一夏「イチローはすばらしい」 (34)

一夏「日米通産4000本安打…さらにはレーザービームで世界を滅ぼす男…」

一夏「俺も男ならやはり一つの事を極めたい夢がある」

一夏「極地に立つことで全ての物事が見えてくる…所謂達人の域ってやつだ」

一夏「イチロー…室伏…彼らはすでにそこに立っている…一体そこにはどんな風景が見えるというのか…」

鈴「なに読んでんのよ?」ヒョイ

一夏「あっ!コラ!返せ!」

鈴「ん?天才打者イチロー4000本ヒットの秘密…」

鈴「ああ、あの野球選手の!」

一夏「イチローをただの野球選手だと思うなッ!彼は孤高の戦士…その辺の斉藤と一緒にするなっ!」

鈴「だれよ斉藤って…まぁいいわ、今暇でしょ?ちょっと買い物付き合ってよ」

一夏「やだよ」

鈴「いいでしょ!暇なんだから!」

一夏「暇なんて一言も言ってねぇよ!」

鈴「とにかく付き合うのッ!」

一夏(くそっ!俺は…なんて体たらくだっ!何が世界初の男性IS操縦者だ!こんな称号…ただのお飾りだ!)

一夏「離せ!」

鈴「いや、別につかんでないし…」

一夏「もう俺はお前らなんかの言いなりにならないからな!」

鈴「な、なによっ!どうしちゃったのよっ」アセアセ

一夏「二度と俺に話しかけるなッ!」ダッ

鈴「ちょ、ちょっと!」

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一夏「やってやるっ!俺は!高みを目指すんだ!」

一夏「………」

一夏「具体的に何をすればいいんだ?」

一夏「くそーーーッ!わからーーーんッ!」

ドンガラガッシャーン!

シャル「ど、どうしたの一夏?なに暴れてるの!?」

一夏「シャルか…」

一夏「実は…っ!?」

一夏(また俺は誰かに頼ろうとするのかッ!そんなんじゃダメだ!)

一夏「いや…なんでもない…」

シャル「なんでもないことないでしょ?それに…手、怪我してるじゃない!」

シャル「とにかくまずは保健室に…」スッ

一夏「大丈夫だ!俺にさわるな!」バシ

シャル「い、一夏…!?」

一夏(めちゃくちゃビックリしている…そんなに俺が変わろうとするのがおかしいかッ!)

一夏「もう俺にかかわるなっ!」ダッ

シャル「い、一夏が…グレちゃった…」


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一夏「こうして俺は旅に出ることにした」

一夏「俺は海外の多国籍軍へ入り…ISを使わず…戦地へ赴き…たくさんの人を殺めた…」

一夏「そして…自分が何をしているのかもわからくなった頃…」



~戦場

パラララララ

「メーデー!メーデー!衛生兵はどこだッ!負傷者多数ッ!」

一夏「…俺も…そろそろ…潮時か…」

「イチーカ!まだあきらめるには早いってもんじゃないのか!?」

一夏「マイク…お前の下手な大統領演説はもう聞き飽きたぜ」

一夏「自分のことは自分がよくわかる…ここにいちゃお前まで…被弾するぞ」

「馬鹿いってんじゃねぇ!ライフル協会に関する法案に一人でも多くの支持者が必要なんだ!」

「まだ俺がおごったバーボンの味を覚えてるってんなら!帰ったあとに俺に一票投じて貰わなきゃならないんでなッ!」

一夏「へっ…お人よしが…ここまでくりゃ天晴れだ…」

パラララララララ

「ウッ!」ドサ

一夏「マーーーイクッ!!!」

一夏「糞ッ!どこのドイツだッ!ぶっ殺してやるッ!」

「まずいISだッ!伏せろッ!」

一夏「あ、ISだとッ!?軍事転用は禁止されているはずだッ!それも最前線地区にッ!」

「上はもうここを見捨ててるッ!おそらく次は政治的な金の話まで話は上ってるんだろうなッ!俺達は見捨てられたんだよッ!」

一夏「へっ、国家間の合同稼動実験中の不慮の事故ってか…腐ってやがるぜッ!なにもかもなッ!」

「イチーカ!どこへ行くッ!そっちは危険だッ!」

一夏「なら一機でも多く解体して!今期の法案予算を通りにくくさせてやるさッ!」

一夏「日本バンザーーーイッ!」

「イチーーーーカーーーーーーーッッッ!」

ボガーーーーーーンッ!

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一夏「うっ…ここは…」

「気がついたようだな」

一夏「お、お前はッ!」

ラウラ「…久しぶりだな」

一夏「ラウラッ!どうしてお前がここに!」

ガシャン!

ラウラ「この戦争に我が黒ウサギ部隊が派遣され、戦争終結の一躍を買った…というだけの話だ」

ラウラ「そしてお前は…今我がドイツ軍の捕虜だ…」

ラウラ「住み心地はどうだ?…今の時期には少々肌寒いと思うが…我慢してくれ」

一夏「……ちっ」ドサ

ラウラ「……どうして…だ」

ラウラ「どうして…お前が…戦場にいるんだ…」

一夏「…尋問か?なら拷問でもしたらどうだ?なにかしゃべるかもな!」

ラウラ「っ!!」

ラウラ「…昔のお前はもう居ないのだな…すっかり…戦争屋か…」

一夏「元々お前も軍人のはずだろ?なら俺の気持ちはわかるんじゃないか?」

ラウラ「わかるものかッ!」

ラウラ「どうして!学園をやめてまで…こんなくだらないことをしているのかなッ!」

ラウラ「なぜだ…一夏…」

一夏「もう嫁とは言わないか…成長したな、ラウラ」

ラウラ「うっ…」

クラリッサ「隊長…お時間です」

ラウラ「わかっている…」

一夏「………」

ラウラ「…またくる」

スタスタスタスタ

一夏(さて…どうやってここを抜け出すかだ…)

~夜

見張り「………」

一夏「おい」

見張り「なんだ?」

一夏「ちょっとこっちきて話相手になってくれよ?」

見張り「…職務中だ」

一夏「そんなこと言わずに…なっ」キラン!

見張り「うっ…」(な、なんてイケメンなんだ…だ、ダメだ…体が言うことを…」

カチャカチャ ガチャ

キィィ

一夏「ありがとヨッ!」バキィ

見張り「」ドサ

一夏「ちょろいもんだ…見張りが女で助かったぜ」

一夏「さて、逃げるとするか」


タッタッタッ

ウィーンウィーンウィーン!

警告!警告!○番獄所より脱走者!


一夏「もう気づきやがった!」


クラリッサ「とまれっ!」

一夏「ちっ、ラウラんとこの腰ぎんちゃくがっ!」スチャ

ダンダン!

クラリッサ「は、発砲をやめろ!撃つぞ!」

一夏「軍人がなにいってんだよ!馬鹿が!」

ダンダン!

クラリッサ(くそっ!隊長からは無傷で捕まえろといわれているが…そういうわけにもいかなそうだ!)

ダンダンダンダン

一夏「ISは使っていない…ならっ!」

ダンッ!

クラリッサ「ぐわっ!」ドサ

カチャ

クラリッサ「うっ…」

一夏「これは没収させてもらうぜ」ブチ

クラリッサ「しまった…」

一夏「これでISは使えない…なめられたもんだな、ISなしで捕まえられると思ったか?」

ラウラ「一夏っ!抵抗するなっ!クラリッサを離すんだ!」バッ

一夏「いいのか?こいつが死ぬぞ?」グイ

クラリッサ「くっ…隊長!わたしのことはいいです!それより早く捕まえてください!」

一夏「だまれっ!」

ダンダンダン

クラリッサ「くっ…あぁ…」ポタポタ

ラウラ「クラリッサ!」

一夏「次は眼球くりぬいてコンクリートをつめてやろうか?」

一夏「わかったら道を開けろ!」

ラウラ「くっ…全員…道をあけるんだ!」

「「「「りょ、了解…」」」」

一夏「クックック!」

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~荒野

ブロロロロロロロ

クラリッサ「…これからどうするつもりですか?軍は必ずあなたを追ってきますよ?」

一夏「それがどうした?俺はそんなの気にしない!」

クラリッサ「……どうして…このようなまねを…隊長はあなたを解放するために色々と動いていたんですよ!」

クラリッサ「また学園で一緒に暮らせるように…上にもかけあって…それなのにどうして…」

一夏「余計なお世話なんだよ…おれはイチローになるんだ!そのためには誰かの助けなんて邪魔なだけだ!」

クラリッサ「な、なに言ってるんですかあなたは!?」

一夏「そのためには…まずは当面の資金と…隠れる場所が必要だな…お前にも協力してもらうぞ?」キラン!

クラリッサ「うっ!」(な、なんですか、この高揚感はっ!)

クラリッサ「はぁはぁ…///」

一夏「完全にはかからなかったか…さすがラウラのお気に入りだ…」

クラリッサ「あなた…一体なにを…」ハァハァ///

一夏「な~に、振り子打法みたいなもんさ」クックック

ブロロロロロ… キィ

クラリッサ「…こ、ここは?」ハァハァ///

一夏「友人の家だ…今は…もう誰も住んでないがな」

クラリッサ(マイク・ベルナルド…)

クラリッサ「うっ…くぅ…」ハァハァ///

一夏「貴様も中へ入れ」

キィ

一夏「…マイク」

クラリッサ「はぐっ…っ!」ハァハァ///

一夏「ここの家主はな、元キックボクサーでさ、日本じゃ知らないやつはいねぇって言って…よく俺にからんできやがったんだ」

クラリッサ「ハァハァ…///」

一夏「正直名前も聞いたことなかったけどな…ことあるごとに武勇伝のように試合の話を聞かされたよ…話半分に聞いてたがな」

クラリッサ「んぅぅっ」ハァハァ///

一夏「いつか…どうしてそんな有名スターが今は偏狭の地で兵隊やってんだ?って聞いたんだよ」

クラリッサ「も、もう…だめ…」ハァハァ///

一夏「…あいつは…人に裏切られたってさ…まぁよくある話だって言ってたが、聞けば一晩じゃ語りきれないだろうさ」

一夏「一度は地元のケープタウンに帰って牧場を営んでいたらしいが、何の因果な兵隊になっちまったってよ」

一夏「ここからは俺の予想だけど…おそらくISによる女尊男卑の社会がさ…あいつを動かしたんだと思う…」

一夏「一度はスターまでのぼり詰めたけれど、富も名誉も失って、田舎で牧場営むしかなくなった…自殺も考えたらしいが…社会が変わって…不幸がみんなで共有できたから…あいつも自殺を思いとどまったんじゃないだろうか…」

一夏「…俺は思ったよ…世の中悪いことって実はないんじゃないかってさ」

クラリッサ「ハァハァハァハァハァ///」ガシ

一夏「…なにしがみついてやがる」

クラリッサ「ど、どうか…お慈悲を…」ハァハァハァ///

バキィ!

クラリッサ「うっ!」バタ

一夏「このアマ!発情しやがってっ!」

クラリッサ「お願い…します…」ハァハァハァ///

ドガァ!

一夏「イチローはな!そんなことしねぇんだよ!」

ドガバキグシャ!

一夏「イチローは女にうつつなんて抜かさない!イチローは女なんて興味ない!」

ドガドカ! ベキィ!

クラリッサ「~~ッッアアアアアアアア」バタバタ

一夏「はぁはぁ…」

一夏「俺はイチローになるんだ!てめぇみたいな汚いメス豚を相手にするとでも思ったかっ!」

クラリッサ「お願いします…お願いします…」

一夏「ちっ、面倒だ…ここで殺していくか?」

「待ちなさいっ!」

一夏「誰だっ!?」

「なのるほどのものじゃあない」

一夏「お前…どこかで…あっ!」

一夏「日ハムのカイエン青山じゃないか!」

斉藤「顔ばれしちゃうのってやばいっすか?」

一夏「なんのようだ!」

斉藤「…君はイチロー選手になりたいといっているが…それは無理な話だ…」

一夏「知った風な口を利くな!俺はかならずイチローになる!」

斉藤「…俺も…今追いつきたい相手がいる…」

一夏「もしかして…マー君のことか?」

斉藤「そうだ…今はまだ40歳の現時点では、ピッチャーとしてマー君の方が上だ」

斉藤「でも、50歳になったら、60歳になったらどうかということは誰にもわからない、そのための大学4年間だったと思っているんだ。私はそこには、けっこう自信を持ってる」

一夏「さ、斉藤…」


すでにマー君は48連勝の世界記録を達成し、球界を引退して楽天の監督として活躍していた。


一夏「お前ってやつは…」ジワァ


一夏は自身の行った愚考に後悔した。


一夏(イチローにはなれない。なぜなら俺は織斑一夏なのだから)

一夏(斉藤は…わかっているんだ…自分が決してマー君になれないことを…だが、それでも…)

一夏(やらなくちゃならないんだ……それにくらべて…俺には…そこまでの覚悟がなかった!)


一夏「斉藤…おれ…学園に戻るよ」

斉藤「それがいい…ここからは修羅の道だからね」

一夏「ありがとう」

斉藤「テレビ!見ていてくれよ!絶対1勝してみせるから!」

一夏「!!」ブワァ


斉藤は…すでに球団をクビになっていた。合同トライアウトの参加で三面記事を賑わせたのは記憶に新しいことだった。


一夏「じゃあ俺行くから…」

斉藤「ああ、さようなら」


一夏「…あぁ、やっぱ一応サインくれ…あれ?斉藤?」


だが、そこには誰もいなかった。

一夏は目を擦り、もう一度辺りを見回したが、斉藤の姿を確認することはできなかった。

~学園

一夏(あいつは…俺の中の亡霊だったのだろうか…)

シャル「一夏ーーーーッ!戻ってきてくれたんだねーーーーッ!」ウワァァァァン!

箒「ほんとに…お前ってやつは…」グスグス

セシリア「チェルシー、今度から一夏さんのことは24時間体制で監視しなさい!なにかあればすぐに動けるように!」

ラウラ「よ、嫁ぇ…最近クラリッサのやつがずっと変なんだが…なにか知らないか?」

一夏(またこの日常か…だが…悪くないかもな…)

一夏「みんな…心配かけてすまなかったな」

一夏(斉藤は教えてくれた…俺はイチローにはなれないと、俺は俺のままがいいと)

一夏(もう俺の中のイチローの亡霊には取り付かれたりはしないっ!)


ガラガラガラ

鈴「あのさー一夏ぁ、この前はごめんね~」トコトコトコ

鈴「あんたイチロー選手を馬鹿にされた気がしたからわたしに怒ったんでしょ?あれからイチロー選手のことを勉強したからさ」

一夏「………なに?」ピク

鈴「これ、お詫びって言っちゃなんだけど…」つイチロー262のメッセージ

鈴「結構心にくる言葉が多くて感動しちゃったわ」

鈴「やっぱイチローは天才よね!」

一夏「鈴、結婚しよう」

鈴「へっ?」



こうして俺は鈴と結婚した。


終わり。

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