蒲原「ワハハ……部室に居場所がない」久「あの、あの子はたしか」(143)

 

蒲原「ワハハ。そうだ、やることないし散歩にでも行こうかな」

久「あら、それなら私もご一緒よろしいかしら」

こうですか?わかりません!!

空白は甘え

蒲原「え、あんたたしか・・・」

久「県予選の中堅で戦ったわよね。清澄の竹井久よ」

蒲原「ああ・・・ワハハ、その節はどうも」

久「いいえ、こちらこそ。覚えててくれた?」

蒲原「ワハハ、もちろん。あんたに頭が弱いって馬鹿にされたのは今でも根に持ってるよ」

久「あーそういえばそんなことも言ったかしら。まぁ軽いジョークよ」

蒲原「ワハハー、うそつけー」

久「ところでせっかく再開する機会に恵まれたわけだし、お茶でもどう?」

蒲原「え・・・いいの?」

久「? いいのってなによ?」

蒲原「ワハハ・・・いやさ、私なんかと・・・」

久「・・・? 何か嫌なことでもあったの?」

蒲原「い、いや別に・・・ワハハ・・・」

久「・・・」

久「まぁいいわ。話は追々聞くとして、どこか希望はある?」

蒲原「どこでもいいよ」

久「じゃあ私の行きつけの喫茶店にしましょ。ついてきて」

久「あれからどう? 鶴賀は」

蒲原「わ、ワハハ・・・相変わらずだよ」

蒲原「といっても私とゆみちん・・・って言ってわかるかな?」

久「えーっと・・・ああ、鶴賀の部長の?」

蒲原「いや部長は私なんだけど・・・」

久「え、うそ!?」

蒲原「ワハハ、ほんとだよ。いっつも勘違いされるけどねー」

久「そりゃあねえ・・・だって似合わないもの」

蒲原「あんた容赦ないね・・・まぁそういうとこ嫌いじゃないけどさー」

蒲原「そんで私とそのゆみちんはさー、今年三年だからもう引退しちゃって」

久「まぁ県予選も終わったしね」

蒲原「そうなんだよー。で、部長を二年に引き継がせたわけだけど・・・」

蒲原「・・・」

久「・・・どうしたの?」

蒲原「あ・・・わ、ワハハー、いやなんでもないよー」

蒲原「それで元々部員も団体戦に参加できるギリギリの人数だったから、まーた部員が足んなくなっちゃってさー」

久「まぁ清澄も似たようなものね」

蒲原「そっか。あんた三年だもんね」

久「ええ、だからインハイが終わったら私ともう一人は引退。部員は一気に三人になっちゃうわ」

蒲原「ワハハ、大変だねー」

久「ふふ、お互い様じゃない」

まこって2年だろたしか

>>12-13
あ、そうか。やべえ完全に忘れてた

蒲原「あ、もしかしてあそこ?」

久「ええ、おしゃれなとこでしょ?」

蒲原「わ、ワハハ・・・なんか私には似合わないなー」

久「・・・あなた、見かけによらず案外ネガティブなのね」

蒲原「え・・・?」

久「いい? そういうこと頭で考えちゃうから、そう見えちゃうのよ」カランカラン

蒲原「・・・」

ラッシャセー

久「何事もポジティブに考えなきゃ人生損よ?」

蒲原「・・・」

久「・・・」

おしゃれな店でラッシャセーはないな。ごめん

「お好きな席へどうぞ」

久「・・・ええ、ありがとう」

久「なに暗い顔してるのよ。ほら、笑顔笑顔」

蒲原「・・・え、がお・・・?」

久「そうよ。あなたの一番の取り柄じゃないの?」

蒲原「取り柄だなんて・・・そんな大それたもんじゃ・・・」

久「でも、前に会ったときのあなたはもっと楽しそうに笑ってたわよ?」

蒲原「・・・」

久「・・・なんかあったんでしょ? よければ話を聞かせて?」

蒲原「わ、ワハハ・・・あんたいい奴だなー」

久「あらそんなことないわよ」

蒲原「いやいい奴だよ・・・」

久「・・・」

蒲原「じゃあ、ちょっと話聞いてくれる・・・?」

久「焦らなくていいわよ。まずは注文を決めちゃいましょう。あのすみませーん」

「はい、ご注文お決まりでしょうか?」

蒲原「えっと、じゃあ私は・・・このレモンティーで」

久「私はアイスコーヒーで」

「ご注文ありがとうございます。ごゆっくりどうぞ」

「お待たせしました」コトッ

久「ありがとう」

蒲原「ワハハ、どうも」

久「・・・」カランコロン

蒲原「・・・」チュー

久「それじゃ、話してくれる・・・?」

蒲原「ぷはっ・・・うん・・・」

蒲原「えっとどっから話そうかな・・・」

――――――――――――

――――――――

---------

蒲原『そう、あれは次期部長をむっきーに譲って間もない頃・・・』

ガチャリ

蒲原「ワハハー、今日もあっついなー」

睦月「あ、先輩・・・」

蒲原「よーっす、ってあれ・・・むっきーだけか?」

睦月「・・・ええ」

蒲原「ん? どうしたんだー、そんな暗い顔してー」

睦月「・・・」

蒲原「ワハハー、ほれほれー」グリグリ

睦月「・・・や、やめてください・・・っ」

蒲原「・・・あ、ごめん」

睦月「・・・っ」

蒲原「・・・わ、ワハハー・・・」

蒲原(むっきー機嫌悪いのかな・・・って)

蒲原「あ、もしかしてあの日かー? ワハハ、それじゃ機嫌が悪いのもしょうがn」

睦月「ちょっと黙ってください・・・っ!!」

蒲原「・・・!?」ビクッ

睦月「・・・先輩は気楽でいいですよね・・・」

蒲原「え・・・」

蒲原「む、むっきー・・・何があったのさ」

睦月「先輩、もしかして聞いてないんですか・・・?」

蒲原「え・・・何を?」

睦月「佳織さん、もう麻雀部辞めたんですよ」

蒲原「え・・・な、なんで・・・」

睦月「蒲原先輩が引退して、もう部にいる理由がなくなったから、だそうです」

蒲原「え・・・い、意味わかんないよ・・・え・・・?」

睦月「元々あの人は先輩に無理やり部に加入させられたようなものでしたからね・・・」

蒲原「む、無理やりだなんて・・・一応かおりんの許可はとったよ・・・っ!?」

睦月「・・・先輩もわからない人ですね。年上の幼馴染からの頼みを、そう簡単に断ることができると思いますか・・・?」

蒲原「・・・そ、そんな・・・」

睦月「まぁ佳織さんも内心辛かったと思いますよ。やりたくもない活動に半強制的に参加させられて」

蒲原「・・・か、佳織はそんな子じゃ・・・」

睦月「退部の旨をあなたに知らせなかったことが何よりの証拠です」

睦月「まぁ先輩はもうすでに麻雀部の部員ではないのですから、その義理もないのでしょうが」

蒲原「・・・か、佳織・・・」

睦月「それとですね・・・」

ガチャ

加治木「お、睦月に・・・蒲原じゃないか! 久しぶりだな!」

蒲原「あ・・・ゆみちん」

睦月「・・・」

加治木「二人ともどうしたんだ? そんな浮かない顔して」

蒲原「ゆ、ゆみちんはさ・・・知ってたの? 佳織が部を辞めたこと・・・」

加治木「えっと・・・まぁ、そりゃあな・・・」

蒲原「・・・」

加治木「まぁでも仕方ないじゃないか! 妹尾にだって色々と都合はあるんだ」

加治木「むしろ彼女のおかげで県予選に参加できたことだけでも幸運だったと思うべきだ! うん!」

睦月「・・・よくもそんなことを抜け抜けと・・・」

加治木「・・・? 睦月?」

睦月「あなた、仮にも先日までこの部をまとめてきた責任者でしょう!? なのによくもそんな軽々しいこと言えますねッ!?」

蒲原「む、睦月・・・?」

加治木「い、いや・・・私も残念だとは思っているさ。だが仕方のないことじゃないか・・・? なぁ蒲原?」

蒲原「えっと・・・その・・・」

睦月「それが無責任だって言ってるんですよ!! やることだけやって満足したら、あとは部のことは私に全部押し付けてポイですか!?」

睦月「いい加減にしろってんですよ・・・ッ!!」

加治木「・・・」

蒲原「む、むっきー・・・」

蒲原(このことが、むっきーを悩ませてたのか・・・)

蒲原(そして、その原因は私たち・・・?)

「・・・そこまでにしてくれないっすかね? むっちゃん先輩・・・」

睦月「その声は・・・東横さんですか」

桃子「はいっす。話はさっきから聞かせてもらってたっすよ」

桃子「・・・よくも加治木先輩にあられもない暴言を吐きたててくれたっすね」

睦月「だって本当のことでしょうが・・・」

桃子「むっちゃん先輩・・・あなたのやってることは子供の駄々と一緒っすよ」

睦月「・・・ッ!!」ダンッ

睦月「それをあんたに言われたくない・・・っ!!」

桃子「なんすか。責任転嫁っすか。部長はあなたでしょ」

睦月「何でもかんでも部長に頼ってればいいと思ってるの・・・?」フルフル

睦月「甘えんなッ!! そもそもあんた、先輩方が引退した後は部の活動にまったく参加してないじゃない!!」

睦月「たまに部室に来たと思ったら、そこの無責任女とイチャイチャしてるばっかで!!」

桃子「・・・」

桃子「むっちゃん先輩・・・加治木先輩のこと、これ以上侮辱したらモモが許さないっすよ」

睦月「なに? やろうっての?」

蒲原「お、おい・・・二人とも・・・」

加治木「・・・」

蒲原(な、なんでゆみちんも見てるだけなんだよ・・・!?)

まあむっきーの気持ちも分かるがな

桃子「・・・ほんと血の気が多い人っすね。呆れてものも言えないっす」

睦月「こっちはあんたらのせいで毎日毎日ストレス溜めこんでんだよ・・・ッ!!」

桃子「自分の器量のなさを、他人のせいにしないで欲しいっすね」

睦月「うるさい黙れ・・・それもこれも全部・・・」

睦月「お前と・・・ッ、その、クソ女のせいだって言ってんでしょ・・・ッ!!?」

桃子「・・・ッ!!」

ボカッ

睦月「ぐっ・・・ッ!!」

桃子「はぁ・・・はぁ・・・てめえ、先輩を侮辱すんなっす!!」

>>43
むしろむっきーに同情してほしくて書いてたんですがね・・・
まぁむっきーにも色々非はあるけど

蒲原「お、おいやめろっ!!」ガシッ

桃子「は、離せっす!!」ジタバタ

睦月「・・・はぁ・・・はぁ・・・お前、」

睦月「前々から気に食わなかったんだよ・・・ッ!!」

バスッ

桃子「うっ・・・ッ!!」

加治木「も、モモ・・・っ!!」

蒲原「も、モモ・・・ッ!!」

桃子「・・・ッ!!」バシンッ

蒲原「痛っ・・・!」

桃子「あんたもあの女の味方なんすか、蒲原先輩!!?」

蒲原「い、いや違う・・・私はただ・・・」

蒲原(・・・二人にこんなことして欲しくないだけなんだ・・・ッ)

蒲原(なんて・・・言えるのか? 言う資格があるのか? 私に・・・私なんかに・・・)

桃子「もう我慢ならないっす。こんなクソみたいな部活、辞めてやるっすッ!!」

睦月「勝手にしろ!! 二度と部室に足を踏み入れるな!!」

睦月「あんたらもですよ・・・先輩たち・・・ッ」

加治木「・・・」

蒲原「そ、そんな・・・」

桃子「・・・先輩、行きましょうっす」

加治木「・・・ああ」

バタンッ!!

蒲原「・・・」

睦月「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

ちょっと休憩。3時10分から再開

蒲原「む、むっきー・・・あの・・・」

睦月「・・・」

蒲原「ご、ごめんな・・・私が不甲斐ないばかりに・・・っ」

睦月「・・・」

蒲原「私が・・・っ、部長として、み・・・みんなを統率してやれなかった・・・っ」ポロポロ

睦月「・・・」

蒲原「そのことが原因で・・・っ・・・むっきーにすごく迷惑かけて・・・っ」ポロポロ

蒲原「ほんとに・・・ごめん・・・っ、ご、ごめんなさい・・・ううっ・・・」ポロポロ

睦月「・・・ってください」

蒲原「・・・え?」

睦月「出てってください。もう二度とその顔見たくありません」

蒲原「・・・ぁ」ポロポロ

蒲原『それからというものの、私には部室に居場所がなくなった』

蒲原『みんなは実際の距離も、心も離れ離れになってしまった』

蒲原『それもこれも、すべて私のせい』

蒲原『私が・・・』

蒲原『・・・』

蒲原『』

---------

――――――――

―――――――――――――

久「・・・」

蒲原「とまぁ、そういうわけなんだ。笑えちゃうだろー」ワハハ

久「・・・あなた、泣いてるわよ」

蒲原「え・・・う、嘘だよ・・・な、泣いてなんか・・・」

久「・・・心がね、泣いてるのよ」

蒲原「・・・っ」

久「・・・つらかったわね」ダキッ

蒲原「・・・ワハハ・・・私は自業自得だよ・・・」

蒲原「むっきーたちの方が・・・よっぽど辛い思いをしているはずなんだ・・・」

蒲原「・・・」

久「・・・もう、自分を責めるのはやめなさい」ギュ

久「あなただって十分辛い思いをしてきたわ・・・もう我慢しなくていいの」

蒲原「・・・ぁ」

蒲原「・・・うぐっ・・・えっぐ・・・うわぁああああああああああん!!!」ポロポロ

「あ、あのお客様・・・」アセアセ

久「あ、ごめんなさい。もう出るわ」

「あ、恐れ入ります・・・」ペコペコ

久「蒲原さん、とりあえずここを出ましょう。立てる?」

蒲原「・・・ひっく・・・っ」コクッ

久「いい子ね・・・はい、お代ここに置いとくわね」

「あ、ありがとうございます」

カランコロン

カァーカァー

久「もう、日も沈むわね・・・」

蒲原「・・・」グスン

久「もう泣かないの」ヨシヨシ

蒲原「や・・・やめてっ・・・」

久「・・・」

蒲原「や、優しくされちゃうと・・・余計涙が出ちゃう・・・っ」グスン

久「・・・ごめんなさい」

蒲原「・・・っく・・・うぅ・・・」

久「とりあえず、あのベンチに座りましょう」

久「―――落ち着いた?」

蒲原「うん・・・ありがとう」

久「私は何もしてないわよ」

蒲原「・・・っ・・・ふふ・・・」

久「? 何がおかしいの?」

蒲原「それ・・・口癖なのか? 『なにもしてない』っての」

久「そうみたいね。けど本当に何もしてないんだもの」

蒲原「ふふ・・・なんだそれ・・・」

久「・・・やっと笑ってくれたわね」

蒲原「・・・え?」

久「今日初めての、あなたのほんとの笑顔。とってもかわいいわよ」ニコッ

肩いてえ・・・

蒲原「あんたのおかげだよ、えっと・・・竹井さん」

久「久でいいわよ」

蒲原「・・・うん、久」

蒲原「・・・こんなこと話せるの、誰もいなかったから・・・」

蒲原「なんか胸の奥が・・・ちょっとすっきりした気がする・・・」

蒲原「ありがとう」

久「・・・」

蒲原「・・・それじゃわたしもう帰るよ」

久「・・・待って、智美」

蒲原「・・・と、智美?」

さ……智美……

>>67
すまん、素で間違えたww

久「いいでしょ? 別に」

蒲原「え・・・うん、そりゃいいけど・・・」

蒲原「まだ私に何か・・・」

久「あなた・・・これからどうするつもりなの?」

蒲原「・・・」

久「鶴賀の麻雀部のことは、諦めるつもり・・・?」

蒲原「だって・・・どうしようもないよ・・・」

久「・・・私は二度同じことは言わないわ」

蒲原「え・・・?」

久「あなたが諦めちゃうのなら、それで終わり。麻雀部も終わり」

蒲原「・・・」

蒲原(あ・・・)

久『いい? そういうこと頭で考えちゃうから、そう見えちゃうのよ』

蒲原(そうだ・・・)

久『何事もポジティブに考えなきゃ人生損よ?』

蒲原(私は何をしてたんだ・・・私は、私は・・・)

久「ふふ・・・ようやく気付いたみたいね」

久「さて、聞きましょうか・・・智美、あなたの望みは?」

蒲原「わ、私は・・・」

蒲原「・・・」グッ

蒲原「私は、また鶴賀のみんなで麻雀がしたい・・・っ!!」

久「・・・ふふ、よく言えたわね」

蒲原「・・・」

蒲原(そうだ、なにを諦めてんだよ私・・・ッ)

蒲原(私にとっての麻雀部ってなんだ? こんな簡単に諦めてしまえるほどのもんだったのか?)

蒲原(違うだろう・・・ッ、鶴賀の麻雀部は私の居場所だ・・・! そしてその部員は、私の大切な仲間だ・・・!!)

蒲原(壊れかけてしまった麻雀部の絆・・・それに僅かでも責任を感じているのなら)

蒲原「私は・・・鶴賀麻雀部部長として、みんなのバラバラになった心を繋ぎあわせなくちゃいけない・・・っ」

久「いい顔見せるようになったじゃない」ニコリ

蒲原「・・・ありがと、久。久には助けてもらってばっかりだ」

久「別に私は何もしてないわよ」パチッ

蒲原「・・・」ニコッ

久「それで、どうするの?」

蒲原「・・・明日、みんなを部室に集めるよ」

久「私も協力するわ」

蒲原「え、いいの・・・?」

久「乗りかかった船よ」

蒲原「ありがと」

久「・・・それから?」

蒲原「うん・・・それから、集めたみんなで麻雀を打つ・・・ッ!」

久「・・・いいじゃない」

蒲原「ワハハ・・・私に思いつく手段と言ったら、やっぱりこれしかないみたいだ」

久「そういうの、嫌いじゃないわ」

蒲原「じゃあ、明日の放課後にここでね」

久「ええ。遅れちゃダメよ?」

蒲原「・・・うん」

久「・・・智美!」

蒲原「・・・?」

久「あなたなら、きっとできるわ」

蒲原(・・・ありがとう)

――――――――――――

――――――――

---------

翌日放課後・鶴賀学園前

久「―――まずは、あなたの幼馴染の妹尾佳織さんからね」

蒲原「・・・うん」

--------------

蒲原「あっ・・・佳織だ」

久「あの子ね・・・」

蒲原「・・・」

久「私はいかない方がいいわね。二対一ってなんかフェアじゃないし」

蒲原「・・・うん」

蒲原(それに、佳織は私の幼馴染だから・・・っ)

蒲原「佳織・・・!」

佳織「え・・・あ、智美・・・ちゃん・・・」

蒲原「ひ、久しぶり・・・だね」

佳織「・・・」

佳織「な・・・何か用・・・?」

蒲原(明らかに怯えた態度・・・これも私が・・・)

蒲原(いや・・・今はそんなことどうだっていい!!)

蒲原「佳織・・・ほんとのこと、話してほしい」

蒲原「麻雀部には・・・やっぱり嫌々参加してたのか・・・?」

佳織「・・・」

休憩さしちくりー 10分!

帰還。めっちゃだるいっすわ

佳織「・・・もう聞いたんだ。退部のこと・・・」

蒲原「・・・うん」

佳織「・・・正直、いまだに麻雀のおもしろさってわかんない」

蒲原「・・・そう・・・か」

佳織「でもね? 決して嫌々やってたわけじゃないよ」

蒲原「・・・!? ほ、ほんとに・・・?」

佳織「麻雀部の人たちはみんな良い人だったし、なにより智美ちゃんは私を楽しませようと精一杯頑張ってくれてた」

蒲原「・・・じ、じゃあなんで?」

佳織「理由はさっき言ったよ。麻雀のおもしろさがわかんなかったから」

蒲原「・・・」

佳織「ごめんね・・・でもしょうがないことでしょ?」

蒲原「そうだな・・・嫌いなものを無理やり好きになることなんてできない」

佳織「うん・・・だから、こんな中途半端な気持ちでいるんなら辞めた方がいいと思ったの」

佳織「でも智美ちゃんに言わなかったことだけは謝るわ・・・これは単なる私の逃げでしかなかったから」

蒲原「いいんだ・・・佳織は悪くない」

佳織「・・・ほんとに、いいの?」

蒲原「え・・・」

佳織「何か、私にお願いがあってきたんでしょ? それ言わなくていいの?」

蒲原「いや・・・無理に言っても仕方ないから・・・」

佳織「・・・智美ちゃん、変わっちゃったね」

蒲原「え・・・」

佳織「前は、こっちが頼んでもいないのにずかずか私の中に入り込んできたのに」

蒲原「・・・」

佳織「・・・何かあったんでしょ?」

蒲原「・・・ワハハ、佳織には敵わないなー」

佳織「・・・話してくれる?」

蒲原「・・・わかった。話すよ」

---------------

佳織「そんな・・・ことが・・・」

蒲原「うん・・・これは、私の責任でもあるんだ。だから―――」

佳織「・・・一人で解決しようって?」

蒲原「・・・」

佳織「智美ちゃん、昔っからそうだったよね。水臭いっていうか、何でも一人で頑張ろうとして」

蒲原「・・・」

佳織「私、部に戻るかどうかは今ここでは決められない」

佳織「けど、あんなにお世話になった麻雀部をこのまま放っておくなんてできない」

蒲原「か、おり・・・」

佳織「私も一緒に行くよ。智美ちゃん」

久「―――おかえり」

佳織「? この方は・・・?」

蒲原「ワハハ、私の友人だ」

久「昨日なったばかりだけどね」

佳織「もしかして、あなたが・・・智美ちゃんを手助けしてくれたの?」

久「手助けっていうほどのことはしてないわ。ただちょっと背中を押してあげただけ」

久「あなたに自分ひとりで声をかけるって決めたのも、智美自身よ」

佳織「そっか・・・ありがとうございます、えっと・・・」

久「竹井久よ」

佳織「久さん」

久「気にしないで。ほら次いっちゃいましょ」

蒲原「・・・うんっ」

佳織「次は東横さんたちよね・・・?」

蒲原「・・・うん」

佳織「居場所の目星はついてるの?」

久「それなら私に心当たりがあるわ」

蒲原「え?」

----------------

佳織「この先って・・・」

蒲原「お、屋上・・・!?」

久「ええ、その二人って部室でイチャつくほど仲良しさんなんでしょ?」

佳織「ええ、まあ・・・」

久「高校生の百合カップルが放課後をどこで過ごすかなんて、私にかかれば朝飯前よ」

蒲原「わ、ワハハ・・・それはどういう・・・」

久「ほら、さっさと行ってらっしゃい。次はあんたたち二人で何とかするんでしょ?」

ガチャリ

蒲原「本当にこんなところに・・・」

「―――先輩・・・おいしいっすか?」
「ああ・・・よくできてるよ、モモ」

佳織「この声って・・・」

蒲原「・・・うん、ゆみちんたちだ」

トコトコ

蒲原「この上みたいだ・・・」コソコソ

佳織「・・・下から呼びかけてみる?」コソコソ

蒲原「・・・そうだね」コソコソ

蒲原「・・・」ゴクリ

蒲原「わ、ワハハ・・・あのー」

「・・・ひゃっ!?」
「ど、どうしたモモ!?」
「ひ、人の声が・・・ッ!」
「な、なに・・・!?」

加治木「だ、誰だ・・・っ!?」

加治木「お、お前らは・・・」

蒲原「・・・久しぶり、ゆみちん」

佳織「・・・どうも。ご無沙汰してました、先輩」ペコリ

加治木「・・・」

桃子「せ、先輩・・・?」ピョコ

桃子「・・・」

蒲原「モモ・・・」

桃子「何しにきたんすか・・・この裏切り者!」

加治木「モモ・・・っ!!」

桃子「先輩、もうここは危険っす。どっか別の場所行きましょう・・・!」

蒲原「ま、待ってくれモモ・・・っ!!」

桃子「うっさい黙れ!! 私と先輩の時間を邪魔するなっす!!」

蒲原「は、話だけでも聞い・・・」

桃子「かえれええええええええええええええええ!!!」

佳織「東横さん・・・っ!!!!」

桃子「・・・っ!?」

蒲原「・・・佳織」

佳織「・・・」

桃子「あんた・・・かおりん先輩じゃないっすか」

桃子「なにしてるんすか。真っ先に麻雀部を捨てた裏切り者が」

佳織「・・・」

佳織「そのことについては否定しません。だけど、それとこれとは話が別よ」

桃子「なにが別なもんか!! 私は誑かされないぞクソメガネ!!」

加治木「モモ・・・ッ!!!」バシッ

桃子「・・・ぁ」

蒲原「ゆ・・・ゆみちん・・・」

加治木「さぁ・・・蒲原、話してくれ」

蒲原「・・・うん」

---------------

蒲原「―――だから、一緒にもう一度麻雀を打ってほしい」

加治木「・・・」

桃子「・・・話はそれだけっすか」

蒲原「・・・うん」

桃子「・・・ハァ」

桃子「・・・まったく時間の無駄だったっすね。悪いっすけど私は帰らせてもらいます・・・」

加治木「待てモモ・・・っ!」

桃子「・・・ッ!! 先輩!!」

加治木「・・・」

桃子「先輩まで私を裏切るんすか!? ずっと一緒にいてくれるって約束したじゃないっすか!!」

桃子「信じてたのに・・・信じてたのに・・・ッ!!」

桃子「もういやっす・・・どうにでもなれっす・・・」

桃子「先輩も、お前らも・・・みんな死んじまえっす・・・っ!!」ダダッ

加治木「も、モモっ・・・どこに行くんだ・・・!!」

蒲原「・・・っ」

ガチャ バターン!

加治木「待て、モモ・・・っ!」タタタッ

ガチャ

加治木「・・・っ!? モモか!?」

久「・・・残念ながら私よ」

加治木「お前・・・たしか清澄の・・・」

久「・・・」

加治木「モモがここを通って行っただろう・・・っ!?」

久「・・・ええ」

加治木「・・・ッ、ならなぜ引き止めてくれなかった!?」

久「・・・」

加治木「おい聞いているn」

バシンッ

加治木「・・・」

久「・・・」

洗濯取り込んでくる

名前で呼び合う仲じゃなかったっけ?

>>108
そうだだった。そこは脳内補間でヨロシク

もうちょい休憩さしてくださいお願いします
もうひと踏ん張りなんで。150くらいには終わるかと

久「・・・あなた、甘えてんじゃないの?」

加治木「・・・っ」

久「あの子に責任を負ってるのはあなたでしょ? ならあなたが引き留めにいかなければ根本的解決にはならないわ」

久「でもま、そこまで遠くには行かないと思うわ。私の勘ではね」

加治木「ほ、ほんとか・・・っ!?」

久「あくまで勘よ。けど自信はあるわ」

加治木「そうか・・・」

久「だからまずは、あなたと東横さんのことについて、あの子たちにきっちりと説明してあげて頂戴」

加治木「・・・」

蒲原「ゆみちん・・・」

加治木「蒲原・・・先日は、ほんとにすまなかった」

蒲原「・・・私はもう気にしてないよ、ゆみちん」

加治木「佳織にも迷惑をかけたな・・・」

佳織「いいえ。それよりも、お二方・・・特に東横さんの方はなぜ、部活に参加しなくなったんですか?」

加治木「・・・すべて、私のせいだ」

蒲原「・・・え」

加治木「モモを私に依存させてしまった。責任はすべて私にある」

久「・・・」

加治木「元々あいつが麻雀部に所属していた理由は、私への恩返しのためだったらしい」

加治木「だが、県予選は図らずも敗退・・・更に私が引退する話が後押しになったんだろう・・・」

加治木「モモは部活よりも私と過ごす時間の方を優先したがるようになった―――」

久「なるほど・・・それであの態度か」

加治木「私の方はモモに少なからず負い目を感じていた・・・」

加治木「そしてなにより、私がいなくなったらあいつはどうなってしまうのか・・・その不安だけがどうにも拭いきれなかった」

蒲原「ゆみちん・・・」

加治木「みんな、本当にすまない。あいつも悪気があるわけじゃないんだ」

加治木「あいつだって本当は寂しいんだ。部のみんなでまた楽しく麻雀をやりたいはず。もちろん私だって・・・!」

加治木「私は今からあいつを探しに行く・・・みんな、付いてきてくれるか?」

蒲原「ワハハ・・・もちろんだよ、ゆみちん」

佳織「私たちはそのために来たんですから・・・」ニコッ

---------------------

桃子(―――先輩のバカっす! もう知らないっす!!)タッタッタ

桃子「はぁ・・・はぁ・・・」

桃子「つ、疲れたっす・・・ぜぇ・・・」

桃子「ってここは・・・」

桃子(麻雀部・・・部室)

桃子「わ、私ってば、なんでこんなところにきちゃったんすか・・・」

桃子「・・・未練なんてあるわけないっす・・・だって私には加治木先輩が・・・」

「・・・っ・・・えっぐ・・・」

桃子(・・・中から誰かが泣いてる声が・・・)

桃子(ドアが半開きっす・・・ステルスかけて覗いてみるっす・・・)スゥ

桃子(・・・あれはむっちゃ・・・睦月の野郎っす・・・)

桃子(まさか、泣いてるんすか・・・?)

睦月「・・・うっぐ・・・わ、私だって好きであんなことしたわけじゃ・・・」ポロポロ

睦月「でも・・・ッ、部員も集まらないし・・・だ、誰も助けてくれないし・・・」

睦月「わ、私・・・どうしたらいいのか・・・ッ・・・ひっ・・・わからなくって・・・」

睦月「・・・ひっぐ・・・でもっ・・・一番バカなのは私だ・・・ッ」ポロポロ

睦月「口では強がって何も言わないくせに・・・ッ、いざとなったらヒステリックに喚き散らして・・・ッ」

睦月「と、東横さんの言うとおりだ・・・ッ」

睦月「・・・っ・・・えっぐ・・・」ポロポロ

睦月「なんで・・・ッ・・・なんでこんなことになっちゃうんだろ・・・っ」

睦月「うぅ・・・うわぁあああああああああああああん!!!」

桃子「・・・」

桃子(・・・)ジクッ

桃子(なんで胸がこんなに痛むんすか・・・)

桃子(むっちゃん先輩なんて・・・生真面目で、理屈っぽくて・・・)

桃子(話つまんないし、私と同じくらい存在感ないし、投牌するし・・・)

桃子「・・・でも」

桃子「私が一人でいるとき話しかけてくれるし、なんだかんだで頼りになるし・・・」

桃子「ぶきっちょだけど優しいし、誰よりも部のことを思ってくれて・・・」

桃子「そんなむっちゃん先輩が大好きだったのに・・・っ・・・私・・・」ポロポロ

桃子「か・・・加治木先輩のことしか目に見えてなくて・・・っ」

桃子「・・・っ・・・だ、大事なものを見失ってたっす・・・」

睦月「・・・と、東横さん・・・?」

桃子「わ、私が見えるっすか・・・? むっちゃん先輩・・・」ポロポロ

睦月「・・・っ・・・うん、見えるよ・・・モモの顔・・・」ポロポロ

桃子・睦月「うっ・・・うわぁぁあああああああああああああああああああああああん!!!」ダキッ


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       {ノ へ.._、 ,,/~`  〉  }    ,r=-、
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    ノ /レ'>i 〈_ュ`ー||‐'  リ,イ}    〃 /

   / _勺 イ;.||∵r;==、、 ||'∵; シ    〃 /
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  人__/ー┬ 个-、__,,..| ‐'´ 〃`ァーァー\
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加治木「なぜ部室にいると・・・?」

久「頭では忘れようとしてても、体は覚えてるものなのよ」

久(自分の一番安心できる場所ってのはね・・・)フフ

ガチャ

加治木「モモ・・・っ!?」

桃子「・・・ひっく・・・か、加治木先輩・・・?」

睦月「み・・・みんな・・・」

久「智美・・・どうやら、すべてうまくいったみたいよ」コソッ

蒲原「・・・っ」

佳織「智美ちゃん・・・よく頑張ったね・・・偉いよ・・・」ダキッ

蒲原「・・・えっく・・・」

蒲原「・・・ぐすっ・・・」ポロッ

蒲原「んっ・・・うぐぅ・・・」ポロポロ

久「ほら智美、なに泣いてんの」

久「・・・笑わなきゃ。笑ってみんなに言うことがあるんでしょ?」

蒲原「・・・ん」ゴシゴシ

佳織(智美ちゃん、ファイトだよ・・・!)

蒲原「・・・」

蒲原「わ、ワハハ! みんな、麻雀でも打たないかー!?」

「「「「「「「・・・うんっ!!」」」」」」」

久(ふふっ・・・)

fin

   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|

   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
   丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
  /    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ

支援してくれた人らサンクス!!
即興にしてはかなりまとまりよく書けた方かな
度々休憩はさんですまんね。体力不足だわ

とりあえず最近の風潮から脱却させる意味でもワハハを幸せにしたかった
お前らワハハいじめはほどほどにな!

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