奈緒「二周年だな」杏「二周年だね」 (31)

奈緒「おはよっす! 寒いなァ……お、やっぱり今年もあるのか」

杏「おー奈緒おっすおっす」ヌクヌク

奈緒「またきらりにやらせたのか? こたつのセッティング」モゾモゾ

杏「ううん、杏が来たらもう出来てたんだよ」

奈緒「マジか」

杏「事務所の倉庫に置きっぱだったし、誰か出したんじゃないかなー」

奈緒「いや持って帰れよ」

杏「それ私じゃなくても無茶じゃない?」

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杏「倉庫のだいぶ奥の方にあったから、出そうにも出せなかったんだよ」

奈緒「おっ、一応出そうとはしたのか?」

杏「してないけど」

奈緒「だよな」

杏「ちらっと見たら、こたつの周りが不良在庫の鍵付きクローゼットだらけでね」

奈緒「それ以上いけない」

杏「最近はあのちひろさんですら売るの諦めてる感じだもんね、鍵クロ」

奈緒「だからやめろ気付かれるだろ!(小声)」

ちひろ「聞こえてますよ♪」

奈緒杏「「ひっ」」

杏「いやぁ、PV撮影は強敵でしたね」

奈緒「お前微動だにしてなかったじゃねえか」

杏「失礼な! まばたきと口パクはしてたよ!」

奈緒「あれ口パクかよ! せめて声は出せよ!」

杏「どうせ音は後から乗っけるからいいかなーって」

奈緒「よくそれで監督に怒られなかったな……」

杏「……その代わり、きらりがしっかり気付いててね」

奈緒「そりゃあの距離じゃな……」

杏「それに、本気出して歌ってにょわにょわしてもまずいでしょ?」

奈緒「それはそれで見てみたい気もする」

杏「でもこれで奈緒もついにCMデビューだね」

奈緒「いやCMは前に一回出たし、実は今回あたし一回も映ってないぞ」

杏「えっ」

奈緒「あれ、うまいことあたしの場面は全カットされてるんだよ」

奈緒「まぁ桃華と加蓮もだけどな」

杏「あー……伏せておいて誘導的なアレかなぁ」

奈緒「誘導した結果があたしで大丈夫なのか……? 桃華と加蓮はいいとしてさ」

杏「大丈夫だ問題ない」

奈緒「可愛いアイドルだと思ったかーっ! とか言っとけばいいのかな」

杏「プレゼントだと思ったかーのノリで言われても」

奈緒「ああ、そういや聞いたよCute jewelries」

杏「そっかそっか、お買い上げありがとうございます。飴をやろう」コロン

奈緒「えっなにその購入特典」

杏「肩の力が抜けてリラックスした私の歌声を評価してもいいんだよ?」

奈緒「抜きすぎだろ……まずあれだ、杏がちゃん付けキャラだった事に衝撃を受けた」

杏「杏はちゃんと録音されてたことに気付いてたからね、どやっ☆」

奈緒「つまり録音されてるとわかってた上で掃除サボって寝たのか」

杏「……どやぁ」

奈緒「そういや安部さんとも絡んでなかったもんな」

杏「……うっかりしちゃうとちょっと洒落にならないからね」

奈緒「『ルル』はもう選曲がぴったりすぎて言葉も出なかったな」

杏「どやぁ」フンス

奈緒「郷土妖怪スマキンにはならないのか?」

杏「やったよー」

奈緒「やったのかよ。で、どうだった? 快適だったのか?」

杏「かわいくないにぃ……ってきらりが運搬してくれなくなったから封印した」

奈緒「さすがのきらりも妖怪はアウトか……」

杏「むしろ、あの簀巻き状態から自力で生還した私をほめてもいいと思うね」

奈緒「だいたい自業自得だからなぁ」

愛海「愛海の超個人的ドリームフェスティバル番外編!」ズバァーン

杏「おっすおっす師匠」

奈緒「おー愛海、SRおめでとうな」

愛海「ありがと奈緒さん、お祝い代わりに一揉みよろしいでしょうか?」ワキワキ

奈緒「しょうがなくないから当然ダメだ」

杏「奈緒は無理だよ、なにせ『恥じらい』に『乙女』だもんね」

奈緒「ツッコめばいいのか乗っかればいいのか」

愛海「ツッコむなんてハレンチな! あたしは揉むだけだよ!」

奈緒「お前はお前で何言ってんだバカァ!」

愛海「……あれ、今日は菜々さんいないの?」

杏「まだ来てないよ」

愛海「残念、またいただこうかと思ってたんだけど」

奈緒「またって」

杏「いくら安部さんが紙防御と言っても……」

愛海「菜々さん疲れてたから肩と腰をマッサージしてあげた隙に、てへぺろ☆」

奈緒「これは真奈美さんコースかな」

杏「阻止じゃないなら早苗さんじゃない?」

愛海「うぇいうぇーい! でも菜々さん本当にすごいんだよ!」

愛海「『張りがない』一歩手前のとろけるように絶妙なやわらかさ!」

愛海「そう、菜々さんのはまさに『至福』の一言だよ!」

杏「やめてあげて」

奈緒「誉めてはいるんだろうけどなぁ……」

愛海「若干17歳であのやわらかさって言うのは天性だよ? 普通もっと芯が残るし」

愛海「素晴らしさは菜帆さんのぷにょふわ、かな子さんのふわふわに匹敵するね!」

奈緒「マジでやめてさしあげろ」

杏「安部さん……」ホロリ

愛海「もちろんあたしは小さくたってウェルカム! 宇宙のお山はあたしのお山!」

杏「……これでちゃんとアイドルとして成立するのが実にマッポーめいてるよね、この世界」

奈緒「いや杏は人の事言えないからな」

愛海「ふれあいの為ならあたしは本気を惜しまないからね!」

奈緒「目的の為なら神がかった演技力発揮するあたり、本当に杏と近いかもなぁ」

杏「おぉぅ……ほめられてるのに全くうれしくないよ……」

奈緒「黙ってれば美少女と動かないアイドル、足して二で割るとちょうどいいか?」

愛海「つまりあたしはコアラのようにゆっくりな動きで獲物を捕まえに行けばいいと」

杏「杏はちちまくらで安らかに眠ればいいんだね」

奈緒「あぁうん、悪化したな」

愛海「ところでさっき何の話してたの?」

奈緒「ああ、jewelries!の話だよ」

愛海「あぁ~、いいよね色とりどりのきらびやかなお山たち」

杏「なんというブレなさ」

愛海「あつみは自分を曲げないよ! 食い込ませた指は小刻みに曲げるけど!」

奈緒「ダメだこいつ早くなんとかしないと」

杏「この子野生を縛る理性がいらない獣戦機隊かなんかなの?」

奈緒「アグレッシブ淫獣モードとか最優先撃墜目標だな」

愛海「まぁまじめな話すると、あたしは凛さんのカバー曲がよかったかな?」

杏「まじめな話出来たんだ……それにしても、なんか意外だね」

奈緒「まじめな話出来たのか……愛海もファフナー見たのか?」

愛海「双丘のファスナーだっけ? まるであたしのためみたいなタイトルだよね」

奈緒「よしちょっと黙れ」

愛海「うひひ、ファスナーを割ってこぼれ落ちるお山は素晴らしいよね!(力説)」

杏「アッハイ」

愛海「あたしは目指した! 桃源郷!」

奈緒「清良さんはどこだ」

愛海「お口チャックマンします」

愛海「でも今だからこそ、凛さんに言ってあげたいね」

愛海「そう、『あのね、大きさじゃないんだよ』って」

奈緒「冗談抜きで養豚場のブタを見る目で見られそうだ」

杏「実際、気にするほど小さいわけでもないんだけどねー」

奈緒「まぁ加蓮も未央も結構あるからなぁ」

杏「奈緒もね」

奈緒「あ、あたしの事はいいだろ!」

愛海「みんな違って、みんないいんだよ」

奈緒「名言をゲス発言に堕とすのはやめろ!」

愛海「じゃあ、あたしはそろそろパーティー会場で登山の方に」

奈緒「登山ときたか……」

杏「まぁまぁいちごパスタどうぞ」

愛海「いちごはパスタより生で摘んでいただくのがいいんじゃないかな、うひひ」

杏「これは容赦なく早苗さん事案」

愛海「いつか早苗さんも登頂してみせるよ!」

\ソコニ オヤマガアルカラ!/

奈緒「……そういや、杏は被害に遭ってないのか?」

杏「うっかり飴で買収されそうになったところにきらりが来てね」

奈緒「あ、うん、だいたいわかった」

奈緒「ところで杏はパーティー行かなくていいのか?」

杏「チャリオッツレクイエムが暴走してるらしいからね」

奈緒「……? 鈴帆あたりが黒全身タイツでコナンの犯人みたいにでもなってるのか?」

杏「即そんな発想が出るあたり奈緒もなかなか」

奈緒「喜んでいいのか……」

杏「そんなわけで杏はおとなしくしとくよー、たぶん寝てたら誰か運んでくれるし」

奈緒「ただの普段通りだろ……きらりに後頭部攻撃させればいいのか?」

杏「いやきらりは私のスタンドじゃないからね」

奈緒「むしろ杏がチープトリックだな」

杏「おんぶして、ねっ」

杏「奈緒の方は?」

奈緒「あたしはこれから京町の再放送があるから映れないんだよ」

杏「あー」

奈緒「智絵里と千枝は別件の仕事入ったから、暇なのはあたしときらりだな」

杏「まぁ、きらりも川島さんの方で出てるけどね」

奈緒「杏もだろ?」

杏「どうせ杏は動かないんだから、晶葉驚異のメカニズムで代役出来ないかな」

奈緒「動けよ」

奈緒「それにしても、二年か……早かったなぁ」

杏「あっという間だった気がするね」

奈緒「学校との両立だったし、まぁそれ以上に楽しかったとは言え大変だったな」

杏「そういや奈緒の制服も出たもんね」

奈緒「あー、突然だったからあたしも驚いたよ」

奈緒「17歳で事務所に入って、二周年で、誕生日も祝ってもらって……あれ?」

杏「それ以上いけない」

奈緒「……うん、気にしない方がよさそうだな色々と」

杏「お前も永遠の17歳にしてやろうか!」

奈緒「どうせこの後安部さん来るんだろうから、そのネタは取っとけよ」

奈緒「事務所が二周年って事は、あたし達がアイドルになって二年も経つんだな」

杏「不労所得で左うちわのはずなのに、この二年なんだか働いてばっかりな気がするよ」

奈緒「普通アイドルとしては喜ぶべきところなんだけどなぁ……」

杏「私がそれで喜んじゃったら、むしろ逆に仕事なくなりそうだよね」

奈緒「ハピハピキャンディオーバードーズとしか思われなさそうだな」

杏「う、ありそう……」

奈緒「まぁ、杏のファンはそんな事じゃ離れないんじゃないか?」

杏「それでも、杏は自分を曲げないよ!」

奈緒「この流れでみくネタ挟むのはやめろ!」

杏「じゃあ奈緒にゃんのファンになります」

奈緒「やめろあたし猫耳とか着けないからな! ぜ、絶対着けないぞ!」

杏「押すなよ。絶対押すなよ」

奈緒「振りじゃねえよ! だ、大体クール猫耳に今更あたしの居場所なんてないだろ?」

奈緒「雪美のあさんアーニャに凛まで参戦しちゃったし、まだ春菜と留美さんも控えてる」

杏「うーん、絶対似合うと思うんだけどなー」

奈緒「と、とにかくあたしはやらない! 絶対!」

杏「ちょうどしぶにゃんこがエントリーしたところだし、コンビでどうかな」

奈緒「聞けよ」

菜々「そうです! 奈緒ちゃんはウサミミ勢にいただきますよぉ!」ズバァーン

奈緒「乱入してそうそう何言ってんだ安部さん!」

杏「安部さんおっすおっす」

菜々「ウサミミ勢は深刻なツッコミ不足で晴ちゃんの負担がすごいんですよ」

奈緒杏「「あー……」」

菜々「のあさんヘレンさんを相手にツッコミ適性のないナナではとても……」

杏「思いのほかガチのスカウトだった」

奈緒「いや、あの二人はあたしもツッコミきれる気がしないんだけど」

杏「弱気だねー」

奈緒「あの二人に下手にツッコんだらこっちが大ヤケドだからな」

杏「あー……晴ちんも大変だね……」

奈緒「杏は誘わないのか? 結果はわかりきってるにしても」

菜々「え、杏ちゃんはとっくにウサミミ勢ですよ?」

杏「えっ」

奈緒「杏、いつの間に……」

杏「いや私が聞きたいんだけど……あっ」

菜々「『ぬいぐるみの方でもいいんじゃね?』とティンと来ちゃいまして、てへ♪」

杏「それでいいんだ……」

奈緒「いつになく適当だなぁ……」

菜々「いずれは、この三人でユニットなんかもやってみたいですね♪」

杏「えー杏はいいよ」

奈緒「仕事増やしたくないだけだろ?」

菜々「言わずもがなですねぇ」

杏「さすが二人ともわっかってるぅー」

奈緒「まぁ、三人ともオタクネタ対応ってくらいしか共通点もないしなぁ」

杏「あとはー……東日本出身?」

菜々「だ、大事なのを忘れてますよ? あとナナの出身地はウサミン星ですよ?」

奈緒杏「「……なんだっけ?」」

菜々「それはもう、三人とも17歳じゃないですか♪ どやぁ☆」ウッサミーン

杏「……三人とも背が低め、でどうだろう」

奈緒「あたし、売りになるほどちっちゃいわけでもないからなぁ」

菜々「もーっ、ユニット名は『ラブリー17歳☆』で行きますよぉ?」

杏「安部さん今日はめげないね」

菜々「ナナは17歳のリアルJKですからね♪」

奈緒「パーティー会場で明らかにアルコール配ってたのは問題ないのかな」

菜々「ナナなんのことだかわかりません」

杏「配るだけなら大丈夫なんじゃないかな、きっと……たぶん……」

菜々「もし仮に出れるとしたら、きっとドリフェスでしょうねぇ」

奈緒「実験的というか、カオスなユニットは大体ドリフェスだしな」

杏「あやめ忍法帖とかね」

菜々「今のCGって本当にすごいですよねぇ。初代鉄拳でも当時は十分驚いたんですけど」

杏「安部さん……」

奈緒「そうだな鉄拳のパラパラマンガはすごいよな(棒読み)」

菜々「はゎぁぁぁ! そうですおはスタの方ですナナは17歳ですから!」

杏「審議かな?」

奈緒「辛うじてセーフじゃないか?」

杏「そういや、奈緒の曲はどんな感じになるんだろうね」

奈緒「前にもしたな、この話……それに別に本決まりってわけじゃないぞ?」

菜々「そうなんですか?」

杏「うん。私は変わらず羞恥プレイ路線で行って欲しいね」

奈緒「やだよ! クールなかっこいい系でって要望出し続けてるんだぞあたし!」

菜々「えー、ナナも奈緒ちゃんは思いっきりかわいい系の方がいいかなぁと」

杏「だよね」

奈緒「安部さんまで!」

菜々「奈緒ちゃんはNation Blueよりアタシポンコツアンドロイド寄りですよ」

杏「はっだっかーになっちゃおっかっなー」

奈緒「なるか!」

奈緒「よっし、それじゃそろそろ準備するかな!」

菜々「奈緒ちゃんなんか用事なんです?」

奈緒「メモリアルだよ、安部さんも明後日出番でしょうが」

菜々「あっ」

杏「安部さんそろそろ物忘れが……」

菜々「う、うっかりですようっかり!」


おわり
ヒャッハー京町だァ!!

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