先鋒戦後半戦 南四局二本場 親:宮永照
怜(皆ゴメン…もう一回だけ無茶するわ)
竜華「アカン!アカン止めて!怜いぃぃぃっ!」ガタッ
怜(トリプル…三巡先や!)
―――――――ピシィッ
竜華「止めてええええええっ!!!」
怜(ここで来るんか………阿智賀、松実玄!!)
怜(いや、待てよ。考えるんや…あそこでああして、こうすれば…)タンッ
すばら「ポンッ!」
――数巡後
怜(目が霞む…頭もズキズキ痛んで、気ぃ張っとかんと今にも倒れそうや…)
怜(でも、これだけは、この手だけは命に換えてでも絶対に…!)
怜「リーチ」ハァ…ハァ
こーこ「ここで千里山の園城寺選手がリーチィィィ!珍しくリーチ後になかなか和了れないでいるチャンピオンを」
こーこ「ここで止める事が出来るのかぁっ!?」
竜華「怜…怜ぃ……」ガクガク
セーラ「ほら、落ち着けや竜華。怜は大丈夫や、それどころか…」
泉「ここに来ての大物手…流石怜先輩です!」
照「…………」キュッ
照(!………)タンッ
怜「………ロン」
こーこ「来たあああああっ!!!千里山のエース園城寺怜!何と王者からの直撃でこの虐殺から一糸を報い…
健夜「いや、一糸どころじゃないかも…
怜「…………」パタパタパタ
船Q「あれ、怜先輩が牌を端から倒していくなんて珍しいですね」
セーラ「さんざん好き放題やられたんや。それ位やったったらええねん!」
竜華(違う…まさか、もう一気に牌を倒す力すら無いんか!?)
怜「リーチ一発混一平和二盃口…ドラ2」
照(ドラ…阿智賀がドラを切った瞬間に気配の変化を感じたが、やはり千里山の手に入っていたか…)
玄(こ、これ!え、えーとえーと…11翻で三倍満の直撃!?)
すばら(それだけじゃありません…松実さんのドラ支配が解けた今なら裏ドラ、載るかもしれません!)
すばら(その時載るのがもし頭なら……!)すばらっ
訂正
>>5
怜「リーチ一発清一平和…ドラ2」
怜「裏………」プルプル
怜(あ、あかん…もう目が殆ど見えへん上に、手の震えが収まらん……このままじゃ山を崩してま…!
すばら「もう少しの辛抱です。頑張って下さい園城寺さん」 スッ(手を添える)
怜(新道寺…はは、この人には助けられっぱなしやな)コトッ
すばら「さぁ置き終わりました!後はこれを捲るだけです!」
怜(そうや…後それだけ。もし裏ドラが九萬やったら、頭の一萬がドラになってそしたら―――) フッ ガクッ
コロンッ『九萬』
こーこ「き、来たああああ!!!!!リーチ一発平和混一二盃口ドラ2に二つの裏ドラが乗って13翻!!!」
こーこ「千里山の園城寺怜!後半戦のオーラスで王者宮永照に数え役満をブチ当てましたあああっ!!!」
泉「うおおおおっ!園城寺先輩凄いです!!!」
船Q「これで13万2900点差やったのが、6万7700点差まで一気に縮まりましたね」
セーラ「あぁ!これなら十分追い付ける…って、竜華はどこ行ったんや?」
泉「へ?あ、ホンマですね。いつの間に…」
こーこ「園城寺選手、史上初の宮永照への役満直撃という達成感に、卓に突っ伏したまま喜びを噛みしめています!」
セーラ「――っ!」
訂正
>>10
こーこ「園城寺選手、史上初の宮永照への役満直撃という快挙の達成感に、卓に突っ伏したまま喜びを噛みしめています!」
もいっこ訂正
>>10
こーこ「き、来たああああ!!!!!リーチ一発清一平和ドラ2に二つの裏ドラが乗って13翻!!!」
怜「…………」
玄「あ、あの、園城寺さん?大丈夫ですか…?」
照「…………」
すばら「チャンピオンが点棒を握ったまま困ってますよー面白い映像ですけど」
すばら「そろそろ受け取ってあげた方が…」ゆさっ
怜「…………」クタッ ズルズル…
ドサッ
玄「え………?」
ガチャッ!!!
竜華「怜いいいいいいっ!!!!!!!」
竜華「怜っ!ときっ!しっかりして!お願いや目ぇ開けて!」ボロボロ
玄「あ…あの………?」
竜華「玄ちゃんお願い!はよう救急車を!後担架も!」
玄「は、はい!」タタタッ
ガチャッ!
セーラ「担架持って来たで!船Qが今救急車も呼んだっ!怜はっ……っ!!」
セーラ(ど、瞳孔が開いて…)
竜華「怜ぃ………」ギュッ!
照「……………」
ガチャッ
泉「先輩!園城寺先輩は…」
船Q「大丈夫なんですか?」
セーラ「…分からへん。救急隊の人も、原因不明の症状としか…そんで、緊急手術は避けられへんそうや」
泉「!そんな……」
竜華「…………」スッ スタスタ
セーラ「おい竜華、どこに行く気や?」
竜華「何言うてんのセーラ。怜の病院に決まってるやん」ギロッ
セーラ「おいおいそりゃこっちの台詞やで。お前、準決勝はどないすんねん、竜華は千里山の大将やろ?」
竜華「そんな事どうでもええやろ!!今麻雀なんか打ってる場合!?」
竜華「準決勝なんかどうでもええ!ウチは怜の所へ…
パンッ
竜華「痛っ!」
セーラ「頭冷やせや。今、竜華何て言うた?…怜が命懸けで千里山の為、ウチらの為に戦ったこの準決勝を」
セーラ「どうでもええ――やと?」ギロッ
竜華「あ…………」
セーラ「ここで竜華が出て行って、ウチらが棄権負け扱いになる」
セーラ「いや、もう試合は始まってもうてるんやし、抜けたら他の3校にも迷惑を掛ける事になるんやから」
セーラ「もしかしたら何かしらのペナルティを食らうかも分からんなぁ。シード落ちか、出場停止か…」
セーラ「…そんな結果を、怜が後で聞いたらどう思う?」
竜華「……………」
セーラ「気持ちは分かるで。オレだってホンマは今すぐ怜のトコに飛んで行って、側で回復を祈り続けてやりたい」
セーラ「でもオレは北大阪代表、名門千里山女子高校のレギュラーや。だから別にする事がある」
セーラ「オレの仕事は、今から白糸台をまくって準決勝1位通過の報告を、怜にする事」
セーラ「…まぁそん時には、心配掛けた罰に一発どついてやるつもりやけどな」ははは
竜華「…セーラ一人じゃその仕事、骨が折れるやろ」
竜華「しゃーない。ウチも付き合うたるわ。ウチは怜の親友で、千里山の大将やからな!」キッ
セーラ「竜華…!」
泉「いやいや先輩方、ウチらの事を忘れんといて下さいよ」ニッ
船Q「ウチやって怜先輩の執念、無駄にする気は毛頭ありませんわ」
セーラ「泉、ふなQ……!」
セーラ「…へへっなぁふなQ、白糸台との点差は今なんぼやったっけ?」
船Q「たったの67700点差です」
セーラ「さよか。そら余裕やなぁ」ニヤリ
泉「ですね。私が一人で返しても構いませんか?」
竜華「よっしゃ皆その意気や」
竜華「じゃあ残り4戦…。千里山の麻雀できっちりまくるで!」
3人「おうっ(はい)!」
――次鋒戦
白糸台181200千里山113500阿智賀57100新道寺48200
泉「ロン!5200の一本場は5800!」
宥(ひぃっ!うぅっクロちゃんの分を取りかえしてあげたいのに…)
菫(二回戦の映像では、大した事無いルーキーだと思ったが、これは…)
泉「ツモ!2000・4000!」
次鋒戦終了
白糸台183800千里山134800阿智賀43200新道寺38200
泉「すいません、思ったほど差を縮められませんでした」
船Q「白糸台の弘世菫は守備が特に堅いからしゃーないて。上出来上出来」
セーラ「せやせや。…後は頼もしい先輩に任せとけ」ザッ
泉「…はいっ!めっちゃ期待しときます!」
泉(…カッコええなぁ)
竜華「格好は乙女やけどねw」
―――中堅戦、開始
憧(な、何なの…?二回戦の時とは雰囲気が別人っていうか…な、何か猛獣みたいなオーラが…)タンッ
セーラ「…………」スッ タンッ
渋谷(…親の千里山の元エース。江口セーラ)
渋谷(阿智賀の七筒には反応せず、ツモ切り。ならこれは問題無い)ゴクゴク タンッ(七筒)
セーラ「それ、ロンや」パタッ!
憧(な!私のを見逃して山越し!?)
セーラ「すまんなぁ他のトコからチマチマ取るより、トップから直撃で奪う方が好きやねん」
セーラ「平和純チャン三色。18000貰うで?」どんっ!
中堅戦終了
白糸台176700千里山172100阿智賀29800新道寺21400
竜華「さっすがセーラ!一気に追いついたやん!」
セーラ「へへっだから言うたやろ?射程距離やって」
セーラ「むしろ相手があのお茶っ子やったんが勿体無い位やわー」
船Q「さて、次はウチですか」
竜華「ひろこの相手は亦野誠子か…大丈夫か?」
船Q「正直格上な感は否めませんけど、データは揃っとります」
船Q「…死ぬ気で食らいついていきますわ」
副将戦終了
白糸台183400千里山177600阿智賀19800新道寺19200
訂正
>>48
セーラ「純チャン三色ドラ1。18000貰うで?」どんっ!
淡(まったく、たかが準決勝で私達がこんなに手こずるなんて想定外だよ)
淡(やっぱり照先輩以外の人は頼りないよねーまぁ元を辿ればあの役満がケチの付き始めとも言えるけど)
淡(そういう意味じゃ照先輩も今回はカンペキじゃない。ふふふっ帰ったら照先輩に『やはり私には淡が居なきゃ駄目だ』って言ってもらおっ♪)
淡(―――って思ってたのに)
大将戦後半戦・南四局 親:大星淡
得点状況
白糸台200300千里山189000阿智賀6700新道寺5000
淡(何で私までこんなに手こずっちゃってるのかなぁ…)ポリポリ
竜華「…………」メラメラメラメラ
淡(千里山の大将。二回戦までの牌譜を見た限りじゃおかしなとこは無かったし、ただの一般人だと思ってたのに…)
淡(いや、何の能力も感じないし、一般人には違いないんだろうけど…めちゃくちゃしぶとい!)
淡(さっきは私の七星を逆手に取られて、そこのお猿さんに振る様に仕向けたりなんかもされたし…めんどくさい相手だなぁ)スッ
淡(良し、これで張った。多分二巡後位にはツモれるね)
淡(悪いね、千里山さん。別に二位でも決勝には行けるんだから手加減してくれとか思ってるかもしれないけど)
淡(照先輩が入部してからの白糸台の不敗記録…それはいついかなる勝負でも何ですよっ!)タンッ
~○○病院集中治療室~
怜「…………」ヒュコーヒュコー
ナース「先生っ!患者の血圧どんどん下がっています!60…50…!」
医者「分かってる!くそ、どこに出血が…!?刺激剤を更に30グラム投与しろ!急いで!」
竜華がなぜか1巡先が見える熱い展開来る
しかしその怜はもう
竜華(!ヤバイ、あの気配…白糸台も張ったな)
竜華(もう一刻も猶予はあらへん!このツモで何としてもウチも………)スッ
竜華(張る!)ツモッ
泉「やった!清水谷先輩もテンパった!」
セーラ「あぁ…やけど、両嵌の方が残ってしもうたか…」
泉「あ!これやと平和が付かない…リーヅモでも役が足りませんよ」
セーラ「基本はドラ1あるだけのカス手やもんな…張ったとはいえ、この時間の無い時にこれじゃ…」
竜華(くっ結局これがウチの限界なんか…?今迄に無い位集中して、全力を発揮してるのに…それでも化物には届かへんのか?)
竜華(…………はんっ!ウチは何をアホな事を言うてるんや)
竜華(怜の事を思い出せ!怜はこの子よりずっと強い大魔王を相手に、一歩も引かず立派に戦ったんや)
竜華(なのにウチが臆してどうする!能力が無いなら考えるんや!)
竜華「…………………」
淡(?随分長考してるなぁ。心配しなくても後少しで息の根を止めてあげるのに)
竜華(…駄目や、どう考えてもこの1・3・5の両嵌、ツモれる可能性は同じ…山に残ってる数も恐らくは同じやろ)
竜華(結局ここは裏ドラ期待のリーチをせざるを得ない。後はそれが1筒切りか、それとも5筒切りか…)
竜華(…くそぉっ!ウチが怜やったら、一巡先が見えれば…!見たい、どうしても、一巡先を………!)
『――――竜華』
竜華(え…?)
PRRRRRRRR
3人「うわっ!?」ドキィッ!
セーラ「な、何や船Qのケータイかいな…ビビらすなや、この緊迫したタイミングで…」
泉「誰ですか?この大一番に電話なんか掛けてくるアホは」
PRRRRRRR
セーラ「?ふなQ、出えへんのか?」
船Q「…電話の相手、誰やと思います?」カタカタ
船Q「………今、怜先輩の手術室に付いてる、監督からですわ」ガクガク
2人「………っ!」
補欠枠なかったっけ
竜華(い、今の…怜の声?)
竜華(あ、あはは幻聴まで聞こえるなんて、私もいよいよ追い込まれてるなぁ…)
『幻聴とは酷いなぁ折角竜華を助けに来たのに』
竜華(ま、また!?し、しかもさっきよりしっかり聞こえるし、も、もしかしてホンマに怜!?)
『ゴメンな、あんまり長くは喋れへんから、伝えるもんだけ伝えとくで。まずは…とりゃ』
竜華「!?」キィィィィィィン
竜華(な、何や!?頭に…映像が浮かぶ!スローモーションで、ウチたちが打ってる姿が!)
竜華(ま、まさかこれが…怜の見てる、『一巡先の世界』?」
『こらこら、驚くのもええけど肝心なんはここやろ。しっかり見ときー』
竜華(!次巡に私がツモる牌は………四筒!)
池田「サッサと打てよ」
訂正っす
>>72
竜華(ま、まさかこれが…怜の見てる、『一巡先の世界』?)
『こらこら、驚くのもええけど肝心なんはここやろ。しっかり見ときー』
竜華(!次巡に私がツモる牌は………二筒!)
『ふぅ、何とか間に合うたわ。じゃあ竜華、後頑張ってな』
竜華(えぇっ!?な、なぁアンタ怜なんやろ?い、今どうなってるん?意識は戻ったんよな!)
『…ゴメン、もうホンマに時間無いみたい。言いたい事だっけ言い捨ててくわ』
『竜華、ずっと心配掛けてもうてごめんな。そんで…ありがとう、めっちゃ楽しかったわ』ニコッ
竜華「!」ハッ
竜華(い、今ウチ意識飛んでた…?何やったんや、白昼夢っていうやつ?)
淡「あのーそろそろ切って貰えますか?」
竜華「えっあっハイ!すんません、何分も待たせてしもうて…」アタフタ
穏乃「?いえ、時間はまだ20秒位ですけど…」
原作が追いつくまでドラゴンボールみたいに引き伸ばされるのか・・・
玄の「あ・・・ああ・・・・う・・・あ・・・・」で5分
ツモに行く手の動きで5分
回想で10分
控え室の心配するメンバーで5分
果たして怜の引いた牌は!?→続くみたいな
竜華(結局、あれが何やったんかは分からへんけど…他に材料も無いし)
竜華(いやどちらかと言えば振る危険を考慮して、一筒を切るセンが高かったけど…ええわ。ウチはこれでいく)
竜華(幻覚でも何でも…ウチは怜を信じるで!」
竜華「リーチや!」スッ
淡「!」
穏乃(こ、この縦リーチ…園城寺さんの!)
淡(五筒…?一筒じゃなくて…?)
淡(ツモで和了るつもりだったけど、あの五筒を見た瞬間、違和感が走った)
淡(本来ここで千里山から切りだされるべきは、私の待ち牌である大星…一筒のハズだって)
淡(そしてこの縦リーチ…この流れは―――ヤバいっ!)ゾクゾクッ
姫子「むぅ………」タンッ
淡(くっ鳴けない…こ、ここでツモっちゃえば問題無い!)スッ
淡(ぐ………)タンッ
淡(ヤバいヤバいヤバい!こ、ここでこのお猿さんの切る牌を鳴かないと…照先輩に嫌われちゃうよぉ!)プルプル
竜華(気付いてる様やけど今更遅いで、白糸台)
竜華(ウチが見たのは、怜が見せてくれたのは、この一巡先なんやから!)
穏乃「………これで」タンッ
淡「」
竜華(ツモを見るまでも無いわ)スッ タンッ!
竜華「リーチ一発ツモドラ1で4000・2000!!!!!」
大将戦終了
白糸台196300千里山197000阿智賀4700新道寺3000
こーこ「決イイイイイイイイまったアアアアアアアアッ!!!!!!」
こーこ「なんとなんとまさかの大☆逆☆転勝利!!!」
こーこ「全国2位の北大阪代表千里山女子!一時は13万点という絶望的大差がありましたが」
こーこ「それを徐々にどーん!と縮め倒してこのオーラスもオーラス!大将戦の南四局で700点差でうっちゃりましたーーー!!!」
健夜「宮永照選手入学後の白糸台の虎姫が団体戦で敗北を喫するのは、公式非公式を含めてもこれが史上初ですね」
こーこ「んーそれはまさに初☆体☆験!!白糸台高校の不敗神話ここに潰えるーーーーっ!!!」
健夜「だ、だからそのワードチョイスはどうなの…?」
淡「うぅ…そんなぁ、私が、しらいとだいがぁ…ぐすぐす…ひっく」ボロボロ
姫子「…いや、決勝には行けるんだから良いだろう。私達の身にもなれ」
穏乃「ですよね…竜華さん、おめでとうござい…ってあれ?もう居ない…」
咲「麻雀って楽しいねっ!」カンカンカンカン
竜華「はぁっ……はぁっ」ダダダダダダッ!
竜華(やった…勝った!ウチ達が勝ったんや!あの化物集団…去年ボッコボコにされた、白糸台高校に!)ぴょんっダダダダダッ!
竜華(こんな奇跡を起こしたったんや!怜もきっと今頃は何事も無くけろっとしとる!)
竜華(絶対、絶対そうや!そうにきまっとる!今度という今度はキツ~くお説教してやらんとな!)
竜華(そんで、そんで明日も怜と一緒にもう一回頑張って、一番になって!皆で大阪の夜景を楽しむんや!)
竜華(サイッコーの気分やろうなぁ…ウチの夢が叶う日は…)
竜華「もうすぐやっ!」
ガチャッ(千里山高校の控室)
竜華「あぁ・・・怜が見える・・・」
竜華「みん!………な……?」
泉「……っく…ひっく…」ボロボロ
船Q「…………ぐっ…ううううっ」ボロボロ
セーラ「何っでや………なんでやねん!」ドンッ!
竜華「な……なにしてんの?皆……セーラ、備品を殴ったらアカンて………」
セーラ「っ!竜華!」
竜華「も、もー皆薄情やわー準決勝とはいえ、折角ウチが、約束通り白糸台倒したったんやから」
竜華「試合室まで、迎いに来てくれてもええのにー」あはは
泉「清水谷…先輩……」ボロボロ
竜華「もー泉、泣き過ぎやって。そんなに白糸台に勝ったのが嬉しかったん?」
竜華「まぁ気持ちは分かるで、私達にとってずっと悲願やったもんなぁ」
船Q「竜華先輩……ひっ…ぐっ!あ、あの!」
竜華「ひろこまで~ひろこがそんな感情を露わにしてるん初めて見たわwこれはレアショットやね」
セーラ「…竜華。聞いてくれ」
竜華「んー?それ後じゃあかんの?流石にめっちゃ疲れたから、今はそこのソファーに倒れこみたいわ~」
竜華「頭使い過ぎて知恵熱も出てもうたみたいで…あー怜の気持ちが分かるわー」ゴロンッ
セーラ「竜華!!!」
竜華「聞かへんっ!!!!!」
セーラ「―――っ!」ビクッ
竜華「聞かへん聞かへん聞かへん!ぜーーーったいに聞かへんもんそんな話っ!!!」
セーラ「そんな話って……竜華」
竜華「おかしいやん!ウチら勝ったやん!白糸台に!怜と泉とセーラとひろことウチで力を合わせて!」
竜華「こういう時に主人公には奇跡は起きるもんやろ!?いや奇跡なんかやない!怜はただの貧血なんやから、何も無くて当然なんや!」
セーラ「…………」
竜華「………なぁセーラぁ…ウチ何か間違った事言うとる…?」ボロボロボロボロ
セーラ「…いや、間違ってへん。竜華はなーんもまちごうてへんよ」ギュッ
竜華「……………」
セーラ「じゃあ…いこか、怜の所へ。タクシー待たせてもうてるし、元々竜華が来たらすぐに出るつもりやったんや」
竜華「うん……」
~白糸台高校・控室~
淡「ほんっどーにズミマゼンでしだぁっ!!!!!」ペコッ!!!
亦野「い、いや良いよそんなに謝らなくても。私達も今日駄目駄目だったし…」
渋谷「うん。私なんて点棒を減らしちゃったから…自分への罰として二時間お茶断ちするね」
菫「それは思い切ったな…。いや、本当に私達は別に怒ってないから、そんな床に届く勢いで頭下げるな大星」
菫「むしろ謝るなら、普段の、照へと私達への対応の差をだな…」
照「淡」なでなで
淡「ふぇっ!?で、でるぜんぱい…?」
照「私達は王者。王者たるもの負けた時こそ、毅然としているもの」
照「今日の淡の打ち方に恥じる点は一つも無い。まだ決勝もあるから、白糸台のレギュラーなら堂々としてなさい」めっ
淡「………っ!ハイッ!ありがとうございますっ!」ペコッ
菫(へぇ、珍しいな。こんな絶好のお仕置きのチャンス、いつもなら…)
照「…ところで淡。今からちょっと付き合って欲しい所があるんだけど…」
淡「?はいっ!照先輩と一緒ならどこへでもお供します!それで何処へ?」
照「病院…」
○○救急病院・病室
監督「…来たね」
船Q「あ、おばちゃ…監督」
監督「さっき携帯で見たよ。準決勝1位通過、おめでとう」
泉「あ、ありがとうございます…」
監督「…今から怜の居る病室に案内するよ。…かなり奥の部屋にしてもらったから」
監督「声とかは…気にしなくていいからね」
セーラ「…………っ!」ぐっ
竜華「ははは、ホンマですか?会ったら開口一番で怒鳴りつけてやろうと思っとったから」
竜華「それは助かりますわ。めっちゃ野太い声出たりしてw」あはは
監督「………こっちだよ」テクテクテク
監督「…着いた、この部屋」ピタッ
監督「じゃ、船久保。私は外に出ておくから…終わったら、電話してきなさい」
船Q「………はい」
竜華「じゃあ皆行くで~」テクテク…ピタッ
セーラ「…?どうした竜華、入らへんの?」
竜華「あ…あれ?おかしいなぁ…あ、足動かそうとしてるはずなんやけど…」カタ…カタ
竜華「な、何か全然動いてくれへんわ。足とケンカした覚えは無いんやけどなぁ」
セーラ「せやな。ケンカしてたら怜に怒られるで、ふとももの黄金律がなってへん!言うてな」
竜華「あはははっ言いそうやなーホンマ我儘な奴やで」
セーラ「…泉、船Q。二人はここ(入口)で待っててくれ。オレが先に竜華を怜のベッドまで抱えて行くから」
泉「…了解です」
船Q「誰も入って来いへんように見張っときますんで…」
セーラ「頼むで。…じゃ、行こか。竜華」ヒョイッ
竜華「な、なんかこれもこれでドキドキするなぁ。じゃあちょっと泣かせてくるからな~」
………………………………
船Q「………………」
泉「………………」
「………………ぅ…あ」
泉「!…………」
船Q「……………」
「嘘や…嘘や………怜、冗談やって言ってや…性の悪いドッキリやって…なぁっ!!!」
「―――――っ!?つ、つめた……ふぐっ…うわあああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」
「何でや何で怜がこんなっ!!!怜いいいぃ!嫌、嫌や!目ぇ開けてやぁー!!!」
泉「…もう、聞いてられないです…」ボロボロボロ へたっ…
船Q「………………」ギュッ…
この日、千里山女子学園麻雀部は決勝戦の辞退を協会に提出。
決勝戦には繰り上がりで準決勝3位の阿智賀女子学園(奈良)が進出する事が決定した。
~それから一年後~
セーラ「あっ!オーイ竜華ぁーーーーっ!」
竜華「セーラ!うわーめっちゃ久し振りー!」
セーラ「いやいや、卒業式なんかほんの少し前やったやんか」
竜華「4ヶ月も経ったら十分久し振りやって。それこそ麻雀部の時は毎日会うてたんやから」
セーラ「まぁそれ言うたらそうか。練習以外の時でも隙あらば集まってダベってたもんな~」
怜「ホンマ、懐かしいなぁ。今でははるか昔の様やわ」
竜華「でもでもセーラ~?ちょっと見ん間にめっちゃ女っぽくなってへん?」
セーラ「はぁっ!?な、何がやねん!ほら、今やってジーンズやし…」
怜「いやいやスカートこそ穿いてへんけど、何か髪も長なってるし、香水まで付けとるんちゃう?」
竜華「なんか良い匂いするし、すっかり色気付いてしもうて…どこ行っても男と間違われてたセーラはどこいってもうたんや…」よよよ
セーラ「い、いやそれはそれで不本意でもあったんやけどな…」
怜「なぁなぁオトコでも出来たん?」
竜華「大学で素敵な出会いでもあったんちゃう?教えてーな~」
セーラ「だああああっ!無い!そんなん一切無いから!」
セーラ「全くそういう竜華は…って、全然変わってへんな」
怜「竜華は元々女やから当たり前やん」
竜華「あはは、ウチの心には怜が常に居るからな。浮気する気にはなれへんわ~」
怜「っ!な、なんや竜華。そんなストレートにウチへの愛を…///」
セーラ「…………さよか」
竜華「なぁなぁ、今日船Qと泉はどうなってるん?」
セーラ「インハイ間近やからなぁ…今は特打ち中やと思うで。船Q部長も泉副部長も大忙し、や」
怜「あぁ…あの地獄の…思い出すだけで寒気が止まらへんわ。まぁもう寒気なんか感じへんけどな!」
竜華「え~じゃあ来られへんの?残念やなー」
セーラ「いや、どうにか時間見つけて抜け出す言うてたで。監督の隙をついて」
怜「うーん、それは感心せんなぁ。船Q達には今年こそウチ達の成し遂げられへんかった全国優勝を成し…
竜華「えー?そりゃアカンやろ~今年こそ船Q達には、ウチ達の成せへんかった全国優勝してもらうんやから」
怜「って竜華。ウチの台詞に被せ…………はぁ、思ってたよか空しい遊びやな。コレ」
セーラ「お、着いたで」
『園城寺家ノ墓』
竜華「…ただいま、怜」
怜(幽霊)『うん…おかえり、竜華』
竜華「さ、手入れ手入れ…って、めちゃくちゃキレーやな。ウチ達が手ぇ付ける場所無いやん」
セーラ「あれで怜は下級生人気異常にあったからなぁ…バレンタインチョコの数で負けた時は」
セーラ「地味にちょっとショックやったんやで」
竜華「あはは、そんな事思ってたん?セーラはアホやなー」
セーラ「何言うてんねん。あの日、オレとは別のベクトルの嫉妬をめっちゃ燃やしてたくせに」
セーラ「下級生が10人も泣きながらオレの所に『部長を怒らせてしまったみたいなんですが、どうすれば許して貰えますか』って言って」
セーラ「泣きついて来た時は爆笑したで」けらけら
竜華「そ、そんな事もあったかなー?」
セーラ「…あれからもう一年か」ぱしゃっ(水を掛ける)
竜華「せやね。永遠の様で一瞬の様な…みたいな表現って、どっちやねん!っていっつも思ってたけど」
竜華「まさにそんな感じの一年やったわ…」
セーラ「今やから言うけど、当時は皆でめっちゃ心配してたんやで?」
竜華「ウチが怜の後を追いやしないかって?」
セーラ「う…ま、まぁそんなストレートに言う気は無かったけどな…」
竜華「そんな事する訳無いやん。それは怜に対して、いっちばん失礼で侮辱しとる最低の行動やで?」
セーラ「…スマン」
竜華「それにな、怜はまだウチの中に居るんやで?ピンチの時はいつも助けてもろうてるわ」
セーラ「『一巡先を見る力』か」
セーラ「ずっこいよなーそれで未だリーグ戦負け無しで、今度タイトル戦の話すらあるんやろ?」
セーラ「新進気鋭の超大型ルーキー清水谷竜華プロはん」
竜華「あはは、未だにそう呼ばれるのむずがゆいわ~」
セーラ「オレがまだ関西の下位リーグでもがいているっちゅーのに…」ぐぬぬ
竜華「でも面白いチームやん。洋榎ちゃんにこないだ会ったけど、冬には上に上がったるて息巻いてたで~」
セーラ「そうなるとええけどなー」
竜華「…まぁでもあれやな。自分で言うのもなんやけど、やっぱりこの能力めちゃめちゃ強いで。その辺のプロには負ける気せえへんわ」フフン
セーラ「そやろなー技量は三軍の怜ですらアレやったんやし、竜華が使えば…」
怜『何やとぉー!』
竜華「ハハハ、怜が聞いてたら怒るでそれ」
怜『怒っとるでーセーラのどたま踏んでやっとるでー』ゲシゲシ
セーラ「…そうえばな、竜華には黙ってた事があるんやけど…」
竜華「?なになに」
セーラ「あの日…怜が亡くなった日の話や」
竜華「!」
セーラ「竜華はあの日、意識失うまでずーっと怜に抱きついたまま泣き通しやったから知らんやろけど」
セーラ「あの時な、ウチらが着いてから30分位した後に、来たんや」
竜華「来たって誰が?」
セーラ「白糸台の…宮永照が」
疲れた。小休止取ります…
もうちょいで終わりですが。
回想・一年前
~○○救急病院入口~
淡「照先輩との初デートが病院かぁ…ちょっと不満かな」ボソリ
照「何か言った?淡」
淡「いえいえ何も。でも照先輩、どうして救急病院に?入院されてるお知り合いの方でも居るんですか?」
照「知り合いという程でも無いけど、今日の先鋒戦で当たった千里山の人のお見舞いに」
淡「あぁ、そうえば何か最後倒れてましたね。でも、そんなの照先輩と打った人には珍しい事じゃ…」
照「それとは何か症状の重さが違う感じで…。それに、試合中もやけに辛そうだったし…心配でね」
淡「さすが照先輩!お優しさが五臓六腑に染みわたりますよ~その人も照先輩から果物なんてもらったら」
淡「きっとすぐに治っちゃいますよね!」あわっ
照「ふふっそうだと良いんだけどね」
照「あの、スミマセン。えーと…園城寺怜、という方がこちらに入院されてると聞いて、お見舞いに来たのですが」
ナース「!………園城寺さんですね。えぇと…少々お待ち下さい」タタッ
淡「?何なんでしょうね、あの反応」
照「さぁ…病院を間違えた訳じゃ無いよね?」
淡「そうならない為に私が付いてきてるんですから、安心して下さいよ。あ、戻って来ましたね」
ナース「あの…今園城寺様と同じ学校のお友達の方が、病室にいらっしゃるんですけど」
ナース「それでも構いませんか?」
照「?…えぇ、大丈夫です」
ナース「…それではご説明します。ちょっと複雑な位置にあるのですが…
死因 コークスクリュー心臓マッサージ
淡「何か変な感じでしたねーお友達の方居ますけど良いんですか?なんて」
淡「そりゃあお見舞いなんだから、先客が居る事もあるでしょうに」
照「うん…そして何でこんなに病室が遠くて分かりにくい場所にあるんだろう」
照「…つくづく淡と一緒に来て正解だったね」
淡「道案内的な意味だとしても嬉しいです照先輩!」
淡「…と、ここを曲がって…この突き当たりですね。…あれ?あの人達千里山の選手ですよね」
淡「どうして病室の入り口の前に座り込んでるんでしょう…?」
淡ちゃんは唯一のゲス野郎だと信じてる
>>222
沫「失明したなら一筒でも突っ込んでおけば良いじゃないですか」ズボッ
カツン…カツン
泉「………?」ふいっ(埋めてた顔を上げる)
泉「!?ふ、船久保先輩船久保先輩!」
船Q「なに……!?み、宮永照…!?」
泉「大星淡も一緒ですよ!ど、どうしてここに…!?ち、近付いて来ます…!」
船Q「ウ、ウチセーラ先輩呼んで来るわ!ちょっと場ぁ繋いでて!」タタッ
泉「え、えぇちょ、ちょっとぉ!?」
淡「どうもーこんにちは。今日はお互い試合、お疲れ様でした」
照「…………」ペコリ
泉(!…この人が…コイツが、宮永照……!!園城寺先輩を…殺した…!)カアアーッ
泉「……………」ジィッ
淡「………?な、何かこの人、照先輩の事めちゃくちゃ睨んで無いですか?」ボソッ
照「や、やっぱり?私の気のせいじゃ無かったんだ…な、なんでだろう…?」ボソッ
淡「分かりませんけど…失礼な人ですね。私の照先輩に向かって顔を赤くして睨むなんて…」ボソッ
照「…私の?」
淡「あわわっ!」あわわっ アタフタ
泉「…あのそれで、何の用ですか?今ちょっと取り込んでて…特に、貴方の顔は見せたくない人が居るんで」
泉「出来れば帰って頂きたいんですけど」
淡「…む。何よ、それ」イラッ
も
照「あ、淡。私達はお見舞いに来てるんだから、あまり事を荒立て無い方が…」ボソッ
淡「いえ照先輩。喧嘩をいきなり売って来たのは向こうですよ、この一年坊主が」ボソッ
照「あ、淡だって一年じゃ…」ボソッ
淡「とにかく、私にならまだしも照先輩に対してこの態度は許せません。ガツンと言ってやりますから」ボソッ
泉「…何をごちゃごちゃ喋ってるんですか。ええからさっさと帰ってくれって言うとるんですけど」ギロッ
淡「アンタ何なの?その態度。照先輩に恨みでもある訳?」
泉「………っ!恨みでも、やと………?」カアアーッ
淡「…ん?よく見たら目、赤くない?あー分かった。またこのパターンか、いい加減うんざりなんだよねー」ハァ
泉「パターン…?」
淡「アンタのとこの先鋒さん最後倒れてたけど、それの事で怒ってんでしょ?それでさっき意識が戻って泣いて喜びあったと」
淡「それで照先輩の圧力で潰されたのを逆恨みして、マジアイツ許せねーとかそんな感じでしょ?」
淡「困るんだよね。自分の弱さを棚にあげて、こっちに責任被せられてもさ」
淡「そんなの、自業自得じゃん」
泉「てめえっ!!!」ギリィッ ブンッ!
淡「きゃっ!!」
ガシッ!
照「…暴力は、良くないと思う」
泉「ちぃっ…くそっ…離せっ!!このっ……」
泉「人殺し……!!!」
船Q「セーラ先輩っ!セーラ先輩っ!」ボソッ チョイチョイッ
セーラ(ん?)
セーラ「どないしたん?船Q」(以下、お互い小声)
船Q「そ、それが…来客がきたんよ!しかもとびっきりの大物が!」
セーラ「来客…?…………!!ま、まさかこの気配、宮永照か?」
船Q「大星淡も一緒です。なんか果物籠ぶら下げてたんで、お見舞いか何かと思うんですけど…」
セーラ「…理由はともかくとして、まずいな。この部屋に入れる訳にはいかん」
船Q「ですね。竜華先輩が今あの人を見たら、どんな台詞を吐くか…想像したくも無いです」
セーラ「それを言った事で後で傷付くのは竜華やしな…」
セーラ「よし、今寝てるとか適当な事言って、帰ってもらうで」
船Q「了解です、ほな一緒に入口へ…」
セーラ(中に入れる事は勿論、怜が亡くなった事も知られる訳にはいかん)
セーラ(怜は医学的には急な発作による病死や。不幸な事故…という他あらへん)
セーラ(でも、状況が状況なだけに、公にこの事が知られたら余計な想像をする奴もおるやろ)
セーラ(雑誌屋にでも嗅ぎつけられたら、千里山に、怜の家族にも良くない事になる)
セーラ(それともう一つ理由はあるけど…とにかく今宮永照にこの事を知られる訳にはいかん!)
セーラ「いやーお待たせしてもうてすま…
泉「このっ………人殺し……!!!」
セーラ(!?)
照「…人……殺し…?」ボーゼン
泉「おらあっ!!」 バキィッ!!!
淡「きゃあっ!照先輩っ!!!」
照「……………」ジンジン…
淡「てめえっ!もうマジで許さないわよっ!!照先輩に向かって人殺しなんて意味分かんない事言ってぇ!!」ガシッ グイッ!(胸倉を掴む)
泉「何が変な事や!園城寺先輩はさっき亡くなったんやで!宮永照の所為で!!」ギロッ!
淡「は…?な、何馬鹿な事………」
泉「ふんっ!」 ドンッ
淡「きゃっ!」ヨロッ…
泉「お前達の所為でえええええっ!!!」ブンッ
ガシッ!
セーラ「泉ぃ…お前怜の病室の前で何を騒いでるんや…?」ギロッ!!!
立タン「そうだ!和と再開すればGood Endだし決勝に行かせなくてもいいんじゃね?」
あぐり「仕事ェ…」
泉「セーラ先輩!だって、コイツ達が…!!!」ジタバタ
セーラ「謝れ」
泉「だってコイツが…!」
セーラ「謝れ」
泉(!……………)
泉「………すんませんでした。お二人方」ペコッ
セーラ「そうやないやろドゲザやドゲザ」ガッ(泉の頭掴む)
泉「ふぐっ!」
セーラ「ウチの若いのが迷惑かけてしもた様で、本当に申し訳ありませんでした」ペコッ
淡「いえ、そ、そこまでして頂かなくても…」
セーラ(さっきのやりとり、竜華に聞こえてないやろか…?よし、船Qが事前にドアを締めといてくれたな)ほっ
セーラ「すんません…見ての通り、今日はちょっと取り込んでるんでお引き取り願いますか?」
淡「そ、そうみたいですね。そうさせて貰います…あ、果物は置いていきますので良かったら…」
淡「ほ、ほら照先輩。行きますよ」グイッ
照「…待って。…江口さん、あの、園城寺さんがな、亡くなったというのは…」
セーラ(…まぁそりゃあ、聞いてもうたらハイそうですかとはならんわな)
セーラ「場所、変えましょか。ちょっと行った所に屋上があるんで、話はそこで」
照「…はい、ありがとうございます」
セーラ「泉。さっきの事はまた後できっちりお仕置きしたるから、今はそこでまた門番しといてやー」
泉「…はい」
照「淡。私は江口さんとお話してるから、淡はここで待ってて」
淡「えっ?わ、私も一緒に屋上に…」
照「…謝りたい事があるなら、先にしておいた方が良い。きっと、その事を後悔する時が来るから」
淡「…………」チラッ
泉「!」
淡「…分かりました。でも帰る時は照先輩が屋上で待ってて下さいね。探しに行くの大変なので」
照「うん」
~屋上~
セーラ「…あぁ~あの、敬語得意ちゃうからタメ口で喋ってもええ?そっちもそれでええから」
照「…うん。分かった」
セーラ「よっしゃ。最初に言っとくと、園城寺怜は亡くなった。これは…ほんの数時間前の事実や」
照「!!!…………」
セーラ「当たり前の事やけど、アンタが気に病む必要は何も無いで?」
セーラ「真剣勝負やから恨みっこ無しとか、そんな事やなくて…あれはただの事故や」
セーラ「誰も悪くない。強いて言うなら、自分の体が弱い事知ってて無茶した怜と…」
セーラ「………そんな怜の間違った責任感に気付かず、それに甘えてのうのうと見とったオレ達や」ギリッ
宥ちゃんに美味しい所を全部持っていかれて
残ったドラだけ持って産まれた玄ちゃんをイジメないで!!!!!
セーラ「…実はな。怜が自分の限界を越えた能力を使って倒れた事は、これが初めてやないねん」
照「…………」
セーラ「そん時に監督に直訴してでも止めさせるべきやったんや…怜のレギュラーなんて」
セーラ「怜は…いつも泣き事ばっかり言っとるけど、ホンマは誰よりも責任感が強くて、仲間想いで、千里山の事が大好きな奴やった」
セーラ「そんな怜が…ホンマにヤバい相手と当たった時に、千里山の為にどうするかなんて、分かりきっとったハズなんや」
照「本当に危ない相手…それが…」
セーラ「そう、アンタやアンタ。チャンピオン、宮永照。オレも何度か当たった事あるから恐ろしさは骨の髄まで分かっとるで」アハハ
セーラ「………そうやな。そう考えれば、怜を殺した人殺しはオレって事になるな」
照「どうして…?」
セーラ「オレはアンタが、そして全国の魔物が怖かったんや。二年生でエースとか言われて浮かれてたけど」
セーラ「その実、全国の頂点に近付くと打ちのめされる事ばっかりで…」
セーラ「だから怜に変な力がある事が分かって、エースを降ろされた時、オレは内心ほっとしてた」
セーラ「『良かった。これで化物の相手は怜に押し付けられた』…言うてな」
哲也で超能力使いは死ぬって印南が教えてくれたのに
セーラ「ホンマにオレは……最低の臆病者や…」ボロボロ
照「……………事情は、分かった」
セーラ「さよか、そりゃ良かった……ぐすっ…アンタに責任は何も無い。これからも最強街道突き進んでくれ」ひらひら
照「…それは違う。何と言われても、私が彼女をそこまで追い詰めなければ、こんな事故は起こらなかった…」
セーラ「……………」
照「…いつもそう。私が麻雀を、大好きな麻雀を打っていると…周りで嫌な事、悲しい事ばかり起こる」
照「それでも、麻雀が好きだから、麻雀が好きな私を好いてくれる人も居るから、今日まで無心に打って来た…」
照「でも…こんな取り返しがつかない事が起きてしまった以上、私は…」
セーラ「…麻雀止めるってか?許さへんで、そんな事。絶対に」
照「!」
あぐりの名前が阿知賀アニメのコピーライトに書かれてない件はどうなったのでしょう( ´・ω・`)
照「…何故?」
セーラ「怜の為や。アンタはいつか日本一、世界一の雀士になる人間」
セーラ「そんな奴が麻雀をやめる切っ掛けに自分がなったと知ったら、怜はどう思う?」
照「…………」
セーラ「…いや、世界一とかそんな事はほんとはどーでもええんや」
セーラ「麻雀を大好きな奴が麻雀を辞めた理由を『怜』にする事は、オレが絶対許さんって言うてんねん」
照「…………」
セーラ「ま、心からもう打ちたくないって思うんやったら、オレにはどうにも出来んし」
セーラ「アンタがどうするかはアンタが決める事やからな。好きにせえや」
セーラ「…ただ、これは純粋にオレからのお願いなんやけど」
照「…なに?」
セーラ「今年のインハイは…白糸台が優勝してくれ。それも出来るだけ、圧倒的に」
照「………?」
セーラ「意図が分からんか?簡単やで、宮永照の居る白糸台を倒した唯一のチームに、オレ達がなりたいだけや」
セーラ「白糸台の不敗神話…多分これはこれから麻雀って遊びが続く限り、ずっと語り継がれるやろ」
セーラ「その時の逸話の一つに、千里山女子の名前が。…怜の名前が残ったらええなって思ったんや」
セーラ「…あはははははっ!いやー我ながらホンマに自分勝手なお願いやなー!コイツ何を言ってるん!?って思ったやろ?」
セーラ「ただの思い付きの戯言や、軽く流してなー」
照「分かった。約束する」
セーラ「!………」
照「宮永照の高校三年間の経歴に傷を付けたのは、唯一。千里山女子のみ。それを世間の常識にしてみせる」スタスタ
セーラ「………おおきに」
~回想終了~
竜華「…はぇ~そんな事があったんや……」
セーラ「あぁ、そんでインターハイ決勝の結果はご存知の通り…」
竜華「白糸台・宮永照が先鋒の東一局で三人同時に飛ばして優勝…幼稚園児でも知ってる伝説やで、ホンマ」
セーラ「なぁ。流石にまさかあんな事になるとは思って無かったけど…オレは感謝してるよ」
セーラ「良くも悪くも純粋で、麻雀が大好きで最強なだけなんや、宮永照は」
セーラ「…この話は、機が来たら話そうと思ってたんやけど、何だかんだでかなり遅くなってしもたな。すまん」
竜華「そんな事謝らんでええよー。それに…ある意味では丁度良かったしな」
セーラ「丁度良かった…?」
竜華「今度ウチな、試合で宮永さんと当たんねん。デビュー以来無敗の天才ルーキー同士の対決言うて」
竜華「結構大げさな盛り上げ方もしてもらったりして」あはは
セーラ「へぇ!そりゃ楽しみやな」
竜華「別に元々恨んでなんかなかったけど、今の話聞いて別の感情が芽生えたわ」
竜華「多分宮永さんは千里山女子の名前をもっと高める為に、プロになってからも自分は一度も負けたらアカンって考えてるやろ?」
セーラ「…あーたしかに、考えてそうやなぁ」
竜華「そんなプレッシャーの中で毎回打つのはキツいと思うねん」
竜華「だからウチが…今迄ありがとうの気持ちと一緒に、チャンピオンを負かしたるわ」ニッ
セーラ「ははははっ!そりゃあええなぁ!」
竜華「よーし、そうと決めたら打ちたくてたまらんなって来たわ!」スクッ
竜華「セーラ、ウチ今から千里山に顔出してOGとしてボコってくるから、泉と船Qとすれ違いになったら」
竜華「こっち来る様に言ってな~!」タタタタッ!
セーラ「おー!………うわ、もうあんなトコに」
セーラ「…怜。竜華はもう大丈夫や。安心して…休んでくれな」チンッ クイッ
竜華(最近考えてた事がある。この怜の未来を見る力は…もしかしたら、怜の願いから産まれたんやないかって)
竜華(生死の境を彷徨って、もっと生きたい、未来が見たいと強く願った事で、産まれた力)
竜華(…この力が怜の命を削ってしまったのか、それとも力を得てからの日々がロスタイムみたいなもんやったのか)
竜華(そんな事は分からへんけど…今、ウチの中には怜の目がある。新しい世界を見て、大好きな麻雀を打ててる)
竜華(その事でウチはまだ怜と繋がってる様に感じられる…これはきっと素晴らしい事や)
竜華「さぁ、打倒宮永照目指して!今日も全開で行くで、怜」
『了解や、竜華』
竜華「!あはははははっ」
怜-toki-千里山編episode of side-A END
終わりですー。最後まで読んで下さった皆様、誠にありがとうございました。
このネタはアニメ最終回の前に書かなくてはと思い立ち、何とか書き上げる事が出来ました。
怜の死が前提の話だったので、その事で不快感を与えてしまった事があれば、誠に申し訳ありません。
竜華達が病院に着いたあたりでは、どうにかここからハッピーエンドに持って行くか…?と大分葛藤していたのは秘密。
願わくば、アニメ&原作ではこうならない事を…
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