッ?」
ほむら「あら? あなた……この本のファンなんでしょう?」スルッ
剣崎「これって……虎太郎の本? 出版したのか!」
ほむら「……まぁなんでもいいわ。いい歳してこんな本を本気にして自己投影するような人なんてね」
剣崎「いやぁ、懐かしいな……そうか、もうそんなに前の話なんだな……」
ほむら「話を聞きなさい。……あなたにも警告しにきたの」
剣崎「ん、わかった……どうしたんだ?」
ほむら「……巴マミを、鹿目まどかには近寄らせないで」
剣崎「……どうしてだ?」
ほむら「どうしても、よ。巴マミに依存されると面倒なことになるの」
剣崎「依存って……マミちゃんは別にそんなつもりじゃなくて」
ほむら「巴マミのことなんてどうでもいいの。 私の目的は鹿目まどかを契約させないこと……わかったわね?」
剣崎「……どうしてだ?」
ほむら「別に、理由なんてどうでもいいでしょう? 鹿目まどかに契約されたくない。それだけよ」
剣崎「その理由が知りたいんだ」
ほむら「あなたに話す必要はないわ」
剣崎「それでも俺は知りたいんだよ」
ほむら「……そう。知らないわね」
剣崎「どうしてもって言ったら?」
ほむら「別に、私には問題は起きないわ。鹿目まどかの契約阻止のために巴マミを排除する可能性もあるけれど」
剣崎「……本気か?」
ほむら「えぇ、本気よ。私は目的のためなら犠牲を厭う気はないわ」
剣崎「……なら、なんで」
ほむら「なに? ……理由なら答えないといったはずだけど」
剣崎「そんなに、悲しそうなんだよ」
ほむら「っ……!」
剣崎「なぁ、なにかあるんだろ? 理由が」
ほむら「ないといっているでしょう。 あったとしてもあなたには関係ないわ」
剣崎「いや、あるさ……俺はマミちゃんの友達だからな」
ほむら「友達? ふざけないで。冗談で首を突っ込んでいい世界じゃないの」
剣崎「ふざけてなんかない。 本気で心配して、本気で一緒にいられる。そんな友達だ」
ほむら「中学生相手に、いい大人が? ジョークにしたって笑えないわ」
剣崎「いてもいいだろ? そんなバカな大人がさ」
ほむら「……本気なの?」
剣崎「あぁ、本気だよ」
ほむら「……ばかばかしい。話しただけ無駄だったようね」カチッ
剣崎「あっ、待て! ……くそっ、また消えた……」
剣崎「……いったい、なんだ? この違和感」
剣崎「ほむらちゃんが、悪い人間で……取り分が減るとか、マミちゃんを孤立させたいとか」
剣崎「それなら単純な話なんだけど……うぅん……」
剣崎「それだけじゃない気がするんだよなぁ……いったい……」
剣崎「あぁぁっ! こういう時橘さんだったらあっという間に答えがわかるんだろうけどなぁ!」ガシガシ
剣崎「……日本を離れるタイミング、逃したかな……大丈夫、始にさえあわなければ、たぶん……」
ほむら「……初めてのパターンね……」
ほむら「いったい何者なのかしら? 巴マミをナンパでもした?」
ほむら「それにしては妙な……そう、妙な雰囲気を……」
ほむら「……やめましょう。こんなことに体力をまわすぐらいなら阻止手段を考えていたほうがよっぽど有意義だわ」
ほむら「巴マミの依存体質は、まどかを魔法少女に執拗に勧誘することに現れる……」
ほむら「あの男が、巴マミの依存相手になってくれれば楽なのだけれど」
ほむら「……やめましょう。魔法少女ですらない相手に依存したところで失う絶望が大きくなるだけ」
ほむら「いっそ巴マミが静かに一人魔女にでもなってくれれば楽なのだけれど……」
ほむら「その場合は戦力が足りなくなる可能性もあるわね。装備は充実させておかなくちゃ」
マミ「……剣崎さん、かぁ……うふふ……」
QB「ずいぶん幸せそうだね、マミ?」
マミ「あら、そう見えた?」
QB「うん、ずいぶんだらしなく見えたよ……あの男のことかい?」
マミ「あらやだ……そうかしら? あの男って、剣崎さんのこと?」
QB「あぁ、魔法少女ですらない相手に依存していいのかな?」
マミ「依存だなんて……ただ、私は」
QB「ていのいい遊び相手程度にしか思われてないかもしれないよ?」
マミ「……っ! そんな、剣崎さんはそんな人じゃないわ!」
QB「さて、どうだろうね? 男というのは女性に対してよく思われたいためになんでもするというし」
マミ「あ、あの人は違うの! 私の友達になってくれるっていったのよ!?」
QB「やれやれ、わけがわからないよ」
マミ「今日のキュゥべぇは変よ、いったいなんなの?」
QB「それをいうならマミのほうが変さ。それに……あの男が本気でマミのことを思ってくれてたとしてもだ」
マミ「な、なに?」
QB「……魔女と戦う時にまでついてきてもらう気なのかい?」
マミ「そ、それは……」
QB「魔法少女ですら危うい場合も多いのに、魔法少女になることすらできない相手を?」
マミ「だって……」
QB「自分のことを思ってくれている人間を危険にさらすっていうのは、僕の知っている定義では友達とはいわないね」
QB「『囮』さ」
マミ「キュゥべぇ!」
QB「……やれやれ、ヒステリーはみっともないよ?」
マミ「っく……!」
QB「まぁ、考えてみたほうがいいんじゃないかな? 自分を思ってくれている相手に対するふるまいってやつをさ」
☆ 翌日 中学校前
剣崎「昨日、また明日っていったもんな……授業が終わるまでここで待ってるとするか」
チョンチョン
剣崎「ん、なんですか?」
警官「いやぁ、中学校前を不審な男がうろついているという通報がありましてね」
剣崎「うぇっ……」
警官「ちょーっと、お話聞かせてもらってもよろしいですか?」
剣崎「うぇぇぇっ!?」
警官「まぁまぁ、大丈夫ですよ。なにもしてないんですよね?」
剣崎「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺は友達が」
警官「あーはいはい、詳しくは署でね」
剣崎「ウゾダドンドコドーン!」
マミ「……私、このままでいいのかな」
QB「どうしたんだい、マミ?」
マミ「キュゥべぇ……ううん、本当に鹿目さん達を魔法少女にしてもいいのかなって」
QB「キミ自身が魔法少女の体験ツアーなんてものをさせたんじゃないか」
マミ「そう、そうよね……でも……暁美さんのことも気になるし」
QB「やれやれ、魔法少女になってほしくて体験ツアーをしたんじゃないのかい?」
マミ「そのつもり、だったのだけれど……」
QB「そういえば、今日はずいぶん動きにキレがなかったね」
マミ「……私、このままでいいのかわからないの……」
QB「なにがだい?」
マミ「なにも、かも……私、このままじゃ……」
QB「そう……やっぱり隣にいてくれる相手は必要なんじゃないかな? マミ」
マミ「……うん、でも。いいのかな?」
QB「仲間を求める心は間違いじゃない。戦いは複数でおこなったほうが効率もいいし魔女への敗北もしづらくなる」
マミ(……剣崎さん、今日は会えなかった……やっぱり、私じゃ……)
マミ(……友達……嬉しかったのになぁ……)
ほむら(……あの男は巴マミの周りから手をひいたようね。賢明な判断だわ)
ほむら(まどかに依存される前になにか手をうたないと……契約のきっかけになりかねない)
ほむら「……はぁ」
ほむら「っ! なんで私、溜息なんか……」
ほむら「期待なんてしていないわ。元々ありえないイレギュラーだもの」
ほむら「少し偶然が重なってついてきていただけ。他はいつも通り変わらない」
ほむら「……そう。問題ないわ」
剣崎「あぁ……ひどい目にあった……」
剣崎「警察とかシャレにならないよなぁ、前も万引きの疑いで捕まりかけるし……」
剣崎「結局マミちゃん達には会えなかったし……明日は大丈夫かな」
剣崎「よし、今度はちゃんと学校終わる時間ぐらいを見計らっていくことにしよう」
まどか「……ほむら、ちゃん……なんでだろう」
まどか「なんで、こんなに気になるのかな……」
まどか「マミさん、かっこよかった……やっぱり……」
まどか「ほむらちゃんと同じ、魔法少女になれば……仲良くなれるのかな……?」
☆ 翌日 放課後
剣崎「あっ、マミちゃん!」
マミ「……! 剣崎さん」
剣崎「あのさ、昨日は」
マミ「……わかってます、勝手に舞い上がってたけれど……」
剣崎「うぇっ?」
マミ「えっ?」
剣崎「いや、俺は昨日さ……」
マミ「……鹿目さん?」
剣崎「あの……あれ?」
まどか「マミさん……大変なんです! さやかちゃんが、さやかちゃんが!」
マミ「……病院に結界が? わかったわ。いきましょう」
マミ「……病院に結界が? わかったわ。いきましょう」
剣崎「ま、待ってくれ! 俺の話を」
マミ「……普通の人には。魔法少女になることもできない人には、危険ですから」タァン
剣崎「どこ撃って……リボン!?」シュルルルッ
マミ「さぁ、急ぎましょう鹿目さん」
まどか「は、はい……でも……」
剣崎「待ってくれ、マミちゃん! 俺は!」
マミ「……いいのよ。お別れの言葉を聞いたら悲しくて力がでなくなっちゃうもの」
まどか「……はい……その、こっちです」
マミ「……」タッタッタ…
剣崎「待て、待ってくれ! くそっ、この……!」
ほむら「……なにをしているのかしら」
剣崎「あっ……ほむらちゃん? これ、ほどいてくれ! はやく!」
ほむら「何故そんなことをしなければならないの?」
剣崎「いいから! マミちゃんが! 嫌な予感がするんだよ!」
ほむら「……そう、そんな時期だったわね」
剣崎「頼む、なんだってする! 急がないとまずいんだ!」
ほむら「まぁいいわ。 目的はおおむね一致するもの……連れて行ってあげる」
剣崎「ありがとう! やっぱりほむらちゃんも優しいんだな!」
ほむら「からかわないで。おいていくわよ?」
剣崎「ご、ごめんっ! だから頼む!」
ほむら「……えぇ、急いだ方がいいわね。 お互いに」
―― シャルロッテ結界内
マミ「……私、かっこよくなんてないのよ?」
まどか「そんなことないです、マミさんはもう一人ぼっちなんかじゃないです」
マミ「本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?傍にいてくれるの?」
まどか「はい、私なんかでよかったら」
マミ「……鹿目さん。本当に……」
ほむら「待ちなさい、巴マミ」
マミ「……暁美さんね。何か用かしら」
剣崎「マミちゃん……話を聞いてくれ!」
マミ「……剣崎さん、まで。二人はグルだったの?」
剣崎「なぁ、マミちゃん」
マミ「やめて、来ないで……」
剣崎「俺はさ……」
マミ「聞きたくない、ヤダ、一人は嫌なの! 鹿目さん、一緒に」
剣崎「マミちゃん!」
マミ「……だ、だって……剣崎さんも、きっと私を」
剣崎「大丈夫だよ、一緒にいる。友達だっていっただろ?」
マミ「魔女と戦うのだって危険だし、嫌だったんじゃないんですか!?」
剣崎「魔女なんかどうにだってなるさ! 大丈夫。俺はいなくならない」
マミ「なら……ならなんで、昨日来てくれなかったんですか!」
剣崎「……昨日は……その、警察が……」
マミ「えっ?」
ほむら「……は?」
まどか「……えーっと……あれ?」
マミ「そ、それじゃあ昨日は補導されてたんですか!?」
剣崎「う、うん……その、本当にごめん!」
ほむら「……信じられないわ」
マミ「も、もうっ! 昨日本当に寂しくて、やっぱり嘘だったのかなって」
剣崎「嘘はつかないって、だからさ」
マミ「……本当に、一緒にいても大丈夫なんですよね?」
剣崎「あぁ、約束するよ……俺は死なない。一緒にいるからさ」
マミ「ありがとうございます……ねぇ、鹿目さん……その……」
まどか「……私も、っていうのはダメなんでしょうか……?」
ほむら「やめておきなさい。バカがうつるわ」
マミ「ちょ、ちょっと暁美さん!?」
剣崎「お、俺これでも結構頭いいんだぞ!?」
マミ「えぇっ!?」
剣崎「うぇぇぇっ!? なんでマミちゃんが一番驚くんだよ!」
まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」
ほむら「なにかしら」
まどか「……私、本当に混ざっちゃダメ、なの?」
ほむら「えぇ、一生後悔することになるわ。魔法少女なんて、それしか道の無いものの墓場よ」
まどか「でも、あの二人はすごく幸せそうで」
ほむら「……いつまでも続くものではないわ。一時の快楽のために身を滅ぼすのは愚か者のすることよ」
まどか「……でも……」
さやか『おーい! 誰か! 本気でヤバい感じになってるよ! 早く早く! ハリーアープ!』
マミ「……美樹さん!」
剣崎「どうしたんだ? 何かあったのか?」
マミ「剣崎さん、急がないと美樹さんが危なそうなんです」
剣崎「そうか、わかった! 急ごう!」ギュッ
マミ「え、えぇ! もちろん!」
マミ(手を、手を握ってもらえた! 一緒に、走ってくれてる! 私……今、幸せ……!)
マミ「ここね!」
さやか「マミさん、ギリギリだよ! なんかもう今にも……あっ!」
ピシッ……パキッ!
シャルロッテ「……」ポテン
ほむら「……生まれたようね」
剣崎「あれが……? ずいぶんかわいいんだな」
ほむら「油断しないことね、巴マミ。あいつはあなたにとって最悪の相性よ」
マミ「へぇ……ご忠告ありがとう、暁美さん」
使い魔「……」ゾロゾロ
ほむら「……っち。まだ沸くの? 巴マミ、こっちの使い魔を」
マミ「安心して、暁美さん! 速攻で片づけてあげるから!」
ほむら「バカっ! 待ちなさ……くそっ、使い魔が多い! まどか、美希さやか! こっちへ!」
まどか「う、うん」
さやか「うっ……わ、わかった」
剣崎「待ってくれマミちゃん、なにか様子が……」
マミ「今日の私は最高に調子がいいの……もう何も怖くない!」パァンパァン!
シュルルルルッ
ほむら「ダメ、待って!」
マミ「ティロ・フィナーレッ!」
ドォン!
シャルロッテ「……」ボトッ
マミ「……ふぅ、結構あっけないものね。暁美さんも心配し過ぎ……」
シャルロッテ「……」ニュルッ
マミ「えっ?」
ほむら(くっ……時間停止、間に合わない……!?)スッ
剣崎「危ない! マミちゃん!」ドンッ
ガブッ!
シャルロッテ「……」バクッ
バリバリ ムシャムシャ
マミ「えっ……あっ……!?」
ほむら「っち……しっかりしなさい、巴マミ!」
QB「まずい、この使い魔の数でマミが戦闘不能になったらキミたちを庇いながら戦うのは厳しくなる!」
QB「まどか、キミならこの状況を打開できる! ボクと契約して……」
ほむら「黙れ! この期に及んでまだそんな……」ジャキッ
まどか「や、やめてよほむらちゃん! キュゥべぇ、私……」
シャルロッテ「……?」モグモグ
――「なぁ、俺なんか喰ってもうまくないだろ」
マミ「……えっ、剣崎、さん?」
剣崎「……」ズルッ
ほむら「どういうこと……? 今確かに……魔法、いえ……」
シャルロッテ「……? ……!」グアッ
剣崎「……ぁぁあああああアアアア!」バキィッ!
シャルロッテ「!?」
マミ「ま、魔女を殴り飛ばし……そ、それよりも血が……緑色……!?」
剣崎「……ごめんな、マミちゃん」
剣崎「ウゥゥオォォオオオオ!」
まどか「……!」
さやか「おじさんの……身体が……!」
ジョーカー「……ッ! アァァッ!」バキッ
シャルロッテ「……!!?」
マミ「剣崎さんが……剣崎さんが……魔女……いえ、なんなの……あれ……!?」
ほむら「……いったい、どういうこと?」
QB「……やれやれ、まさかこんなところで旧システムのできそこないを見ることになるなんてね」
ほむら「なにか知っているようね? さっさと説明しなさい」ジャキッ
QB「せっかちは嫌われるよ?」
ほむら「……この引き金は軽いわよ」
QB「やれやれ……しかたないなぁ。特別に教えてあげるよ」
マミ「キュ、キュゥべぇ……剣崎、さんが……」
QB「マミも聞きたいのかい?」
ほむら(……巴マミのソウルジェムの濁りが止まった。混乱で絶望どころじゃないってことかしら)
QB「じゃあ、お話をしよう。……僕らが実は何万年も前から地球にいたっていうのは知っているかい?」
マミ「キュゥべぇ、あなた……?」
QB「まぁ、ボクらはキミたちの文明の発展を助けてきたんだ。感謝してほしいね」
ほむら「その代償をさんざん奪っておきながら……!」
QB「そこら辺は価値観の相違ってやつじゃないかな? まぁ、話を続けさせてもらうよ」
QB「それで、ボクらの目的のためには大量のエネルギーが必要なんだけど……」
ほむら「……」ギリッ
QB「当初は様々なことを模索したものさ。単純な作業から、労働、闘争へと姿を変えてきた」
QB「それとともに、感情・精神のエネルギーにも注目が集まった」
QB「そしてボクらは生み出したんだ。命のエネルギーを、生命の要求を競わせる……『バトルファイト』を」
QB「進化したいという、繁殖したいという、繁栄したいという命のもつエネルギー」
QB「それを集め、高め、戦わせたんだ……『望みをなんでも叶える』という条件でね」
QB「そして最後の、究極まで高まったエネルギーを刈り取る」
QB「理不尽に奪うんじゃあ最後に変換するときの効率が異常に悪いっていうことがわかってね」
QB「だから、狩る者を作った……その役割を持っていたのがあの『ジョーカー』さ」
ほむら「ジョーカー……」
QB「純粋な戦闘本能、高いスペック、そして倒した相手の力の強奪」
QB「まさに完璧な『狩る者』だったよ。幾度かのバトルファイトでかなりのエネルギーが回収できた」
QB「しかし……」チラッ
ジョーカー「ウワァァァァッ!」ドグッ!バキッ!
シャルロッテ「……! ……!」
QB「1万年前、問題がおこった」
QB「最強のはずの『ジョーカー』が……負けてしまったんだ」
QB「さすがに焦ったよ。複数体に襲われようとも問題ないはずだったのにね」
QB「そして勝者は……ヒューマンアンデッド。キミたちのご先祖様さ」
QB「願いは……さて、なにを叶えたんだっけ」
QB「ともかく。そうしてバトルファイトの歴史は幕を閉じた。ジョーカーが勝たなければエネルギー効率は最悪だからね」
QB「そんなわけで、それからかな? キミたちの『感情』に目を付けたのは」
QB「なかなか興味深いものを感じるよ。大きなな生死の問題よりも目の前の小さなことに対して大きなエネルギーを産む」
QB「そんなキミたちの存在には、ね」
ほむら「……あのジョーカーを止める方法は?」
QB「悪いけど知らないよ。ボクの知っているジョーカーともまた微妙に異なるもののようだしね」
ほむら「そう……」チラッ
マミ「……剣崎さんが、人間じゃない、滅ぼす、狩るもの……?」ブツブツ
ほむら「……巴マミの協力はあおげなそうね」
ジョーカー「グ……オォォォォッ!」グイッ
シャルロッテ「……!?」
ブチブチブチッ……ボトン
ほむら「……すさまじい火力と速度ね。単純なパワーでの突破は不可能に近いのに……倒してしまうなんて」
ジョーカー「……」ギロッ
ほむら「……私に興味があるのかしら?」
ジョーカー「……」
ほむら「まどかに手を出す気ならあなたを全力で排除することになるわ」
ジョーカー「……マ、テ」
ほむら「……!? しゃべ、れるの?」
ジョーカー「……オ、レハ」
ほむら「……あなた、人間の意識は残っているってこと?」
ジョーカー「……ゥ……あ……」
ジョーカー「ッグ……!?」
ほむら「なら早めに元に……」
ジョーカー「……! グッ……」ガクッ
シュゥゥゥ…
剣崎「……」
ほむら「元に戻った……でも、気絶……しているの?」
ほむら「……結界が消える……でも……」
マミ「……私は、今、どうしたら……」
まどか「……わ、私は……マ、マミ……さん……」
さやか「……おじさんが……?」
剣崎「……」
ほむら「……どうすればいいのかしら……」
ほむら「……とりあえずは」
パチン
マミ「……えっ、あ……今、ほっぺ?」
ほむら「おちつきなさい、巴マミ」
マミ「あ……暁美、さん……」
ほむら「あなたは仮にも街を守る魔法少女でしょう? 混乱してる一般人のフォローぐらいできなくてどうするの?」
マミ「えっ……あっ……」
まどか「マ、マミさん……その……わ、私……」
マミ「……鹿目、さん」
さやか「……ヒトじゃなかった……ヒトじゃなかった……」
マミ「美樹さん……」
ほむら「……鹿目まどか」
まどか「……ほ、ほむら……ちゃん……」
ほむら「その男は死ななかったけれど……あれぐらいのことがあるのが、魔法少女というものよ」
まどか「……」
ほむら「もし、まだ魔法少女になりたいだなんていうのなら……その覚悟は最低でも必要なの」
まどか「う……わ、私……その……」
ほむら「いったでしょう? 魔法少女なんて、それしか道の無いものがしょうがなく選ぶ……墓場への一本道、いえ。墓場そのものよ」
まどか「……ほむら、ちゃん」
マミ「美樹さん……しっかりして?」
さやか「……マミさん。でも、おじさんが……」
マミ「剣崎さんは……私達を、守ってくれたのよ……だから……」
剣崎「……うっ……」ピクッ
まどか「ひぅっ!?」
マミ「……っ!」ビクッ
さやか「……」
ほむら「……お目覚めかしら」
剣崎「う……ぁ……」ググッ
さやか「おじさん……」
剣崎「……あぁ。ごめんな、みんな」
マミ「け、剣崎……さん……?」
剣崎「……マミちゃん」
マミ「は、はい」
剣崎「ケガは、なかった?」
マミ「……なんとか」
剣崎「そっか……よかった」
さやか「……おじさん」
剣崎「ん……君達は、大丈夫だった?」
まどか「……う……」
さやか「……え、えぇ。まぁ」
剣崎「そう……怖い思いさせてごめんな」
ほむら「……」
剣崎「ほむらちゃんも、ありがとう」
ほむら「……なんの話かしら」
剣崎「他の子を……巻き込む前に止まれたのは君が声をかけてくれたおかげだ」
ほむら「……一般人を巻き込むような真似をしたくなかっただけよ。あなたが害をなすなら排除する気だった」
剣崎「……うん。それでも助かった。止めてくれる気だったのも嬉しいよ」
ほむら「……あなたって変人ってよく言われない?」
剣崎「ウェッ……た、確かに変わってるって言われたことはあったけど……」
ほむら「……そう。やっぱりね」
剣崎「ははっ……みんな、ごめんな。じゃあ……」
マミ「ま……待って、ください!」
剣崎「……マミちゃん?」
マミ「剣崎さん……どこへ、行く気なんですか?」
剣崎「どこって……そうだな、海外とか?」
マミ「……っ、なん、で……」
剣崎「俺がここにいると……みんなが危ないだろうし、人間じゃない奴と一緒にいるなんて嫌だろ?」
マミ「……」
剣崎「ごめんな、マミちゃん」
マミ「……嘘つき」
剣崎「……ごめん」
マミ「私と剣崎さんは……友達、じゃなかったんですか……?」
剣崎「……うぇっ?」
マミ「だ、だって……約束、したじゃ、ないですか……一緒にいるって……いなくならないって……!」ガクガク
ほむら(……震えてる……依存するだけなら、相手を問わないはずなのに……)
ほむら(巴マミ……あなたは……)
剣崎「……マミちゃん。俺は人間じゃないんだぞ?」
マミ「人間じゃないのは……怖いです。でも……私、剣崎さんがかばってくれなかったら死んじゃってました」
剣崎「でも、ヘタをしたらマミちゃんだけじゃなくみんなを俺が襲ってたかもしれないんだ」
マミ「剣崎さんは私たちを襲いませんでした」
剣崎「結果的にはそうだったけど次はどうなるかわからないだろ?」
マミ「剣崎さんなら大丈夫だって信じます」
剣崎「……だけど」
マミ「もしなにか問題が起きたら……どうしてもダメだったら」
剣崎「……?」
マミ「私が、止めます」
剣崎「マミ……ちゃん……」
マミ「剣崎さん。私たちは友達なんでしょう?」
剣崎「……」
マミ「……剣崎さん」
剣崎「俺は……」
さやか「……まどか? 大丈夫?」
まどか「……ご、ごめんねさやかちゃん。すこしだけ……調子が悪いかも……」
ほむら「……鹿目まどか」
まどか「……ほむら、ちゃん」
マミ「……鹿目さん、美樹さん。2人とも家まで送るわ」
さやか「えっ、いや……まだ話の途中なんじゃ……」
マミ「……剣崎さん、またあとで話の続きをしましょう?」
剣崎「……」
マミ「いなくならないでくださいね?」
剣崎「……わかった」
ほむら「……」
剣崎「ほむらちゃんは……いいのか? まどかちゃんを送っていかなくて」
ほむら「えぇ。別に興味もないわ」
剣崎「……本当に?」
ほむら「……どういう意味かしら」
剣崎「いや、まどかちゃんに契約してほしくないっていう理由とかが気になって……興味ないってのは本当かなってさ」
ほむら「……」
剣崎「ほむらちゃん?」
ほむら「……いいのよ。私の目的は鹿目まどかの契約の阻止、それだけ」
剣崎「そっか……あのさ、俺……」
ほむら「……巴マミが帰ってくるまで、少しだけ話をしましょうか」
剣崎「話?」
ほむら「えぇ、魔法少女についてよ。仮面ライダーさん?」
剣崎「はは……仮面ライダーか」
ほむら「本に書いてあるのとはずいぶん容姿が違ったけれど……ジョーカーっていうのが仮面ライダー、じゃないの?」
剣崎「……昔、俺が変身してた仮面ライダーは別物だよ」
ほむら「……そう。その力は?」
剣崎「いろいろあってさ。人間じゃなくなっちゃったんだよ」
ほむら「人間じゃ、なくなった?」ピクッ
剣崎「うん、でも後悔なんてしてない。人間じゃなくても人は愛せるんだから」
ほむら「あなたは……元は人間なの?」
剣崎「うん、まぁ……一応」
ほむら「……」
剣崎「ほむらちゃん?」
ほむら「……いつまでならこの街にいられるの?」
剣崎「……マミちゃんが説得できたらすぐにでも離れる気だけど」
ほむら「そう……人間を愛してるというのは本心ね?」
剣崎「あぁ、俺が戦える理由で戦う理由だからな」
ほむら「……あなたの力を貸して欲しい」
剣崎「力……? でも、俺は」
ほむら「およそ1ヶ月後、この街に最強最悪の魔女が現れる」
剣崎「……なんだって?」
ほむら「名前はワルプルギスの夜……結界に身を隠すことすらしない。一般人にはスーパーセルとして認識されるわ」
ほむら「その実力はすさまじい。ベテランの巴マミですらかなわないでしょう」
ほむら「そしてなにもせずにいればこの街は廃墟と化すわ」
剣崎「そ、そんなに……?」
ほむら「えぇ。ワルプルギスの打倒が私の最初の目的」
剣崎「……」
ほむら「さっきのあなたの力は素晴らしかった。力を貸して欲しい」
剣崎「……わかった」
ほむら「ありがとう、それで……」
剣崎「だけど条件がある」
ほむら「……条件?」
剣崎「隠し事は無しにしようぜ、ほむらちゃん」
ほむら「……っ」
剣崎「そんなすごいのが来るなら……なんでまどかちゃんを魔法少女にするのに反対してるんだ?」
ほむら「……なんだっていいでしょう」
剣崎「よくない。ごまかしたまんまじゃダメだ!」
ほむら「私には私なりの事情があるの。あなたには関係ない」
剣崎「関係ある! 一緒に戦うんだろ!?」
ほむら「……」
剣崎「なぁ、なんでなんだ?」
ほむら「……魔法少女が、人間ではないから」
剣崎「……なに?」
ほむら「私たちの本体はこのちっぽけなジェムよ」スッ
剣崎「……詳しく、聞かせてくれ」
剣崎「魂が……宝石に……」
ほむら「そして絶望しかない戦いに身をおくことになる。一般人の彼女には荷が重いでしょう?」
剣崎「……」
ほむら「新しい魔法少女なんて増えないほうがいいのよ」
剣崎「そうだったのか……」
ほむら「そう。あなたはすでに戦う力がある……ワルプルギスの夜相手には戦力があるにこしたことはない」
剣崎「でも、暴走したりしたら……」
ほむら「人を愛しているんでしょう?」
剣崎「あぁ、それは嘘じゃない」
ほむら「……あなたなら大丈夫だと思えるのよ、仮面ライダーブレイド」
剣崎「ウェッ!?」
ほむら「バカバカしい空想だと思っていた」スッ
剣崎「虎太郎の本……」
ほむら「それでも、この本にでてくるヒーロー……仮面ライダーは憧れだったわ」
剣崎(……すごい、ずいぶん読んだあとがある)
ほむら「……どんな逆境もあきらめず、奇跡を自らの手で起こしてきた」
剣崎「……」
ほむら「私たち魔法少女のような偽りの奇跡じゃないそれは……うらやましかった」
剣崎「なんで……俺がブレイドだったってわかったんだ?」
ほむら「『特集! 筆者が選ぶ仮面ライダー達の名言!』ってコーナーがあるの」
剣崎「うぇっ……! こ、虎太郎のやつ!」
ほむら「人を愛しているから戦う……変わってないのね」
剣崎「……変わったよ。今の俺は人間じゃない」
ほむら「私たち魔法少女だって人間じゃないわ」
剣崎「……」
ほむら「あなたがアンデッドになった理由は知らない。でも……」
剣崎「……本当にダメだと思った時は、みんなの前から消えるよ」
ほむら「……諦めの悪さがウリじゃなかったのかしら?」
剣崎「ジョーカーの力の制御は完璧じゃない。傷つけてからじゃ遅いんだ」
ほむら「……ブレイド」
剣崎「俺はもう、ブレイドじゃない」
ほむら「なら……なんて呼べばいいの?」
剣崎「好きに呼んでくれ。俺は剣崎、ジョーカーだ」
ほむら「そう。そうさせてもらうわ……私は暁美ほむら。改めてよろしく」
ほむら「……それから、ソウルジェムが本体であることは他のみんなには秘密にしたいのだけど」
剣崎「……あぁ、わかった」
ほむら「巴マミは強い魔法少女である以上に弱いただの少女なの。頼んだわよ」
剣崎「あぁ、頼まれた! ……って何を?」
ほむら「……本気で言ってるの?」
剣崎「うぇっ?」
ほむら「……いえ。なんでもないの、気にしないで」
剣崎「ちょっ……ほむらちゃん?」
ほむら「そろそろ巴マミも帰ってきそうね……」
剣崎「な、なぁ……」
ほむら「私はそろそろいくわ。巴マミのこと、くれぐれも気をつけてあげて」
剣崎「……わかった。ほむらちゃんも気をつけてくれ」
ほむら「私? 魔法少女が何に気をつけて帰るのよ」
剣崎「強い魔法少女である以前に弱い少女、なんだろ?」
ほむら「……バカね。私は別よ」
剣崎「でも気をつけろよ、危ないこともいっぱいあるし!」
ほむら「ご忠告ありがとう……それじゃあまた」
剣崎「あぁ、また今度」
テクテクテク……
剣崎「……普通に歩いて帰るんだな」
ほむら「魔力を無駄に使いたくないからよ」
――
剣崎「……おかえり、マミちゃん」
マミ「……剣崎、さん」
剣崎「……」
マミ「あ、あの……私は、その……」
剣崎「マミちゃん」
マミ「は、はい」
剣崎「……俺のこと、怖い?」
マミ「……少し、だけ」
剣崎「そっか……うん、少しね」
マミ「で、でも! 助けてくださったし!」
剣崎「ありがとう、マミちゃん」
マミ「えっ?」
剣崎「……しばらく、この街にとどまろうと思うんだ」
マミ「剣崎さん……」
剣崎「マミちゃんが本気で拒絶するなら、立ち去る気だったけど……少しっていってくれて嬉しいよ」
マミ「……」
剣崎「俺、ジョーカーの力は使いこなせてないけど精一杯の手伝いはするからさ!」
マミ「……よかった……剣崎さん……」
剣崎「いや、まぁ……それから」
マミ「……どうしたんですか?」
剣崎「ほむらちゃんがさ、力を貸してくれって言ってたんだけど……」
マミ「暁美さんが……?」
マミ「ワルプルギスの夜……! まさかそんなことが……」
剣崎「俺にも力を貸してくれ、ってさ」
マミ「……大丈夫なんですか?」
剣崎「ん、まぁやれるだけはやらないとな!」
マミ「そうじゃなくて、その……」
剣崎「みんなを守りたいから……やれることは、やらなきゃ。だろ?」
マミ「……」
剣崎「素質があっても、普通の子を巻き込むのは反対だってさ」
マミ「そうですか……」
剣崎「大丈夫、俺たちでなんとかしてやろうぜ!」
☆同時刻 風見野
QB(……やれやれ、人の心を持ったジョーカーか。面倒だね)
QB(だけど、まどかを諦めるのは惜しい……)
QB(だから、ボクは―――)
杏子「おい、キュゥべぇ?」
QB「おっと、ごめんよ杏子。少し考え事をしてたんだ」
杏子「おいおい……それで、本当なの? イレギュラーの魔法少女に魔女以外の化け物まで沸いたって」
QB「あぁ、今の見滝原は混沌としてるよ」
杏子「ふぅん……マミのやつは?」
QB「生きているけど……イレギュラー達に翻弄されているね」
杏子「……いってみようかな、見滝原」
QB「そう……気をつけてね、杏子」
QB(―――杏子、キミを使わせてもらうよ)
書き溜めないからここから速度落ちる
ちょっとご飯食べてくる
☆ 後日 見滝原
マミ「……」
剣崎「どうしたんだ? マミちゃん」
マミ「美樹さんのことなんですけれど……」
剣崎「うん?」
マミ「どうやら幼馴染の子の手が動かないからそれを治すために契約を考えてるみたいなんです」
剣崎「手が動かない……?」
マミ「はい、現代の医療じゃどうしようもないらしくて」
剣崎「そうか……」
マミ「剣崎さん?」
剣崎「ん、どうした?」
マミ「いえ、どうすればいいと思いますか?」
剣崎「そうだな……俺は……」
剣崎「……やっぱり、やめておくべきだと思う」
マミ「どうしてですか?」
剣崎「誰かのために戦えるのはすごいけど……簡単じゃないと思うんだ」
マミ「でも、その幼馴染の男の子の腕は……」
剣崎「……アテがある」
マミ「えっ?」
剣崎「現代の医療じゃ無理でも……橘さんなら……」
マミ「たちばなさん……?」
剣崎「あぁ、話したことあるよな? 俺の頼れる先輩だ!」
マミ「で、でもずっとあっていないんじゃ……」
剣崎「……連絡がとれないわけじゃないんだ」
マミ「そうなんですか? ならなんで……」
剣崎「今の俺は……ジョーカーだから。親友に会ったら本能が暴走しかねない」
マミ「そんな……」
剣崎「でも、たぶん……事情を話せば橘さんだけが秘密できてくれるはずだからさ」
マミ「そんなのってあんまりです……」
剣崎「橘さんだけなら、力を貸してもらっても多分大丈夫……なはずだから」
マミ「……」
剣崎「落ち込まないでくれよ。さやかちゃんに治るかもって知らせてあげないと!」
マミ「そう……ですね。美樹さんに連絡してみます」
prrrr prrrrr
マミ「あらっ……電話?」
マミ「誰から……って、鹿目さんね。どうしたの?」ピッ
まどか『あっ、あの。私、いま、町はずれの工場に……それで、魔女のくちづけが……』
マミ「なんですって? わかったわ。すぐにいくから」
まどか『う、はい……きゃっ!? ダメ、仁美ちゃ』ブツッ
マミ「切れた……」
剣崎「ど、どうしたんだ?」
マミ「鹿目さんが魔女のくちづけをうけた友達を追いかけてるそうです。急がないと全員……」
剣崎「わかった……急ごう!」
マミ「はい!」
☆ 工場
剣崎「ここか! ……まどかちゃんがいない」
マミ「結界があります……入りましょう!」
剣崎「あぁ、わかった!」
ザザザザザッ……
マミ「……ここは」
剣崎「ぐにゃぐにゃしてて気持ち悪いな……あっ、あそこ!」
マミ「えっ? ……あっ!」
まどか「や、やめっ……」グニャァッ…
使い魔「ケタケタケタ」グイッ
マミ「やめなさい!」バンバン!
使い魔「キュゥッ!?」
マミ「鹿目さん、大丈夫!?」
まどか「ありがとう……ございます……なんとか……」
マミ「よかった……さぁ、魔女は……」
エリー「……」フワフワ
マミ「私の大切な後輩を傷つけようとするなんて……覚悟はいいわね?」バババッ
エリー「……キャキャッ」パッ
マミ「……?」
エリー『マミ、今日は楽しかったな』
マミ「パ、パ……の……」
エリー『明日も……うわあっ!?』
マミ「や、やめなさい! その先は……」
使い魔「ケタケタケタケタ……」グイッ
マミ「きゃっ……や、やめて……!」
剣崎「マミちゃん! くそっこいつら……」バキッ
使い魔「ケタケタケタケタ……」ワラワラ
エリー『さぁ、キミの願いはなんだい?』
エリー『助けて、だね……さぁ。キミの願いはエントロピーを凌駕した!』
マミ「やだ……やめて……みたくない……!」
エリー「……キャキャッ」パッ
剣崎「このっ……はなせ!」ドガッ
使い魔「ケタケタケタ」
エリー『コウちゃんがいないんです……探してください! お願いします!』
エリー『ダメだマミ! キミのリボンに対してこいつは相性が悪すぎる! ひくんだ!』
エリー「キャキャキャキャ……」パッ
マミ「守れなかった……男の子……」
剣崎「しっかりしろ、マミちゃん! マミちゃん!?」
マミ「あっ……あぁ……」ズズ…
剣崎「んの……こうなったら……」グッ
??「ハァァァアアア!」
ザンッ
エリー「キャッ……!?」
ズバッ! ザンッ! ザクッ! ザザザザ…
??「これで、ラストォ!」
ザンッ!
エリー「キャッ……」シュウゥゥ…
剣崎「なっ……君は……」
さやか「……魔法少女さやかちゃん、ただいま参上。なんちゃって?」
マミ「美樹さん……あなた……」
さやか「すいませんマミさん! 私やっぱり魔法少女になっちゃいました」
マミ「……後悔しないのね?」
さやか「えぇ、私……この街を守りたいんです」
マミ「恩人になりたかったのか、助けたかったのか……考えた?」
さやか「……まだ、わかりません。でも戦ってればきっとわかると思うから」
マミ「そう……」
剣崎「……」
さやか「……あの時はありがとう、おじさん。でもこの街にはもう私もマミさんもいるから……」
マミ「み、美樹さん?」
さやか「助けてくれたのは感謝するけど……いつ人を襲うかわからないんでしょ?」
剣崎「……襲わないようにはしたいけどな」
さやか「なら、この街を守る人はもう十分いるよね? 私とマミさん。あと転校生も……」
剣崎「それは、できない」
さやか「なんで?」
剣崎「この街に……とんでもないのが来るらしいから」
さやか「……なにそれ」
マミ「私が話すわ……聞いてくれるかしら、美樹さん」
さやか「……わかりました。なんですか?」
マミ「この街に来ようとしてる……ワルプルギスの夜のお話よ」
さやか「そんなのが……」
マミ「だからこの街を守る戦力は一人でも多いほうがいいのよ……剣崎さんの力も借りたいの」
さやか「でも、転校生だって変な奴なのにおじさんまで……」
マミ「でも……剣崎さんは仮面ライダーなのよ?」
さやか「仮面ライダーって……だったら変身してみてくださいよ! 私の知ってる仮面ライダーは化物なんかじゃない!」
マミ「美樹さん!」
さやか「あっ……と、とにかく。私は反対ですから!」ダッ
タッタッタッタッタ……
剣崎「……はは、化物かぁ」
マミ「け、剣崎さん……その……」
剣崎「久々にいわれたかもしれないな。……うん、大丈夫だからさ」
マミ「大丈夫って、でも」
剣崎「実際俺は人間じゃい……だけど言っちゃったほうも傷つくはずだから、フォローしてあげてほしいんだ」
マミ「……わかりました。またあとで」
剣崎「あぁ。頼んだ!」
タッタッタッタッ……
まどか「……あ、ありがとう、ございました」
剣崎「ん、無事だったみたいでなによりだ」
まどか「それで、その……ワルプルギスって……」
剣崎「あぁ、大丈夫だよ! マミちゃんや俺、それに……さやかちゃんも戦ってくれるんだし、ほむらちゃんもいる」
剣崎「な?」
ほむら「……気付いていたのね」
>>150
2行目、人間じゃいってなんだよ
人間じゃない、だ
剣崎「あのさ、ほむらちゃん」
ほむら「……美樹さやかが契約してしまうのは想定外だけど。確かに戦力的には増加と見れなくはないわ」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「ただ、鍛え上げる必要がある……鹿目まどか。あなたが契約する必要はない」
まどか「で、でも……さやかちゃんも、戦うって……」
ほむら「誰かが戦っているから、混ざるために契約するなんて愚かすぎるわ」
まどか「うぅ……でも……」
剣崎「ほむらちゃん、そんな強く言わなくてもさ……」
ほむら「今、大切な話をしているのだけど」
剣崎「だったら素直に言っちゃえよ、まどかちゃんのことが心配だからってさ!」
ほむら「なっ……」
まどか「えっ?」
剣崎「ほむらちゃんはまどかちゃんに危険な目にあってほしくないんだってさ!」
ほむら「あ、あなたって人は!」
まどか「ほむらちゃん……なんで……? 私なんて、なにも出来なくて……」
ほむら「……そんなこと、ない」
まどか「ほむら、ちゃん……?」
ほむら「まどか、あなたは……私の希望なの。お願いだから契約はしないで……」
まどか「う……うん……」
ほむら「……絶対に、契約をしてはダメなの。戦いに巻き込みたくないだけじゃない……こんなことに、あなたを……」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「……約束してほしいの。身勝手なお願いだとは分かってるけど……」
まどか「……う、うん。もう少し考えてみる……」
ほむら「ありがとう……ワルプルギスはきっと倒して見せる。あなたの力が無くても平気だから……」
まどか「……うん。がんばってね」
ほむら「えぇ、私は……あなたを助けてみせるから」
まどか「……?」
ほむら「……こっちの話。さぁ、ちょっと話したいことがあるのだけど」
剣崎「ん……俺か?」
ほむら「えぇ、これからについて大切なお話が……ね」
まどか「あの、私は……」
ほむら「ごめんなさい、まどか……そういうわけだから、ね?」
まどか「そっか……わかった。また明日」
ほむら「えぇ、またね」
剣崎「それで、どうしたんだ? 話って」
ほむら「……美樹さやかが契約してしまった以上、阻止に全力を出さないといけない」
剣崎「阻止って……なにを?」
ほむら「あなたには、ソウルジェム最後の秘密と……私が戦う理由を教えてあげる」
剣崎「ソウルジェムの秘密と……戦う理由?」
ほむら「隠しておきたかった……でも、いきなり事実に直面することになるよりはきっとマシだから」
剣崎「なんのことかちっともわからない、どういうことだ?」
ほむら「……私の、祈りと。それによって知った真実を教えてあげる」
ほむら「それは―――」
剣崎「魔法少女が……魔女に……だって!?」
ほむら「……バカらしくて信じられない?」
剣崎「いや、信じる。ほむらちゃんが魔法少女になるのを止めてた理由に納得できたよ」
ほむら「……ありがとう。美樹さやかは高確率で魔女になってしまうの」
剣崎「その……阻止する方法は?」
ほむら「なかなか難しいわね……上条恭介との仲がうまくいくか、あるいは……」
剣崎「あるいは?」
ほむら「……」
剣崎「どうしたんだ?」
ほむら「いえ、それ以外のパターンはなかった気がして……」
剣崎「なんだって!?」
ほむら「あなた、恋愛相談ぐらいならできない?」
剣崎「ウェッ……俺が? むりむりむり!」
ほむら「まぁ、でしょうね」
剣崎「でしょうねってひどいな!?」
ほむら「だって……ねぇ?」
剣崎「ねぇってなんだよねぇって!」
ほむら「……ふふっ」
剣崎「ちょっ、なんだよ……」
ほむら「あなたって不思議な人ね。人間じゃないどころか人を殺す魔女になるって聞いたのに私達を助ける気でいるんだもの」
剣崎「当然だろ。みんな人間だ……俺はみんなを信じる」
ほむら「……ホント、バカ」
剣崎「また言った!」
ほむら「まぁ、とりあえず今日のところはここら辺にしましょうか」
剣崎「あ、あぁ」
ほむら「……美樹さやかはどうしようもない愚か者よ」
剣崎「なんだって?」
ほむら「ジェムの真実を……こっちが本体だってことを知っただけで上条恭介を諦めようとする」
剣崎「……」
ほむら「なにも知らないまま、魔法少女にもなっていない時はほぼ確実に結ばれているのにね……」
剣崎「そう、なのか……」
ほむら「勇気さえあるなら、どうにかなるはずなのにね」
剣崎「……でも、素直になるのって難しいよな」
ほむら「あら、弱音?」
剣崎「ほむらちゃんだってまどかちゃんに戦う理由を告白できなかったじゃないか」
ほむら「……それも、そうだけど。いきなり言うようなことでもないでしょう」
剣崎「ほら、そういうもんなんだよきっとさ」
ほむら「……ふぅ、そうね」
剣崎「な? とりあえず今はさやかちゃんの恋を応援しちゃおうぜ!」
ほむら「あなた、嫌われてるみたいだけど?」
剣崎「……恋愛相談してみろっていったくせに」
ほむら「いってみただけよ……そうね。いろいろ手はうってみましょう」
剣崎「嫌われ者コンビ結成だな!」スッ
ほむら「……ずいぶんないいようね」ギリギリ
剣崎「いてててて! いや、だってさやかちゃんすっげぇ警戒してるみたいだったし!」
ほむら「私も美樹さやかに好かれてるとは思ってないけど、改めていわれると腹立たしいもの、ねっ!」ギッ
剣崎「いたい! ちょっ、ほむらちゃん、勘弁して!」
☆ 数日後 路地裏
さやか「さーってと……むむっ、この反応は……」
マミ「えぇ、これは使い魔……ね」
さやか「でも人を襲うんですよね? 倒さないと!」
マミ「そうね。ところで美樹さん……」
さやか「……おじさんの話ですか?」
マミ「いえ、それだけじゃなくて……暁美さんのこともちょっと」
さやか「2人とも得体が知れないじゃないですか……正体不明の魔法少女に仮面ライダーを名乗る怪物なんて」
マミ「そうだけど……2人ともそこまで悪い人だとは思えないの」
さやか「マミさんは騙されてるんですよ。甘すぎです」
マミ「でもね、美樹さん。私達を助けてくれたのは事実なのだし……」
さやか「油断させるための作戦かもしれないじゃないですか」
マミ「あのね、美樹さん……」
さやか「ワルプルギスってのがどんだけすごいかは知らないですけど……私は一緒に戦うのだって反対です」
マミ「……」
さやか「……すいません。さっさと片付けましょう」
マミ「……えぇ」
ザザザザザッ……
さやか「……あれ? 誰かいる……」
マミ「え? ……あ、あれは」
杏子「……ふぅん? まだ甘っちょろいことやってるんだ」
マミ「佐倉さん……!?」
さやか「えっ、知り合いなんですか?」
杏子「……そっちのは新入りか。マミにつくなんてやめときな?」
さやか「どういう意味? ちょっと気に入らないんだけど……」
杏子「なぁに、警告だよ……使い魔なんて狩ってもいいことないよ?」
さやか「街の人を襲うだろ!」
杏子「それがどうした。グリーフシードを孕ませるためには人を食わせたほうがいいんだぜ?」
さやか「なっ……」
マミ「……佐倉さん、どうしてこの街に来たの?」
杏子「イレギュラーに振り回されてるあんたが見れるって聞いてね。そっちの新人のこと……じゃなさそうだけど」
マミ「……」パァッ
杏子「へぇ、やる? 前みたいにノされたいの?」
ほむら「やめなさい」パシッ
さやか「て、転校生! どこから……」
マミ「……暁美さん」
ほむら「まったく、なにをしてるかと思えば……」ギロッ
杏子「……あんたが噂のイレギュラー?」
ほむら「えぇ、まぁそうなるかしら……佐倉杏子」
杏子「……アタシのこと知ってるんだ?」
ほむら「少しね」
ほむら「あなた……」カチッ
杏子「うわっ!?」
ほむら「ここはいったん引いてもらえるかしら?」シュンッ
杏子「ど、どういうことだよ……」
ほむら「少しこの2人に話があるの……やりあいたいっていうのなら手加減はしないけど?」
杏子「……そこの使い魔は?」
ほむら「私はどっちでもいいけれど。2人のどちらかが狩るでしょうね」
杏子「そうかい……」
ほむら「さぁ、どうする?」
杏子「……ひくよ。能力がわからないままやりあうのは面倒そうだしね」
ほむら「そう。ありがとう」
杏子「……」チラッ
さやか「な、なによ」
杏子「マミと一緒にいても……ろくなことないよ。バイバイ」ジャラッ…
ギャリギャリギャリギャリッ!
さやか「ま、待て! おい!」
マミ「……佐倉さん……」
さやか「マミさん、あいつっていったいなんなんですか!?」
ほむら「おちつきなさい、美樹さやか」
さやか「転校生! あんただっていったい……」
マミ「……大丈夫だから、美樹さん。とりあえず暁美さんと話をしましょう」
☆ ファーストフード店
ほむら「……」
マミ「……それで、話って?」
ほむら「佐倉杏子についての話なのだけど」
さやか「あんたもあいつのこと知ってるの?」
ほむら「少しだけ、ね……巴マミ」
マミ「……なにかしら」
ほむら「私は、あの子をワルプルギスの夜との戦いの戦力としてカウントできないか考えているの」
マミ「……あの子を?」
ほむら「えぇ、ベテランである彼女は貴重な戦力よ」
さやか「そんなの反対! あいつ、使い魔が人を襲うって知ってたのに見逃そうとしたんだよ!?」
マミ「……私は……」
ほむら「……過去にモメたことがあるのは知っているわ」
マミ「どこでそれを……!?」
ほむら「どうやら、美樹さやかはキュゥべぇが契約した覚えのない私に対して警戒心を覚えているようね」
さやか「あったりまえでしょ!」
ほむら「……巴マミ。あなたは人を信じることはできる?」
マミ「素性を明かしてくれない相手のことはそこまで……ね」
ほむら「……そう」
マミ「なぁなぁできたけれど、あなた自身のことはそこまで信頼してない……助けてくれたり、忠告はありがたかったけれど」
ほむら「わかった……このまま話を続けても平行線になるでしょうし……巴マミ。あなたが少し安定している今なら……」
マミ「?」
ほむら「こちらの話よ。私の願いと……私の能力について、教えるわ」
さやか「まどかを助けるため……?」
ほむら「えぇ。そして出会いをやり直す力と……」カチッ
スッ
ほむら「時間停止能力を、手に入れた」シュンッ
さやか「わわっ……」
マミ「……そう。暁美さんが私達のことを知っていたのはそれで?」
ほむら「そういうことになるわね……」
さやか「……転校生、あんた」
ほむら「……まどかを、危険な目にあわせたくない。これは本心よ」
マミ「……その言葉。信じるわ」
さやか「マミさん!?」
マミ「私と佐倉さんの過去……それを知っている人は少ない」
マミ「調べるにしても、その細かな背景の伝え方はまるで……」
マミ「……ふふっ、そうね。暁美さん」
ほむら「……なにかしら」
マミ「今度、紅茶を入れてくれない?」
ほむら「紅茶……? なんでそんなことをしなければいけないのかしら」
マミ「私と一緒に戦ってくれたこともあるのなら……紅茶の入れ方ぐらいは教わったんじゃない?」
ほむら「……まぁ、一応ね」
マミ「その味で、確かめてみちゃいましょ?」
ほむら「……あなたって人は……まったく……」
さやか「……」プルプル
マミ「ねぇ美樹さん。信じてみるのも……」
さやか「もういい!」バンッ
ほむら「まちなさ……」
さやか「追ってこないで。一人になりたいの」
ほむら「……そう」
さやか「すいません、マミさん。頭冷やしてきますから」
マミ「美樹さん、あなた……」
ほむら「……」
さやか「転校生がまどかを守るためにタイムスリップしてきた未来人だなんて……急にいわれても仕方ないじゃん」
ほむら「そうね……でも、まどかを守りたいのは本心なの」
さやか「それはさっきも聞いた……だから、考えてくる。一人でね」
ほむら「美樹さやか……あなた……」
さやか「ごめん、転校生。じゃあね」
マミ「……美樹さん」
さやか「……転校生が未来から?」
さやか「まどかが契約したら死んじゃうなんてそんなの……」
さやか「……あっ、私がどうなるかも知ってたってこと?」
さやか「……なら、これから……」
さやか「……」
ドンッ
さやか「いたっ……ご、ごめんなさい!」
剣崎「いやいやこちらこ……そ……?」
さやか「あっ! おじさん!?」
剣崎「さ、さやかちゃん」
☆ 公園
剣崎「さやかちゃん、飲む?」
さやか「ん……ありがと」
剣崎「どうしたんだ? あんなところうろついてたら危ないぞ」
さやか「……」
剣崎「……あはは、やっぱり俺が人間じゃないから話すの嫌、とか?」
さやか「ちょっと……考え事してるだけ」
剣崎「そうか……あのさ……」
さやか「ねぇおじさん」
剣崎「ウェッ?」
さやか「……おじさんって本当に仮面ライダーだったの?」
剣崎「あ……あぁ、そうだぜ!」
さやか「へぇ……じゃあなんで怪物なんてしてるの?」
剣崎「いろいろあって……」
さやか「詳しく教えてよ。なんか……いろいろわかんなくなってきちゃった」
剣崎「……さやかちゃん?」
さやか「転校生が未来から来たっていって……マミさんが死んでたかもって」
剣崎「……」
さやか「でも、おじさんは初めてみた例外だって。聞いたからさ」
剣崎「そっか……ほむらちゃんの話、聞いてくれたんだな」
さやか「……マミさんが一緒だったから仕方なく。でも考えてみれば納得もできなくはないかなって」
剣崎「そうか……じゃあちょっとだけ……」
さやか「話してくれる?」
剣崎「俺が、人間を辞めた理由だよな?」
ごめん
本気で体調悪い。明日続きから書くから落としてくれ
俺はこれで3回目だもんな、いいかげんにしろって話だよな……
昼。同じタイトルで
今から寝る。本当にすまん
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