女勇者「ここが魔王のお城ね」
戦士「これで最後だな」
僧侶「皆さん、気を引き締めて向かいましょう」
盗賊「魔王城だからお宝とかがっぽがっぽだろうなー」
戦士「おい、盗賊、今さっき気を引き締めろって言ったばかりだろ」
女勇者「いつも通りにやれば良いさ。ただ全力で魔王を倒すのよ。人類の平和のために」
戦士「ああ」
城内
??「良くぞここまで来た勇者よ」
僧侶「この声は…」
戦士「魔王か!」
魔王「貴様ら、良くも今まで我が下僕たちを倒してきたな」
女勇者「あなただって今まで沢山殺してきたはずよ。罪もない人々を…彼らはあなたたちより弱いという理由だけで殺されていった」
魔王「当然のことだ。この世強くなければ生き残れない」
魔王「弱い奴に自分の意志を貫く力もないのだ」
戦士「貴様!」
魔王「だが、お前が違うようだな、勇者」
魔王「俺のものになれ、さすれば人間どもは助けてやる」
女勇者「…!」
戦士「馬鹿なこと言ってんじゃねー!」
僧侶「そうです。魔王の話聞くまでもありません。勇者さま」
女勇者「……」
戦士「…勇者?」
女勇者「私にお前の奴隷になれというのか?」
魔王「否、言葉通りだ。俺のものになれ」
魔王「俺はお前がここまで来る姿を見てきた」
魔王「お前は強い。お前の仲間たちもな。だがお前は格別だ」
魔王「俺はお前みたいな強い女が欲しかったのだ」
魔王「俺の嫁になれ」
戦士「なっ!」
女勇者「…そうすれば人間と和平するのか」
僧侶「勇者さま!」
魔王「約束しよう」
女勇者「…少し時間をくれるかい」
戦士「おい、勇者、どういうつもりだ」
盗賊「勇者、俺が言うのもアレだが、魔王なんて信用できたもんじゃなくね?」
僧侶「そうです。私たちが力を合わせて戦えば魔王に勝てます。あんな言葉に惑わされては……」
女勇者「私は彼の言葉が嘘には聞こえない」
戦士「勇者!」
僧侶「仮に本当のことだとしてもです。魔王の妻になるのですよ?そんなこと出来るはず…」
女勇者「ここで私たちが命を賭けて魔王に戦っても、勝てる確率は五分五分」
女勇者「だけど魔王に手にのったら、私一人犠牲するだけで人類は助かる」
戦士「勇者!」
盗賊「俺たちのこと、信用できないのか?
女勇者「私が魔王の手に乗ろうとするのはそれだけじゃない」
女勇者「今まで私が殺してきた魔族の数々」
女勇者「あなたたちは彼らの目を見たことがある?」
僧侶「……」
女勇者「たとえ魔族でも、死ぬ時は同じだったよ。生きたいという気持ちでいっぱいなその目を…私は見て見ぬふりしてここまで来た」
女勇者「すべては、私の身が犠牲になるとしても人々を助けたいと思ったから…」
女勇者「魔王が倒されるとしても、これから戦争が終わるという確証はないわ」
女勇者「だから、今魔王の手にのって人間と魔族との和平を目論んだ方が…」
戦士「ふざけんなー!」
女勇者「っ」ガシッ
戦士「お前…ここまで一緒にやってきてそんなこと言って良いと思ってんのかよ!」
女勇者「戦士……ごめん」
戦士「謝るんじゃねー!」
戦士「俺は…俺は……」
女勇者「……」
僧侶「勇者さま…本当にそれで宜しいので?」
女勇者「私は構わないさ。旅を始めた時から捨てた命だ。どの形であっても、皆を助けられれば良い」
女勇者「ごめんね、こんな勇者で…」
僧侶「……もう決められてるのですね」
僧侶「しかたがありません…」
盗賊「あーあ、欲しかったな、魔王城の財宝」
戦士「盗賊!」
女勇者「ふふっ、ありがとう、盗賊」
魔王「……」
女勇者「話は決まったよ、魔王」
魔王「俺のものになるのか?」
女勇者「条件がある」
魔王「言ってみろ」
女勇者「先ず、私の仲間たちを無事に帰らせること」
女勇者「後、以後魔族が人間を殺すことはないようにしてくれ。もちろんその逆もないようにすべきだろう」
女勇者「そのために3つ目、人間の国の王と和平を結んでもらう」
魔王「……その程度、容易いものだ。約束しよう」
女勇者「なら、良い。喜んであなたのものとなろう」
メイド長「ここが、勇者さまのお部屋になります」
女勇者「随分と良い部屋だね。古くて狭い宿屋で旅費の節約のために四人集まって寝る日々だったのに」
メイド長「勇者さまは、魔王さまの妻になるのですから。ここもご自分の部屋が準備できるまでの臨時居所です」
女勇者「贅沢な魔王だね」
メイド長「…それでは、私はこれで」
女勇者「……」
女勇者「これで、良かったのだろうか」
女勇者「あのまま戦って勝っていれば…それがもっと良かっただろうか」
コンコン
魔王「むっ、随分とボロい部屋だな」
女勇者「満足しているよ。こんな部屋でボロいなんてとんでもない」
魔王「一番良い部屋に案内せよと命じておいたはずだぞ。案内した者は誰だ」
女勇者「私はこの部屋でも構わない」
女勇者「それより、私の仲間たちはどうしたんだ?」
魔王「帰らせた。こちらからの友好を求む手紙と財宝を持たせてな」
魔王「約一名、怒鳴りつけながら帰らぬといった奴が居たが…」
女勇者「……」
魔王「帰ったら結婚しようという約束でもあったのか」
女勇者「彼はその類のこと一言も口に出していないさ。知らなかったと言ったら嘘だけどね」
女勇者「に比べて、自分が殺すべき相手だと思っていた奴から、見て数分立たずで告白されるとは思わなかったよ」
魔王「戦線にいた魔族の軍隊をすべて後退させた。向こうで少し追ってきて被害はあったが、今は静まっている」
女勇者「被害が出ることを知っていてそんなことをしたのかい」
魔王「お前と約束したからな」
女勇者「魔王という割には義理深いね」
魔王「魔王だからこそだ。お前が言っているのは、ただ人間から見ての偏見だ」
女勇者「そうか…そうかもな。直して行かないとな」
女勇者「以後、お前の嫁にならなければならない身だからな」
魔王「……」
女勇者「話はそれだけかい?」
魔王「む?ああ……」
女勇者「なら悪いが出ていってくれるか。少し疲れているんだ」
魔王「…分かった、何かあったら、外の誰にでも頼めば良い」
女勇者「そうさせてもらうよ」
魔王「……」ガチャ
魔王「……」
魔王「なんとも不思議な生き物だ。人間…それに女というのは……」
魔王「同じ魔族の中でも、初めて俺の前に立って震えない奴は見たことがない。
側近「女、人間云々以前に相手は勇者ですからね。魔王さまを殺すために生きてきたようなものです」
魔王「だからこそ尚おかしいというのだ」
側近「恐れながら、私の目からすると、自分を殺そうとしていた相手を娶ろうとする魔王さまこそおかしいかと…」
魔王「…ふっ、違いないな」
魔王「だが仕方のないことだ」
魔王「俺は強い女が良いのだ。結婚するのならそんな女にすると決めていた」
側近「魔王さまが強いと認める程のもの。そうは居ないものですが…」
魔王「だが、見つけた。しかも今まで弱い生き物と魔族の誰もが貶していた人間だ」
側近「他の魔族たちがタダでは見ていないかと」
魔王「納得させれば良い」
魔王「誰でも異議があるやつは来いと伝えろ」
魔王「それで勇者が負ければそれでお終い。だが勇者が勝てば、頸を差し出すことになるだろう」
側近「では、そのように手配させておきます」
魔王「あ、それと、勇者をあそこに案内したのは誰だ」
側近「メイド長でございますが…何か?」
魔王「……いや、分かった。行って良い」
側近「はい」
女勇者「……」
コンコン
メイドA「食事をお持ちしました」
女勇者「頼んでいないのだけどね…まあ、いいさ。丁度お腹が空いていたからね」
メイドA「……」
女勇者「料理もすごく豪華そうなものを食べるね。本当に、これで良かったのかと思えてくるよ」
メイドA(せいぜい楽しみなさい。それが最後の晩餐になるから)
女勇者「ん?どうしたの?」
メイドA「い、いえ、それでは、これで……」
女勇者「ああ、ちょっと待ってくれるかい?」
メイドA「え?」
メイド長「魔王さま、お呼びでしたか」
魔王「ああ、そこに座れ」
メイド長「恐れながら、今は忙しい時間ですので、早くお話頂ければ…」
魔王「なら言うが、何故勇者をそんな部屋に送った」
メイド長「……」
魔王「俺は一番良い部屋にしろと言ったはずだ。あんな部屋、下級魔族の使者が来た時に案内するような部屋だ」
メイド長「…あの人間に、そのようないい部屋に置く必要はないかと思いました」
メイド長「むしろ、血で汚れた時お掃除が大変ですので…」
魔王「……貴様」
メイド長「今頃、勇者はスープに入った毒のせいで血を吐いて床を転がってるはずです」
魔王「…………本当にそうだろうか」
メイド長「はい?」
バタン!
女勇者「……」
メイド長「勇者…!何故生きているんです」
メイドA「メイド長…申し訳ありません…」
女勇者「悪いけど、あんな毒の匂いがむんむんするスープなんて口にする気にならなくてね」
女勇者「大体、私にそんな贅沢な料理は合わない。もう少し素朴なものに変えて欲しくてね。文句をいいに来たよ」
魔王「くくっ、さすが、俺が認めた女だな。
メイド長「まさか…彼女が死なないだろうと信じて…」
魔王「人間を嫁にすると言ったのだ。良しとしない連中が居るのは当たり前だ」
魔王「お前がどいつの指示でこんなことをしたかは知らないが、俺の目を節穴と思った時がお前の運の尽きだな」
メイド長「……誰かの指示受けたわけではありません。私の意志です」
魔王「ほう…」
女勇者「私が魔王の妻になるのが不満ってかい」
メイド長「…私のご両親は人間によって殺された」
メイド長「魔王さまが幼い私にお情けをかけてくださってここまで生きてこれた」
メイド長「なのに、そんな魔王さまが人間を嫁ぐという。そんなことになっては、私のご両親の仇をとることが出来ないのです」
メイド長「人間がこの世から消え去るまで…私はあなたたちを許しません、人間」
女勇者「………」
魔王「そんなにお前の恨みが強いものならメイド長。お前に機会をやろう」
メイド長「!」
魔王「お前を拾った時以来、もう一回だけの情けだ」
魔王「この場で勇者を殺すことができたら、許してやる」
魔王「もちろん、今回は勇者がただでやられてはくれぬだろうがな」ククク
メイド長「……」
魔王「さて、どうする、勇者、お前を殺そうとした奴だ。お前の好きにすれば良い」
女勇者「……」
メイド長「…人間……」
女勇者「名前はあるかい?」
メイド長「名前なんてない。メイド長…ただそれだけよ」
女勇者「そう……ごめんね、メイド長」
メイド長「ふっ…もう良いわ」
メイド長「どうせ死ぬというのなら…結婚する前にあなたの顔に傷一つでも残してあげましょう。憎らしい人間の女!!」Eナイフ
メイド長「やああああ!!」
女勇者「ごめん…っ!」
メイド長「っ!」ガクシ
>>31
前作あるなら知りたいんだが
女勇者「…彼女を自分の部屋に連れて行ってもらえる?」
メイドA「は、はい」
魔王「ほう?殺さないのか?」
女勇者「……」
バシーン
魔王「!!」
女勇者「楽しいかい?人の気持ちで遊んだら…」
魔王「な……」
女勇者「人間の平和など関係ないとしたらね、あなたみたいな最低な男と結婚するのは御免さ」クルッ ガチャ
魔王「……なんだってんだ…」
メイド長「……ぅぅ」
メイドA「メイド長」
メイド長「……はっ!」
メイド長「何故…生きて…勇者はどうなったの」
メイドA「勇者が…いえ、勇者さまがメイド長を気絶だけさせてここに運ぶように命じました」
メイド長「…情けをかけるつもり?」
女勇者「そんなつもりはないさ」
メイド長「!!」
女勇者「そう気を立てないでほしいね。話をしに来たのだからさ」
>>34 あまり自信持って読んでみてと言えるものはないけど、
こんなのあったね。
魔王「夢と現実、お前の選択はどっちだ」
メイド長「…人間と話す言葉なんてない」
女勇者「…君みたいな娘を見たことがあるんだ。人間の方だけどね」
女勇者「あの娘は私を見て、自分も大きくなったら魔族たちを殺す勇者になると言ったんだ」
女勇者「私は絶対にそんなことしたら駄目と返した」
女勇者「そんな荒い事、女の子が言ってもやってもいけないことさ」
女勇者「そんな人間は、私一人で十分さ」
メイド長「……」
女勇者「君の人間への恨みほ深さは十分に分かったよ」
女勇者「でも、何も人間が悪いとか、魔族が悪いとかそういう話じゃないんだ」
女勇者「どうか、許してはもらえないかい?」
メイド長「貴様みたいな強い人間はわからないだろう」
メイド長「力がないってだけで殺されなければならなかった私の親たち。そして一人で残された私の悲しみ」
女勇者「だからって、人間すべてを恨むというのは、ただの八つ当たりじゃないのかい?」
メイド長「黙れ!貴様に何が分かるんだ」
女勇者「……そんなに人間が憎いなら仕方ないさ」
女勇者「だが、だからと言って全部は駄目だ。私一人で済ませてくれないかい?」
メイド長「…なんですって?」
女勇者「……」両手を開いて無防備状態になる
メイド長「……何の真似?」
女勇者「さっき言った通りだよ。殺したいなら私だけにしてくれ。そして、これ以上他の人間は恨まないでほしいね」
メイド長「……」
メイド長「…」ナイフ
女勇者「……」
メイド長「こんなことをしていい子ぶりたいの?」
メイド長「人間はお前たちと違って善人だって?」
女勇者「人間にも良き人も悪い人もいるさ」
女勇者「私が見るに、君は決して悪い方ではないね」
メイド長「減らず口を…!」グサッ
女勇者「……っ!」
メイド長「スープに入れたのと同じ毒が塗ってあるわ。せいぜい苦しみながら死んでいくと良いわ」
女勇者「………」
メイドA「あの…メイド長」
メイド長「何だ」
メイドA「この方は……メイド長が用意したスープを全部飲んでいました」
メイド長「」
女勇者「旅が長く続いたら、いろんなことに出会ってしまってね…」
女勇者「悪いけど、そこら辺の毒にが耐性がある体になってしまったんだ」
メイド長「そんな……馬鹿な…」
女勇者「…一回だけかい?」
メイド長「え…?」
女勇者「君の恨みは…私に一回ナイフで刺しただけで済むものなのかい?」
メイド長「……っ!」グサッ
女勇者「…っ!」
メイド長「うわあああっ!!」グサッグサッ
女勇者「……っっっ!!」
メイド長「はぁ……はぁ……」
女勇者「……」ブルブル
メイド長「そんな…貴様は…本当に人間?」
メイドA(あんなに血を流してるのに死ぬどころか倒れることもなく…)
女勇者「…残念ながらね…魔王を倒すと決めた時に、女も人間も捨てたのさ」
メイド長「……もう良い」ガラン<<ナイフを落す音
メイド長「何をしているの!早く治療魔法を使える者を連れてきなさい!。あと床も汚れてるから掃除するものも!」
メイドA「は、はい!」ダダッ
女勇者「……」
メイド長「…人間に貴女みたいのばかりだったら戦争も起きなかったでしょうね」
女勇者「どう転んでも戦争は起きるさ。問題はどうやってそれを終わらせるかで…」クラッ
メイド長「はっ!」ガシッ
女勇者「……」
メイド長「…まだ生きてる…っ」
メイド長「まったく、私の服まで汚して……」
女勇者「……っ……」
女勇者「…最初の部屋か……」
女勇者「……魔王城の者はさすがね。治療魔法の手際が良い」
ガチャ
メイド長「ご気分は如何ですか」
女勇者「…最高だとは言えないわね」
メイド長「血を沢山流してますので、掃除が大変でした」
メイド長「無くした文を補充するにはしっかり食べた方が良いでしょう」
女勇者「…ありがとう」
メイド長「……」
近「ビンタ?」
魔王「訳が分からん……」
側近「随分と気の強い相手に目を付けたものですね」
魔王「自分を殺した相手に何故あのような情けをかける」
側近「さあ、それは私が人間でも、女でもないのでどうとも言えません」
側近「疑問であるなら、ご自分で聞きに行けば如何ですが?」
側近「ご結婚なさるのなら、相手の気持ちも分からないと困りますからね」
魔王「む……思ったよりも難しいな」
側近「そこら辺の綺麗なだけ魔族を娶ったわけではありませんからね」
側近「魔王さまはこの世で唯一、自分と同等な位置で話せる相手を娶ろうとしているのですよ?」
魔王「同等な位置……か」
ガチャ
魔王「むっ…?」
女勇者「…!」
メイド長「…」ペコリ
魔王「…まだ生きていたか」
女勇者「彼女にそんな風に言わないで欲しいね」
魔王「……」
女勇者「彼女は良い魔族だよ。あなたとは違ってね」
女勇者「いや、正確には人間と魔族のハーフか」
メイド長「……」
女勇者「インキュバスだった彼の父が人間の母に惚れて結婚したそうね」
女勇者「その後戦争のうち魔族と結婚した裏切り者だと母も父も人間に殺されたそうよ」
女勇者「あなたはそんなことを知って彼女を拾ったのかい?」
魔王「……俺はそんなことには興味ない。憐れなどとは思わなかった。ただそこに居たから拾ってきただけだ」
女勇者「…本当にあなたは最低ね」
魔王「……」
メイド長「勇者さま、私の命を救ってくれた方です。あまり酷な言葉は私が…」
女勇者「おっと、そうだったね。失礼したよ。私も『仮にも』夫になる人だからね。もう少し立ててやらないとね」
女勇者「でも、今はあまりそんな気分じゃないんだ」
魔王「……お前と結婚すると魔界全体に告げた」
魔王「反対する者も出てくるだろう」
女勇者「それを私が黙らせればいいのかい?」
魔王「そうだ」
女勇者「忙しくなるね。私が結婚する前に死なないことを祈ってくれよ」
魔王「……」ガチャ
メイド長「……」
女勇者「魔王だね……骨の底まで…」
メイド長「……」
女勇者「ああ、ごめん」
メイド長「いえ…確かに勇者さまの言う通りかもしれません」
女勇者「主人を悪くいうのは嫌だったんじゃなかったかい?」
メイド長「女としては…今の魔王さまみたいな人とは結婚したくありません」
女勇者「…ふふっ」
メイド長「どうして魔王さまと結婚なさる気になったのですか?」
女勇者「なんでだろうね……私にも良くわからないんだ」
女勇者「ただ…そうした方が良い気がした」
女勇者「今はちょっと自信がなくなってきたけどね」
メイド長「……」
別日
??「火龍族の代表として、魔王さまを拝見します。」
魔王「ご苦労だった。して、火龍たちは俺が人間を娶ることに不満があるようだが…」
火竜「魔王さまが長らく自分の力にふさわしい強い女を探していたことは魔族の誰もが分かっていることです…が」
火竜「幾ら勇者と言えど、人間をソレだと認めることは、魔族の恥でございます」
魔王「なら、火竜族で勇者に勝つ程の雌が居るというのか」
火竜「はい」
魔王「ほう…連れてきたそいつがそうだというのか?」
??「……」
火竜「火竜王の姫さまでございます」
魔王「ふむ…聞いたことはあるな。幼い身で力では大人の竜にも勝てるものがないと……単なる子供を立てるための噂だと思っていたのだが」
火竜「事実でございます。姫さまこそ、魔王さまの力にふさわしい相手です」
竜姫「……」
魔王「そこまで言うのなら…良いだろう」
魔王「側近、勇者を連れて来い」
側近「はっ」
女勇者「呼んだようだね」
メイド長「……」
魔王「うむ、勇者。ここに居る火竜族の姫と戦ってもらう」
龍姫「……」
女勇者「……あなたも好きね。あんな子供でも構わないってかい?」
魔王「あれでも既に100才を越えている」
女勇者「そういえばそうだったな。魔族は人間より遙かに長い生を生きるのだったね」
魔王「俺は強い奴が好きなんでな。もしもお前が負けるのなら…」
女勇者「…なるほどね。話は分かったよ」
火竜(…ふん、余裕ぶっこいて居られるのも今のうちだ)
火竜「姫さま、思いっきりやっちゃってください」
女勇者「…仕方ないね」
龍姫「……」メラゾーマ
女勇者「うぉっと…」
龍姫「っん!」E斧
ガチン
女勇者「見た目は子供なのに持ってる斧は物騒だね」
龍姫「…!!」
火竜「馬鹿な…姫さまの斧を正面から受け止めただと?」
魔王「くくく…見たか。これがお前たちが貶した人間の力だ」
火竜「……」
女勇者「…可哀想な娘だね。あなたも」
龍姫「…」
女勇者「私に勝つと、アレの嫁になるんだよ。それでいいのかい?」
龍姫「…………っ」
女勇者「そうか…じゃあもう終わりにしようか」
女勇者「ふん!」
龍姫「きゃっ!!」バタン
火竜「姫さま!」
女勇者「これで私の勝ちだね」
火竜「ぐぬぬ…」
女勇者「帰ったら親にその娘の話も聞いてくれるように言ってくれな」
女勇者「彼女は魔王なんかと結婚するなんて嫌だそうよ」
火竜「…!」
龍姫「……」
火竜「姫さま…まさか態と負けてやったわけでは…」
龍姫「…全力でやっても負けた」
火竜「姫さま!これはとても大事な…!」
龍姫「…帰る」
火竜「姫さま!お待ちを……」
女勇者「……」
魔王「ふん、まだまだ子供か」
女勇者「魔王」
魔王「おお、さすがだな。見てなかなか楽しかっ…」
バシーン!
魔王「っ!」
女勇者「…あまり私を怒らせないで欲しいね」
魔王「何?」
女勇者「ふん…」
メイド長「……」
魔王「…二度もピンタされた」
魔王「さすがに怒るべきなのか」
魔王「そもそも何故叩かれたのか分からなくて訳がわからん」
メイド長「怒って追い出せば良いのではありませんか?」
魔王「そうはやらん。勇者の強さは見ての通りだからな。俺の嫁にするという計画は変わらん」
メイド長「……」
メイド長「…魔王さま」
魔王「む…何だ」
メイド長「命を賭けて申し上げる言葉ですが……最低です」
魔王「なんだと!」
メイド長「魔王さまは勇者さまを何のために側に置こうとしているのですか」
魔王「言ったはずだ。奴と結婚するのだ」
メイド長「ならば結婚するという相手に対してまるで剣闘士のように戦わせて、それを楽しんでいるのは何ですか」
魔王「何?」
メイド長「今魔王さまが勇者さまを扱っている様子は、未来の妻ではなく、闘技場の剣闘士に対してのそれです」
魔王「………」
きっと疲れてるんだよ。
私が
魔王「勇者、いるか」ガチャ
女勇者「………」
魔王「もう返事もしないのか?」
女勇者「…なんだい、魔王。私は今ちょっとイライラしているんだ」
魔王「俺に怒っているのか」
女勇者「…それを分からなくて私に聞いてくるのかい」
魔王「分からないから言っているだろ」
女勇者「……もう良い」
女勇者「どうせ私は人たちと魔族が平和に暮らせればそれで構わないんだ。魔王が個人的にどんな人間であろうが私に選択権はないさ」
女勇者「これからまた今回のようなことをしてもしなくても私は構わないよ。魔王に手を出したことは謝ろう」
女勇者「どうせ魔王が私に命じれば、私は従わないわけにはいかないからね
魔王「」
女勇者「用はそれだけかい?」
魔王「…」
女勇者「なんだい?」
魔王「…いや、なんでもない」ガチャ
魔王「………」
別日
サキュバス「魔王さま、人間の女を娶るという噂が耳にしました」
魔王「事実だ」
サキュ「ありえません。魔王さまが強い女を探すという噂は聞いていましたが、だからと言って人間の女だなんて」
サキュ「サキュバスの中でも勇者一人ごとき勝てる者は山ほど居ます」
魔王「例えばお前がか?」
サキュ「もちろんです。今直ぐにでもあんな人間ごとき、殺して差し上げましょう」
サキュ「そしたら、私が魔王さまの妻に…♡」
魔王「お前、勇者に勝てるか?」
サキュ「もちろんです。自信あります」
魔王「なら、俺と戦えるか」
サキュ「もち……え?」
魔王「俺と戦って生き残る自信はあるか」
サキュ「そ、そんなこと出来るはずが……」
魔王「人間は弱い生き物かもしれない。だが、その中でも勇者というものは、俺を殺すために力を磨いた存在だ」
魔王「俺の命を誰よりも危うくする存在に勝てると自慢げに言うのなら、もちろん俺にも勝てる程の力があるのだろ」
サキュ「そ、それは…」
魔王「ああ?」ゴゴゴ
サキュ「ひっ!む、無理です!」
魔王「そうか、出来ないとな」
サキュ「そ、それでは私はこれで失礼…」
魔王「待て」
サキュ「ひっ」
魔王「俺が選んだ女に文句いいつけて、そのまま帰れると思ったか」
サキュ「そ、それは…お、お許してくだ…」
魔王「失せろ!そして他の連中にも伝えろ。俺の嫁に文句つけるつもりなら、先ず俺を魔王から下ろす覚悟をしてからにしろってな!」
サキュ「は、はい!」
魔王「……はぁ」
側近「サキュバスが逃げるように出て行きましたが、どうなさいました?」
魔王「…側近、勇者が不機嫌なんだが、どうすれば良いと思う」
側近「そうですね……何か贈物でも贈れば宜しいかと」
魔王「何が良いんだ?」
側近「そこまでは…」
魔王「なんだ、使えんな……」
側近「申し訳ありません」
魔王「……メイド長を連れてこい」
メイド長「魔王さまが勇者さまに勝負を挑んできたサキュバスを怒鳴りつけて追い出したそうです」
女勇者「…へー…」
メイド長「ご満足ですか?」
女勇者「まぁ…少しは反省してるみたいだね」
メイド長「ですね」
コンコン
メイド長「…少々お待ちを」ガチャ
側近「メイド長、少し宜しいか」
メイド長「はい?」
メイド長「勇者さまが喜びそうなもの…ですか?」
魔王「そうだ。何かないか」
メイド長「そうですね…サキュバスの件については喜んでらっしゃいましたよ」
魔王「本当か?」
メイド長「でも、それぐらいで勇者さま機嫌をとるには今まで減点された部分が多すぎるかと」
魔王「だからお前の意見を聞いているんだ。お前は勇者の一番近くに居るじゃないか。何かないのか?」
メイド長「そうですね……」
メイド長「なら一緒にデートなど如何でしょうか」
魔王「デート?」
メイド長「はい、昔父上が……人間の母をそうやって口説いたそうです」
魔王「して、それはどうすれば良いのだ」
メイド長「男の方がリードして、女の人とどこかに行って遊んだりして」
メイド長「そして日が暮れる頃に、何か女の人の方が感動するようなイベントを用意するのです」
メイド長「魔王さまは勇者さまと結婚なさるおつもりなら、指輪などを用意して自分の手で贈るというのも良いでしょう」
魔王「ふむふむ……」
側近(戦うこと以外にあんなに人の話を真面目に聞く魔王さまってなんだか新鮮だな)
魔王「というわけで、明日は俺と一緒に城の外に出かけようじゃないか」
女勇者「何がどういうわけなのか私にはさっぱりだね」
女勇者「だけど、あなたがそうしたいならそうすれば良いさ」
魔王「あまり乗る気ではないようだな」
女勇者「そんなことはないさ。嬉しいよ。私もここ数日城の外に出かけたことがないからね」
女勇者「ずっと旅ばかりしていた身だから、最近ここで楽に過ごしていて体がうずうずしていたんだ」
魔王「なら丁度良いな。明日行こうとするところは丁度息抜き出来そうなところなのだ」
女勇者「へー、それは期待できそうだね」
翌朝
メイド長「それでは勇者さま、いってらっしゃいませ」
女勇者「ああ」
ガチャ
魔王「勇者、遅かったな」
女勇者「色々支度していたのさ。なにせ未来の旦那になる人との初めてのデートだからな」
魔王「むっ…そうか」
女勇者「で、どうだい?この服は。メイド長が選んだのだが、私に似合うかい?」
魔王「服なんて身にまとっていればなんでも良いだろ」
女勇者「………」
魔王「……い、いや、俺が言おうとしたのはつまり…勇者は元が良いからどんな服を着ても似合うって意味だ」
女勇者「…ふむ、そうか……」
魔王(なんとか誤魔化せたな。メイド長の話を聞いておいてよかった)
女勇者「して、どこに行くんだい?」
魔王「今日はお前に魔界の街を紹介してやろうと思ってな」
女勇者「へー、それは楽しみだね」
魔王「では行くぞ」スッ
女勇者「待って。まさかテレポートして行く気かい?」
魔王「その方が早いからな」
女勇者「私は歩いて行った方が好きなんだがね」
魔王「歩いて…?まあ、お前がそれがいいというのならそうしよう」
女勇者「そうか…ありがとう」ニコッ
魔王「……」
女勇者「……」
魔王「……」
女勇者「……」
魔王「……」
女勇者「なんか、会話がないね」
魔王「そうだな。ただ歩いてるだけだからな」
女勇者「旅してる時は、こんな時も何かお喋りしながら行ってたんだけどな」
魔王「何についてだ?」
女勇者「そうだな…例えば……どうやって魔王を倒すかに付いてだったな」
魔王「…俺にその会話に乗れというのか」
女勇者「冗談さ。そうだね。あなたは本当に私が強いということだけで私を娶ろうとしたのかい?」
魔王「そうだ」
女勇者「他に見所は?」
魔王「なかった」
女勇者「…ふむ……そうか」
魔王「……嫌だったか」
女勇者「嫌ってわけじゃないさ」
女勇者「ただ、そうだね…普通人間の中なら、私みたいに異様に力を持ったものは嫌われるからね。少し不思議ではあるね」
魔王「俺は強い女を求めていた」
魔王「他の連中はうるさいが、俺はお前が良い」
女勇者「もし、以後私より強い女を見つけたらどうするんだい?」
魔王「…俺は長い間探していたからな。そんな女もう見つからないと思うがな」
女勇者「分からないことさ。いつか魔族の中で私より強いと言って出てくる奴がいたら……」
魔王「……」
魔族の街
女勇者「随分と賑やかなところだね。人間の首都にも劣らない程の活気だ」
魔王「戦争が終わって軍も解体したからな。若い連中が戻ってきてどの街もお祝い雰囲気さ」
女勇者「へー…それは良いね」
女勇者「……ところで、私はここに居て大丈夫なのかい?」
魔王「む?どういう意味だ?」
女勇者「見ての通り私は人間だからね。しかも勇者。ここの魔族たちに群れで襲われたりしたら…」
魔王「俺が側にいる。そんなことはない」
女勇者「…そうか、それなら心配ないね」
魔王「…歩いてきて疲れてるだろ。ちょっとどこかに寄っていくか」
女勇者「いいね、私は分からないから、行き先はあなたが決めてもらえるかい?」
書いてる人の脳みそが半分寝始めてるからかもしれない・・・
酒店
魔物A「おーい、ここにもう酒ねーぞ!酒持って来い!」
魔物B「いつぶりに呑む酒だよ、畜生。あのまま戦って死ぬと思ってたのによ!魔王さま万歳だぜ」
魔物C「終戦を祝ってかんぱーい!」
魔物A,B「がんぱーい!!」
女勇者「魔族の酒店も人間の酒店と同じで賑やかだね」
魔王「うるさい連中が多いな」
女勇者「あれがいいのさ。生きてるって感じがするじゃないか」
魔王「おい、店主!こっちにも酒を持って来い!」
女勇者「昼間から呑む気かい?」
魔王「ちょっと呑んだぐらいで酔ったりはしねえ」
店員「注文したもの来ましたぜー」
女勇者「美味しそうだな」
魔王「見て感嘆してないでさっさと食え」
女勇者「食べたらまた見物かい?」
魔王「そうなるな…街で面白いものをやってるそうだ」
女勇者「へー、どんなのだい?」
魔王「見てからのお楽しみだ」
女勇者「ふーん」
『(街名)村長杯格闘大会』
魔王「な?」
女勇者「…な?じゃないよ……」
女勇者「よもや私に参加しろというつもりかい」
魔王「前の件で学んだからな、そんなことはやらん」
女勇者「そうか、ならよか「俺が出る」あなたは何一つわかってないね」
魔王「何だ、何が不満なんだ」
女勇者「何せっかくの街並での行事に魔王が入って全部台無しにしようとしてるんだい?」
魔王「強い奴がここに居るのなら、強い奴が優勝すればいい話だ」
女勇者「少しは戦争で疲れた他の魔物たちにも夢見させてやってくれ」
女勇者「魔王だからといって同族の夢もぶち潰すのかい」
魔王「何故そうなる。俺に勝てば済む話だろ」
女勇者「あなたは自分が何を言っているのか解ってるのかい」
え、どゆこと
>>135 え?何が
女勇者「良いから参加するのは駄目だ」
魔王「ならお前が出るのか?」
女勇者「どっちも出場しない。楽しみたいなら観戦だけにしてくれ」
魔王「むむむ…仕方ない」
>>ええ、ではこれから予選を始めます
>>予選はサバイバルになりますので参加する方は今からでもリングの中に入ってください」
魔王「と見せかけて」ダッシュ
女勇者「っておい」
>>おお、突然観衆席から乱入した男!参加した他の魔物たちを蹴散らしていく」
女勇者「」
予選終了後
魔王「な?」
女勇者「何を誇らしげに言っているのかね」
魔王「俺が戦ってるのみたか」
女勇者「うん、周りの魔物たちが拳で押しただけでリングから飛ばされる姿はなかなか凄かったね」
魔王「まったく、歯応えのない連中だった」
女勇者「良いから次の本戦で適当に負けて来てくれ」
魔王「いや、せっかく参加してそれはないだろ」
女勇者「あなたは本当に人の幸せを壊すのが好きだね。魔王の鏡だよ」
>>予選第二組始まります
女勇者「君がそう出るのなら仕方ないね」
魔王「む?」
>>おお、これまた突然乱入した者が参加者たちを次々と倒していく!今度は女だー!」
魔王「おお、さすがだな。俺が認めただけはある」
女勇者(魔王を早い段階で負けさせて残った試合でもまともに進行させた方がよさそうだね)
魔物「くっ、女のくせに…!」
女勇者「にしてもメイド長が選んでくれたこの服。見た目はともかく格闘には似合わないね」キック
魔物「うわぁああああ」
うそ……
なんでまだ残ってるの……
女勇者「ふぅ…久しぶりにちょっと本気になったね」
魔王「なかなかの戦いっぷりだったぞ」
女勇者「誰のせいでやったと思ってるんだい…まったく、あなたも人の言うことを聞かないね」
魔王「おかげでお前の強さが見れたんだ。それで良しとしよう」
女勇者「じゃあ本選は棄権するかい?」
魔王「そこまでは言ってない」
女勇者「まあ、そう来ると思ってたけどね…良いさ。本選で私が無理矢理にでも落としてやるよ」
魔王「ほう…面白いことをいうじゃないか」
>>それでは本選トーナメントのための抽選をします。予選勝利者の皆さん前に出てください
女勇者「司会者の者、ちょっと良いか?」
>>はい、なんでしょう
女勇者「彼と私を本選第一戦で戦わせて欲しいのだが」
>>いえ、しかし、抽選をすることになっていまして…
魔王「あぁん?」
>>ひっ、わ、分かりました。ではそのように…
女勇者「……」ジー
魔王「なんだ、目的は達成しただろ」
>>それでは本選第一戦にしてこの大会のクライマックスになりそうな一戦!観衆席から乱入してきた強者カップルの勝負です!
女勇者「ふっ、カップルだそうだね」
魔王「違わないだろ」
女勇者「言っておくけど、本気で戦うんじゃないよ。格闘だとしても、あなたと全力で戦ったら大会がめちゃくちゃになるからね」
魔王「戦う時はいつも本気というのが俺の信条なんだが」
女勇者「あなたは結婚する前のお嫁に痣や傷などを増やすつもりかい?」
魔王「むっ……それは少し迷うな」
女勇者「迷うのだね。しょうもない人だね」
魔王「魔王だけどね」
女勇者「それをここで言うんじゃないよ」
>>試合開始ー!
魔物D「あの二人すげーな、おい」
魔物E「両方合わせてるみたいに戦ってる」
魔物F「もうこれが決勝戦でよくね?」
魔物G「女の方頑張れーー!」
女勇者「ふふっ、あまり目立ちたくないけどね」
魔王「やっぱり、お前は強いな。最初に会った時少しは戦っておけば良かったかもしれない」
女勇者「あなたも本当に戦うのが好きだね。しかしだね。この服、あなたは分からないかもしれないけど…」
魔王「…?」
女勇者「さっきから私が激しい動きをすると観衆席から歓声が上がるね?」
女勇者「スカートの奥が下からチラチラって見えるんだよ」
魔王「!」
女勇者「はい、隙あり!」ハイキック
魔王「むごっ!…うっ…」
観衆席「おおおーーー!!」
女勇者「はい、クリーンヒット。もちろんこれで倒れるあなたじゃないけど、今回はこれで勘弁願いたいね」
魔王「くっ…仕方ねー…降参だ」
>>おお!男側のギブアップ宣言!女の方の勝ちだー!!
>>うおおおおお!!!!
女勇者「ふぅ……せっかく綺麗な服を着てきたというのに、こんなことさせるあなたも相当戦狂いだよ」
魔王「ふん…これからどうするんだ。お前が優勝するのか」
女勇者「馬鹿いうんじゃないよ。次の試合が始まる前にさっさと消えるよ」
魔王「ちぇっ、せっかく楽しんでいたのに…」
女勇者「私と一戦しただけじゃ不満ってかい?あなたは少し自分が戦うべき相手を選んだ方が良いよ」
魔王「この世で俺と対等で戦えるような奴はお前ぐらいだ」
女勇者「その私を嫁にしようとしてるんだよ、あなたは。毎日私と痴話喧嘩しながら過ごすつもりかい?」
魔王「……」
女勇者「まったく…これじゃあ顔が知られてこの街をゆっくり楽しむのも出来そうにないね」
魔王「他のところにテレポートして行けばいい」
女勇者「その前に、どこかシャワー浴びれそうなところはないかね。久しぶりに動いたせいで汗かいて気持ち悪いんだ」
魔王「この時間でシャワーなんて浴びれるとこはないだろ……近くの川にでも行って洗えばいい」
女勇者「私に真昼間から川で裸を晒せってかい?」
魔王「結界張っておけば他の連中は入れないし見れない。最も見たら俺がぶっ殺すがな」
女勇者「…まあ、それなら」
川
女勇者「あなたもこっち見るんじゃないよ」ヌギ
魔王「分かったから早く済ませろ」
女勇者「あなたは洗わないのかい?」
魔王「俺はあの程度で汗なんてかかない」
女勇者「そうか……(チャバッ)つめたっ!」
魔王(今一瞬、いつもと違い高い声が聞こえたが…)
女勇者「むむ……」
魔王(…長い…遅い……)
魔王「何時まで川に沈んでるつもりだ」川の方を見る
女勇者「!!」
魔王「あ」
女勇者「……丁度出てくるところだったけどね」
魔王「…」
女勇者「こっちを見るなって言ったはずだけどね」
魔王「体が傷だらけだな」
女勇者「ずっと戦ってきたからね。体に傷がないところなんてそうないさ…」
女勇者「ところで、女の裸を見ておいて随分と平然としてるね。見慣れてるのかい」
魔王「ちょ、ちょっと驚いただけだ」
女勇者「そうか。とにかく、今回は随分と楽しかったからね…それに免じてこうとだけ言っておくよ」
女勇者「歯を食いしばれ」
バシーン!
夜
女勇者「あなたも本当にいろいろと台なしにしてくれる男だよ」
魔王「悪かったって」
女勇者「本当に何が悪かったのかわかってはいるのかい?」
魔王「…綺麗だったと言っておけばよかったか?」
女勇者「……言葉は嬉しいけどもう一回ビンタ打ちたくなったよ」
魔王「なんでだよ」
女勇者「それより、もう日が暮れてきたね。どうするんだい?帰るかい?」
魔王「街の祭りはここからが始まりじゃないか。これからもっと賑やかになるさ」
女勇者「夜遅くに魔族街を歩くことになるなんて…人間だとバレたら本当地獄絵図だよ」
魔王「その時は俺がお前に近づく連中は全部殺してやる」
女勇者「それを地獄絵図だと言うんだよ」
女勇者「街広場で火を付けて踊ったり歌ったりしてるのも人間と一緒だね」
魔王「…ああいうの見て楽しいのか?」
女勇者「呑みながら楽しむのもいいけど…中に入って踊ってみるのもまた一興さ」ニギッ
魔王「っておい」
女勇者「仮にも王さまならいくらなんでも踊ることぐらい出来るだろ?」
魔王「苦手なんだけどな」
女勇者「私も剣舞以外には出来ないさ。適当に街の人たちに溶けて踊ってれば良いよ」
女勇者「ふふっ、あなたも踊るのが下手だね」
魔王「くっ、そういうお前も…」
女勇者「あなた程ではないさ」
魔王「…って、お前今笑ったか?」
女勇者「そうだね…あなたが踊ってるのが可笑しくてね」
魔王「そういうお前もあまり良い踊りは出来てないだろ」
女勇者「確かにね……ここはちょっと専門分野を生かしてみるよ」
女勇者「誰か、剣を持ってる人は居ないかい?」
魔王「?」
這い寄る女勇者に気をつけろよw
魔王「勇者が舞台を独り占めしている」
魔王「剣を持って舞う姿が他の魔族たちも見惚れてる」
魔王「あれが綺麗というものか……」
魔物I「すごいな、あの人」
魔物J「あれってさ、昼間に格闘大会に出てた女じゃね?」
魔物K「目立つ奴だな。後で誘ってみようかな」
魔物L「おお、良いね。釣れたら俺も混ぜろよ」
魔王「……おい、お前ら」
魔物K「あ?…げっ、お前は昼間であの女と戦った……」
魔王「随分と生意気なこと抜かしやがるじゃないか」
魔物K「ま、待て冗談だっ…うわぁっ!」
女勇者(まったくどこに居ても騒がしい奴だね…)
女勇者「私が踊ってるのはちゃんとみたかい?」
魔王「ああ、綺麗だった」
女勇者「…私にはまた喧嘩を作っているように見えたけどね」
魔王「お前をそこらじゅうの女と一緒にする無礼な連中を懲らしめただけだ」
女勇者「そうかい」
魔王「……」
女勇者「そろそろ帰った方がよさそうだね。帰る時はテレポートを使った方が良さそうだね」
魔王「…勇者」
女勇者「なんだい?」
魔王「楽しかったか?」
女勇者「…ああ、楽しかったよ、ありがとう、魔王」
魔王「……それでだ」
女勇者「うん?」
魔王「…これを、取り敢えずもらっておけ」
女勇者「なんだい、この箱は…?」
魔王「メイド長が用意するように言ったのだがな…正直俺はなんでそんなものが要るのか分からん」
女勇者「…ダイヤの指輪だね…結婚前のプロポーズかい?」
魔王「メイド長はデートが終わったからの感想をそのまま言ったら良いと言ったがな…正直、うまくいくか分からん」
女勇者「…聞くさ」
女勇者『(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!』
魔王「俺は強い女が欲しくてお前を選んだんだ。それ自体は変わらない」
魔王「でも、お前が言った通り、そんなのはいつ変わるか分からない」
魔王「今日お前と一緒にいて、いろいろ楽しかった。一緒に戦ったり、踊ったりして……」
魔王「ちょっとした事故もあったが…」
女勇者「……」
魔王「俺はお前が良い。お前が強いからとかそういうのじゃなくて今日見たお前の姿が良い」
魔王「綺麗で、美しかった。そんなお前を俺だけのものにしたい」
魔王「勇者、俺のものになれ」
女勇者『これに笑い耐えられたらな→http://www.youtube.com/watch?v=Z3lLl9Qx6iQ&feature=fvwrel』
女勇者「ふむ……」
魔王「……」
女勇者「まあ、最初に会った頃とそんなに変わらない気もするけどね」
女勇者「私も最初はかなり義務的にあなたの話に乗ろうと思ったさ」
女勇者「私一人だけ犠牲になれば他の人間たちは平和に暮らせるってね」
女勇者「でも、あなたと居るのも、そんなに嫌いじゃなかったよ」
女勇者「私の傷だらけの体を綺麗とも言ってくれたしね」
女勇者「良いさ、喜んでお前のものになるよ」
女に戻るのか勇者よ。。。
結婚当日
女勇者「いやはや、外が騒がしいね」
メイド長「魔界、人間界から全部集まっていますからね」
女勇者「考えてみると、勇者と魔王が結婚するのだから、全世界が驚くことだね」
メイド長「勇者さまは宜しかったのですか?魔王と結婚して」
女勇者「私は良いさ。むしろ嬉しいさ」
女勇者「魔王といるのは、なかなか楽しいからね」
魔王「勇者、準備はできたか」ガチャ
女勇者「あなたはなんで準備中の花嫁の部屋に入ってくるんだい?」
メイド長「早く出ていってください。もう少しで終わります」
魔王「あ、ああ…勇者」
女勇者「なんだい?」
魔王「……………綺麗だぞ」バタン
女勇者「…な?」ニコッ
メイド長「……」
コンコン
僧侶「勇者さま」がちゃ
女勇者「ああ、僧侶、来てくれたか。来ないかと思ったよ」
僧侶「来ないわけがありません」
女勇者「戦士と盗賊は来たかい?」
僧侶「盗賊さんは来ていません。ちょっと、表に顔を出せないことになってしまいましたね。大泥棒とか呼ばれるようになって」
女勇者「ふふっ、変わらないね……戦士は?」
僧侶「……」
女勇者「そうか…まあ、仕方ないさ」
僧侶「勇者さま、本当に良かったのですか?」
女勇者「そんな憐れな目で見ないで欲しいね、僧侶。私は今、僧侶が思ってるよりもずっと幸せだからね」
>>新婦入場
女勇者「……」
魔物M「おお、勇者めっちゃ綺麗じゃん」
魔物N「いいな、魔王って。勇者とも結婚できて…」
僧侶「勇者さま…綺麗です」
盗賊「良いな、女顔してるな、勇者」
僧侶「って、盗賊さん来てたんですか」
盗賊「ちょっと業務上来ただけだ。あ、あそこに戦士も来てるぞ」
戦士「………」
僧侶「……」
戦士『女勇者の豚になりたかったな・・・http://www.youtube.com/watch?v=OIQMaRXyPpc&feature=endscreen&NR=1』
魔王「綺麗だな、勇者」
女勇者「その台詞、もう聞き飽きてきたね。もうちょっと他に言うことはないのかい?」
魔王「…何だ?」
女勇者「私に聞くかい?自分の胸に聞いてみたらどうだ?」
魔王「………あ」
魔王「勇者」
女勇者「なんだい?」
魔王「愛してるぞ」
女勇者「…ふふっ、私も愛してるさ、魔王」
おわってしまえ
よかったぞ!
乙!!
このSSは外人によって作られました。
誤字脱字、その他いろんな文化の差によった面白くない場面があったと思われますが、
ここまで読んでくれた方々ありがとうございました。
え?
続き要る?!
待って、ちょっとご飯食べさせて。
朝ごはんも食べてないの
・・・初夜?
それとももっと後日談が良い?
数ヶ月後
魔王「魔族と人間の共存計画はどうなっている」
側近「はい、今までは大きな問題はありません。以前造られた魔族と人間が一緒に住む街でも、両側が戦うことなくなっているようです」
魔王「うまく行っているようだな」
側近「はい、勇者さまのおかげで魔族と人間が互いの誤解を解いて平等に暮らす環境をつくることができました」
魔王「……うん?」
側近「魔王さま?」
魔王「おい、一人でどこに行くんだ」
女勇者「うん?ああ、ちょっと散歩がてらね。部屋の中にばかり居ると疲れてきてね」
魔王「一人で歩くのは良くない」
魔王「いや、最も一人でもないわけだが…」
女勇者「あなたが言いたいことは分かるさ。でも、少しはお腹の中の子供にも外の空気を吸わせたいんだ」
魔王「はぁ…わかった。俺が一緒に行こう」
女勇者「忙しいんじゃないかい?サボりは良くないよ」
魔王「お前の方が大事だ」
女勇者「…あなたは本当に言うことを聞かないね」
魔王「お前もだ。そもそもメイド長はどうしたんだ」
女勇者「彼女も忙しいのさ。メイド長としての仕事も蔑ろにしてはいかないからね」
魔王「後任を選ばせて、お前全属にさせた方が良いか」
女勇者「彼女は有能だからね。私だけ気を使わせるのはもったいないさ」
魔王「では、出るぞ」
女勇者「テレポートはダメよ。子供に良くないから」
魔王「魔族は別に妊娠中でも魔法で移動してるぞ」
女勇者「人間はわからないんだよ。それに、少しは歩いた方が健康にも良い
魔王「ああ、もう、分かった、分かった。俺の負けだ」
女勇者「ふふっ、あなたも父親になると思ったら気が弱くなるかい?」
魔王「…ほっとけ」
城の庭園
女勇者「ふぅ……ちょっとしか歩いてないのに疲れるんだね」
魔王「だから無理するなと言ったろ。一人で居て何かあったらどうするつもりだ」
女勇者「魔王も臆病になったものだね。そんな心配をしてちゃ……」
魔王「……」
女勇者「…分かったよ。私が悪かった。一人で出歩こうとするんじゃなかったよ」
魔王「分かったら良いんだ…」
女勇者「にしても、良く整えた庭園だね。初めて来た時はこんなものなかったのに」
魔王「お前がメイド長に頼んだのだろ」
女勇者「物騒な城が少しはいい雰囲気を出せるようになっただろ?」
魔王「…まぁ、何もないよりはいいかもな」
女勇者「ふぅ…ちょっと庭園のテラスで座りたいね」
魔王「手伝う」
女勇者「ふふっ、柔らかくなったね。強い女が好きなんじゃなかったのかい?」
魔王「お前は今でも強い。俺が負ける唯一負ける女だからな」
女勇者「そういう私もこんな弱い姿を見せるのは、あなたの前だけさ」
女勇者「女の姿になるのも、あなたの前でだけだよ」
魔王「当たり前だ。お前は俺の嫁だからな」
女勇者「そうだね…当たり前のことだね」
メイド長『幸せで何よりです魔王様・・・http://www.youtube.com/watch?v=xRjD2hX-Fis&feature=related』ニコッ
女勇者「ふぅ……」
魔王「………」
女勇者「幸せね」
魔王「そうか?」
女勇者「おや、あなたは違うのかい?」
魔王「俺も幸せだ」
女勇者「私はね…元ならあなたを倒すために生きてきたはずだったのにね」
女勇者「まさかあなたとこうして結婚して…あなたの子を孕むことで…」
女勇者「こんなに幸せな気分になれるとは思わなかったよ」
魔王「俺だってそうさ」
魔王「単に強い女を欲しがっていただけだったが」
魔王「今はお前で良かったと思う」
女勇者「……」ニコッ
魔王「なんだ…?」
女勇者「……」
魔王「そんなに見てると…」
女勇者「なんだい?」
魔王「無性に口付けしたくなる」
女勇者「すればいいんじゃないのかい?」
魔王「良いのか?」
女勇者「……誘ってるんだよ、そろそろそれぐらい察するようになってもらいたいね」
魔王「悪かったな」
女勇者「解ってるなら早くやってくれ」
よし、終わり
おい
こんどこそ終わりなのか?
ラブラブありがと~
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