カレン「間違ってシノをバラバラにしてしまったデース」生首「」 (74)

カレン「やってしまったデース……」

忍(生首)「」

カレン「シノがCuteだったので、思わず六分割してしまったデス……」

カレン「もうすぐ、アリス達が遊びに来マース」

カレン「それまでにこれを片付けないといけまセーン」

忍(生首)「」

忍(右手)「」

忍(左手)「」

忍(胴体)「」

忍(右足)「」

忍(左足)「」

カレン「Oh……ホントに困りマシター」

カレン「シノの死体を、早急に処理しないといけないデス」

カレン「それとこの血だまりも……」

カレン「死体をゴミ箱に捨てると、パパとママにバレてしまいマース」

カレン「かといって、トイレには流せそうもないデス」

カレン「骨をくだいて、粉末状にすれば流せそうデスが、そんな機械ないデース」

カレン「ミキサーでは、力が足りないデス……」

カレン「うーん、学校のゴミ捨て場に捨てるのはどうデショウか?」

カレン「あそこなら、結構大きいゴミ袋もありマスから、袋に死体をつめて捨てたら、一緒に処理してくれそうデース」

カレン「袋の中身を見られたらOUTデスガ、普通、ゴミ袋の中身まで確認したりしまセーン」

カレン「でもゴミを捨てている現場を誰かに見られたりしたら、怪しまれそうデース」

カレン「むむむ……ホントに困ったデス~」

カレン「そもそもアリス達が、放課後用事があるとかで、遅れてくるのが悪いんデース」

カレン「それにシノもシノです。一人でワタシの家に来るなんて、誘っているようなものデース」

カレン「だからワタシは悪くないデス」

カレン「そうデース、ワタシは悪くないデース!」

カレン「悪いのは、放課後用事があったアリス達と、不用心なシノデース」

忍(生首)「そうなんですか?」

カレン「そうデス~」

カレン「…………」

カレン「……ってシノ!?!?」

忍(生首)「はい、シノです」

カレン「生きていたデスカ!?」

忍(生首)「うーん、そうみたいですね」

カレン「良かったデス! これでワタシは殺人犯にならずに済みマシター」

忍(生首)「良かったですねー」

カレン「デ~ス!」

忍(生首)「でもカレン、友達をいきなり六等分にしてはいけませんよ」

忍(生首)「私、すごく痛かったんですから」

忍(生首)「日本ではこういうことをすると、とても怒られますよ」

カレン「はい、ゴメンナサイデース……反省してマース……」

忍(生首)「本当ですか?」ジー

カレン「本当デス! だから許してくだサーイ……」

忍(生首)「なら、許します」

カレン「アリガトデス! シノはやっぱりやさしいデス~!」

忍(生首)「でも、次からはこんなことをしてはいけませんよ」

カレン「OKデス! 約束しマス!」

忍(生首)「ふふっ、カレンは素直ないい子ですね」

カレン「そうデース! パパとママにもよくほめられマース!」

ピロリン

カレン「あ、メールが来ました! アリス達からデス~」

カレン「そろそろ来るみたいデス」


……

アリス「おじゃまします」

陽子「じゃまするよ」

綾「おじゃましま――ひっ!!」ビクッ

忍(生首)「あ、みんな」

アリス「シ、シノ!!??」

陽子「どうしたんだ? その姿!?」

忍(生首)「ああ、これですか」

忍(生首)「これは―――」

……

綾「そ、そんなことが……!?」

アリス「もうっ、カレンっ! シノになんてことするの!?」

カレン「手が滑りマシタ……そ、それにそのことは、もうシノに謝って許してもらったデス……」

アリス「謝って済む問題じゃないよ!」プンプン

カレン「人間は間違える生き物なんデスヨ……」

忍(生首)「そうですよ、アリス。ミスを犯さない人なんていません。だから、あまりカレンを責めないであげてください」

アリス「もうっ! シノはカレンに甘過ぎるよ!」プンプン

陽子「まあ、シノは金髪少女には甘いから……」

忍(生首)「金髪は人類の宝です」エヘヘー

アリス「ホントにシノはもうー」

カレン「アリス激おこデスカ~」

アリス「カレン! 変な日本語使わない!」

カレン「じゃあ、ワタシがもし金髪じゃなかったら、シノは許してくれマシタか?」

忍(生首)「えっとー、そうですね……」

忍(生首)「うーん…………」

忍(生首)「………………」

忍(生首)「……死刑ですね」ニコッ

綾「死刑!?」

陽子「こわっ!?」

忍(生首)「冗談です」ニコッ

アリス「冗談に聞こえないよ!?」

陽子「眼が本気だったな」

カレン「ワタシ、金髪に生まれてホントによかったデス~」ホッ

陽子「そもそも、シノはその状態でなんで生きてるんだ?」

綾「それ、聞いちゃうの?」

アリス「それは、シノだからだよ」

カレン「そうデス~。シノならその状態で生きててもなんら不思議じゃないデース」

綾「そうね、シノならこの状態で生きてても別に不思議ではないわね」

陽子「お前らシノをなんだと思ってるんだ!?」

陽子「でもなんか妙に説得力ある……」

陽子「シノなら体バラバラにされても死ななそうなオーラがあるし、実際こうやって生きてるし……」

忍(生首)「えへへ、なんか照れますね」

陽子「いや、別に褒めてないからな」

陽子「シノが生きてたのはいいけど、残りのパーツはどうするんだよ」パシッ

忍(右手)「」

陽子「うおっ、なんかグロい!?」

忍(生首)「陽子ちゃん酷いですぅ~」

カレン「犬の餌にしまショウー」

忍(生首)「そ、そんなー」

アリス「もうカレン!!」

綾「組み立ててみたらどうかしら?」

陽子「いやいや! プラモデルじゃないんだから!」

カレン「それは良い考えデス~!」

カレン「さっすがあややー」

カレン「みんなでシノを組み立てるデス~」

カレン&アリス&綾&忍(生首)「おー!」

陽子「いいのかホントにそれで……?」

……

カレン「これを使うデス~」

アリス「カレン~、それ木工用ボンドって書いてあるよ」

カレン「ダイジョーブダイジョーブ、似たようなものデス~」

陽子「適当だな、おい」

綾「大丈夫かしら?」

カレン「まずは土台から組み立てるデス~」

忍(右足)  忍(胴体)  忍(左足)

カレン「切断面に、たっぷりヌリヌリするデス~」

忍(生首)「あははは、ちょっとカレン、くすぐったいです!」

陽子「え?」

綾「まさか、切断された手足にも感覚があるの?」

忍(生首)「ええ、そうみたいです」

陽子「みたい、ってなんだか他人事だなー」

カレン「じゃあじゃあ、切断された手足を動かしたりできるデスカ~?」

忍(生首)「うーん……えいえい……」シーン

忍(生首)「それは無理みたいです」

カレン「なーんだ、つまらないデスー」

忍(生首)「ご期待に添えなくて申し訳ないです」

綾「受信はできるけど、送信はできない、みたいな感じなのかしら」

カレン「とにかく組み立てるデス~」



アリス「カレン~、それ右手じゃなくて右足だよ~」

アリス「くっつけるところ間違ってるよぉー」

カレン「アハハ、シノ、クリーチャみたいで面白いデス~」アハハ

忍(生首)「カレン~、私の体で遊ばないでくださ~い」

アリス「カレンッ! もう真面目にやってよ!」

カレン「ゴメンデス~、ちゃんとやるデス~」


……

カレン「完成デース」

忍(完全体)「も、元通りです」フラフラ

アリス「やったよ!」

綾「やればできるもんね」

陽子「でもなんか不安定じゃないか?」

陽子「なんかフラフラしてるし」

忍(完全体)「ああっ」ツルッ

ガーッシャーン

忍(生首) 忍(右手) 忍(左手) 忍(胴体) 忍(右足) 忍(左足)

アリス「ああっ! シノ!」

カレン「もうっ! せっかく組み立てたのに、なにやってるデスカ~」

忍(生首)「うう……ごめんなさい」

アリス「シノは悪くないよ! 完璧に作れなかったわたしらが悪いんだよ!」



カレン「ジャジャーン! 今度はこれを使うデス!」

陽子「えっと、それは……」

カレン「ガムテープデス~!」

陽子「いや、そりゃ見りゃわかるけど……」

カレン「ガムテープは万能のアイテムデ~ス!」

カレン「どんなものでも簡単に直せるデス!」

……


忍(生首)「ああっ」ガシャーン

アリス「シノォ~!!」

カレン「無理だったデス~」

陽子「まあ、そりゃそうだ」


……

忍(生首)「みなさん、ありがとうございます」

忍(生首)「でも私は頭だけの状態でも、大丈夫ですよ」

アリス「シノ~」

カレン「でも困ったデス」

カレン「このゴ……じゃなくて他のパーツは、家に置いとけないデス~」

忍(右手) 忍(左手) 忍(胴体) 忍(右足) 忍(左足)

カレン「やっぱり犬の餌に……」

アリス「それなら頭の部分は、私が持ち帰るよー」

カレン「あ、ズルいデス! ワタシも頭の部分欲しいデス!」

アリス「え~、それなら胴体と両足」

カレン「それもダメデスー」

アリス「うー、じゃあもう両腕でいいよぉ」

カレン「それもワタシが貰いマスー」

アリス「もうカレン! さっきと言ってることがバラバラだよー」

忍(生首)「死体だけに、ですね」ドヤァ

カレン「なんかいざ、人にあげるとなると、手放したくなくなったデス~」

カレン「だからシノの体は、全部ワタシのものデス~」

アリス「カレン! いくらなんでもそれは通らないよ!」

カレン「全部ワタシのものデス~! アリスにはあげませ~ん」

アリス「ム~~~~」

アリス「シノを返して!」ガシッ

カレン「あっ! 泥棒は犯罪デス~」ガシッ

アリス「手を放して!」グググ

カレン「そっちこそシノから手を放すデ~ス!」グググ

忍(生首)「いたたた、二人とも、髪を引っ張らないでくださーい」

アリス「う~~~~!」

カレン「む~~~~!」

カレン「ワカッタデス! ワカッタデス! 両手をあげマスから、今すぐシノの頭から手を放すデス~」

アリス「いらない!」

カレン「じゃあ両足もつけるデス~」

アリス「私はシノの頭が欲しいの! だってそうじゃないとシノとお話できないもん!」

カレン「チッ! そこに気付きマシタか~」

アリス「う~~~~!」グググ

カレン「む~~~~!」グググ

陽子「二人とも、大岡越前を見るべきだな」

綾「でもあれって元ネタはソロモン裁判らしいから、アリス達も知ってるんじゃない、あの有名なエピソード」

陽子「子供引き裂くやつだよね」

綾「その言い方は物騒よ」

陽子「代わりに綾が、なんか良いアイディア出して解決すればいいんじゃないかな」

綾「私が?」

綾「じゃあ、こうしたらどうかしら?」

綾「ローテーションを決めて、シノを世話するってのは?」

アリス「どういうこと?」

綾「いきものがかりみたいに、当番を決めて、順番でシノをお世話するのよ」

カレン「さっすがアヤヤ、それはいい考えデス~」

アリス「うーん、でもそれだと、数日に一回しか、シノに会えなくなるよ」

陽子「学校で毎日会えるじゃん」

カレン「アリス、いい加減、大人になるデス~」

綾「時には妥協も必要よ」

アリス「うぅ~、わかったよ……」



アリス「シノ、ごめんねー、これからはたまにしか一緒にいられなくなるよ~」

忍(生首)「私もアリスに会えなくて、寂しいです」

アリス「シノ~」

カレン「早速順番を決めるデス~」

カレン「最初はワタシからシノを飼うデス~」

アリス「もう! カレン!」

陽子「まあ無難に、じゃんけんで決めればいいんじゃないかなー」

……


アリス「やったよ!」

カレン「ぐぬぬ……、順番が最後になっただけで、トータルで見れば飼う日数は変わらないデス~」

陽子「おお、前向きだなー」

綾「ちゃんとお世話できるか心配だわ」

……


……

アリス「ただいまー」

勇「おかえりー」

勇「うん? その紙袋は?」

アリス「シノだよー」

忍(生首)「私です」

勇「あら、あんた、随分コンパクトになったわね」

忍(生首)「えへへ、照れます……」

勇「いや、別に褒めてないけど……」

勇「あんたその状態だと、なんかバラバラになったカピパラみたいよ」

忍(生首)「もう~、おねーちゃん意地悪ですー」

アリス(それってやっぱりただのカピパラってことじゃ……)

……

運動場

綾「体育なんて科目、この世からなくなればいいのに……」

陽子「またそれかー」

陽子「たまには、運動しないと太っちゃうぞー」

綾「ふっ、ふふふふとっ!!?」

陽子「いや、冗談だから落ちつけって……」

綾「冗談!? じゃあ私、太ってないわよね!?」

陽子「うん、太ってない太ってない」

綾「え! なんで二回言ったの! それってダメなパターンよね!!?」

陽子(うわぁ、驚きの面倒臭さ……)

カレン「みんなー、サッカーをシマしょう!」

陽子「おっ! いいね!」

カレン「マラソンが早めに終わって、折角の自由時間デス~」

カレン「遊ばないともったいないデス!」

綾「カレンはホント元気ねえ……」

アリス「でもボールがないよ」

カレン「ボールなら、ここにあるデス」ガシッ

忍(生首)「え?」

カレン「ヨーコパスデス!」ゲシッ

忍(生首)「あーれー」

陽子「おっ」パシッ

アリス「ちょっと二人とも! シノに何やってるの!」

陽子「え、なにってサッカー」

カレン「アリスサッカー知らないデスか~?」

アリス「もう! そういうことじゃなくて~!」

カレン「アリス、日本では、友達はボールってイイマス」

カレン「シノは友達じゃないデスカ?」

アリス「シノは友達だけど……」

陽子「だったらボールだな」

陽子「それッ!」ゲシッ

忍(生首)「あ~れ~」

アリス「シノは友達……友達はボール……シノはボール?」

綾「動けば、少しは痩せるかしら?」

陽子「よしっ! じゃあ2対2だな」

カレン「ヨーコ、パスデス!」ゲシッ

綾「アリス! 陽子を止めて!」

アリス「うん、わかったよ」

陽子「甘い」クイッ

カレン「さすがヨーコデス! なんて巧みなドリブルテクデス!」

陽子「へへっ」ゲシッゲシッ

忍(生首)「あっ、あっ」ゴロゴロ

綾「ああ、陽子がゴール前にっ!」

陽子「ボールを相手のゴールにシュゥゥゥゥッッ!!!」シュッゥゥゥ

カレン「超ッ! エキサイティンッ!!!」


……

忍(生首)「もうっ! みんな酷いです!」

陽子「ごめんごめん、ついエキサイティンッ!してしまって……」

アリス「ごめんね、シノ!」

忍(生首)「首の切断面に砂がこびりついて、ちょっと気持ち悪いです」

カレン「お詫びにワタシが洗ってあげマ~ス!」



カレン「ふんふんふふーん」ゴシゴシ

忍(生首)「痛いっ! カレン痛いです!」

忍(生首)「そんな強くタワシで擦らないでくださーい!」

……

カレン「大変デ~ス!」ガラガラッ

陽子「んー、どしたー」

忍(生首)「そんなに慌てて何かあったんですか?」

忍(生首)「あ、全く関係ありませんが、ゴスロリファッションと金髪少女って相性がいいと思いません?」

アリス「ホントに全然関係ないよ! 別に今その話題出さなくても良かったよね!」

カレン「聞いてくだサーイ!」

カレン「保健室前の廊下に、巨人がでたデス~」

綾「巨人がっ!?」

忍(生首)「それは本当に大変ですね」シミジミ

カレン「ちょっと駆逐して来るデース!」ダッ

アリス「あっ! カレン待って!」

アリス「どうしよう、カレンが一人で行っちゃった……」

アリス「一人で巨人を倒すなんて無茶だよぉ」

忍(生首)「追いかけましょう!」

保健室前廊下

巨人「」テクテク

カレン(いたデ~ス……)

カレン(あれは、1.7m級はある、超大型巨人デス~)

カレン(中々手強そうデスが……巨人の弱点はうなじ)

カレン(このカッターナイフで、思いっきりそいでやるデス)

巨人「」テクテク

カレン(今デス!)

カレン「ていや!」ザシュッ!

巨人「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」

巨人「ああああアアアアアアアああああアアアアアあああアアあああああアああア!!!」

カレン「やったデスカ?」

巨人「あ~あああああ」テクテク

カレン「No~、浅かったみたいデス!」

巨人「あああああ!」テクテク

カレン(ま、まずいデス)

カレン(巨人が逆上して、こっちに襲いかかって来るデス)ガクガク

巨人「」テクテク

カレン(ワタシ、こんなところで死んでしまうデスか~?)ビクビク

カレン(イヤデス! ワタシ、なにも悪いことしてないのに、こんな所で死ぬのは嫌デス!)ガクガク

巨人「」

カレン(ぅぅ……誰か、誰か助けてくだサーイ!)

陽子「ハッ!」ザシュッッッッッゥゥゥ!!!!!!

巨人「ひゅっ」

巨人「」バタッ

カレン「よ、ヨーコ……」

アリス「カレンー」

忍(生首)「大丈夫ですか!?」

カレン「み、みんな」

綾「全く、陽子ったら、張り切っちゃって……ちょっとかっこいいんだから」ブツブツ

忍(生首)「でも、陽子ちゃん凄いですー」

カレン「あんな超大型巨人を一撃で倒すなんて……」

アリス「もう! カレン! 一人で巨人を討伐しようとするなんて、何考えてるの!!」

アリス「みんな凄い心配してたんだから」プンプン

カレン「ゴ、ゴメンナサイデス」シュンッ

忍(生首)「まあまあ」

陽子「でも間に合ってよかったよ」

忍(生首)「そうですよ、カレンが無事で良かったじゃないですか」

カレン「シノ~」

カレン「シノはやっぱりやさしいデス~」

アリス「もおー、シノはカレンに相変わらず甘いんだから~」

陽子「まあ金髪だし」

忍(生首)「でもカレン、無茶はいけませんよー」

カレン「ハイデス……反省してるデス……」

忍(生首)「これからは、巨人を討伐するときは、みんなでやりましょう」

忍(生首)「みんなでやれば、無敵ですよ」

カレン「シノの言う通りデス~、みんなで力を合わせれば百人力デス~」

忍(生首)「はい、そうですよー」

陽子「まあシノは戦力にならないんだけどな」

綾「生首だしね」

忍(生首)「ぅぅ……そうでした、私役立たずです……」

アリス「あわわ……、シノは役立たずなんかじゃないよ!」

アリス「ほら! 囮とか出来るよ!」

陽子「それはそれで酷いような……」

カレン「危なくなったら巨人にシノを投げつけるデス~」

陽子「確かに、シノって当たると痛そうだ」

忍(生首)「もう~、みんな酷いですよー」

カレン&アリス&綾&陽子&巨人「あはははは」

……

大宮家

アリス「ねえシノ、私、日本に来て本当に良かったよ」

アリス「シノと一緒に過ごせるのはもちろん」

アリス「ヨーコや綾と出会って、仲良くなれて」

アリス「カレンが遊びにやってきて」

アリス「毎日が本当に楽しいよ」

アリス「だからシノには本当に」

忍(生首)「zzz……」

アリス「って寝てる!!!!!?」

忍(生首)「zzz……寝てませんよー、ちょっとうつらうつらしてるだけです」

アリス「嘘でしょ! 絶対人の話聞いてなかったよね! もう、せっかく私がちょっとイイ話してたのに」

忍(生首)「ちょっとイイ話してたんですか?」

アリス「なんでそこだけはちゃんと聞いてるの!?」

忍(生首)「ごめんなさい、最近妙に眠くって……」

忍(生首)「それで、ちょっとイイ話してたんですか?」

アリス「だから、なんでそこだけ妙に食いつくの!?」

アリス「もう! シノなんて知らない!」プンプン

忍(生首)「ああ、アリスが拗ねてしまいました」

忍(生首)(これは明日の朝、謝らないといけないですね)

……


忍(生首)「ちくわあげたら機嫌がなおりました」

アリス「ちくわ美味しいよ~」モグモグ


……

陽子「ただいまー」

空太&美月「おかえりー」

美月「お姉ちゃん、その紙袋なに」

陽子「ああ、これは」

忍(生首)「」

空太&美月「ひっ!!!!!!」ビクッ

陽子「おー、なんか二人がそんな風に純粋に驚いた表情、久しぶりに見た気がする」

忍(生首)「こんにちわ、私は陽子ちゃんのお友達の、忍って言います」

空太「シャベッタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

美月「キエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

忍(生首)「よろしくお願いしますね」

空太「マタシャベッタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

美月「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

忍(生首)「えっと……」

空太「スッゲ! お姉ちゃんの友達スッゲ!!」キャッキャ

美月「なにこれ素敵だわ!」キャッキャ

陽子「うん、君たちがそうやって年相応に喜んでるの、久々に見たな」

忍(生首)「えっと、これは……」

陽子「良かったなシノ、気に入られたみたいだぞ」

……

空太「てい!」バシュッ

忍(生首)「あ~れ~」ゴロゴロ

バッコーン!

忍(右手) 忍(左手) 忍(右足) 忍(左足)

空太「ストライク!」

美月「おー」

陽子「あはは、上手い上手い」

忍(生首)「私の体で、ボウリングするのやめてください~」

空太「でも、ピンが四本しかないから、少し物足りない」

美月「あ、そういえば、人間の指は両手合わせて10本」

空太「ボウリングのピンの数と丁度同じだ」

忍(生首)「私の体を、これ以上細かく刻まないでくださ~い」

空太「でも、指だと、大きさ的に少し足りないかも」

美月「じゃあ、四本で我慢するしかないね」

忍(生首)「ほっ」

陽子「すっかり仲良しだなー」


………
……



アリス「日本は、ホントにいいところだね」

アリス「日本に来てから毎日が楽しいよ」

カレン「ワタシもデ~ス!」

忍(生首)「私も、アリスとカレンが来てから毎日が楽しいですよ」

陽子「やたら賑やかになったな」

綾「そうね」

忍(生首)「やっぱり、金髪少女がいると、なんかこう、華やかになりますよね」

陽子「あはは、シノはホントにそればっかりだなー」

綾「ホントに金髪が好きなのね」

忍(生首)「はい。なのでゆくゆくは金髪に染め――」

アリス「それダメ!」

忍(生首)「そんなぁ……」

陽子「あはは」

カレン「シノは、黒髪が似合ってるデスよ~」


……
………

大宮家

アリス「シノー、起きて! もう学校に行く時間だよー」ユサユサー

忍(生首)「」

アリス「今起きないと、遅刻しちゃうよ」

忍(生首)「」

アリス「シノ……?」

アリス「ねえ、起きて」

アリス「本当に遅刻しちゃうよ……」

忍(生首)「」

アリス「ねえってば、シノ……」

アリス「なんで黙ってるの……?」

忍(生首)「」

アリス「起きてよ! シノ、起きてってば!!」

勇「ん、アリス……どうしたの、そんなに騒いで、ふぁぁぁ……」

アリス「イサミ、シノの様子が変なの!」

アリス「揺すっても起きないし、なんの反応もなくて」

アリス「今起きないと学校に遅れちゃうのに……」

アリス「イサミも起こすの手伝ってよ! 本当にシノはねぼすけさんなんだよ」

勇「そう……………」

勇「…………」

勇「……とうとう、この時が来てしまったのね」

勇「アリス、忍はもう目を覚まさないわ」

勇「本当はアリスだって気付いているのでしょう?」

アリス「なにいってるの……そんなのおかしいよ!」

アリス「だって昨日まであんなに元気だったのに!」

アリス「ヨーコ達といっぱいお喋りして、授業中に居眠りして先生に怒られて、烏丸先生の授業だけやたら楽しそうで、『アリスの金髪はいつ見ても綺麗ですね』って言ってくれて……」

アリス「いつもと変わらないシノだったのに……」

アリス「ねえ起きて起きないと学校に遅刻しちゃうよだから起きてよねえお願いだからシノ目を覚ましてよねえ……ねえってば…………お願いだから……目を覚ましてよ……」グスッ

勇「アリス…………」

勇(他のみんなにも、連絡しないといけないわね)


……

カレン「そんな……シノが……」

綾「嘘……嘘よね」

陽子「……」

勇「アリス、少しは落ち着いた?」

アリス「うん……」グスッ

勇「みんな、この子にお別れを言ってあげて」

カレン「イヤデス! シノとお別れしたくないデス!」

綾「私は…………」

陽子「私のせいだ……」ポツリ

綾「え?」

陽子「私が、シノをボールにして遊んだから、それで衰弱して……」

アリス「違うよ! ヨーコは悪くないよ!」

アリス「私が、シノが疲れてるのに、夜遅くまでお話に付き合わせたりするから……」

綾「そんなことないわ! 陽子もアリスも悪くないんだから、自分を責めるのはやめて」

綾「そんなこと、シノは望んでない、と思う」

カレン「そうデ~ス、陽子もアリスも悪くないデ~ス」

カレン「これは誰が悪いわけでもないデス」

カレン「シノも……寿命には勝てなかったんデス……」

陽子「そうだな……私らが、こうやって気に病むことを、シノは望まない気がする」

陽子「だから最後は笑顔で、さよならしよう」

アリス&カレン&綾「うん……」グスッ

……

7年後

外国人「ぺらぺらぺらぺらー」

アリス「私の頭はトマトで出来ている、と言っています」

外国人「ぺらぺらぺらぺらー」

アリス「でもトマトのほうが、ナスより好きだよ、と言っています」

……

アリス(シノ、見てるかな?)

アリス(私、通訳者になったよ、シノの夢を叶えたよ)

アリス(シノが見たかった景色を、私は今見ているんだよ)

アリス(いつかまた出会えたら、いっぱいお話したいな)

アリス(…………)

アリス(あれから色々ホントに色々あったよ)

アリス(ヨーコは調査兵団に入団したし)

アリス(アヤはヨーコを追いかけて、一緒に調査兵団に入団したみたい)

アリス(そしてカレンは…………)

面会室

カレン「アリス! 会いに来てくれたデスか!」

アリス「うん」

カレン「ムショ暮らしは退屈でしかたないデス~」

アリス「カレンは昔から、退屈が苦手だったよね」

カレン「さすがにもう慣れましたケドね」

カレン「しっかし、イサミは酷いデス」

カレン「妹の友達を警察に突き出すなんて」

アリス「ああ見えてイサミは重度のシスコンだから」

カレン「あはは、そうデシタ~」

アリス「うん」

カレン「…………」

アリス「……」

カレン「……最近よく、昔のことを思い出すデス……」

カレン「シノがいて、アリスがいて、ヨーコがいて、アヤヤがいたあの頃を」

アリス「あの頃は……本当に毎日楽しかったね」

カレン「うん、あの時は気付きませんデシタが、本当にかけがえのない日々だったんだと、今になってわかりマシタ」

アリス「そうだね」

カレン「あの頃に戻りたいデス……」

カレン「また5人で、山に行ったり、お茶会を開いたり、お祭りに行ったりしたいデス……」

アリス「……」

カレン「みんなに会いたいデス……」

アリス「……」

カレン「でも、あんなに大切だったのに、思い出せないことも多くなってきたデス」

アリス「人は忘れる生き物だからね」

カレン「ちょっと前までは細部まではっきりと思い出せたはずなのに」

カレン「まるで靄がかかったように、上手く思い出せない思い出が増えてきマシタ」

アリス「それは少し、悲しいことだね」

カレン「でも、いくらモザイクがかかっていたって、これだけはハッキリとわかるデス」

カレン「あの日々は、きらきらとまばゆいほどに、きんいろに輝いていたって」

……

アリス「私そろそろ、行くね」

カレン「もう行っちゃうデスか……」

アリス「うん、ごめんね、仕事が忙しくて」

アリス「だからしばらくの間、会いに来られないかも」

カレン「残念デス……」

アリス「じゃあ、また」

カレン「See you」

アリス「あ、そうだ」

アリス「言い忘れてたけどカレン」

アリス「誕生日おめでとう」

カレン「……」

カレン「…………ワタシの誕生日、昨日デシタ……」

Fin

忍×カレンが好きでイチャラブしてるの書こうと思ったらこうなってしまいました
すみません……

とりあえず、
カレンちゃんお誕生日おめでとう

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