律子「それはある日の昼下がり」 (17)
律子とPがただ話すほのぼのSS…の予定でした
ほぼ見切り発車に近い形でスタートしてグダグダで終わったのでつまらないと感じる人もいると思いますが最後まで読んで頂ければ幸いです
設定としてはPが765へやって来て約1年
あと赤羽根PでもPヘッドでもないオリジナルPですので悪しからず
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378226915
P「律子さん、この書類お願いします」
律子「はい」カタカタ
カタカタ カリカリ
カリカリ
カタカタ
律子「ねえ、プロデューサー殿」
P「なんですか?」
律子「いい加減それ、やめません?」
P「それって?」
律子「敬語とさん付けですよ、音無さん以外はあなたより年下ですし、するにしてもやよいや亜美真美までそれは、ねえ」
P「とは言ってももうこれは染み付いた癖みたいなもので簡単には直せないんですよねえ、それに今更じゃありませんか?僕が来て一年ほど経ちますしみんな慣れたでしょう」
律子「今更じゃありませんよ、プロデューサーが来た当初みんなそれやめてくれって言ってたじゃないですか」
P「そうでしたっけ?でも今こうして皆に仕事があるし仲良くさせて貰ってるんだからいいじゃないですか」
律子「それはそうですけど…」
この人はいつもこんな感じだ
こんな感じでも慇懃無礼に取られないのはこの人の魅力の一つなのかもしれない
思えばこの人がいなければ今の私はなかったかもしれない
新しくプロデューサーが入ってくるからこそ竜宮小町に専念出来たしそれどころかこちらのサポートまでしてくれる
律子「私って…恵まれてるんでしょうか」
P「なんですか藪から棒に」
律子「ふと…そう思ったんです私のやりたいことをやらせてくれる環境、それに竜宮小町の子達も皆いい子だし貴方もちょくちょく私のこと手伝ってくれるし、意識したことなかったけど私って恵まれてるのかなあって」
P「そんなの僕の知ったことではありませんよ」
律子「んなっ」
P「だってそうでしょう、自分が恵まれてるか否かなんて他人が決めることではありません、自分が恵まれてると思えば自分は恵まれてるんです」
律子「確かに…そうですけど、一つの意見として聞いておきたいなと思ったんです」
P「それでも、僕はそんなの知らないと言っておきますよ、それは自分で考えなければならないことです、まあ他人と比べるなとは言いませんがね他人との差異は一つの指標になりますからね」
律子「わかりましたよ…じゃあ質問を変えます、プロデューサー殿は自分が恵まれてると思いますか?」
P「さあ?どうでしょう」
律子「なっ!ここまで人に言っておいて自分はそれですか!?」
P「僕は他人に答えを求めるなんてことはしてませんよ、いいじゃないですかそんな些細なこと、かのマザーテレサはいいました『あなたはあなたであればいい』とねそんな気に病むことはありません」
律子「いずれにせよ私は貴方の答えを聞くまで引きませんよ!」
P「はぁ…そうですね、強いて言うなら恵まれてるでしょうね、これと言って現状に不満はありませんしこれまでの人生も行き当たりばったりで生きてましたから」
律子「なんか、軽く流された感がある」
P「本当にわからないんですよ、だって今までやりたい時にやりたいことをやって生きてきたんですよ、まあなんたって僕は
律子「自由人…ですから」
P「フフッまさか先に言われてしまうとは」
律子「この一年で何度も聞かされましたからね」
律子「自由人ねえ…プロデューサー殿はプロデュース業をやりたくて765プロに来たんですか?」
P「そういうとなんか語弊がありますね、街を歩いていたら突然真っ黒の人に声をかけられてアイドルのプロデューサーをやってみないかといわれたんですよ、それでプロデューサーか面白そうだなやってみようということでプロデューサーになったんです」
律子「んな行き当たりばったりな…」
P「言ったでしょう?行き当たりばったりで生きてきたと」
律子「じゃ、じゃあプロデューサーになる前は何を?」
P「この仕事をやる前は旅をしてました」
律子「旅?どこを?」
P「日本国内ですよ」
律子「いつから」
P「二十歳のときから」
律子「大学は」
P「中退しました」
律子「あなたもしかして馬鹿なんじゃないですか?」
P「馬鹿とはこれまたキツイですね」
律子「だ、だってそうでしょう大学中退してまで旅したかったんですか?」
P「まあ有り体に言ってしまえばそうですね、ある日の突然旅がしたくなってそのまま大学を辞めて有り金全部持って旅に出ました」
律子「そのまま社長にスカウトされるまで旅を?」
P「ハイ、その通りです」
律子「成る程まさに行き当たりばったりってことですね」
P「律子さん、いくら二人きりと言っても仕事の手を止めていいわけではありませんよ」
律子「あっすいません」
プロデューサーになる前はただの高卒の無職だったくせして仕事は出来るんだもんなあ…9人のアイドルをもれなく一年でトップアイドルにしちゃうし
P「音無さんがお休みですからね、アイドル達が帰ってくるまでやるだけやっておきましょう」
律子「音無さんと言えばプロデューサーは結婚とかは考えてないんですか?流石に結婚はしたい時にできるものじゃないでしょう」
P「結婚ですか…まだ全然考えてないですね、最悪結婚しなくてもいいと思ってますし」
律子「もう24でしょう、少しくらいは結婚願望あるんじゃないですか?」
P「結婚願望って言葉は少しおかしいと思うんですよね」
律子「どういうことですか?」
P「例えば一人の人がいたとしてその人が一人の異性に恋い焦がれてその人と結婚したいというならともかくとりあえず結婚したいってどうかと思うんです、その人と一生を添い遂げる、ではなくただ結婚したいだなんて変だと思いませんか?」
ーーーーー
小鳥「くしゅんっ!」
小鳥「ピヨォ…風邪が治らない…それとも誰か私の噂でも…」
ーーーー
律子「言われてみると確かにそうですね、じゃあ今プロデューサー殿には意中の女性はいないんですか?例えばうちのアイドルの子とか」
P「プロデューサーとしてアイドルに手を出すのは極刑ものですよ」
律子「まあ確かに、でも向こうから手を出してきた場合は?」
P「全力で拒否します、まあ僕に恋してる子なんていないと思いますが」
律子「それ本気で言ってます?」
P「割と」
律子「呆れた、春香とか美希とか結構あからさまだと思うんですけど」
P「どうなんでしょうね、もしそうだとしても彼女たちがアイドルである以上付き合ったりはしません」
律子「真面目なんですね」
P「彼女たちは偶像ですからね、ファンという信仰者の望む姿でいなければならない、特定の誰かと付き合うなんてあってはならないんですよましてやプロデューサーなんか以ての外です、アイドルで有る限りね」
律子(プロデューサーの私はチャンスがあるってことかしら」
P「ん?何か言いました?」
律子「いっいえ!なにも!!」
危ない危ない声に出ていたようだ
律子「じゃあプロデューサー殿には恋い焦がれる特定の女性はいないんですか?」
P「そういう律子さんはどうなんですか?大人びて見えてもまだ十代でしょう」
律子「わたっ私は…そういうのはいませんよ、それに!今はこの仕事に恋い焦がれてますから!」
ん?今結構露骨に話変えたような…
P「熱心ですね、流石に仕事に恋い焦がれるなんて言えませんね」
律子「プロデューサーはこの仕事にそこまで思い入れはないってことですか」
P「思い入れ自体はありますが今はまた旅がしたいと思っていますよ」
律子「じゃ、じゃあこの仕事やめちゃうんですか?」
P「今の所はそのつもりでいます」
律子「そう…ですか」
意外と驚きはしなかった、プロデューサーがそういう人だって一年間一緒にいてわかってたからかもしれない
P「一年契約でもうすぐその一年だし皆トップアイドルになったからちょうどいいかなと」
P「………律子さん?聞いてますか?」
律子「えっあっそうですか…皆きっと悲しみますよ」
P「そりゃ悲しんでくれなきゃ僕が悲しくなっちゃいますよ」
律子「はは…そうですね、また日本国内を回るんですか?」
P「いえ、前々から海の外へ行きたいな思っていましてとりあえずヨーロッパのほうに行こうかなと、幸い語学には長けていますし」
海外か…となると日本国内よりも会うのは難しくなる
律子「嫌…」
P「えっ」
今私なんて言ったの!?嫌?プロデューサーにはきっちり伝わっちゃってるしどうしよう!?
ええい!
律子「プ、プロデューサーがいなくなるのは嫌だって言ったらどうしますか?」
P「誰が…ですか?」
律子「もちろん私です、春香でもなく美希でもなく他でもない私がどうしてもプロデューサー殿にいなくなって欲しくないと言ったらどうしますか?」
P「そうですね、それなら一つ…条件があります」
律子「条件…ですか、えっとその条件ってのはなんですか?」
P「僕はこの日本でどうしてもしたかったことがあるんですが残念ながらそれは出来そうにないなと思っていたのでもう一つのやりたいことである旅をしようと思ったんです」
律子「どういうことですか?」
P「つまりあなたが僕が日本でしたかったことをさせてくれるのならここに幾らでも留まりますよ」
律子「勿体ぶりますね、その条件…やりたいことってなんですか?私に出来る範囲ならなんでもしますよ」
P「本当ですか?」
律子「え、ええ私に出来る範囲でなら…ですけど」
P「じゃあ…………」
P「僕と結婚してください」
律子「なんだ、そんなことでs………え?今なんて?」
今なんて言ったの?何やら結婚してくれって聞こえたけど聞き間違いよね?
P「ぐ…何度も言わせないでくださいよ、言うの恥ずかしいんですから、だから僕と結婚くださいって言ってるんです、僕はあなたに結婚したいと思うほど恋い焦がれてるんです」
律子「え?ええええええええ!!!結婚!?私と!?それって…ええと、あれ?」
P「とりあえず落ち着いてください、ほら深呼吸」
律子「は、はい」
言われたとおり深呼吸して心を落ち着かせる
聞き間違いではなかったようだ、確かにプロデューサー殿は私に結婚してくれと言ったみたい、どうしよ顔がすごく熱い
律子「え、ええとなんで…ですか?」
P「なんでとはまた無粋な質問ですね、いつの間にかあなたが好きになっていたんですよ、ひたむきに頑張るあなたが、年不相応に強いあなたが、でもその実弱い自分を自らの奥に押しやっているあなたが…とてつもなく愛おしくなってしまったんですよ」
どうしよう、顔は熱いし多分耳まで真っ赤だ、内容は頭に入ってくるけど全然考えられない
P「ムードもへったくれもないですがこれが…僕の一世一代のプロポーズです、一応返事を…聞かせてくれますか?」
律子「その前に…聞いてもいいですか?」
P「ええいいですよ」
律子「私のことが好きなのになんでその気持ちを伝えずにここを去ろうだなんて思ったんですか?」
P「なんででしょうね、多分僕がただの根性無しだからでしょう、フられるのが怖くて仕方がなかったんです、僕はあなたは僕のことを好きではないと思っていましたから、どうせフられるのならこの気持ちはしまって去ってしまおうと」
律子「馬鹿…本当に馬鹿です…私だって…私だってあなたのことがずっと好きだったんですから、なんで飄々とこなすあなたが、私に出来ないことを軽々とやってのけるあなたがどうしようもなく、それこそ結婚したいほど….好きだったんですから…グスッ」
P「こういうの両片思いって言うんですかね…」
律子「こんな時によくそんな平然としていられますね」
P「これでも必死にポーカーフェースを保っているんですよ?」
律子「保つ必要性があるとは思えませんが」
P「まあ確かに」
律子「今…」
P「ん?」
律子「今なら私…わかります。私が本当に恵まれてるんだって仕事だってやりたいことやってきたし、それに…生まれて始めてこんなに好きになった人と両思いになれたんですから」
P「僕も…自分が恵まれてると思いますよ、今までなんとなくやりたいことをやってきましたがこれほど強く思ったことがやっと成就したんですから」
律子「私たち…幸せものなんですね」
P「そうですね…」
P「そういえばまだプロポーズの返事をしてもらっていませんね」
律子「え?えっと…今更いるんですか?」
P「好きとは言ってもらいましたが結婚に関しては何も言ってもらってませんからね」
律子「じゃ、じゃあ!もう一度、もう一度ちゃんとプロポーズしてください!そしたらちゃんと…返事しますから」
P「わかりました」
P「律子さん…いや律子」
律子「はい」
P「僕と…結婚してください」
律子「はい……はい!!」
THE END
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