麻倉葉「ひぐらしのなく頃に」(855)

 

某日

梨花「今日はだいぶ遅くなっちゃったわね……沙都子、心配してるかしら」

梨花「……少し、急いで帰ったほうが良さそうね」

葉「なあ、何をそんなに急いでるんだ?」

梨花「!」

梨花(誰……?こんな人、この村じゃ見たことが……)

梨花「もう夜も遅いのです、子供のボクには怖い怖いなのですよ」

葉「そっか。オイラは夜、好きだけどな」

梨花「みぃ?」

葉「ウェッヘッヘ、ここいいなぁ。星が綺麗だ。すげえよく見える」

梨花「星はボクも好きなのです……それより、あなたは誰なのですか?このあたりでは見たことのない顔なのです」

葉「おお、こっちにはまだ来たばっかりなんよ。これからよろしくな」

梨花「よろしく……なのです」

梨花(雛見沢には来たばかり……でも、圭一以外に外部から誰かがやってくる未来なんて数少ないはず……)

梨花(特に……圭一たちと同年代が来たことなんて今までには一度も……)

翌日

知恵「……はい、朝の連絡はここまでですね」

魅音「ねえねえ圭ちゃん、今日の部活は何にしようか?」

圭一「そうだなぁ……原点回帰ってことでジジ抜きなんかいいんじゃないか?」

魅音「おっ、ここでジジ抜きを持ってくるか。なかなかいいセンスしてるねぇ」

知恵「ああ、それと皆さんにもう一つ。重大な連絡があります」

レナ「重大な連絡?何だろ、なんだろ?」

知恵「今日からしばらくの間、この学校に体験入学することになった生徒さんが二人います」

沙都子「体験入学……?初耳ですわね、そんなこと」

圭一「俺も知らなかったな、前から言ってたっけ?委員長」

魅音「さ、さあ……あはは、おじさん基本的にあんまり話聞いてないから」

知恵「じゃあ二人とも、入ってください」

葉「…………」

アンナ「…………」

梨花「!」

知恵「麻倉葉くん、それに恐山アンナさんです。みなさん、仲良くしてくださいね」

葉「なんというか、オイラは結構人見知りだけど色々とよろしく頼むぞ」

アンナ「よろしく」

魅音「……どう見る?圭ちゃん」

圭一「一人は見るからに……なんというかユルそうな感じだよな、あっちの女の子は……なんか敵に回したくないオーラを感じる」

魅音「うんうん、確かにちょいと怖い感じがするね。でも……おじさんは見抜いたよ、あの二人……相当できる!」

圭一「見抜いたって、どうやってだよ?」

魅音「いや、なんとなくだけど」

梨花「…………」

梨花(麻倉葉……昨日、古手神社で会った彼……そして、恐山アンナ……)

梨花(この世界は……今までに私が経験してきた世界とは明らかに違う?)

梨花(そして……)

アンナ「…………」

梨花(なぜ彼女は……ずっとこっちを見ているの……?)

―――
放課後

魅音「ちょっとお二人さん、転校初日からいきなりだけど、あたしたちとゲームしない?」

葉「げ、ゲーム?」

アンナ「あたしはパス」

魅音「まあまあ、そう言わないで!絶対損はさせないからさ」

アンナ「…………」

アンナ「そう、そんなに言うならやってもいいけど」

魅音「おっ、付き合い良いねぇ!」

アンナ「あたしの代理で、葉が」

葉「オイラがやるのか!?」

・・・

魅音「と、言うわけで……新入りの葉くんを加えてジジ抜き大会、始めるよ!」

沙都子「オーッホッホ、以前このジジ抜きで無残に敗れ去ったときの圭一さんの顔は忘れられませんわ」

梨花「また今回も圭一がビリになる気配がするのです、にぱー」

圭一「残念だったな沙都子、梨花ちゃん。今の俺を過去の俺と同じに見ている時点で二人は既に負けてるぜ!」

レナ「確かに圭一くん、色々なゲームを経験してきて勝負勘とかすっごく磨かれたよね」

葉「なんというか、お前らすげえ本気でやってるんだな」

魅音「どんな手を使ってでも全力で勝ちに行く、それがこの部活のルールだからね!」

魅音「なんと今回は!優勝した人にはビッグプレゼントがあるよ!」

圭一「プレゼント?」

魅音「フッフッフ……それはこれ!エンジェルモートのデラックスパフェ無料券(二名様まで)!」

レナ「は、はうぅ……それって確か最近追加されたエンジェルモートのメニューだったよね?」

梨花「豪華な分、値段もそれなりという高級品だったと思うのですよ」

アンナ「……ふーん、葉」

葉「ん?」

アンナ「勝ちなさい、絶対。どんな手を使ってでも」

葉「うええっ!?」

阿弥陀丸『はっはっはっ、なんだかんだでアンナ殿も甘いものが好きでござるな』

アンナ「あんたも協力すんのよ」ボソッ

阿弥陀丸『せ、拙者もでござるか!?』

魅音「よーし……じゃあ、始めるよ!」

・・・

圭一「まさか……こんなことが……!」

沙都子「この何でもありのジジ抜きを初めてやったはずの葉さんが……」

レナ「魅ぃちゃんと一騎打ちの状態になってる……!?」

梨花「これは……なんだかとんでもないことが起こっている気がするのです」

魅音「……やるねぇ。どうも全員の手札を見抜いてるみたいだけど、一体どんなからくりなんだろ?」

葉「……なんというか、すまん」

魅音「なんで謝ってんのさ、この部活じゃ勝つためにはなんでもありだからどんな手を使ったってオッケーなんだよ?」

葉「……それでも、なんかすまん」

葉(なんでもありって言っても、まさか……)

阿弥陀丸『葉殿、左から菱形の赤の3、5、黒の三つ葉の5、8、10でござる』

葉(阿弥陀丸が相手の手札を全部見て教えてくれてるとは言えねえよなぁ……)

魅音「何はともあれ……こりゃものすごい新人みたいだね、おじさんの目に狂いはなかった!」

葉「い、いやあ……そんな褒められるようなことはしてねえんだ」

魅音「でも!手札がわかるくらいでこのジジ抜きで優勝できると思ったら大間違いだよ」

葉「……ん?」

・・・

魅音「はっはっはっ、おじさんが優勝だね!」

葉「……すまんアンナ、負けちまった」

圭一「いや、でも初めてで二位になるなんてすごいぞ!」

梨花「さりげなく圭一がビリになってるのはナイショなのですよ」

圭一「ぎくっ」

沙都子「あら、圭一さん……このゲームが始まる前になんとおっしゃってましたっけ?」

沙都子「『今の俺を過去の俺と同じに見ている時点で』とかなんとか……もう一度言ってくださりませんこと?」

レナ「そ、そこまで言ってビリになっちゃったのは確かにちょっと恥ずかしいかな……かな」

圭一「うがあああああっ!?」

魅音「さて、優勝したのはおじさんだけど……個人的にはこのチケット、葉くんに譲ろうと思う」

葉「え?いいのか?」

沙都子「確かに、初めてにして私たちを押さえ込んで堂々の二位の椅子の座ったのでございますから……」

レナ「うん、それだけでも賞品を受け取るだけの価値はあると思うな!」

梨花「みー、僕も認めざるを得ないのです」

魅音「というわけで、はい葉くん。おめでとさん!アンナちゃんと二人で行ってきなよ」

葉「おお、ありがとう!」

アンナ「ちゃん付けで呼ばないで……って言いたいけど、ここは大目に見るわ」

魅音「よし……こうして、我らが部活に更なる強者が加わったところで今日の部活はお開きにしようか!」

―――

帰宅路

魅音「へえ、葉くんは出雲から来たんだ」

葉「ああ、まあ最近は東京だとかアメリカだとかに行って色々やってたんだけどな」

圭一「アメリカってすごいな、時間があるときに話とか聞かせてくれよ」

葉「おお、いいぞ!あんまり面白い話はねえけどな」

魅音「じゃあ二人とも、ここの道を真っ直ぐ行けば大通りに出るから。多分すぐに見つかると思うよ」

葉「色々とサンキューな」

レナ「じゃあ葉くんにアンナちゃん!また明日ね!」

圭一「今度は負けないからな!葉!」

沙都子「それでは二人とも、また明日に」

梨花「さよなら、なのです」

梨花(……ほんの少し引っかかる部分もあったけれど、総合的に見れば二人とも普通……ね。)

羽入『あうあう……本当にそうでしょうか?』

梨花(なにか思うところでもあった?)

羽入『僕はあの二人、ただ者ではないと思うのです』

梨花(魅音も言ってたわね……あの二人、相当できるって)

羽入『そう意味ではないのです……僕が言いたいのは……』

梨花(……羽入?)

羽入『あう……でも、気のせいかもしれないのです。今の段階では、ボクはあまり口を出すべきじゃないのですよ』

―――
エンジェルモート

葉「ここがエンジェルモートか、普通の喫茶店とはちょっと違う雰囲気だな」

アンナ「……そうね。店員がずいぶんと露出が多い服を着てる辺り、悪趣味だわ」

葉「なんか可愛いなー、ここの店員さん」

アンナ「…………」

阿弥陀丸『よ、葉殿……』

葉「……はっ!」

アンナ「いやらしいっ!」

パーンッッッ!

詩音「オーダーは決まりました?って……どうしたんです?そのほっぺた」

葉「ああ、気にしなくて大丈夫だぞ」

詩音「いや、そんな綺麗なもみじがついてたら嫌でも気になりますけど」

葉「ウェッヘッヘ、まあいつものことだからな…………あれ?」

詩音「?」

葉「なんで無料チケットくれたお前がここにいるんだ?」

詩音「え……え?」

葉「さっきみたいに髪まとめてなかったから分からなかったぞ」

詩音「あ、もしかして……お姉と間違えてるんですか?」

葉「お、お姉?」

アンナ「双子ってことでしょ、あんたと同じで」

葉「双子!?お前、魅音じゃねえのか!?」

詩音「残念、違いますよ。私は妹です、魅音は私の姉ですね」

葉「……はー、双子ってこんなに似るんだなあ」

アンナ「あんたは人のこと言えないでしょ」

詩音「フフ、じゃあ改めて……初めまして。園崎詩音です、お姉との見分け方は……そうですね」

詩音「綺麗で可愛いほうが私、汚くてばっちいほうがお姉って思ってくれれば分かりやすいですよ」

葉「あ、ああ。よくわからんけど、よくわかった」

アンナ「それよりあんた店員でしょ、注文してるんだから早く持ってきなさい」

詩音「はいはい、ただいまお持ちいたします」

詩音「デラックスパフェ二つ、お待たせいたしました」

葉「ウェッヘッヘ、こんなデカいパフェ食えるなんてオイラ幸せだ」

アンナ「そうね、遠慮せずに食べておきなさい」

葉「もう少し日常的にこういうの食えればなあ……」

アンナ「何言ってんの。今回はたまたまタダだったから注文したのよ、無駄遣いは許さないわ」

葉「…………うい」

詩音「あはは、彼女さんのお尻に敷かれちゃってるんですね」

アンナ「あんたはなんで勝手に座ってんの」

詩音「今はお客さんがいなくて暇なんです、ちょっとくらいいいじゃないですか」

葉「おお、オイラは別にいいぞ」

詩音「フフ、話が分かりますね……ところで、二人はこの辺じゃ見ない顔ですけど……」

葉「こっちにオイラたちが来たのもつい最近だからな、知らなくって当然だと思うぞ」

詩音「お姉と間違えたってことはお姉とは知り合いなんですよね?せっかくですから名前、教えてくださいよ」

葉「オイラは麻倉葉。そんで、こっちがアンナだ」

アンナ「よろしく」

詩音「……二人は、まだこっちに来て日が浅いって言ってましたよね」

葉「ああ、まだこの村のこともよくわかんねえ」

詩音「じゃあ……知りませんよね、『鬼隠し』のこと」

葉「『鬼隠し』……?」

アンナ「…………」

―――

詩音「……そういうわけなんです」

アンナ「毎年一人が死んで、そして一人が行方不明になる……ね」

葉「うええ……なんかおっかねえな」

詩音「村の人はこの鬼隠しを『オヤシロさまの祟り』なんて呼ぶ人もいるくらいですから」

葉「オヤシロさま?」

詩音「この村で信仰されてる神様です、お姉と会ってるってことは梨花ちゃまにも会ってますよね?」

葉「おお、オイラがここに来て最初に会ったのがアイツだったぞ」

詩音「オヤシロさまは梨花ちゃまの家……つまり古手家が宮司を務める古手神社の主神なんですよ」

アンナ「…………」

詩音「そして、古手家最後の血縁である梨花ちゃまはオヤシロさまの生まれ変わりだって、村のみんなから敬愛されてるんです」

葉「はー……なるほどなあ」

アンナ「…………」

詩音「オヤシロさまは慈悲深いですけど、村に対して祟りを起こす事もあるって伝えられてまして……」

詩音「それで、この一連の鬼隠しとオヤシロさまの祟りを結び付けて考える人が多いんです」

葉「んー……」

詩音「あれ……どうかしましたか?」

葉「祟り……ってのは多分違うと思うぞ」

詩音「え……?」

葉「そのオヤシロさまってのはそんな悪いやつじゃなさそうだったしな」

詩音「わ、悪いやつじゃないって……それってどういう……」

アンナ「つまり……その鬼隠しってのは祟りとかそういう霊的な物じゃない、人為的なものだってことよ」

この>1は出来る子

葉のcv誰だったっけ…

詩音「……二人も、そう思いますか?これは誰かが裏で動いている事件だって」

葉「事件か事故かまではわからねえさ、けど……少なくとも祟りじゃねえことは確かだ」

詩音「私も、そう思ってます。これは絶対に祟りなんかじゃないって」

葉「その鬼隠しってのが起こる綿流しって祭りは……」

詩音「もうすぐです、あと一週間ちょっとくらいですね」

葉「……今年はなにも起きねえといいな」

詩音「私もそう願ってます……あ、二人とも……もし何か鬼隠しについて分かったりしたら、私にも教えてくださいね」

葉「ああ、分かった」

アンナ「…………」

>>49
佐藤ゆうこ

―――

葉「鬼隠し、か……わからん」

アンナ「何が?」

葉「それをやってる犯人も、その目的も」

アンナ「当たり前でしょ。ついさっき知ったばっかりでロクに詳細も分かってないんだから」

葉「圭一たちがそのことをなにも言わなかったのは……」

アンナ「気を遣ったんでしょ、あたしたちに」

葉「……ああ、みんな良いやつだ」

アンナ「で?これからあんたはどうすんの、葉」

葉「よく分かんねえけど、聞きっぱなしでそのまま放っておくわけにもいかねえさ」

アンナ「……放っておくわけにいかないから?」

葉「無理しねえ程度にオイラたちでも色々と調べてみるか、その鬼隠しってやつをさ」

アンナ「……ま、あんたはそういう性格よね」

―――
翌日

葉「宝探し?」

レナ「うん、暇だったら来てほしいかな!かな!」

圭一「男が俺一人じゃ、たまにある力仕事がちょっときつくてさ」

アンナ「……ふーん、宝ね」

葉「自慢じゃねえけどオイラ、あんまり体力は……」

アンナ「あら、前にあれだけ特訓したのにまだ足りなかったのかしら?」

葉「すげえある!少しくらいの運動なら全然息切れねえぞ!」

阿弥陀丸(必死でござるな……葉殿。まあ……あの地獄の特訓を思い返せばこれもまた仕方ない反応でござるか……)

阿弥陀丸(……く、拙者もなぜか涙が)

他はなかなか揃わないのに二人だけカード揃ったとかじゃないの?
古いカードじゃなく新しいカードならレナ達だって難しいだろうし


―――
放課後
ゴミ捨て場

レナ「何があるかなー、かぁいいのがあるといいけどぁ!」

葉「……なあ、宝探しって」

圭一「ああ、つまりはそういうことだ」

アンナ「この地方にはゴミ漁りを宝探しっていう風習があるのね……」

葉「お、怒るなよアンナ……」

圭一「ははは、まさかマジで宝があるとでも思ったのか?そりゃおめでたい……」

パーンッ!!!

アンナ「ま、どうせロクでもないものだろうとは思ってたけど」

葉「思ってたのになんでわざわざオイラを来させたんだ!?」

アンナ「なに言ってんの、もしも本当にものすごいお宝があったらもったいないじゃない」

葉「えー……」

アンナ「ねえ、あんたもそう思うでしょ」

圭一「思います、はい。ていうか色々とすんませんでした、アンナさん」ヒリヒリ

アンナ「それにここ、本当にロクでもないものがいるみたいだしね」

圭一「?」

アンナ「……気づいてるでしょ、葉」

葉「……ああ、いるな」

富竹「やあ、圭一くん。今日も宝探しかい?」

圭一「富竹さんじゃないですか!」

富竹「おや、そっちの二人は初めて見る顔だね?」

圭一「ああ、つい最近転校してきた俺たちの新しい部活仲間です」

圭一「二人とも、既存のメンバーに負けず劣らずのポテンシャルを持ったすげえ奴らなんですよ!」

富竹「ははは、どうやらまた君たちの部活はにぎやかになるようだね」

葉「初めましてだな、オイラは麻倉葉。で、こっちが……」

アンナ「……恐山アンナ、よろしく」

富竹「僕は富竹ジロウ、フリーのカメラマンをやらせてもらってるよ」

レナ「圭一くーん!葉くーん!ちょっと手伝ってほしいかな!」

圭一「分かった、今行くからちょっと待ってくれ!行こうぜ、葉」

葉「ん、ああ……」

圭一「あれ、なんか元気ないな。具合でも悪いのか?」

葉「なんていうか……ここで遊ぶのはちょっと危ねえと思ってな」

圭一「まあ……確かにゴミの山とかたまに危ないものがあるからな、ガラスとか」

葉「いや……オイラが言ってるのはそういうのじゃねえんだ、この場所は……危ないっていうよりも、よくねえ場所だ」

圭一「よくない……?」

葉「とりあえず、今はオイラがいるから多分大丈夫だけどな」

圭一「…………?」

アンナ「ねえ」

富竹「ん、なんだいアンナちゃん」

アンナ「ちゃん付けで呼ばないで……ところで」

富竹「?」

アンナ「ここのゴミ捨て場、何かあったんでしょ?」

富竹「何か……とは?」

アンナ「以前、誰かがここで死んだりしなかったかってことよ」

富竹「……君は転校してきたばかりと聞いていたけれど、もう知っているのかい?」

アンナ「…………」

富竹「……嫌な、事件だったね」

これベースは何編なの?

>>70
早漏過ぎ

・・・

アンナ「ふーん、右腕だけが……ね」

富竹「……色々と不透明な事件だからね、毎年の怪死事件のきっかけでもある」

アンナ「…………」

富竹「……ごめんよ、女の子にする話じゃなかったかな」

レナ「はうぅ、かぁいいお人形さん!おっもち帰りぃ~!」

圭一「今日のところはまあこれくらいだな」

葉「なんていうか……お前ら結構すげえことやってるんだな」

富竹「圭一くんたちが来たね……今の話、アンナちゃんは忘れたほうがいいかもしれない」

アンナ「…………」

―――

葉「そっか……やっぱあのゴミ捨て場」

アンナ「そうよ、まあわざわざ言われなくてもなんとなくは分かってたけど」

葉「…………」

アンナ「面倒だけど逆に良かったんじゃない?相手があたしたちの専門分野ならやりやすいわ」

葉「……いや、今はまだそっちには行かねえ」

アンナ「…………?」

葉「その前に、ちゃんと話を聞かなきゃならん奴がいる」

おもしろい支援

―――
古手神社

梨花「……綿流しまで、あと何日だったかしらね」

羽入『梨花……』

梨花「この世界は今までとは違う、葉とアンナが訪れた世界……」

梨花「でも……ただそれだけ、それ以外は何も変わらない世界……」

羽入『梨花……心を強く持たなければ……』

梨花「分かってる……この世界でも最後まで足掻いてみせるわ」

羽入『……梨花、誰か来ましたです!』

梨花「…………?」


葉「よっ」

梨花「……葉?」

葉「また会ったな」

梨花「葉、それにアンナもこんばんはなのです」

葉「ああ、こんばんはだ」

梨花「また、星を見に来ましたですか?」

葉「いや、今日はちょっとお前に会いに来たんよ」

梨花「僕に……デートのお誘いですか?」

葉「うええっ!?」

アンナ「なんで動揺してるのよ、このおバカ」

梨花「冗談なのですよ、にぱー」

梨花「冗談はさておき……今日はどうしたのですか?」

葉「んー、なんて言ったらいいんかな……色々と話を聞きてえんだ」

梨花「話……ですか……?」

葉「この雛見沢のことと、オヤシロさまのこと、それに……鬼隠しのこととかな」

梨花「!」

梨花「……どうして、そのことを知ってますですか?」

葉「エンジェルモートで魅音の妹に会ってな、そこで教えてもらったんよ」

梨花(詩音……なるほど、鬼隠しについて少しでも情報を集めたいから……ね)

梨花「それで……どこまで聞きましたですか?」

葉「毎年起こってる変な事件のことと……あとはそのオヤシロさまのことだな」

葉「オヤシロさまのことだったら梨花が一番よく知ってるはずだろ?」

梨花「みぃ……神様のことは巫女のボクでもよくわからないのですよ」

アンナ「あんた、いつまで猫被ってんの?」

梨花「…………?」

アンナ「あたしたちは、あんたの後ろにいる奴の話を聞かせなさいって言ってるのよ」

梨花「!」

キモオタ「!」

やる夫「!」

梨花「葉……まさか……!」

葉「ああ……見えてるんよ、オイラ達には。梨花の後ろに憑いてるやつが」

羽入『!』

羽入『ほ、本当に……僕の姿が?』

葉「おお、ちゃんと見えてるぞ」

梨花「!」

羽入『葉だけではなく……アンナも……見えているのですか?』

アンナ「当たり前でしょ」

梨花「…………」

梨花(羽入と会話が出来てる……嘘じゃない、やっぱりこの二人には……!)

梨花「一体……あなたたちは……!」

葉「オイラたちはシャーマンなんよ」

梨花「シャ、シャーマン……?」

アンナ「シャーマン……それはつまり、あの世とこの世を繋ぐ者よ」

葉「まあ簡単に言っちまえば、オイラたちは霊が見えるんよ」

梨花「…………!」

梨花(霊が見えるだなんて……でも、確かにこの二人には羽入の姿が見えている……)

梨花(まさか、転校初日……アンナが私のほうを見ていたけれど……あれは私を見ていたんじゃなかった……?)

梨花「私の後ろの……羽入を見ていたの……?」

アンナ「…………」

梨花「……まさか、二人に羽入が見えていたなんて」

葉「すまん、別に隠してるつもりはなかったんだけどな」

梨花「驚きましたです……僕以外の人間で羽入の姿が見えたことも」

梨花「葉やアンナがそんな能力を持った人間だったことも」

葉「そんなにすげえ力じゃねえさ、オイラたちみたいなシャーマンは世界中にたくさんいるしな」

アンナ「……じゃ、次はあんたが説明する番ね」

梨花「…………?」

アンナ「あんたにもあるはずよ。誰にも打ち明けていない、隠していることが」

梨花「隠してる……こと……」

葉「もちろん、言いたくねえなら無理には聞かねえさ」

葉「けど、もしなんか困ってることがあるんならオイラたちが力になれると思うぞ」

梨花「…………」

羽入『梨花……』

梨花(羽入……私は、この二人に賭けてみようと思う)

羽入『!』

梨花(この世界で初めて出会った二人……何か、今までは違った変化をもたらしてくれるかもしれない……)

梨花「……打ち明けるわ。私も、あなたたちが自分のことを打ち明けたように」

葉「どうした?なんか……雰囲気変わったな」

梨花「そう、これが私。本当の古手梨花……誰にも見せたことのない、もう一人の私」

アンナ「…………」

梨花「さて、どこから説明すればいいかしら……少し長くなるけれど、我慢して聞いてちょうだい」

―――

梨花「……こんなところね」

葉「何度も世界をやり直してる……か。なんか葉王の転生みたいだな」

アンナ「あれとは全くの別物よ。葉王は時間を逆行したりしてないわ」

梨花「……大体のことは理解できたかしら?」

葉「とりあえず、お前が先の未来へ進むためにすげえ苦労をしてるってことは分かった」

梨花「そう……私は多くのことは望んでない。ただ、みんなと一緒に歩んでいきたい」

梨花「未だ見たことのない未来へと進んでみたい」

梨花「……私は、死にたくない」

羽入『梨花……』

葉「よし、じゃあ止めなきゃな。その鬼隠しってのを」

梨花「え!?」

アンナ「はぁ……」

梨花「止めるって……鬼隠しを……?」

葉「だって、なんとかしないと梨花が誰かに殺されちまうんだろ?」

葉「だったら、迷う必要なんかねえさ」

梨花「……危険なのよ、どこの誰が私を狙っているのか、私は百年かけても分からなかった」

梨花「そしてその百年分の時間、私がどんな抵抗をしても最終的には必ず殺されているのよ?」

葉「ああ、すげえ敵だな」

梨花「あなたは……怖くないと言うの?姿の見えない、目的も分からない敵の存在が」

葉「そりゃオイラだって怖いし、出来ることならそんなのに関わりたくねえさ」

葉「けど、梨花が助けを必要としてるなら話は別だ」

梨花「どうして……まだ会ったばかりの私をあなたたちは……」


葉「友達だから、助けるんだろ」

梨花「…………!」

ちょっと晩御飯作ってくる

飯作り代行はよ!


★食事代行始めました★
食事したいけどその時間が無い、食事をしたいけど食べるものが無い、そんなときに!
フードファイトで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに食事をしてくれます!
モチロン食事を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くのラーメンを無差別に食い荒らします!
1時間\1200~ 24時間営業 年中無休!

                /ヽ
                /  s i
          /    .|/\――ァ      _ / ̄/ ̄:::''‐、.       ら

.    r―――くS    /   |―― ァ     ./::/ /::::::::::::::::::::::\.   お.  あ
     \__r――― '――― ァ_ノ    /::::::/ /:::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ.   か  め
.    r、{ ̄∽  \∽   ∽∽ ノ―ァ ア    ./_/__i i:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ  わ.  ん
  r、! \   r――――― '‐―ァ/}.     ../ | .|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|  り
 !\ S. ` 、r‐` ――――――‐ァ―ァ      /┃ ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
  r――――.\______ ,ノ―ァ     (   (7::::::::i:::::::::::::::::::::::::/
.  \∽   { ̄∽   ∽∽  ,フ /       .\ /::::::::::/:::::::::::::::::::::::(
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                        ,`‐η‐-' く::::::\:::::::::::/ /ヽ / /~/ /
―――――――――――――――ヽ‐<...,,__/)λ" ):/ / / / / / /――――

                                 ヽ ) (/ / "/ / / /

   食事代行では現在スタッフを募集していません

何回見てもどんぶりがパンツに見える




俺も風呂入ってくるか

・・・

梨花「葉……アンナ……霊が見えるシャーマン……どう思う、羽入?」

羽入『分かりませんです……あの二人が来ることなど、ボクにも予想外だったのですよ』

梨花「この世界ではわたしはどんな運命を辿るのかしら……あの二人が、なにか新しい変化をもたらしてくれるのか……」

羽入『梨花……あまり期待をしすぎては……』

梨花「分かってるわ……期待すればそれだけ裏切られた時の絶望も大きくなるって言いたいんでしょう?」

梨花「大丈夫よ……私は、もう……」

羽入『…………』

―――
帰り道

葉「なんか、思った以上にすげえ感じだったな」

アンナ「それでも、あんたは助けるんでしょ」

葉「……ああ、友達だからな」

アンナ「……手強いわよ、多分だけど」

葉「あいつが何度やっても勝てなかったんだからな、ちょっとやそっとの敵じゃねえさ」

アンナ「ホント、厄介なことに巻き込まれたわね」

葉「大丈夫、なんとかなるって」

葉「憑依合体!富竹!

大石「んっふっふ、どうもお二人さん……こんな夜に子供が出歩いてちゃいけませんねぇ」

アンナ「誰、あんた」

大石「おおっとこれはこれは失礼、私ゃ大石蔵人って刑事でしてね……なんだったら蔵ちゃんって呼んでくれても結構ですよ?」

アンナ「嫌よ、馴れ馴れしい」

大石「んっふっふ、手厳しいですねぇ」

葉「で、その刑事さんがオイラたちに何か用か?」

大石「いえいえ、別になにかしようってわけじゃないんですよ……お二人はこの雛見沢に来たばかりのようですから」

大石「少し、耳に入れておきたいお話があるんですよ」

葉「鬼隠しのことならもう聞いたぞ」

大石「!」

大石「……なるほど、すでにお聞きになっていましたか」

アンナ「…………」

大石「では、この村で権力を振るう園崎家のお話は?」

葉「園崎家って……魅音の家のことか?」

大石「どうやら、そっちについては知らないようですねぇ」

・・・

大石「……まあ、そういうことです」

葉「魅音の家ってすげえんだな」

大石「雛見沢は小さな村です、ここで鬼隠しなんて事件を起こせるような輩を考えると……」

アンナ「その園崎家ってのしかありえないって言いたいわけ?」

大石「仰る通りです……そして、今年の鬼隠しで狙われるのは……あなたたち二人かもしれませんよ」

葉「オイラたちか……すっげえ怖えな」

大石「…………」

大石(どう見ても怖がってるようには見えませんけどねぇ)

葉「けど、多分園崎家が悪いことをしてるってのは間違ってると思うぞ」

大石「おや、それはまた一体どうしてです?」

葉「魅音はオイラの友達だ、あいつがそんなことをするとは思えねえ」

大石「んっふっふ、若いですねぇ麻倉さんは。友達を信じようとするその心は素晴らしいです」

大石「ですがあなたたちはここに来てまだ日が浅い……まだあなたたちの知らない顔があるかもしれませんよ?」

葉「ああ……かもな、けどオイラはあの二人を信じる」

大石「そちらの恐山さんは……どうお考えで?」

アンナ「さあ、どうなのかしらね」

大石「おやおや、教えてくださらないんですか?」

アンナ「…………」

葉「オイラからもちょっと聞いていいか?」

大石「ふむ、お答えできることでしたらなんでもどうぞ」

葉「なんでそんなに鬼隠しにこだわるんだ?」

大石「……なぜ私が鬼隠しの事件を解決しようと躍起になっているか、ということですか?」

葉「ああ、なんか理由があれば聞かせてくれねえか?」

大石「……私の世話になった人が、この鬼隠しの犠牲者でしてね」

大石「一年目の犠牲者、ダム工事の現場監督は私の親友であり兄貴であり……親父でした」

アンナ「…………」

大石「私は定年も近い……今年こそは必ず鬼隠しなんてふざけたモンは止めてやりたいんですよ」

大石「そして犯人をとっ捕まえて!おやっさんの墓の前で土下座させる!私はそう心に誓ったんです!」

葉「じゃあ、会ってみるか。そのおやっさんと」

大石「……麻倉さん、さっきも言ったようにその人はもう一年目の鬼隠しで」

葉「だからだ」

大石「…………?」

葉「鬼隠しで死んじまってる、だからオイラたちで会いに行くんよ」

大石「なにを……言っているんですか?」

アンナ「つべこべ言わずについて来いってことよ」

クラウド素直すぎワロタ
この手のSSって中盤からはもはや名前の同じオリキャラだよね

―――
ダム工事現場跡地

大石「わたしゃ何度でも聞きますがね……本気で言ってるんですか、麻倉さん」

葉「ああ、ここにいるぞ。間違いねえ」

葉「けど……ただ、そこにいるだけってわけじゃねえみたいだ」

『ミッ……ミ……ミギ…………ミギテッ……!』

葉「……すげえ怨念だ」

アンナ「あのレナって子、よくこんなのがいるところで宝探しなんかできたわね」

『ミッ……ミッ……ミギ…………!!』

アンナ「完全に形を忘れてるわ、あたしがあんたならすぐにあの世に送ってるところよ」

葉「そうもいかねえだろ、救われねえ魂を救ってやるのがオイラたちシャーマンの仕事だ」

アンナ「…………」

アンナ「……怪我しないよう気を付けなさい、今は春雨もフツノミタマもないんだから」

葉「ああ、分かってる」

大石「恐山さん、これは一体……麻倉さんは一体何をしようとしてるんですか?」

アンナ「あんたは下がってなさい、下手したら怪我するわよ」

大石「…………!」

『ミギ……ミギ……!!』

葉「すげえ恨みだ……何か言いたいんだろ?ほら、オイラが聞いてやるから何でも言ってみな」

『ミッ……ミギッ!!』

バシッ!!

葉「!」

阿弥陀丸『よ、葉殿ッ!』

大石「あ、麻倉さんの右腕に傷が……!?」

アンナ「……あの馬鹿、怪我するなって言ったのに」

大石「一体、なぜ麻倉さんの右腕に傷が出来たんです?」

アンナ「霊から攻撃を受けたからよ、普通の人間に霊は触れられないけれどシャーマンは別」

アンナ「特に、あの霊はここでずいぶんと酷い殺され方をしたんでしょ?だからその恨みをぶつけてるのよ」

アンナ「普通の人間とは違う、霊であっても直接触ることのできるシャーマンにね」

大石「まさか……麻倉さんの『右腕』が傷ついたのは」

アンナ「さあ?見つかってない右腕と何か関係があるのかもしれないわね」

大石「…………!」

阿弥陀丸『こやつ……!』

葉「よせ阿弥陀丸……大丈夫だ、傷は深くねえ」

阿弥陀丸『しかし葉殿!このままでは……』

葉「これくらいの怪我は予想してたさ……大丈夫、こいつはまだ救える」

葉「なんとかなる」

阿弥陀丸『葉殿……!』

『ミギッ……ミギッ!!』

葉「お前の気持ちはわかるぞ、自分の形が分からなくなって悪霊になるのも無理もねえ」

葉「わけのわからんうちに錯乱して殺されちまって、右腕を持ってかれちまったんだもんな」

『テッ……テッ……ミギ……!!』

葉「けど……だからってこんなふうにこの世に恨みを持ったまま留まったらダメだ」

『ミギ……テッ……!』

葉「ああ、自分の右腕がどうなったのか……なんで自分が死んだのかも分からないまま成仏なんかできるわけがねえ」

葉「だからオイラが協力する、お前のなくなっちまった右腕がどこにあるか、オイラも一緒に探してやる」

『…………!!』

葉「お前がなんで死んじまったのかも、ちゃんと分かるまで説明してやる!」

『…………』

>>147
文句あるなら自分で書けば?

大石「なにが……一体何が起こってるんですか?」

アンナ「思い出したようね、ちゃんと……元の姿を」

『一体……これはどういう……』

葉「オイラは普通の人間とはちょっとだけ違うんだ、だからこうしてお前とも話が出来るんよ」

葉「良かったぞ、悪霊になっちまったお前のせいで誰かが犠牲になる前になんとかなって」

『…………』

葉「あと……会わせたいやつがいる、多分知ってる顔だと思うぞ」

アンナ「あんたも、準備はいい?」

大石「えっ……わ、私の準備ですか?」

アンナ「なんのためにあんたをわざわざここに連れてきたと思ってんの」

葉「……おし、じゃあいっちょやってみるか」


葉「憑依合体!!」

葉『…………』

大石「…………!」

大石(あ、あの腕組みの仕草は……!まさか……!!)

大石「お、お……」

葉『変わらねえな、蔵人』


大石「おやっさん!!」

大石蔵人はその日、自分の慕い続けた人物との再会を果たす。

外見は麻倉葉であっても、彼にはそこにいるのが自分の親父であると理解していた。

数年越しの再会、そして大石は一年目の事件の詳細を知ることとなる。

ダム工事現場での揉め事の最中、いつのまにやら思考が停止して部下に殴りかかてしまったことも。

彼は自らが死ぬ直前までのことをはっきりと語る。

大石は明らかとなった真実に驚きを隠せなかったようだが、それでも彼の言葉に耳を傾け続けた。

事件の詳細を話し終えると、二人は生前の他愛のない話に花を咲かせ……

それがきっかけでダム工事の現場監督にも笑顔が戻り……あの世へと向かう準備を整える。

成仏する別れの際、ふと大石が涙を流すと

『馬鹿野郎ォ!お前それでも日本男児か!!』

彼は思い切り顔を殴りつけた。

大石は確かにその感触を、以前と変わらぬその感触を肌で感じつつ

「やれやれ……おやっさんからは最後まで拳骨を食らっちまったなぁ」

自らの父親の旅路を見送ることとなった。

・・・

葉「……終わったな」

アンナ「右腕がなくなったこと、もうどうでもよくなってたみたいね」

阿弥陀丸『男同士の会話がこうも美しいものであるとは……拙者、感動したでござる』

アンナ「ホント、男って馬鹿よね。殴らなきゃ相手に気持ちを伝えることも出来ないのかしら」

葉「けど、それでもちゃんと成仏できたみてえだ。蔵人のおかげだな」

大石「……正直、今でも信じられないんですよ。おやっさんの幽霊と会話したなんてね」

大石「私とおやっさんの二人しか知らないことを麻倉さんが知っていたはずもない……」

大石「それにさっきの会話で、私が感じたあの感覚は気のせいなんかじゃあ決してない!」

葉「…………」

大石「……ありがとう。なんだか、色々と肩の荷が下りた気分です」

大石「そして私ゃ認めますよ、麻倉さんたちには我々には存在しない力があるってことをね」

アンナ「まったく、ずいぶんと虫のいい話ね」

大石「?」

アンナ「あんた、最初はあたしたちを餌に黒幕をおびき出せれば……なんて打算でもしてたんでしょ」

大石「…………」

大石「……なるほど、私が恐山さんに園崎家について尋ねた時、あなたがなにも答えなかったのは」

アンナ「あたしは敵か味方か分からないようなやつに情報は渡さない」

大石「お恥ずかしい限りで……私は鬼隠しの謎を解き明かしたいばかりに、刑事として大切なものを失っていたようです」

大石「しかし……おやっさんの拳骨食らって思い出しましたよ、本当の刑事魂ってのがなんなのか!」

葉「一年目の事件は園崎家はやっぱ関係なかったみたいだな」

大石「……そのようですね。最初から決めつけて疑ってかかっちまった私のミスです」

アンナ「…………」

大石「捜査をもう一度、立て直してみることにしましょう……何か新しい発見があるかもしれません」

大石「どうやらあなたがたも鬼隠しについては調べているようですが……」

葉「ああ、鬼隠しをなんとかしたいと思ってるのはオイラたちも同じだ」

大石「なら、私のほうで掴んだ情報はなるべくお二人にも流すようにしましょう」

大石「それが私に出来る、せめてもの借りの返し方ってやつです」

梨花ママに話聞けばすべて解決するんじゃないかな…


生きたまま殺されたし、元女王感染者だから狂ってないし

大石「ただ……まだ、ほんの少しだけ今日起こったことを信じきれない自分もいるんです」

大石「長年、幽霊なんてものとは縁のない生活を送ってきましたからね……」

葉「ああ、無理もねえさ」

大石「……少しだけ、ほんの少しだけ時間をくれませんか。今日のことを受け入れる時間を」

葉「なんか悪かったな、いきなり引っ張ってきて霊と対話させるなんて無茶させて」

大石「いえ、いいんです。私からは逆に感謝したいくらいなんですから」

―――

アンナ「ところで、葉」

葉「ん?」

アンナ「怪我するなって、あたし言ったわよね」

葉「あっ!」

アンナ「言ったわよね?」

葉「……すまん」

アンナ「……傷、見せなさい」

葉「た、大した傷じゃねえさ……そんな……」

アンナ「深い浅いの問題じゃないのよ……ダンナが傷つくところなんて、妻としてはあまり見たいものじゃないわ」

葉「!」

アンナ「でも……あれだけ自我を失ってた霊に元の形を思い出させるなんて、多分あたしじゃできないこと」

葉「アンナ……」

アンナ「とりあえず……お疲れさま、葉」

葉「……おお」

ちょっと風呂入ってくる

>>187
症候群のこと葉もアンナも知らないじゃん

★風呂入り代行始めました★
風呂に入りたいけどお湯を張る浴槽が無い、風呂に入りたいけど入る時間が無い、そんなときに!
銭湯で鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに風呂に入ってくれます!
モチロンお湯を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の風呂を無差別に入りまくります!
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      (__oノ_O__゜__。_ ノ
      ))   ((o   o。o))  ○(



  風呂代行では現在スタッフを募集していません

鬼隠し代行もあったりしてな

―――
警察署

大石「……霊、ですか。やだなぁ、この年になってからそんなのがいるのを信じることになるなんて」

熊谷「大石さん、お客さんが来てるっすよ」

大石「客?私にですか?」

熊谷「なんでも、自分の顔を見れば大石さんはすぐにわかるはずだと」

大石「はて、誰ですかね……まあいいや、通してください」

熊谷「了解っす、じゃあどうぞ。こちらへ」

「お久しぶりです、大石さん。お変わりがないようで何よりです」

大石「あ、あ……」

大石「赤坂さん!!」

―――
翌日

魅音「さあ!今日も元気に部活、始めるよ!」

圭一「葉!今日こそは負けないからな!」

葉「こっちも全力で行くぞ、罰ゲームってのはオイラもやりたくねえからな」

沙都子「オーッホッホッ、圭一さんも葉さんも私のトラップで華麗に絡め取って差し上げますわ!」

詩音「さて、実は一番の罠にかかるのは沙都子かもしれませんよ?」

梨花「沙都子のことを知り尽くしている詩ぃは強敵なのです」

レナ「あっはは!今日はなんだかレナが一番になれそうな気がするかな!」

・・・

レナ「やったぁ!レナが一番だね!」

魅音「くぅ……おじさんは二位かぁ……!」

葉「いやー、危うくビリになるところだったぞ」

沙都子「…………」

圭一「あれ、何かビリの奴が無言になってるな?なあ、今どんな気持ち?どんな気持ちだよ?」

沙都子「むっきー!それもこれも全部が詩音さんのせいですわー!」

梨花「完全に詩ぃは沙都子に対してメタゲームを仕掛けていたのですよ、にぱー」

詩音「あらあら、偶然ですよ。ぐ・う・ぜ・ん」

魅音「さあさあ……罰ゲームの時間だよぉ、さ・と・こ」

・・・

沙都子「なぜ……こんな服を着て入江先生の所へ行かねばなりませんの!?」

レナ「は、はうぅぅぅ!沙都子ちゃんのメイド服かぁいいよ!お、おっ持ち帰りぃぃ!!」

詩音「いやー、まさか私の考えた対沙都子用の罰ゲームが採用されるなんて」

沙都子「ぐ、ぐぅ……詩音さん、覚えてろ!ですわ!」

梨花「下っ端の小悪党の捨て台詞そのものなのです」

葉「……なあ、もしかしてオイラたちが負けてたら」

圭一「ああ、あれを着せられてたな」

葉・圭一「…………」

圭一「本当に、良かったな……勝てて」

葉「ああ、良かった……」

・・・

魅音「さて……沙都子が監督のところへ行って揉みくちゃにされて帰ってくるまでの間は何やってようか?」

レナ「レナはなんでもいいよ!魅ぃちゃんたちに任せるかな!かな!」

圭一「どうしたんだよレナ、今日はずいぶんと機嫌がいいな」

詩音「さっきのゲームもお姉を抜いて一位でしたし……何かいいことでもあったんですか?」

レナ「あはは、あの……うん、良いことっていうか……不安だったことが解決したの」

梨花「不安?」

レナ「実は……レナ、みんなにも言えないような悩みがあってね……それが突然、昨日解決したの」

圭一「俺たちにも言えないようなことって……大丈夫だったのか?」

レナ「うん、今思い返すとなんでみんなに相談しなかったのかなって思うんだけど……」

レナ「レナのお父さん、あんまりよくない女の人に夢中になっちゃっててね」

レナ「もうちょっとでものすごいお金をだまし取られちゃうところだったんだよ」

圭一「な、なんか思った以上にヘビーな話だな……」

レナ「ごめんね、でももう解決したことだから……それで昨日、こっそり魅ぃちゃんに相談してみたの」

魅音「昨日、レナが宝探しに行った後にうちに来てさ……なかなかどうして、びっくりな内容だったよ」

レナ「みんなに打ち明ける前に、年上の魅ぃちゃんに先に話を聞いてもらおうと思ってね」

魅音「それで、その話を聞く限り……うん、まあうちも少し関わってることみたいだから」

魅音「裏のほうから、ちょっくら手を回したってわけだね」

詩音「ああ、それって……例の上納金の話ですか?」

魅音「うん、あんまり大きい声で言うことじゃないけどね」

レナ「それで魅ぃちゃんと相談して、お父さんにレナの気持ちをちゃんと伝えるって決めたの」

レナ「勇気を出して全部話したら、お父さんも分かってくれたみたいで……」

レナ「その女の人と、きっぱり縁を切ってくれたんだ」

魅音「で、妙だと思って件の女性を調べたら……まあデカいことを企んでてねぇ」

詩音「うふふ、もう完全に三流のお店にまで飛ばされちゃいましたね」

圭一「なんか話を細かくは掴みきれないけど、とりあえずレナの不安要素はなくなったってことでいいんだよな?」

レナ「うん!魅ぃちゃんたちのおかげでね!」


梨花「…………!!」

梨花「沙都子!」

圭一「り、梨花ちゃん!どこ行くんだ!?」

詩音「沙都子……って言ってましたけど……何かあったんですかね?」

葉「よく分からねえけどなんかヤバそうだ、追ったほうがよさそうだな」

魅音「……そうだね、みんな!梨花ちゃんを追うよ!」

・・・

梨花「沙都子!沙都子!!どこにいるの!?返事をして!!」

羽入『梨花……これはきっと……!』

梨花「間違いないわ……レナが言ってたのは間違いなく間宮リナの話よ」

梨花「あの女が破滅したら……今度はあの男が雛見沢に戻ってくる!そうなったら沙都子が……!」

羽入『……診療所までの道に沙都子はいなかったのです、つまり…』

梨花(沙都子……無事でいて……!!)

レナのフラグが折れたと思ったら次は沙都子のフラグなんだよなぁ…

―――
北条家

梨花「はっ……はっ……!」

梨花(空き家になって今は誰もいないはずの沙都子の家……なのに……)

梨花「窓が開いて……明らかに誰かが住んでいる気配がある……!」

沙都子「り、梨……花?」

梨花「沙都子!」

沙都子「…………」

梨花(やめて……そんな暗い目をしないで沙都子!)

沙都子「あの、梨花……私は今日からこっちの家で暮らすことになりましたわ」

梨花「!」

「おめぇ、……戦略、戦術、…そして戦闘、…全て三拍子揃ってるぜ。
 ……お前みたいなヤツが俺の役をやるべきなんだよ…。山狗みてぇなクソどもの隊長をな…!」
「ははん。ごめんだね、あんたらみたいな根暗そうな秘密部隊の隊長なんて!」

 魅音が笑い捨てる。 小此木もそれを笑って受けた。
 謙遜でなく、それは純粋な反応だと思った。

「……へへへ、そうだな。お前ほどの器なら日本の不正規戦部隊長なんてもったいないぜ…。
 SASでもデルタでもスペツナズでも、…どこでも最高の人材になれるだろうぜ。何しろ、」
「はははは、あっははははははは!!! SASぅ? デルタフォースぅ?
 下らないねぇ! そんな退屈なところじゃあ、私を飼いならせやしないよ!!」
「……へっへへははははは! そうだろうな。そうだろうよ。
 ……なら聞かせてくれ。お前ほどのヤツなら、何の隊長を望む!」
「隊長なんて興味ないね。部長でいいね。」
「……部長…。英国情報部辺りってとこか、…ふ、妥当だな。」
「だめだめだめ、なってないね! あのねぇ、私がやりたい部長はたったひとつ!!
 雛見沢分校の我が部の部長だけさッ!! 罰ゲームのない戦いなんてごめんだね!
 口先の魔術師、前原圭一! かぁいいモードの竜宮レナ!
 萌え落としの梨花ちゃん!!
 そして期待の新人、古手羽入!! これだけ揃ってりゃ、世界のどこだろうと退屈だねッ!!」
 「…………勝てねぇ…。……勝てねぇよ……。…こんなヤツが隊長だったんじゃ、
 …勝てるわきゃねぇやな…。へへへへはははははははは!!」

>>223
これみると毎回ふく

―――
夜、古手神社

葉「……そっか、そんなにヤバい感じなのか」

梨花「もう終わりよ……あの男が雛見沢にやってきたら、もう……すべてが……!」

アンナ「…………」

葉「とりあえず。魅音たちは沙都子を何とか助けるための作戦会議をしてたぞ」

梨花「葉たちは……どうしてここへ?」

葉「圭一たちが『梨花ちゃんのところへ行ってやってくれ』って言ってな」

梨花「そう……優しいのね、みんな。私を気遣ってくれて」

梨花「でも……もうダメなのよ……優しさだけじゃ、沙都子を救うことはできない……!」

羽入『梨花……!』

葉「そういう言い方はよくねえぞ、全員が沙都子のためにできることをやって……」

梨花「今までの世界でも!……今までの世界でも、みんな沙都子のために動いてくれた」

梨花「でも……ちゃんと沙都子を救えたことなんか一度もなかった」

梨花「沙都子を思うあまり詩音や圭一が暴走してしまったり……取り返せない惨劇を生んでしまった……!」

アンナ「…………」

梨花「せっかく、葉やアンナがやってきてこの世界は今までとは違う何かが起こると思っていたのに……」

梨花「結局はそう……袋小路、つまりは行き止まりになってしまった……」

梨花「ここにきて……こんな運命と巡り合ってしまうなんて……どうして……!!」

アンナ「…………」

アンナ「……ちょっと、あんたに一つ聞きたいことがあるんだけど」

梨花「…………?」


アンナ「Do you believe in destiny?」(あんた、運命を信じるの?)

あ、あいきゃんすぴーくいんぐりっしゅ!

梨花「え……?」

アンナ「絶対に打ち破れない運命と諦めて、最後にはまた殺されたいのかって聞いてるのよ」

梨花「でも……あの男が、鉄平が沙都子を連れ去った未来でみんなが救われたことなんか一度も……!」

葉「じゃあ、今回を初めてにすればいいんよ。みんなが救われるな」

梨花「で、でも……そんなこと……」

葉「なんとかなる」

梨花「!」

葉「なんとかなるうちは決めつけるな。諦めるな」

梨花「葉……!」

葉「誰だって一人じゃたいしたことはできねえ」

葉「けど……一人じゃどうにもならねえことも、みんなと一緒なら頑張れる」

梨花「私は……私は……!」

葉「お前は一人じゃねえさ、今はもうオイラたちが付いてる」

梨花「あ……!」

アンナ「それに、あんたと部活をやってたあの仲良しグループだって、あんたの仲間なんじゃない?」

梨花「…………!」

羽入『梨花……』

そうだ……私は、なぜ今までこんな簡単なことに気が付かなかったのだろう

一人で抱え込んで、嘆いて、苦しんで、そして……最後には諦めすら感じていて

どうして……仲間に力を借りようとしなかったのだろう

……仲間たちを巻き込みたくはなかったから?

梨花(……違う。そんな都合のいい言い訳なんかするべきじゃない)

それはきっと、私が仲間を信じ切れていなかったから。

でも、今は違う。

私の仲間は、私が寄りかかっても倒れることなく支えてくれる、本当に強い仲間なんだって

はっきりと、気が付いたから。

梨花「私は……私はこの世界で、一人で戦わなくてはいけないと思って、ずっと……辛かった……」

梨花「でも……それは私自身のせいでもあった……仲間を信じきれなかった、私の弱さ……!」

それでも……葉とアンナ、この二人の言葉のおかげで……仲間である彼らのおかげで、私は……!

アンナ「じゃ……もう一度聞くけど。あんたは運命は変えられないと、すべてを諦めるのかしら?」

梨花「…………」

梨花「私は――――」


私は、運命と対峙する。(I live with facing my destiny.)

葉「おし、じゃあオイラ達もふんばるとするか」

―――
翌日、北条家

梨花「…………」

梨花(諦めてはダメ……私が諦めては何も変わることはない……!)

梨花(運命に抗うには……まずは行動すること!)

沙都子「り、梨花……どうして……!」

梨花「沙都子、僕と一緒に帰りましょうです」

沙都子「ごめんなさい梨花、私の叔父が帰ってきてる今となっては……」

梨花「それは沙都子の本心なのですか?」

沙都子「えっ……?」

梨花「沙都子は、本心からここに居たいと思っているのですか?」

沙都子「私は……でも、私は……!」

鉄平「沙都子ォ!なに外でいつまでもフラフラしとるんじゃ!さっさと飯作らんかい!」

梨花「…………!」

鉄平「ん、なんじゃお前」

沙都子「な、何でもありませんわ。お友達が来てただけですのよ」

鉄平「友達ぃ?ああ、すまんね。沙都子はちぃと用事があって遊べんのよ」

沙都子「用事……フフ、小さな子供に家事をさせて怠惰な生活を貪る下衆がよく言うわね」

鉄平「あぁっ!こんガキ!大人を舐め腐りよって!」

沙都子「止めて!梨花、もう止めて!私のことはもう……!」

梨花「私は決めた、もう二度と諦めることはしないって!」

鉄平「沙都子ォ!なに外でいつまでもフラフラしとるんじゃ!さっさと飯作らんかい!」

梨花「…………!」

鉄平「ん、なんじゃお前」

沙都子「な、何でもありませんわ。お友達が来てただけですのよ」

鉄平「友達ぃ?ああ、すまんね。沙都子はちぃと用事があって遊べんのよ」

梨花「用事……フフ、小さな子供に家事をさせて怠惰な生活を貪る下衆がよく言うわね」

鉄平「あぁっ!こんガキ!大人を舐め腐りよって!」

沙都子「止めて!梨花、もう止めて!私のことはもう……!」

梨花「私は決めた、もう二度と諦めることはしないって!」

沙都子「用事……フフ、小さな子供に家事をさせて怠惰な生活を貪る下衆がよく言うわね」
鉄平「あぁっ!こんガキ!大人を舐め腐りよって!」
沙都子「止めて!梨花、もう止めて!私のことはもう……!」
沙都子「私は決めた、もう二度と諦めることはしないって!」

鉄平「なにをごちゃごちゃ言ってるんじゃ!お前はさっさと飯作らんかい!」

沙都子「梨花!私のことはもういいから!早く行ってくださいませ!」

鉄平「じゃかあしいわ!逆らうんかァ!ああっ!?」

梨花「…………」

梨花(沙都子……私を庇ったりしたらあとでどんな目に遭わされるか分かっているはずなのに)

梨花(それでも沙都子は……私を助けようとしてくれている、勇気をもって……)

梨花(だから、私もこの子を救うために……戦う!)

梨花「だああああっ!!」

ドゴッ!

鉄平「ぬあっ!?」

沙都子「り、梨花っ!?」

梨花「離れて沙都子!」

鉄平「ご、ごほっ!ごほっ!め、目がッ……催涙スプレーかっ……!!」

梨花「沙都子!今のうちに早く!」

沙都子「気持ちは嬉しいですわ梨花……でも、私は……!」

梨花「あなたは耐えることが悟史への贖罪になると思っているのかもしれない」

梨花「でもそれじゃ誰も救われない!沙都子も!私たちも!悟史だって!」

沙都子「っ!」

梨花「あなたを想っている人はたくさんいる!私だって、部活のみんなだって!」

沙都子「あっ……!」

梨花「さあ、早く今のうちに……」


取り巻きA「おっと、どこ行くんね」

梨花「!」

取り巻きB「あーあ、鉄っちゃんに酷いことしてくれちゃって……」

梨花(しまった……こいつらは鉄平と一緒にいた……!)

沙都子「り、梨花!避けてぇぇ!」

鉄平「ならぁぁぁぁ!」

梨花「うあっ……!!」

鉄平「こん……ガキぁ……マジでワシをコケにしよって!!」

取り巻きC「あーあ、切れた鉄っちゃんはもう止められんのー」

沙都子「梨花!逃げて!早く逃げてぇぇ!」

取り巻きA「おっと、沙都子ちゃんは行かせられんなぁ……」

鉄平「死にさらせ!こんガキ!」

梨花「っ…………!」

梨花(ダメだ……殴られる……!!)

沙都子「おじさま!梨花は!梨花には手を出さないでくださいませ!私はここに……」

梨花「それ以上は言わないで!沙都子!!」

沙都子「!」

梨花「私は……あなたを諦めようとした、この世界はもう袋小路だって……!」

梨花「でも!もう私は逃げない!運命から絶対に!」

鉄平「黙らんかい!」

ドガッ

梨花「うあっ……!」

沙都子「り、梨花ぁぁ!!」

梨花「……大丈夫よ、沙都子。これくらいで私の心は折れたりしない!」

梨花「私は必ず……沙都子を連れて帰る!!」

鉄平「んじゃとおらぁぁぁ!!」

梨花(……諦めない、私は信じてる。そして信じればきっと)


奇跡が起こるって

「うおおあぁぁぁああああぁぁぁ!!」

鉄平「んなっ……ぐああっ!!」

梨花「!」

なにかが、鉄平の体に衝突した。多分、鉄の塊のような何かだと思う。

鉄平にぶつかり地面に倒れたその物体の正体は……自転車。

そして、それに乗っていたのは

圭一「テメェら!俺の仲間になにしてやがる!!」

梨花「け、圭一ぃ!!」

圭一「悪い!梨花ちゃん、待たせたな!」

梨花「頭に血が上って勝手に行動したボクがいけなかったのです……でも、もう少し早く来てほしかったのですよ」

圭一「ああ、でも……もう梨花ちゃんたちには手は出させない」

取り巻きA「な、なんじゃこのガキ!」

圭一「お前らか、梨花ちゃんと沙都子を傷つけたクソ野郎は」

取り巻きB「なにをぬかしとるんじゃコイツ!」

圭一「お前らは分かっていない!分かっていない!少女は殴るものでも傷つけるものでもない!
ただひたすらに愛でるものだ!」

圭一「いいかよく聞け猿ども、少女とはこの世において最も崇高な位置に存在すると言っても過言ではない。
その純真無垢な行動、幼いからこそ醸し出せる魅力、そしてさまざまな未来を想像させるボディ!
それらすべてが至高なのだ!
最近の世の中では少女を愛でるだけでまるで危険思想を持った犯罪者のように扱われるが何と愚かしいことか!
ならば逆に俺から問おう、可愛いものを愛でて一体なにが悪いと言うのか!
ああ、確かに少女に対して性的欲求を抱き、そしてその少女を泣かせるような輩は後ろ指を指されて然るべきだろうな!
だが!そんなやつらは我らの仲間ではない!
我らの本懐はなにか、言ってみろ!そうだな、少女の笑顔に萌え、そしてその笑顔をいつまでも守り抜くことだな!
そこを分かっていない連中が妙な罪を犯したなどという話をまれに聞くが実に嘆かわしい!
ところで、最近は矢吹先生が書いてる某漫画では小学生の妹も自重することなくヒャッハーな状態らしいな。
実に素晴らしい!おっと、話がそれたが……貴様らは罪を犯した!
それはすなわち、少女の笑顔を奪うと言う何にもまして許しがたい滞在だ!
貴様らは我らの本懐たる信念、そして誇りをそのけがらわしい両手で握りつぶしたのだ!
よってお前ら全員を矯正する!さあ、お前らの罪を数えろ!はいぃぃぃぃぃ!指導指導指導指導指導ォォォォォォォォ!!」

取り巻きC「くっ……なんじゃコイツ!」

圭一「遅い!遅い遅い遅い遅いっ!レナのパンチに比べればスローモーションも同然だぜ!」

取り巻きB「囲めぇ!数で押しつぶせばこんなガキの一人わけないわ!」

鉄平「くっ……クソガキがぁぁぁ!」

梨花「!」

梨花(ダメだ……いくら圭一でも体格差のある三人に囲まれたら……!)

圭一「くっ……ぐあっ!」

梨花「圭一……!!」

梨花(ダメだ……さっき鉄平に殴られたせいで力が入らない……!)

沙都子「圭一さんも梨花も……もう止めて……私は、私はこの家に……」

圭一「俺たちを信じろ!沙都子ォォォ!!」

沙都子「!」

圭一「昨日、お前が連れ去られたって聞いてみんなで話し合ったんだ!」

圭一「全員が!お前を助けたいって!どんなことをしてでも助けたいって言っていた!」

圭一「俺たちはお前を助けたい!出来る限り!肩が外れるくらい手を伸ばす!」

圭一「けど!それは俺たちだけじゃダメなんだ!沙都子!お前からも、お前からも手を伸ばさなきゃダメなんだよ!」

圭一「もう一度言う!俺たちはお前を助けるために全力を尽くす!」

圭一「だから沙都子!お前も、お前も俺たちに全力で頼ってくれ!!」

沙都子「私は……私は……!!」

取り巻きA「ぐああっ!こ、このガキ噛みつき……!!」

沙都子「だああぁぁぁっ!!」

鉄平「ぬああっ!?さ、沙都子ぉ!!」

沙都子「負けない……私はお前なんかに負けない!」

梨花「沙都子!」

沙都子「お前なんか大嫌いだ!お前なんかに……仲間を傷つけられてたまるかぁぁ!」

鉄平「くっ……こんガキ!」

沙都子「遅いですわねおじさま!運動不足なのではございませんこと?」

鉄平「ぬあっ!」

沙都子「オーッホッホッホ、ざまあないですわね!」

鉄平「やかましいわごらぁぁ!この親殺しの分際で!!」

沙都子「っ!!?」

梨花(ダメ……それを言わせては……!)

鉄平「金目当てに親を川に突き落とした親殺しが!!偉そうなことぬかすなぁぁぁ!」

沙都子「あ……あ…………!!」

梨花「ダメ!沙都子!!思い出しては!!あんなのは全部……!!」

鉄平「死にさらせやごらあああぁぁぁ!!」

梨花「っ!?」

「それ以上はやめろ」

鉄平「!?」

「やったら、やり返される」

鉄平「な、なんじゃお前は!」

梨花「あっ……ああ……よ……!」

葉「…………」

葉「……阿弥陀流」


―――後光刃!


梨花「葉!」

鉄平「ぐがっ……!?」

取り巻きA「ぐっ……な、なんじゃコイツは!!」

葉「ここに来たのはオイラだけじゃねえ」

「そこまでだ、北条鉄平!そしてその一味!傷害の現行犯としてお前たちを拘束する」

梨花「!」

鉄平「け、警察……ひっ……!」

赤坂「……どうやら、ギリギリだったようだね」

梨花(嘘……この声は……そんな、まさか……!?)

「梨花ちゃん!」

梨花「あ、あ……ああ…………あ、赤坂!!」

赤坂「間に合ってよかった……本当に」

大石「ちょっと困りますねえ赤坂さん、私のセリフ取らないでくださいよ」

赤坂「ははは、すいません」

葉「来るのが遅れて悪かったな、圭一」

圭一「来てくれたのは良かったけど、確かにもうちょっとだけ早く来てほしかったな……」

圭一「葉が来るまで、俺は一人で三人相手にしなきゃいけなかったんだぞ?」

アンナ「……へえ。すごいじゃない、あんたも結構根性あるのね」

葉「ああ、圭一がみんなを守ってくれてたおかげでなんとかなった」

圭一「……ま、一番最後を締めたのは葉だけどな」

アンナ「……来たわよ、他の部活のお仲間さんがね」

詩音「沙都子!」

魅音「大丈夫!?圭ちゃん、梨花ちゃんも!!」

圭一「……遅いぜ、魅音」

魅音「ごめん!何かあるかもしれないと思って色々と準備してたら遅くなっちゃって……!」

圭一「準備?準備って……」

葛西「……警察が来ているなら私はここから消えたほうが良さそうですね」

圭一「……ああ、そういうことか」

レナ「大変だったんだよ?魅ぃちゃんの家のおばあちゃんを説得するの……」

魅音「いや……でも、憎まれ口を叩いてたけどばっちゃも分かってくれてたよ」

魅音「そうじゃなかったら、ばっちゃがこんなに早く折れるはずがないからね」

圭一「そっか……魅音たちも戦ってくれてたんだな」

魅音「たはは、完全に無駄になっちゃったみたいだけどね」

圭一「で、葉とアンナは……」

葉「ああ、オイラたちはあの刑事さんのところへ事情を話しに行ってたんだ」

葉「そしたら、なんか梨花のことを知ってるって人が一緒にいたからついでに来てもらったんよ」

アンナ「警視庁の公安よ」

葉「ああ、そんな感じだったな」

圭一「それがあの、赤坂って人か」

葉「おお、なんか昔から梨花のことを知ってるみたいだったぞ」

詩音「沙都子……ねえ沙都子!どうしたの!?」

沙都子「違う……私は……私は…………!!」

梨花「沙都子!?」

詩音「どうなってるんですか梨花ちゃま!沙都子は……沙都子は一体……!」

アンナ「…………」

梨花「思い出してはダメよ沙都子!あんなのでたらめに決まって……!」

アンナ「………葉」

葉「な、なんだアンナ……今は沙都子が……」

アンナ「救えるかもしれないわ、あたしたちで」

葉「!」

沙都子「違う……違う……!!」

梨花「落ち着いて沙都子!お願いだから……あれは不幸な……!!」

赤坂「大石さん」

大石「……どうやら、あまりよろしい状況ではなさそうですね。熊ちゃん、入江先生に連絡とって!」

熊谷「了解っす!」

圭一「なあ梨花ちゃん!沙都子は一体どうしたんだ!?」

梨花「それは……」

アンナ「二年目の鬼隠し」

梨花「!」

アンナ「その被害者が関係してるんでしょ」

梨花「どうして……そのことを……!」

魅音「二年目って……まさか北条家の……」

梨花「あれは違う……沙都子のせいなんかじゃ……!」

葉「ああ、それはきっと沙都子のせいじゃねえ」

梨花「え……?」

葉「だって、ここにはもう沙都子の親はいないんだからな」

魅音「い、いないって……」

圭一「よ、葉……お前一体なにを言って……?」

葉「いないってのは、もう成仏してるってことだ」

沙都子「…………?」

葉「この世に恨みを残して死んでいった人間は成仏なんかできねえ、みんな地縛霊になってこの世に留まってる」

葉「それがいねえってことは……この世に未練がなかったってことなんよ」

大石「…………」

葉「多分、沙都子とは話しておいたほうが良さそうだ……お互いのために」

梨花「葉……あなた、何をするつもり……?」

葉「……ここはオイラに任せてくれ、きっとなんとかなる」

アンナ「……じゃ、行くわよ」


―――ひとつ積んでは父のため

―――ふたつ積んでは母のため

―――みっつ積んではふるさとの兄弟

―――我が身と回向する

詩音「あ、アンナさん……?」

アンナ「……来たわ、準備しなさい。葉」

葉「ああ、いつでもいいぞ」

アンナ「……イタコ式憑依術!クチヨセ!!」

葉「!!」

アンナ「さて、もう一人……これはあたしが憑依合体するしかなさそうね」

アンナ(まったく……自らの体に霊を憑依させるなんていつ以来かしら)

アンナ「ま、言ってても仕方ないわね……憑依合体!」

沙都子「…………!!」

沙都子(これは……夢、でございますの?あの二人が……私の前に……?)

葉『沙都子ちゃん……大きくなったのぉ』

アンナ『強い子に育ったね……沙都子』

沙都子「あ……あ……!」

喜劇的とすら呼べるほどの悲劇的な事故によって命を落とした、北条沙都子の両親。

その親子は長い時を経て、再び再会を果たす。

沙都子はすべてを思い出した、三年前の事故のことを。そのすべてを。

三年前のあの時、沙都子は確かに両親の優しさに触れたのだ。

その愛に引かれ、彼女は二人の胸へと飛び込んでいく。

二人が沙都子を受け止めた時……二人が背にしていた柵が悲鳴を上げた。

気が付けば沙都子は地面に倒れていた、ふと顔を上げるとそこに両親の姿はなく

無残に壊れた柵があるだけだった。

だが、その最後の瞬間の両親の顔を彼女は今、はっきりと思い出す。

自分も一緒に下へ落ちないよう、必死に突き飛ばし……そして

自分が無事であると確認すると、二人ははっきりと『笑った』のだ。

そうして、二人は…………

沙都子は二人と再会し、自らの思いのたけをすべて吐き出していた。

謝罪、後悔、愛情、感謝……両親が生前に伝えきれなかったそのすべてをぶつけていた。

どれだけの時間が経ったのかは分からない。だが、その時間は

少女にとって何にも代えがたい、己の過去を受け止める時間となったに違いない。

・・・

葉「礼を言うぞアンナ、あの二人を呼び出してくれて」

アンナ「自分に憑依させるのは、多分あとにも先にもこれ一度きりよ」

沙都子「……葉さん、アンナさん」

葉「……ちゃんと話が出来たみたいだな」

沙都子「正直……一体なにが起こったのかよく分かっていませんの、でも……」

沙都子「さっき、私は確かに話しましたのよ。私の……両親と」

葉「……ああ、そうだな」

沙都子「お二人にどんな力があるのかは存じませんけれど……それでも」

沙都子「お礼を言わなければいけませんわね、心から」

圭一「よ、葉……!」

葉「……すまん、今まで黙ってて。なんというか、オイラたちはそういう人間なんよ」

アンナ「…………」

葉「あの世とこの世を結ぶシャーマン、それがオイラたちだ」

レナ「…………」

詩音「…………」

葉「ウェッヘッヘ、なんかちょっと気味悪いよな。こういうのって……ほんと、すまん」

魅音「…………」

魅音「……なんで」

葉「ん?」

魅音「なんでもっと早く教えてくれなかったのさ!そんなびっくり能力!!」

葉「うええっ!?」

ごめん、限界、ちょっと寝る、葉の再現度低すぎるかもしれんけど許して

   (;;゚;;)
  (;;゚;;)(;;゚;;)
 (;;゚;;)(;;゚;;)(;;゚;;)
(;;゚;;)(;;゚;;)(;;゚;;)(;;゚;;)

保守 


葉「なんぞこれ?」

まん太「まんの子が薦めてきたから買ったんだよ。絵柄は残酷だったけど結構面白かったよ」

葉「オイラ字を読むのが苦手だからなぁ」

まん太「そんなこと言わずにさ。葉くんも読んでみてよ」

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

ひぐらしのなく頃に >>1潰し編

散々保守させてなんて謝ったらいいか分からんけどとりあえず再開する

>>1様が黄泉の国から帰ってきた!

葉「み、魅音……?」

魅音「かーっ、なるほどねぇ……葉くんの底知れぬ強さはそこに秘密があったってわけか」

圭一「もしかしてトランプの時とか、その辺にいる幽霊に俺たちの手札をのぞかせてたんじゃないか?」

葉「っ!!」

詩音「図星……って顔してますね、フフ……葉くんは本当に分かりやすいです」

葉「ていうか……お前ら受け入れるの早えんだな」

魅音「ん?だってそんなの関係ないじゃん、どんな能力があろうと葉くんは葉くんだし」

アンナ「…………」

>>1が…帰ってきた…!

赤坂「なるほど……彼が大石さんの仰っていた……にわかには信じがたいですね」

大石「ええ、そうでしょうとも……しかし私は自分自身で彼の能力を体験してますからね」

大石「今の北条家の霊……クチヨセ、でしたか。それまで見ちゃ、もう疑うことはできません」

赤坂「いえ、僕も信じますよ。私も、そういった神懸かり的なことはすでに経験していますしね」

梨花「赤坂……」

赤坂「……梨花ちゃん、僕は君の予言のおかげで妻を失わずに済んだ」

赤坂「そして……今度は僕が君を助ける番だ」

梨花「…………!」

圭一「梨花ちゃんを助けるって……赤坂さん、それって一体……?」

レナ「梨花ちゃんは……何か困ってることがあるのかな?」

梨花「それは……」

羽入『梨花……以前、葉とアンナから教わったことを忘れましたか?』

梨花「!」

羽入『仲間に頼る、それは決して逃げではない……それは仲間を信じて共に戦うこと!』

梨花「…………」

アンナ「で……どうすんの?」

梨花「……今からボクは信じられないことを言いますです。それでもみんなは話を聞いてくれますですか?」

圭一「当たり前だろ!俺たちは仲間なんだ!」

梨花「では……聞いてください、僕の話を。これからの未来の話を」

Ω ΩΩ「な、なんだってー!!!」

・・・

梨花「……ボクの話はここまでなのです」

圭一「梨花ちゃんが……殺される……?」

魅音「…………」

赤坂「梨花ちゃんは、鬼隠しが始まる前からすでに誰がどのように犠牲になるかを私に説明してくれた」

大石「そして……その予言通りの結果になったと」

赤坂「ええ。だから……私は梨花ちゃんの言うことを信じます」

大石「ふむぅ……」

梨花「圭一たちは……信じてくれますですか、僕の話を」

圭一「……梨花ちゃん」

梨花「?」

圭一「まずは敵の正体を暴くところから始めようぜ」

魅音「そうだね、どこの誰が敵なのかが分からなきゃ守りようがないし」

沙都子「梨花に恨みを持っているような人間がこの村にいるでしょうか……」

詩音「沙都子なんかは意外と梨花ちゃまに思うところはあるんじゃないですか?」

沙都子「し、詩音さん!」

梨花「み、みんな……信じてくれるのですか?こんなおとぎ話のような戯言を……!」

レナ「信じるとか信じないじゃないんだよ、梨花ちゃん」

梨花「えっ……?」

レナ「どんな理由であったとしても、仲間である梨花ちゃんが助けを求めてる」

圭一「それも、きっと悩みに悩んで、勇気を出して打ち明けてくれた告白だ」

圭一「だったら俺たちは梨花ちゃんを助ける、ただそれだけの話だろ?」

魅音「敵が誰なのかは知らないけど、おじさんの仲間に手を出すってんなら容赦はしないよ!」

沙都子「第一、梨花は私の親友ですのよ?助けない理由などございませんわ」

詩音「私も色々と梨花ちゃまにはお世話になってますしね」

レナ「大丈夫……レナたちも、必ず梨花ちゃんの力になってみせるから」

圭一「約束するぜ梨花ちゃん!俺たちはどんな時でも、梨花ちゃんの味方だ!」

梨花「圭一……みんな……」

「私、オヤシロ様。今あなたの後ろにいるの・・・」

圭一「俺もいるぜ」
梨花「圭一」
魅音「あんただけに、いいカッコさせるもんですか」
梨花「魅音・・・」
沙都子「部活メンバーは、あんただけじゃないのよ!」
レナ「お持ちかえりぃ~」
梨花「みんな・・・」

悪魔超人「こ、これが友情パワーか」

赤坂「さて……少し、私から話をさせてもらってもいいかな」

梨花「?」

赤坂「僕はこの村に来る前、少し気になることを調べてみたんだ」

赤坂「結果……この村のとある機関に、不透明な金の流れがあることが発覚した」

梨花「そ、それは……」

赤坂「それは……入江診療所」

梨花「ど、どういうことなのですか……赤坂」

赤坂「詳細まではまだ分からない……けれど、あそこがただの診療所ではないことは確かだ」

圭一「それってつまり……怪しいのは、監督ってことかよ?」

沙都子「そんな……か、監督は良い人でしてよ!」


アンナ「どうかしらね」

梨花「あ、アンナ……?」

アンナ「人は対面だけではなにも推し量ることの出来ない生き物よ」

アンナ「どれだけ外面が良くても、その心が穢れきっている人間なんて大勢いる」

アンナ「実際、あたしはそういう輩を嫌というくらいに見てきたわ」

沙都子「でも……でも……!」

アンナ「あたしはその入江って医者が黒幕だって言いたいわけじゃない」

アンナ「ただ、よく知りもしない人間の全てを絶対的に決めつけるのは愚かだってことよ」

梨花「…………!」

葉「…………」

大石「んっふっふ……どうしました葉さん、ずいぶんと考えていらっしゃるようですね」

葉「ウェッヘッヘ、オイラはあんま頭よくねえから考えるのに疲れちまった」

大石「難しい問題です、そう簡単に答えを出すのは無理でしょう」

葉「だから、ちょっと梨花のことをオイラに当てはめて考えてみたんよ」

葉「百年、千年戦っても勝てねえやつってのはどんな奴か……」

大石「ほう、なかなか面白い考え方をなさいますね」

葉「そしたら……いたんよ、オイラじゃ絶対勝てないやつが」


『お前は僕の大切な半身なんだ』

葉「……多分、あいつじゃオイラが百年かけて戦っても勝てんと思う」

葉「オイラはほとんどの奴には百年くらいかければ一回くらいなら勝てると思う」

葉「相手が天使だろうが、大仏様だろうが、隙を突けば多分なんとかなるはずだ」

葉「それすらできねえような相手は……単純に強すぎて尚且つオイラのことを知り尽くしてるような奴だ」

アンナ「…………」

梨花「よ、葉……つまりは何が言いたいのですか?」

葉「梨花が百年かけて勝てんってことは、それだけ敵もデカい力を持った奴ってことだ」

葉「そんで百年間、毎回お前を殺してるってことは……お前をすげえよく知ってる奴なんだと思うぞ」

梨花「…………!」

赤坂「……なにか、心当たりがあるようだね」

梨花(……ある。私を確実に殺せる大きな力を持っていて、私を知り尽くしている組織が……!)

梨花「でも……そんな、まさか……!」

アンナ「あんた、さっきあたしが言ったことをもう忘れたの?」

梨花「!」

アンナ「…………」

圭一「梨花ちゃん……?」

梨花「……ありますです、気にかかることが」

梨花「でも……それを言う前に聞いておきたいことがあるのですよ」

葉「?」

梨花「ボクが気にかけている組織は……今年の鬼隠しの犠牲者に大きくかかわっているのです」

梨花「そして……入江にも」

沙都子「そんな……!」

魅音「今年の鬼隠しの犠牲者って……!」

梨花「でも、ボクの考えの通りならば入江は黒幕ではないはずなのです」

レナ「…………」

梨花「黒幕として考えられる人はいますです、でもその人は今年、間違いなく死ぬはずなのです」

梨花「みんなは……これをどう思いますですか?」

赤坂「今年の鬼隠しの犠牲者……それは確か……」

梨花「富竹、そして……鷹野の二人です」

沙都子「で、では……あのお二人が……!?」

梨花「でもおかしいのです、黒幕であるのならば今年の鬼隠しの被害に遭うはずがないのですよ」

レナ「……富竹さんたちは、どういう亡くなり方をするのかな?」

梨花「富竹は自らの手で喉をかきむしって死に、鷹野はドラム缶の中で焼き殺されます」

葉「…………」

葉「……燃えちまったら誰が誰かなんて分からんと思うぞ」

梨花「…………?」

葉「……オイラは人が燃やされるのを何度か見たことがある」

アンナ「…………」

葉「こういうのはあんまり言いたくねえけど……焼かれちまったら分からんぞ、本当に」

アンナ「……そうね、あんたの兄の専売特許に近かったものね」

大石「……シャーマンであるお二人の世界は私には理解しがたいですが、ご指摘は非常に的を射ている」

大石「焼死ってのは実に厄介な死に方でしてね、身元の確認には非常に手間取るんですよ」

大石「確認できたとしても、それが正確であるかは保証しかねますしね」

赤坂「私も、ドラム缶で焼き殺されるといった方法には疑問があります」

赤坂「こんな小さな村でそんな派手な殺し方をすれば確実に何かしらの証拠が残りますからね」

赤坂「なのになぜ……そんな面倒な殺し方をしたのでしょうか?」

梨花「…………」

魅音「どうも、きな臭い感じがしてきたね」

詩音「自分が殺されたと見せかけて……裏ですべてを動かしていた、ってことですか」

赤坂「可能性は、十分にあるだろうね」

梨花「……とても、信じがたいことなのです。でも、これはボクにとって今までになかった選択肢」

梨花「……鷹野たちを疑うというのは、今までの世界でも初めての経験なのですよ」

赤坂「個人的見解ですが……疑うべき対象からその、富竹という人物は除外しても構わないと思います」

大石「そうですねぇ……喉をかきむしって死んだ、なんてのを偽装するのはどう考えても不可能でしょう」

赤坂「ええ、おそらく……彼は深い闇の部分は何も知らない。そして、最後は祟りに乗じて……消された」

アンナ「…………」

圭一「とりあえず、注意すべき相手は絞られてきたな」

魅音「うん……一番マークしなきゃいけないのは鷹野さん、その次に富竹さんと監督だね」

梨花「それと……ボクを見張り守る役割を持った山狗と呼ばれる組織も存在しますです」

沙都子「山狗……?その山狗さんが梨花を守ってくださいますの?」

梨花「……この組織は富竹、鷹野の指示のもとで動きますです。つまり」

詩音「鷹野さん、もしくは富竹さんが黒幕だった場合……そいつらが敵に回るってことですね」

赤坂「……おそらく、今まで梨花ちゃんが殺されてしまった一番の要因はその組織だと思うよ」

大石「参ったなこりゃ……ずいぶんとデカい話になってきたようです、これじゃおそらくは警察内部にも」

赤坂「ええ。敵の諜報部、もしくはそれに準ずる何かが潜り込んでいる可能性が高いですね」

魅音「……よし、みんな聞いて。ここで一度、宣誓しておこうと思う」

梨花「?」

魅音「敵の正体は分かってきたけど、どうにも一筋縄じゃ行かない相手みたいだ」

魅音「そいつらに勝つにはまず、こっち側がまとまってなきゃどうにもならない」

魅音「だから……誓って、みんな。何が何でも梨花ちゃんを守って、今年の鬼隠しを止めるって!」

梨花「魅ぃ……!」

葉「おし、それじゃあいっちょ全員でふんばるとするか」

『オーッ!』

・・・

詩音「あの、葉くんとアンナさん……ちょっとだけいいですか?」

葉「ん?」

詩音「その……さっきのクチヨセっていうんですか、呼んでみてほしい人がいるんです」

アンナ「……なに、行方不明の思い人でも呼んでほしいのかしら?」

詩音「!」

魅音「し、詩音……あんた!」

詩音「ごめんお姉……でもどうしても知りたい!戦う前に!悟史くんが生きているかどうか」

詩音「だってこの戦いでもし勝てれば、悟史くんがどこにいるかわかるから!」

沙都子「し、詩音さん……!」

アンナ「…………」

アンナ「無理ね」

詩音「無理……?」

アンナ「その悟史って子の魂はあの世にはない……それにこの世に留まってもいない」

詩音「そ、それって……つまり……!」

アンナ「生きてるってことよ、肉体を持ってね」

詩音「!」

沙都子「にぃにぃが……生きて……!」

アンナ「さすがにどこにいるかまでは分からないけど、それは確かよ」

詩音「良かった……本当に、良かった……!!」

魅音「……勝たなきゃいけない理由、増えたみたいだね」

ちょっとだけ風呂行ってくる

梨花(羽入……どうなると思う、この世界)

羽入『分かりませんです……でも、今までは違う道が開けているのは確かなのです』

梨花(そう……今度こそ、私は掴み取る。みんなと一緒に……未来を!)

羽入『梨花……期待しすぎては……!』

梨花(……見られてるわよ、羽入)

アンナ「…………」

羽入『!』

梨花(あんたも信じなさい……運命を打ち破れるって、強く……心からね)

梨花(私にとっては、あんたも大切な仲間なんだから)

羽入『あ、あうあう……!』

麻倉葉「魔法少女・・・・・・?」

―――

葉「じゃあな」

魅音「うん、また明日ね!」

・・・

葉「…………」

アンナ「……行くつもり?葉」

葉「ああ……多分、なんとかなる」

アンナ「……ホント無茶をするわね、あんたは」

蓮「貴様……アイアンメイデン・ジャンヌか?」

―――
同日、夜、入江診療所

葉「さすがにもう誰もいな……」

アンナ「いないわけでもなさそうね」

梨花「……やっぱり、二人でしたか」

大石「おやおや……なはは、来ちゃいましたか」

赤坂「もしや、とは思いましたが……まさか本当に来てしまうとは」

葉「……やっぱ、考えることは同じみたいだな」

大石「おおっと誤解しないでください、私たちはここに踏み込もうなんて考えたわけじゃないんです」

赤坂「梨花ちゃんが、入江京介は信用できる人間だと固く主張するので……ね」

アンナ「…………」

梨花「もちろん、アンナが言っていたように入江が黒幕である可能性もありますです」

梨花「だからこうして、赤坂たちについてきてもらったのですよ」

アンナ「…………」

アンナ「……ま、一人で勝手に動かれるよりはだいぶマシね」

・・・

入江「……梨花さんから、そこまで聞きましたか」

入江「そして、前もっての調査でこの診療所に不透明な資金が流れていることが判明したと」

赤坂「ええ……はっきりと言っておきますが、我々はあなたも要注意人物として警戒をしています」

赤坂「何か妙なことをすれば……ただちにあなたを拘束する」

入江「そんな……私はなにも!」

梨花「僕は入江を信じますです……だから、入江にも話してほしいのです」

入江「話すと言われましても……鷹野さんが梨花さんを殺すだなんてあり得ないことです!」

入江「一体なにを話せば……」

梨花「雛見沢症候群のことを……そして、ボクが死んでしまったらどうなるのか……それを教えてほしいのです」

入江「……分かりました、それでしたらお話しできます」

・・・

入江「……私からは以上です」

赤坂「『緊急マニュアル第34号』……どうやらそれが彼女の目的のようですね」

入江「しかし……まさかあの思慮深い鷹野さんがそんな突拍子もないことを考えるはずが……!」

梨花「入江…………」

入江「分かってます……資金の不正な流れがあった以上、私の知らないところで何かが起こっているであろうことは」

入江「だがこれだけは信じてください!私はやましいことは何もしていないんです!」

入江「雛見沢症候群が完治できるよう一刻も早く治療を進める!これだけが私の望みなんです!」

赤坂「…………」

入江「この言葉に嘘はない!私の医師としての誇りに賭けても!」

アンナ「…………」

アンナ「そう、なら……黒幕はもうほとんど決まりでいいんじゃない?」

赤坂「アンナちゃん、まだ入江所長が白と確定したわけじゃ……」

アンナ「入江京介の言葉に嘘はなかったわ」

大石「……それは、なにか霊的な物に基づく根拠がおありなんですか?」

アンナ「さあ、どうかしらね」

梨花「赤坂……入江は、信じてもいいと思うのです」

赤坂「……すみません、少々あなたを疑いすぎてしまったかもしれない」

入江「いえ……正しい判断だと思います」

大石「入江先生が白だとするなら……やはり……」

葉「ああ、もう間違いなさそうだ」

―――
翌日

富竹「鷹野さんのことを調べる……か」

梨花「お金に関してよくない噂を聞いたのです、ボクの勘違いかもしれませんですが……」

富竹「いや……うん、そういうことでギスギスするのはマズイね。分かった、一応調べておくよ」

梨花「……富竹、なにか危ないと思ったらすぐに逃げてください」

富竹「ん、心配してくれてるのかい?大丈夫、こう見えても僕は結構強いんだよ」

梨花「…………」

富竹「ありがとう、忠告はちゃんと受け取っておくよ」

・・・

魅音「そっか、富竹さんもちゃんと動いてくれたんだ」

梨花「一応注意もしましたですが……どこまで本気で聞いてくれたかは分かりませんです」

レナ「ううん、それでもきっと大きな前進だよ。梨花ちゃん」

圭一「これでほとんどの準備は整ったな……あとは」

詩音「私たち、園崎家のこと……ですね」

沙都子「もしも敵の組織と真っ向勝負、なんてことになりましたら是非お手を借りたいところですわね」

魅音「うん……でも、まだ起こってもいないようなことにばっちゃは腰をあげてくれないと思う」

詩音「ですね、正直かなり飛び抜けてる話ですから信じてくれるかどうかも怪しいですし」

圭一「けど、やっぱりいざって時のために園崎家の協力は絶対に必要だよな……」

葉「なら、交渉役はオイラだな」

魅音「へ?よ、葉くんが!?本気で言ってるの!?」

葉「おお、本気も本気だぞ」

葉「多分、オイラはこれから世界中を歩いて話をしてかなきゃならんだろうしな」

レナ「そ、それってどういうことかな?かな?」

アンナ「深くは知らなくていいことよ」

圭一「いや……でも、葉が行くって言うなら俺も行くぞ!」

圭一「一人に丸投げしちまうわけにもいかねえし、ここで行かなきゃ前原圭一の名が泣くぜ!」

詩音「そんな軽い気持ちで……知りませんよ、二人とも」

・・・
園崎家

お魎「…………」

葉「…………」

圭一「…………」

大石「…………」

圭一『なあ、葉』

葉『ん?』

圭一『なんで大石さんまで連れてきたんだよ!ここがどこだか分かってるのか?』

葉『ああ、分かってる』

圭一『分かってるならなんで……』

葉『多分、大石が交渉の鍵になると思うんよ』

圭一『は、はぁ……?』

茜「ずいぶんと機嫌が悪いね、お母さん」

お魎「……いきなり呼び出されてわけぇわからん与太話を聞かされて機嫌もあるかい」

圭一「突拍子もないことだとは分かってます、でも……万が一のことがあるかもしれない」

圭一「そして、その万が一のことが現実に起こりそうになってる……だから!」

圭一「もしもの時は、この雛見沢の中心でもある園崎家の力を貸してほしいんです!」

茜「圭一くんの言いたいことは分かった……とりあえず、その話を信じるかどうかは一度おいておこうか」

茜「あたしが聞きたいのはね、どうしてそんな話をするのに刑事を連れてきたのかってことさ」

大石「なっはっは……なんか申し訳ないですね、場違いなようで」

圭一「それは……」

葉「声を掛けたのはオイラだ」

茜「あんたは確か……葉くんとか言ったっけね、魅音から話は聞いてるよ」

茜「それで、どういうわけでこの大石に声を掛けたんだい?」


葉「だってお前ら、仲悪いだろ」


お魎「…………」

茜「…………」

大石「…………」

圭一「…………」

アンナ「…………」

茜「……フッ、あっはっはっは!コイツはまたストレートな答えが返ってきたね!」

茜「ああそうさ、あたしら園崎組と警察は仲が悪い……それがなんだっていうんだい?」

葉「味方同士で喧嘩したまんまじゃ敵と戦っても勝てねえ」

茜「ああ……だから、あたしたちに仲良しこよし。お手て結んでお友達になれって言いたいのかい?」

葉「別にずっとそうしろなんて言わねえさ。けど……鬼隠しについては協力してもらわんと困るんよ」

茜「はっ、どうやって協力しろって言うんだい。第一、そこの刑事さんは鬼隠しの黒幕が園崎だと疑って……」

大石「ああ、それなんですけどね……どーもすみません、私の勘違いだったようです」

茜「……は?」

大石「いやいや、実に申し訳ないです。私はもう、園崎が裏で暗躍してるなんて思ってはいませんよ」

葉「とまあ、そういうことだ」

大石「思えば、ダム戦争の時からずいぶんとやり合ってきたもんです」

大石「あんたたちの組のモンに撃たれたこともありましたし……ま、その逆も然りですか」

茜「…………」

大石「……ここらで、一端止めにしましょう……ダム戦争を引きずっても不毛でしかありません」

茜「……こいつは驚いた、まさかあんたからそんな言葉が出てくるとね」

大石「なっはっは……まあ、心境の変化ってやつですな。若い子たちの影響を少なからず受けたおかげ、ですかね」

茜「……どうします、お母さん」

お魎「……どうもこうもなあ、なんで目の敵と手ぇ組まなならん」

葉「…………」

お魎「第一、こんガキどもの言ってることなんぞいっぺんも信用ならんね」

お魎「わけのわからんことぬかして園崎の名ぁに傷つけることを……」

圭一「!」

お魎「要求は飲めん、こんだほまども!」


圭一「いい加減にしろよこの野郎!」

圭一「俺は警察とヤクザの関係なんてよく知らない。だからあんたらが普段どこでドンパチやってようが口出しはしない」

圭一「けど今は違う!今回の敵はこの雛見沢全体の敵だ!今に限ってはあんたらは同じサイドにいるんだよ!」

圭一「警察だとかヤクザである以前に、あんたらはこの雛見沢の住人だろ!その雛見沢が危機に陥ってる!」

圭一「なのになんで!なんでテメェは手を結ぼうとしやがらないんだ!」

お魎「こんガキ……言葉遣いも分からんか、あんじょうすったらん!」

圭一「言葉遣いの問題じゃない!これは魂の問題だ!」

圭一「くだらねえ意地を張って村のために戦おうとしないクソババアはすっこんでろ!」

お魎「こんガキ……なんぬかしようか!」

圭一「!」

阿弥陀丸『葉殿……あの老婆、日本刀を!』

葉(ああ……抜いたな)

圭一「今さら俺はそんな脅しに……」

葉「……下がっててくれ、圭一」

圭一「葉!」

葉「万が一があるかもしれねえ、ここはオイラに任せとけ」

圭一「けど……!」

お魎「ぬあああっ!」

ブンッ!

葉「…………」

お魎「……なんね避けんかった」

葉「斬る気がねえのが分かったからな、止めてくれる確信があった」

お魎「…………」

茜「……お母さん」

お魎「気分悪ぅなった、そんガキどもはもう帰らせえ」

茜「……そういうことさね、今日はもうお開きだよ」

圭一「待ってくれ!まだ俺たちは返事を……」

茜「くどいね!今日はもうお開きだって言ったろ……これだけ好き勝手やって、まだ何かやるってのかい?」

圭一「…………!」

葉「……どうも、ここまでみてえだな」

アンナ「…………」

・・・

圭一「悪かった、葉……ついかっとなって言いたいこと言っちまった」

葉「圭一は悪くねえさ」

大石「ふーむ……やはり私が一緒に来たのが失敗でしたかね。……申し訳ないです」

葉「連れてきたのはオイラだろ、謝られても反応に困っちまうぞ」

魅音「葉くん……みんな……」

詩音「別室から見てましたけど……とんでもないことしてくれちゃいましたね」

圭一「悪かった……ホントに」

葉「すまん」

詩音「きっと伝説になりますよ、未成年の子供が園崎お魎を相手に日本刀抜かせて一悶着あったなんて」

葉「……すまん」

魅音「あ、ばっちゃをはじめとした園崎家は全面的に協力してくれるって」

葉「……すまん、…………ん?」

圭一「オイ魅音……今なんて……」

詩音「びっくりですよ……あのばあさんがこんな突拍子もない話に手を貸してくれるなんて」

魅音「ばっちゃとしても本当は一丸になって戦いたいと思ってたんだよ」

魅音「でも、園崎家頭首としてはそう簡単に警察と手を組むわけにもいかない……だから」

茜「あんたたち若いのがきっかけを作ってくれるのを待ってたんだね」

魅音「お、お母さん!」

茜「フフ……圭一くんと葉くんだったかい?なかなかどうして、若いのに度胸があるじゃないか」

茜「あの泣く子も黙る園崎お魎にあそこまで言っちまうなんて……ホント、大した子たちだよ」

圭一「俺は正直、園崎家の上の人がどんな感じなのかなんてよく知らなかったんで……」

葉「オイラもまだこの雛見沢に来て日が浅いからな」

圭一「多分、お魎さんの怖さをよく知らない俺たちだからこそあそこまで言えたんだと思います」

茜「フフ……何も知らないってのも、時には武器になるもんなんだね」

アンナ「それに」

茜「?」

アンナ「園崎お魎が温かな心を持ってくれていたことが幸いだったわね」

詩音「温かな心って……アンナさん、それはさすがにないですよ」

詩音「あのおっかない鬼婆に人間らしい心なんてもんがあるわけが……」

アンナ「彼女は強い語気tその風格で威厳を保ち、周りを畏怖させるような振る舞いをしていた」

アンナ「それは己の立場を考えて自らの思いを吐露できない心情の裏返しよ」

魅音「…………」

アンナ「あの老婆も、本当はとても優しい人」

圭一「とりあえず……これで園崎家の協力も得ることが出来たな」

茜「あんたたちの言うような敵が攻めてくるなんてにわかには信じがたいけどね」

茜「ま、攻めてこないなら来ないでそれもよし……もし来たら」

茜「この園崎茜、己の血が沸騰するまで戦い抜いてやるさ!」

葉「……すげえかっこいいな、お前らの母ちゃん」

魅音「あ、あはは……昔は色々と凄かったみたいだから……」

―――
同日、某所

鷹野「そう……あの子が、ね」

小此木「仲間を集い、不穏な動きを見せています……我々の目的に勘図いている可能性も」

鷹野「フフ……面白いじゃない、今は泳がせておいて構わないわ。騒ぎが起こればやりにくくなるわ」

小此木「綿流しまで待て…ですか、了解しました」

鷹野「何が起こるか分かっていたところで防ぐことが出来るわけでもない……そうでしょ?」

―――
綿流し前日、山中

富竹「はっ……はっ……!」

富竹(不覚だった……まさか、こんな事態になってしまうとは……!)

富竹「梨花ちゃんの忠告がこんな形で実現してしまうなんて……!」

富竹(鷹野さん……まさか、あんな計画を考えていたとは……!!)

富竹(山狗も完全に寝返っている……くそっ、このままでは……!)

富竹「なんとか番犬部隊を呼ばなければ……!」

パーンッ!

鳳4「こちら鳳4、目標を電気中で狙撃。標的は崖から沼に落下、生死は不明」

鷹野「沼に落下?……ずいぶんとお上手な腕前ね」

小此木「すいません、まさかこの山狩りをすることになるとは思いませんでしたんで」

鷹野「富竹の死体が発見できるまで沼地近辺を探しなさい」

小此木「はっ!」

・・・

魅音「と、富竹さんが行方不明になってる!?」

赤坂『滞在していたホテルから忽然と姿を消したと、おそらくは……』

詩音「敵が動き出してきたみたいですね……!」

赤坂『とにかく私は今から梨花ちゃんの家へ脱出するように電話をかける!』

赤坂『君たちも各々で動いてほしい!』

レナ「……いよいよだね、圭一くん」

圭一「ああ、俺たち部活メンバーに喧嘩を売ったことを後悔させてやるぜ」

魅音「うん……この日のために、今まで準備を進めてきたんだから!」

・・・
同時刻、梨花宅

prrrr prrrr

梨花「!」

沙都子「着信……!」

梨花(一分以上鳴り続ければ……ただちに脱出せよ、の合図!)

沙都子「……58、59、60……まだ止まらないということは……!」

梨花「沙都子!逃げますですよ!」

沙都子「了解しましたわ!」

鶯2「こちら鶯2、標的とその同居人一名が家から脱走!」

鶯3「こちら鶯3、様子からこちらの目的を知っての逃走であると思われる!」

小此木『捕えろ!R以外の標的には発砲も許可する!』

鶯3「それが二人は並び寄り添って走っており……

小此木『ちっ!Rに弾が当たってしまう可能性も……狙撃はなしだ!人数をかけて追い込め!』

鶯3「了解!」

梨花「敵は撃ってきませんですね……」

沙都子「やはり敵は梨花のことだけは傷つけたくないようですわね!」

梨花「でも……後ろから来てますですよ、沙都子!」

沙都子「問題ありませんわ!梨花、私にぴったりとついてきてくださいませ!」

・・・

鶯2「ぐあああっ!?」

鶯3「ぬああっ!!」

小此木『どうした!』

鶯3「お、落とし穴のトラップだ!しかも一つや二つだけじゃない!」

鶯2「ここ一帯が落とし穴だらけだ!」

小此木『連続した落とし穴、狼穽か……ふざけたことを!』

雲雀7「待ち伏せろ、やつらは間違いなくここにやってくるはずだ!」

雲雀6「鶯の一部がやられたらしい……少し面倒な相手みたいだな」

葉「ああ、オイラたちは結構しぶといぞ」

雲雀6・7「!?」

葉「阿弥陀流!後光刃!」

「ぐがっ……!!」


葉「うし……じゃあ次、行くか」

・・・

鷹野「何をやっているの!子供二人を捕まえるくらい、山狗なら簡単でしょう!」

小此木「そうもいきませんね……あの山はあの子供らには庭同然、そこを動き回られちゃ厳しいってもんです」

鷹野「だったらその分を人数でカバーすればいいだけの話でしょう!早く増援を……」

小此木「そっちも、きっちりと対処されとりますな」

鷹野「…………?」

小此木「増援部隊は……園崎組の集団と撃ちあいになっとるようです」

鷹野「園崎組ですって……馬鹿な!こっちは奇襲に近い形でRを追跡してるのよ!」

鷹野「それなのに山狗の増援部隊と真っ向から戦えるような装備を整えた園崎が来れるはずが……」

小此木「準備しとったと考えるのが自然でしょうな、こちらの動きに対して」

鷹野「…………!」

小此木「どんな手を使ったかは知りませんが……こっちの動きが筒抜けだったんでしょうな」

鷹野「…………フ」

小此木「…………三佐?」

鷹野「面白いことをしてくれたようだけれど……まだまだこっちには手があるわ」

・・・

梨花「追手が来なくなりましたですね……」

沙都子「オーッホッホ!私の華麗な罠で全員をからめ取ってしまったようですわね!」

魅音「沙都子!梨花ちゃん!」

圭一「良かった、無事だったか!」

沙都子「余裕ですわね、スリルがなさすぎて物足りないと思っていたくらいですわ」

雲雀1「いたぞ!」

レナ「でも、やっぱりまだ追ってはいるみたいだね」

魅音「一人くらいならちょろいもんだって……よっと!」

雲雀1「うおあっ!!」

圭一「す、すげーな魅音!何だ今の技!?」

魅音「へっへっへー、今のは空気投げっていうおじさんの奥義だね」

レナ「魅ぃちゃんすごい!レナも……」

雲雀2「逃がすな!」

レナ「負けてられないかな!」

バキッ!

雲雀2「うぐがっ…………」

圭一「神速のレナパン……全然衰えちゃいないみたいだな」

しえん

・・・

圭一「うらっ!」

雲雀10「ぐっ!」

魅音「もうちょっとで園崎家の戦闘部隊と合流できるよ!そうすればもう安全だから!」

レナ「…………」

圭一「どうした、レナ」

レナ「……なんだか変じゃない?さっきから敵は一人ずつしか来ないでしょ」

レナ「普通に考えたら何人かで固まって襲ってきたほうが効率がいいはずなのに……」

詩音「嫌な感じですね……まるで『少しずつおびき出されている』みたいな感覚が……」


鳳1「その通りだ」

圭一「なっ!」

鳳1「全員を罠にはめて勝ったと思ったか?囮を一人ずつ倒して舞い上がったか?」

梨花「!」

レナ「やっぱり……さっきまでのは……!」

魅音「くっ……あとちょっとで園崎家と合流できるのに……!」

鳳1「合流してどうする?」

魅音「……どういう意味さ」

鳳1「いくら任侠集団とはいえ、本気で戦闘のプロに勝てると思っているのか?」

詩音「それって……まさか!」

鳳1「まもなく園崎家戦闘部隊の制圧が完了する、お前たちの頼みの綱はなくなった」

圭一「嘘だろ……くそっ!」

鳳1「全員、罠に警戒しつつ前進しろ!Rを捕獲したのち、その他全員を処分する」

梨花「!」

梨花(そんな……そんな……!)

詩音「ダメです!完全に囲まれてますよ!」

レナ「くっ……!」

沙都子(私の罠もこの辺りには……!)

魅音「ここまで来て……ここまで来て……!」

梨花「嘘……こんなのって……!!」

圭一「くそっ……みんな諦めるな!諦めるなあぁぁぁぁっ!!」






―――憑依合体!!

鳳1「!?」

よみがーえーれー

葉『阿弥陀流!真空仏陀斬り!!』

山狗「ぐああっ!!?」

圭一「よ……葉!!」

葉「よっ」

魅音「よっ、じゃないよ!もうちょい遅かったらここにいる全員がゲームオーバーだったんだから!」

葉「遅れてすまん、けど……ゲームオーバーってのは多分違うと思うぞ」

葉「お前らの力はこんなもんじゃねえだろ?」

レナ「よ、葉くん……?」

葉「……抜けるぞ、コイツらの包囲」

詩音「ほ、本気で言ってるんですか?」

葉「いつまでも囲まれっぱなしじゃそのうちやられちまうだろ?」

圭一「む、無理だ葉!お前でもこの人数を相手にするのはさすがに……」

葉「オイラは無理なことはしない。だから」

葉「無理じゃない」

梨花「葉……!」

葉「行くぞ!阿弥陀丸!」

阿弥陀丸『応ッッ!!』

・・・

鳳1「ぐっ……!」

葉「……これで全員だな」

詩音「す、すごい……!あれだけの人数を……あんな木刀一本で……!」

レナ「サムライ……みたいだったね、葉くん」

魅音「みたいなんてもんじゃない、サムライだったよ……あれは」

圭一「止まってる時間はないぞみんな!早く園崎と合流しないと!」

鳳1「ば、馬鹿が……合流したところで……もうすでに園崎は制圧されているはずだ……」

葉「…………」

鳳1「……いくらお前でも、園崎を圧倒するレベルの山狗の数では対処できまい」

葉「勘違いすんな。戦ってるのは、オイラたちだけじゃねえぞ」

鳳1「…………?」

・・・

茜「くっ……退くんじゃないよあんたら!ここが園崎の誇りの見せどころさね!」

雲雀13「もう少しでやつらも落とせる……そうすればあとはゆっくりと山狩りをしてRを……」

大石「おやおやぁ、どうもこいつは凄まじいドンパチをやってるようですなぁ」

雲雀13「!」

大石「おう兄ちゃん、ヤクザだろうがなんだろうがそこの連中は雛見沢村の住人なんでね」

大石「それに対して武器向けてるんだ……なら、警察とやり合う覚悟はあるんだろうな!」

雲雀13「き、機動隊だと……!」

茜「ふっ……あっはっはっは、こりゃ傑作だ。極道が警察に助けられちまったよ」

大石「ああ、そういや私は最近老眼でしてね。おたくらが持ってる銃らしきものがたまたま今に限り見えてませんよ」

茜「気前がいいじゃないかい!そらお前たち!警察にばっかおいしいところ持ってかれるんじゃないよ!!」

・・・

小此木「……機動隊ですか、まーた面倒なのを引き連れてきましたな」

鷹野「くっ……」

小此木「もうここまで来れば我々も出るしかなさそうです」

鷹野「Rよ……Rさえこの手で殺してしまえれば……!」

・・・

梨花「見えてきましたです!」

詩音「うわっ、すごい乱戦ですね……警察もヤクザも入り混じっての」

圭一「けど、やっぱ警察が加わったおかげで園崎家がかなり押してるみたいだな」

魅音「ばっちゃの説得に大石さんを連れてきたときはぶったまげたけど……こうなることを見越してたんだねぇ」

葉「ここまでうまい感じにはまるとは思わなかったけどな」

圭一「でも……ここまで来ればもうほとんど安心していいんじゃないか?」

レナ「油断は禁物だよ圭一くん、まだ誰が襲ってくるか……」


鷹野「分からないものね?」

さるさんくらって心折れた、ホント申し訳ないけど仮眠取らせて

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00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
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16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

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02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

梨花「!」

圭一「とうとう姿を現しやがったな……黒幕の鷹野さん!」

小此木「失礼しますんね……子供が相手でも手加減しとる余裕はない」

葉「…………」

小此木「ほう、すぐに反応して木刀を構えるのは良い判断だ……が」

鷹野「残念ね……こっちには銃があるのよ」

葉「…………」

鷹野「あら、怖くないのね……飛んでくる弾丸を撃ち落とせると思ってるのかしら?クスクス……

鷹野「でも残念、あなたは狙ってあげないわ……あなた以外の誰に当たるかしらね?」

葉「!」

鷹野「いくらあなたでもそこにいる全員を銃から守るのは不可能でしょう?」

葉「みんな、オイラの後ろに隠れろ」

梨花「よ、葉……」

鷹野「あらあら、本当に一人で全員を守る気なのね」

葉「……行けるか、阿弥陀丸」

阿弥陀丸『無論、が……唯一の難点は拙者たちの武器が木刀であること』

葉(ここまで結構無茶してきちまったからな……もういつ折れてもおかしくねえ)

小此木「突っ込みます、三佐は後ろからサポートを頼みますんね。間違っても自分には当てんでくださいよ」

鷹野「それくらいの射撃技術はあるわ」

小此木「では、行きますんね!」

葉「!」

阿弥陀丸『一人は遠距離から狙撃し、一人は近接での攻撃を仕掛けてくるのなら……』

葉(真空仏陀斬りしかねえ……!)

小此木「ふんっ!」

葉「はっ!」

ドゴッ!

小此木「ぐっ……」

葉「行くぞ、真空仏陀……!」

圭一「だ、ダメだ葉!」

葉「!」

葉(さっきの一撃が木刀が折れ……しまっ……!)

鷹野「フ……アハハハハッ!……お終いね、これで」

小此木「真剣だったらさっきの一撃でお前さんの勝ちだったろうな」

阿弥陀丸『くっ……刀が折れたせいで満足な一撃にならなかったでござるか……!』

鷹野「すごーく楽しかったわ、とってもとっても楽しませてくれた……神になるにはこれくらいの試練は必要よね」

葉「…………」

鷹野「楽しませてくれたお礼に……一人ずつ、ちゃんと殺してあげるわ」

魅音「や、やめな!撃つんなら部長のあたしから……」

葉「……大丈夫だ」

魅音「大丈夫って……さすがにこの状況はもうなんとかなら……」

葉「なんとかなる……オイラたちにはまだ仲間がいるだろ?」

魅音「え……?」

鷹野「それじゃ……最初は麻倉くんから、ね」

葉「…………」

梨花(嘘でしょ……羽入!ここまで来て……こんな!)

羽入『…………!』


「諦めてんじゃないわよ、最後くらい力貸しなさい」

羽入『!』

鷹野「…………え?」

鷹野(撃った、はずなのに……この距離で外すわけがないのに……どうして!)

小此木「チッ!」

圭一「来たぞ!葉!」

葉「!」


赤坂「そこまでだ」

小此木「!」

赤坂「梨花ちゃんに、これ以上手出しはさせない」

梨花「あ、赤坂!」

赤坂「……どうやら、今度こそ言えるみたいだね。梨花ちゃん」


―――君を助けに来た!

小此木「くっ……!!」

詩音「赤坂さん……とんでもなく強いんですね……ほんと、いいタイミングで来てくれましたよ」

魅音「でもどうして……さっき鷹野さんが撃った弾は外れたんだろ……!」

沙都子「この距離ですものね……素人でも外すわけが……」

葉「多分、オヤシロさまが護ってくれたんじゃねえかな」

梨花「オヤシロさまが……?」

葉「……礼を言うぞ、アンナ」

アンナ「…………」

アンナ「あたしだけじゃなく、そこのあうあう言ってる神様にも感謝しておくことね」

葉「ああ、ありがとうな。羽入」

羽入『あ、あうあう……!』

梨花「まさか、羽入が……何かをしたというの?」

アンナ「…………」

葉「オイラたちシャーマンは霊を具現化する能力があってな……多分それの応用だ」

アンナ「あたしの巫力を使ってそこのカミサマを具現化して……能力を使わせたのよ」

アンナ「時間を止め、遡れるその能力の一部を……ね」

小此木「ぐはっ!」

アンナ「あっちも、もう終わったみたいね」

赤坂「ここまでだな……鷹野三四」

鷹野「…………」

鷹野「このままで、終われるはずがないでしょう……」

詩音「ま、まだ弾が残ってるんですか……?」

鷹野「ここまで来たら……あとは誰か一人でも道連れにするだけよ」

鷹野「葉くんだったかしら……あなたが好き勝手やってくれたおかげで、私の計画はめちゃくちゃよ」

鷹野「この最後の弾は……あなたのために使うべきかしら?」

葉「そっか……わかった」

梨花「よ、葉……なにを!」

赤坂「危ない!不用意に前へ出ては……!」


葉「ほら、オイラを撃ってみな」

鷹野「な……なにを……!」

葉「心配すんなって、別にオイラはなにもしやしねえさ」

梨花「ほ、本気なのですか……葉……!」

圭一「やめろ!武器がなくなっちまってる現状じゃさすがのお前でも……!」

詩音「そうです!あとは鷹野さんを警察に引き渡せば……」

葉「そいつをそのまま捕まえて、この事件を終わらせちまったら……」

葉「一体誰がそいつを救うんだ?」

梨花「!」

羽入『……葉は、梨花や圭一たちだけではない。敵である鷹野をも救おうと考えている』

羽入『それは普通ではできないこと……』

梨花(敵である鷹野を……救う?)

鷹野「……救う?この私を……?」

葉「…………」

鷹野「今まで不自由なく過ごし、大切なものを失ったことなどないヘラヘラしたユルガキが!」

葉「…………」

――――

『お前さんの進むべき道は、いつも心で決めなさい』

――――

葉「そうかもしれん、けどオイラもここで退くわけにはいかんのよ」

鷹野「…………?」

葉「こいつは、オイラが自分の心で決めたことだから」

鷹野「馬鹿な……馬鹿な!」


鷹野の叫びと共に、最後の銃弾が放たれる。

その弾は葉を貫かず顔をかすめるにとどまった。


鷹野は、外したのだ。

鷹野「……どうして、なにもかもが上手くいかないの」

葉「…………」

鷹野「私はただ、認めてもらいたかっただけなのに……なのにどうして……」

葉「……お前がどんな経験をして今まで生きてきたかは知らねえし、話を聞いたくらいじゃきっと理解もできねえ」

葉「きっとお前は、普通の人間じゃ抱えきれんほどの怒りを背負ってるんだろう」

鷹野「…………」

葉「さっきは救うとか偉そうなこと言っちまったけど、オイラはただのシャーマンだ」

葉「霊を成仏させることはできても、生きてるお前の救うことはできないのかもしれん」

葉「オイラに出来るのは多分、お前の背中を押してやることだけだ」

赤坂「なにか……考えがあるようですね」

葉「ああ……大切なことは全部、お前を思うこの霊が教えてくれた」

羽入『その人は……!葉、一体どうやってその人を……?』

アンナ「あたしが呼んだのよ」

羽入『呼んだ……?そんなことが、出来るのですか?』

アンナ「あんた、あたしがあの沙都子って子の親を口寄せしたこと、忘れたのかしら?」

羽入『!』

アンナ「たとえ霊が成仏したって、いつでもどこでも霊を呼べるし話せる……これくらい朝飯前」

葉「多分、これが最後の憑依合体だ……行くぞ」

―――憑依合体!

鷹野「!」


―――シャーマンとはあの世とこの世を結ぶ者!

―――自分の体に霊を取り憑かせ、

―――そのすべてをこの世にトレースする!

ごめん、なんか回線おかしいからこっちから書く

鷹野「…………!」

こんなことがあり得るだろうか、目の前にいるのは確かに子供だ。

それも奇妙な力を使い、自らの悲願を根底から破綻させた張本人の子供。

本来なら末代まで憎んでも足りはしないはずだった。

なのになぜ、この少年を私は知っているのだろう。なぜこの雰囲気を知っているのだろう。

なぜ、この少年に祖父の面影が重なるのだろう。

鷹野「お、おじい……ちゃん……!」

なぜ、自分は目の前の少年を『おじいちゃん』と呼ぶのだろう

梨花「あの鷹野が……泣いて……?」

羽入『鷹野三四は人でありながら神になろうと目論み、そしてすべてを犠牲にしてきたのです』

羽入『それはとても愚かなことかもしれない、それでも彼女にはそれがすべてだった』

羽入『それがすべてにならなければならないほどの苦しみを、鷹野は一身に背負っていたのです』

梨花「…………」

羽入『あの子は、本当はとても弱くて優しい子』

圭一「もしかしたら……葉は最後の弾が外れるって分かってたのかもしれないな」

レナ「『外れる』っていうより……『外す』って言ったほうがいいのかもしれないね」

魅音「うん……鷹野さんが、知らないうちに求めていたものを葉くんはきっと分かってたんだと思う」

詩音「なんていうか……すごいですね、葉くんって」

沙都子「きっと葉さんも、私たちでは想像もできないような経験をしてきたんですわね」

アンナ「…………」

アンナ「……外れるのが分かってた?」


アンナ「そんなわけないじゃない」

レナ「あ、アンナちゃん?」

アンナ「当たらない保証なんてどこにもなかった、現に弾はあのユルユル馬鹿の顔をかすめてる」

アンナ「あたしがさっきみたいに外したわけでもないんだから……!」

魅音「あ、アンナちゃん……怒ってる?」

アンナ「当たり前でしょ……もう少しで、葉は死ぬところだったのよ」

アンナ「なんの考えもなしになんとかなると思って……本当にお気楽バカだわ」

梨花「……それでも、そんな葉だからこそ、アンナは魅かれたのではないですか?」

アンナ「…………」

アンナ「……フン、よくも恥をかかせてくれたわね。あとで覚えてなさいよ、葉」

梨花「みぃ、葉がアンナにボロボロにされてしまうのですよ」

圭一「絶対心配してないよな……梨花ちゃん」

梨花「にぱー」

・・・

葉「……終わったみたいだな」

鷹野「…………」

鷹野「……私の今までは何だったのかしらね、そして……もう私には何も残っていない」

葉「…………」

鷹野「もう……何も」

富竹「それは違う」

鷹野「じ、ジロウさん……」

富竹「確かに君は誤った道を歩んできてしまったのかもしれない」

富竹「それでも君は、君なりの信念を持って今まで生きてきた!それは僕もよく知っている!」

鷹野「…………!」

富竹「君が犯した罪は償わなければならない、だが……その後の人生がゼロになるわけじゃない!」

富竹「僕も、できる限りの手伝いはしてみせるよ」

鷹野「ジロウさん……ジロウさん……!」

葉「……やっぱ、オイラは背中を押すことしかできなかったな」

ちょっと飯食べてくる、携帯だから遅くてごめん

減速しろ


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19:00-00:00 5分以内

梨花「富竹、無事で良かったのです!」

富竹「不覚にも彼らに撃たれて沼に落ちてしまってね、さらに追っ手がかかったときはもうダメかと思ったよ」

梨花「それで……どうやって助かったのですか?」

富竹「僕にもよく分からないんだけれど、急に追っ手がいなくなったんだ……」

詩音「それって……もしかして、あの待ち伏せしてた連中じゃないですか?」

圭一「そうか!沼に落ちた富竹さんを探してた奴らがこっちに来たから……!」

富竹「……どうやら、お礼を言わなきゃいけないみたいだね。ありがとう、みんなが最後まで戦ってくれたおかげだ」

詩音「どうやら、山狗の増援との戦いにも決着が着いたみたいですね」

鷹野「…………」

鷹野「……負け、ね。私の」

梨花「鷹野……」

鷹野「おかしいわね、今まで成し遂げたかったことを打ち砕かれたのに……なぜか心が軽い」

鷹野「本当に……不思議ね」

・・・
数日後

梨花「……葉、本当に行ってしまうのですか?」

葉「ああ、元々ここに来たのも体験入学って形だったからな」

魅音「……雛見沢に、引っ越したりはしないんだね」

葉「……すまん。行かなきゃならねえところがまだたくさんあってな」

沙都子「…………」

詩音「もう、泣かないでくださいよ沙都子」

沙都子「な、泣いてなんかいませんわ!……泣いてなんか」

圭一「ああ、しんみりするのは何か違うよな……仲間とほんの少し距離が離れるだけだ」

レナ「うん……また、必ず会えるよ!」

梨花「葉……アンナ」

葉「色々大変だったけど……なんかすげえ楽しかったぞ」

梨花「さよならは言わないわ……また、会えるものね」

葉「……ああ、またいつか、必ずな」

アンナ「今度はこんな面倒なこと、させるんじゃないわよ」

梨花「……ありがとうなのです、二人とも」

私たちは再会の約束をし、そして彼らを見送った。

彼らには感謝してもしきれないし、恩を返しきれたとも思わない。

でも、それを後ろめたくは感じない。

だって、いつかまた会ったとき、たくさんのお礼を言えるだろうから。

そう、『いつか』……それはきっとこの季節と同じ


ひぐらしのなく頃に


fin

おつ!
面白かった

・・・

葉「良い奴らだったな……オイラたちともすぐ友達になってくれた」

アンナ「ずいぶん馴れ馴れしかったわね、鬱陶しい」

葉「ウェッヘッヘ、アンナだって結構楽しそうにしてたじゃねえか」

アンナ「…………」

葉「照れ屋だなー、アンナは」

アンナ「…………」

阿弥陀丸『……よ、葉殿』

葉「……はっ」

パーンッッッ!!


阿弥陀丸『ま、幻の左……!』



(未)完

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