あずさ「プロデューサーさん、別れるってどういうことですか……?」(180)

──それは、ささいな初夜の情事からはじまった。

ワァァァアアア……!!!

あずさ「みなさぁん、今日は竜宮小町のライブに来てくれてありがとうございましたぁ……」

伊織「……」

亜美「ねぇ、いおりん。なんかあずさお姉ちゃん最近おかしくない?」

あずさ「……」ポー

──後に、765プロを揺るがす大事件となるこの一連の出来事を

亜美「ほらっ、なんか気が付いたらボーっとしてるし」

伊織「……多分、先週のあれのせいね」

亜美「あれ?」

──とある事務員はこう述べたという。



伊織「あずさの胸に付いてる、2枚のシングルCDのせいよ」



──もし、あずささんの乳輪がもう少しだけ狭かったら、歴史は大きく変わっていただろう。



のーぷらん
短いので雑談は自由にどうぞ

亜美「……」

伊織「……」

亜美「えっ」

伊織「ついに、あずさが自分の乳輪の大きさに気づいてしまったみたい」ボソッ

亜美「……」

伊織「……」

亜美「あずさ、姉ちゃん。今まで気づいてなかったんだ……」

伊織「えぇ」

亜美「だって……亜美と真美のを足してもお釣りがくるサイズじゃん……」ボソボソ

伊織「自分では気づかないものなのよ……」ボソボソ

亜美「亜美、シングルCDってあずさ姉ちゃん経由で知ったんだよ」ボソボソ

伊織「あんたの歳なら、そうでしょうね」ボソボソ

あずさ「……」ポー

亜美「むむむむ、それにしてもちょっとおかしくない?」

ディレクター「三浦さぁん! スタンバイお願いします!」

あずさ「あ、新曲のリハーサルですか……? 今行きますね……」フラフラ

亜美「お胸のサイズがちょ~~っとくらいデッカいからってあんなにショック受けるもん?」

伊織「そこよ。私が怪しいと思ってるのはね」

……。

パパーパパー

あずさ「空に抱かれ~雲が流れてく~♪」

ディレクター「この歌は、完成すれば凄いことになるな……」

亜美「上の空だね。あずさお姉ちゃん」

伊織「……」

あずさ「抱きしめられた温もりを~ 今も覚えているぅ~~……」

──あずささん! 今日は寒いですね、肉まん買ってきましたよ!

あずさ「……」

──あらあら、プロデューサーさん、そんなに肉まんを握りしめてどうしたんですか? うふふ。

ジャーン!

あずさ「この……乳輪を……なぞるたびにひぃぃぃ……」

ディレクター「!」

あずさ「あなたがすぐ傍に……いるように……感じてしまう……」

ディレクター「ストップストーップ! 音楽止めてください」

あずさ「……!」ハッ

あずさ「あ、あら~ごめんなさい~、私ついうっかり……」

ディレクター「三浦さん、どうしたんですか? 今、一瞬歌詞おかしかったですよね」

あずさ「ごめんなさい~」ペコペコ

亜美「うわっ、ありゃ~重傷だね……」

伊織「私にはたしかに見えたわ」


伊織「……衣装の上からでもしきりに乳輪の位置を気にするあずさが」

あずさ「それでは、お疲れさまです~」

伊織「待ちなさい、あずさ」

あずさ「伊織ちゃん……?」

伊織「あんた先週あたりから、どう考えてもおかしいわよ」

あずさ「……」

伊織「なにかあったんでしょ?」

あずさ「な、何でも無いの~。えっと、そう~遅れてきた思春期よ~」

伊織「遅れすぎよ、あんたいくつだと思ってるのよ」

伊織「あんた、ダンスにも歌にも身が入ってないじゃない」

伊織「隣にいると、たまに一人ごと聞こえてくるわよ」

あずさ「えっ」

伊織「『乳界線越えてないかしら……』って」

あずさ「……」

あずさ「と、とにかく何でもないの~」タッタッタ

伊織「あっ、ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 話はまだ……!」

──後日、765プロ事務所──

あずさ「おはようございます……」コソコソ

律子「おはようございます、今日は迷子にならなかったんですね」

あずさ「あの、今日は、プロデューサさんーは……?」

律子「いつも通り、多忙なプロデューサー殿は都内を駆け回ってますよ」

あずさ「そうですか」

安心したような、がっかりしたような……複雑な気分ですね~。

プロデューサーさんとは、あの日以来一度も会ってないし、連絡を取っていません。

あずさ「……読書をしましょう……」パラ……パラ……

貴音「三浦あずさ、先日の響の一件、大変失礼いたしました」ヌッ

あずさ「! きゃっ、貴音ちゃんいつのまにっ!」パタンッ

貴音「わたくしが代わって謝罪します。いくら琉球では常識といえども……」ペコリ

あずさ「そ、そんな~響ちゃんも悪気があって言ったわけじゃないのはわかってるわ~」

貴音「……そう言ってくれれば、多少なりとも救われます」

──うわっ、あずささんの乳輪ってデッカいな~

あずさ「うふふ、響ちゃんは思ってることを、ハッキリ言ってくれただけよ~」

貴音「……」

貴音「三浦あずさ。その、どうして、乳輪が大きいことが恥なのですか?」

あずさ「……」

貴音「良いではないですか。乳房は母性の象徴とも言われております」

貴音「大きいということは、それだけ三浦あずさが包容力のある人間と言い変えることができます」

あずさ(そ、それはどうかしら~)

貴音「それに……」

ペロン

貴音「わたくしは、この尻を恥じたことなど微塵もありませんよ」ド ン!

あずさ「貴音ちゃん……!」キュンッ

あずさ「貴音ちゃんはとっても優しいのね……」

貴音「ふふっ、わたくしはわたくしの思ってることを率直に申しただけです」ド ン!

あずさ「自分らしく生きるって、とっても難しいことよね」

貴音「三浦あずさ、そのような悲しいことを言わないでください……」ド ン!

あずさ「……」

あずさ「あの、貴音ちゃん、いつまでお尻を向けたまま話してるのかしら~……」

貴音「これは失礼しました」クルッ

あずさ「少し楽になったかも知れないわ。ありがとう、貴音ちゃん」ニコッ

貴音「やはり三浦あずさには笑顔が似合います」

あずさ「あらあら~お上手ね~」

貴音「ふふっそれに……もう一言、付けくわえさせていただくと……」

あずさ「うふふ、なにかしら~?」ニコニコ

貴音「乳輪は、大木の年輪のようなものです」

あずさ「えっ」

貴音「その心は……」

貴音「その大きさは、歳を重ねて趣深くなった証であるということです。羨ましいですね」ニコッ


あずさ(21)「!!!」ガーン!


あずさ「……」プルプルプル

あずさ「……あ、あんまりだわぁ~!」タッタッタ

貴音「なっ、お、お待ちください。あずさ!」



貴音「ふむ、褒めたつもりなのでしたが……」

──後日、765プロ事務所──

春香「みんなー、おはるかっか! 昨日のソロライブ超わっほいだったよ~!」

千早「あら? 久しぶりね。春香、それにみんなも……」

雪歩「あ、そういえば皆でこうして事務所で会うのって久しぶりかも」

真「やーりぃ! 765プロオールスターズ全員集合だねっ!」

律子「残念、あずささんだけプロデューサーと一緒に、新曲の収録よ」

美希「え~ハニーを一人占めなんてズルいの~!」

真美「んっふっふ~。あずさ姉ちゃんも、お熱いですのう」

ガチャッ

伊織「……」

響「あっ伊織。はいさーい……んん、どうしたんだ? そんな険しい顔して……」

伊織「みんな今日、午前まで予定ないわよね」

貴音「はて……何かあるのですか?」

伊織「まずは、このアンケート用紙を配るから記入して」


伊織「765プロ総会議を始めるわよ」

──765プロ総会議──

真美「うわっ、こうして、みんなで机に座るのってチョー久々だね!」

貴音「して、議題の内容とは? 何かよほど重要なことが……」

伊織「これよ」バンッ

やよい「!!!」

[議題:三浦あずさの乳輪について]

春香「……」

伊織「さっき、書いてもらった票を開けるわ。名前は公開しないから安心してちょうだい」

[あずさの乳輪は大きいと思う?]

[大きいと思う:9票]

[どちらかというと大きいと思う:3票]

[どちらともいえない:0票] [どちらかというと小さいと思う:0票] [小さいと思う:0票]

[バストサイズだけ分けて欲しいと思う:1票]



伊織「ここまで偏るとは思わなかったわ……」

真「……」

律子「……」

伊織「あんた達、せめて一人くらいは小さい方に入れなさいよ」

春香「……」

伊織「どうしましょう、励ますつもりが逆効果だったわ……」

亜美(いおりんも入れられなかったんだ……)

美希「あれを小さいって言ったら、自分にウソをつくことになるの。ミキ、それってフェアじゃないって思うな」

伊織「……まぁ、いいわ次よ」

[あずさの乳輪を一言で表すなら?]

[大きい:3票]

[シングルCD:3票]

[羨ましい:1票]

[面妖:1票]

[バストサイズだけ分けt

伊織「もういいわ、やめ、やめよ」ビリビリッ

伊織「……」

千早「あの、水瀬さん、一言よろしいでしょうか」スッ

伊織「どうしたの? 千早」

千早「どうして、あずささんはあれほどまでに固執しているの?」

伊織「それが分かれば苦労しないわよ」

千早「あれも一つの個性かと……。いつものあずささんだったらあそこまでは……」

千早「……」

千早「春香なんて普通すぎてむしろ困るくらいだわ」フゥ

春香「……」

春香「えっ、ちょ、ちょっと、千早ちゃん今の流れで私の関係あった?」

貴音「そうですね、それを言ってしまえば響の剛毛も議題にあげるべきです」スッ

響「!」

伊織「あ、あんたたち関係のない話は自重しなさいよ!」

雪歩「その、あのところで、私の胸ってやっぱりロケット気味かなって……」

伊織「雪歩は黙ってて」

伊織「と・に・か・く! みんなで原因をつきとめましょう」

亜美「原因かぁ……」

真美「むむぅ、これは名探偵、真美の推理でもムズカシィ~~事件だよ」

真「先週から急に……だよね」

伊織「えぇ、朝っぱらから私に、突然聞いてきた。ホントに何だっていうのよ」

千早「私も相談されたわ。私もたまに胸のコンプレックスを指摘されたことがある、と言うと嬉しそうな顔をしてた」

響「その、自分が温泉でデッカいって言うまで、あずささんは気づかなかったみたいだぞ」

律子「なるほど……」

美希「何かわかったの? 律子、さん」

律子「あずささん、誰かに乳輪が大きいって言われたんじゃないかしら」

やよい「!!!」

律子「それに、きっと好意を持っていた相手よ。信頼する相手に「乳輪がシングルCD」の魔法を唱えられたら……」

──会議はヒートアップしていく。
13人全員が、額にじっとり汗を滲ませて三浦あずさの乳輪を一心に想像していた。

伊織「で、でも待ちなさいよ。あずさの乳輪を見た人なんて数えるほどしか……」

春香「も、もしかしてここに居る誰かが……」

響「じ、自分はこの前が初めてだぞ!」

律子「いえ、恐らく……女性じゃない、だったらあそこまで隠さないはず」

やよい「!!!」

伊織「えっ、ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

真美「あずさ姉ちゃんのおっぱいを拝めるチョ→羨ましい人がいるってこと?!」

春香「恋人ですよ!恋人!」

伊織「あずさに恋人が……? ずっと一緒にいるけど、そんな話は聞いたことがないわよ」

亜美「うんうん、それに先週はず~~っと竜宮小町のお仕事だったんだYO」

貴音「灯台もと暗し」しじょっ

貴音「……もしや、恋人というのはすぐ近くにいるのでは」

伊織「そ、それって……!」

雪歩「も、もしかして社長ですかぁ?!」

伊織「雪歩は黙ってて」

真(すごい一体感を感じる。今までにない何か熱い一体感を……!)

伊織「そんなの一人しかいないじゃない」

貴音「水瀬伊織、今こそ聞きましょう。なにか心当たりは?」

伊織「心当たりって……ぁっ……!」

──最近プロデューサーと、仲がいいからって気抜けてるんじゃないでしょうね……にひひっ

伊織「あるわ……偶然とは思えないくらいのタイミングで……」

律子「そういえば、あずささん、私にプロデューサーがいないか毎回確認してたわね……」

貴音「これは限りなくクロといえるでしょう。響の乳輪と同じです」

亜美「つ、つまり……あずさ姉ちゃんは先週まで兄ちゃんと付き合ってて」

真美「乳輪がシングルCDくらいあるって言われて、別れたってこと?!」

やよい「!!!」



春香「いやいやいや~、そんなのありえないでしょ~」

美希「そうなの、ジョーダンにしても笑えないって思うな」

貴音「そうですね。私はなんと滑稽なことを、ふふっ……ふふふっ……」

──同時刻 スタジオ──

監督「はい、休憩! あずささん、次はもっと集中してくれないと困るよ~」

あずさ「うぅ、乳界線越えてないかしら……」チラチラッ

あずさ「あっ……」

プロデューサー「あ、あずささん……」

あずさ「……お久しぶりです」

あずさ「隣、いいですか?」

今までは、こんな許可なんてとる必要なんて無かったのに……

あずさ「……」

プロデューサー「……」ジー

あずさ「……(視線を感じるわ~。多分、私の横顔をずっと見てるのね)」

あずさ(どうしましょう、何を話せば……)

プロデューサー「……」ジー

プロデューサー(やっぱりあずささん、胸大きいな……)

プロデューサー「……(あずささん、やっぱり服の上からだと完璧です)」ジー

プロデューサー「……(だけど、脳内で透視すると……)」カシャンッ

プロデューサー「くっ……!(……やっぱりだ……!)」

あずさ「……」

プロデューサー(例えるならそう、数年先まで予約が入ってる超人気料理店だ)

あずさ「……の……」

プロデューサー(やっとの思いで順番待ちが来て、さぁいざ食さん!と、スチール蓋を開けたら)

あずさ「……あの」

プロデューサー(嫌いな食べ物だったみたいな……)

あずさ「あの、プロデューサーさんっ」

プロデューサー「は、はい?! 何でしょうか!」

あずさ「あの、ここのスタジオ覚えてますか?」

プロデューサー「えっ……?」

あずさ「去年、私がプロデューサーさんに連れられて初めてオーディションを受けた場所です」

プロデューサー「あっ……」

──名前呼ばれなかった人は、帰っていいよ。

あずさ「あの時は、私ダンスで転んじゃって……プロデューサーさんをガッカリさせちゃいましたね」

プロデューサー「そんな」

あずさ「それから次の日、プロデューサーさんダンスの練習方法、真っ赤な目で教えてくれて」

プロデューサー「……」

あずさ「それが、いまでは私、満員のドームで踊れるくらいになれて」

あずさ「……プロデューサーさんのお陰です、うふふ」

プロデューサー「……」

あずさ「たしかにプロデューサーさんは昔からちょっと、エッチなところありますけれど」

あずさ「それでも──」ボソッ

プロデューサー「えっ」

あずさ「……私の乳輪も、プロデューサーさんも、あの日からちっとも変わってませんよ」

あずさ「もうすぐ、ですね」

プロデューサー「もうすぐ……?」

監督「休憩、終わりでーす! スタンバイしてくださーい!」

あずさ「はい~今行きますね~」タッタッタ

プロデューサー「あっ……」

プロデューサー「……」

プロデューサー「違うんです……」

プロデューサー「違うんですよ……あずささん……!」

プロデューサー「……」

プロデューサー「どうしても、どうしてもダメな……理由があるんですっ……!」

プロデューサー「……!」

プロデューサー「あずささんの乳輪は……っ……!」






プロデューサー「子供の時に見てしまった、俺の母さんの乳輪とソックリなんです……!」

心的外傷。

いわゆる幼少の時に負った強烈なトラウマは、本人も気づかないほどに、心のはるか奥深くに根ざす。
本人の意思だけでは克服できないケースが多い。

……そして、数日後。

私は、鏡にそっと聞いてみる。

あずさ「ねぇ……幸せ……?」

あずさ「……」ギュッ

携帯電話を、両手で握りしめました。

──同時刻 765プロ──

プロデューサー「あずささん、あれから電話もメールも来ないな」パカッ

プロデューサー「……当たり前か」ピッピッ

亜美「おろっ?! 兄ちゃん今日休みじゃないの~?!」

プロデューサー「あ~アポ無しの休日出勤って奴だよ……」ピッピ

真美「兄ちゃん! ひっさしぶり~!」ガシッ

プロデューサー「う、うわっ!」

……カシャーン……

あずさ「ふぅ、やっと着いたわ~」

ミーンミーン……

あずさ「あら、もう蝉が鳴きはじまる季節なのね」

あずさ「あの日と、同じ光景ね~」

携帯電話を、数分おきにチェックする。 着信は0件。

あずさ「……」

──同時刻 765プロ──

伊織「ねぇあんた、何か最近やましいことしなかったわよね?」

プロデューサー「や、やましいこと?」

伊織「……」ジー

伊織「ま、あり得ないわよね」スタスタ

プロデューサー「な、何だ……?」

響「ハム蔵~~どこ行ったんだ~お~い!」

プロデューサー「……ところで、俺の携帯、誰か知らないか?」

あずさ「もう、そろそろ、時間ね……」

あずさ「暑いわ……」ポー

──あの、すいません。

あずさ「!」

あずさ「プロデューサーさん、来てくれたんです……」

男「すいませーん、ちょっと、アンケートにご協力いただけますか?」

あずさ「……ね?」

男「化粧品のアンケートなんです。あなたのような、美しい女性に、ご協力いただければそれはもう……」

あずさ「あらあら~」

男「個人情報は結構ですから、お願いできませんか?」

あずさ「そうですね、アンケートくらいなら」ニコッ

男「ここに名前だけお願いします」

あずさ「三浦あずさ、と。職業、自営業は、うぅんなのかしら~?」キュキュッ

あまりにヘンテコなんで訂正

あずさ「三浦あずさ、と。職業は、うぅん、自営業なのかしら~?」キュキュッ

あずさ「はい、これで宜しいですか~?」スッ

男「ありがとうございます」

あずさ「いえいえ~、これ位でしたらお安いご用ですよ、頑張ってくださいね、うふふ」

男「美しい肌をしてるだけあって、化粧品にはこだわりあるんですね」

あずさ「そ、そんな~」

男「あの、実はすぐ近くで化粧品のサンプル会やってるんですけど、是非来ていただけませんか?」

あずさ「……」

あずさ「ごめんなさい~。私、待ち合わせをしていまして……」

男「お時間はお取らせしません! サンプルは一切無料ですから!」

あずさ「でも……」

男「今日、ど~してもノルマ達成しないといけないんですよ」

あずさ「あら~……」

あずさ「うぅん、すぐに済むのだったら……」

──同時刻 765プロ──

プロデューサー「それじゃ、美希の応援に行くかな。」ガタッ

亜美「おっミキミキ、兄ちゃんが突然来たら、メチャクチャ喜ぶよ」

プロデューサー「予備の携帯を持ってくから、何かあったらこっちに連絡してくれ」

真美「ブ、ラジャー! 真美と亜美でソーサクしとくよ!」

プロデューサー「事務所にあるのは間違いないんだけどなぁ……」

バタンッ

伊織「どう思う?」

真「いつも通りな気がするけど……」

雪歩「あの、やっぱり社長……」

伊織「雪歩は黙ってて」

伊織「やっぱり、確認しておこうかしら。あずさはオフよね」ピッ

ポパピプペ

──只今、電波の入らない場所にいるか、電源が……。

伊織「……?」

──同時刻 会場「チュパリコ」──

男「段差に気をつけてくださいね。今専門のスタッフ来ますんで」

あずさ(連れられるまま、地下に来てしまったわ~)

女「こちらに座ってください。お飲物どうぞ」

あずさ「はい~、ご丁寧にありがとうございます」クピッ

女「まずはこちらの化粧水を試してみてください」スッ

あずさ「うぅん、お肌に吸いついて……デザインも素敵だと思います~」

女「何か、お肌でお悩みのことってありませんか?」

あずさ「悩み……ですか……」

あずさ「……」

女「何でもいいんですよ。美容のことでしたら何でも」

あずさ「その……あの……」モジモジ



あずさ「人より……少しだけ乳輪が大きいのが……気になります……」カァァ……

女「そうなんですか、恥ずかしがることありませんよ」

あずさ「えっ……」

女「乳輪の小さくなるクリーム、ありますよ」

あずさ「ほ、本当ですか」

女「はい、これは私たちが特許取ってまして、何処にも出回ってないんですよ」

あずさ「……」ゴクリ

女「サンプルだけ試してみませんか」

あずさ「えっと……でも……時間もそろそろ……」

女「そこに、試着室ありますから、ねっ?」

あずさ「そ、それじゃ試すだけ……」ソソクサ

あずさ(これで、もし小さくなったら……プロデューサーさんもきっと……)

……。

女「あれってやっぱり……」

男「間違いない、アイドルの三浦あずさだよ」ニヤッ

女「いくらなんでもガード薄すぎじゃない?」

──同時刻 765プロ──

伊織「あずさ、オフといったらだいたい買い物か、犬の散歩くらいよね……」

響「ハム蔵いたぁ~~~! って何咥えてるんだ?」

ハム蔵「ヂュー!」

響「あっあぁ~!! それプロデューサーの携帯電話じゃないか! ハム蔵が持ってたのか!」

ハム蔵「ヂュ?」

……。

亜美「兄ちゃん、携帯電話見つかったよ~」

プロデューサー『本当か! ありがとう、といっても今、渋滞に巻き込まれて……はは……』

亜美「なんかメール来てるYO~」

プロデューサー『ちょっと俺の代わりに内容、教えてくれないか? 暗証番号は……』

亜美「んっふっふ→ オッケィ!」

プロデューサー『イタズラするなよ……』

亜美「あ、あずさ姉ちゃんからだよ」

やよい「!!!」

伊織「……何ですって?」

亜美「えっと……」

[プロデューサーさんへ、抱きしめられた温もりが忘れられません。 約束の場所で待ってます]

亜美「……だって……これだけ……」

プロデューサー『……』

亜美「これ、もう数時間前のメールだよ……」

プロデューサー『……』

亜美「げ、激ヤバじゅわぁ~~ん! 早く行きなよ!」

プロデューサー『……』

亜美「な、何で黙ってるのさ、兄ちゃん!」

貴音「なるほど、この様子を見るに」

律子「私たちの推論は当たってたってわけね」

亜美「兄ちゃ……!」



伊織「亜美、代わりなさい」パシッ

プロデューサー『伊織……?』

伊織「あんた、今どこにいるのよ」

プロデューサー『喫茶店、ジューシーポーリーの前だが……』

伊織「わかったわ。そこで待ってなさい」

プロデューサー『えっ……』

伊織「……」スゥゥゥ……





伊織「こんのバカデューサー!!! 今すぐ、あんたのこと殴りに行くから覚悟してなさい!!!」

……ピッ……

伊織「ふぅーふぅー……」

真「い、いお……」

伊織「真、自転車の用意。ノンストップで飛ばしなさい」

真(えっ、ボクが漕ぐの……?)

──会場「チュパリコ」──

女「どうでしたか?」

あずさ「うぅん、効いたような~効いていないような~?」

女「すぐには効果が実感できないんですよ。長期間、続けてお使いいただかないと」

あずさ「あら~そうだったですか」ニコニコ

女「まずは三か月からですね。お安くしますよ」

あずさ「えっ」

男「三浦さん、今は特別価格ですよ、ほらっ」スッ

あずさ「えぇ……! これって、こんなにするんですか?」

男「それはもう、ここだけの特製品ですから」

あずさ「うぅん、ちょ、ちょっと、この値段は……」

男「そうですか。残念です」

あずさ「あの、すいません。私、待ち合わせしているのでこれで失礼します」ペコリ

男「あ、ちょっと待ってください。お代金がまだですよ」

あずさ「えっ……」

男「やだなぁ。先ほどのクリーム代ですよ」

あずさ「あの、あの……サンプルは無料って……」アタフタ

女「言いましたよね、あれは特別だって。別料金なんですよ」

あずさ「あら~……」

男「今は、特別サービスでこの値段です」

あずさ「……っ……!」

あずさ「あ、あの……困ります~……」オロオロ

男「はは、困るのはこっちですよ。三浦さん」

あずさ「わ、私、てっきり……」

男「そうは言っても、こちらも商売ですから」

あずさ「今、手持ちも少なくて……」



男「ははっ、またまた、アイドルでがっぽり稼いでるんですよね」

あずさ「えっ……どうしてそれを……」

──喫茶店『ジューシーポーリー』前──

プロデューサー「……」

プロデュサー「何を律儀に待ってんだ。俺は……」

──あぁああああ!

プロデューサー「ん……? あれは……」

真「ぷろでゅーさぁあああああ!」シャカシャカシャカ!

キキィィィ……!

伊織「約束通り、来てやったわよ!こんの……」

真「バ、バカデューサー!」

ドスッ

プロデューサー「ぐふっ……ボディ……!」ガクッ

真(ボクが殴るんだ……)

プロデューサー「……」

伊織「……」

伊織「あんた、これ見なさい」

ドサッ

プロデューサー「これは……」

伊織「あずさが合間に、こっそり読んでる本よ」

プロデューサー「これは……」

プロデューサー「……」

プロデューサー「ボロボロの……結婚雑誌……?」

伊織「まさか、あんたのために読んでたなんてね」

プロデューサー「……」

タッタッタ……

響「はぁ……はぁ……ちょっと速すぎ……」

真「あっ、みんな……」

伊織「馬鹿みたいよね。こんなバカのために、あずさはきっと何時間でも待ち続けるわ」

伊織「あずさもバカよ。白馬の王子が、運命の人がこんな奴だって信じてる」

プロデューサー「……」

プロデューサー「はは、だけど俺は、あずさんに本気で……」

伊織「本気で怒ったり、泣いたり……本気で嫌いになれたり、好きになれるのもあんただけ」

プロデューサー「……」

伊織「知ってるわよ、本当は先に進むのが怖くなったのよね」

プロデューサー「えっ……」

伊織「人気絶頂アイドルのあずさの未来を、潰したくなかった」

プロデューサー「……」

伊織「だから、自分から敢えて手を引いた……そうでしょ?」

プロデューサー「……」






プロデューサー(いや、別に違う……)

伊織「あずさは、運命の人に会うためにアイドルになったのよ」

伊織「だから情けない姿、これ以上あずさの前で見せんじゃないわよ」

プロデューサー「……」

プロデューサー「……どうしても発作が起こるんだ……風呂場のハプニング……」ブツブツ

プロデューサー「思春期の時に、目に焼き付いてしまった母の乳輪が……」ブツブツ

伊織「……あんた、あずさの良い所言ってみなさいよ!」

プロデューサー「……」

プロデューサー「……ぉっぱ……」

伊織「それだけじゃないでしょ! もう一度、自分の胸に手を当てて考えなさい!」







伊織「乳輪がシングルCDくらいあろうがっ! 乳頭がエレベーターのボタンくらいあろうがっっ!!」

伊織「……あずさは、あずさでしょうがっっっ!!!」

ミーン……ミーン……

──えっ?! わ、私、アイドルとして、デビューできるんですか? おどろきましたー!!!

──はい、今日からよろしくお願いします。二人三脚で頑張っていきましょう!

プロデューサー(初めて会った時は……必死だったな)

──あずささんは、どうしてアイドルになろうと思ったんですか?

──こうして頑張っていれば、運命の人が見つけてくれるかなって、うふふ。

プロデューサー(そうだ……何をビビってるんだ……俺が本当に、好きだったのは)

プロデューサー「俺は……」スッ

伊織「やっとわかっ……」

   バチーン!!!  

やよい「!!!」

プロデューサー「ぐぁ……!」ズサー

春香「……! 狭いのは……千早ちゃんの乳輪じゃなくて……」プルプルプル

千早「は……春香……?」

春香「プロデューサーさんの懐ですよっ! 懐!」

ミーン……ミーン……

貴音「なんと、天海春香が……」

真「ぶった……」

亜美「……」

律子「……」

真美「……」

プロデューサー「……」

プロデューサー「ありがとう……やっと目が覚め……」

  バチーン!!!  

やよい「!!!」

プロデューサー「ぐぁ……!」ズサー

春香「本当に広いのは……あずささんの乳輪じゃなくて……」プルプルプル

千早「は……春香……?」

春香「あずささんの……あずささんのぉ……!」プルプルプル

伊織「春香、もう引っ込んで」

──会場「チュパリコ」──

男「大丈夫だよ! ローンも組めるからさ!」

あずさ「あ、あの私、払いません……」

男「はぁ?!」

あずさ「ひっ……大きい声、出さないでください……」ガクガク

男「ほらっ、ここに住所!名前!生年月日!電話番号、書けば終わりだからさ」

あずさ「……ぅっ……」

男「……はぁ……仕方ない……」シュボッ

あずさ「えっ、か、帰してくれるんですか?」

男「実は、961プロダクションとは縁があってね。まぁ、元々三浦あずさと知って声かけたんだけど」

あずさ「えっ……9……961って……」

男「これは大ゴシップになるよ。言ってる意味わかるよね」

あずさ「……!」



男「あんたの乳輪が、アルバムCDくらいあるって記事が載ることになるよ」

あずさ「そ、そんな私、さすがにそんなにありません……」

男「ま、週刊誌なんてそんなもんだよ。それに証拠も……ほらっ……」ピラッ

あずさ「そ……それって……」

男「あずささんって、もういい歳なんでしょ。自己防衛しっかりしなきゃ」

男「世の中には、こわ~い人もいるってこと」

あずさ「さっきの更衣室の……」ガクガク

あずさ(ど、どうしましょう……)

男「これ、流出されたくないでしょ?」

あずさ「……」コクン

男「じゃあ、お手続きできるよね」

あずさ「したら、写真を返してくれるんですか……?」

男「さぁ、早く」ニヤリ

あずさ「……」

男「何とか言えよ!ババァ!」ガンッ

あずさ「ひっ……!」

──約束の場所──

プロデューサー「はぁ……はぁ……」

プロデューサー「やっぱりいないか……?」キョロキョロ

プロデューサー(いや……)

──こんなバカのために、あずさはきっと何時間でも待ち続けるわ。

プロデューサー「そうだ……いつもここのプリン屋で……」タッタッタ

店員「いらっしゃいませ~」

プロデューサー「あの、すいません! ここに、ボクとよく一緒に買いに来てた女性、見ませんでしたか?」

店員「え? あぁ……そういえば……う~ん、顔がよく……」

プロデューサー「ほらっ、あの、乳輪が大きそうな……」

店員「あ~、はいはい! それなら数十分前に、男性といたよ」

プロデューサー「えっ……」

店員「何だか、アンケートに応えてたみたいだったなぁ」

プロデューサー「ま、まさか……」

──会場「チュパリコ」──

男「どうする?」

あずさ「……」

あずさ「わ、わかりました……」

男「はい、じゃあここに記入して」

あずさ「み、三浦……あずさ……」ブルブル

男「……」ニヤニヤ

あずさ(765プロの皆に……こんなに情けないお姉さんでごめんなさいしないといけないわね……)

あずさ「……」

あずさ(ごめんなさい……プロデューサーさん……)

バターン!

──待て!

男「だ、誰だ?!」

あずさ「あっ……!」

──見つけました

あずさ「……!」

男「……!」

女「……!」

カツ……カツ……

男「お、お前は……?」










石油王「石油王デース」

黒服「発見しました!」ドタドタ

男「なっ……」

石油王「その写真……。いやはや、別撮りとは感心しませんね」

あずさ「ど、どうしてここに……」

石油王「先ほど、偶然、あなたのお知り合いの男性を見つけて、頼みごとをされました」

あずさ「知り合いって……プロデューサーさん……?」

石油王「はい、あなた達には、とても助けられました。感謝してもしきれません」

石油王「……あなたを、待ってましたよ」

あずさ「……」

石油王「さぁ行ってあげてください」

あずさ「……ありがとうございます、このお礼は後で必ずしますね。石油王さん」タッタッタ!

黒服「さて、どうしましょう」ジリジリ……

男「ひぃ……!」

石油王「WHAT?」チラッ

石油王「……oh……彼女は乳輪王デース……」

あずさ「はぁ……はぁ……」タッタッタ

大丈夫、迷子にはならないわ。
だって何度も、何度も通った道だもの。

あずさ「はぁ……はぁ……」タッタッタ

ここを登った先が……

……。

伊織「あ……あれ……!」

貴音「あの姿は……!」

亜美「んっふっふ→ 主役が遅れて登場ですのう」

律子「やれやれ、ほんっとーにお騒がせアイドルよね」

あずさ「はぁ……はぁ……」

私と、プロデューサーさんが初めて出会った……

プロデューサー「あ……」

……坂道。

あずさ「プロデューサーさん、覚えてて、くれたんですね、今日、ですよ?」

プロデューサー「あずささん……」

伊織「ほらっ、正直な気持ち伝えなさいよ」

ドンッ

プロデューサー「……」

あずさ「……」

プロデューサー「あの……!」

プロデューサー(うっ……猛烈なトラウマが……)

プロデューサー(ヤバい……意識が……)フラッ

あずさ「! プロデューサーさ……」

──ははっ、あずささんがいくら迷子になっても、すぐに俺が見つけてあげますよ

──本当ですか? それじゃ、約束ですよ~。

プロデューサー「……!」

プロデューサー「あの、聞いてくださいっ! あずささんっ!!」

あずさ「は、はい」

プロデューサー「まずは、本当にすいませんでした!」

あずさ「……」

プロデューサー「俺……もう迷子になりません……!」

あずさ「……」

プロデューサー「あずささんがどんな姿でも……」

プロデューサー「そう、例え、こんな姿になっても……」




あずさ「……」

プロデューサー「例え、どんな乳輪でも……これから……」

プロデューサー「絶対に……ッ……」








プロデューサー「あなたをアイしマスッッッ!!!」

あずさ「……」

やよい「……」

雪歩「……」

伊織(雪歩は黙ってる)

貴音「……」

千早「……」

しいぃぃぃん……

プロデューサー「あ、あずささん……?」

あずさ「プロデューサーさんの、ウソつき」ニコッ

プロデューサー「えっ……」

あずさ「私、嫉妬深いところあるから浮気したら許しませんよ、うふふ?」

プロデューサー「あ、あずささん……」

あずさ「ねぇ、もう一度好きになっていいですか?」

プロデューサー「……はい」

あずさ「それじゃ、よろしくお願いしますね~」

亜美「……い」

真美「いぇ~~い!!!」

ワアアァアアアア!

伊織「良かったわね……あずさ……」

千早「後で美希を何て説得しようかしら……」

春香「ねぇ!みんなで胴上げしようよ!胴上げ!」

ガシッ

あずさ「あ、あら~みんなぁ~」グラッ

春香「わっほい!わっほい!」

あずさ「だ、だめよ~。あんまりされると……」

一同「わっほい!わっほい!」

──やっと見つけた、私の運命の人。


あずさ「や、やめてぇ~! ポロリしちゃうわ~!」 ...fin....

http://www.youtube.com/watch?v=6AeCbM-UUX4&feature=related

HAPPY END

あずささんSSは最初で最後かもしれないので
悔いのないようにしました

誤解の無いように言っておくと、
あずささんも、沖縄も、乳輪も大好きです

そういえば、FFの奴みたいなのは他に書いてないの?

支援してくれた人、読んでくれた人
今回は本当に本当にありがとうございました

>>175
アイマス以外はあれだけです

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