蛍「れんちゃんの丸焼きですか?」 (30)
夏海「そうそう、毎年一回の恒例行事」
蛍「え、それって大丈夫なんですか?」
夏海「大丈夫って?」
蛍「えっと……火傷しちゃったり」
夏海「あぁ、大丈夫大丈夫」
蛍「よかった」
夏海「死ぬだけだから」
蛍「え?」
れんげ「ウチ、今年で焼かれるの6回目なんなー」
蛍「6回目ってことはやっぱり大丈夫なんだね」
小鞠「違う違う、今年のれんげ役がれんちょんで」
小鞠「去年やることが決まって、それからずっとなりきってるんだよ」
蛍「……」
夏海「おっ、驚いて声も出ない感じ?」
小鞠「普通はそうだよね」
夏海「まぁウチ達は慣れちゃったからね」
夏海「確か姉ちゃんが小一の時から始まったんだよね」
小鞠「……うん」
小鞠「当時いたれんげって子を処分したのが始まりだからね」
蛍「……処分」
夏海「まぁとにかく厄介な人がいたんだよ」
夏海「で、毎年その霊を鎮めるために生贄をね」
小鞠「あの子を焼いてから村に怪奇現象が起こるようになったから……」
蛍「怪奇現象ですか?」
夏海「呪いみたいなもんなんだけどさ」
夏海「それ以来兄ちゃんが喋らなくなったり」
夏海「なぜかウチのテストがなくなったらは」
蛍「はぁ?」
小鞠「今言ったのはほんの序の口だよ」
小鞠「ホント、恐ろしいのは……バスの本数が減った」
蛍「はぁ」
蛍(本当に怪奇現象?呪い?)
れんげ「怖いのんなぁ」
蛍「先輩、それって本当に怪奇現象なんですか?」
蛍「お兄さんが喋らなくなったってのは元々口数が少ないだけで」
蛍「テストは管理の問題」
蛍「バスは……田舎だから」
夏海「ほたるんは何を言ってるんだ?」
蛍「それに、れんちゃんは本当にそれを望んでるんですか?」
れんげ「それが村のしきたりだからしょうがないのん」
小鞠「ほら、れんちょんもそう言ってるしさ」
蛍「それは小さい頃からの刷り込みで……」
れんげ「ウチは死ぬのん」
れんげ「でもこんなウチと仲良くなってくれたほたるんのこと忘れないん」
小鞠「れんちょん、忘れないと辛いだけだよ?」
夏海「そうそう、去年の子はれんちょんの名前叫びながら焼かれたのみたでしょ?」
れんげ「みたし、辛かったん……」
小鞠「だから蛍のためにも、ね?」
蛍「……」
蛍「こんなのおかしいですよ!」
小鞠「おかしくないよ」
小鞠「蛍、村のためなんだから我慢して」
蛍「でも先輩!大切な友達が焼かれるのを黙って見てるなんてできません……」
れんげ「ほたるんはウチのこと大切な友達って思ってるん?」
蛍「当たり前だよ」
小鞠「……こうなったらアレだね」
夏海「姉ちゃん、嘘だろ?」
このSSまとめへのコメント
おい。