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東京
咲「和ちゃん久しぶりだね」
和「はい、お久しぶりです咲さん」
咲「和ちゃんが臨海女子に転校してから、なかなか会えなくて寂しかったよ」
和「私もです咲さん」
和(寂しさのあまり一日三回の咲ニーが欠かせなくなりましたよ)
咲「え?今なにか言った?和ちゃん」
和「いえ、特に何も」
咲「で、今日は何の用事なんだっけ?」
和「実は私、この間テレビ出演したのですが」
咲「へえ、さすがは和ちゃん。相変わらず人気者だね」
和「いえ、それほどでも。…それでですね、その出演のお礼にスタッフさんがデモCDを作ってくれるということになりまして」
咲「デモCD?」
和「私達の歌った曲をデモCD化してくれるということです」
咲「和ちゃんのCDかぁ、出来上がったら私にも聞かせてね」
和「何を言ってるんですか、咲さんも参加するんですよ」
咲「えええええーっ!?」
和「スタッフさんがお友達もどうぞと言ってくれましたので、咲さんを推薦しておきました」
咲「わ、私歌とか苦手だよぉ」オロオロ
和「そうですか?私は好きですよ、咲さんの歌声」
咲「え、そ、そうかな」
和「はい。CDジャケットまで撮影してくれるということですし、せっかくなので一緒に参加しませんか?」
咲「…そうだね、うん分かったよ和ちゃん」
~~~~~~~
数日後
和「…ふふ、ふふふふふふふふふ………」
和「咲さんの歌声…何度聞いてもすばら!です」
和「あの時咲さんには話しませんでしたが、咲さんの歌った曲は完全オリジナルなんですよね」
和「スタッフさんお遊びで作った曲を、歌詞を変えて咲さんに歌ってもらったそうなんですが…」
和「雰囲気が咲さんにピッタリなんですよね、この曲」
和「iPhoneに入れて四六時中聞いてても、聞き飽きることがないです!」
和「~♪」
ダヴァン「おや、和サン。何を口ずさんでるのデスか?」
和(あ、いけない。今は部活中でした)
ハオ「何やら聞いたことのない曲でしたが…」
和「ええと、そんなに有名な人ではないので」
和(まあ実際は目の前の皆も知ってる人物なのですが)
和「最近、すっごくはまっている歌で、いつも聞いているんです」
ネリー「へー。今も持ってるの?」
和「iPhoneに入れてますし、ありますよ」
ダヴァン「あの、良かったら私にも聞かせてくれまセンカ」
和「え…」
ネリー「ワタシも聞きたーい!」
和(本来ならば皆が咲さんの歌声を聞きたいと言ってくれてるんですし、思う存分自慢したい)
和(咲さんの歌声の素晴らしさを語り合いたいところですが…)
咲『絶対に他の人には聞かせないでね!恥ずかしいから!』
和(なんて念を押されている以上、そういうわけにはいきませんよね…)
和(ここはやっぱり丁重にお断りしましょう)
和「あの、みなさ…」
ネリー「あ、このiPhoneに入れてあるの?」ヒョイ
和「あっ!」
ダヴァン「どれどれ…おお、これはすばらな歌声デス!」
明華「癒されますね~」
和(…まあ、咲さんにバレなければいいですよね)
和「そうでしょうそうでしょう。もっと褒めてください皆さん!」
ネリー「うん、すっごくイイよ!」
ダヴァン「聞いてて居心地がいい声デスネ」
和「さすが皆さん、よく分かってますね」
智葉「ん、皆なにしてるんだ?」
ダヴァン「あ、メグも聞いてください!凄くいい曲なんデス!」
智葉「ほう。誰の歌だ?」
和「それは……無名の新人です」
智葉「そうか。そんなにいい曲なら、入場はこれにするか?」
ネリー「うん、すっごくイイよ!」
ダヴァン「聞いてて心地がいい声デスネ」
和「さすが皆さん、よく分かってますね」
智葉「ん、皆なにしてるんだ?」
ダヴァン「あ、智葉も聞いてください!凄くいい曲なんデス!」
智葉「ほう。誰の歌だ?」
和「それは……無名の新人です」
智葉「そうか。そんなにいい曲なら、入場はこれにするか?」
和「え…」
智葉「どれどれ。イヤフォン貸してくれ」
和「にゅう、じょう…?」
智葉「ああ、今度非公式の麻雀大会があるだろう。そこで決勝は、チームの入場時に曲を流すことになっている」
ネリー「へー、面白そう!」
智葉「で、一応全チームが事前に1曲登録しておくんだそうだ」
智葉「決勝で好きな曲が流れることを想像して、まあ、モチベーションを高めろってわけらしい」
和「………」
和(こ、これは何やらキケンな雰囲気になってきましたね…)
咲『清澄は人数が足りなくて出場できないから、皆で和ちゃんの応援に行くね』
和(ああ蘇る昨夜の電話…これはヤバイです)
和(ここは何としても阻止しなければ!)
和「あ、あの!」
ネリー「ん?和のカバンから何かのCDがはみ出てるよ」
ネリー「このジャケットの人…宮永咲さん?」
和「ああああああああああ!!」
ダヴァン「ああ!さっきの歌声は宮永サンだったんデスネ!」
ネリー「どうりで聞いたことのある声だと思ったよ!」
智葉「…よし。この曲にしよう」
和「ちょっっっっと待ってくださいっ!!!!!」
智葉「何だ原村?」
和「わ、私は断固反対ですっ!!」
ネリー「えー、ネリーもこの曲がいいなー」
ダヴァン「ワタシもデス」
智葉「よし、では皆で多数決といこうか」
和「ちょっ…」
智葉「この曲を入場曲にするのに賛成の者」
ネリー「はーい!」
ダヴァン「ハイ!」
明華「はい」
ハオ「はい!」
智葉「…原村以外の者が賛成。というわけで…」
智葉「今度の大会、入場曲はこの曲に決定とする」
和「」
ネリー「ねえねえ和、このCDダビングさせて!」
ダヴァン「ワタシもお願いシマス!」
明華「白糸台にいるお友達にも聞かせてあげたいです」
和「」
こうして臨海女子の入場曲は決まった
そして咲のCDの存在も他の高校へと広まっていった…
~~~~~~~
大会決勝当日
和(ああ…ついにこの日がやってきてしまいました…)ガクガク
和(まさかうちの高校が決勝まで残ってしまうなんて…)ブルブル
智葉「さあ、皆いくぞ。非公式の大会とはいえ気合を入れろよ」
ネリー「はーい!」
優希「のどちゃ~ん、応援にきたじぇ~!」
咲「和ちゃん頑張って~!」
和(あああああ咲さん!来てしまったんですね…)ガクブル
アナウンサー「それでは決勝に勝ち進んだ4校の入場です」
ダヴァン「いよいよデスね。わくわくしマス!」
和(あああああ嫌だ嫌だ嫌だいやだ)
和(逃げ出したい怖い怖い逃げ出したい怖い)
アナウンサー「ここまで勝ち上がってきた臨海女子、白糸台、姫松、そして龍門渕」
アナウンサー「この4校が今、会場の四隅にスタンバイしています!」
和「…ん?」チラリ
照「」ドヨーン
恭子「」ドヨーン
アナウンサー「今回、各校の皆さんには入場曲として、一曲ずつ登録していただいています」
アナウンサー「そして、これは偶然なのでしょうか。決勝に進んだ4校すべてが同じ曲を登録しています!」
和「!!」バッ
照「!!」バッ
恭子「!!」バッ
和(…ああ、この人達も咲さんCDの存在を知ってしまったんですね)
和(そして私と同じあやまちを…)
恭子(普段は宮永をめぐるライバルとして気の許せない奴らやけど…)
照(今、私達の心はひとつ…)
和恭照(死ぬときは一緒だ…!!)
まこ「4校とも同じなんて、そんな偶然あるんじゃのう」
久「今流行りのアーティストとかかしら?」
咲「でもどんな曲なのかすごく楽しみですね!」ワクワク
アナウンサー「本日の3校は、この曲のデータをタイトル不明で提出して頂いたのですが、龍門渕高校だけはタイトルをつけて登録していただいたので」
アナウンサー「本日はこのタイトルで紹介したいと思います」
衣「ふっふーん」ドヤア
和(あ、天江さん…!余計なことを…!)ギリイ
アナウンサー「それでは登場していただきましょう。入場曲はこちら」
アナウンサー「宮永咲キャラクターソングです!!」
咲「」
~~~~~~~
アナウンサー「…試合終了!優勝は白糸台高校です!!」
アナウンサー「それでは優勝校のヒーローインタビューに移りたいと思います」
アナウンサー「本日は優勝おめでとうございます!宮永さんから見て、今日の試合はいかがでしたか?」
照「……」
アナウンサー「宮永さん?どうかしましたか?宮永さ…」
照「咲いいい!!この会場にいるんでしょう?この件に関しては本当に悪かった!!」
照「反省してる!出来心だったんだ!こんなことをして咲が許してくれるとは思わない。しかし私たちは咲をいつだって自慢したいんだ!!」
照「許してくれとは言わないけど、その気持ちだけは理解してほしい!!お願いだ…!!」
シーン…
久「熱弁中に悪いんだけど、咲なら激おこで帰ったわよ」
和「あああああ咲さんに嫌われるなんてそんなオカ…オカ…」
照「咲ぃ…お菓子あげるから戻ってきて…」
衣「衣、何か悪いことしたのかな…」
恭子「…メゲルわ」カタカタ
後に照の涙まじりのヒーローインタビューは、大会の伝説になったという
おわる
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