律子「眼鏡が無いと誰も私と気付いてくれない・・・」(88)

朝 律子宅

律子「うっかりメガネを壊しちゃった・・・」

律子「前がよく見えない・・・。眼鏡を買いに行かないと」

律子「今日はオフだけど、眼鏡を買いに行くついでに事務所に顔出しに行こうかな」

765プロ前

律子「ふう。メガネが無いと事務所に来るのも一苦労ね」

律子「おはようございまーす」

小鳥「おは・・・え?」

律子「ん? どうしましたか、小鳥さん」

小鳥「・・・」

律子「え、いや」

春香「あれ? 記者の方ですか? こんにちわ!」

小鳥「記者の方?」

千早「・・・」

律子(まさか・・・メガネをかけてなくて、服もいつもと違うから私だと気付いていない?)

律子(うわ、きっとそうだ。それだけで誰だか認識されないなんて・・・ショックだなぁ)

律子「も、申し訳ありません! 出直して来ます!」

バタン!

小鳥「・・・」


律子「私の印象って眼鏡だけなのかしら・・・なんだか悲しくなってきたわ」

律子「・・・こうなったら、少し悪戯してやろうかしら」

数十分後 765プロ

律子「先程は大変申し訳ありませんでした。私、フリーライターの・・・若林と申します。
   是非765プロのアイドル達を取材させて頂きたいのですが・・・」
  (若干声色変えてる)

小鳥「そうですか・・・では、社長の高木に聞いてみますので少々お待ち下さい」

律子「・・・」

高木「やぁ、貴方が若林君かね?」

律子「は、はい」

高木「・・・」

律子(すっごい見られてる・・・ばれたかな?)

高木「いいねぇ、どんどんやって頂きたい! 此方からお願いしますよ!」

律子「は、はい。ありがとうございます」

春香「あの~」

律子「ひゃあ! あ、天海春香さんと、菊地真さん・・・ですね?」

真「はい! 記者の方なんですよね、よろしくお願いします!」

律子「え、えぇ。じゃあ早速幾つか良いかしら?」

春香「何だって聞いちゃって下さい!」

数十分後

律子「では、質問は以上です。ありがとうございました」

春香「・・・」

真「・・・」

律子「な、何か?」(気付かれた?)

春香「いや・・・美人な方だなぁって」

律子「なっ!?」

真「うん。僕も思った。美人って言うか可愛いって言うか・・・しかも歳も僕らと大して変わらないんじゃ?」

春香「若林さんもアイドルに興味ありませんか?」

律子「な、無いですね・・・。私は、そんなに可愛くも美人でも無いですよ。その、お気持ちだけでも充分嬉しいです」

真「勿体無いなぁ・・・」

春香「気が変わったらウチに来て下さいね!」

律子「あ、ありがとうございます・・・」



律子「・・・どうせ、どうせ社交辞令よ。そんな事なら気付いてくれた方がよっぽど嬉しいわ」

律子「如月千早さんですね?」

千早「はい」

律子「幾つか質問よろしいですか?」

千早「えぇ。10時までで良いでしょうか? レッスンがあるので」

律子「あ、はい」

律子(前は有無言わず断ってたのに、千早も角が取れてきたわね)

律子「以上です。お時間頂き有難う御座います」

千早「此方こそ。ありがとうございます」ニコッ

律子「・・・!」

千早「では、私はレッスンがあるので、失礼致します」

律子(千早・・・あんな顔で笑うんだ)

律子(最近録に会話もしてなかったしなぁ・・・)

千早「・・・」

律子「な、何か?」

律子「いえ・・・。貴女、なんだか私の友達によく似てて」

>>16 ×律子「いえ・・・。貴女、なんだか私の友達によく似てて」 ○千早「いえ・・・。貴女、なんだか私の友達によく似てて」



律子「友達・・・天海さんですか?」

千早「春香も大切な友達だけど、それと同じ位大好きな友人です」

律子「そ、そうですか、きっと他人の空似ですよ・・・」

律子「あの、ありがとうございました! もう、終わったので、お時間をいただいで申し訳ありません!」

千早「あ・・・はい。ありがとうございました」


律子(続きを聞くのがすごく怖くなって、逃げる様に終わらせちゃった・・・。)

律子(雪歩、やよい、真美、響、貴音は営業か・・・)


伊織「戻ったわよ」

亜美「たっだいま!」

あずさ「もどりました~」

律子(しまった!)

伊織「事務員から聞きました。記者の方ですよね? 何でも聞いちゃって下さーい♪」

律子「あ、ありがとうございます」(ばれてないの?)

あずさ「あらあら、可愛らしい記者さんですね~」

亜美「ヘイユー! 亜美達と一緒にきらめく舞台に立っちゃいなYO!」

律子「あ、ありがとうございます。じゃあ質問を幾つか」

~~~~~

律子「では、最後に芸能界に入って、一番感謝の気持ちを伝えたいのは誰でしょう?」

伊織「律子ね」

あずさ「律子さんです」

真美「律っちゃんだよ」

律子「・・・」

伊織「今こうやって、記者の方に取材される程のアイドルになれたのも、プロデューサーである律子のお陰だからね。本人がいる前じゃとても言えないけど、心から感謝してるわ」

あずさ「辛い事もいっぱいあったけれど、律子さんは挫けないで私達を引っ張って来てくれました。彼女無しでは、今の私達はここにいなかったかもしれません」

亜美「怒るとスッゴイ怖いけど、褒めてくれる時はすっごく優しいんだよ。竜宮小町は律っちゃんを含めての竜宮小町だかんね♪」

律子(みんな・・・)

~~~~~~~~~~~~~~~

律子「皆・・・あんな風に思ってくれてたんだ」

律子「凄く嬉しいけど、なんだか複雑だな・・・。聞いちゃいけなかったような気がする」


ガチャ

美希「おはよ~なの~」

律子(美希・・・)

美希「あ、記者さん美希に質問? いいよ♪」

律子(まだ何も言って無いんだけどまぁ良いわ)

~~~~~~~~~~~~~~~~~


律子「えっと、では最後に、765プロの中で一番尊敬している方はいらっしゃいますか?」

美希「尊敬? 好きって事? うん、いるよ」

律子(意味が違う気がするけど・・・)「誰でしょう? やっぱり如月千早さんですか?」

美希「うん。千早さんも凄いと思うよ? けど一番じゃないの」

律子「え?」

美希「アイドルじゃないんだけど、律子が一番好きかな」

律子「!? そ、それは何ででしょう」

美希「美希が765プロに入った頃から律子はね。口うるさくって、お説教ばっかりで、いっつも美希の事叱って、最初は嫌いだったの。
   765プロの中で一番嫌いだった。律子もどうせ美希の事が嫌いなんだろうって決めつけてたの」

律子「・・・」

>>22 ×真美「律っちゃんだよ」  ○亜美「律っちゃんだよ」

律子「・・・」

美希「けどね、美希達が初めてゴールデンに放送される番組オーディションで合格した時、ハニーと一緒に泣いて喜んでくれたの。
   最初は不思議だったんだ。美希の事嫌いな筈なのに、何で律子は泣いてるんだろうって。それをハニーに言ったらね」

律子「・・・うん」(泣いてたの誤魔化してたんだけど、やっぱり気付かれてたか、うぅ恥ずかしい・・・)

美希「『竜宮小町のプロデュースや事務作業で忙しい律子は、本当に嫌いな人の為に、わざわざ時間を割いて叱ったり説教でしない。
    美希の事が大好きだから、立派なアイドルになってもらいたいから叱るんだって』美希ね、ハニーの言葉が忘れられなくて今でもはっきり覚えてるんだよ?」

律子(あれから急に真面目になってきたと思ったら・・・)

美希「だから美希、律子のお説教大好きなの。律子が美希の事を大好きでいてくれてる証だから」

律子「星井さんは・・・いつまでも秋月さんにお説教されたいと?」

美希「それも良いと思ってたんだけど、それだと美希っていつまでも立派になれてないってことだよね?」

律子「そう、ですね・・・」

美希「それはやだな。お説教も大好きだけど、律子に褒められるのはもっと好きだから、
   けど、褒められ続けてると、お説教はいつか聞けなくなっちゃうの・・・。美希的には、少し寂しいな」

律子「そうですか・・・。ありがとうございました」

美希「うん」

律子「私も、秋月さんは星井さんの事が大好きだと思いますよ」

美希「・・・ふふ。勿論なの♪」

律子「では、失礼します」ガチャ

律子「では、本日はありがとうございました」

小鳥「あら、お疲れ様です♪」

春香「雑誌できたら読みますね~!」

千早「お気を付けて」

美希「じゃあまたね~」



街道

律子「・・・明日皆に謝ろう。悪い事しちゃったなぁ。怒るだろうなぁ、特に美希と竜宮小町」

律子「嗚呼、体が重い・・・」


ドンッ


律子「イタっ! す、すいません」

ゴロツキ「おっとぉ! 大丈夫? 怪我無い?」

律子「だ、大丈夫です、ごめんなさい・・・」

ゴロツキ「ん? 俺実はスカウトやってんだけどさぁ、君可愛いねぇ。ウチで働いてみない? 君なら絶対トップになれるって」

律子「い、いえ・・・結構です」

ゴロツキ「んな事言わないでさぁ、儲かるよ? 会社員? そんなのよりよっぽど楽でいい仕事だからさぁ」

律子「やめて下さい・・・誰か!」


ザワザワザワ・・・


P「その辺にしてあげてください」



ゴロツキ「あ? 何だお前?」

P「彼女の同僚です。嫌がってるでしょ?」

ゴロツキ「関係ねぇだろ」

P「それとも、君の働いてる店は、嫌がる女の子を無理やり働かせるような店なんですか?」

ゴロツキ「うぜぇなお前、引っ込んで


警察「何の騒ぎですかー!?」

ゴロツキ「ヤベ!」

P「行くぞ」ギュッ

律子「は、はい・・・!」

公園

P「落ち着いたか? 律子」

律子「は、はい・・・ありがとうございます」

P「いやぁ、良いタイミングで助かった。そんな恰好してるとあんな連中に絡まれるぞ?」

律子「そんな恰好って・・・普通の恰好じゃないですか」

P「そんな顔ぶら下げてたらああ言う野郎がほっとかないって意味だよ」

律子「な・・・真顔で変な事言わないで下さい!」

P「茶化した様に言うともっと怒るくせに」

律子「ぐ・・・」

律子「プロデューサーは、私だと気付いたんですか?」

P「気付くに決まってるだろ。ほぼ毎日顔合わせてるんだから」

律子「眼鏡、外してるのに?」

P「眼鏡を外すとさらに魅力的だな」

律子(プロデューサーは、気付いてくれたんだ・・・)


ギュッ 


P「お、おい律子!? 誰かに見られたら・・・!」

律子「良いんですよ。どうせ、誰も私だと気付いていないんですから」

P「え?」

律子「今日、この状態で事務所に行ったら、誰も私だと気付かないんですよ? 流石にショックでした」

P「んな馬鹿な。頭が弱そうなのは何人かいるけど、眼鏡外しただけで認識できなくなるような奴はいない筈だぞ? 
 イヤ、いたらいたで、オバカ系アイドルで売り出せばいけるかもな・・・」

律子「ふふ・・・本気ですか?」

P「だとしても問題有りだろ」

律子「ごめんなさい、さっきは本当に怖くて・・・。もう少しだけ。やっぱり嫌ですか?」

P(震えてる。ホントに怖かったんだな)

P「嫌じゃないよ。・・・俺、律子好きだし」

律子「・・・」


律子「それ・・・本当ですか?」

P「本当だよ」

律子「嘘なら今のうちに言って下さい」

P「今なら許してあげますって?」

律子「一発殴ってから許してあげます」

P「それは許すって言わないぞ」


律子「・・・私も、」

P「ん?」

律子「ッ・・・何でもないです」

P「そうか」


P「眼鏡、今度から外していくのか?」

律子「いえ、眼鏡は壊れちゃっただけで」

P「そうか、じゃあ買いに行かないとなぁ」

律子「プロデューサーは、私の眼鏡、好きですか?」

P「さっき言ったろ? 眼鏡掛けてる律子も、掛けてない律子も、コンタクトの律子もグラサンの律子も。俺はありとあらゆる律子が大好きなのさ」

律子「あぅ・・・。コンタクトは怖いから嫌です。ってグラサン・・・」

P「似合うと思うけど」

律子「複雑だわ」

P「俺、今から事務所に戻るけど、どうする?」

律子「私も行きます。今日の事謝らないと」

P「謝る? 気付かなかったって話か? 寧ろ謝るのはあっちの方だと思うけど」

律子「皆が気付いていないのを良い事に、記者のふりして取材をやったんですよ」

P「ありゃ」

律子「だから、謝らないとなぁって」

P「気付いてあげなくて寂しい思いをさせたお前らが悪いって俺は言う」

律子「小鳥さんも社長も気付いてなかったんですけど」

P「・・・んな馬鹿な」

765プロ

P「ただいまー」

小鳥「あ、プロデューサーさん、おかえりなさい。あら? そちらにいるのは・・・」

律子「あ、あの・・・その・・・」

小鳥「まだ何か? あ、プロデューサーさんに取材をしたいんですか?」

律子「いや、えっと・・・」








千早「・・・・・・ブフッ!!!」

律子「え?」

千早「ふふふ! ご、ゴメンナサイ、もう限界・・・!」

美希「もう千早さんったらずっと笑いそうになっててドキドキしたの」

真「それを言うなら美希だって律子が見ていない間ずっとニヤニヤしてただろ?」

美希「見て無い所だったから良いもーん」

律子「???」


伊織「あーら若林さん。ウチのプロデューサーにまだ何か質問かしら? 自 分 の 胸 に 聞 い た 方 が 早 い ん じ ゃ な く っ て ?」

律子「伊織・・・アンタ」

伊織「にひひ♪ この伊織ちゃんを騙そうなんて100万年早いわ!」

律子「て事は・・・?」


ガチャ

高木「勿論、皆気付いていたよ。君達は私の娘も当然。娘の顔を忘れる親がどこにいる?」

律子「・・・!」パクパク

P「逆ドッキリか。成程ね」

律子「そうですか・・・みんな、寄ってたかって私を騙した訳ですね?」


小鳥「最初はビックリしたわよ。前から予想はしてたけど、眼鏡を外した律子さんって凄く綺麗だったから。そしたら有無言わないうちに出て行っちゃうし」

春香「その後、小鳥さんが『律子さんに悪戯しましょう』って言いだしてきて」

真「まさか律子もああ言って戻ってくるとは思わなかったなぁ」

千早「ふふふ・・・ふふふふふ!」

亜美「千早ねーちゃんったら意外とノリノリだったよね~」

律子(あの時の笑顔はコレが原因だったのね・・・)

あずさ「ごめんなさいね、律子さん。悪気はなかったんだけれども」

美希「美希的には、眼鏡外しただけで本気で見間違われる思ってた律子に驚きなの」

律子「こら、さんをつけなさい」

美希「えへへ~♪」

P「ま、お互い様でお合い子って事だな」


春香「プロデューサーさん、完全に蚊帳の外でしたね」

P「こっちはお前らが遊んでる間に仕事してたんだよ」


律子「そうか・・・良かった。かな?」


律子「ん? て事はあの取材も全部嘘?」

伊織「さぁね♪」

美希「秘密なの~」


あれが皆の本心かどうかは解らない。
けど、あんなに良い表情で吐かれる嘘になら、騙されてもいいかなと思えた。

後日 某眼鏡屋

P「ほら、コレなんてどうだ?」

律子「あ、良いですね・・・似合います?」

P「逆に律子に似合わない眼鏡は、それはもう眼鏡と言えないな」

律子「ふふ。なんですかそれ」

P「うん、似合ってる」

律子「じゃあ、これにします」

P「鏡も見ずにか?」

律子「いいんです。似合ってるんでしょう? だったら、これで良いんです」

P「そっか」

店員「ありがとうございました~」


律子「わざわざ時間を作ってくれてありがとうございます」

P「いいんだよ。律子の眼鏡を選ばせてくれるなんて恐悦至極だ」

律子「でも、休憩時間だったんでしょ?」

P「おう。しばらく休みが無いしなぁ。確か2週間後位に2連休あった筈。あれが春休みかな」

律子「2週間後? 皆でやるコンサートの下見と被ってませんか?」

P「本当に? 参ったなぁ過労死しちゃうかも」

律子「・・・私で良ければ、一緒に行ってあげますけど?」

P「そうか。なら頑張れる気がするな」

律子「ふふ・・・楽しみにしてますね、プロデューサー殿♪」



おわり

読んでいただきありがとうございました。
一応続編も考えてます。アイドルたちと交流を深めて最終的に律子とイチャラブするような話です。

その時もよろしければ読んでやってください。

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