マサキ「それは…それは無理やレッドさん」 (29)
レッド「…」
マサキ「~♪…ウワッ!!なんやレッドさん!!いつからそこにおったんや!びっくりしたぁ…来たなら来たで挨拶ぐらいしいや?そんなんだからシロガネ山の亡霊とか言われてまうんやで?」
レッド「…すまない」
マサキ「まぁ、始めた会った時もそんな感じやったな~、懐かしいわ~」
レッド「…あぁ」
マサキ「そんで?用件はなんや?またボックスの拡張か?」
レッド「…マサキ、すまん。オレのこの罪深い願いをどうか許して欲しい」
マサキ「…?」
レッド「あの機械を貸してくれないか」
マサキ「あの機械?何の事や…?」
レッド「ポケモンと融合するあの機械だ」
マサキ「…あかん。レッドさんそれは神を冒涜する行為や」
レッド「…だっておかしいだろ。こんな世界」
マサキ「なんも…なんもおかしい事なんか無いわ」
レッド「どうかお願いだ。この世界の歪みを、人の過ちを、狂ってしまった秩序をオレが体現するんだ」
マサキ「…レッドさんにそんな責任も権限もあらへん。思い上がんなや」
レッド「…優しいな」
マサキ「よう言われるわ。ありがとう。でもダメなもんはだめなんや」
レッド「そうか…残念だ」
ボンッ
マサキ「…あかん。レッドさん考え直すんや」
レッド「もう何度もそうしたさ。でも…もう限界だ。フシギバナ『ねむり粉』」
マサキ「うっ…」
マサキ「よし、お前らポケモンとして戦え!」
シロ「あんなでかいの倒せるはずないニャ~」
クロ「つべこべ言わず行くニャ、シロ!」
レッド「ごめんよ…」
レッド「これがボックスのメインサーバーか。…やはりひどい。何が孵化余りだ、性格が気に食わないから、ちょっと好奇心が強く無かったり血の気が多かったり少なかったり、ポケモンの個性を個性とも認めずに…神にでもなったつもりなのか」
レッド「おいでみんな。一緒になろう」
レッドは他のトレーナーのボックスからポケモンと言うポケモンを引き取った
孵化あまりのポケモンを始め
ともに旅したであろうにボックスにおざなりにされているポケモン
その寂しそうなポケモン達全てを引き取ったのだ
レッド「…可哀想に。辛かったよね。寂しかったよね。苦しかったよね。
もう大丈夫だよ。オレと一緒に戦おう。思い知らせてあげよう。君たちの素晴らしさを、美しさを、強さを…!」
そしてレッドは繰り返した
次から次へとそのポケモン達と融合を繰り返した
レッド「はぁ…はぁ…はぁ」
次々と融合を繰り返したレッドはだんだんとその体積は膨れ上がり、お世辞にも美しいと言うものからは大きく外れた容姿になっていった
理性はどんどんと薄れ、装置を動かすことも困難になりつつあった
化け物
悲しい事にそう呼ぶのが相応しかった
しかしそれは美しかったのだ
少なくとも朦朧とした意識の中でマサキが目にしたその姿は、行動は、どんなポケモンより、どんな人間よりもひたすらに純粋にうつった
マサキ「…」
レッド「あ…うぁあうぉ…」
もうこれ以上装置を動かす事はレッドには出来なかった
皮肉な事に、取り込んだポケモン達の深い深いれ劣情が、悲痛な叫びが、復讐心が
レッドの心を体を理性を蝕んでいたのだ
レッド「うぁああ…ぃあ」
マサキ「…これで最後のポケモンや。レッドさん」
ねむり粉の効果が消え、意識を取り戻したマサキは最後のポケモンを装置に置くと
レッドのその醜いいびつな手を引き装置へと導いた
レッド「…サキ、アガト」
マサキ「…ワイは見届ける。決してレッドさんの様に即時的な救いを求めたりはせぇへん。
それがこのシステムを作ってしまったワイの責任や。
一生抱えていく事がワイなりの贖罪や。」
レッド「…」
マサキ「ほな、さいなら」
マサキはそう言うと、装置を動かし家を後にした
最後にレッドと一緒になったのはミュウというポケモン
ポケモンの先祖と言われているポケモン
ミュウはレッドの醜い体を最後に
美しくしなやかな、見るからに神々しいポケモンへと変えた
そしてレッドは、そのポケモンは洞窟の奥深くでトレーナーを待つ
終わり
みんなは孵化あまりとか逃がしてるの?
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